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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 3610-1992 

生体工学用語(生体化学部門) 

Technical terms for biological engineering (biochemistry) 

1. 適用範囲 この規格は,生体工学分野で用いる用語のうち,生体化学部門で用いる主な用語について

規定する。 

2. 分類 用語は,次のとおり分類する。 

(1) 細胞工学 

(1.1) 基礎・共通事項 

(1.2) 遺伝情報 

(1.3) 動物細胞 

(1.4) 植物細胞 

(1.5) 微生物 

(1.6) 操作,手法及び技術 

(2) たん白質工学 

(2.1) 基礎事項 

(2.2) たん白質の合成,修飾及び分解 

(2.3) たん白質の構造,状態及び物性 

(2.4) たん白質及びその集合体の機能 

(2.5) 実験技術及び実験装置など(たん白質工学) 

(3) 生体反応工学 

(3.1) 基礎・共通事項 

(3.2) 微生物工学 

(3.3) 酵素工学 

(3.4) 培養工学 

(3.5) バイオリアクター 

(3.6) 環境保全 

(3.7) 操作,手法及び技術 

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K 3610-1992 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3. 用語及び定義 用語及び定義は,次のとおりとする。 

なお,参考のために対応英語を示す。 

(1) 細胞工学 

(1.1) 基礎・共通事項 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1101 

アイソシゾマー 

異なる菌株から単離され,認識塩基配列が互いに同じ制限酵素。 

備考  イン制限酵素ともいう。 

isoschizomer 

1102 

悪性転換 

細胞が本来の組織内の制御を離れて無限増殖をし,動物にしゅよ

う(腫瘍)形成性を示すようになる遺伝子と細胞質の変化。 

malignant transformation 

1103 

アロ抗原, 

同種(異系)抗原 

同種間の個体の間で遺伝的に異なる多型性抗原。 

alloantigen 

1104 

異質3倍体(4倍体) 

異種ゲノムが組み合わさって生じた倍数体。 

allotriploid (allotetraploid) 

1105 

遺伝形質 

遺伝子によって規定されている生物各個体に固有の性質。 

genetic character 

1106 

遺伝子 

DNA(一部のウィルスではRNA)分子内の塩基配列で規定され,

生物の形質を決定している遺伝の基本単位。 

gene 

1107 

遺伝子地図 

染色体にある遺伝子の種類,配列順序及び相対的位置関係を示し

た地図。 

genetic map 

1108 

遺伝子治療 

人体に遺伝子を導入して行う治療法。 

gene therapy 

1109 

遺伝的不活化(精子の)  精子の染色体だけを破壊し,遺伝情報の伝達を不能にさせる操

作。 

genetical inactivation of 

sperm 

1110 

遺伝子病 

DNAの塩基配列の変化による遺伝子の欠陥又は異常に起因する

遺伝性疾患。 

genetic disease, 

genopathy 

1111 

温度感受性突然変異 

ある温度範囲でだけ野生型と異なる表現型を示す突然変異。 

temperature sensitive 

mutation 

1112 

温度感受性突然変異体 

一定温度(許容温度)以下ではほぼ正常な形質を示すが,それ以

上では変異形質を発現する突然変異体。 

temperature sensitive mutant 

1113 

核小体 

真核細胞の核内にあり,リボソームRNAの合成とリボソームの

組立てを行う小器官。 

nucleolus 

1114 

完全ホモ2倍体 

すべての遺伝子が同型接合体となった生物個体。 

complete homozygous 

diploid 

1115 

キメラ 

二対以上の異なった両親に由来する,2種類以上の異なった遺伝

子型の細胞から構成される個体。 

chimera 

1116 

共生 

異なる種類の生物個体が位置的・生理的に密接な関係を保って生

活している現象。 

symbiosis 

1117 

極体 

卵母細胞の成熟過程での不等分裂で生じる少量の細胞質を含む

娘細胞。 

polar body 

1118 

形態形成 

生物の発生の過程で新しい形態的特徴が形成される現象。 

morphogenesis 

1119 

系統樹 

生物の進化による種の相互の系統関係図。 

genealogical tree, 

evolutionary tree 

1120 

ゴースト, 

細胞形がい(骸) 

ファージ,細菌又は細胞に処理を施し,内容物を除去した外被膜

又は細胞膜。 

ghost 

1121 

サイトプラスト, 

細胞質体 

生細胞から核を除去した細胞膜で包まれた細胞質体。 

cytoplast 

1122 

サイブリッド, 

細胞質雑種 

無核の細胞質体(サイトプラスト)と性質の異なる細胞との融合

による細胞質雑種。 

cybrid 

1123 

細胞周期 

細胞の分裂と成長の周期。 

cell cycle 

1124 

細胞内輸送 

広義には細胞器官を含めて,細胞内で起こるあらゆる輸送現象。

狭義には(粗面)小胞体で合成された分泌たん白質が,ゴルジ体

を経由して細胞膜に輸送される過程。 

intracellular transport 

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K 3610-1992  

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番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1125 

雑種細胞 

異なった種又は由来の細胞が融合し,核も融合して形成され,部

分的にでも両者の遺伝子が機能している細胞。 

hybrid cell 

1126 

サルベージ合成経路 

生体物質を完全に分解しないで分解途中の物質を回収して再利

用する反応経路。 

salvage synthetic pathway 

1127 

真核細胞 

核膜に包まれた核をもった細胞。 

eukaryotic cell 

1128 

浸透圧調節剤 

細胞内浸透圧又は体液浸透圧を調節する薬剤。 

osmoregulating chemical 

1129 

スフェロプラスト 

細菌又は植物細胞の細胞壁を酵素処理によって部分的に取り除

いた球形の原形質体。 

spheroplast 

1130 

制限, 

宿主支配性 

外来性のDNAが,宿主の酵素によって分解される現象。 

restriction, 

host controlled 

1131 

性転換 

個体の性が発生の途中で,遺伝的に決められた性とは逆の性に転

換する現象。 

sex reversal 

1132 

性判別 

動物個体の発生初期段階,特に着床前期卵の,組織学的・分子生

物学的手法による雌雄の判別。 

sexing 

1133 

生物応答調節剤 

免疫系などの生物機能を増強・調節する機能をもつ物質。 

BRM(biological response 

modifiers) 

1134 

世代時間 

細胞レベルでは,細胞が分裂してから次に分裂するまでの時間。

個体レベルでは,個体の誕生から次の世代を生むまでの時間。 

generation time 

1135 

前核 

受精直後の卵にみられる卵細胞の核(雌性前核)と,卵子に侵入

した精子が形成する核(雄性前核)。 

pronucleus 

1136 

染色体異常 

染色体の数,組合せ又は構造についての異常。 

chromosomal aberration 

(abnormality) 

1137 

選択マーカー 

保有細胞を適切な条件下で特異的に選択できるような遺伝子。 

selectable markers 

1138 

セントロメア 

染色体の動原体系の結合部で,対をなす娘染色体が互いに付着し

ている部位。 

centromere 

1139 

全能性 

一つの細胞が種々の組織器官に分化して,完全な個体を再生させ

ることができる潜在的な能力。 

totipotency 

1140 

走化性 

細胞又は個体が化学物質のある方へ移動したり,化学物質から遠

ざかる性質。 

chemotaxis 

1141 

組織特異的発現 

生物個体の特定の組織に限定された遺伝子発現。 

tissue specific expression 

1142 

体細胞変異 

体細胞に生じた突然変異。 

somatic mutation 

1143 

TCA回路 

クエン酸を介して有機物の完全酸化を行う代謝回路。 

TCA cycle 

1144 

脱分化 

(1) 器官,組織などの機能分化・形態分化している細胞が分裂を

開始して,カルス化する現象及び分化組織の反復培養によっ

て分化のレベルが低下する現象。(植物細胞のとき) 

(2) 一度分化した細胞が特徴を失って未分化な状態に戻る過程。

(動物細胞のとき) 

dedifferentiation 

1145 

多分化能 

適切な環境に応じて,あらゆる種類の細胞に分化する未分化細胞

のもつ潜在能力。 

pluripotency 

1146 

単為発生 

卵が精子なしに物理的刺激などで新個体を発生する生殖法。 

parthenogenesis 

1147 

致死突然変異 

生物個体が成長の途中で死ぬような突然変異。 

lethal mutation 

1148 

DNA再構成 

リンパ球の分化のために,複数のエキソンが組換えを起こし発現

型遺伝子をつくる再配列過程。 

DNA rearrangement 

1149 

テロメア 

真核細胞での,染色体の複製や安定化に必要な特殊な構造をもつ

染色体の末端部分。 

telomere 

1150 

転写 

遺伝情報の発現される過程で,ゲノム上の塩基配列がRNAの塩

基配列に写しとられる核酸合成反応。 

transcription 

1151 

転写調節 

遺伝情報の発現過程において,転写段階に働く調節。 

transcriptional control 

1152 

パイロジェン 

体内に投与すると微量で発熱を引き起こす物質。 

pyrogen 

1153 

発現 

DNAの塩基配列情報に基づく遺伝子の転写による機能発現。 

expression 

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K 3610-1992  

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番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1154 

発生時期特異的発現 

生物個体の特定の発生時期に限定された遺伝子発現。 

stage speciffc expression 

1155 

微小核 

ゲノムの一部だけを含む核。 

micronucleus 

1156 

ヒストン 

核内DNAと複合体を形成している塩基性たん白質。 

histone 

1157 

封入体 

細胞内で増殖したウイルス粒子などの集合体,又はウイルスなど

の感染,先天性代謝異常若しくは外部からの人為的な遺伝子の導

入の結果によって細胞内に蓄積した反応生成物。 

inclusion body 

1158 

不和合性 

2種類のプラスミドが同一細胞に導入されたとき,細胞増殖の過

程で同一細胞内に安定に共存できない現象。 

incompatibility 

1159 

分化 

受精卵が分裂を重ねてはい(胚)を形成し,発生が進行する過程

で等価の細胞から形態学的・機能的に特殊化した細胞になり,組

織・器官を形成する現象。 

differentiation 

1160 

ヘテロクロマチン 

細胞分裂間期から次の分裂前期に持続する転写不活性な染色体

又は染色体部分。異質染色質。 

heterochromatin 

1161 

変異原物質 

化学的メカニズムによって,生物に自然に起こる変異よりも高い

割合で変異を誘発する物質。突然変異誘発物質。 

mutagen 

1162 

ホメオスタシス, 

恒常性 

生体内の組成・物理的状態を一定に維持する機能。 

homeostasis 

1163 

ポリソーム 

mRNA上にリボソームが一定の間隔をもって結合したmRNA−

リボソーム複合体。 

polysome 

1164 

マイトジェン 

細胞の分裂を誘起させる物質。 

mitogen 

1165 

ワクチン 

感染症予防の目的で,ヒトや動物を能動免疫するための抗原。 

vaccine 

(1.2) 遺伝情報 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1201 

Alu(ありゅ)配列 

ヒトゲノム中に散在し制限酵素Alu Iで切断される部位 (AGCT) 

をもつ約300bpの高頻度反復塩基配列。 

Alu sequence 

1202 

アンチセンスDNA 

mRNAと相補的で遺伝子発現の抑制機能をもつDNA。 

antisense DNA 

1203 

遺伝子座活性化部位 

染色体上の特定遺伝子座を活性化するシス作用性のDNAの構

造。 

locus activating region 

dominant control region 

1204 

遺伝的相補(細胞レベ
ルでの) 

異なった機能に遺伝的欠陥のある細胞間で細胞融合させると,雑

種細胞では機能が相補ってその欠陥が消失する現象。 

genetic complementation at 

cellular level 

1205 

SOS遺伝子群 

大腸菌のDNA損傷の際に生存のためにLexAたん白質によって

発現が制御されている15種類の遺伝子。 

− 

1206 

エピソーム 

宿主染色体と独立に増殖する状態及び宿主染色体に組み込まれ,

宿主染色体とともに複製が行われる状態をとり得る遺伝物質。プ

ラスミドと同概念。 

episome 

1207 

オープンリーディング

フレーム 

mRNA上の開始コドンで始まり終結コドンで終わる部分で,たん

白質のアミノ酸配列を決定する情報をもっている領域,又はたん

白質合成の情報をもっているDNA上の領域。 

open reading frame 

1208 

オペレーター 

DNA上にコードされた遺伝情報の発現を調節する遺伝子の一つ

で,負の制御因子であるレプレッサーの結合部位。 

operator 

1209 

CAAT(かーと)ボッ

クス 

真核細胞での,転写を調節しているであろうと推定されている,

転写開始点から上流約80〜100塩基離れた領域に存在するCAAT

という共通の塩基配列。 

CAAT box 

1210 

がん(癌)遺伝子 

細胞のがん(癌)化に不可欠の遺伝子又は細胞のがん化を誘導す

る活性をもつ遺伝子。 

oncogene 

1211 

偽遺伝子 

塩基配列において,機能する遺伝子と極めて相同であるが,点変

異や小さな欠失,挿入などの変異を受けているために発現の認め

られない不活性の遺伝子。 

pseudogene 

1212 

逆位 

染色体のDNAの配列が部分的に逆になっている構造変異現象。 

inversion 

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K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1213 

逆位反復配列 

逆向きで相補的な反復塩基配列で,遺伝子内を動くことのできる

遺伝因子がもつ一般的特徴。 

inverted repeat sequence 

1214 

キャップ形成 

細胞表層のたん白質と脂質が抗体などで架橋して会合し,パッチ

を形成し,この会合体が細胞表面に移動して一極に集中する再分

布現象。 

cap formation 

1215 

キャップ構造 

ほとんどの真核細胞及びそのウイルスmRNAにおいてみられる

5'末端構造。5'末端への7-メチルグアノシンの付加及び5'末端の

最大2塩基までのリボースの2'OHのメチル化によって生じる構

造。 

cap structure 

1216 

組換え修復 

複製後に起きるDNA間の組換えによるDNA損傷回復機構。 

recombination repair 

1217 

欠失 

突然変異の一つで染色体又はDNAの一部が欠け失なわれる現

象。 

deletion 

1218 

校正機構 

DNAの複製時に誤って取り込まれた塩基を,DNAポリメラーゼ

の5'→3'エキソヌクレアーゼ活性によって取り除いたり,リボゾ

ーム上で翻訳時に結合するアミノ酸の誤りを修正したりする機

能。 

proof reading function 

1219 

サイトエフェクト, 

位置効果 

染色体上の位置によって遺伝子の発現が阻害されたり,その発現

特異性が変化する現象。 

site effect, 

position effect 

1220 

再配列 

リンパ細胞の分化に伴う抗体の多様性発現の機構で,免疫グロブ

リン遺伝子の組換えが起こる現象。 

rearrangement 

1221 

サテライトDNA 

真核細胞のDNAを塩化セシウム中で平衡密度こう(勾)配遠心

を行うと,主要な核DNAバンドと分かれて小さなバンドを形成

するDNA。 

satellite DNA 

1222 

サテライトRNA 

RNAウイルス粒子中に存在するRNA断片。 

satellite RNA 

1223 

サプレッサー 

抑制,抑圧などの負の調節を受け持つ生理活性物質。 

suppressor 

1224 

サプレッサー遺伝子 

他の遺伝子に起きた突然変異を抑制(サプレス)する遺伝子。 

suppressor gene 

1225 

シス作用性DNA因子 

ある遺伝子と同一DNA分子上に位置して作用する遺伝子発現制

御因子。 

cis acting DNA element 

1226 

修復過程 

高電圧パルスの印加によって一時的膜破壊を起こした細胞膜が

最配列し,修復する過程。 

resealing process 

1227 

人工染色体 

複製開始領域 (ARS),セントロメア及びテロメアを配して構築さ

れた酵母染色体。 

artificial chromosme 

1228 

相同組換え 

同じような塩基配列をもった二組のDNA間の交さ(叉)や遺伝

子組換え。 

homologous recombination 

1229 

挿入 

DNAの塩基配列上の一点を切断し,他のDNA断片を割り込ませ

た後に再び結合して新たな配列のDNAを生成させる遺伝子操

作。 

insertion 

1230 

挿入配列 

染色体,プラスミド又はファージDNA上を移動する最も小さく

簡単な構造をもつ塩基配列。(移動性DNA) 

insertion sequence, 

insertion element 

1231 

相補性 

二つの突然変異が同じ細胞内にあるとき,各突然変異の作用以上

に機能の促進又は形質の発現がみられる現象。 

complementation 

1232 

ターゲティング 

染色体上の遺伝子と外来DNAとの間で相同的遺伝子組換えによ

って目的の遺伝子だけを任意に改変する方法。 

targeting 

1233 

タンデム 

同一DNA分子中に含まれる縦列反復配列。 

tandem 

1234 

電気ブロッティング 

電気泳動によって分画したDNA,たん白質などをゲルから膜構

造に電気的に転移する方法。 

electro-blotting 

1235 

同時形質転換 

二つ以上の遺伝子(形質)による同時的形質転換。 

co-transformation 

1236 

同時トランスフェクシ
ョン 

二つ以上の遺伝子(形質)による同時的形質導入。 

co-transfection 

1237 

導入遺伝子 

染色体の一部に組み込まれた外来遺伝子。 

transgene 

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K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1238 

