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K 3600 : 2000  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人バイオインダストリー (JBA) /財

団法人日本規格協会 (JSA) から工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工

業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS K 3600-1989

は改正され,この規格に置き換えられる。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 3600 : 2000 

バイオテクノロジー用語 

Biotechnology−Vocabulary 

1. 適用範囲 この規格は,バイオテクノロジー分野で用いる主な用語について規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの

規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年(又は発行年)を付

記していない引用規格は,その最新版(追補を含む)を適用する。 

JIS K 3610 : 1992 生体工学用語(生体化学部門) 

JIS K 3611 : 1995 生体工学用語(生体システム部門) 

3. 用語の分類 用語は次のように分類する。 

3.1 

基礎事項 

a) 一般的事項 

b) 酵素,タンパク質工学 

c) 微生物,微生物工学 

d) 動物細胞,植物細胞,細胞工学 

3.2 

基礎技術 

a) 培養,培養工学 

b) 細胞融合 

c) 遺伝子操作,遺伝子工学 

d) 一般的操作 

e) 器具・装置 

3.3 

応用技術 

a) 発酵 

b) バイオリアクター 

c) バイオインフォマティックス 

d) バイオレメディー 

e) その他 

4. 定義 用語及び定義は次のとおりとする。 

備考1. 二つ以上の用語を並べた場合は,その順位に従って優先使用する。 

2. 用語を特定分野に限定して用いる場合には,用語の次に丸括弧書きで記す。例えば,固定化

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K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(生体触媒の) 

3. 用語の定義の中で丸括弧を付けた部分は,詳細な説明をするためのものである。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

1101 

アーサス現象/

アルチュス現象 

あーさすげんしょ

う/ 

あるちゅすげんし

ょう 

Arthus  

phenomenon/ 

Arthus reaction 

感作動物の皮内に抗原を注射したときに,免疫複合体により

起こされる炎症反応。即時型反応 (immediate-typ reaction)   

よりは遅れるが,遅延型反応 (delayed-type reaction) よりも早

くみられるので,アレルギー反応の第3型 (acutetype reaction) 

とよばれることもある。 

1102 

アーティファク

ト 

あーてぃふぁくと 

artefact 

実験又は処理の過程で起こった人工的変化。極限的な研究,

初期の電子顕微鏡像などについてよく現れていた。 

1103 

RNA/リボ核酸 

あーるえぬえー/ 

りぼかくさん 

ribonucleic acid 

D−リボースを糖成分とする核酸。アデニン,グアニン,シ

トシン,ウラシルが塩基成分のほとんどを占めるが,他にチ

ミンをはじめ様々な微量塩基を含むものがある。 

1104 

RQ/呼吸商 

あーるきゅう/ 

こきゅうしょう 

respiratory  

quotient 

CO2呼出量とO2吸収量との比。ガス分析で求められる量で,

体内でどの栄養素が酸化されてエネルギー源となっているか

を知るための指標となる。 

1105 

アガロース 

あがろーす 

agarose 

寒天の主成分 (70%) で,β- (1→4) -D-galactosyl-α- (1→4) 

-L-3,6-anhydrogalactoseを単位とする多糖。冷水には溶けない

が熱水に溶ける。濃度0.5〜2%の溶液で作ったゲルは巨大網

状構造をもち,高分子でも自由に拡散できるので,免疫沈降

法,電気泳動の支持体として用いる。 

1106 

アクチン 

あくちん 

actin 

細胞骨格を構成する主要な球状たん白質の1つ。筋収縮,原

形質流動などの細胞運動に関与している。(分子量約42KDa) 

1107 

アジュバント 

あじゅばんと 

adjuvant 

免疫系を刺激して,抗原に対する免疫応答を修飾する物質の

総称。通常,抗体産生や細胞性免疫の強化に用いられる。り

ん酸アルミニウム,フロイントアジュバントなどがある。 

1108 

アポトーシス/

プログラム死 

あぽとーしす/ 

ぷろぐらむし 

apoptosis/ 

programed cell  

death 

生理的条件下で細胞自らが積極的に引き起こす細胞の死。細

胞は萎縮し,細胞の内容物が細胞外に放出されることなく周

囲の細胞に速やかに取り込まれて処理されるので炎症を引き

起こさない。 

1109 

アミノ酸 

あみのさん 

amino acid 

同一分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する化合物。た

だし,たん白質の構成アミノ酸の場合にはプロリン,ハイド

ロキシプロリンのようなイミノ酸もアミノ酸として取り扱

う。 

1110 

アミノ酸残基 

あみのさんざんき 

aminoacid residue 

ポリペプチドの構成単位で,ペプチド結合する際に除かれた

−H,−OH以外のアミノ酸部分の総称。したがってたん白質

やペプチドのなかでは,N,C両末端以外のアミノ酸はすべ

て同様のアミノ酸残基の形で存在する。残基とは結合のとき

に除去される原子団以外の基という意味。 

1111 

アミノ酸組成 

あみのさんそせい 

amino acid  

composition 

たん白質やペプチドに含まれるアミノ酸のmol量比を試料の

分子量がはっきりしないときは量比をmol%で示す。アミノ

酸組成からそのたん白質の概略の性質を推定できる。 

1112 

アミノ糖 

あみのとう 

amino sugar 

糖の水酸基がアミノ基で置換された構造をもつ化合物の総

称。天然界では多糖,糖たん白質,糖脂質の構成分や抗生物

質の成分として存在する。 

1113 

α−ヘリックス 

あるふぁーへりっ

くす 

α-helix 

たん白質やポリペプチドが示す二次構造の1種でら旋状に伸

びた構造。Glu,Met,Ala,Leuはαヘリックスを形成しやす

い。シート状の構造をもつβシートと対応する。 

1114 

αフェトプロテ

イン 

あるふぁふぇとぷ

ろていん 

α-fetoprotein 

電気泳動的にα1グロブリン領域にくる胎児性たん白質。分子

量約70KDaの1本のポリペプチド鎖よりなり,約4%の糖を

含む。一時,肝細胞癌及び卵黄のう(嚢)腫瘍の特異的診断

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K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

法として注目されたが,正常人血清中にもわずかにその存在

が知られ,特異的診断法としての意義は,少し薄らいだ。 

1115 

アルブミン 

あるぶみん 

albumin 

動植物細胞,体液中に含まれる硝酸アンモニウム50%飽和溶

液に可溶なたん白質の総称。分子量は64KDa程度である。等

電点は5〜6のものが多い。代表的なものとして,血清アルブ

ミン,オボアルブミンなどがある。 

1116 

アレルギー 

あれるぎー 

allergy 

感作動物にもう一度その抗原が入った場合に起こる強い免疫

反応。抗体の関与する即時型アレルギー,感作Tリンパ球が

関与する遅延型アレルギーとアーサス現象がある。 

1117 

アレルゲン 

あれるげん 

allergen 

アトピー又はアレルギーを起こす物質の総称。 

1118 

アロステリック

効果 

あろすてりっくこ

うか 

allosteric effect 

(1)酸素の基質結合部位とは異なる部位とエフェクター物質

との結合による酵素分子の構造変化に伴う酵素活性の正若し

くは負の変化。 

(2)たん白質との結合によって,その高次の構造に変化が生じ

る現象。 

1119 

アンジオテンシ

ン 

あんじおてんしん 

angiotensin 

血中に含まれ,血圧や体液調節に関与するペプチド。I II III

の三種類あり,Iは昇圧作用があり,IIは昇圧作用とアルドス

テロン分泌作用があり,IIIはIIの半分の昇圧作用と等価のア

ルドステロン分泌作用がある。 

1120 

イオノフォア 

いおのふぉあ 

ionophore 

細胞膜又は人工脂質膜に作用して,イオン透過性を高める働

きをする物質。イオンと疎水性の複合体を作り,膜の疎水性

領域を通過することによってイオンの透過性を高める。バリ

ノマイシン,モネンシンなどの抗生物質が知られている。 

1121 

イオンポンプ/

イオンチャンネ

ル/イオン輸送 

いおんぽんぷ/ 

いおんちゃんねる

/いおんゆそう 

ion pump/ 

ion channel/ 

ion transport 

細胞膜を通してイオンを選択的に輸送するたん白質複合体。

能動輸送 (active transport) をポンプ,受動輸送 (passive 

transport) をチャンネルという。能動輸送はイオンポンプなど

のように膜内外の電気化学的ポンテンシャルの勾配に逆らっ

て輸送される現象。受動輸送には輸送体を介さない拡散と輸

送体を介する促進拡散 (facilitated diffusion) がある。 

1122 

異化作用 

いかさよう 

catabolism/ 

dissimilation 

物質代謝において,化学物質をより簡単な物質に分解する過

程。異化作用で放出される化学エネルギーはATPに移されい

ろいろな生物活動に利用される。 

1123 

いき値 

いきち 

threshold value 

作用を起こせる最小有効値。生体に作用を及ぼす物質の作用

限界点を示すのに用いられる。致死いき値,刺激いき値など

という。 

1124 

育種 

いくしゅ 

breeding 

微生物や動植物において,野生又は既存の株や系統・品種を

用い,従来のものよりも遺伝的に優れたものを育成すること。

交配,誘導変異に加えて,遺伝子操作が用いられる。 

1125 

異数体 

いすうたい 

heteroploid 

ある生物種において,その種に固有の基本数の倍数(その種

が単相であれば半数)より一個若しくは数個多いか,又は少

ない染色体数をもつ個体。異数体は細胞分裂の異常によるも

のと考えられている。 

1126 

一次構造(たん

白質の)/アミ

ノ酸配列 

いちじこうぞう

(たんぱくしつ

の)/あみのさん

はいれつ 

primary structure  

(of protein) / 

amino acid  

sequence 

たん白質におけるアミノ酸の連結している配列順序及びジス

ルフィド結合の存在位置を含めた一次元的な全共有結合構

造。この構造はその構造遺伝子であるDNA上の塩基配列に

よって一義的に定まっている。たん白質の高次構造は基本的

に,その一次構造によって規定されると考えられる。 

1127 

一代雑種 

いちだいざっしゅ 

first filial  

generation 

ある対立遺伝子について,各々は全く同一の遺伝子組をもつ

が互いに異なる対立遺伝子組をもつ両親の間の交雑によって

生じた子。F1で表すことがある。雑種に両親よりも優れた形

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K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

