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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K3602-1990 

微生物電極による生物化学的 

酸素消費量 (BODs) 計測器 

Apparatus for the estimation of biochemical oxygen  

demand (BODs) with microbial sensor 

1. 適用範囲 この規格は,固定化微生物膜と酸素電極とを組み合わせた微生物電極を利用して発酵廃液,

下水などの排水中の生物化学的酸素消費量(以下,BODsという。)値を測定するための計測器(以下,計

測器という。)について規定する。 

備考 この規格の引用規格は,付表1に示す。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0211,JIS K 3600及びJIS Z 8103によるほ

か次による。 

(1) 固定化微生物膜 酵母Trichosporon cutaneum(トリコスポロンクタネウム),IFO-10466を,その生

理機能を保持した状態で膜中に封入したもの。 

(2) 酸素電極 JIS K 0803の7.3(1)(電極)に定められた溶存酸素の測定用の電極。 

(3) 微生物電極 固定化微生物膜と,その微生物が有機性物質を資化したときに起こる物質濃度の変動,

例えば微生物の呼吸活性の増加に伴う酸素濃度の減少を検知する電極と組み合わせて構成されるもの。 

3. 微生物電極の構成及び測定方式 

3.1 

固定化微生物膜 固定化微生物膜は,酸素電極表面を被覆する形式とする。 

3.2 

酸素電極 酸素電極は,次のいずれかによる。 

(1) 隔膜形ポーラログラフ式酸素電極 

(2) 隔膜形ガルバニ電池式酸素電極 

3.3 

BODs価の測定方法 BODs値の測定方法は,次のいずれかによる。 

(1) バッチ方式 

(2) フロー方式 

3.4 

BODs値の計算方式 BODs値の計算方式は,次のいずれかによる。 

(1) 酸素電極電流の最大変化量から計算する方式 

(2) 酸素電極電流の一定時間後の変化量から計算する方式 

4. 定格電圧及び定格周波数 計測器の定格電圧は,単相交流100V,定格周波数は,50Hz,60Hz,又は

50Hz/60Hz共用とする。 

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K3602-1990  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5. 性能 計測器は,次の性能を満足しなければならない。 

(1) 緯返し性 7.3(1)の試験方法で試験を行ったとき,偏差は,平均値の±10%でなければならない。 

(2) 応答時間 7.3(2)の試験方法で試験を行ったとき,応答時間は20分以内でなければならない。 

(3) 電圧変重力に対する安定性 7.3(3)の試験方法で試験を行ったとき,その指示値の変動は±3%でなけ

ればならない。 

(4) 絶縁抵抗 7.3(4)の試験方法で試験を行ったとき,その値が5MΩ以上でなければならない。 

(5) 耐電圧 7.3(5)の試験方法で試験を行ったとき,異常を生じてはならない。 

6. 構造 

6.1 

構造一般 計測器の構造は,次の各項目に適合しなければならない。 

(1) 形状が正しく,組立て及び各部の仕上がりが良好で,かつ,堅ろうであること。 

(2) 通常の運転状態で危険の生じるおそれがなく,安全,かつ,円滑に作動すること。 

(3) 各部は,容易に機械的,電気的故障を起こさず,危険を生じない構造であること。 

(4) 水漏れ,水はね,結露などによって計測器の作動に支障を生じない構造であること。 

(5) 保守・点検の際,作業しやすく,かつ,危険のない構造であること。 

6.2 

構成 計測器は,図1に示す検出部,緩衝液等供給部,排出部及び指示記録部で構成する。 

図1 計測器構成(一例) 