トランスポゾン変異 

トランスポゾンを導入して誘発した遺伝子変異。 

transposon mutagenesis 

1239 

ナンセンス変異 

塩基が置換して,あるアミノ酸の遺伝子暗号(コドン)が終止コ

ドンに変化した突然変異。 

nonsense mutation 

1240 

ハウスキーピング遺伝
子 

エネルギー代謝,複製など細胞の生存に必要な基本的なたん白質

をコードしている遺伝子。 

housekeeping gene 

1241 

パリンドローム 

2重鎖構造の核酸において,相補鎖をそれぞれ同じ方向 (5'→3') 

から見ると同一の塩基配列をもつ部位。(自己相補的配列) 

palindrome 

1242 

P因子 

ショウジョウバエのバクテリア型トランスポゾンで任意の遺伝

子を個体に導入できる転移因子。 

P element 

1243 

複製開始点 

染色体やプラスミドのようなレプリコン上にあって複製開始反

応が起こる特定のDNA領域。 

replication origin 

1244 

不死化遺伝子 

動物細胞に,個体外で無限に増殖し続ける能力を付与する遺伝

子。 

immortalizing gene 

1245 

プリブノーボックス 

原核生物のプロモーター部位の上流10塩基対程に存在し,RNA

ポリメラーゼの結合する共通の塩基配列。 

Pribnow box 

1246 

ホメオティック遺伝子 

体節の特性化を規定する遺伝子。 

homeotic gene 

1247 

ホメオボックス 

各種の生物の形態形成をつかさどる遺伝子に共通な塩基配列。

(ホメオティック遺伝子) 

homeobox 

1248 

マーカー遺伝子 

遺伝学的解析に役立つ表現型のはっきりした遺伝子。 

marker gene 

1249 

ミューテーター 

他の遺伝子の自然突然変異率を増加させる作用をする遺伝子。突

然変異誘発遺伝子。 

mutator 

1250 

メチル化(DNAの) 

DNAの塩基の特定部位がメチル化される酵素反応。(DNA塩基

の修飾) 

methylation 

1251 

メッセンジャーRNA 

たん白質に翻訳されるべき情報を担うRNA。 

messenger RNA 

1252 

免疫応答遺伝子 

免疫応答において,遺伝的拘束性を発揮する遺伝子。 

immune response gene 

1253 

薬剤耐性遺伝子 

野生株の細胞が生育できない薬剤濃度において抵抗性を示す株

の耐性に関する遺伝情報をもつ遺伝子。 

drug resistance gene 

1254 

レプレッサー 

オペレーター遺伝子と特異的に結合して,それに続く遺伝子の発

現を抑制するたん白質。 

repressor 

1255 

レプリコン 

物理的に独立して増殖することができ,複製起点と複製開始たん

白質遺伝子をもつ最小の複製単位。 

replicon 

(1.3) 動物細胞 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1301 

アクセサリー細胞, 

補助細胞 

T細胞が抗原刺激されるときT細胞機能に補助的に作用する単核

系,マクロファージ由来の細胞。 

accessory cell 

1302 

RB遺伝子 

遺伝性のしゅよう(腫瘍)である網膜芽細胞しゅ(腫)の発症を

抑制する遺伝子。 

RB gene, 

retinoblastoma gene 

1303 

栄養外はい(胚)葉 

ほ(哺)乳類はい(胚)盤胞期卵の単層細胞からなる壁。着床時

に子宮壁に侵入し,胎盤の一部に分化する細胞群。 

trophectoderm 

1304 

L細胞(L株細胞) 

マウス繊維芽細胞のメチルコラントレンによる発がん(癌)で生

じた,密度依存増殖抑制を欠く培養細胞株。 

L cells, 

strain L 

1305 

エールリッヒ腹水がん
(癌) 

マウスの移植性乳がん(癌)細胞に由来し,腹水中で遊離細胞を

形成する細胞株。 

Ehrlichʼs ascites carcinoma 

1306 

エンドクリン, 

内分泌 

内分泌せん(腺)から分泌された物質が血液を介して遠隔にある

標的細胞の受容体と結合し,その細胞固有の生理作用を促進又は

抑制する分泌形態。 

endocrine 

1307 

自己分泌, 

オートクリン 

産生細胞自身に作用する分泌機構。 

autocrine 

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K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1308 

割球 

受精卵の細胞分裂によって生じた発生初期にみられる形態的に

未分化な細胞。 

blastomere 

1309 

過排卵 

ほ(哺)乳類の雌に投与した薬剤又はホルモンの作用によって,

正常より多くの卵の成熟又は排卵を誘発する現象。 

superovulation 

1310 

がん(癌)抑制遺伝子 

がん(癌)細胞のがん形質[造しゅよう(腫瘍)性,軟寒天内増

殖能など]の発現を抑制する遺伝子。 

tumor suppressor gene 

1311 

ガングリオシド 

シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質。 

ganglioside 

1312 

完全ホモ動物, 

完全(遺伝的)同型動
物 

すべての遺伝子についてホモ(同型)の個体。 

uniparental homozygote 

1313 

がん(癌)特異抗原,

しゅよう(腫瘍)特異
性抗原 

細胞の悪性化に伴って発現する抗原。 

tumor specific antigen 

1314 

偽足 

異物などの摂取又は移動を目的として形成する原形質突起。 

pseudopodia 

1315 

偽妊娠 

妊娠が成立しない場合でも,排卵後形成された黄体が機能するこ

とによって又は黄体ホルモンによって妊娠と同様に維持されて

いる状態。 

pseudopregnancy 

1316 

キメラはい(胚) 

2個以上の受精卵に基づく卵割球からなるはい(胚)。 

chimeric embryo 

1317 

クローン動物 

同一個体の核をもつ動物集団で全く同一の遺伝子組織をもつ動

物。 

clone animal 

1318 

桑実はい(胚) 

多細胞動物の卵割期に,全割した割球が集塊状になっている時期

のはい(胚)。 

morula 

1319 

形質細胞 

最も分化の進んだ抗体産生性のBリンパ球。 

plasma cell 

1320 

好塩基球 

トルイジンブルーなどの塩基性色素によって,異染性(メタクロ

メジア)に染色される特殊か(顆)粒[好塩基性か(顆)粒]を

もつ骨髄由来のか(顆)粒白血球。 

basophil, 

basophilic leucocyte 

1321 

抗原提示細胞 

自己のMHC抗原とともに,抗原を認識する機能をもった細胞。 

antigen presenting cells 

1322 

好酸球 

エオジン酸性色素で染色され,かつ,好酸性か(顆)粒[塩基性

たん白質を主成分とする特殊か(顆)粒]をもつ骨髄由来のか(顆)

粒白血球。 

eosinophil, 

acidophilic leucocyte 

1323 

抗体依存性細胞傷害 

抗体受容基をもった細胞が,その受容基に結合した特異抗体を介

して標的細胞を傷害する反応。 

antibody dependent cell 

cytotoxicity 

1324 

好中球 

ギムザ染色で淡紅又は淡青色に染まる好中性か(顆)粒をもち,

多形核の特徴的な核形態を示す骨髄由来のか(顆)粒白血球。 

neutrophil, 

neutrophil leucocyte 

1325 

コンカテマー 

ファージなどのような単位DNAが複数個,端と端で連結して1

列に並んだ連鎖状集合体。 

concatemer 

1326 

サイトカイン 

細胞によって産生され,細胞の機能発現や細胞間相互作用に関与

するたん白性可溶性因子。 

cytokine 

1327 

サプレッサーT細胞 

免疫反応に対し抑制的に作用するT細胞亜群(サブセット)。 

suppressor T cells 

1328 

受精能獲得(精子の) 

卵透明帯の通過能及び配偶子融合能の獲得に必す(須)なステッ

プである,精子の先体領域の膜の変化。 

sperm capacitation 

1329 

上皮細胞 

器官の表面をおおう組織を形成する細胞。せん(腺)上皮細胞,

外はい(胚)葉性上皮細胞,繊毛上皮細胞。 

epithelial cells 

1330 

神経芽細胞 

神経細胞に分化することが予定された未分化細胞。(芽細胞) 

neuroblast 

1331 

精子 

核をもつ頭部と運動をつかさどる尾部とに特殊分化した雄の生

殖細胞。 

spermatozoon=sperm 

1332 

成虫原基 

昆虫の幼虫の体内に存在し,将来成虫に発育したときに複眼,触

角,はね(翅),あし(肢),生殖器,下唇,平衡かん(桿)など

に分化する未分化の細胞集団。 

imaginal disc (disk) 

1333 

全雌魚種苗 

種苗すべてを雌化した魚。 

all female fish seed 

background image

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1334 

全雌不妊3倍体 

3倍の染色体数をもつ不妊性の雌として発生した生物。 

all female sterile-triploid 

1335 

CHO細胞(チャイニー

ズハムスター卵巣細

胞) 

チャイニーズハムスター卵巣細胞由来する2倍性染色体,プロリ

ン要求性の培養細胞株。 

CHO cell line, 

Chinese hamster ovary cells 

1336 

T細胞 

抗体産生の調節と,標的細胞の破壊を行う胸せん(腺)由来のリ

ンパ球。 

T cell 

1337 

透明帯 

ほ(哺)乳類受精卵の着床前期に最外層を形成する透明な卵膜。 

zona pellucida 

1338 

内部細胞塊 

はい(胚)盤胞の1層の細胞からなる壁の1か所から内空に向か

って突出した未分化細胞の塊。 

inner cell mass 

1339 

ナチュラルキラー細胞 

未感作の状態で種々の標的細胞に対して細胞障害性をもつエフ

ェクター細胞。 

natural killer cell (NK cell), 

spontaneous killer cell 

1340 

ヌードマウス 

遺伝的に胸せん(腺)とTリンパ球機能を欠失した無毛のマウス。  nude mouse 

1341 

はい(胚)幹細胞株 

未分化細胞株である内部細胞塊を分離して,未分化状態を保った

まま,培養液中で増殖し続けるように樹立された細胞株。 

ES cell line, 

embryonic stem cell line 

1342 

はい(胚)盤胞 

ほ(哺)乳類の初期発生で卵割が終わり,1層の細胞からなる栄

養外はい(胚)葉と内部細胞塊とからなる胞状のはい(胚)。 

blastocyst 

1343 

パラクリン, 

パラ分泌 

産生された局所で隣接する細胞に直接作用するホルモンの分泌

形態。 

paracrine 

1344 

半数体症候群 

染色体が半数しかないため起こる特殊な症候群。 

haploid syndrome 

1345 

B細胞 

抗原と特異的に結合する抗体を産生する骨髄由来のリンパ球。 

B cell 

1346 

肥満細胞 

染色上異染性(メタクロメジア)を示す好塩基性か(顆)粒をも

つ結合組織内の単核細胞。 

mast cell 

1347 

HeLa(ひーら)細胞 

Geyらによって樹立されたヒト子宮けい(頸)部がん(癌)由来

培養細胞株。 

HeLa cell 

1348 

ファゴサイトーシス 

細胞がエンドサイトーシスによって1μm以上の粒子を細胞内に

取り入れる活動。(食作用) 

phagocytosis 

1349 

ヘルパーT細胞 

B細胞に補助的に作用して免疫反応を誘導又は促進するT細胞亜

群(サブセット)の機能上での名称。 

helper T cell 

1350 

胞はい(胚)腔 

多細胞動物の発生初期に生じる胞はい(胚)の細胞に囲まれた空

所。 

blastocoel (cavity) 

1351 

マクロファージ, 

大食細胞 

単核食細胞系細胞の総称で,狭義には血液中の単球が組織に出て

分化・成熟した細胞。 

macrophage 

1352 

免疫細胞 

種々の免疫反応に直接又は間接に関与する間葉系細胞群。 

immunocyte 

1353 

モーリス肝がん(癌) 

Morrisらによって,ラットに実験的に形成された移植継代可能で

形態・代謝が肝実質細胞に類似した肝がん(癌)。 

Morris hepatoma 

1354 

雌性発生2倍体 

卵子由来の染色体だけから作出された2倍体の個体。 

gynogenetic diploid 

1355 

雄性発生2倍体 

精子由来の染色体だけから作出された2倍体の個体。 

androgenetic diploid 

1356 

誘発泌乳 

ホルモン投与などによって,未成熟雌又は成熟雌の人工的な乳分

泌の誘発。 

induced lactation 

1357 

卵丘細胞 

排卵後の未受精卵を包む,か(顆)粒膜細胞の増殖肥厚した細胞。  cumulus cell 

1358 

卵巣 

卵子の産生と内分泌をつかさどる雌の性せん(腺)。 

ovary 

1359 

卵子 

雄雌配偶子間に明りょう(瞭)な形態的分化がみられる生物の雌

性配偶子。 

ovum 

1360 

卵母細胞 

多細胞生物の卵形成過程に生じる,減数分裂前の成長期にある雌

性生殖細胞。 

oocyte 

1361 

リンパ球 

主としてリンパ節,ひ(脾)臓,胃腸のリンパろ(濾)胞,へん

(扁)桃,その他のリンパ組織で作られ,免疫機能をつかさどる

白血球の1種。 

lymphocyte 

1362 

リンパ球混合反応(培
養) 

遺伝的に異なる個体のリンパ球を混合培養するとリンパ球が幼

若化しDNA合成が促進される反応。 

mixed lymphocyte reaction 

(culture) 

background image

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1363 

リンパ芽球 

リンパ球系幼若細胞で,未熟なリンパ球。 

lymphoblast 

1364 

リンパしゅ(腫) 

リンパ球又はマクロファージ由来のリンパ組織の悪性しゅよう

(腫瘍)。 

lymphoma 

1365 

ロイコトリエン 

エイコサポリエン酸のうちC-5に酸素をもち,3個の共役2重結

合をもつという構造的特徴をもった1群の生理活性物質。 

leukotoriene 

(1.4) 植物細胞 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1401 

一者培養, 

アゼニック培養 

目的とする1生物種だけの純粋培養。 

axenic culture 

1402 

アブシジン酸 

植物の生長抑制作用,休眠促進作用などを示す植物ホルモン。

(分子式C15H28O4の化合物) 

abscisic acid 

1403 

アラビドプシス 

アブラナ科に属するゲノムサイズの小さい越年性植物。シロイヌ

ナズナ。 

Arabidopsis 

1404 

誘導因子, 

エリシター 

病原菌に感染した植物組織が特異的に合成する抗菌性化合物で

あるファイトアレキシンの合成を誘導する物質。 

elicitor 

1405 

カリオプラスト 

生細胞から分離された薄い細胞質層と細胞膜とで包まれた核。核

体。 

karyoplast 

1406 

カリクローン 

植物組織から誘導させたカルスによって再生させた植物体。 

calliclone 

1407 

クローン植物 

植物体の組織又は体細胞を培養し,増殖させて再生した植物。 

clone plant 

1408 

茎葉再分化 

植物の培養細胞を適切な条件下で培養することによって茎葉器

官の再分化を行うこと。 

bud redifferentiation 

1409 

根粒, 

[根がん(癌)] 

マメ科植物と根粒菌との共生によって根に形成されるコブ状の

組織。 

root nodule 

1410 

ジベレリン 

ent-ジベレランを基本骨格としてもち,植物の茎や葉しょう(鞘)

の伸長促進作用などを示す植物ホルモン。 

gibberellin 

1411 

植物ウイルス病 

植物を宿主とするウイルスの感染によって引き起こされる植物

の病気。 

plant viral disease 

1412 

柱頭・花柱培養 

発達途中の花らい(蕾)の中から幼い雌しべの全部又は一部を切

り出して,試験管内 (in vitro) で培養し,柱頭様・花柱様器官を

発生・増殖させる方法,及びそれら新生器官を成・成熟させる方

法。 

stigma and style culture 

1413 

ノパリン 

非たん白態アミノ酸で,アグロバクテリウム属菌が植物に感染す

ることによって誘起されるしゅよう(腫瘍)細胞で特異的に合成

されるオパイン。 

nopaline 

1414 

鉢上げ 

人工条件下で培養した幼植物体を,土壌又はこれに替わる培養土

に移植し,活着させること。 

naturalization 

1415 

不定はい(胚) 

受精卵以外の細胞を起源とし,受精卵からのはい(胚)発生と極

めて類似した形態発生をたどる構造。 

somatic embryo 

1416 

マンノピン 

非たん白態アミノ酸で,アグロバクテリウム属菌が植物に感染す

ることによって誘起されるしゅよう(腫瘍)細胞で特異的に合成

されるオパイン。 

mannopine 

1417 

雄性不ねん(稔) 