質が現れること(雑種強勢)を利用した育種に応用される。 

1128 

インターフェロ

ン 

いんたーふぇろん 

interferon 

リンパ球や繊維芽細胞など様々な細胞が生産し,抗ウイルス

作用や抗ガン作用などを示す生理活性たんぱく質。α,β,γ

の主要サブタイプがあり,生理作用の違いから,α/βをI型,

γをII型と呼ぶ場合もある。 

1129 

インテイン 

いんていん 

intein 

タンパク質が自己触媒作用によって成熟タンパク質になる際

に切り出されるタンパク質の領域。 

1130 

エクソトキシン 

えくそときしん 

exotoxin 

細菌が生産し,菌体外に容易に放出される毒性物質。ジフテ

リアトキシン,ボツリヌストキシンなどの高分子たん白質は

熱に不安定で,毒性が強い。 

1131 

SOS修復/ 

SOS機能 

えすおーえすしゅ

うふく/ 

えすおーえすきの

う 

SOS repair/ 

SOS function 

DNAが傷害を受けたときその傷害部位を越えてDNA複製を

行って修復する機構。エラーがち修復 (error-prone repair) と

もいい,変異を伴うことが多い。特定の修復機構で修復でき

ないような傷害を修復するための緊急機構と考えられる。 

1132 

HLA/ 

人白血球抗原 

えっちえるえー/ 

ひとはっけっきゅ

うこうげん 

human leukocyte  

antigen 

すべての有核細胞表面上に表現されているヒトの主要組織適

合抗原。その遺伝子は,ヒト第6染色体短腕上に密に連鎖し

て存在する。移植抗原,免疫監視機能,免疫応答の遺伝的制

御,ある種の難病の発症に関与している。 

1133 

H鎖/重鎖 

えっちさ/ 

じゅうさ 

H-chain/ 

heavy chain 

免疫グロブリン分子を構成する2種類のポリペプチド鎖のう

ち,長い方の鎖。一次構造の特徴から可変部と定常部からな

る。 

1134 

F因子 

えふいんし 

F-factor/ 

fertility factor 

大腸菌の性決定因子。F因子は伝達性のプラスミドの1種で,

F+菌の線毛を媒体としてF−菌と接触,接合してプラスミドゲ

ノムを伝達する。F因子が大腸菌の染色体に組み込まれると

Hfr菌となり,接合伝達のときF因子に隣り合う染色体DNA

を,一定方向で受容菌に移入できる。 

1135 

LAL/カブトガ

ニの血球溶解成

分 

えるえーえる/ 

かぶとがにのけっ

きゅうようかいせ

いぶん 

limulus  

amebocyte  

lysate 

カブトガニの白血球の溶解成分を原料とする試薬。エンドト

キシン,β (1→3) -D-グルカンを検出,又は定量するために調

製された。 

1136 

L鎖/軽鎖 

えるさ/けいさ 

L-chain/ 

light chain 

免疫グロブリン分子を構成する2種類のポリペプチド鎖のう

ち,短い方の鎖。一次構造の特徴から可変部と定常部からな

る。 

1137 

塩基性たん白質 

えんきせいたんぱ

くしつ 

basic protein 

等電点がアルカリ性側にあるたん白質。アルギニンやリジン

などの塩基性アミノ酸の含量が酸性アミノ酸に比べて多い。

ヒストン,プロタミン,リゾチームなどが代表例である。 

1138 

塩基対 

えんきつい 

base pair 

核酸の塩基のうち定まった組合せの2個が水素結合によって

対合したもの。DNAではアデニンとチミン,グアニンとシト

シン,RNAではアデニンとウラシル,グアニンとシトシンが

対合する。核酸の複製,転写,mRNAとtRNAの相互作用に

重要な役割を果たす。 

1139 

塩基配列 

えんきはいれつ 

base sequence 

核酸分子鎖においてヌクレオチドの連結している順序。遺伝

情報はこれによって定まっている。 

1140 

エンドサイトー

シス 

えんどさいとーし

す 

endocytosis 

細胞膜を介する外界からの物質取込み作用の総称。細胞膜は

小胞を形成し,これがリゾチームと融合する。膜成分は最終

的に細胞膜に復帰すると考えられている。 

1141 

エンドトキシン

/ 

内毒素 

えんどときしん/ 

ないどくそ 

endotoxin 

グラム陰性細菌の菌体成分中にある毒性物質。その本体はリ

ポ多糖で,発熱,インターフェロン誘導活性を示す。 

1142 

オリゴ糖/少糖 

おりごとう/しょ

oligosaccharide 

2〜10個程度の単糖分子が脱水縮合した構造をもつ物質。天

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K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

うとう 

然のオリゴ糖の大半は元来配糖体や複合糖質として存在して

いたものである。 

1143 

オリゴマーたん

白質 

おりごまーたんぱ

くしつ 

oligomer protein 

二つ以上のポリペプチド鎖から構成されたたん白質。各構成

ペプチド鎖単位は,サブユニットまたはプロトマーとよばれ

る。ヘモグロビンなどが代表例である。 

1144 

カードラン 

かーどらん 

curdlan 

Alcaligenes gaecalisから抽出された高分子物質で,β (1→3)   

-D-グルカンの直鎖状高分子とβ (1→6) との枝分かれ構造を

もつ。分子量70KDa〜90KDa。 

1145 

解糖 

かいとう 

glycolysis 

嫌気的条件下におけるぶどう糖又はグリコーゲンから乳酸へ

の分解反応。ほとんどの生物に存在するエネルギー獲得系で

ある。 

1146 

化学的酸素要求

量/COD 

かがくてきさんそ

ようきゅうりょう

/しーおーでぃー 

chemical oxygen  

demand/COD 

水の汚染度を表す指標。被検水に酸化剤として重クロム酸カ

リウムなどを加えて反応させ,その消費量から化学的に消費

される酸素量を求め,ppmを単位として表す。BODに比べて

短時間に測定できるが,生物学的酸化を受けやすい有機物と

安定な有機物及び無機被酸化物を区別できない。 

1147 

核酸 

かくさん 

nucleic acid 

ヌクレオチド残基が多数つながった高分子物質の総称。糖部

分がリボースかデオキシリボースかによってRNAとDNAの

2種に大別される。 

1148 

核酸塩基 

かくさんえんき 

nucleic acid base 

DNAやRNAの構成要素となっている窒素を含む複素環式化

合物。アデニン,グアニン,シトシン,ウラシル,チミンが

その主なものである。 

1149 

核小体/仁 

かくしょうたい/ 

じん 

nucleolus 

真核細胞の核内にあるリボゾームRNAの合成とリボゾーム

の組立を行っている小体。 

1150 

核内低分子 

RNA 

かくないていぶん

しあーるえぬえー 

small nuclear  

RNA/snRNA 

真核生物の核中に存在する低分子RNA。スプライシング,プ

ロセッシングなどに関与していると考えられている。 

1151 

カスケード反応 

かすけーどはんの

う 

cascade reaction 

連鎖的反応増幅機構。血液凝固などで見られる。 

1152 

活性酸素 

かっせいさんそ 

active oxygen 

1O2,・O2−,H2O2,・OHなどの高い反応性を示す酸素分子種。

一酸化窒素,オゾン,過酸化脂質なども広義の活性酸素に含

められる。生体防御系や細胞内シグナル系で重要な働きをす

るが,生体成分に様々な酸化障害を起こし,老化や疾病の原

因となる。 

1153 

カップリング/

共役 

かっぷりんぐ/ 

きょうえき 

coupling 

二つ以上の反応について,一つの反応の生成物が,他方の反

応の基質となるような系列をつくっているとき,これらの反

応は共役(カップリング)しているという。その共通の中間

体としては,化合物のこともあるし,また,電子やイオン濃

度の差であることもある。 

1154 

カリオプラスト

/核体 

かりおぷらすと/ 

かくたい 

karyoplast 

サイトカラシンで処理された培養細胞は,マイクロフィラメ

ントの網目構造が破壊されて細胞膜でつつまれた核が突出す

る。これを遠心分離して細胞質体(サイトプラスト)と分け

たもの。 

1155 

機能性高分子 

きのうせいこうぶ

んし 

functional polymer 

特定の機能をもった合成ポリマー。生体由来のたん白質を含

めることもある。 

1156 

キメラ 

きめら 

chim(a)era/ 

chim(a)eric 

(1)2個以上の遺伝的に異なる体細胞からなる単一個体。 

(2)2個以上の異なる分子の部分的複合体を表す形容詞。 

例えば,キメラ個体,キメラたん白質,キメラDNA。同様な

現象をモザイクということもある。 

1157 

凝集反応(抗原

の) 

ぎょうしゅうはん

のう(こうげんの) 

