K 3801 : 2000
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本規格協会 (JSA) /財団法人バ
イオインダストリー (JBA) から工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工
業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS K 3801-1989
は改正され,この規格に置き換えられる。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 3801 : 2000
除菌用HEPAフィルタの性能試験方法
Test method of HEPA filters for microbiological use
1. 適用範囲 この規格は,HEPAフィルタ(高性能エアフィルタ)除菌性能を,試験用粒子を用いてフ
ィルタの漏れ率によって試験する方法について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格はこの規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。
これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 9921 光散乱式自動粒子計数器
JIS B 9927 クリーンルーム用エアフィルター性能試験方法
JIS K 3600 バイオテクノロジー用語
JIS Z 8122 コンタミネーションコントロール用語
JIS Z 8901 試験用粉体及び試験用粒子
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 3600及びJIS Z 8122による。
4. 試験方法の概要 試験用HEPAフィルタユニットの上流側に,JIS Z 8901に規定する粒子を一定濃度
以上供給し,光散乱式自動粒子計数器を用い下流側を走査し,漏れてくる0.3μm以上の粒子数及びその割
合を測定することによって性能を試験する方法である。
5. 試験 装置及び機器
5.1
光散乱式自動粒子計数器 JIS B 9921に規定するもので,空気中の粒子濃度と,粒径区分のための
記録機能をもつもの。
5.2
走査漏れ試験装置 走査漏れ試験装置の内部構造は次による。図1にその一例を示す。
a) 試験用エアロゾル発生器 JIS Z 8901に規定する試験用粒子2の1種 (DOP) 又はこれと同等のエア
ロゾルを安定した状態で発生し続けることが可能であること。エアロゾルは送風機の入り口で供給す
るか,又はフィルタの上流側の粒子濃度が均一になるように混合が行われる他の場所に供給しなけれ
ばならない。
b) 上流ダクト 均一な試験用粒子濃度及び風速分布が得られるような構造であること。
c) 上流側粒子濃度測定孔 測定孔は,試験用粒子が均一に混合されている位置に設けること。
d) 試験用フィルタ取付け部 試験用フィルタのろ材及び外枠部からの走査漏れの有無が試験できる構造
であること(図2)。
e) 試験用フィルタ圧力損失測定器 1Pa単位まで測定可能な差圧測定器を用いる。
f)
下流ダクト 周囲の汚染空気を巻き込まない十分な長さを持つこと。
2
K 3801 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
g) 送風機 試験条件を満足する空気を供給できる能力を持つこと。
h) 風速可変機構 試験用フィルタの試験風速を風量調節ダンパ若しくは,インバータで回転数を変える
ことによって規定の値に調節できる機構を持つこと。
i)
風速測定器 試験用フィルタの試験風速に対し,±20%の精度で測定できるもの。ただし,風速は全
風量を測定し,その値をフィルタ正面面積で除すことによって求めてもよい。
j)
光散乱式自動粒子計数器
k) 検出口 フィルタ試験風速と検出口の入り口風速が同じようになるよう検出口の寸法を決定する。検
出光が正方形の開口形状のときには次の式になる。
F
V
Q
L
×
=
60
············································································ (1)
ここに,
L: 検出口一辺の長さ (mm)
Q: 測定器のサンプリング空気量 (mm3/min)
VF: 試験用フィルタ試験風速 (mm/s)
図1 走査漏れ試験装置
6. 空気取入れ用フィルタ 0.3μmの粒子に対し,99.97%以上の捕集率をもつフィルタを使用する。
7. 試験条件 試験に用いる送風空気の条件は次による。
a) 温度 25±10℃
b) 湿度 55±15%
8. 操作 操作は次による。
a) 光散乱式自動粒子計数器は,計器が安定するまでフィルタを通した清浄空気を吸引させながら予熱運
転を行う。
b) 試験用フィルタを試験装置へ装着する。装置と試験用フィルタ間は,ガスケットを用い漏れのないよ
