K 3802:2015
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 分類······························································································································· 1
4 用語及び定義 ··················································································································· 1
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人膜分
離技術振興協会(AMST)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規
格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規
格である。
これによって,JIS K 3802:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
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膜用語
Technical terms for membranes and membrane processes
序文
この規格は,1989年に制定され,その後2回の改正を経て今日に至っている。今回,その後の膜用途拡
大に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,液体の処理に用いる膜分離及び膜分離プロセスに関する用語について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
3
分類
用語は,用途によって次のとおり分類する。
a) 一般 用途に限定されず一般的に用いられる膜用語
b) 上水 膜ろ過浄水用途で用いられる膜用語
c) 下排水 下排水処理用途の膜分離プロセスで用いられる膜用語
d) 脱塩 海水・かん水の淡水化用途で用いられる膜用語
e) 純水及び精製水 工業用純水製造及び精製水製造用途で用いられる膜用語
f)
食品 食品工業用途で用いられる膜用語
4
用語及び定義
用語及び定義は,次による。
なお,用語及び対応英語の一部に括弧を付けてあるものは,紛らわしくない場合には,括弧の中を省略
してもよい。また,一つの用語欄に二つ以上の用語が併記してある場合には,記載してある順位に従って
優先的に使用する。
2
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a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1001
圧力損失
液体中のある2点間において,液体の摩擦などによって生じる
圧力の低下。
pressure drop,
pressure loss
1002
安定透過流束,
安定フラックス
薬液洗浄を必要としないで,膜間差圧が許容範囲内に維持でき
る透過流束。
sustainable flux
1003
イオン交換膜
膜中に固定化した正又は負の電荷をもつ交換基の作用で,イオ
ンの分離を行う膜。
ion-exchange membrane
1004
一次側
膜又はフィルタのろ過前の液側(原水側)。
upstream
1005
エアスクラビング,
バブリング
物理洗浄の一方法で,膜の一次側に空気を吹き込んで膜面付着
物質を除去する方法。
air scrubbing
1006
SDI,
FI
逆浸透法において,モジュールへの供給水中の微量な懸濁物質
を定量化する指標。
注記 SDI(FI)は,次の式によって求められる。
SDI(FI)=(1−T0/T15)×100/15
ここに,T0:0.45 μmの精密ろ過膜を用いて,試料水を
206 kPaの加圧下でろ過するときに,初めに
500 mLをろ過するのに要した時間。
T15:T0と同じ状態で15分間継続してろ過した後
に,500 mLをろ過するのに要した時間。
silt density index,
fouling index
1007
エレメント
膜及びその支持体並びに流路材を一体化し,成形加工した部品。 element
1008
温度補正係数,
TCF
任意の温度で測定された(膜)透過流束を,標準温度の値に補
正するための係数。
temperature correction
factor,
TCF
1009
外圧式
(中空糸又は管状)膜の外側に供給水を流し,内側へ膜ろ過水
を取り出すろ過方式(図1及び図2参照)。
external pressure type,
out-in type
1010
回収率
供給量に対する生産量の比。比又はパーセントで与えられる。
注記 生産量とは,透過水量から逆洗水量などを差し引いた正
味の透過水量をいう。