agglutination  

reaction 

細菌,赤血球などの表面抗原又は粒子表面に吸収させた抗原

(凝集原)とそれに対応する抗体(凝集素)との抗原抗体反

background image

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

応に由来する巨大塊形成反応。 

1158 

組換え体の第一

種利用 

くみかえたいのだ

いいっしゅりよう 

the type 1 uses of  

recombinant  

organisms 

工場や施設内の限定した区域などの人為的に外界から隔離さ

れた条件下での組換え体の利用。 

1159 

共通塩基配列 

きょうつうえんき

はいれつ 

consensus  

sequence 

ある遺伝子領域(例えば,プロモーター,ターミネーターな

ど)に最も頻度高く出現する塩基配列から帰納した理論的配

列。理論的配列に近い実際の配列を指すこともある。 

1160 

キラー因子 

きらーいんし 

killer factor 

異なる二つの系統のゾウリムシや酵母を同じ容器で培養する

とキラーたん白質(キラー因子)を出して一方が他方を殺す

ことがある。キラー因子の遺伝子は,プラスミド上にあるが,

その保持は核遺伝子支配である。有用酵母の育種に応用され

ている。 

1161 

金属たん白質 

きんぞくたんぱく

しつ 

metalloprotein 

重金属イオンを構成成分の一つとして結合しているたん白

質。ヘムたん白質,各種金属酵素(ニトロゲナーゼ,アルコ

ールデヒドロゲナーゼ,フェレドキシンなど)がある。 

1162 

組換え体の第二

種利用 

くみかえたいのだ

いにしゅりよう 

the type 2 uses of  

recombinant  

organisms 

バイオレメディエーションなど人為的に制御がなされていな

い自然条件下の限定された区域での組換え体の利用。 

1163 

クラススイッチ 

くらすすいっち 

class switch 

免疫グロブリン産生においてクラスの変換が起こること。

lgMが最初に産生され,ついでlgG産生に置き代わる,すな

わち免疫グロブリン遺伝子の中でH鎖のC領域をコードする

部位の上流にあるS領域 (switch region) での組換え。 

1164 

グリコシド/ 

配糖体 

ぐりこしど/ 

はいとうたい 

glycoside 

糖の還元基と,糖又は,他の化合物の水酸基(まれにSH基,

NH2基)の脱水縮合により結合した物質の総称。多糖類をは

じめとしてO-グリコシドは広く生物界に存在する。N-グリコ

シドとして核酸,補酵素などがあげられる。 

1165 

クローン 

くろーん 

clone 

1)共通の祖先から無性生殖によって生じた遺伝的に均一な細

胞又は個体。2)無性的に生じた個体で,親と全く遺伝的に同

じ個体(クローンカエル)。3)遺伝子操作で特定の遺伝子を

ベクターに結合させ,均一な遺伝子集団を得られるようにな

ったもの。 

1166 

クロマチン/ 

染色質 

くろまちん/ 

せんしょくしつ 

chromatin 

真核生物の染色体物質で,DNA,RNA,たん白質,脂質から

なる複合体。その基本構造はヌクレオソームである。 

1167 

血清 

けっせい 

serum 

凝固していない全血液から血球を除いたもの。動物細胞培養

の重要な構成分の一つでもある。凝固した血液から凝固部分

を除去したものを血漿という。 

1168 

ゲノム 

げのむ 

genome 

生物個々の種を特徴づけながら,生命を維持できる最小限の

遺伝子群を含む染色体の組。ヒトでは1ゲノムの染色体数は

23本である。 

1169 

抗イディオタイ

プ抗体 

こういでぃおたい

ぷこうたい 

anti-idiotype  

antibody 

抗体の可変領域(V領域)をエピトープとする抗体。つまり

抗体のレプリカに対するそのまたレプリカが抗イディオタイ

プ抗体である。目的の抗体産生を,抗原そのものを用いる代

わりに抗イディオタイプ抗体で誘導できることになる。 

1170 

好塩基顆粒 

こうえんきかりゅ

う 

basophil/ 

basophilic leukocyte 

酸性の糖たん白質を含む顆粒球をもつ多形核白血球。ヒスタ

ミンとヘパリンを放出してアナフィラキシーを起こす。血流

中の白血球の約0.5%を占める。 

1171 

抗原 

こうげん 

antigen 

抗原抗体反応又は免疫応答を誘発し得る物質の総称。免疫原

性をもつ完全抗原に対して,比較的小さな分子で免疫原性を

もたない抗原をハプテンという。ハプテンを適当な担体と結

合させると抗原性がでてくる。 

background image

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

1172 

抗原決定基/ 

エピトープ 

こうげんけってい

き/えぴとーぷ 

antigenic  

determinant/ 

epitope 

抗原抗体反応において,抗原たん白質の分子表面に存在する

抗体と特異的に結合する特定部位。ハプテンは抗原決定基に

相当し,構造既知の抗原決定基をエピトープという。抗原決

定基は相対的な生物学的意味を表し,対応する抗体によって

初めて決まる。 

1173 

光合成 

こうごうせい 

photosynthesis 

光のエネルギーによって二酸化炭素と電子供与体から有機物

を合成する生物反応。 

1174 

高次構造(たん

白質の,核酸の) 

こうじこうぞう

(たんぱくしつ

の,かくさんの) 

higher-order 

structure 

たん白質のような鎖状高分子は分子鎖が折りたたまれて2次

構造,3次構造,4次構造をつくる。3次構造以上を高次構造

という。活性や機能の発現に必す(須)である。 

1175 

抗生物質 

こうせいぶっしつ 

antibiotics 

微生物などの生物が生産し,病原微生物・ウイルス・寄生虫・

癌細胞などの発育若しくは機能を選択的に阻害する又は致死

的に作用する物質及びそれらの合成誘導体。 

1176 

抗体 

こうたい 

antibody 

免疫反応において,抗原の刺激によって生体内に作られ,そ

の抗原と特異的に結合するたん白質の総称。免疫グロブリン

がその本体であり,生体防御を引き起こす役割を担う。 

1177 

硬たん白質 

こうたんぱくしつ 

scleroprotein 

分子間に共有結合性の架橋などが存在するため,通常の塩溶

液などには不溶で,酵素や化学処理にも抗抵性のあるたん白

質。コラーゲン,ケラチン,エラスチンなどがある。 

1178 

固定化(生体触

媒の) 

こていか(せいた

いしょくばいの) 

immobilization  

(of biocatalyst) 

酵素や微生物などの生体由来の触媒をある一定の空間内に閉

じ込めた状態にすること。固定化の方法には,非水溶性の担

体 (carrier) に結合させる担体結合法,試薬によって架橋する

架橋法,適当な素材で包み込む包括法がある。 

1179 

コンビナトリア

ルケミストリー 

こんびなとりある

けみすとりー 

combinatorial  

chemistry 

基本骨格と様々な修飾基を自動合成手法で結合させることに

よって多様な化合物群を同時に合成すること。 

1180 

シクロデキスト

リン 

しくろできすとり

ん 

cyclodextrin 

グルコースが環状構造に結合したもの。グルコース6分子,7

分子,8分子からなるものをそれぞれα,β,γ−シクロデキス

トリンという。ドーナツ状の構造をしており,適当な大きさ

の有機分子をその中に包接できる。また人工酵素のモデルと

しても利用されている。 

1181 

最小致死量/ 

MLD 

さいしょうちしり

ょう/ 

えむえるでぃー 

minimum lethal  

dose 

一定条件下で生物集団を死亡させるに足る薬剤などの最小

量。毒物,病原微生物,ワクチンなどの力価測定に適用され

る。 

1182 

最少培地 

さいしょうばいち 

minimum  

medium 

生育に必要最少限の成分だけからなる培地。栄養要求性変異

株の取得,各種栄養物の生物に対する効果を検討するための

基本培地。 

1183 

最適温度 

さいてきおんど 

optimum  

temperature 

酵素,細胞又は生体組織に最大の活性を発現させる温度。 

1184 

最適pH 

さいてきぴーえい

ち 

optimum pH 

酵素,細胞又は生体組織に最大の活性を発現させるpH条件。 

1185 

サイトカイン 

さいとかいん 

cytokine 

リンパ球,マクロファージ,繊維芽細胞などが産生するリン

パ球に作用して分化を誘導するたん白性物質の総称。 

1186 

サイトカラシン 

さいとからしん 

cytocharasin 

カビの代謝産物で,マイクロフィラメント系の関与する現象

を可逆的に阻害する物質。動物細胞をこの薬剤で処理すると

濃度によって多核細胞や脱核を起こす。サイトカラシンBが

最もよく利用される。 

1187 

栽培漁業 

さいばいぎょぎょ

う 

cultured fishery 

特定の海域に魚礁,海藻の人工造林などを行い,漁場の改善・

造成を図り,人工育成した種苗を放流して漁業の増産を図る

こと。増殖・養殖を含めていうことが多い。 

1188 

細胞骨格 

さいぼうこっかく 

cytoskeleton 

真核細胞の細胞質に縦横にはりめぐらされた網目状の構造

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K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

体。細胞の形,運動を制御。チューブリンからなる微小管,

アクチンからなる微小繊維,デスミンやビメンチンからなる

中間腺維などから構成されている。 

1189 

雑種不稔性 

ざっしゅふねんせ

い 

hybrid sterility 

交配又は融合によって生じた雑種が,通常の交配などにより

子孫を残せない現象。自然集団の局所的種間で起こる交雑に

多くみられる。 

1190 

サテライト

DNA 

さてらいとでぃー

えぬえー 

satellite DNA 

細胞から取り出したDNAを平衡密度勾配遠心にかけると,

主要なDNAバンドのほかに現れる低分子DNAバンド。これ

はプラスミドのような独立の分子に由来することが多いが,

大きな核DNAから切り出された特異な断片(反復塩基配列

など)のこともある。 

1191 

サブユニット構

造 

さぶゆにっとこう

ぞう 

subunit  

structure 

一つの機能発現単位が非共有結合で会合した複数個の構成成

分から成り立っている構造。アロステリック効果の発現にお

いてサブユニットの会合や解離を伴うことが多い。また2種

類の全く異なる酵素の会合によって,新しい酵素機能が発現

することもある。 

1192 

酸化的りん酸化 

さんかてきりんさ

んか 

oxidative  

phosphorylation 

呼吸によって有機物の酸化から生じる電子の伝達系に共役し

てATPを生産するりん酸化反応。生体にATPを供給する主要

な反応である。ミトコンドリア内膜又は原核細胞の形質膜に

おいて行われる。 

1193 

酸性たん白質 

さんせいたんぱく

しつ 

acidic protein 

等電点が酸性側にあるたん白質。アスパラギン酸とグルタミ

ン酸のような酸性アミノ酸の含量が塩基性アミノ酸に比べて

多い。代表的なものにペプシン,リボヌクレアーゼT1などが

ある。 

1194 

C領域/恒常部

/定常部/定常

領域 

しーりょういき/ 

こうじょうぶ/ 

ていじょうぶ/ 

ていじょうりょう

いき 

constant region 

免疫グロブリンのH及びL鎖のうち,クラス又はサブクラス

に共通して存在する構造領域。 

1195 

シグナルペプチ

ド 

しぐなるぺぷちど 

signal peptide 

分泌たん白質のアミノ末端にある細胞膜透過機構に関与する

15〜30個ほどの主として疎水性アミノ酸からなる配列。膜通

過に当たって先導役を務めると考えられている。この配列を

目的たん白質に接続して,細胞外へそのたん白質を排出させ

るために利用できると考えられている。 

1196 

脂質二重層/ 

脂質二分子膜 

ししつにじゅうそ

う/ 

ししつにぶんしま

く 

lipid bilayer 

りん脂質などの極性脂質が,2分子の厚さに整列した膜状構

造。これが主体膜の基本構造であると考えられている。 

1197 

ジスルフィド結

合/S-S結合 

じするふぃどけつ

ごう/えすえすけ

つごう 

disulfide bond 

二つのSH基が酸化されることによって形成される結合。た

ん白質のジスルフィド結合は,二つのシステインが酸化され

てできたシスチン残基に由来するものでたん白質の三次元構

造の保持に重要な役割を担う。 

1198 

ジベレリン 

じべれりん 

gibbereline 

植物ホルモンの一つ。茎や葉の伸長生長,休眠打破などを促

進する。種なしぶどう,梨や苺の肥大に実用化されている。 

1199 

肪脂酸 

しぼうさん 

fatty acid 

天然の脂質の加水分解によって得られる脂肪族モノカルボン

酸を指す。広義にはジカルボン酸も含まれる。 

1200 

種特異性 

しゅとくいせい 

species specificity 

生物がその種に特異的な構成分をもっていたり,特定の物質

又は環境に対して種独自の反応性を示すこと。ヒトインター

フェロンは,ヒト細胞が作ったもので他の動物には作用しな

い。このような場合,インターフェロンには種特異性がある

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K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

という。 

1201 

消泡剤(発酵液

の) 