6.3 

検出部 検出部は,微生物電極と試料液とを相互に接触した状態に保ち,発生する信号を安定に指

示部に供給するもので,微生物電極,測定セルなどで構成する。 

(1) 微生物電極 固定化微生物膜(トリコスポロンクタネウムIFO-10466の固定化膜)と酸素電極とから

構成されるもので,固定化微生物膜は容易に交換可能な構造とする。 

(2) 測定セル 微生物電極と試料液とを相互に接触した状態で保持するもので,試料液を適切な温度,酸

素濃度に保つことができ,かつ,試料液の流動に影響を生じない構造とする。 

K3602-1990  

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6.4 

緩衝液等供給部 緩衝液等供給部は,緩衝液などを検出部に送液できるものとする。 

6.5 

排出部 排出部は,検出部から測定後の溶液を排出,保存できるものとする。 

6.6 

指示記録部 指示記録部は,微生物電極の出力電流に基づいて,BODs値又は,その相当値,若しく

は指数を指示又は印字できるものとする。 

6.7 

附属装置 附属装置として,必要に応じて次のものを付加してよい。 

(1) 試料液供給装置 試料液供給装置はあらかじめ準備した幾つかの試料を,定められた順序に従って検

出部に送液して測定を行わせるものである。7.1(5)のBODs校正液を随時送液して微生物電極の校正を

行える機能をもつことが望ましい。 

(2) 出力電流記録計 出力電流記録計は,微生物電極の出力電流を記録できるものとする。 

7. 試験 

7.1 

試薬 試験に用いる試薬は,次のとおりとする。 

(1) 水 JIS K 0050に規定する分析用の水。 

(2) グルコース JIS K 8824に規定するもの。 

(3) L−グルタミン酸 JIS K 9047に規定するもの。 

(4) BODs校正原液 グルコース150mg及びL−グルタミン酸150 mgをとり,水に溶かして全量フラスコ

1 000mlに入れ,水を標線まで加えたもの。JIS K 0102 21.[生物化学的酸素消費量 (BOD)]に規定す

る生物化学的酸素消費量 (BOD) 測定方法による,本校正原液のBOD値が220±10mg/lであることを

確認する。この校正原液は,調製後できるだけ速やかに使用する。 

(5) BODs校正液 BODs校正原液を取扱説明書記載のBOD値になるように正しくはかりとり,全量フラ

スコに入れ,水を標線まで加えたもの。 

また,この方法に準じて調製された製造業者の供給によるものをBODs校正液としてもよい。 

(6) 緩衝液 取扱説明書に記載されたもの。 

7.2 

試験条件 試験条件は,次のとおりとする。 

(1) 測定セル温度 取扱説明書に記載された測定セル温度。 

(2) 周囲湿度 20℃以上30℃以下。 

(3) 相対湿度 65±20% 

(4) 電源電圧 定格電圧 

(5) 予備運転 取扱説明書に記載された方法で予備運転を行う。 

(6) 校正 予備運転後,BODs校正液を用い取扱説明書に記載された方法で校正を行う。 

7.3 

試験方法 試験方法は,次のとおりとする。 

(1) 繰返し性 取扱説明書に記載されたBODs校正液を5回送液し,得たデータの平均値及び各測定値と

平均値との偏差を求める。 

(2) 応答時間 測定セル内に緩衝液を送液した状態で微生物電極の出力電流が一定値に達した後,BODs

校正液を送液して出力電流を記録し,送液前後の出力電流の差が,最終値の90%に達するまでの時間

(応答時間)を求める。ここでバッチ方式の動作が可能な計測器ではバッチ方式で測定し,BODs校

正液の添加量は規定量とする。 

また,フロー方式の動作だけが可能な計測器ではフロー方式で測定し,測定中,規定量のBODs校

正液を一定の流速で送液し続ける。 

(3) 電圧変動に対する安定性 電源電圧を定格電圧に保って(2)の方法でBODs校正液を送液して,指示値

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が一定値(最終値)に達した後,電源電圧を定格電圧の±10%変化させる。電圧変動に伴う指示値の

変化量と,定格電圧に保ったときの指示値との比の百分率を,指示値の変動とする。 

(4) 絶縁抵抗 計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱(接地端子)との間の絶縁抵抗をJIS 

C 1302に規定する直流500V絶縁抵抗計で測定する。 

(5) 耐電圧 計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間に定格周波数の交流電圧1 000V

を1分間加え,異常がないことを確認する。 

8. 表示 表示として,計測器に容易に消えない方法で,次の事項を記入する。 

(1) 名称及び製造業者が定めた計測器の形名又は形式 

(2) 電源種別及び容量 

(3) 伝送出力の種類(必要のある場合) 

(4) 製造業者名(又はその登録商標) 

(5) 製造年月(又はその略号)又は製造番号 

9. 取扱説明書 取扱説明書には,次の事項を記載しなければならない。 

(1) 使用方法に関する事項 

(1.1) 設置場所の選択及び使用周辺温度範囲(製造業者が保証する周辺温度範囲) 