う確実にシールを行う。
1) 試験用フィルタが上流側シール方式の場合は,図2(a)に示す装置を用いる。
2) 試験用フィルタが下流側シール方式の場合は,図2(b)に示す装置を用いる。
3
K 3801 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図2 試験用フィルタ取付け部
c) 試験用HEPAフィルタの通過風速を,0.45m/s±20%に調整する。
d) 試験用エアロゾル(試験粒子2)を試験用フィルタ上流側に供給し,光散乱式自動粒子計数器によっ
て粒子の濃度の測定を行い,粒径0.3μm以上の粒子計測数が1分間当たり,5×106個以上になるよう
に試験用エアロゾル濃度を調整する。
e) 光散乱式自動粒子計数器の検出口を試験用フィルタ下流の清浄空気中に置き,測定系が自浄し,読み
が安定するまで静置する。
f)
試験用フィルタの下流側を光散乱式自動粒子計数器の検出口で走査し,まず接合部の走査漏れを観察
する。検出口は,図3に示すようにHEPAフィルタ下流側表面から30mm以内に保持する。走査速度
は50mm/sとする。
ただし,検出口の一辺の長さが25mmに満たないものは,次の式による。
VS=2L····················································································· (2)
ここに, VS: 走査速度 (mm/s)
L: 検出口一辺の長さ (mm)
走査は,検出口が1mm以上重なるよう,ろ材表面及びその周辺を往復移動させる。フィルタ枠接
合部及びろ材と枠間の接着部の漏れの有無を確認し,その後フィルタ全域にわたり実施する(図3)。
4
K 3801 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図3 操作方法
g) 評価は,光散乱式自動粒子計数器によって上記の条件で走査しながら,漏れてくる粒子の個数を一定
の時間間隔ごとに連続的に計測を行う。
1) 計測条件の設定のための関係式(3)
×
×
×
×
=
L
L
Pl
N
T
Nl
v
j
10
10
100
60
······················································· (3)
ここに, Nl: 一定の時間間隔 (Tj) 漏れ粒子数(個/Tjs)
Tj: 計測時間間隔 (S)
NV: 上流側粒子計測数値(個/min)
L: 検出口(正方形)の一辺の長さ (mm)
Pl: フィルタの透過率 (%)
上式(3)に基づいて,出来るだけ短時間で測定するための条件を設定する。
Pl=100−E
E=基準捕集率 (%)
2) 式(3)に基づいて,できるだけ短時間で測定するための条件を設定する。
計測器め計測器に基づき必要な計数個数として
Nl≒5(個/Tjs)
上流粒子個数として
NV≧5×106(個/m)
検出口一辺の長さ
L=25mm
フィルタの測定部位の基準捕集率
E=99.97 (%)
(HEPAフィルタの捕集率を代用)
したがって許容透過率は
Pl= 0.03 (%)
この条件に基づいて,測定間隔を計算すると
Tj=1.25秒
測定時間間隔 (Tj) ,あるいは,漏れの判定時間は1≦Tj≦2(秒)が
適当とされている。
例えばTjを2秒に設定するためにはNV=3.25×106に設定する。
この条件下ではNl=5が限界値となる。
h) 漏れの評価は次の式による。
上記条件でNlが5前後(個/Tj秒)と測定された場合には,検出口をその箇所に固定して,測定時
間間隔を10秒として数回測定を繰り返す。この測定値の算術平均が25/10(個/秒)を超えていれば
その測定部位で許容値以上の漏れがあると判定する。
5
K 3801 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
9. 記録 試験結果について,次の事項を記録する。
a) フィルタの名称(又は種類)
b) フィルタの形状,寸法及び材質
c) 製造番号又はロット番号
d) 製造業者名又はその略号
e) 試験結果
走査漏れ試験結果の評価(漏れがあると判断した場合,漏れ位置とその値)
JIS K 3801(除菌用HEPAフィルタの性能試験方法)改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
奥 山 典 生
東京都立大学名誉教授
(委員)
横 地 明
東海大学工学部
浦 山 由 巳
千代田化工建設株式会社
渋 谷 勝 利
清水建設株式会社
鈴 木 正 信
和光純薬工業株式会社
宇 高 博 和
日本エアフィルター株式会社
瀧 澤 清 一
日本ケンブリッジフィルター株式会社
松 本 保 輔
財団法人化学品検査協会
橋 本 進
財団法人日本規格協会
川 端 尚 志
通商産業省 生物産業化学課
(事務局)
奥 泉 仁 一
財団法人バイオインダストリー協会
野 崎 恵 子
財団法人バイオインダストリー協会