しょうほうざい

(はっこうえき

の) 

anti-foaming  

agent/defoamer 

通気発酵中に生じる泡を消す材料。大豆油,合成界面活性剤

などを使用する。 

1202 

小胞体/ER 

しょうほうたい/ 

いーあーる 

endoplasmic  

reticulum 

真核細胞の細胞質内にある膜状の構造体。膜の細胞質側の面

にリボソームがついているのを粗面小胞体,ついていないの

を滑面小胞体という。たん白質の合成あるいは貯蔵が行われ

る場所。 

1203 

植物ホルモン 

しょくぶつほるも

ん 

plant hormone 

植物体内で作られ,伸長生長,肥大生長,細胞分裂,花芽形

成,気孔の開閉,発芽,発根などの生理作用を示す物質。オ

ーキシン,ジベレリン,アブシジン酸,エチレンなどが知ら

れている。植物ホルモンと同様な作用を示すが,天然には存

在しない合成化合物は植物生長調整物質 (plant growth 

regulator, plant growth substance) と呼ぶ。 

1204 

人為突然変異/

誘発変異 

じんいとつぜんへ

んい/ 

ゆうはつへんい 

artificial  

mutation/induced  

mutation 

突然変異の誘発原を作用させて起こす突然変異。自然突然変

異の対語。アルキル化剤,アクリジン色素などの化学物質,γ

線などの物理的処理,トランスポゾン挿入などの生物学的処

理などで変異を誘発できる。 

1205 

真核生物 

しんかくせいぶつ 

eukaryote 

静止期において,核膜に包まれた核をもつ細胞からなる生物。

共通の構造物として,ミトコンドリア,ゴルジ体,リソソー

ム,膜系の小胞体及び細胞内骨格をもつ。 

1206 

人工血液 

じんこうけつえき 

artificial blood 

酸素及び二酸化炭素運搬・交換能力をもち,血液を代替する

化合物。 

1207 

水素供与体/ 

電子供与体 

すいそきょうよた

い/ 

でんしきょうよた

い 

hydrogen donor/  

electron/donor 

酸化還元反応において,他に水素を与えてそれ自身は酸化さ

れる物質。電子の移動と水素の移動とは等価であるので両者

を区別せずに用いる。 

1208 

生合成 

せいごうせい 

biosynthesis 

生体によって行われる同化的な物質の合成。全く新しく合成

される全合成 (de novo synthesis) と異化作用の過程で生じる

分解物の一部が再利用される半合成 (salvage synsthesis) に分

けられる。 

1209 

生体工学/ 

バイオニックス 

せいたいこうがく

/ 

ばいおにっくす 

bionics/ 

biological  

engineering 

生体のもつ機能を人工的手段で実現し,活用しようとする工

学分野。特に生物の情報機能に注目しているところから生体

情報工学ということもある。 

1210 

生体膜 

せいたいまく 

biomembrane 

基本構造が脂質二重層で構成され,細胞及び細胞内小器官を

覆っている膜。二重層の中を膜たん白質が膜を貫き又はその

表面に付着している 

1211 

生理活性物質 

せいりかっせいぶ

っしつ 

physiologically  

active substance 

生物の生理作用を抑制又は助長させる物質。ホルモン,ビタ

ミンなどを指す。 

1212 

接合 

せつごう 

conjugation 

外観上配偶子と栄養細胞の区別がみられない細胞同士の合体

によって,有性生殖が行われる現象。大腸菌では,遺伝子の

移行は一方的で,片方が供与体 (donor) ,他方が受容体 

(recipient) として働く。 

1213 

接合子 

せつごうし 

zygote 

2個の配偶子又は配偶子嚢が接合して生じた細胞。つまり受

精卵又はそれから生じた個体をいう。 

1214 

接合伝達 

せつごうでんたつ 

conjugal transfer 

接合によって遺伝因子が一方から他方に移行する現象。ある

種のプラスミドは細胞と細胞の接触によって伝達される。F

因子,薬剤耐性因子(R因子)などがこの代表例。 

1215 

染色体異常 

せんしょくたいい

じょう 

chromosome  

aberration 

染色体の数や形に変化の起こる現象。数の変化には倍数性,

異数性がある。形の異常として欠失,転座,逆位,重複,挿

background image

10 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

入,環状染色体などがある。 

1216 

染色体不稔性 

せんしょくたいふ

ねんせい 

chromosomal  

sterility 

正常な受粉が行われる交配において,親の染色体間の相同性

の欠如から生じる不稔性。植物の育種に利用されている。例

えば種なし西瓜や十字科の野菜の育種に応用されている。 

1217 

全能性 

ぜんのうせい 

totipotency 

細胞,未受精卵及び発生初期の胚細胞が組織,器官に分化し,

個体を形成する能力を有すること。細胞は通常分化に従って

全能性を失う。 

1218 

相同染色体 

そうどうせんしょ

くたい 

homologous  

chromosomes 

同数の同一若しくは対立遺伝子が同じ順序に配列している1

対の染色体。2倍体の生物においては父方及び母方から由来

した形態の相等しい1対の染色体。 

1219 

早老病 

そうろうびょう 

progeria 

ハッチンソン・ギルフォード症候群に代表される早期老化を

起こす遺伝性疾患。多くは循環器障害を起こし死亡する。 

1220 

組織適合(性)

抗原 

そしきてきごう

(せい)こうげん 

histocompatibility  

antigen 

動物の細胞膜表面にある,同種移植の正否を決定する抗原。

移植拒否反応は免疫現象であり,その主役は細胞性免疫であ

る。 

1221 

体細胞クローン

動物 

たいさいぼうくろ

ーんどうぶつ 

somatic cell  

clone animal 

体細胞の核を脱核した卵細胞に移植することによって作製さ

れたクローン動物。1997年にヒツジの乳腺の培養体細胞の核

を用いてドリーと呼ばれるクローン個体が作製された。 

1222 

体細胞変異 

たいさいぼうへん

い 

somatic  

mutation 

生殖細胞以外のすべての細胞(体細胞)に生じる突然変位。

放射線や化学物質などの変異原物質で処理して突然変異を誘

発するほか,細胞培養中に突然変異が生じることもある。育

種や高生産性細胞株の選抜などに利用される。 

1223 

代謝 

たいしゃ 

metabolism 

生命活動を維持するため,生体又は細胞内で起こっている合

成・分解などすべての化学反応を総合した概念。 

1224 

代謝調節変異株 

たいしゃちょうせ

つへんいかぶ 

metabolic  

regulatory  

mutant 

代謝産物の生合成は,その最終産物又はその関連物質による

主要生合成酵素の生成抑制と活性阻害によって制御されてい

るが,この制御が変化を受けた変異株の総称。工業微生物の

改良にしばしば用いられる。 

1225 

多数体/ 

倍数体 

たすうたい/ 

ばいすうたい 

polyploid 

2組以上のゲノムをもった個体。ゲノムの重複はコルヒチン

などの薬剤処理で高頻度で起こすことができる。奇数倍数体

はしばしば稔性が低く,三倍体の種なし西瓜はこの原理によ

る。 

1226 

多糖 

たとう 

polysaccharide 

数個以上の単糖分子が脱水縮合した構造をもつ物質。同一種

類の単糖から構成されるものは,単純多糖,異種のものは複

合多糖という。 

1227 

単クローン抗体

/モノクローナ

ル抗体 

たんくろーんこう

たい/ものくろー

なるこうたい 

monoclonal  

antibody 

単一な抗原決定基と反応する一次構造が均一な抗体で,細胞

融合で得られるハイブリドーマによって産生される抗体。特

異性の高いものを選ぶこと,均質な製品を作ること,大量生

産ができることなどの特徴がある。これに対して複数の抗原

決定基と反応するものをポリクローナル抗体という。 

1228 

単細胞たん白質

/SCP 

たんさいぼうたん

ぱくしつ/えすし

ーぴー 

single cell  

protein 

たん白質として利用することを目的として生産された微生物

又はその加工品。酵母,細菌,糸状菌,藻類等の微生物を殺

菌乾燥したもの又はそのたん白質を加工したもの。 

1229 

単純脂質 

たんじゅんししつ 

simple lipid 

炭素,水素,酵素より構成される脂肪酸とアルコールとのエ

ステル。これらは一般にアセトンに可溶性である。 

1230 

単純たん白質 

たんじゅんたんぱ

くしつ 

simple protein 

ポリペプチドのみからなるたん白質。溶解性に基づきアルブ

ミン,グルテリン,プロラミン,ヒストン,プロタミンなど

がある。 

1231 

担体(輸送物質

の) 

たんたい(ゆそう

ぶっしつの) 

carrier/support 

細胞内,又は細胞間の輸送において生体膜若しくは体液中に

存在する物質の特異的輸送体。 

background image

11 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

1232 

単糖 

たんとう 

monosaccharide 

加水分解によってそれ以上簡単な分子にならない糖質で,少

糖及び多糖の構成単位となるもの。炭素数に応じてジオース,

トリオース,テトロース,ペントース,ヘキソース,ヘプト

ースなどと呼ぶ。 

1233 

たん白質 

たんぱくしつ 

protein 

L-α−アミノ酸からなるポリペプチドが高次構造を形成した

ものを主要成分とする高分子物質。アミノ酸だけから構成さ

れているたん白質を単純たん白質,アミノ酸以外の構成成分

を含むものを複合たん白質という。 

1234 

沈降反応(免疫

反応の) 

ちんこうはんのう

(めんえきはんの

うの) 

precipitation  

reaction 

抗体と可溶性抗原とが特異的に作用して沈降物を作る反応。

抗原分子間が抗体で架橋され,順次大きな結合物となって沈

殿する。 

1235 

DNA/ 

デオキシリボ核

酸 

でぃーえぬえー/ 

でおきしりぼかく

さん 

deoxyribonucleic  

acid 

デオキシリボースを糖成分とする核酸。DNAは遺伝子の化学

的本体の一つである。 

1236 

テロメア/ 

テロメア仮説 

てろめあ/ 

てろめあかせつ 

telomere/telomere  

hypothesis 

直鎖状染色体の末端部分には数塩基(ヒトの場合6塩基)か

らなる繰り返し配列が存在し,特有のヘアピン構造をもつ。

この部分をテロメアという。テロメア長が細胞分裂ごとに短

縮し,テロメアの短縮に依存して細胞老化が生じるとする仮

説。 

1237 

伝達物質 

でんたつぶっしつ 

transmitter 

シナプス(神経細胞同士又は神経細胞と筋細胞などが互いに

接触して機能的連結を行う場所)において,一方の神経細胞

から分泌されて他方の細胞に興奮性若しくは抑制性の効果を

伝える物質。アセチルコリン,アドレナリン,ドパミンなど

が知られている。 

1238 

同化作用 

どうかさよう 

anabolism 

物質代謝において,原料物質の化学的複雑性を増加する合成

的な化学変化。ATPなどの形で蓄えられたエネルギーを利用

して,簡単な前駆体からたん白質,核酸,多糖,脂質などを

合成すること。 

1239 

糖鎖 

とうさ 

suger chain 

細胞膜に存在するたん白質や脂質に結合している数種の単

糖,又はその複合体。 

1240 

糖脂質 

とうししつ 

glycolipid 

細胞膜に存在する脂質のうち,糖鎖をもつもの。 

1241 

糖たん白質 

とうたんぱくしつ 

glycoprotein 

ポリペプチドに糖質が共有結合したたん白質。生体を構成す

るほとんどのたん白質が糖たん白質として存在する。ムチン

や血清糖たん白質が代表例である。 

1242 

等電点 

とうでんてん 

isoelectric point 

たん白質等の両性電解質において,分子の正味の電荷がゼロ

になるpH値。たん白質では等電点の近くで溶解度,安定性

などの特性が大きく変化することが多い。 

1243 

動物実験代替シ

ステム 

どうぶつじっけん

だいたいしすてむ 

alternative  

systems to  

animal testing 

医薬品,化粧品,化学物質などの安全性評価に使用される動

物実験を代替する実験系。 

1244 

突然変異(体) 

とつぜんへんい

(たい) 

mutation (mutant) 