recovery ratio,
recovery-Y (conversion)
1011
回転平膜
回転させながらろ過を行うことができる平膜。
rotating flat-sheet
membrane
1012
化学洗浄,
薬液洗浄,
薬品洗浄
薬液を用いて膜モジュール,又は膜エレメントを洗浄する操作。 chemical cleaning
1013
拡散流量試験
膜を十分にぬらし,溶媒への溶解性が低い気体でバブルポイン
ト以下の適切な圧力を加えたとき,拡散によって二次側に透過
する気体の流量を適切な方法で測定する試験。
注記 JIS K 3833参照。
diffusion test,
forward flow test,
diffusive flow test
1014
荷電膜
荷電した基を含む膜。
charged membrane
1015
かん水
淡水よりも塩濃度が高く,海水よりも塩濃度が低い水。
brackish water
1016
完全性試験
膜,エレメント及び膜モジュールが物理的欠陥をもたず,定格
づけられた性能をもつことを確認する試験。
integrity test
1017
逆浸透膜,
RO膜
膜両側の溶液間の浸透圧差以上の圧力を高濃度液側に加え,溶
媒を溶質から選択的に低濃度液側に移行させることによって両
者を分離する(逆浸透法)ために用いる膜。スパイラル形と中
空糸形とがある(図3及び図4参照)。
reverse osmosis
membrane
1018
逆洗,
逆圧洗浄,
逆流洗浄
膜面に垂直に,かつ,通常のろ過方法と逆の方向にろ液,ガス
等を流す操作。
backwash
1019
吸引ろ過
ポンプ等で二次側を吸引し,ろ過を行う方法。
vacuum filtration
1020
供給水
分離装置に供給する被処理水。
feed (water)
3
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1021
空隙率,
空孔率
膜の全体積に占める孔の体積の割合。
porosity
1022
クロスフローろ過,
十字流ろ過
加圧型モジュールにおける運転操作方法の一つで,供給水を膜
面に沿って流し,透過水が供給水と直角方向に流れるようにす
るろ過方法。
cross flow filtration
1023
クロッギング
汚泥及び懸濁物質が膜の一次側に付着・蓄積することによって,
膜の一次側への原水供給に阻害が生じる現象。
clogging
1024
ケーキ層,
ケーク層
原水中の懸濁物質,汚泥などが膜の一次側で濃縮され,膜の一
次側に付着したケーキ状の層。
cake layer
1025
ゲル層
膜の表面に原水中の懸濁物質又は溶解成分析出物が付着して,
ゲル状となった層。
gel layer
1026
限界透過流束,
限界フラックス
ゲル分極モデルにおいて,ある膜間差圧以上になると上昇しな
くなる,定常の透過流束。ゲル層が形成されにくい場合には,
ファウリング現象に着目し,ファウリングによる膜間差圧の上
昇が生じない最大の透過流束を指すことがある。
critical flux
1027
限外ろ過膜,
UF膜
分子量1 000〜100万程度の溶質又は粒子をろ過によって分離す
るためのもので,溶質の分離特性を分画分子量で表す膜。
ultrafiltration membrane
1028
原水
前処理装置に供給する被処理水。
raw water
1029
公称孔径
膜の分離性能を表すために用いる名目上の孔の径。
nominal pore size
1030
公称ろ過精度
フィルタ製造業者が定める試験方法によって決定するろ過精
度。一般に特定粒子の初期除去効率によって決定する。
nominal rating
1031
最高許容温度,
最高給水温度
モジュール及びエレメントの構造又は性能を損なうことなく短
期間使用できる最高温度。
allowable maximum
temperature
1032
最高使用温度
モジュール及びエレメントの構造又は性能を損なうことなく連
続的に使用できる最高温度。
allowable maximum
operation temperature
1033
最大供給水量
モジュール及びエレメントの構造又は性能を損なうことなく連
続的に使用できる最大水量。
maximum feed flow rate
1034
最大許容膜間差圧
モジュール及びエレメントの構造又は性能を損なうことなく短
期間使用できる,膜間差圧の最大値。MPa,kPaで表示されるこ
とが多い。
allowable maximum
trans-membrane
pressure
1035
最大使用圧
モジュール及びエレメントの構造又は性能を損なうことなく連
続的に使用できる一次側最大圧。
allowable maximum
operation pressure
1036
最大使用膜間差圧
モジュール及びエレメントの構造又は性能を損なうことなく連
続的に使用できる,膜間差圧の最大値。MPa,kPaで表示される
ことが多い。
continuous use maximum
trans-membrane
pressure
1037
CIP,
クリーニング・イ