雄性配偶子(花粉)の形成が不完全なため種子形成の不能による

ねん(稔)性の喪失。 

male sterility 

(1.5) 微生物 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1501 

アオコ 

富栄養化した湖沼に発生する浮遊性の微小な藻類。 

microcystis 

1502 

アグロバクテリウムツ
メファシエンス 

グラム陰性細菌アグロバクテリウムの1種類で,Tiプラスミドを

保持し,植物にがん(癌)状のしゅよう(腫瘍),冠えい(クラ

ウンゴール)を引き起こす植物病原細菌。 

Agrobacterium tumefaciens 

background image

10 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1503 

アグロバクテリウムリ
ゾゲネス 

グラム陰性細菌アグロバクテリウムの1種類で,Riプラスミドを

保持し,植物の毛根病を引き起こす病原細菌。 

Agrobacterium rhizogenes 

1504 

アデノウイルス 

ほ乳類を宿主とするマストアデノウイルス属,鳥類を宿主とする

アビアデノウイルス属の2属になる動物DNAウイルスの1科。 

adenovirus 

1505 

インフルエンザウイル
ス 

インフルエンザの病原体である,オルソミクソウイルス科 

(orthomyxo viridae) に属するRNAウイルス。 

influenza virus 

1506 

ウシ乳頭しゅ(腫)ウ
イルス 

ウシの皮膚又は粘液に乳頭しゅ(腫)を作る,パポバウイルス科

の小形の2本鎖DNAウイルス。 

bovine papilloma virus 

(BPV) 

1507 

オートグラファカリフ
ォルニアニュークレア 

昆虫の細胞核内に多角体を形成し,膜たん白質の発現に使うバキ

ュロウイルスの1種類。 

autographa California 

nuclear 

1508 

核多角体病ウイルス
(カイコの) 

カイコに感染し,核内で増殖して多角体(多数のウイルス粒子か

らなるたん白様結晶構造)を形成する,バキュロウイルス属の2

本鎖DNAウイルス。 

nuclear polyhedrosis virus 

silkworm (BmNPV) 

1509 

枯草菌 

グラム陽性,胞子形成性,かつ形質転換可能のバチルス属細菌。  Bacillus subtilis 

1510 

カリフラワーモザイク
ウイルス 

カリフラワーなどアブラナ科を主な宿主とする植物病原性ウイ

ルスで,遺伝子情報物質として1部1本鎖のギャップ構造をもつ

環状2本鎖DNAウイルス。 

califlower mosaic virus 

1511 

がん(癌)ウイルス 

動物細胞に感染ししゅよう(腫瘍)を発生させるウイルス。 

tumor virus 

1512 

きょう(莢)膜 

多くの細菌類がもつ細胞膜の外側の粘性をもつ膜。 

capsules 

1513 

原核細胞 

クロモゾームDNAが核膜によって包まれていない細胞。 

prokaryotic cell 

1514 

光合成細菌 

光をエネルギー源として利用する細菌。狭義にはらん(藍)色細

菌やハロバクテリアを除く真正細菌,古細菌など。 

photosynthetic bacteria 

1515 

紅色細菌 

光合成細菌のうち,紫色や紅色の種を多く含む系統的に1群をな

す細菌。広義には,それらと系統的に1群をなす非光合成細菌を

含む細菌。 

purple bacteria 

1516 

古細菌 

生物界をリボソーム塩基配列の相同性で系統的に3群に大別した

ときに真核生物,真正細菌以外の1群をなす細菌。 

archaebacteria 

1517 

コリシンE1 

大腸菌由来のある種のプラスミドが生産する熱ショックたん白

質性の抗菌性物質。 

colicin E1 

1518 

潜伏感染 

ウイルスなどの病原菌の侵入,すなわち感染があっても,それが

細胞内組織などに潜伏して病原作用を示さないままで長く生存

している状態。 

latent infection 

1519 

センダイウイルス 

パラミクソウイルス科のパラインフルエンザウイルスの1種類で

1本鎖RNAを遺伝子にもつ直径100〜200nmのウイルス。(血球

凝集性ウイルス) 

Sendai virus 

1520 

単純ヘルペスウイルス 

ヘルペスウイルス科の代表的な1群の正20面体キャプシドをも

つDNAウイルス。1型と2型の2亜群に分類される。 

herpes simplex virus 

1521 

DNAしゅよう(腫瘍)

ウイルス 

動物に接種するとしゅよう(腫瘍)を誘発したり,培養細胞を形

質転換させる能力をもつDNAウイルス,しゅよう(腫瘍)ウイ

ルス。 

DNA tumor virus 

1522 

ビィフィズスファクタ
ー 

ヒト腸管内に生息する通称,ビィフィズス菌の生育促進因子。 

bifidus factor 

1523 

ビリオン 

細胞外にあるウイルス粒子。 

virion 

1524 

プリオン 

中枢神経系に感染を起こす疎水性のたん白質様物質で,非定型ウ

イルス群としてまとめられていた因子のうちでたん白質性の粒

子。 

prion 

1525 

分解系プラスミド 

物質分解(代謝)遺伝子(群)を保有するプラスミド。 

degradative plasmid 

1526 

放線菌, 

アクチノミセテス 

菌糸状の形態をとり得る細菌。 

Actinomycetes 

background image

11 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1527 

ポリオーマウイルス 

動物DNAウイルスのうちパポーバウイルス科に属する1群のウ

イルス。 

Polyoma virus 

1528 

マイコプラズマ, 

(PPLO) 

125〜250nmの大きさで,細胞壁がなく,3層からなる細胞膜で覆

われている完全合成培地で増殖できる最小の微生物。 

mycoplasma 

1529 

λファージ, 

ラムダファージ 

大腸菌K12株から分離されたオタマジャクシ状の,DNA分子量

3千万の溶原性ファージ。 

λ phage 

1530 

らん(藍)色細菌 

酸素発生型光合成を行う細菌。狭義には,そのうちフィコビリン

系の光捕集色素をもつ細菌。(真正細菌) 

cyanobacteria 

1531 

緑色細菌 

光合成細菌のうち,光捕集小器官としてクロロソームを含む細

菌。(光合成細菌,真正細菌) 

green bacteria 

1532 

レトロウイルス 

RNAウイルスのうち,プラス(センス)1本鎖RNAをもち逆転

写酵素活性を示し,成熟ウイルス放出が細胞膜から出芽性に行わ

れる1群のウイルス。 

retrovirus 

1533 

ワクシニアウイルス 

とう(痘)そうに対する生ワクチンとして用いられるポックスウ

イルス科のウイルス。 

vaccinia virus 

(1.6) 操作,手法及び技術 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1601 

遺伝子直接導入 

遺伝子をベクターなどによらず直接細胞内へ導入する技術。 

direct gene transfer 

1602 

遺伝子導入 

細胞にその細胞以外の遺伝子 (DNA) を導入する技術。 

gene introduction, 

gene transfer 

1603 

遺伝手術 

細胞毒を組織特異的に発現させて,細胞毒発現細胞だけを動物個

体から除去する方法。 

genetic ablation, 

toxigenics 

1604 

イムノブロッティング

法 

膜に試料を移し取り,抗原抗体反応によって目的物質の検出を行

う方法。 

immunoblotting 

1605 

エイムス試験 

ヒスチジンの生合成系に欠損のあるサルモネラ菌変異株が,ヒス

チジン非要求性となる復帰突然変異を利用した高感度変異原性

試験法。 

備考  がん(癌)原性物質の短期検索法。 

Ames test 

1606 

S1マッピング法 

S1ヌクレアーゼを用いて,遺伝子の特定機能部位の位置又は長さ

を決定する方法。 

S1 mapping method 

1607 

エチレン 

分子式C2H4の揮発性の炭水化物で,植物の果実の熟成促進作用

などを示す植物ホルモン。 

ethylene 

1608 

M(えむ)13改変ベク

ター 

組換えDNAを1本鎖として回収するためにM13ファージを基に

して作製された運搬体DNA(ベクター)。 

M13-based vector 

1609 

エリトリエーターシス

テム 

遠心機の連続ローターを改造し,溶媒の流れを遠心力との組合せ

によって細胞を大きさ・密度の違いで分離する方法。 

elutoriator system 

1610 

塩基アナログイムノス

テイン法 

核酸塩基アナログに対する抗体を用いた免疫染色法。 

base analogue 

immunostaining 

1611 

核移植 

ある細胞の核を他の細胞に移植する操作。 

備考  特に発生・分化での核と細胞質の機能を調べる上で有

効な手段。 

nuclear transfer, 

nuclear transplantation 

1612 

ギムザ染色 

培養細胞,血液塗抹標本などに広く用いられている核を青紫に,

酸性物質を赤く染める染色方法。 

Giemsa stain 

1613 

ギムザバンディング 

ギムザ染色の変法で1染色体上のしま(縞)を分染し識別するた

めに開発された染色法。 

Giemsa banding 

1614 

CAT(きやっと)アッ

セイ法 

大腸菌のクロラムフェニコールアセチル基転移酵素 (CAT) の遺

伝子の上流に測定しようとするDNA断片を接続したプラスミド

を作り,これを用いて挿入DNA断片のエンハサー活性を測定す

る方法。 

CAT-assay 

background image

12 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1615 

クローニング[ほ(哺)

乳類動物はい(胚)の] 

親と同じ遺伝形質をもつ子孫を,同一細胞から有性生殖によらず

増やす技術。 

cloning (of mammalian 

embryos) 

1616 

ゲルシフト法 

DNAにたん白質が結合すると電気泳動による移動速度が遅くな

ることを利用して,特異的なたん白質とDNAとの結合を検出す

る方法。 

gel-shift assay, 

gel retardation assay 

1617 

酵母ベクター 

酵母に目的の遺伝子を導入し,増殖させるための運搬体DNA。 

yeast vector 

1618 

コス細胞 

CV-1細胞を複製起点欠損のSV40DNAでトランスフォームした

細胞株。 

備考  温度感受性T抗原をもつSV40をベクターとした系に

用いられる。 

COS cell 

1619 

ゴースト注入法 

赤血球ゴーストを用いて細胞にDNAや生理活性物質を微量注入

する方法。 

ghost medicated 

microinjection 

1620 

骨髄移植 

提供者 (Donor) の骨髄細胞を宿主 (Host) へ移植する技術。 

bone marrow transplantation 

1621 

コロニーハイブリダイ

ゼーション 

固体平板培地にまいた単一細胞由来のコロニーから,目的の遺伝

子を増殖しているコロニーを検出する方法。 

colony hybridization 

1622 

細胞解離法 

組織を構成する細胞間結合をほぐして,単一細胞に分離する処理

技術。 

cell dissociation method 

1623 

サザン解析 

電気泳動とハイブリダイゼーションによる特定の塩基配列をも

つDNAの検出法。 

Southern analysis 

1624 

シャロンファージ 

λファージ由来で,遺伝子中央に外来DNAを組み込めるクローニ

ングベクターとして開発された一連のファージ。 

Charon phage 

1625 

除核 

人工的に核を細胞から除去する操作。又は核の機能を選択的に不

活化する技術。 

enucleation 

1626 

ジーンターゲッティン

グ 

高等生物の細胞で,染色体上の遺伝子と外来性の相同遺伝子間の

遺伝的組換えによって,特定の位置に遺伝子を挿入する技術。 

gene targeting 

1627 

刷り込み 

動物発生の早期に植え付けられる経験の習得。 

imprinting 

1628 

セルフクローニング 

DNA供与体と分類学上同一の種に属する宿主,及び同一の種に

属する生物由来のベクターを用いてDNA断片をクローニングす

る技術。 

self cloning 

1629 

線状ファージベクター 

線状ファージの性質を利用したベクター。 

filamentous phage vector 

1630 

染色 

生物の組織全体や特定部位を色素で着色する技術。 

staining 

1631 

染色体導入法 

分裂中期の染色体を分離し他の細胞に導入する方法。 

chromosome transfer 

1632 

染色体歩行 

既に得られている,目的部位近傍のDNA断片を出発材料として,

相補鎖間の結合を利用して順次隣接するDNAを長い距離にわた

ってクローニングを進める技術。 

chromosome walking 

1633 

第1卵割阻止 

受精後の第1回目の卵割阻止。 

first supression of cleavage 

1634 

第2極体放出阻止 

減数分列の最終段階の第2極体放出の阻止。 

retention of 2nd polar body 

1635 

チミジンキナーゼ手術 

ヘルペス単純ウイルスのチミジンキナーゼを発現している増殖

中の細胞だけを,抗ウイルス性ヌクレオシド類似体投与期間中に

限って,動物個体から除去する方法。 

thymidine kinase obliteration 

1636 

着床 

ふ(孵)化したはい(胚)盤胞が子宮壁に定着する過程。 

implantation 

1637 

Ti(ていーあい)プラ

スミド 

土壌細菌である根頭がんしゅ(癌腫)病菌 (Agrobacterium 

tumefaciens) のもつ大形のプラスミドで,根頭がんしゅ(癌腫)

病菌が主として双子葉植物に感染したときに生じる植物しゅよ

う(腫瘍)(クラウンゴール)の原因となるプラスミド。 

Ti plasmid 

1638 

DNAパッケージング 

ウイルスやファージなどのDNA分子を試験管内 (in vitro) でた

ん白質の殻に詰め込んで粒子を形成させる操作。 

DNA packaging 

1639 

低コピー数プラスミド 

増殖複製の型によって決まっている細胞染色体当たりのコピー

数が少ないプラスミド。 

low copy number plasmid 

background image

13 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1640 

電気せんこう(穿孔)

法 

細胞に数千V/cmの高電圧をマイクロ秒オーダーのパルスで与え

ることによってDNAを導入する方法。(遺伝子導入法) 

electroporation 

1641 

電気的細胞融合 

細胞懸濁液に高周波及びパルス状高圧電界を印加することによ

って,細胞を融合させる技術。 

electrical cell fusion 

1642 

トランスフェクション 

DNAを直接細胞に取り込ませる技術。(遺伝子導入法) 

transfection 

1643 

トリペアレンタルメイ

ティング 

伝達性がないプラスミドを伝達機能をもつヘルパープラスミド

を用いて受容菌に接合伝達する方法。 

tri-parental mating 

1644 

ニックトランスレーシ

ョン法 

DNA鎖にDNAseで切れ目(ニック)を作り,標識ヌクレオチド

でポリメラーゼによる修復を行って,試験管内 (in vitro) で標識

する方法。 

nick translation 

1645 

はい(胚)移植(受精

卵移植) 

初期発生はい(胚)を母体から取り出し,再び他の個体の子宮や

卵管に移植すること,又は体外で受精させたはい(胚)を子宮や

卵管に戻す操作。 

embryo transfer 

(transplantation) 