遺伝子の塩基配列に変化が生じたためにもたらされる遺伝形

質の変化。変化したものを突然変異体という。 

1245 

トリソミー/ 

三染色体性 

とりそみー/ 

さんせんしょくた

いせい 

trisomy 

異数体の1種で,相同染色体組の他に,どれかの染色体を1

個分余分にもつ個体又は細胞。ヒトではダウン症候群で第21

番目の染色体がトリソミーになっている。 

1246 

ドルトン/ 

ダルトン/ 

原子質量単位 

どるとん/だると

ん/げんししつり

ょうたんい 

dalton/ 

atomic mass  

unit (a.m.u) 

軽水素の相対原子質量を1とする単位。1ドルトンは1.66×

10−24(アボガドロ数の逆数)gに相当する。Daで示す。分子

量の概念が不適当な染色体,リボソームなどの質量を表す場

合にも用いる。1 atomic mass unit=1 dalton 

1247 

内分泌攪乱物質

ないぶんぴかくら

endocrine  

環境中に偏在し,微量でホルモンと同じ作用を示すことで生

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12 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

/環境ホルモン 

んぶっしつ/かん

きょうほるもん 

disrupting  

chemicals/EDC 

体内の内分泌系をかく(攪)乱する作用がある化学物質。ビ

スフェノールA,ダイオキシンなどがその例である。 

1248 

二次構造(たん

白質の) 

にじこうぞう(た

んぱくしつの) 

secondary structure  

(of protein) 

たん白質の立体構造において,ペプチド鎖のC=O基とNH

基との間の水素結合によって形成される比較的狭い範囲にみ

られる構造でα−ヘリックスやβシート構造などの規則的構

造。 

1249 

二重らせん(構

造) 

にじゅうらせん

(こうぞう) 

double helix  

 (structure) 

核酸などにおいて2本の分子鎖が塩基対の水素結合で結合

し,ねじり合わされている構造。DNAの二重らせん構造が

WatsonとCrickによって発見され,その後の分子生物学の発

展の元になった。 

1250 

二倍体 

にばいたい 

diploid 

生存に必要最小限の種固有な基本的染色体数の2倍に相当す

る染色体数をもつ細胞又は個体。高等生物の体細胞は通常二

倍体であり,減数分裂によって配偶子(半数体)を生じる。

動植物では四倍体になると花や実が大型化することが多い。 

1251 

認定宿主 

にんていしゅくし

ゅ 

authorized host 

組換えDNA実験指針に記載の宿主,Escherichia coli K-12, 

Bacillus subtilis Marburg strain, Saccharomyces cerevisiae及び動

物細胞を指す。これらは通常科学技術庁又は文部省に申請せ

ずに当該部署の安全委員会の許可によって組換え実験の宿主

として使用できる。この外13種の微生物についても限定され

たDNA供与体を用いる場合は認定宿主として扱える。 

1252 

ヌクレオソーム 

ぬくれおそーむ 

nucleosome/ 

nubody 

真核生物の染色体の基本構成単位。8個のヒストン分子より

なる粒子を1巻き80塩基対のDNAが2巻きしている。 

1253 

ヌクレオチド 

ぬくれおちど 

nucleotide 

プリン又はピリミジン塩基,糖,りん酸からなる化合物。リ

ボヌクレオチドとデオキシリボヌクレオチドがある。 

1254 

能動輸送 

のうどうゆそう 

active transport 

生体膜における,膜の両側の化学ポテンシャル(イオン輸送

の場合は電気化学ポテンシャル)の勾配に逆らう物質の輸送

機構。 

1255 

バイオインダス

トリー 

ばいおいんだすと

りー 

bioindustry 

バイオテクノロジーに関連したあらゆる分野の産業。バイオ

テクノロジーに用いられる装置・器具などの周辺産業までも

含めていうことがある。発酵工業,医薬品,化学品,農林水

産畜産業,食品工業,エネルギー,廃棄物処理などを含む。 

1256 

バイオテクノロ

ジー 

ばいおてくのろじ

ー 

biotechnology 

狭義には遺伝子の組換え技術及びその周辺技術。広義におい

ては,生物又はその機能を利用又は応用する技術。従来の発

酵技術や育種技術に加えて,遺伝子組換え技術,酵素工学技

術,細胞工学技術,発生工学技術,たん白質工学技術などを

含む。 

1257 

バイオハザード

/生物災害 

ばいおはざーど/ 

せいぶつさいがい 

biohazard 

生物実験において起こる可能性のある生物学的災害。遺伝子

操作による異種遺伝子をもつ微生物や細胞による災害が危惧

されているが,本来病原性をもつ,又は生態系に悪影響を及

ぼすウイルスや生物が管理区域から漏れ出して,研究者や地

域住民に危害をもたらすこと。 

1258 

バイオマス 

ばいおます 

biomass 

地球生物圏の物質循環系に組み込まれた生物体又は生物体か

ら派生する有機物の集積。太陽の光エネルギーが植物の光合

成作用によって物質の形に変換され,蓄えられたものが大部

分。目的に合う生物体を有効生産する(新種探索,品種改良)

と利用技術の開発としてエネルギー(アルコールの生産,メ

タン発酵),セルロース,リグニンの有効利用,化学工業原料

の生産などが挙げられる。 

1259 

バイオミメティ

クス/ 

ばいおみめてぃく

す/ 

biomimetics 

生物の機能を人為的に模倣する技術。人工酵素,バイオチッ

プ、人工血液,人工臓器,人工骨などがこの分野にはいる。 

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13 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

生体模倣技術 

せいたいもほうぎ

じゅつ 

1260 

架橋法 

はしかけほう/ 

かきょうほう 

cross-linking  

method 

生体触媒などを2個以上の官能基をもつ試薬で共有結合を形

成させ,不溶化する方法。トルエンジイソシアナート,シア

ニルクロライド,グルタールアルデヒドなどを用いて酵素と

担体を直接結合させる。 

1261 

発生工学 

はっせいこうがく 

embryo  

engineering 

発生初期段階のはい(胚)に核移植,外来遺伝子導入など人

為的操作を加え,個体発生や生命現象の解析を行うこと。 

1262 

半数体 

はんすうたい 

haploid 

生物の生存に必要最小限の,種に固有な基本的染色体数をも

つ細胞又は個体。単為生殖をする生物では半数体が多い。 

1263 

半数致死量/ 

LD50 

はんすうちしりょ

う/ 

えるでぃーふぃふ

てぃー 

50% lethal dose 

化学物質を投与した生物の半数が死亡すると推定される量。

生物種及び投与経路を必ず付記。化学物質の急性毒性の指標。 

1264 

ビタミン 

びたみん 

vitamin 

動物体内で生合成できないが,生物が正常な代謝を保持し成

長していくのに必要な有機化合物の一群。ユビキノン,リポ

酸,オロット酸等のように細胞で合成できるビタミン様作用

物質も含まれる。 

1265 

必須アミノ酸 

ひっすあみのさん 

essential amino 

acid 

動物の生育や窒素平衡を維持するうえに不可欠なアミノ酸。

動物の種類・性別・年齢によってその種類が異なる。ヒトの

場合は,Val,lle,Leu,Thr,Lys,Met,Phe,Trp(いずれも

L型)の8種である。 

1266 

必須脂肪酸 

ひっすしぼうさん 

essential fatty 

acid 

人体内で合成できないため,食事又は静脈栄養法などで摂取

しなければならない脂肪酸。リノール酸,γ−リノレイン酸,

アラキドン酸を指す。これらはプロスタグランジンの前駆体。 

1267 

ヒト化抗体 

ひとかこうたい 

humanized  

antibody 

マウスの抗原結合部位 (CDR) の遺伝子配列だけをヒト抗体

遺伝子に移植したヒト様抗体。マウスの抗体部分が少ないた

め,ヒトへの投与により適している。 

1268 

V領域/可変部

/可変領域 

ぶいりょういき/ 

かへんぶ/ 

かへんりょういき 

variable region 

免疫グロブリンのH及びL鎖のうち,抗原に結合する部位で,

抗原の種類に応じて様々に変化する。 

1269 

封入体 

ふうにゅうたい 

inclusion body 

細胞内に蓄積された物質が特有の形態をもって存在する場

合,これを封入体という。遺伝子組換え体において,合成さ

れた異種たん白質が,大量に生産された場合にも封入体を形

成する。 

1270 

複合脂質 

ふくごうししつ 

complex lipid 

単純脂質にりん酸や塩基などを含む脂質群。したがって親水

性部分と疎水性部分からなり,一般的にアセトンに難溶。 

1271 

複合たん白質 

ふくごうたんぱく

しつ 

conjugated  

protein 

ポリペプチド以外に他の有機物質や無機物質を含むたん白

質。糖たん白質,リポたん白質,金属たん白質などがある。 

1272 

複合糖質/ 

複合多糖 

ふくごうとうしつ

/ふくごうたとう 

complex  

carbohydrate/ 

conjugated  

polysaccharide/ 

glycoconjugate 

糖質にポリペプチド又は脂質が共有結合した化合物。細胞表

面で,各種の抗原決定基群を形成したり,細胞間相互作用,

レセプター,細胞骨格物質などとして重要な役割を果たして

いる。 

1273 

復帰突然変異 

ふっきとつぜんへ

んい 

reverse mutation 

突然変異体を再び親株又はそれに近い表現型に戻す突然変

異。 

1274 

不飽和脂肪酸 

ふほうわしぼうさ

ん 

unsaturated fatty 

acid 

二重結合又は三重結合を含む脂肪酸の総称。魚類,植物など

に多く含まれる。劣化されやすく保存に問題があるが,この

中には必す(須)脂肪酸が含まれる。 

1275 

フラクトオリゴ

ふらくとおりごと

fructo- 

庶糖分子の果糖残基にさらに果糖残基が2〜4分子結合した

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14 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

糖 

う 

oligosaccharide 

糖。腸内のビフィズス菌の増殖を促進する。また虫歯の原因

になりにくいなどの特徴がある。 

1276 

フロイントアジ

ユバント 

ふろいんとあじゅ

ばんと 

Freundʼs adjuvant 

流動パラフィンと表面活性剤を混ぜたもので,これに結核菌

死菌体を混ぜたものを完全フロイントアジュバント,加えな

いものを不完全フロイントアジュバントという。前者は細胞

性免疫を,後者は抗体産生を増強させるために用いる。 

1277 

プロスタグラン

ジン 

ぷろすたぐらんじ

ん 

prostaglandin 

エイコサポリエン酸から動物組織で合成される生理活性物

質。プロスタン酸を基本構造とし,五員環部分につく酸素原

子と二重結合の違い,側鎖の二重結合の数によって分類され

る。血圧降下,気管支拡張,子宮収縮,血小板凝集抑制,脂

肪酸遊離抑制などの作用がある。 

1278 

分配係数 

ぶんぱいけいすう 

distribution  

coefficient/parti- 

tion coefficient 

互いに溶け合わない2種類の液体が共存し,ここに溶質が溶

解し平衡に達しているときの二つの液体中の溶質の濃度比は

一定温度で一定である。この比を分配係数という。 

1279 

分泌たん白質 

ぶんぴつたんぱく

しつ 

secretory protein 

細胞内で合成され細胞膜外へ分泌されるたん白質。多くの場

合そのたん白質のN末端側に疎水性アミノ酸に富むシグナル

配列を含む前駆体として生合成され,細胞膜通過の際シグナ

ル配列は切断され,成熟型として分泌される。 

1280 

ペプチド 

ぺぷちど 

peptide 

ペプチド結合を含む化合物。狭義にはアミノ酸残基数が100

以下位のものをいう。 

1281 

ペプチドグリカ

ン 

ぺぷちどぐりかん 

peptidoglycan 

糖鎖にペプチド鎖が結合した化合物。メタン菌のような始原

細菌などを除く,多くの原核生物の細胞壁成分である。 

1282 

ペプチド結合 

ぺぷちどけつごう 

peptide bond 

2個のアミノ酸分子の間で,一方のカルボキシル基と他方の

アミノ基が脱水的に縮合することによって生じるアミド結

合。共鳴があるため,ほぼ平面構造をもつ。 

1283 

変異原 

へんいげん 

mutagen 

突然変異を誘発する物理的又は化学的作用原。アルキル化剤,

アクリジン色素,γ線などがある。またトランスポゾンを挿入

する生物学的方法もある。 

1284 

変性(たん白質

の,DNAの) 