ン・プレイス,
定置洗浄
装置に膜モジュールを取り付けた状態で行う膜洗浄。
注記 JIS B 9650-2参照。
CIP,
cleaning-in-place
1038
重力(式)ろ過
膜分離装置を設置した水槽内に自由水面をもち,水頭圧を利用
してろ過を行う方法。
gravity filtration
1039
循環水
膜モジュールから取り出された濃縮水のうち供給水側に戻され
る水。
circulating water
1040
親水性膜
水との親和性が高い素材で製造された膜。
hydrophilic membrane
1041
浸せき膜
膜モジュールを膜供給水が流入している槽に浸せきし,吸引ろ
過又は水頭圧によって処理水を得る膜(図5参照)。
submerged membrane
1042
スキン層
分離特性をつかさどる薄い層。
skin layer
4
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1043
スケール
膜による濃縮及び濃度分極によって供給水中の難溶性物質の膜
表面濃度が上昇し,溶解度を超えたことで膜の表面に析出した
層。
scale
1044
ストレーナ
液体から固形成分を取り除くために用いる網状の器具。プレフ
ィルタとして,又は機器の保護を目的として用いられる比較的
目の粗いフィルタ。
strainer
1045
スパイラル膜エレ
メント
膜を渦巻状に成型加工して使用するエレメント(図3参照)。
spiral wound membrane
element
1046
生産水
分離装置によって得られた水。
product (water)
1047
精密ろ過膜,
MF膜
0.05 μm〜数μm程度の微粒子及び微生物をろ過によって分離す
るためのもので,分離特性を孔径で表す膜。
microfiltration membrane
1048
セラミック膜
無機素材を焼結して作った膜。
ceramic membrane
1049
選択透過膜
特定の物質又はイオンを,選択的に多く透過する性質をもつ膜。 permselective membrane
1050
全量ろ過,
デッドエンドろ過
膜供給水を循環させることなく全量をろ過する方法。加圧型モ
ジュールにおける運転操作方法の一つ。
dead-end filtration
1051
操作圧,
運転圧
加圧型モジュールで,供給水が装置に入る前の圧。浸せき型モ
ジュールでは,二次側の圧。
operating pressure
1052
槽浸せき方式,
浸せき型
(膜)モジュールを供給水が流入している槽に浸せきさせた状
態で膜ろ過装置を運転する方式。
tank submerged type
1053
阻止率,
除去率
膜を透過する前後の特定の溶質の濃度をそれぞれC1,C2とする
とき,1−C2/C1で表す量。
注記 C1は,入口濃度を用いる場合と,平均濃度を用いる場合
とがある。
rejection
1054
疎水性膜
水との親和性が低い素材で製造された膜。
hydrophobic membrane
1055
ダイアフィルトレ
ーション法,
透析ろ過
供給液を溶媒(主として水)で希釈しながら,又はあらかじめ
希釈しておき,ろ過を行うことによって,溶媒と低分子量物質
とをろ過させ,目的とする物質を精製する方法。
diafiltration
1056
耐塩素性
酸化力をもつ塩素に対する膜の耐久性。膜の劣化を起こさない
最高の塩素濃度で表す。
chlorine resistance
1057
対称膜,
均質膜
膜の断面が,均一層からなる膜。
homogeneous membrane
1058
ダイナミック膜
ろ過の過程において,溶液中に含まれる物質によって多孔質支
持体上に形成され,分離機能をもつ膜。
dynamic membrane,
dynamically formed
membrane
1059
耐薬品性
特定の薬品に対するモジュール又はエレメントの耐久性。
chemical resistance
1060
多孔質支持層,
支持層,
支持膜
非対称膜及び複合膜において,表面のスキン層を支持する多孔
質の層。
porous support,
porous layer
1061
多孔質膜,
多孔膜
多孔質な構造からなる膜。
porous membrane
1062
ち密層
分離現象をつかさどる,非多孔質の層。ガス分離膜などの表面
に形成される。
dense layer
1063
中空糸膜,
キャピラリ膜
中空の糸状に成形した膜(図1,図2,及び図4参照)。
hollow fiber membrane
1064
チューブラ膜,
管状膜
管状に成形した膜(図6参照)。
tubular (type) membrane
1065
定圧ろ過
膜の一次側圧力又は二次側圧力を一定に保持してろ過する方
法。
constant pressure
filtration
5
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1066
電気透析
陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを交互に配置してその膜間