1646 

はい(胚)移植 

供与体雌の体外に取り出されたほ(哺)乳類の受精卵又は初期は

い(胚)を,受容体雌の生殖器内に移植する技術。 

embryo transfer 

1647 

ハイコピープラスミド 

コピー数の多いプラスミド。 

high-copy-number plasmid 

1648 

ハイブリッド形成 

(1) 2種類の細胞を融合化させ,雑種クローンを得る技術。 

(2) 分子内の塩基間の相補性に基づいて,DNA/DNA,DNA/RNA,

RNA/RNAの2本鎖を再生する現象。 

hybridization 

1649 

ハイブリッド形成法 

DNA-DNA又はDNA-RNAハイブリダイゼーションを行い,細胞

中又は組織中で,特定遺伝子又はその転写産物をオートラジオグ

ラフィー又は類似の方法によって検出する方法。 

in situ hybridization 

1650 

バキュロウイルスベク

ター 

バキュロウイルスを基に無せきつい(脊椎)動物,特に昆虫の系

に用いることができるようにしたベクター。 

baculovirus vector 

1651 

バクテロイデスプラス

ミドベクター 

バクテロイデス (Bacteroides) 属の嫌気性菌がもっているプラス

ミドから作ったシャトルベクター。 

bacteroides plasmid vector 

1652 

ハートウイッヒ効果 

一方の配偶子に照射する線量を変化させたときにみられる生存

率の特殊な変化。 

Hertwig effect 

1653 

パールチェーン 

細胞が接着し複数個つながった状態。 

pearl chain 

1654 

パンニング法 

不溶性物質に抗体を結合し,これに対する結合性の違いによって

細胞を選別する方法。 

panning method 

1655 

ビオチン標識プローブ 

組換えDNA実験で,目的遺伝子をアビジン−ビオチンの結合力

で検出するために用いるビオチンで標識したDNA断片。 

biotin-labelled probe 

1656 

pBR322 

2種類の薬剤耐性遺伝子をもち,クロラムフェニコールによって

増幅可能となる非伝達性プラスミドベクター。 

pBR322 

1657 

pUCプラスミド 

薬剤耐性遺伝子のほかにマルチクローニング部位とlacZα遺伝子

(ラックジーン)をもつ一連のプラスミドベクター。 

pUC plasmid 

1658 

標識化技術 

分子を構成する原子(群)を,特定の目印となる原子(群)で置

き換え又は付加することによって物理化学的にこの分子を検出

できるようにする技術。 

labeling 

1659 

微量注入法 

(1) 微小ガラス管を用いて細胞にDNAや生理活性物質を微量注

入する方法。 

(2) 細胞に微量注入を行う方法全般。 

microinjection 

1660 

ファスミドベクター 

ファージDNAとプラスミドとのハイブリッドでどちらの複製様

式でも増殖可能な運搬体DNA(ベクター)。 

phasmid vector 

1661 

フィンガープリント法 

ろ(濾)紙電気泳動とろ(濾)紙クロマトグラフを組み合わせた

2次元の分析法。 

fingerprinting method 

1662 

付着末端 

ある種のファージの2本鎖DNAの末端にある相補的な関係の1

本鎖部分及びそれに類似したDNAの末端構造。 

cohesive end, 

sticky end, 

staggered end 

background image

14 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1663 

プラスミドレスキュー 

細胞DNAに組み込まれた状態の大腸菌プラスミドを導入した細

胞から分離回収する技術。 

plasmid rescue 

1664 

プリッキング 

微細ガラス針を用いた細胞(又は核)への微量注入法。 

pricking 

1665 

フルオログラフィー 

蛍光体を共存させて,低温下でX線フィルムを露出することによ

って,放射能標識物質の検出感度を上げる技術。 

fluorograpby 

1666 

ブルースクリプトベク

ター 

プラスミドと1本鎖DNAファージの性質を併せもち,ガラクト

シダーゼ遺伝子の中に外来DNAを組み込める多機能ベクター。 

bluescript vector 

1667 

プロトクローン 

プロトプラストに由来する単細胞クローン。 

protoclone 

1668 

プロトプラスト融合法 

プラスミドを含む大腸菌のプロトプラストを,細胞と融合させる

ことによって,プラスミドを細胞に融合する方法,又はプロトプ

ラスト化した二つ以上の細胞を融合化させる方法。 

protoplast fusion 

1669 

分染法 

染色体の塩基対若しくは構造の違い又は染色分体の違いを識別

するための染色法。 

differential staining 

 technique 

1670 

ポリエチレングリコー

ル 

細胞融合を促進する作用をもつエチレングリコールの重合体。 

備考  化学構造H(OCH2・CH2)nOH(n≧4) 重合度によって分

子量200〜9 000の多種が調製されている。低分子の

ものは常温で粘性のある液体,高分子のものは白い固

体。水や有機溶媒に溶けて粘度の高い無色の溶液とな

る。 

polyethylene glycol 

1671 

マイクロプロパゲーシ

ョン 

植物を栄養繁殖する組織培養法。 

micropropagation 

1672 

マキシセル 

紫外線照射によって染色体DNAだけが崩壊し,プラスミドDNA

だけが完全な形で残った大腸菌細胞。 

maxi cell 

1673 

マクサム−ギルバート

法 

塩基特異的化学修飾によって核酸の塩基配列を決定する方法。 

Maxam-Gilbert method 

1674 

膜の一時破壊 

細胞膜の内側と外側の間に0.3〜3Vの電力が印加されると膜が一

時的に乱される,この膜の乱れた状態。 

temporary menbrene 

breakdown 

1675 

マッピング 

特定遺伝子の遺伝子地図上の位置を決定する手法。 

mapping 

1676 

ミニセル 

細胞分裂変異によって染色体DNAをもたなくなった小細胞。 

mini cell 

1677 

免疫手術 

抗体を用い,この抗体と反応する抗原を表層にもつ細胞だけを動

物固体から除去する方法。 

immunosurgery 

1678 

戻し交雑 

交雑によって生じた雑種 (F1) とその両親,又は両親と同じ遺伝

子型をもつ個体との交配。 

backcross 

1679 

ラジオイムノアッセイ 

放射性同位元素で標識された抗原又は抗体を用いて生体の微量

成分を測定する方法。 

radioimmunoassay 

1680 

ラナウェイ プラスミ

ド 

コピー数制御が温度感受性であるため,非許容温度域でのコピー

数が増大するようなプラスミド。 

runaway plasmid 

1681 

ラムダgt11, 

λgt11(らむだじーてぃ

−いれぶん) 

λファージ由来で大腸菌のガラクトシダーゼ遺伝子中に外来遺伝

子を組み込み,それを発現させることのできるλgtファージ類の

クローニング用発現ベクター。 

λgt11 

1682 

ラムダgt10, 

λgt10(らむだじーてぃ

ーてん) 

λファージのC1レプレッサー中に外来DNAを組み込むことがで

きるクローニングベクターで,434ファージ部分をもつλgtファー

ジ。 

λgt10 

1683 

ラムダZAP, 

λZAP(らむだずぃーえ

ーぴー) 

λファージ由来で,f1ファージの複製開始及び停止領域を含み,

プラスミドベクターのサブクローニングが容易に行えるクロー

ニングベクター。 

λZAP 

1684 

リーフディスク法 

アグロバクテリウム (Agrobacterium) を用いて植物形質転換体を

得る場合の植物体へのアグロバクテリウム (Agrobacterium) の接

種法。 

leaf desk method 

background image

15 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

1685 

りん酸カルシウム法 

DNAとりん酸カルシウムの共沈澱を用いてDNAを細胞に取り込

ませる方法(遺伝子導入法)。 

transfection using DNA- Ca 

phosphate coprecipitation 

1686 

レックアッセイ 

DNA組換え修復欠損株 (rec-) と野生株の成育の差から,DNAに

損傷を誘発する化学物質を検出する方法。 

rec-assey 

(2) たん白質工学 

(2.1) 基礎事項 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2101 

アミノ酸組成 

たん白質やペプチドに含まれるアミノ酸残基の組成比。 

amino acid composition 

2102 

アミノ酸置換 

複数の相同たん白質の対応する部位でのアミノ酸残基が変異を

示す現象,又は異変をさせる技術。 

amino acid substitution 

2103 

アンチコドン 

tRNA中に存在し,mRNAのコドンと相補的な3個の塩基の組。 

anticodon 

2104 

イソ酵素, 

アイソザイム 

同一個体中にあり,特定の同一反応を触媒するが,化学的な構造

を異にする酵素群。 

isozyme 

2105 

イソタイプ, 

アイソタイプ 

免疫グロブリンの各クラス又はサブクラスに固有の抗原構造。 

isotype 

2106 

1文字表記(アミノ酸

の) 

天然のα−L−アミノ酸(残基)をアルファベットの1文字で表す

表記法。 

single character code (of 

amino acid) 

2107 

イノシトールりん脂質 

イノシトールりん酸とジグリセリドからなるりん脂質。 

phosphatidyl inositol 

2108 

細胞器官, 

オルガネラ 

真核細胞の内部にあって特定の機能をもつ小器官。 

organelle 

2109 

開始コドン 

たん白質合成の開始を指定するmRNA上のコドン。 

initiation codon 

2110 

界面活性剤 

界面に集合してその性質を変化させ消泡,可溶化,洗浄などを可

能にする物質。 

detergent, 

surfactant 

2111 

架橋結合 

鎖状分子の特定の原子間に形成される化学結合。 

cross-linking 

2112 

核膜 

真核細胞の核と細胞質を隔てる2重構造膜。 

nuclear membrane, 

nuclear envelope 

2113 

活性酸素 

通常の酸素分子よりも著しく反応性に富む酸素原子を含む化学

種。 

active oxygen 

2114 

きっ(拮)抗阻害剤 

酵素の活性部位に基質と競合して結合し,酵素本来の触媒反応速

度を低下させる物質。 

competitive inhibitor 

2115 

起プロトン力 

プロトン輸送を駆動する電気化学ポテンシャル。 

proton motive force 

2116 

凝集(たん白質の) 

多数のたん白質分子が変性した状態で会合する現象。 

aggregation 

2117 

形質転換 

(1) 菌体から単離したDNAが他の細胞に取り込まれ,細胞染色

体と組換えを起こす現象。 

(2) 動物細胞へのがん遺伝子などの導入によって誘起される表

現形質の変化。 

transformation 

2118 

抗体工学 

免疫原をデザインして抗体を作製する,又は抗体分子を改変して

より有用な機能を付与する工学。 

antibody engineering 

2119 

好熱性生物 

55℃以上の高温環境下で成育する生物。 

thermophile 

2120 

コドン 

たん白質のアミノ酸残基又は翻訳終了に対応する遺伝暗号とな

る3塩基連鎖。 

codon 

2121 

ゴースト 

(1) DNA又はRNAを除いた,たん白質部分からなる,バクテリ

オファージ又はウィルス。 

(2) 溶血後の赤血球。 

ghost 

2122 

細胞外酵素 

細胞外に分泌される酵素。 

extracellular enzyme 

2123 

細胞膜 

細胞質と直接接触し,外界と細胞の内部とを隔てる生体膜。 

cell membrane 

2124 

サルコメア, 

筋節 

横紋筋の筋原繊維を形成する単位構造。 

sarcomere 

2125 

酸化還元酵素 

生体物質の酸化還元反応を触媒する酵素。 

oxidoreductase 

background image

16 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2126 

3文字表記(アミノ酸

の) 

天然のα−L−アミノ酸(残基)をアルファベットの3文字で表す

表記法。 

three letter code (of amino 

acid) 

2127 

終止コドン 

たん白質合成の終結を指定するmRNAのコドン。 

termination codon 

2128 

触媒反応 

反応終了後に反応前と同じ状態で存在し得る物質(触媒)を,化

学量論量以下の極微量添加して反応速度を高度に加速して行う

化学反応。 

catalysis 

2129 

自己集合 

構成要素が自律的に集合して,機能をもつ高次の構造体を形成す

る現象。 

self assembly 

2130 

自己組織化 

無秩序な状態にある系が,外的条件の変化に応じて自発的に起こ

す秩序形成過程。 

self organization 

2131 

受容体, 

レセプター 

刺激物質又は物理的な刺激を識別して,細胞の応答を誘起するた

ん白質。 

receptor 

2132 

生体工学 

生体機能を解明し,それに基づいて生体機能を利用したり,生体

機能を超える機能をもつ模倣・代替系を構成する工学。 

bioengineering 

2133 

生物活性 

化学物質が作用する生物体に誘起する物質又は量的変化。 

biological activity 

2134 

生分解性高分子 

自然環境の下で微生物や酵素の働きによって分解される。 

biodegradable polymer 

2135 

セントラルドグマ 

DNA, RNA,たん白質の順に遺伝情報が伝えられるという基本概

念。 

central dogma 

2136 

耐熱酵素 

熱に対して抵抗性をもつ酵素。狭義には好熱菌の酵素。 

heat-stable enzyme,  

thermostable enzyme 

2137 

中性プロテアーゼ 

中性付近に最適pHをもつプロテアーゼ。 

neutral protease 

2138 

転移RNA, 

tRNA 

エステル結合によってアミノ酸をリボソームに輸送するRNA。 

transfer RNA 

2139 

糖鎖 

脂質やたん白質と結合し,種々の生理機能に関与する鎖状の糖。  sugar chain 

2140 

糖脂質 

糖鎖を結合している脂質。 

glycolipid 

2141 

突然変異 

分離 (segregation) や組換えによらない遺伝形質の変化。 

mutation 

2142 

トランスロケーション 

細胞運動を担う運動性たん白質による物質の移動。 

translocation 

2143 

ヌクレオソーム 

真核細胞の染色質(クロマチン)を構成する核たん白質構造体。 

nucleosome 

2144 

比活性 

単位質量当たりの酵素活性。 

specific activity 

2145 

光呼吸 

植物細胞が光照射時に行う呼吸作用。 

photorespiration 

2146 

バイオミメティックス 

生体の機能を模倣・代替する系を作る工学。 

biomimetics 

2147 

不きっ(拮)抗阻害剤 

酵素−基質複合体に結合して酵素−基質−阻害剤複合体を形成

し,本来の触媒反応速度を低下させる物質。 

uncompetitive inhibitor 

2148 

分子進化 

多種多様な生物を構成する生体(高)分子の存在形態や様式の長

期間にわたる時間的変遷。 

molecular evolution 

2149 

プロテインキナーゼ, 

たん白質りん酸化酵素 

ATPのγ−りん酸を,たん白質の水酸基に転移し,りん酸化たん

白質を生成する酵素。 

protein kinase 

2150 

補因子 

酵素活性を増強する補助的な(天然の)因子。 

cofactor 

2151 

膨潤 

高分子固体が液体を吸収して体積を増加する現象。 

swelling 

2152 

膜間電圧 

電界によって細胞膜の内側と外側の間に誘起される電位差。 

transmembrane potential 

2153 

膜輸送 

生体膜を通して,本来脂質2重層を透過しにくい物質が運ばれる

現象。 

membrane transport 

2154 

膜流動性 

生体膜の極性脂質が示す動的構造。 

membrane fluidity 

2155 

野性型 

野性(自然)集団中で最も高頻度で存在する特定の生物の型,系

統又は遺伝子。 

wild type 

2156 

誘導酵素 

細胞に特定の誘導物質を加えるとその合成速度が増加する酵素。 

inducible enzyme 

2157 

リガンド 

(1) 金属錯体中の中心にある金属原子又はイオンに配位する原

子,分子若しくはイオン。 

(2) たん白質と特異的に結合する物質。 

ligand 

background image

17 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2158 

リボソーム 

極性脂質が2分子膜構造を形成している人工膜小胞。 

liposome 

2159 

ワクチン工学, 

エピトープ工学 

抗原分子の構造を解析し,遺伝子工学的手法などを用いてワクチ

ンをデザインし生産する工学。 

epitope engineering 

(2.2) たん白質の合成,修飾及び分解 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2201 

RNAポリメラーゼ 

DNAを鋳型としてRNAを合成する酵素。 

RNA polymerase 

2202 

アテニュエーター 

オペロン内部の転写終結部位。 

attenuator 

2203 

アニーリング 

2本鎖のDNAを解離させた後,再び元のように相補鎖を会合さ

せる徐冷再構成操作。 

annealing 

2204 

アミノアシルtRNA合

成酵素 

ATPとアミノ酸からアミノアシルアデニル酸を生成し,更にこれ

をtRNAに転移結合する酵素。 

aminoacyl tRNA synthetase 

2205 

亜りん酸アミダイト法 

一方のヌクレオチドの亜りん酸アミダイト基にエステル型の保

護基を1個導入し,これを他方のヌクレオチドの糖水酸基と結合

する合成方法。 

phosphoamidite method 

2206 

亜りん酸トリエステル
法 

ヌクレオチド間結合を生成する方法の1種類で,一方のヌクレオ

チドの亜りん酸基にエステル型の保護基を1個導入し,これを他

方のヌクレオチドの糖水酸基と結合する方法。 

phosphite triester method 

2207 

αファクター前駆体 

酵母の性フェロモンペプチドの前駆体。 

α-factor precursor 

2208 

アンチセンスRNA 

メッセンジャーRNAと相補的な塩基配列をもつRNA。 

antisense RNA 

2209 

アンバーサプレッサー
変異 

遺伝的変異によって生じた終始コドンの一つ,UAGをあるアミ

ノ酸として読み取り,たん白質の合成を回復する変異。 

amber suppressor mutation 

2210 

遺伝子銀行 

有用生物,その組換え体などの遺伝子を収集,保存又は品質管理

し,必要に応じて研究者へ配布する機関。 

gene bank 

2211 

遺伝子重複 

染色体上に遺伝子群又はある遺伝子が複数存在する現象。 

gene duplication 

2212 

遺伝子増幅 

生物の生活環境又は細胞の環境変化などによって,ある特定の遺

伝子が増幅する現象。 

gene amplification 

2213 

遺伝子導入ベクター 

細胞内へ遺伝子を導入するベクター(プラスミドベクター,ウィ

ルスベクター)。 

gene-transferring vector, 

vector forgene transfer 

2214 

HUたん白質 

微生物の核様体を構成する主要なたん白質。 

HU protein 

2215 

APエンドヌクレアー

ゼ 

DNAの塩基が欠落したとき,その部位を識別して近傍の1本鎖

を切断する酵素。 

AP-endonuclease 

2216 

エキソンシャフリング 

遺伝子においてエキソン単位で組換えが起きる現象。 

exon shaffling 

2217 

SD配列

(Shine-Dalgarno配

列) 