へんせい(たんぱ

くしつの,でぃー

えぬえーの) 

denaturation  

(of protein) 

高次構造が熱,化学薬品などで破壊されて物性が変化するこ

と。物性の変化は溶解度の減少,結晶性の喪失,生物活性の

喪失又は低下がその典型。変性たん白質のゲル濾過や電気泳

動は分子量の決定に用いられる。(→リホールディング) 

1285 

包接 

ほうせつ 

inclution 

一つの原子又は分子の集合体の中に形成された空間中に特定

の化合物が決まった比率で存在する状態。シクロデキストリ

ン,クラウンエーテルなどが包接化合物の代表である。 

1286 

飽和脂肪酸 

ほうわしぼうさん 

saturated fatty acid 

脂肪酸のうち脂肪族鎖が飽和のものを指す。分枝鎖を含む場

合は分枝脂肪酸,水酸基を含む場合はヒドロキシ脂肪酸と呼

ぶ。種子油,動物脂質中に多い。 

1287 

補体 

ほたい 

complement 

感染,炎症反応,免疫反応などに動員されて,種々の生物学

的活性を発現する体液(主として血清)成分の総称。少なく

とも13個のたん白質が関与している。 

1288 

ホメオボックス 

ほめおぼっくす 

homeo box 

ショウジョウバエのホメオティック遺伝子(体節における器

官形成に関与する遺伝子)の3領域に見つけられた約180塩

基からなる共通配列。ショウジョウバエからヒトまでに同様

の配列が見つけられ,これを含む遺伝子は発生過程を制御し

ていると考えられている。 

1289 

ポリエチレング

リコール 

ぽりえちれんぐり

こーる 

Polyethyleneg- 

lycol/PEG 

エチレングリコールが重合したポリマー。細胞融合を促進す

る物質として利用されている。融合させる種によって好適な

分子量に違いがある。 

1290 

ポリヌクレオチ

ぽりぬくれおちど 

Polynucleotide 

ヌクレオチドが30個程度以上重合したポリマー。 

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15 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

ド 

1291 

ポリペプチド 

ぽりぺぷちど 

Polypeptide 

アミノ酸残基が30個程度以上結合したポリマー。たん白質と

の区別は必ずしも明確でないが,最近は高次元構造をもつポ

リペプチドをたん白質と呼ぶ傾向にある。 

1292 

ホルモン 

ほるもん 

hormone 

生物の代謝又は活動作用を微量で調節する生物体内で合成さ

れる有機物の総称。特定の細胞が内外からの情報に応じて生

産・分泌し,体液を介して標的細胞に運ばれ,細胞膜のレセ

プターに結合して第2メッセンジャーの生産調節に関与する

もの,又は,細胞内若しくは核内のレセプターと結合して作

用するものがある。 

1293 

マーカーレスキ

ュウ 

まーかーれすきゅ

う 

marker rescue 

2種類の不完全ウイルスがそれらのゲノム同士の組換え又は

再配列によって完全な感染性のあるウイルス粒子が回収され

る現象。 

1294 

ミスセンス変異 

みすせんすへんい 

missense mutation 

突然変異によってコドンが変化して別のアミノ酸が取り込ま

れるような変異。アミノ酸が一つ置き代わるだけの変異なの

で一般に検出は難しいので,条件致死変異として検出する。 

1295 

無菌状態 

むきんじょうたい 

sterile condition 

微生物がいない状態。殺菌・除菌によって達成できる。狭義

には病原菌のいない状態を指す。 

1296 

メディエーター 

めでぃえーたー 

mediater/ 

messenger 

受容体とホルモンの結合によって発生した信号を伝達する物

質。細胞内メディエーター又はメッセンジャーとも呼ぶ。

cAMP,Ca2+などがある。 

1297 

免疫 

めんえき 

immunity 

生体の内部環境に外来性又は内因性の異物が存在したとき,

それを排除しようとする機構。生物体が自己と非自己を識別

して,非自己を排除する機構である。細胞性と体液性の二つ

がある。 

1298 

免疫グロブリン 

めんえきぐろぶり

ん 

immunoglobulin 

抗体及びこれと構造上・機能上の関連性のあるたん白質の総

称。イムノグロブリン (Ig) ともよばれ,IgG,IgM,IgA,IgE,

IgDのクラスに分類される。 

1299 

モノカイン 

ものかいん 

monokine 

サイトカインの1種で,マクロファージが産生する生物学的

活性をもった可溶性因子。インターロイキン−1,TNF,顆粒

球・マクロファージコロニー刺激因子 (GM-CSF) などがその

例。 

1300 

ラジカル捕捉剤 

らじかるほそくざ

い 

radical  

scavenger 

短寿命のフリーラジカルと付加反応を起こし,不対電子が共

鳴安定化され,比較的長寿命のフリーラジカルになるような

不飽和結合をもつ反磁性化合物。ESRによるフリーラジカル

の解析に使用される。 

1301 

ラセミ化 

らせみか 

racemization 

熱・光又は酸・塩基などの作用で,光学活性物質の一部がそ

の対掌体に変化することによって施光度を減少,又は,全く

失う光学不活化。 

1302 

リボソーム 

りぼそーむ 

ribosome 

たん白質とRNAからなるたん白質の合成の場となる細胞質

内の顆粒。原核細胞では,沈降係数70Sの粒子で,50Sと30S

のサブユニットから成る。真核細胞では,80Sの粒子で,60S

と40Sのサブユニットからなる。 

1303 

リポたん白質 

りぽたんぱくしつ 

lipoprotein 

脂質とたん白質の複合体の総称。広義には構造リポたん白質

(細胞膜,ミトコンドリア膜など)と可溶性リポたん白質(血

しょうリポたん白質,ミルクリポたん白質など)にわけられ

る。狭義には形態的に一定で,かつ一定の構成成分比をもつ

可溶性蛋リポたん白質をいう。 

1304 

リンフォカイン 

りんふぉかいん 

lymphokine 

サイトカインの1種で,リンパ球が活性化されて放出する

種々の生物学的活性をもった可溶性因子の総称。マクロファ

background image

16 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

ージ,リンパ球,好中球それぞれに作用するものが知られて

いる。インターロイキン−2,−3,−4,インターフェロン−

γなどがその例。 

1305 

レクチン 

れくちん 

lectin 

自然界に広く分布する糖たん白質で,特異的な糖鎖構造を認

識し,結合するたん白質の総称。ただし,免疫学的産物を除

く。赤血球の血液型特異的凝集,ある種のガン細胞の特異的

凝集,リンパ球の分裂促進,細胞毒性などを示す。 

1306 

連鎖(遺伝子の)  れんさ(いでんし

の) 

linkage 

同一染色体上の遺伝子群の結合。隣接する二つの遺伝子の間

にはスペーサーがあり,完全な連鎖はまれであり,組換えが

ある頻度で起こる。 

1307 

ロイコトリエン

/LT 

ろいことりえん/ 

えるてぃ 

leukotrienes/LT 

分子中に三つの共役2重結合をもつ一群の化合物で,プロス

タグラニジンと同じ経路によって合成される。 

1308 

ワクチン 

わくちん 

vaccine 

ある種の伝染病の予防又は治療のために使用される能動免疫

源の諸形態の総称。病原性を弱めた弱毒生ワクチン,病原体

を不活化した不活化ワクチンと病原体を含まず免疫を得るた

めに必要な成分からなるコンポーネントワクチンがある。 

b) 酵素,たん白質 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

1401 

アイソザイム/ 

イソ酵素 

あいそざいむ/ 

いそこうそ 

isozyme 

同じ個体にあって,同じ反応を触媒する酵素群で,物理化学

的に異なる性質(例えば,電気泳動の移動度)を示すたん白

質分子。 

1402 

アポ酵素 

あぽこうそ 

apoenzyme 

補酵素をもつ酵素(ホロ酵素)のたん白質部分。一般に酵素

分子をアポの状態にしたときには,本来もっていた活性は失

われる。 

1403 

アルカリホスフ

ァターゼ 

あるかりほすふぁ

たーぜ 

alkaline  

phosphatase 

最適pHをアルカリ側にもち,ほとんどすべてのりん酸モノ

エステル結合をほぼ同じ速度で分解する特異性の広い酵素 

(EC3.1.3.1. )。 

1404 

異性化酵素/ 

イソメラーゼ 

いせいかこうそ/ 

いそめらーぜ 

isomerase 

分子内の位置的又は構造的転換反応を触媒する酵素 (EC5. 

□.□.□)。 

1405 

エキソペプチダ

ーゼ 

えきそぺぷちだー

ぜ 

exopeptidase 

ペプチド鎖を末端残基から順次分解して,アミノ酸を遊離す

るプロテアーゼ。ジペプチドを遊離するものも含まれる。N

末端から作用するものとして,アミノペプチダーゼ,ジペプ

チジルペプチダーゼなど,C末端から作用するものとしてカ

ルボキシペプチダーゼなどがある (EC3.4.□.□)。 

1406 

S1ヌクレアーゼ  えすわんぬくれあ

ーぜ 

S1 nuclease/ 

endonuclease 

S1 (Aspergillus) 

Aspergillus oryzae由来の核酸分解酵素で,一本鎖核酸に特異

的で,DNA,RNAの区別はできない (EC3.1.30.1)。 

1407 

エンドヌクレア

ーゼ 

えんどぬくれあー

ぜ 

endonuclease 

ポリヌクレオチド鎖の内部を切断する酵素。SIヌクレアーゼ,

制限酵素はこの酵素群の1種。様々の特異性を示すものが知

られていて核酸の解析,遺伝子操作などに利用されている 

(EC3.1.30-31.□)。 

1408 

エンドペプチダ

ーゼ 

えんどぺぷちだー

ぜ 

endopeptidase 

ペプチド結合鎖を内部側のペプチド結合で分解するプロテア

ーゼ。セリンプロテアーゼ,チオールプロテアーゼ,カルボ

キルプロテアーゼ,メタルプロテアーゼなどがある (EC3.4. 