に通液し,直流電流を通電する操作又は技術。陽イオンと陰イ
オンとが各イオン交換膜を選択的に透過することで,脱塩・濃
縮等の分離を行う(図7参照)。
electrodialysis
1067
定流量ろ過
透過水流量を一定に保持してろ過する方法。
constant flow rate
filtration,
constant flow filtration
1068
透過水,
ろ過水
膜又はフィルタを透過した水。
permeate,
filtrate
1069
透過水量
単位時間に膜を透過する水の量。
permeate flow rate
1070
透過流束,
フラックス
単位時間当たり単位膜面積を透過する水の量。
注記 一般的にはm3・m−2・d−1,m3/(m2・d),m/dで表記される。
flux
1071
透析膜
溶質,イオンなどを,拡散現象を利用して分離する膜。主に,
工業用途で使用される。
dialysis membrane
1072
内圧式
(中空糸又は管状)膜の内側に供給水を流し,膜の外側へろ過
水を取り出すろ過方式(図1及び図6参照)。
internal pressure type,
in-out type
1073
ナノろ過膜,
NF膜
ナノろ過法に用いる膜で,イオン及び分子量200〜1 000の物質
の除去を目的とした膜。
nanofiltration membrane
1074
二次側
膜又はフィルタのろ過後の液側(透過水側)。
downstream
1075
濃縮水,
ブライン
膜又はフィルタを透過しないで,溶質,懸濁物質などが濃縮さ
れた水。
concentrate
1076
濃度分極
一次側の膜の近傍において,溶媒又は溶質が透過することによ
って溶質の濃度勾配が生じる現象。
concentration
polarization
1077
ハウジング,
ケーシング
エレメントを収納する容器。
housing,
casing
1078
バクテリアチャレ
ンジテスト
精密ろ過法によって無菌化ろ過するとき,膜の除菌性能を確認
する方法。高濃度の微生物溶液を実際に膜で分離し,その分離
性能を測定する方法をいう。
bacteria challenge test
1079
バブルポイント
膜を十分にぬらし,溶媒への溶解性が低い気体で膜表面の反対
側から加圧したとき,膜表面に最初に気泡が生じる圧力。
bubble point
1080
バブルポイント試
験
膜を十分にぬらし,溶媒への溶解性が低い気体で加圧し,膜の
微細孔から気泡が出たときの圧力を測定する試験。
注記 JIS K 3832参照。
bubble point test
1081
非対称膜
スキン層と多孔質支持層とで構成され,それらが同一素材から
なる膜。
asymmetric membrane
1082
平膜
平面状又はシート状の膜(図8参照)。
flat (sheet) membrane
1083
ファウリング,
膜汚れ
膜劣化以外の要因で,膜の表面又は細孔中に無機物,有機物及
び微生物によって形成された膜目詰まりで流束が減少するこ
と。結果として膜性能の変化を発生させる。生物学的なものを,
バイオファウリングという。
fouling
1084
ファウラント
ファウリングを引き起こす成分。
foulant
1085
フィルタ
粒子を分離するのに用いる多孔性の物体又は装置。
filter
1086
複合膜
スキン層と多孔質支持層とが異なった素材からなる膜。
composite membrane
1087
物理洗浄
薬品を使用しないで物理的な方法で行う膜の洗浄。
physical cleaning
1088
フラッシング
装置に清浄な水を送り込み,装置内の汚れ,薬品の残留物など
を水で押し流す操作。
flushing
1089
プリーツ形モジュ
ール
平膜をひだ折りにして使用するモジュール(図9参照)。
pleated (type) module
6
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1090
プレッシャーホー
ルド試験,
圧力保持試験
膜を十分にぬらし,溶媒への溶解性が低い気体でバブルポイン
ト以下の圧力を一次側に加えたとき,拡散によって膜を透過す
る気体のために生じる圧力変化を測定する試験。また,同様に
十分にぬらした膜の二次側を適切な圧力まで減圧し,その圧力
変化を測定する場合もある。
pressure hold test
1091
プレフィルタ
後段の膜の保護のために前処理としてその前段に設置されるフ
ィルタ。
prefilter
1092
ブレンド膜
2種類以上の異なる膜素材を混合して形成した膜。
blend membrane
1093
分画分子量
膜が特定の阻止率で阻止できる最小の分子量。
molecular weight cutoff,
cutoff of molecular
weight
1094
平均操作圧,
平均運転圧
加圧型モジュールにおいて,次の図に示す供給水圧(Pin)と濃
縮水圧(Pout)とを平均した圧力(P0)。膜間差圧とは異なり,
二次側圧(Pprod)は,差し引かない。