原核生物のmRNAの開始コドンの上流に共通して存在するプリ

ンに富む領域。 

Shine-Dalgarno sequence 

2218 

Sp1転写因子 

GCに富む塩基配列に結合して転写開始を促進するたん白質因

子。 

Sp1 transcription factor 

2219 

M(えむ)13ファージ

ベクター 

1本鎖DNAファージの1種類,M13ファージのDNAを用いるベ

クター。 

M13 phage vector 

2220 

塩基置換 

遺伝子を構成する核酸塩基の置換え。 

base substitution 

2221 

オーバーラップ遺伝

子, 

重複遺伝子 

部分的に複数の読取枠をもつ遺伝子。 

overlapping gene 

2222 

カセット変異導入法 

変異DNAを2本鎖とも合成して一組のベクターを作製し,遺伝

子DNAの特定部位にこれらを組み込み,意図する複数の変異を

導入する方法。 

cassette mutation 

2223 

可動因子 

染色体上で他の部位へ移動できるDNA単位(トランスポゾン)。  movable element 

2224 

逆転写酵素 

RNAを鋳型としてDNAに転写する酵素。 

reverse transcriptase 

2225 

組込み型ベクター 

宿主細胞の染色体に組み込まれた状態で保持されるベクター。 

integration vector 

background image

18 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2226 

クレノウ酵素, 

Klenowフラグメント 

DNAポリメラーゼ1の限定分解で生じるDNAポリメラーゼとエ

キソヌクレアーゼ活性をもつ断片。 

Klenow fragment 

2227 

コスミドベクター 

λ−ファージのcos領域近傍のDNA配列をプラスミドに組み込

み,ファージとプラスミドの両者の性質をもたせたベクター。 

cosmid vector 

2228 

コドン使用頻度 

構造遺伝子における各コドンの出現頻度。 

codon usage 

2229 

コドンバイアス 

構造遺伝子における各コドン出現比と各種転移RNAの存在比と

の相違。 

codon bias 

2230 

コンセンサス配列, 

共通配列 

プロモーター領域に共通してみられる特徴的な塩基配列。 

consensus sequence 

2231 

シグナル塩基配列 

分泌たん白質のシグナルペプチドに対応する塩基配列。 

signal sequence 

2232 

シグナルペプチド 

分泌たん白質の細胞膜透過に必要な,アミノ酸残基15-30からな

り,N端末に結合しているペプチド。 

signal peptide 

2233 

シャトルベクター 

2種類以上の宿主内で増殖可能なベクター。 

shuttle vector 

2234 

ショットガンクローニ
ング 

染色体DNAをランダムに切断して得た多数のDNA断片をベクタ

ーに連結し,宿主に導入して適合するDNA断片をクローン化す

る技術。 

shot gun cloning 

2235 

ジデオキシ法 

DNAポリメラーゼ活性をもつ酵素とジデオキシヌクレオチドを

用いて塩基配列を解析する技術。 

dideoxy chain termination 

method 

2236 

セレノシステイン 

硫黄原子がセレンに置換したシステイン。 

selenocysteine 

2237 

センチモルガン 

染色体地図における距離の単位。モルガンの100

1。 

centi-morgan 

2238 

相補性 

(1) 2本鎖を構成するDNAにおいて互いに塩基対を形成し得る

相互関係。 

(2) 接触する複数の分子表面の部分的な形状が互いに凸凹状態

で適合する性質。 

(3) 接触する複数の分子の表面電荷が,形状の相補性と同時に,

正負互いに対を成して分布する性質。 

complementarity 

2239 

多コピー型ベクター 

宿主細胞中で複製し,多数個存在できる型のベクター。 

multicopy vector 

2240 

DNA結合たん白質 

DNAに親和性をもち特異的又は非特異的に結合するたん白質。 

DNA binding protein 

2241 

DNA多型 

同一種内の正常な個体間に存在するDNAの塩基配列の多様性。 

DNA polymorphism 

2242 

DNAプローブ 

DNA又はRNAの特定の配列に相補的に結合する,ラジオアイソ

トープ又は蛍光物質によって標識した,DNA。 

DNA probe 

2243 

DNAヘリカーゼ 

DNA2重らせん構造を巻き戻す酵素。 

DNA helicase 

2244 

DNAポリメラーゼ 

鋳型DNAの塩基配列に相補的なDNA鎖の重合を触媒する酵素。  DNA polymerase 

2245 

ディノーボ (denovo) 

合成(たん白質の) 

既存のたん白質の改変ではなく,全く新しく設計し,合成して意

図する機能を発揮させるたん白質工学の技術。 

de novo synthesis (of 

protein) 

2246 

トポイソメラーゼ 

2本鎖DNAのらせんの巻数を変える酵素。 

topoisomerase 

2247 

トリプティックペプチ
ド 

たん白質又はペプチドがトリプシンによって消化されて生じる

ペプチド。 

tryptic peptide 

2248 

2本鎖RNA 

2重らせん構造をもったRNA分子。 

double-stranded RNA, 

double helical RNA 

2249 

熱変性(核酸の) 

DNA又はRNAの加熱による2本鎖の解離など物理化学的諸性質

の変化。 

thermal denaturation of DNA 

(of nucleic acid) 

2250 

発現ベクター 

遺伝子組換え技術において,クローン化された遺伝子の形質発現

を行わせる目的で用いられるベクター。 

expression vector 

2251 

反復配列 

半数染色体の一組(ゲノム)中に,数十回から数百万回,繰返し

現れる塩基配列。 

repeated sequence 

2252 

ファージベクター 

ファージに由来し,ファージの性質をもつクローニングベクタ

ー。 

phage vector 

2253 

封入体 

菌体内で外来たん白質を大量に発現させた場合に時々生じる,た

ん白質の不溶性の塊。 

inclusion body 

background image

19 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2254 

フットプリント法 

DNA結合たん白質が特異的に結合する部位の塩基配列をDNAア

ーゼで決定する方法。 

footprinting method 

2255 

フレームシフト変異 

塩基の付加又は除去によって,DNA配列のトリプレットコドン

の読取枠が変化して生じる変異。 

frame shift mutation 

2256 

ペリプラズム 

グラム陰性菌の細胞内膜とその外側にあるペプチドグリカン層

との中間部。 

periplasm 

2257 

翻訳, 

トランスレーション 

mRNAの情報を基にりボソーム上でたん白質の生合成が行われ

る過程。 

translation 

2258 

翻訳効率 

mRNAが翻訳され,たん白質分子鎖が合成される効率。 

translation rate 

2259 

翻訳後修飾 

生合成された後,たん白質が最終的に機能を発現する前に受ける

種々の化学的構造の変更。 

post-translational 

modification 

2260 

ポリメラーゼ連鎖反

応, 

PCR 

酵素による試験管内DNA合成と2本鎖DNAの加熱による解離の

繰返しによって,プライマーDNAによってDNA上に指定した塩

基配列を増幅する技術。 

polymerase chain reaction, 

PCR 

2261 

マルチプライム法 

1本鎖DNA断片にオリゴヌクレオチドをハイブリッド形成させ,

これをプライマーとして標識ヌクレオチドを取り込ませ標識

DNA鎖を作る方法。 

multi prime method 

2262 

モルガン 

減数分裂1回当たり平均1回の交さ(叉)を起こす染色体上の距

離の単位。 

morgan 

2263 

葉緑体DNA 

葉緑体に存在する2重鎖の環状DNA。 

chloroplast DNA 

2264 

λレプレッサー 

λ−ファージが溶原状態で生産する負の調節たん白質。 

λ-repressor 

2265 

リバースジェネティク

ス 

たん白質を高度に精製してアミノ酸配列を決定し,その塩基配列

を化学合成してたん白質をコードする遺伝子をクローン化する

手法。 

reverse genetics 

2266 

リボヌクレアーゼ, 

RNアーゼ 

RNAに作用してヌクレオチドを切断する酵素。 

ribonuclease, 

RNase 

2267 

リンカー 

二つのDNA断片を試験管内で結合するときに,その結合部位に

制限酵素切断部位を形成する目的でつなぎ目に挿入できる制限

酵素認識塩基配列をもつオリゴヌクレオチド。 

linker 

2268 

りん酸ジエステル法 

一方のヌクレオチドの保護されていないりん酸基と他方のヌク

レオチドの糖水酸基を結合する合成方法。 

phosphodiester method 

2269 

りん酸トリエステル法 

一方のヌクレオチドのりん酸基にエステル型の保護基を1個導入

し,これを他方のヌクレオチドの糖水酸基と結合する合成方法。 

phosphotriester method 

2270 

レックたん白質 

細菌やバクテリオファージで,DNAの相同的組換えに関与する

たん白質。 

rec protein 

background image

20 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2.3) たん白質の構造,状態及び物性 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2301 

R因子 

(1) 抗菌性物質に対する耐性を発現する遺伝子を担っているプ

ラスミド。 

(2) X線結晶構造解析における,回折強度の観測値と構造模型由

来の計算値の相対誤差。 

R factor 

2302 

アラインメント, 

整列, 

並置 

複数のたん白質のアミノ酸配列又は対応する核酸配列を,配列成

分の類似度を基に並べて比較する方法。 

alignment 

2303 

α/βたん白質 

分子中にαヘリックスとβシートが交互に連結した構造をもつた

ん白質。 

α/β protein 

2304 

EFハンド構造 

カルシウム結合たん白質に存在し,カルシウムイオン結合部位を

形成する構造モチーフ。 

EF hand motif 

2305 

位相決定 

結晶にX線を照射するとき,その回折によって失われる位相情報

を回復する操作。 

phase determination 

2306 

エピトープ 

抗原分子上に存在して,抗体が識別する最少単位の構造。 

epitope 

2307 

オリゴマー 

二つ以上数十個の構成成分からなる重合体又は会合体。 

oligomer 

2308 

折りたたみ 

細胞内又は水溶液中で,たん白質が自律的に立体構造を形成する

過程。 

folding 

2309 

温度因子 

結晶中の原子の熱振動に由来する電子密度の広がりを表す指標。  temperature factor 

2310 

界面動電現象 

液体を含む不均一系において2相の相対運動と界面の電気2重層

との関係によって起こる現象。 

electrokinetic phenomenon 

2311 

核オーバーハウザー効
果 (NOE) 

核磁気共鳴 (NMR) において,ある核を照射すると,近接する他

の核からのシグナルが核間距離に応じて変化する効果。 

nuclear Overhauser effect 

2312 

機能モチーフ 

たん白質の特定の機能に必す(須)のアミノ酸残基が示す規則的

な配列様式。 

functional motif 

2313 

結晶構造(たん白質の)  結晶試料のX線又は電子線回折像を解析して得られるたん白質

の立体構造。 

crystal structure (of protein) 

2314 

構造モチーフ 

複数の2次構造部分が折れ曲がり部分によって次々に結ばれて形

成される構造様式。 

structural motif 

2315 

構造予測 

たん白質のアミノ酸配列から,その構造又は機能に関係する情報

を解読する技術。 

prediction of structure of 

protein 

2316 

コンホメーション 

分子の3次元立体構造。 

conformation 

2317 

極低温電子線回折 

たん白質の2次元結晶試料を液体ヘリウム温度以下に冷却し,照

射によって試料の損傷を低減しながら,結晶の電子線回折像を得

て行う構造解析方法。 

cryo-electron diffraction 

2318 

最近接(媒体分子)包
絡面積 

特定の形態をもつ多原子分子の表面を,媒体分子を球状プローブ

として,包絡する面積。 

accessible surface area 

2319 

主鎖構造, 

骨格構造(たん白質の) 

アミノ酸残基のα位の炭素Cα(及びペプチド基の炭素C'と窒素

N)の原子座標に基づいて表されるペプチド鎖の立体構造。 

main chain structure, 

backbone structure 

2320 

初期構造 

原子間の距離情報に基づき立体構造を推定するとき,又はシミュ

レーションにおいて,最初に設定する構造。 

initial structure 

2321 

触媒活性部位 

酵素において基質と特異的に結合し触媒作用を発現する部位。 

active site 

2322 

ジスルフィド結合 

二つのチオール (SH) 基が,酸化されて形成する化学結合。 

disulfide bond 

2323 

ジスルフィド結合安定
性 

ジスルフィド結合に基づくたん白質構造の安定性。 

disulfide bond stability 

2324 

重原子同型置換法 

結晶中の分子に,その結晶構造を変化させずに,重原子を結合さ

せ,その位置を手掛かりに回折点の位相を決める結晶構造解析方

法。 

heavy atom isomorphic 

replacement 

2325 

柔構造 

たん白質や核酸分子が動的に変化し得る立体構造。 

dynamic structure 

background image

21 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2326 

受容体結合部位 

情報伝達物質とその特異的レセプターとが選択的に結合する分

子表面領域。 

receptor binding site 

2327 

水素結合 

水素原子より電気陰性度が高い2種類の原子XとYが,中間に

水素原子を介して形成する結合。 

bydrogen bonding 

2328 

スーパーファミリー 

構造類似性をもつ多数のたん白質の1群。 

superfamily 

2329 

スピノーダル分解 

熱力学的不安定状態で起こる相分離現象。 

spinodal decomposition 

2330 

Znフィンガー構造 

DNA結合たん白質に存在して,二つのシステインと二つのヒス

チジン又は四つのシステインが亜鉛原子に配位する構造モチー

フ。 

Zn finger motif 

2331 

静電的相互作用 

電荷間に両者の距離に反比例し,同符号電荷間では斥力,異符号

電荷間では引力として働く作用。 

electrostatic interaction 

2332 

セグメント 

高分子鎖に沿ってある長さをもち,ミクロブラウン運動の運動単

位となる部分。 

segment 

2333 

相同性 

ホモロジー, 

比較する複数の生物,細胞,生体高分子(DNA,RNAたん白質)

などが,共通する祖先に由来してもつと推定される特徴。 

homology 

2334 

相同たん白質 

1次構造に相同性が認められる,たん白質群。 

homologous protein 

2335 

相補性決定領域, 

CDR 

リガンドと形状及び電荷分布に相補性をもつたん白質分子の表

面領域。 

complementarity determining 

region, 

CDR 

2336 

疎水結合 

疎水性分子又は疎水性基の間で,立体的に可能な範囲で水との接

触が少なくなる配置をとる結合。 

hydrophobic bonding 

2337 

疎水性 

水分子と親和性が少ない非極性基が,水溶液中で集合する性質。  hydrophobicity 

2338 

疎水性ポケット 

たん白質表面にある非極性アミノ酸残基によって形成され,基質

などが結合するくぼみ。 

hydrophobic pocket 

2339 

体系的帰属法 

NMRシグナルが帰属する残基の種類を同定し,1次構造と比較し

ながら連続する核間距離の情報を系統的に抽出する方法。 

systematic asignment 

2340 

耐熱性決定部位 

たん白質の耐熱性発現に必す(須)の領域。 

thermophillic determinant 

2341 

耐熱性付与 

たん白質の耐熱性決定部位を改変して熱安定性を向上する技術。 

thermal stabilization 

2342 

超可変領域 

免疫グロブリンの可変領域のうちでアミノ酸置換が特に多い領

域。 

hypervariable region 

2343 

超2次構造(たん白質

の) 

たん白質における2次構造の会合体。 

super secondary structure (of 

protein) 

2344 

Chou-fasman法 

P. Y. ChouとG. D. Fasmanによる,たん白質の1次構造から2次構

造を予測する経験的な方法。 

Chou-Fasman method 

2345 

低温変性 

常温で安定なたん白質が,0℃付近の温度範囲で変性する特性。 

cold denaturation, 

cold sensitive 

2346 

ディスタンスジオメト
リー法 

各構成単位(原子,粒子)の相対距離が構成単位の構造座標を起

こす数学的手法。 

distance geometry 

2347 

特性値(アミノ酸残基
の) 

たん白質を構成する個々のアミノ酸残基の性質を表す値。 

attributes (of amino acid 

residues) 

2348 

動的不安定性 

繊維状たん白質分子集合体の末端での分子の付加(伸長)と解離

(短縮)とがある確率で繰り返される現象。 

dynamic instability 

2349 

ドメイン 

たん白質での構造上,又は機能上の小区域又は単位。 

domain 

2350 

ドラッグデザイン 

有効な薬剤を合理的な過程に従って設計し,作り出す方法。 

drug design 

2351 

2次元NMR, 

2次元核磁気共鳴 

2次元の周波数域上に展開されるNMR分光法。 

two-dimensional NMR 

2352 

2次元結晶(たん白質

の) 