□.□)。 

1409 

加水分解酵素 

かすいぶんかいこ

うそ 

hydrolase 

エステル結合,ペプチド結合,グルコシル結合などの加水分

解を触媒する酵素 (EC3.□.□.□)。 

1410 

活性中心(酵素

の) 

かっせいちゅうし

ん(こうその) 

active center (of  

enzyme) 

酵素分子上の触媒機能を発揮する部位。活性部位ともいう。

一般に分子表面に存在する明瞭な割れ目又はくぼみ構造部分

に活性中心が存在し,補酵素や補欠分子若しくは金属などが

background image

17 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

含まれることもあるが,少数のアミノ酸残基が特異的空間配

置をとっている。 

1411 

活性半減期(酵

素の) 

かっせいはんげん

き(こうその) 

half-life  

(of enzyme) 

酵素活性が最初の値の半分に減少するのに要する時間。工業

用酵素の重要な指標の一つ。 

1412 

基質 

きしつ 

substrate 

(1)酵素の作用を受けて化学的変化を受ける物質。 

(2)代謝の出発物質。 

1413 

基質阻害 

きしつそがい 

substrate  

inhibition 

高濃度の基質によって,酵素の反応速度又は細胞などの代謝

速度が減少すること。 

1414 

基質特異性 

きしつとくいせい 

substrate  

specificity 

ある酵素が特定の基質にだけ作用し,特定の化学反応の触媒

作用を示すこと。特異性は基質分子が酵素分子の活性部位に

近接するとともに,活性部位の立体構造に変動を生じて,基

質と相補的な複合体形成をすると考えられている。 

1415 

競争阻害/ 

拮抗阻害 

きょうそうそがい

/きっこうそがい 

competitive  

inhibition 

阻害剤が酵素分子の基質結合部位と同じ部位に結合すること

によってもたらされる酵素反応速度の低下。阻害剤の分子構

造は基質のそれと類似している。 

1416 

菌体外酵素 

きんたいがいこう

そ 

extracellular  

enzyme 

微生物の細胞外に分泌される酵素。細胞内でシグナルペプチ

ドのついたプレたん白質として合成され,合成の途中から膜

を通過しはじめ,膜内にあるシグナルペプチダーゼ (signal 

peptidase) によってシグナル部位が除かれる。 

1417 

菌体内酵素 

きんたいないこう

そ 

intracellular  

enzyme 

微生物の細胞外に分泌されず,細胞内に存在する酵素。 

1418 

酵素 

こうそ 

enzyme 

選択的な触媒作用をもつたん白質などの生体高分子物質。多

くは単体で細胞内外で作用するが,複数個の酵素が複合体を

形成して触媒作用を行うものもある。 

1419 

酵素前駆体 

こうそぜんくたい 

proenzyme/ 

zymogen/ 

enzyme precursor 

/ (preenzyme) 

他の酵素又は自己の活性酵素作用によって,活性型に転換さ

れる酵素の母体。活性化にはプロテアーゼによって限定分解

やホスホリラーゼによるりん酸化などがある。さらにその前

駆体をpre-pro-enzymeという。 

1420 

酵素阻害剤 

こうそそがいざい 

enzyme inhibitor 

酵素の反応速度を低下させる物質。種々の外来物質や基質ア

ナログなどが阻害剤として用いられる。 

1421 

酵素命名法 

こうそめいめいほ

う 

enzyme  

nomenclature 

国際生化学連合 (IUB) 及び国際純正応用化学連合 (IUPAC) 

の酵素命名委員会が定めた酵素の命名に関する規則。酵素を

反応の種類によって6種に分類し,それぞれ酵素番号,推奨

名と系統名が決められている。 

1422 

抗体酵素 

こうたいこうそ 

catalytic antibody 

抗原又はその類似化合物に対する反応に触媒作用をもつよう

にした抗体。 

1423 

国際単位(酵素

活性の) 

こくさいたんい

(こうそかっせい

の) 

international unit (of  

enzyme activity) 

国際生化学連合の酵素委員会で勧告された酵素活性を表す単

位。1ユニット (U) は1分間に1マイクロモルの基質を変換

する活性量。1カタール (kat) は1秒間に1モルの基質を変

換する活性量。 

1424 

固定化酵素 

こていかこうそ 

immobilized  

enzyme 

1)不溶性担体に酵素を共有結合,イオン結合,吸着などによ

って結合させる,2)酵素を互いに架橋させる,3)高分子の

網目構造の内部に酵素を包括するなどの方法によって不溶化

した酵素のこと。固定化したことの利点は,安定性の増加,

酵素の再利用と反応の連続化,反応生成物の純度と収率の向

上があげられる。 

1425 

最大速度 

さいだいそくど 

maximum elocity 

酵素反応において,基質が過剰に存在する場合に与える反応

速度。ときには基質阻害を起こす酵素もあるので,最大速度

を求めるときには注意が必要である。Vmaxと略記。 

1426 

細胞壁溶解酵素 

さいぼうへきよう

cell wall digesting  

細胞壁を溶解してプロトプラストを作る酵素。リゾチーム,

background image

18 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

かいこうそ 

enzyme 

セルラーゼ,ペリケナーゼなどがある。 

1427 

酸化還元酵素 

さんかかんげんこ

うそ 

oxidoreductase 

酸化還元反応を触媒する酵素 (EC 1.□.□.□)。 

1428 

三次構造(たん

白質の) 

さんじこうぞう

(たんぱくしつ

の) 

tertiary tructure  

(of protein) 

ポリペプチド鎖のアミノ酸配列において,互いに離れたアミ

ノ酸残基同士の水素結合,ジスルフィド結合などによって二

次構造が折りたたまれた立体構造。三次構造の安定化は側鎖

間の相互作用によるもので,なかでも疎水結合が最も大きく

寄与する。ドメインがその具体例。 

1429 

酸素移動容量係

数 

さんそいどうよう

りょうけいすう 

oxygen-transfer  

coefficient 

酸素吸収液(又は培養液)単位体積当たりの気(相)液(相)

間の酸素移動速度に関する係数。移動係数KLと接触面積a

とで表現されるが,区別して測定することは困難なので,全

体 (KLa) として測定される。通気かくはん槽の場合通気量と

かくはん力によって変化する。 

1430 

残存活性 

ざんぞんかっせい 

remaining activity 

各種処理を施した後に,その処理によって,失活せずに残っ

た酵素活性。 

1431 

失活 

しっかつ 

inacitivation 

酵素が熱・酸などによってたん白質が高次構造をが破壊され,

酵素活性を失うこと。 

1432 

シャペロン/ 

分子シャペロン 

しゃぺろん/ぶん

ししゃぺろん 

chaperon/molec 

ular chaperon 

たん白質が機能を発現する立体構造の構築を助け,その最終

構築物内には残らないたん白質。たん白質質の合成直後,膜

透過時,高温などストレス環境下で働く。 

1433 

修飾酵素(DNA

の) 

しゅうしょくこう

そ(でぃーえぬえ

ーの) 

DNA  

modification  

enzyme 

DNA上の特定の配列を認識して,特定の塩基(アデニン,シ

トシンなど)をそのコーディングを変えることなく修飾する

酵素。一般にメチル化が行われる。 

1434 

受容体/ 

レセプター 

じゅようたい/ 

れせぷたー 

(1)receptor  

(2)recipient 

(1)外来性の化学的又は物理的刺激を認識して,細胞に応答を

誘起するたん白質複合体。認識部位は酵素の活性中心のよう

に特異な立体構造をとっている。(2)遺伝子移行の受取り側。 

1435 

初速度 

しょそくど 

initial velocity 

反応時間を零に外挿した時点での反応速度であり,反応が定

常状態になったときの反応速度と通常等しい。 

1436 

人工酵素 

じんこうこうそ 

synthetic enzyme/ 

artificial enzyme/ 

synzyme 

酵素機能をもつ人工触媒。生体機能の模倣技術の一つで,天

然酵素のもつ基質特異性,反応特性,高効率性を備えること

が重要。広義には天然酵素を修飾した物も含まれる。 

1437 

生産物阻害 

せいさんぶつそが

い 

product inhibition 

酵素の反応生成物が,その酵素が関与する反応速度を減少さ

せること。反応産物の酵素への親和性が強いとき,反応産物

が酵素から離れず,基質の酵素への結合を阻害する。 

1438 

生体触媒 

せいたいしょくば

い 

biocatalyst 

反応を触媒する機能をもつ生体又は生体由来のもの。 

1439 

ターミナルトラ

ンスフェラーゼ

/末端転移酵素 

たーみなるとらん

すふぇらーぜ/ 

まったんてんいこ

うそ 

terminal  

transferase 

1本鎖DNA又は3ʼ末端が1本鎖として突出している2本鎖

DNAの3ʼ末端ヌクレオシドの3ʼOH基にヌクレオチドを一つ

一つ添加していく反応を触媒する酵素。突出末端を付加する

ために重要 (EC2.7.7.31)。 

1440 

多機能酵素 

たきのうこうそ 

multifunctional  

enzyme 

2種以上の反応特異性を示す酵素。 

1441 

脱共役剤/除共

役剤 

だつきょうやくざ

い/じょきょう 

やくざい 

uncoupler 

酸化的りん酸化反応において,酵素呼吸を阻害せずにりん酸

化だけを阻害する化合物。CCCP(カルボニルシアニドm-ク

ロロフェニルヒドラゾン)やDNP(2, 4-ジニトロフェノール)

などがその例である。 

1442 

Taqポリメラー

ゼ 

たっくぽりめらー

ぜ 

Taq polymerase 

耐熱性DNA合成酵素の一つで,Thermus aquaticusから精製さ

れた。PCRに使用される (EC2.7.7.□)。 

1443 

治療用酵素 

ちりょうようこう

そ 

therapeutic  

enzymes 

遺伝疾患による酵素の欠損を補う治療薬として用いられる酵

素又はその製剤。 

background image

19 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

1444 

DNAポリメラ

ーゼ/DNA合

成酵素 

でぃーえぬえーぽ

りめらーぜ/でぃ

ーえぬえーごうせ

いこうそ 

DNA polymerase 

デオキシヌクレオチド三りん酸を基質として鋳型DNAの塩

基配列に相補的DNA鎖の合成を触媒する酵素 (EC2.7.7.7)。 

1445 

テロメラーゼ 

てろめらーぜ 

telomerase 

すべての自己複製能をもつ線状染色体に必要な末端構造物で

あるテロメアの繰返し配列の合成に関与する酵素。正常体細

胞では発現していないが,多くのガン細胞では発現しており,

細胞不死化に関係する(→テロメア)。 

1446 

転移酵素 

てんいこうそ 

transferase 

供与体から受容体に,メチル基やグルコシル基などを含む基

を転移する酵素 (EC2.□.□.□)。 

1447 

ドメイン(たん

白質の) 

どめいん(たんぱ

くしつの) 

domain 

生体高分子特にたん白質の構造上又は機能上のまとまりをも

つ領域。 

1448 

比活性 

ひかっせい 

specific activity 

単位重量の酵素分子あたりの活性。酵素1mg当たりの酵素活

性の単位で与えられる。各酵素に固有の値であり,精製の過

程で,純度の指標としても用いられる。 

1449 

非きっ抗阻害/

非競争阻害 

ひきっこうそがい

/ひきょうそうそ

がい 

noncompetitive  

inhibition 

阻害剤が酵素分子の基質結合部位と異なる部位に結合するこ

とによってもたらされる酵素反応速度の低下。 

1450 

フィードバック

阻害 

ふぃーどばっくそ

がい 

feedback  

inhibition 

生合成又は代謝経路の最終産物が,その経路の初段階又は途

中の酵素反応を阻害する現象。最終産物は酵素の制御部位を

変化させるように働いて作用を表す。 

1451 

不拮抗阻害/ 

反競争阻害 

ふきっこうそがい

/はんきょうそう

そがい 

uncompetitive  

inhibition 

阻害剤が遊離の酵素と結合せず,酵素一基質複合体と結合し

て不活性な複合体を形成することによって起こる阻害。 

1452 

プロテアーゼ/

プロティナーゼ

/たん白質分解

酵素 

ぷろてあーぜ/ 

ぷろてぃなーぜ/ 

たんぱくしつぶん

かいこうそ 

protease/ 

proteinase 

たん白質を加水分解する酵素。その生理的意義には,栄養素

としてのたん白質をアミノ酸に消化する,使用済みの酵素を

分解する,不活性な前駆体を活性化する,などがある (EC3.3.