P0=(Pin+Pout)/2
注記 “有効圧”(1108)参照。
average operating
pressure
1095
平板(形)モジュ
ール
平膜を平面状に使用するモジュール。
flat sheet (type) module,
plate and frame (type)
module
1096
補正透過流束,
補正フラックス
単位時間当たり単位膜面積を透過する水の量を,標準膜間差圧,
標準温度条件下に換算したもの。
注記 例えば,m3/(m2・d),at 100 kPa,25 ℃のように表記される。
corrected flux,
corrected permeability
1097
前処理
膜及びフィルタの汚染を緩和するために,原水又は供給水に対
し,凝集,ろ過,pH調節,殺菌などを行う処理。
pretreatment
1098
膜間差圧
膜,エレメント又はモジュールの一次側圧と二次側圧との差。
注記 膜間差圧は,次の式で表される。
TMP=Pin−Pprod
ここに,TMP:膜間差圧
Pin:一次側圧
Pprod:二次側圧
trans membrane
pressure
1099
膜充塡密度
膜モジュールの単位体積当たりの膜面積。
membrane packing
density
1100
膜寿命
膜が,製造業者の定めた性能を維持して使用できる期間。
membrane life
1101
膜面積
供給液と直接接触する膜の表面積。
membrane (surface) area
1102
膜劣化
膜構造が,物理的,化学的又は生物的原因によって変化し,膜
の性能が低下する現象。
membrane degradation,
membrane deterioration
1103
無機膜
無機材料からなる膜。
inorganic membrane
1104
(膜)モジュール
プラントを構成する基本単位の一つ。
加圧型モジュールは,1本(又は1枚)以上のエレメントを圧力
容器に納めて一体化したもの。
浸せき型モジュールは,1本(又は1枚)以上のエレメントを一
体化し透過水取出口を設け,膜供給水が流入している槽に浸せ
きさせたもの。
module
1105
モジュール寿命
膜又はモジュールの構成部材が,性能を維持して適切に使用で
きる期間。
module life
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1106
モノリス膜
多孔質支持体内部に複数の流路を形成し,流路表面で分離をつ
かさどる層を形成させたもの(図10参照)。
monolith (type)
membrane
1107
有機膜,
高分子膜
有機材料からなる膜。
organic membrane
1108
有効圧
加圧型モジュールにおいて,平均操作圧(P0)から浸透圧差(Δπ)
及び二次側圧(Pprod)を差し引いた,膜に働く有効な圧。
有効圧(Peff)=P0−Δπ−Pprodで表す。
注記 次の図に示す圧力と浸透圧との関係で,浸透圧差Δπは,
次の式で表される。
Δπ=(πin+πout)/2−πprod
ここに,πin:供給水の浸透圧
πout:濃縮水の浸透圧
πprod:透過水の浸透圧
effective pressure
1109
リーク試験
原水の漏えいが生じる程度の物理的欠陥の有無を確認する試
験。完全性試験ほどの精度ではなく,非破壊性及び簡便性に重
きを置いている。
leak test
1110
ろ過
特定物質を透過しない膜又はフィルタを用いて,流体からその
物質を分離する操作又はその技術。
filtration
b) 上水
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2001
大孔径ろ過膜モジ
ュール
クリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)の
除去を主目的として用いられる膜モジュール。一般的な膜孔径
は,1〜2 μm程度である。
large pore membrane
c) 下排水
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3001
インライン薬液洗
浄,
薬液注入洗浄
水槽内又はケーシング内に膜を浸せきした状態で,洗浄薬液を
二次側から注入して膜の洗浄を実施する方法。
in-line chemical
cleaning
3002
運転時透過流束,
運転時フラックス,
瞬間透過流束
休止工程,逆洗工程などを含むろ過サイクルで,膜ろ過運転を
している場合における,ろ過工程時の透過流束。
gross flux,
instantaneous flux
3003
休止工程,
ろ過停止工程
ろ過操作を意図的に停止する工程。膜性能の回復を目的として
行われる。
relaxation
3004
浸せき型MBR
活性汚泥中に浸せき膜を設置し,吸引ろ過又は重力ろ過によっ
て処理水を得る膜分離活性汚泥法の一形態。
注記 膜を浸せきさせる槽と生物処理を行う槽とが同一の場
合,“一体型MBR”と呼ばれ,生物反応槽とは別に膜浸せ
き槽を設ける場合は,“別置型MBR”と呼ばれる(図11