基板上に,同一のたん白質分子が一定方向に配位し,規則正しく

配列している単分子膜。 

two-dimensional crystal 

2353 

2次構造(たん白質の)  3〜20個のアミノ酸残基からなる部分鎖が,主鎖のペプチド基間

の水素結合によって形成する規則的な立体構造。 

secondary structure 

background image

22 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2354 

熱安定性(たん白質の)  環境の温度変化に対して,たん白質分子が示す抵抗性。 

thermal stability 

2355 

パラクリスタル 

繊維状分子又は繊維状超分子の短距離秩序だけをもつ会合体。秩

序をもつ会合分子集合体。 

paracrystal 

2356 

ヒンジ領域 

免疫グロブリン重鎖CH1とCH2とを結ぶ柔軟性に富む領域。 

hinge region 

2357 

不変残基 

相同たん白質のアミノ酸配列で,同じ位置に共通して存在する残

基。 

invariant residue 

2358 

フレームワーク 

たん白質の機能発現に必す(須)の構造領域を結び合わせて支え

る枠組構造。 

framework 

2359 

不連続型抗原決定基 

アミノ酸配列の上では離れている複数の残基部分からなる抗原

決定基。 

antigenic area determinant 

2360 

分子構造精密化 

電子密度分布又は散乱振幅を参照して,結晶分子中の原子座標を

精密に決定する方法。 

refinement 

2361 

分子表面積 

特定の形態をなしている分子の表面積。 

molecular surface area 

2362 

分子力学 

多原子分子の,内部回転などによる,種々の立体配座(構造)に

対応するエネルギーを,経験的なポテンシャル関数に基づいて計

算し,各構造の安定性を比較検討する方法。 

molecular mechanics 

2363 

プロテインデータバン

ク 

たん白質データのうち3次元構造の座標データを集めたデータバ

ンク。 

protein data bank, 

PDB 

2364 

プロトン間距離 

化合物における水素原子核間の距離。 

interproton distance 

2365 

ヘリカルネット 

ヘリックスを構成するアミノ酸残基の同心円筒面における位置

を平面に展開して残基相互の配置を示す図。 

helical net 

2366 

ヘリカルホイール 

ヘリックスを構成するアミノ酸残基の位置を,軸に直交する平面

上に投映し,同心円筒面における残基配置の部分的な特徴を強調

して示す図。 

helical wheel 

2367 

変異データマトリック
ス 

同族たん白質のアミノ酸配列を比較して得た,アミノ酸残基間

の,相対置換頻度を要素とするマトリックス。 

mutation data matrix 

2368 

βターン 

たん白質やポリペプチドが分子内水素結合によって形成するペ

プチド鎖の折れ曲がり部分の2次構造。 

β turn 

2369 

βバレル構造 

βシートが円柱状又はたる(樽)状をなしている構造。 

β barrel 

2370 

免疫グロブリン超分子
群 

免疫グロブリンと相同性のあるドメイン構造をもつ分子群。 

immunoglobulin superfamily 

2371 

免疫グロブリンフォー
ルド 

免疫グロブリンのドメインに存在するポリペプチド鎖の折りた

たみ構造。 

immunoglobulin fold 

2372 

溶液構造(たん白質の)  NMRなどによって決定される溶液中の立体構造。 

solution structure 

2373 

立体構造(たん白質の)  たん白質分子中の原子の空間的配置。 

protein structure 

2374 

立体障害(たん白質の)  内部回転の安定な位置を占める分子構造が,他の分子又は原子団

との衝突によって,その空間的な配置に変化を生じる現象。 

steric (volume) exclusion 

2375 

両親媒性 

分子又は2次構造が,親水性の部分と疎水性の部分を併せもって

いる性質。 

amphiphilicity 

2376 

類似度(アミノ酸残基
又は配列の) 

アミノ酸残基又は配列相互の類似性を表す指標。 

similarity (of amino acids) 

2377 

連続型抗原決定基 

アミノ酸配列が連続する複数の残基部分からなる抗原決定基。 

sequential antigenic 

determinant 

(2.4) たん白質及びその集合体の機能 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2401 

亜鉛たん白質 

亜鉛を含むたん白質。 

zinc protein 

2402 

アクチン 

筋肉のIフィラメントを構成する主要なたん白質。 

actin 

2403 

アクチン調節たん白質 

アクチンに結合してその動態を調節する運動性たん白質。 

actin modulating protein 

background image

23 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2404 

アゴニスト 

細胞表面に存在するレセプターと特異的に結合し,細胞に特定の

生理活性作用を発現させる物質。レセプター結合物質。 

agonist 

2405 

アジュバンド 

抗原とともに投与することによって,抗原に対する免疫反応を非

特異的に増強する物質。 

adjuvant 

2406 

アスパラギン酸プロテ
アーゼ 

アスパラギン酸残基のβ−カルボキシル基を活性中心とするプロ

テアーゼ。 

aspartic protease 

2407 

アデノシン三りん酸 

アデノシンのリボースの5'位の水酸基にトリポリりん酸が結合し

た構造をもち,生体エネルギーの源となるヌクレオチド。 

adenosine 5'-triphosphate 

2408 

アデノシン三りん酸加
水分解酵素 

ATPのγ位のりん酸をMg2又はCa2存在下でADPと無機りん酸に

加水分解する酵素。 

adenosine triphosphatase 

2409 

アフラトキシン 

糸状菌(A. spergillus flavusやA. parasiticusなど)の真菌類が産生

するかび毒素(マイコトキシン)であって強力な発がん(癌)物

質。 

aflatoxin 

2410 

アブザイム, 

触媒抗体, 

酵素様抗体 

抗原物質の化学反応を触媒する活性をもつ抗体。 

abzyme, 

catalytic-antibody 

2411 

アルファ−フェトプロ
テイン 

血清アルブミンと構造的・機能的に類似した胎児性たん白質。 

α-fetoprotein 

2412 

アロステリック酵素 

エフェクターの濃度に依存してその反応速度が協同現象的に変

化する酵素。 

allosteric enzyme 

2413 

アンタゴニスト 

レセプターに結合するが生体に対する作用を現すことがないた

め,アゴニストに対してきっ(拮)抗的に働く物質。 

antagonist 

2414 

安定化 

不可逆反応によって(たん白質の)活性低下,消失を防止する方

法。 

stabilization 

2415 

アンチナクロロフィル 

光量子を捕そく(捉)して,光化学反応中心に伝達するクロロフ

ィル類。 

antenna chlorophyll 

2416 

アンテナ色素 

光量子を捕そく(捉)して,光化学反応中心に伝達する色素類。 

antenna pigment 

2417 

イオノフォア 

生体膜,人工脂質膜又は液膜でのイオン透過性を特異的に高める

働きのある物質。 

ionophore 

2418 

イオンチャンネル 

細胞膜上に存在し,たん白質集合体によって構成される各種イオ

ンの流路。 

ion channel 

2419 

鋳型効果 

鎖状分子の環化反応の収率に対する共存添加物の効果。反応制

御。 

template effect 

2420 

1次メッセンジャー 

細胞膜の表面に存在する種々のレセプターに結合し,各種情報を

伝達する細胞外の情報伝達物質。 

first messenger 

2421 

イディオタイプ 

免疫グロブリンの可変領域固有の抗原構造。 

idiotype 

2422 

インスリン様増殖因子 

抗インスリン抗体で抑制されないインスリン類似の増殖因子。 

insulin-like growth factor 

2423 

インターフェロン 

ウイルスの増殖を抑制するリンフォカイン。 

interferon 

2424 

インターロイキン 

免疫反応に関連する細胞間相互作用を媒介するポリペプチド性

物質。 

interleukin 

2425 

インテグリン 

細胞外マトリックス分子に接着する細胞表面レセプター。 

integrin 

2426 

SH酵素 

活性を発揮するのにチオール基(SH基)が不可欠である酵素。 

SH enzyme 

2427 

NAD 

ニコチンアミドモノヌクレオチドとアデニル酸とがホスホジエ

ステル結合した酸化還元補酵素。 

nicotinamide adenine 

dinucleotide 

2428 

NADP 

リボースにりん酸が結合したアデニル酸とニコチンアミドモノ

ヌクレオチドとがホスホジエステル結合してできた化合物。 

nicotinamide adenine 

 dinucleotide pbosphate 

2429 

エフオーエフワンエー
ティーピーアーゼ 

プロトンの電気化学ポテンシャル差を利用して,ADPとPiから

ATPを合成する酵素。ATP加水分解酵素。 

FOF1-ATPase 

2430 

Fcレセプター 

免疫グロブリンのFc部分と選択的に結合する細胞表面上の糖た

ん白質。 

Fc receptor 

background image

24 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2431 

エリスロポエチン 

増血能を促進する,主として腎臓で産生される糖たん白質。 

erythropoietin 

2432 

エンドトキシン, 

内毒素 

グラム陰性細菌のリポ多糖類毒素。 

endotoxic, 

lipopolisaccharide 

2433 

オーキシン 

植物の若い茎に低濃度で与えたとき,縦方向に不可逆的な生長促

進作用を示す植物ホルモン。 

auxin 

2434 

オクトピン 

たこ(蛸)に存在するアルギニンプロピオン酸。 

octopine 

2435 

オパイン 

TiプラスミドのT-DNA領域にオパイン合成遺伝子をもつ

agrobacterium属菌が感染して誘起される非たん白質性アミノ酸。 

opine 

2436 

オピエイト 

モルヒネなどの麻薬や鎮痛ペプチドを成分とする鎮痛剤。 

opiate 

2437 

オプソニン 

細菌や異物粒子に付着して,補体存在下でどん(貪)食作用を受

けやすくなる血清因子。 

opsonin 

2438 

改変たん白質 

天然に存在するたん白質を,たん白質工学などの手法によって改

変した人工たん白質。 

engineered protein, 

taylored protein 

2439 

化学浸透圧説 

生体膜におけるエネルギー変換の機構において,膜を隔てたプロ

トンの電気化学的ポテンシャル差を中心に考える説。 

chemiosmotic theory 

2440 

化学受容 

化学物質を受容してインパルスに転換する現象。 

chemoreception 

2441 

花成ホルモン 

花成を誘導すると想定されるホルモン。 

florigen, 

flowering hormone 

2442 

カドヘリン 

動物細胞におけるカルシウム依存性又は非依存性の細胞接着性

たん白質分子。 

cadherin 

2443 

カルシウムチャンネル 

細胞膜に存在し,生体によって高度に制御されたカルシウムイオ

ンの通路。 

calcium channel 

2444 

カルモジュリン 

カルシウムイオン依存的に,ホスホジエステラーゼ活性など多く

の酵素活性を制御する機能をもつたん白質。 

calmodulin 

2445 

がん(癌)胎児性抗原 

しゅよう(腫瘍)細胞及び胎児細胞に発現している抗原,しゅよ

う関連抗原。 

oncofetal antigen 

2446 

基質認識機構 

酵素が特異的な基質だけを認識する機構。 

substrate binding mechanism 

2447 

基質類似体 

酵素と安定な複合体を形成する阻害剤。 

substrate analog 

2448 

キネシン 

微小管に沿ってその+エンドに向かってATP依存性に移動する

ことのできる分子モーター。 

kinesin 

2449 

キメラ抗体 

げっ(齧)歯類の抗体由来の可変部とヒトの抗体由来の定常部か

らなる抗体分子。 

chimeric antibody 

2450 

胸せん(腺)ホルモン 

T細胞の成熟分化に関与する胸せん(腺)由来の因子。 

thymic hormone 

2451 

協同現象 

物質の構成粒子間の相互作用の総合的な結果として現れる巨視

的現像。 

cooperative phenomenon 

2452 

金属たん白質 

金属イオン又は金属イオンを含む原子団をもつたん白質。 

metalloprotein 

2453 

クラスター化合物 

複数の金属イオンがそれぞれ共有結合したり,官能基で架橋され

て原子団を形成した化合物。 

cluster compound 

2454 

クロスブリッジ 

筋肉細胞のミオシンフィラメントから突出し,アクチンフィラメ

ントと結合するミオシン分子の架橋構造。 

cross-bridge 

2455 

クロマトフォア, 

色素胞 

光合成細菌の細胞の破砕物中から得られる光合成エネルギー変

換機能を保持した生体膜小胞。 

chromatophore 

2456 

クロロソーム 

緑色光合成細菌に存在するバクテリオクロロフィルc,d,又はe

を主成分とする小胞状の集光性構造体。 

chlorosome 

2457 

クロロフィルたん白質 

クロロフィル類を結合しているたん白質。 

chlorophyll protein 

2458 

ケージ化化合物 

目的の化合物を未反応状態に保持しておき,必要時に光照射によ

って開裂し,目的の化合物を遊離する化合物。 

caged compound 

2459 

化学的メディエーター 

生体の中で各種の情報伝達を受けもつ化学物質。 

chemical mediator 

2460 

抗イディオタイプワク

チン 

病原体に対する抗体のイディオタイプを認識する抗体を用いた

ワクチン。 

anti-idiotype vaccine 

background image

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K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2461 

抗ウイルス剤 

ウイルスの感染,又は増殖を抑制する薬剤。 

antiviral drug 

2462 

光化学系1, 

光化学系I 

光化学反応中心色素,P700の光酸化に伴い,究極的にフェレドキ

シンを介してNADPを光還元する光化学反応系。 

photosystem 1, 

photosystem I, 

photochemical system I 

2463 

光化学系2, 

光化学系II 

水の光酸化とプラストキノンの光還元を起こす光化学反応の場。

緑色植物,藻類,ランソウ(酸素発生型生物)の2種類の光化学

系の一つ。 

photosystem 2, 

photosystem II, 

photochemical system II 

2464 

抗がん(癌)剤 

がん(癌)治療のために用いられる薬剤。 

antitumor agent, 

anticancer drug 

2465 

抗原認識 

抗体が抗原を識別する機構。 

antigen recognition 

2466 

光合成反応中心 

分子群又はそれらの分子群を含んだたん白質複合体を形成し,光

吸収による励起エネルギーを化学的な酸化還元のエネルギーに

変換する反応場。 

photosynthetic reaction 

center 

2467 

酵素耐熱化 

酵素に耐熱性を付与する操作。 

enzyme thermophilization 

2468 

酵素標識抗体 

酵素を化学的に抗体と結合し標識した抗体。 

enzyme-labeled antibody, 

enzyme-linked antibody 

2469 

構造活性相関 

生物活性をもつ物質の構造とその活性との関係。 

structure-activity relation 

2470 

コロニー刺激因子 

軟寒天中のか(顆)粒球・マクロファージ幹細胞を刺激して,成

熟したか(顆)粒球やマクロファージからなるコロニーを形成さ

せる因子。 

colony stimulating factor 

2471 

サイトカイニン 

6-アミノプリンを基本骨格としてもち,細胞分裂を促進する植物

ホルモン。 

cytokinin 

2472 

細胞間接着装置 

細胞膜に存在して,細胞間の認識と結合を仲介する分子集合体。  intercellular junction 

2473 

細胞外マトリックス 

動物組織中の細胞間にある繊維状たん白質を主成分とする複雑

な会合体。 

extracellular matrix 

2474 

細胞骨格 

細胞内部にあって,その構造,運動及び情報伝達機能を支える繊

維状構造体。 

cytoskeleton 

2475 

細胞接着活性 

動物組織内にある細胞間の結合強度を表す指標。 

cell adhesion activity 

2476 

散逸構造 

熱平衡のない物質系に現れる巨視的な構造。 

dissipative structure 

2477 

シクロデキストリン合
成酵素 

でん(澱)粉系基質に作用して,グルコースがα-1,4結合で環状

につながるシクロデキストリンを生成する酵素。 

cyclodextrin synthetase 

2478 

シデロフォー 

微生物がその生育に必要な鉄の吸収を促すために産出する鉄輸

送化合物。 

siderophore 

2479 

集光性クロロフィルた
ん白質 

光量子を捕そく(捉)して,光化学反応中心に伝達するクロロフ

ィル類を結合したたん白質。 

light harvesting chlorophyll 

protein 

2480 

集光性色素たん白質複

合体 

光量子を吸収捕そく(捉)してそのエネルギーを光化学反応中色

素に伝達する色素とたん白質の複合体。 

light harvesting pigment 

protein complex 

2481 

しゅよう(腫瘍)壊死
因子 

しゅよう(腫瘍)細胞に直接傷害を及ぼしてその壊死を引き起こ

すたん白質性の物質。 

tumor necrosis factor 

2482 

主要組織適合抗原 

同種移植のとき最も強い拒絶反応を引き起こす抗体。 

major histocompatibility 

antigen 

2483 

しゅよう(腫瘍)増殖
因子 

非形質転換細胞を可逆的に形質転換細胞様に変換させる因子。 

transforming growth factor 

2484 

初期電子受容体 

光化学反応中色素が光酸化を受けるとき,放出される電子によっ

て最初に光還元を受ける物質。 

primary electron acceptor 

2485 

初期光化学反応 

光合成光化学反応において最も初期に起こる素反応。 

primary reaction, 

early reaction 

2486 

触媒回路 

出発原料である基質が,一連の反応を経た後に再生される代謝反

応の経路。 

catalytic cycle 

background image

26 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2487 

植物ホルモン 

微量で植物の代謝制御をする物質。 

plant hormone, 

phytohormone 

2488 

初発電荷分離 

光のエネルギーを利用して起こる最初の電荷分離反応。 

primary charge separation 

2489 

GTP結合たん白質 

グアノシン三りん酸との結合能をもつたん白質。 

GTP binding protein 

2490 

循環的電子伝達 

複数の成分から構成される経路が閉じた環を形成する電子伝達。 

cyclic electron transfer 

2491 

人工酵素 

人工的な操作で作成した酵素と類似の触媒能をもつ高分子。 

artificial enzyme 

2492 

人工制限酵素 

人工的に合成した制御酵素。 

artificial restriction enzyme 

2493 

スーパーオキシドジス
ムターゼ 

酵素ラジカル(活性酵素)を分解し,不活性化する酵素。 

superoxide dismutase 

2494 

接着受容体 

細胞間又は細胞と細胞外マトリックスとの結合に関与するレセ

プター。 

adhesion receptor 

2495 

セリンプロテアーゼ 

セリン残基の水酸基を活性中心とするプロテアーゼ。 

serine protease 

2496 

繊毛 

運動性細胞の外側自由表面に多数はえている小器官。 

cilium 

2497 

担体, 

人工抗原 

ハプテンに結合し,免疫原性を増強する構造体。 

carrier 

2498 

たん白質性酵素阻害剤 

酵素活性の調節因子として働くたん白質系の阻害剤。 

proteineous enzyme inhibitor 

2499 

ダイニン 

真核細胞の繊毛・べん(鞭)毛において周辺微小管から出ている

腕構造を構成し,ATPase活性をもつたん白質。 

dynein 

2500 

中間径繊維 

細胞骨格を形成する主要な,直系10nmの枝分かれのない構造の

繊維。 

intermediate filament 

2501 

チューブリン 

微小管構成たん白質。 

tubulin 

2502 

超酵素 

天然酵素よりも,ある面で優れた機能を付与した酵素。 

superenzyme 

2503 

超たん白質 

設計された構造をもち,要求どおりの機能を発揮する人口たん白

質。 

superprotein 

2504 

超分子 

たん白質や核酸などで構成される分子集合体。 

super molecule 

2505 

超分子複合体 

たん白質が複合体をつくり,高次構造をとることによって形成さ

れる,高次機能をもつ複合体。分子集合系。 

supramolecular complex, 

macromolecular assemblage 

2506 

チラコイド膜 

葉緑体内膜の単位構造(チラコイド)を構成するへん(扁)平な

袋状の膜。 

thylakoid membrane 

2507 

T細胞レセプター 

標的になる細胞膜上の抗原を特異的に認識し,結合するT細胞の

細胞膜たん白質。 

T cell receptor 

2508 

ティッシュー・プラス

ミノーゲン・アクチベ
ーター (TPA) 