(1.2) 計測器の構造,配線及び配管の概略 

(1.3) 試薬の調製及び保存方法,固定化微生物膜の保存方法(製造業者が試薬などをすべて供給するとき

は,調製方法については記載しなくてもよい。),及び固定化微生物膜等の取扱いに関する衛生上の

留意点。 

(1.4) 測定に関する事項 

(a) 固定化微生物膜の活性化 

(b) 測定の準備 

(c) 校正方法及び頻度 

(d) 測定方法 

(e) 測定停止時の処理 

(f) 計測器の直線性の成立範囲,妨害物質に対する留意点など測定に関する事項 

(2) 保守に関する事項 

(a) 固定化微生物膜又は微生物電極の交換の標準的な頻度 

(b) 固定化微生物膜の交換及び微生物電極の組立方法,又は微生物電極の交換方法 

(c) 検出部,配管などの清掃及び保守 

(d) 故障時の対策 

(3) 使用上の注意事項 

(a) 日常点検の方法 

(b) 定期点検の方法 

付表1 引用規格 

JIS C 1302 絶縁抵抗計(電池式) 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

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K3602-1990  

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JIS K 0102 工場排水試験方法 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0803 溶存酸素自動計測器 

JIS K 3600 バイオテクノロジー用語 

JIS K 8824 ぶどう糖(無水)(試薬) 

JIS K 9047 L−グルタミン酸(試薬) 

JIS Z 8103 計測用語 

生物化学的酸素消費量 (BOD) 計測器原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

◎ 

軽 部 征 夫 

東京大学先端科学技術研究センター 

○ 

水 谷 文 雄 

工業技術院繊維高分子研究所生体工学部生体情報エネルギー研究室 

西   末 雄 

工業技術院化学技術研究所化学標準部有機計測課 

橋 永 忠 志 

工業技術院微生物工業技術研究所応用生物部複合微生物研究室 

増 田   優 

通商産業省基礎産業局バイオインダストリー室 

◇* 

細 川 幹 夫 

通商産業省工業技術院標準部繊維化学規格課 

引 馬 基 彦 

味の素株式会社中央研究所プロセス開発研究所 

松 本 邦 男 

東洋醸造株式会社メディカル事業部 

浅 野 泰 一 

電気化学計器株式会社開発部第一グループ 

星 川   寛 

株式会社富士電機総合研究所 

広 瀬 幸 夫 

三菱油化株式会社研究部 

本 橋 亮 一 

東亜電波工業株式会社分析技術部分析機器研究グループ 

森 川   康 

協和発酵工業株式会社研究開発企画室 

依 田 賢太郎 

東洋紡株式会社研究総括部 

松 井 秀 弘 

栗田工業株式会社新事業推進本部分析センター 

向 井 貞 喜 

日新電機株式会社研究開発部研究部 

赤 木 秀 人 

財団法人バイオインダストリー協会 

関係者 松 本 満 男 

通商産業省基礎産業局バイオインダストリー室 

浦 野 四 郎 

工業技術院標準部繊維化学規格課 

飯 島 啓 子 

工業技術部標準部繊維化学規格課 

◎委員長 ○分科会長 *分科会委員兼任 ◇当初は桜井俊彦 

K3602-1990  

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化学分析部会 バイオテクノロジー専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

鈴 木 周 一 

埼玉工業大学工学部 

川 瀬   晃 

工業技術院化学技術研究所化学標準部 

山 内 愛 造 

工秦技術院繊維高分子材料研究所素材合成部 

太 田 隆 久 

東京大学農学部 

遠 藤   勲 

理化学研究所化学工学研究室 

大 熊 道 雄 

横浜国立大学工学部 

奥 村 知 一 

環境庁水質保全局 

増 田   優 

通商産業省基礎産業局 

長 沢 勝 利 

財団法人バイオインダストリー協会 

白 木   勝 

工業技術院微生物工業技術研究所 

細 川 幹 夫 

工業技術院標準部 

奥 村 知 一 

環境庁水質保全局 

角 田   勝 

三菱化成株式会社ライフサイエンス室 

三 木 敬三郎 

東亜燃料工業株式会社基礎研究所 

池 永   裕 

キリンビール株式会社研究開発部 

安 田 武 夫 

ライフエンジニアリング株式会社 

西 野 賢 貴 

東レ株式会社東京本社研究開発企画部 

坂 田   衞 

株式会社島津製作所東京分析センター計測事業本部 

島 田 光太郎 

合同酒精株式会社研究開発部 

仲   恭 寛 

天野製薬株式会社研究開発部 

中 島 和 男 

宝酒造株式会社バイオインダストリー部 

倉 林   肇 

住友ベークライト株式会社医療機器事業部 

緒田原 蓉 二 

株式会社日立製作所システム事業部 

(事務局) 

吉 村 大 輔 

工業技術院標準部繊維化学規格課 

山 本 健 一 

工業技術院標準部繊維化学規格課