参照)。
submerged MBR,
immersed MBR
3005
浸せき洗浄,
薬液浸せき洗浄
膜を薬液に直接浸せきさせて行う洗浄。
submerged cleaning
8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3006
スクリーン
1 mm〜数cm程度の目幅のふるいによって,固形物,懸濁物質
を除去する固液分離装置。
screen
3007
清水透過流束,
清水フラックス
清水を供給水とした場合の,単位時間当たり単位膜面積を透過
する清水の量。
注記 清水は,固形物を含まない塩濃度の低い水。
clean water flux
3008
槽外型MBR
活性汚泥を反応槽外に設置した加圧型モジュールに通水して処
理水を得る膜分離活性汚泥法の一形態(図11参照)。
side stream MBR,
external MBR
3009
日平均透過流束,
日平均フラックス
ろ過工程,休止工程,逆洗工程などの一連のろ過サイクルで,
休止工程によるろ過停止時間及び逆洗による水損失を考慮した
一日における実質の透過流束。
daily net flux
3010
バイオファウリン
グ,
微生物汚染
供給水中の微生物及びその代謝物,又は膜表面で増殖した微生
物及びその代謝物によって発生するファウリング。
bio-fouling
3011
膜分離活性汚泥法,
MBR
活性汚泥法の一種で,処理水と活性汚泥との分離を,沈殿池に
代えて膜を使って行う方法。
membrane bioreactor
(MBR)
3012
膜面洗浄ばっき
ファウリングを防止する目的のために,水中で膜表面に気泡を
流すこと。
membrane surface
cleaning aeration
3013
ろ過サイクル
ろ過工程に,休止,逆洗などを組み合わせた工程を繰り返すこ
とで,膜ろ過運転が行えるようにした一連の工程。
filtration cycle
3014
ろ紙ろ過試験
50 mLの活性汚泥を,JIS P 3801に規定する5種Cのろ紙でろ
過し,5分間で得られるろ液量を測定する試験。
paper filtration
measurement
d) 脱塩
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4001
圧密化
ファウリングのない状態で,長時間の圧力負荷によって膜がち
密になる現象。
compaction
4002
圧力容器,
ハウジング,
ケーシング
一つ以上の膜エレメントを保持し,分離を行うのに必要な水圧
に耐えるように設計された容器。
pressure vessel
4003
後処理
透過水の用途に合わせて水質調整を行うために,脱気,pH調節,
殺菌などを行う処理。
post-treatment
4004
A値
RO膜の水透過係数。単位時間,単位膜面積,及び単位有効圧当
たりの水透過量で定義される係数[m3/(h・m2・kPa)]。
注記 A値は,次の式で表される。
A=純水透過流束/有効圧
a-value
4005
SWRO(膜)
海水を処理対象とする逆浸透(膜)。
sea water RO,
SWRO
4006
エネルギー回収装
置
RO法海水淡水化において,ブラインのもつ加圧圧力をエネルギ
ーとして回収するための装置。
energy recovery device
(ERD)
4007
FO膜
正浸透膜。膜を介して接触する液体間の濃度差による溶媒又は
水の移動(浸透現象)を利用して,水の回収,溶液の濃縮など
を行うための半透膜。
forward osmosis
membrane
4008
m値
RO膜のA値の減少率を表す指数で,次の式で定義するmの値。
A/A0=(t/t0)-m
ここに,m:透過水流量減少指数(無次元)
A:t時間後のA値[m3/(h・m2・kPa)]
A0:初期(t0)のA値[m3/(h・m2・kPa)]
t:運転経過時間(h)
t0:運転開始時間(h)(t0は,一般的には運転開
始後1時間を基準とする。)
flux decline factor
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K 3802:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4009
塩透過率,
SP値
原水の濃度に対する透過水の濃度の割合。
salt passage
4010
クリスマスツリー
配列
バンク当たりのRO膜モジュールの本数が上流から下流のバン
クになるに従って順次減少していく樹形図のようなRO膜モジ
ュールの配列形式をいう。
christmas tree
configuration
4011
脱塩
水中から無機塩類を除去するプロセス。
desalination,
demineralization
4012
脱塩率
逆浸透膜による塩の除去率。
salt rejection
4013
トレイン
高圧ポンプとバンクとを組み合わせたユニット。
train
4014
濃縮倍率
濃縮水量と供給水量との比。
concentration rate