血管内皮細胞で産生され,血栓に特異的に吸着し,血栓を溶かす

たん白質分解酵素。 

tissue plasminogen activator 

2509 

鉄−硫黄たん白質 

非ヘム鉄たん白質のうち,鉄イオン又は不安定硫黄と鉄イオンの

つくるクラスターにシステインが配位した活性中心をもつたん

白質。 

iron-sulfur protein 

2510 

デヒドロアラニン 

セリンが脱水して生成する非たん白質性アミノ酸。 

dehydroalanine 

2511 

電位形成反応 

生体膜中の化学反応又は分子の移動・変形反応のうち,膜電位の

変化を伴う反応,又はそのうちで膜電位の絶対値を大きくする反

応。 

electrogenic reaction 

2512 

電子伝達系 

一連の酸化還元物質(電子伝達体)によって構成される多段階の

電子授受反応系。 

electron transfer system 

2513 

電子伝達たん白質 

生体中の電子伝達反応において電子の授受を受けもつたん白質。  electron transferring protein 

2514 

トポロジー効果 

分子の認識において特定の分子を構造,形,大きさ,光学異性な

どで見分けるときの相互作用の要因となる構造的効果。 

topology 

2515 

トリガー(全体工学の)  生体内においてある反応を開始したり,構造変換を引き起こす引

金の役割を果たす物質又は信号若しくは現象。 

trigger 

2516 

トレッドミリング 

F-アクチンなどの方向性をもつたん白質。 

treadmilling 

background image

27 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2517 

動原体, 

キネトコア 

染色体の一部で,微小管の結合する部位。 

kinetochore 

2518 

銅たん白質 

銅イオンを含むたん白質。 

copper protein 

2519 

2次メッセンジャー 

細胞膜上に存在するレセプターから発せられる情報を細胞内部

へ伝達する役を担う化学物質。 

second messenger 

2520 

ニトロゲナーゼ 

ATPの加水分解を伴い分子状窒素を還元してアンモニアを生成

する酸化還元酵素。 

nitrogenase 

2521 

バクテリオクロロフィ

ル2量体 

光合成細菌の光化学反応中心において,光エネルギーによって電

荷の分離にたずさわるクロロフィルの2量体。 

bacteriochlorophyll dimer 

2522 

光プロトンポンプ 

光をエネルギー源として,プロトンの能動輸送を行う膜たん白

質。 

light-driven proton pump 

2523 

非共有結合錯体 

共有結合によらず分子間相互作用によって形成される複合体又

は錯体。 

non-covalently bonded 

complex 

2524 

ヒドロゲナーゼ 

分子状水素による電子受容体の還元と,その逆反応による水素発

生を触媒する酵素。 

hydrogenase 

2525 

非ヒストンたん白質 

ヒストン,プロタミン以外の細胞核に含まれるたん白質。 

non-histone protein 

2526 

非ヘム鉄たん白質 

鉄イオンがヘムに配位せずに結合しているたん白質。 

non-heme iron protein 

2527 

氷核たん白質 

氷晶形成の核となる表面構造をもつたん白質。 

ice nucleating protein 

2528 

ビオチン化化合物 

共有結合でビオチンを結合した化合物。 

biotinylated compound 

2529 

微小管 

真核細胞内部に存在する外径25nmの管状構造体。 

microtubule 

2530 

ビトロネクチン 

血清中に含まれる細胞接着性の糖たん白質。 

vitronectin 

2531 

フィトアレキシン 

植物が微生物感染時に産生する抗微生物作用物質。 

phytoalexin 

2532 

フィトクローム 

光によって可逆的な吸収スペクトル変化をし,環境の光条件を感

受して生体の諸機能を調節する植物に存在する色素たん白質。 

phytochrome 

2533 

フェリチン 

生体中で鉄の貯蔵と過剰な鉄からの生体の保護を担う水溶性非

ヘム鉄たん白質トランスフェリン。 

ferritin 

2534 

フェレドキシン 

鉄−硫黄クラスターを分子内にもつ電子伝達たん白質。 

ferredoxin 

2535 

不凍化たん白質, 

抗凍結たん白質 

生物体液の凝固温度を低下させる効果をもつたん白質。 

anti-freeze protein 

2536 

分子機械 

特異的な立体構造と機能をもつたん白質又は核酸,及びそれらの

集合体。 

molecular machine 

2537 

分子識別 

抗体,受容体又は酵素が特定の化学物質と結合して,特異的に反

応すること。 

molecular recognition 

2538 

分子モーター 

イオン流を用い,べん(鞭)毛回転運動のエネルギー変換をつか

さどる酵素たん白質。 

molecular motor 

2539 

プラストキノン 

光合成電子伝達系の酸化還元成分の一つで,緑色植物や藻類に存

在するp-ベンゾキノン誘導体。 

plastoquinone 

2540 

プロトタイプ 

あるものの基礎又は手本となっている原型,又はある生物集団の

基礎と考えられる原始形態。 

prototype 

2541 

βラクタマーゼ 

ペニシリンなどのβ−ラクタム環を開裂する加水分解酵素。 

β lactamase 

2542 

べん(鞭)毛 

細菌,原生動物,精子などの線維状の運動器官。 

flagellum 

2543 

べん(鞭)毛モーター 

細菌べん(鞭)毛の基部にあって膜中に固定され,べん毛を回転

させるたん白質分子の集合体。 

flagellar motor 

2544 

ホスホジエステラーゼ 

3':5'-環状ヌクレオチドを加水分解して,5'-ヌクレオチドを生成

する酵素。 

phosphodiesterase 

2545 

ホスホリパーゼ 

りん脂質加水分解酵素。 

phospholipase 

2546 

ホスホロチオエート型
ヌクレオチド類似物 

ヌクレオチドのりん酸部分の酵素原子を硫黄原子で置き換えた

化合物。 

phosphorothioate nucleotide 

analog 

background image

28 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2547 

ミオシン 

筋肉の太いフィラメントを形成し,ATPase活性をもち,筋収縮に

あずかる酵素たん白質。 

myosin 

2548 

メタロチオネイン 

各種金属によって合成が誘導され,金属と特異的に結合する分子

量6 000のたん白質。 

metallothionein 

2549 

免疫クロブリン 

抗原となる高分子を特異的に結合する血清たん白質。 

immunoglobulin 

2550 

免疫毒素複合体 

抗体と毒素又はそのフラグメントとを架橋することによって形

成される複合体。 

immunotoxin 

2551 

免疫複合物(体) 

抗原と抗体から構成される複合物。 

immune complex 

2552 

モノカイン 

単球から放出される生理活性たん白質。 

monokine 

2553 

輸送担体 

生体膜,人工脂質膜又は液膜にあって物質の輸送を仲介する物

質。 

carrier 

2554 

ラリアート効果 

非共有結合錯体の安定性に寄与する側鎖の効果。 

lariat effect 

2555 

リボザイム 

RNAのホスホジエステル結合を自ら切断する機能をもつRNA分

子。 

ribozyme 

2556 

リボソーム 

たん白質の生合成を担う,複数のリボソームRNAと数十個のた

ん白質分子からなる集合体。 

ribosome 

2557 

リンパ球表面抗原 

リンパ球の表面に現れている血清学的に識別できる抗原群。 

lymphocyte surface antigen 

2558 

リンホカイン 

正常リンパ球のマイトジェン刺激,感作リンパ球の対応抗原刺激

などによって,リンパ球が産生する免疫グロブリン以外の可溶性

生理活性たん白質。 

lymphokine 

2559 

ルシフェラーゼ 

生物発光を触媒するオキシゲナーゼ。 

luciferase 

2560 

レクチン 

糖鎖と選択的に結合する免疫学的産物以外のたん白質又は糖た

ん白質。 

lectin 

2561 

レニン 

アンジオテンシンノーゲンを特異的に加水分解してアンジオテ

ンシンIを遊離させる分子量約4万の酸性プロテアーゼ。 

renin 

(2.5) 実験技術及び実験装置など(たん白質工学) 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

2601 

X線吸収端微細構造 

X線吸収端近傍にみられる微細構造のうち,約50eV以内の微細

スペクトル。 

X-ray absorption near edge 

structure, 

XANES 

2602 

広帯域X線吸収微細構

造 

X線の吸収端後にみられる微細構造のうち,約50eVより高エネ

ルギー側の微細スペクトル。 

extended X-ray absorption 

fine structure, 

EXAFS 

2603 

示差走査熱量計, 

DSC 

試料と基準物質の温度差が等しくなるように加えるエネルギー

を直接記録する型の熱量計。 

differential scanning 

calorimeter, 

DSC 

2604 

旋光分散 

旋光度が波長に依存して変化する現象。 

optical rotatory dispersion 

2605 

超遠心法 

高い遠心力による巨大分子混合物の分離方法,又は巨大分子の分

子量や分子量分布を決定する分析方法。 

ultracentrifugation 

(3) 生体反応工学 

(3.1) 基礎・共通事項 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3101 

エネルギー変換(バイ

オ) 

植物,微生物などによる光エネルギーから化学エネルギー又は電

気的エネルギーへ,化学エネルギーから電気的エネルギー又は光

エネルギーへなどの変換。 

energy conversion 

(biotechnology) 

3102 

固相法 

固相担体を反応開始部位として利用する合成法。 

solid phase synthesis 

3103 

固定化担体 

酵素,微生物などの生体触媒又はリガンドを固定化するための不

溶性固体。 

immobilization support 

background image

29 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3104 

従属栄養生物 

生育に必要な炭素源を有機化合物に依存している生物。 

heterotroph 

3105 

微水系 

従来の一般的な酵素反応・微生物反応に比較して有機溶媒中で使

用される水の量が著しく少ない反応系。 

microaqueous system 

3106 

不斉反応 

分子内の対称性をもつ均斉な部分に不斉な環境のもとで不斉中

心を導入する反応で,不斉中心のD体とL体の生成比が1 : 1と

ならない反応。 

asymmetric reaction 

3107 

無菌室 

組織培養や生体の生育・培養を無菌的に行うため無菌環境とした

部屋。 

bioclean room 

3108 

リポソーム 

りん脂質など極性脂質の2分子層膜で包まれた人工的につくられ

た小胞。 

liposome 

(3.2) 微生物工学 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3201 

SCP, 

微生物たん白質 

石油,天然ガス,アルコール,廃糖密,農産物などを発酵原料と

して大量生産される微生物菌体又は菌体からのたん白抽出物。 

single cell protein 

3202 

休止菌体 

増殖能力を保持するが,増殖していない状態の微生物菌体。 

resting microorganism 

3203 

グラム陰性菌 

グラム染色法 (Gram stain) で染色されず,対比染色によって赤色

に染まる細菌。 

Gram-negative bacteria 

3204 

グラム陽性菌 

グラム染色法 (Gram stain) で紫色に染色される細菌。 

Gram-positive bacteria 

3205 

嫌気的発酵, 

嫌気性発酵 

嫌気性菌を用いて分子状酸素のない状態で行われる発酵。 

anaerobic fermentation 

3206 

好塩菌, 

好塩性細菌 

1.2%以上の食塩濃度の培地が発育に好適な細菌。 

halophile, 

halophilic bacteria 

3207 

好気発酵 

酸素呼吸を伴う微生物の作用で有機物を分解し,新たな物質を生

産する方法。 

aerobic fermentation 

3208 

光合成細菌 

光のエネルギーを利用して二酸化炭素の光合成的同化,有機化合

物の光合成などを行う細菌。 

photosynthetic bacteria 

3209 

高度好熱菌 

通常75℃以上でも生育できる細菌。 

extreme thermophile 

3210 

呼吸率, 

呼吸商 

生体の排出する炭酸ガス量と呼吸する酸素量の比。 

respiratory quotient, 

RQ 

3211 

固定化クロロプラスト 

不溶性担体に吸着させたり,高分子の網目構造の内部に包括する

などして固定化したクロロプラスト(葉緑体)。 

immobilized chloroplast 

3212 

固定化細胞, 

固定化酵母 

不溶性担体に結合させるか,又はゲルマトリックスで吸収,若し

くは包括して固定化した細胞。 

immobilized cell, 

immobilized yeast 

3213 

固定化微生物 

不溶性担体に担持されるか,又は内部空間に閉じ込められた微生

物。 

immobilized microbial cells 

3214 

斜面培養, 

傾斜培養 

試験管内に固形培地を斜面に調製し,その斜面上で,微生物を培

養する方法。 

slant culture 

3215 

初代培養 

生体から分離した器官,組織又は細胞を体外培養に移してから植

え継ぎを行うまでの培養。 

primary culture 

3216 

せん(穿)刺培養 

垂直に保った試験管中で寒天培地を固化させた固形培地の中へ,

白金線によって微生物を深く突き刺して接種する培養法。 

stab culture 

3217 

体細胞雑種, 

雑種細胞 

生殖細胞でない体細胞間で,細胞融合によって作られた雑種細

胞。 

somatic hybrid 

3218 

代謝産物抑制 

酵素の生合成が,それらが関連する代謝経路の産物によって抑制

される現象。 

catabolite repression 

3219 

脱窒, 

脱窒素作用 

硝酸又は亜硝酸が微生物によって還元されて窒素ガスなどのガ

ス状窒素となって放出される作用。 

denitrification 

3220 

単細胞たん白質 

酵母,細菌,糸状菌,藻類などのたん白質に富んだ単細胞生物を

殺菌し,乾燥した物。 

single cell protein 

background image

30 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3221 

窒素固定細菌 

分子状窒素を還元してアンモニアにする活性をもつ細菌。 

nitrogen fixing bacteria 

3222 

条件的嫌気性菌 

遊離酸素の存在下でも非存在下でも生育のできる微生物。 

facultative anaerobic bacteria 

3223 

低温菌, 

好冷性細菌 

低温で増殖する細菌及び真菌。 

psychrotroph, 

psychrotrophic-microorganis

3224 

独立栄養微生物 

微生物の中で,その細胞構成成分の炭素分をCO2の還元によって

合成して生育できる微生物。 

autotrophic microorganisms, 

autotroph 

3225 

乳酸発酵 

糖質が微生物の作用を受けて主として乳酸を生成する現象。 

lactic acid fermentation 

3226 

発芽(胞子の) 

真菌類の各種胞子が休眠後又は形成直後に栄養成長を開始する

現象。 

germination 

3227 

発酵収率 

発酵生産における消費原料に対する生産物収率。 

yield of fermentation 

3228 

微生物農薬 

微生物を原体とした農薬。 

microbial pesticide 

3229 

微生物変換 

微生物を利用して化合物の分子構造を変化させる反応方法。 

microbial transformation 

3230 

絶対嫌気性菌 

酸素存在下では生育できない細菌。 

strictly anaerobic bacteria 

3231 

絶対好気性菌 

遊離酸素が存在しない環境では生育できない細菌。 

strict aerobic bacteria 

(3.3) 酵素工学 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3301 

アロステリック酵素 

基質と結合する活性部位のほかに,基質とは立体構造的に異なる

物質と結合する部位(アロステリック部位)をもち,そこに低分

子のリガンドが結合することによって活性と高次構造が変化す

る酵素。 

allosteric enzyme 

3302 

活性保持率(固定化の)  固定化による酵素自身の失活と速度パラメーターの変化などを

考慮して数値化された,真の酵素活性の保持率。 

activity retention rate (in 

immobilization) 