4015
バンク
共通の供給・濃縮配管をもつ並列で設置された圧力容器の組。
bank
4016
PRO膜
海水と淡水間との浸透圧差を電力に変換する発電方式で,この
浸透圧発電(PRO)に用いられる半透膜。浸透圧発電は,塩分
濃度差発電ともいう。
pressure retarded
osmosis membrane
4017
B値
RO膜を透過する単位時間当たりの塩の量を膜面積及び膜間濃
度差で除した塩の移動係数(塩透過係数)[単位はm/h,又は
m3/(m2・h)]。
注記 B値は,次の式で表される。
B=Js/ΔC(=DSM/l)
Js:溶質の透過流束
ΔC:膜両側の濃度差
DSM:膜内の溶質拡散係数
l:膜有効厚さ
b-value (salt diffusion
coefficient)
4018
BWRO(膜)
かん水を処理対象とする逆浸透(膜)。
brackish water RO,
BWRO
4019
偏流,
チャネリング
膜エレメント又はろ過層内での不均一な流れ。
channeling
e) 純水及び精製水
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5001
ETRF,
エンドトキシン捕
捉フィルタ
透析液からエンドトキシン及び微生物を除去するために使用さ
れるメンブレンフィルタ。
endotoxin-retentive
filter
5002
ダイアライザ
血液透析器,血液ろ過器,血液透析ろ過器及び持続緩徐式血液
ろ過器の総称。血液透析器[haemo(hemo) dialyser]は血液透析
を目的とする機器。血液ろ過器[haemo(hemo) filter]は血液ろ過
を目的とする機器。血液透析ろ過器[haemo(hemo) diafilter]は
血液透析ろ過を目的とする機器。
注記 JIS T 0601-2-16参照。
dialyser
5003
超純水
逆浸透膜,イオン交換樹脂,活性炭,紫外線酸化,限外ろ過膜
などを組み合わせて精製した水。
比抵抗>18.20 MΩ・cm,陽イオン<0.1 ng/L,陰イオン<0.1 ng/L,
TOC<1 μg/L,生菌数<0.05個/L,及びDO<10 μg/L程度の水を
いう。
注記 JIS K 0211参照。
ultra pure water
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
f)
食品
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6001
ショックトリート
メント
微生物による膜装置の汚染を防止するために,殺菌剤を一時的
に大量にモジュール内に注入し,殺菌及び微生物の繁殖を抑制
する操作。
shock treatment
6002
無菌化ろ過
系内の微生物をろ過技術を利用することによって,食品に発育
し得る公衆衛生上無害な微生物をろ過後に存在する確率を
1 000分の1以下にすること。
sterile filtration
a) 外圧式
b) 内圧式
図1−中空糸膜 外圧式及び内圧式の違い
図2−外圧式中空糸膜モジュール及び内圧式中空糸膜モジュール
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図3−スパイラル膜エレメント
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図4−中空糸形(逆浸透膜)の例
a) 中空糸膜
b) 平膜
図5−浸せき膜の例
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図6−チューブラ膜
図7−電気透析
注記 “膜モジュールエレメント”,“膜カートリッジ”,“膜カセット”などともいう。
図8−平膜
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
構成図
① ガスケット
② キャップ
③ アウトパイプ
④ インナーパイプ
⑤ プレフィルタ
⑥ サポート材
⑦ 膜(ろ材)
図9−プリーツ膜
図10−モノリス膜
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 浸せき型(一体型)
b) 浸せき型(槽別置型)
c) 槽外型
図11−浸せき型MBR及び槽外型MBR
参考文献
[1] JIS B 9650-2 食料品加工機械の安全及び衛生に関する設計基準通則−第2部:衛生設計基準
[2] JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
[3] JIS K 3832 精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイント試験方法
[4] JIS K 3833 精密ろ過膜エレメント及びモジュールの拡散流量試験方法
[5] JIS T 0601-2-16 医用電気機器−第2-16部:人工腎臓装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要
求事項