3303 

競合阻害 

阻害剤分子が,酵素の基質結合部位に対する結合を,基質分子と

競合することによって,酵素活性が低下する現象。 

competitive inhibition 

3304 

共有結合法 

生体触媒を水不溶性の担体の共有結合によって固定する方法。 

covalent binding method 

3305 

合成酵素 

(1) 加水分解の逆反応を用いて物質合成を行い得る加水分解酵

素。 

(2) EC4群に分類されるリアーゼのうち,逆反応,すなわち合成

方向の反応(付加反応)が重要である酵素。 

(3) EC6群酵素の総称で,ATPなどのりん酸結合の開裂に共役し

て二つの分子が結合する反応を触媒する酵素群。 

enzymes for synthesis 

3306 

酵素安定化剤 

酸素の貯蔵中にその失活を防止し,混入微生物の生育を阻止する

ために添加する添加物。 

stabilizer of enzyme 

3307 

酵素活性の単位 

最適条件下で,1秒間に1 molの基質を変換する酵素量。単位は

カタール (kat)。1日単位はマイクロモル/分。 

unit of enzyme activity 

3308 

酵素の安定化 

単離精製した酵素の活性を保存中又は使用中に低下させないよ

うにする方法。 

stabilization of enzyme 

3309 

酵素マイクロカプセル 

半透性の薄膜からなるマイクロカプセル内に酵素を閉じ込めた

包括型の固定化酵素。 

microencapsulated enzyme 

3310 

固定化収率 

生体触媒の固定化の前と後の活性の割合。 

immobilization yield 

3311 

固定化酵素反応器 

固定化酵素を充てん(填)し,物質の分解・合成・化学変換など

を行う反応装置。 

immobilized enzyme reactor 

3312 

混合型阻害 

作用形式を異にする阻害(酵素反応の速度を低下させる)が併行

して起こる現象。 

mixed inhibition 

3313 

再活性化 

失活酵素の高次構造・活性基を復元して低下した酵素の活性を回

復する技術。 

reactivation 

3314 

残存活性 

酵素反応又は失活の過程で示す酵素活性。 

remaining activity 

background image

31 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3315 

水酸化酵素 

分子状酸素を利用し,有機化合物をヒドロキシル化する反応を触

媒する酵素。 

hydroxylase 

3316 

多機能性酵素 

同一分子内に二つ以上の触媒機能を発現する基をもっていたり,

また,サブユニット構造の変化に伴う反応特異性の変化によっ

て,多種類の反応を触媒する酵素。 

multifunctional enzyme 

3317 

複合酵素系 

細胞内の各種の代謝反応が,一定の秩序だった配列をした一連の

酵素群又は複数のサブユニットで構成される酵素で行われる反

応系。 

multi-enzyme system 

(3.4) 培養工学 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3401 

足場依存性 

細胞接着の有無による細胞増殖特性。 

anchorage dependency 

3402 

エアレーション,通気 

生物体及び細胞の培養での酸素を含むガスを供給する技術。 

aeration 

3403 

回分培養 

新鮮な培地に少量の種培養液を加え,培養の途中では培養液の出

し入れを行わないで細胞を増殖させる培養法。 

batch culture 

3404 

かん(灌)流培養, 

かん(灌)流システム 

細胞培養において,成育阻害物質の除去などのため,旧培地を抜

き取りながら新鮮培地を補充し,連続的に培地交換を行う方法。 

perfusion 

3405 

希釈率 

連続培養において培養液量に対する培地供給流量の比。 

dilution rate 

3406 

ケモスタット 

連続培養において,制限基質を含む培地の供給速度を一定に保持

することによって,定常状態を得る連続培養方式,又はそのため

の装置。 

chemostat 

3407 

固体培養 

固体(固形)培地を使った微生物又は動植物細胞の培養方法。 

solid culture 

3408 

混合培養 

複数種の異なる微生物を同一環境条件下で同時に生育させる培

養方法。 

mixed culture 

3409 

細胞固定化培養 

細胞を支持体に固定化した状態で行う培養技術。 

immobilized cell culture 

3410 

仕切板形培養装置 

高分子膜又はセラミックスのような多孔板で流体の流れを二つ

以上仕切った分離形反応器。 

partitioned fermentor 

3411 

種培養 

本培養を効率よく行えるように微生物又は細胞の条件を整え,か

つ,それらの数量を確保するための培養。 

seed culture 

3412 

深部培養 

液体培地中で微生物又は動植物の細胞を培養する方法。 

submerged culture 

3413 

生育速度 

生物の単位時間当たりの生育の度合い。 

growth speed (growth rate) 

3414 

管形バイオリアクター 

流れと直角な方向には一様な速度分布をもち,流れ方向には流体

の混合も拡散もなく,反応器入口から出口に向かってピストンで

押し出されるように反応流体が移動する状態の培養装置。 

tubular bioreactor 

3415 

増殖制限基質 

細胞の増殖に対して律速的になっている栄養基質。 

growth limiting substrate 

3416 

増殖非連動型発酵生産 

生産物の生成速度が細胞濃度に比例し,細胞の増殖速度には無関

係であるような型式の発酵生産。 

non-growth associated 

production 

3417 

多段槽形培養装置 

かくはん形培養装置を何段にも連ねた連続培養装置。 

multi-stage stirred tank 

reactor 

3418 

通気かくはん形培養装
置 

装置下部から無菌空気を吹き込み,かくはん羽根で装置内の液を

均一に混合し,殺菌又は温度調節のためジャケット又は蛇管を付

設した培養装置。 

備考  好気性微生物反応器として最も広く使用されている

装置。 

jar fermentor 

3419 

同調培養 

微生物などの細胞集団の培養において,培養系内の細胞の生活周

期を人為的にそろえ,同一周期で同時に分裂を繰り返させる培養

方法。 

synchronous culture, 

synchoronized culture, 

phased culture 

3420 

倍増時間, 

倍加時間 

微生物又は動植物の培養細胞で,細胞数が2倍になるために要す

る時間。 

doubling time, 

mass doubling time 

3421 

半回分培養 

培地を添加しながら培養を行う培養方法。 

semi-batch culture 

background image

32 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3422 

表面培養 

培地表面で細胞を増殖させる培養方法。 

surface culture 

3423 

浮遊担体培養 

天然若しくは人工の高分子又は無機材質の担体表面に微生物又

は動・植物組織細胞を付着又は同定化し,細胞を容器に付着させ

ることなく液体培地の中で浮遊させた状態で増殖させる培養。 

carrier suspension culture 

3424 

浮遊培養 

培養液中に細胞が浮遊した状態で行う培養技術。 

suspension culture 

3425 

マイクロキャリア培養 

細胞を微小粒子表面に付着させ,浮遊状態で行う培養技術。 

microcarrier culture 

3426 

モノ−モデル 

細胞の比増殖速度と制限基質濃度との関係を示す経験則。 

Monod model 

3427 

誘導期 

新しい培地に移植された細胞が活発に増殖を開始するまでの期

間。 

lag phase 

3428 

流加培養 

回分培養において培養の進行とともにある特定の成分を逐次又

は連続的に添加し,終了まで培養液を引き抜かない培養方法。 

feeding culture 

(3.5) バイオリアクター 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3501 

回転円板形バイオリア

クター 

固定化酵素(又は菌体)のゲル円板が回転することによって,液

相中の基質をくみ上げ,ガス状生成物を気相へ移動させる気・

液・固液バイオリアクター。 

rotated disk-type bioreactor 

3502 

固定化菌体バイオリア

クター 

固定化菌体を用いて物質の分解・合成・化学変換,環境浄化など

を行う反応装置。 

immobilized cell bioreactor 

3503 

診断用バイオリアクタ

ー 

病気の原因や病態を判定するための生化学反応を行う装置,又は

システム。 

bioreactor for diagnosis 

3504 

中空糸膜反応器 

内径数百μm,肉厚数十〜数百μmの細管を束ねた中空糸膜モジュ

ールを用い,中空部分,膜内,膜面,シェル側などに酵素などの

生体触媒を保持した反応器。 

hollow fiber membrane 

reactor 

3505 

分離形反応装置, 

分離形バイオリアクタ

ー 

高分子,セラミックなどを素材にした多孔体を組み込んだ装置を

用いて,生物反応と生産物との分離を同時に行う反応装置。 

separation attainable 

bioreactor 

3506 

流動層バイオリアクタ

ー 

微生物菌体又は固定化微生物・酵素などの固体粒子を充てん(填)

した反応装置の下部から,液又はガスを通して固体粒子を流動化

し,発酵又は発酵反応を行う装置。 

fluidized bed bioreactor 

(3.6) 環境保全 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3601 

汚泥齢, 

汚泥日齢 

活性汚泥のばっ(曝)気槽内での平均滞留時間。 

sludge age 

3602 

活性汚泥, 

活性スラッジ 

汚水中の溶解性有機物を吸着,分解,凝集沈殿するなどの機能を

もつ細菌又は原生動物の集団。 

activated sludge 

3603 

余剰汚泥, 

余剰スラッジ 

活性スラッジ法で最後沈殿池からばっ(曝)気槽へ活性スラッジ

の一定量を循環使用した後に残る廃棄しなければならないスラ

ッジ。 

excess sludge 

3604 

嫌気性処理 

嫌気性菌の代謝活性を利用して,有機性の廃水又は廃棄物を処理

する方法。 

anaerobic treatment 

3605 

酸化池法 

浅い池に廃水を滞留させて表面ばっ(曝)気によって酸素を供給

する生物学的廃水処理法。 

oxidation pond treatment 

3606 

散水ろ(濾)床法 

表面に微生物を付着させた担体層の上部から廃水を散布する生

物学的廃水処理法。 

tricking filter 

3607 

純酸素ばっ(曝)気法 

空気の代わりに純酸素を通気する活性汚泥処理法。 

aeration system using oxygen 

3608 

じゅん(馴)養 

微生物又は動植物の細胞を新しい環境に適応させる操作。 

acclimatization 

3609 

深層ばっ(曝)気法 

水深の大きいばっ(曝)気槽を用いる活性汚泥処理法。 

aeration system using a 

 deep vessel 

background image

33 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3610 

制限ばっ(曝)気法 

一つの処理槽で嫌気処理,好気処理,沈殿,放流の一連の工程を

繰返し行う回分式の活性汚泥法。 

limited aeration method 

(system) 

3611 

生分解 

高分子化合物又は有機化合物を生物の作用によって低分子化合

物又は二酸化炭素と水に分解する現象。 

biodegradation 

3612 

発酵乾燥(コンポスト
化) 

廃棄物の高分子の有機物(都市ゴミ,下水汚泥,農畜産廃棄物な

どの混合物)が好気性条件で分解又は無機化し最終生成物として

生物学的に分解困難で生物学的に安定な腐植質に変換する方法。 

composting 

3613 

BODセンサー 

固定化微生物を組み込んだBOD測定用機器。 

BOD sensor 

3614 

微生物汚染 

(1) 社会的には細菌,有毒物質,放射性物質などによる環境(水

質,大気,土壌)の悪化。 

(2) 微生物学では目的とする微生物以外の雑菌などの混入。 

microbial contamination 

3615 

微生物分解 

微生物の作用による物質の低分子化。 

microbial degradation 

3616 

富栄養化 

栄養源に富み,生物活動が活発な水域に遷移する現象。 

eutrophication 

3617 

返送比 

汚水処理プロセスにおいて流入汚水に対する返送処理水又は返

送活性スラッジの比率。 

recirculation ratio 

3618 

ラグーン法 

汚水を池に導き,水面から吸収される酸素又は藻類の炭酸同化作

用によって発生する酸素を利用して好気性微生物が有機物を分

解することを特徴とする生物的廃水処理方法。 

lagoon treatment 

(3.7) 操作,手法及び技術 

番号 

用語 

定義 

対応英語(参考) 

3701 

けい(珪)藻土ろ(濾)
過法 

けい藻土をあらかじめ支持面に積層(コンブレート)し,その層

でろ(濾)過する方法。 

diatomaceous earth filtration 

3702 

酵素免疫測定法 

抗体(又は抗原)の特異性を利用して抗原抗体物質を検出・定量

する方法で,酵素標識した抗体(又は抗原)を利用する方法。 

enzyme immunoassay 

3703 

自己消化法, 

自己溶菌法 

細胞又は組織自体がもつ酵素の作用によって細胞組織を破壊す

る方法。 

autolysis method 

3704 

除菌膜 

気体中や液体中に混在する微生物を除去するためのろ(濾)過膜。  membrane for separation of 

microorganisms 

3705 

浸透圧処理 

細胞内成分を取り出すために,高濃度の塩や糖の水溶液を用いて

浸透圧を変えることによって細胞膜を破壊する方法。 

osmotic pressure treatment 

3706 

凍結融解処理 

微生物細胞などの生体材料を凍結し,更に融解する操作を繰り返

して,たん白質などの成分を抽出する方法。 

freezing and thawing method 

3707 

バイオアッセイ, 

生物学的定量法 

ある物質を生体に与えて,それに対する生物反応から,その物質

の含有量,構成成分及び効力を推定する方法。 

bioassay, 

biological assay 

3708 

融合チャンバー 

電気的細胞融合を行わせるため,電界を印加する一対の電極を備

えた容器。 

fusion chamber 

34 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 3610 原案作成委員会本委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

香 川 靖 雄 

自治医科大学医学部 

(副委員長) 

大 島 泰 郎 

東京工業大学生命理工学部 

佐 竹 一 夫 

東京理科大学理学部 

津 田 圭四郎 

北海道東海大学工学部 

脊 山 洋 右 

東京大学医学部 

菊 地   眞 

防衛医科大学校 

奥 山 典 生 

東京都立大学理学部 

増 田   優 

通商産業省基礎産業局 

細 川 幹 夫 

工業技術院標準部 

田 中 英 明 

工業技術院化学技術研究所 

白 木   勝 

工業技術院微生物工業技術研究所 

坂 井   士 

工業技術院繊維高分子材料研究所 

前 田 英 勝 

工業技術院微生物工業技術研究所 

久 保 安 正 

日本化学技術情報センター 

(事務局) 

柴 田   雄 

財団法人日本規格協会 

細胞工学分科会 構成表 

氏名 

所属 

(主査) 

脊 山 洋 右 

東京大学医学部 

(副主査) 

前 田 英 勝 

工業技術院微生物工業技術研究所 

吉 倉   廣 

東京大学医学部 

永 井 和 夫 

東京工業大学工学部 

山 本 健 一 

工業技術院標準部 

宮 入 祥 夫 

工業技術院化学技術研究所 

結 城   惇 

雪印乳業株式会社 

中 野 衞 一 

キッコーマン株式会社 

奥 山 大 策 

メルシャン株式会社 

福 井 史 生 

昭和産業株式会社 

田 仲 昭 子 

森永乳業株式会社 

奥 村   康 

アサヒビール株式会社 

佐久間 定 俊 

明治乳業株式会社 

(事務局) 

柴 田   雄 

財団法人日本規格協会 

たん白質工学分科会 構成表 

氏名 

所属 

(主査) 

坂 井   士 

工業技術院繊維高分子材料研究所 

今 中 忠 行 

大阪大学工学部 

中 村 泰 治 

昭和大学薬学部 

大 倉 一 郎 

東京工業大学 

地 神 芳 文 

工業技術院化学技術研究所 

三 宅   淳 

工業技術院微生物工業技術研究所 

山 本 健 一 

工業技術院標準部 

玉 沖 英 恒 

三共株式会社 

増 保 安 彦 

帝人株式会社 

藤 本 秀 喜 

三菱油化株式会社 

(事務局) 

柴 田   雄 

財団法人日本規格協会 

35 

K 3610-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

生体反応工学分科会 構成表 

氏名 

所属 

(主査) 

前 田 英 勝 

工業技術院微生物工業技術研究所 

山 本 健 一 

工業技術院標準部 

一 条 久 夫 

工業技術院繊維高分子材料研究所 

田 中 重 信 

通商産業省北海道工業開発試験所 

中 嶋 光 敏 

農林水産省食品総合研究所 

長谷川 淳 三 

鐘渕化学工業株式会社 

高 木 基 福 

日本鉱業株式会社 

山 田 富 明 

日揮株式会社 

上 島 孝 之 

ノボノルディスクバイオインダストリー株式会社 

長 棟 輝 行 

理化学研究所 

(事務局) 

柴 田   雄 

財団法人日本規格協会