□.□)。 

1453 

プロテインエン

ジニアリング/

たん白質工学 

ぷろていんえんじ

にありんぐ/ 

たんぱくしつこう

がく 

protein  

engineering 

自然界にあるたん白質の構造と機能の関係を解明し,目的に

かなったたん白質を設計して新しいたん白質を創り出す技

術。 

1454 

プロテインホー

ルディング 

ぷろていんほーる

でぃんぐ 

folding of protein 

ポリペプチドが折りたたまれて高次構造をとること。オリゴ

マー酵素では異種のサブユニットが四次の構造をとることも

含める。 

1455 

プロテインリホ

ールディング/

たん白質の再生 

ぷろていんりほー

るでぃんぐ/ 

たんぱくしつのさ

いせい 

refolding of  

protein 

変性したたん白質からもとの高次構造を回復し,再びもとの

生物活性等をもつたん白質を得ること。尿素,塩酸グアニジ

ンなどの変性剤を除去又は希釈して,25〜30℃でゆっくりと

行う。オリゴマー酵素の場合異種のサブユニットが正しく会

合して元の構造を復元すること。 

1456 

分子活性 

ぶんしかっせい 

molecular activity 

酵素1分子が単位時間に変換する(反応励起する)基質分子

数。古くは代謝回転数,ターンオーバー数 (turnover number)  

ともよばれた。 

1457 

分子設計 

ぶんしせっけい 

molecular design 

コンピューターグラフィックスなどを活用して分子の構造活

性相関を解明し,新しい分子を設計すること。低分子の薬剤

の開発やたん白質の設計に応用されている。 

1458 

βシート/ 

βプリーツ 

べーたーしーと/ 

べーたーぷりーつ 

β-sheet 

たん白質やポリペプチドがもつ二重構造の一つで,ひだ状の

構造のこと。βプリーツ (pleats) とも呼ばれる。Val,Ile,Thr,

Phe,Tyr,Trpはβシートを形成しやすい。 

1459 

補欠分子族/補

ほけつぶんしぞく

prosthetic group 

酵素において活性発現に不可欠なアミノ酸以外の成分で,た

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20 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

因子 

/ほいんし 

ん白質と比較的強く結合(共有結合及び非共有結合)してい

る因子,チトクロームCのヘムやアセチルCoAカルボキシラ

ーゼのビオチンなどがその例である。 

1460 

補酵素 

ほこうそ 

coenzyme 

ホロ酵素を構成する部分のうちの補欠分子部。S−アデノシル

メチオニン,テトラヒドロ葉酸,CoAなどがその例である。 

1461 

ミカエリス定数

/ミハエリス定

数/Km/KM 

みかえりすていす

う/みはえりすて

いすう/けーえむ

/けーえむ 

Michaelis  

constant 

酵素反応における酵素基質複合体形成の平衡定数。初速度が

最大速度Vmaxの1/2になるときの基質濃度と定義され,酵素

と基質との親和性を表す。 

1462 

誘導酵素 

ゆうどうこうそ 

inducible enzyme/ 

adaptive enzyme 

特定の物質によって細胞内での合成を促進される酵素。基質

(特定の物質)の存在しない状態では発現が抑制されていた

遺伝子が,特定の物質の存在によって抑制が解除されて,細

胞内の酵素合成速度が促進される。 

1463 

四次構造(たん

白質の) 

よじこうぞう(た

んぱくしつの) 

quartenary  

structure 

三次構造をもつ複数のポリペプチド鎖が非共有結合で会合し

て,一つの機能をもったたん白質分子を形成する立体構造。 

1464 

ラセミ化酵素/

ラセマーゼ 

らせみかこうそ/ 

らせまーぜ 

racemase 

D異性体又はL異性体のいずれかを基質として,ラセミ体を

生じる反応を触媒する酵素 (EC5.1.□.□.)。 

1465 

リアーゼ 

りあーぜ 

lyase 

基質から一基質反応によってある基を脱離させ,二重結合を

残す反応又はその逆反応を触媒する酵素 (EC4.□.□.□)。 

1466 

リガーゼ/ 

合成酵素 

りがーぜ/ 

ごうせいこうそ 

ligase/synthetase 

ATPその他のピロりん酸結合の開裂と共役して,二つの分子

を結び付ける酵素 (EC.6.□.□.□)。 

1467 

リガンド 

りがんど 

ligand 

たん白質と特異的に結合する物質の総称。酵素に結合する基

質,調節因子,補酵素や細胞膜上に存在するレセプターと結

合するレクチン,ホルモンなどを指す。アフィニティクロマ

トグラフィーにおいて特異的吸着をさせるために支持体につ

ける化合物もリガンドと呼ぶ。 

c) 微生物,微生物工学 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

1501 

アグロバクテリ

ウム 

あぐろばくてりう

む 

Agrobacterium 

土壌中のグラム陰性好気性かん菌。Agrobacterium tumefaciens

は植物に感染して腫瘍(Crown gall,クラウンゴール)を作る。

この菌のTiプラスミドの一部は植物染色体に組み込まれるの

で,植物遺伝子操作の重要なベクターである。一方,A. 

rhizogenesのRiプラスミド (root inducing plasmid) は感染した

植物に毛状根を形成させるほかベクターとしても利用でき

る。 

1502 

アナログ耐性変

異株 

あなろぐたいせい

へんいかぶ 

analog (ue) 

resistant mutant 

正常な代謝産物と同様の制御作用を示すが,栄養源とならず

生育阻害作用を示す物質に対して抵抗性を示す変異株。生合

成酵素系の調節機構が脱感作されたことを利用して工業微生

物の改良にも応用される。 

1503 

ウイルス 

ういるす 

virus 

独立に増殖できず,宿主細胞内でだけ複製,増殖が可能な

DNA又はRNAを含む細胞より小さな伝染性病原体の総称。 

1504 

ウイロイド 

ういろいど 

viroid 

コートたん白質をもたないむき出しの環状RNAからなるウ

イルス様物質。高等植物のウイロイド感染症が知られている。 

1505 

栄養要求性変異

株 

えいようようきゅ

うせいへんいかぶ 

auxotrophic  

mutant 

野生株には必要でない栄養素を生育のために必要とする突然

変異株。原栄養株 (prototroph) に対する言葉。生合成経路の

一部が遮断されたため栄養要求性になることを利用して,ア

ミノ酸,有機酸などを工業的に生産するためにも応用されて

いる。 

1506 

温度感受性変異

株 

おんどかんじゅせ

いへんいかぶ 

temperature- 

sensitive mutant 

ある一定の温度では野生株と同様に生育するが,その温度を

超えるか下がるかすると,野生株と違った性質を示す変異株

background image

21 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

の総称。条件致死変異株なので生体にとって不可欠な遺伝子

の研究に利用できる。 

1507 

菌株 

きんかぶ 

strain 

安定で均一な遺伝形質を持つ微生物群。 

1508 

菌根 

きんこん 

mycorrhiza 

植物の根に真菌類が共生しているものを指す。マツタケはア

カマツに菌根を形成しなければきのこ(子実体)を生じない。 

1509 

クローニング 

くろーにんぐ 

cloning 

(1)異なる遺伝子型をもつ混合集団から,特定の遺伝子型をも

つ均一の細胞又は個体群を作り出すこと。 

(2)不特定多数のDNA断片をベクターに挿入した組換え体

DNAを宿主に導入して得られたコロニー又はプラークから

目的のDNA断片をもつものを検出し,そのDNAを単離する

こと。 

1510 

原栄養株 

げんえいようかぶ 

prototroph 

野生株の要求する栄養素以外の物を生育のために必要としな

い株。変異株であっても栄養要求性に変化の無いものは原栄

養株である。 

1511 

原核生物 

げんかくせいぶつ 

prokaryote 

核膜がなく,染色体構造の認められないほとんど裸のDNA

分子からなり,有糸分裂を行わない核様体をもつ細胞で構成

される生物。藍藻類と細胞がこれに属する。 

1512 

嫌気(性)細菌 

けんき(せい)さ

いきん 

anaerobic bacteria 

酸素の存在の下では生存が困難,又は不可能な細胞。酸素の

存在下では生育できないものを偏性嫌気性細胞 (obligate 

anaerobe),酸素の存在下でも生育できるものは通性嫌気性細

胞 (facultative anaerobe) と呼ぶ。 

1513 

好アルカリ性菌 

こうあるかりせい

きん 

alkalophilic  

bacteria 

pH9-10又はそれ以上に最適生育領域をもつ細菌。好アルカリ

性菌の菌体外酵素は高アルカリ性領域に最適pHをもってい

るが,菌体内酵素は中性ないし微アルカリ性に最適pHをも

つものが多い。 

1514 

好塩菌 

こうえんきん 

halophilic bacteria/ 

halophil 

約1.2%又はそれ以上の食塩濃度の培地が発育に好適な細菌。

高塩濃度でも生育できるが,最適濃度が低いものは耐塩性菌

と呼ぶ。食中毒の起因菌が含まれる。 

1515 

好気性(細)菌 

こうきせい(さい)

きん 

aerobic bacteria/ 

aerobe 

酸素のない状態では生存が困難又は不可能な細菌。酸素がな

いと全く生育できないものは偏性好気性細菌 (obligate 

aerobe) と呼び,酸素分圧が0.2気圧よりも低い条件でよく生

育するものは微好気性細菌と呼ぶ。 

1516 

好熱菌/高温菌 

こうねつきん/ 

こうおんきん 

thermophil/ 

thermophilic  

bacteria 

45℃以上で生育し,30℃以下では生育しない細菌。75℃以上

でも生育できるものは高度高熱菌とよび,それ以下のものは

中等度高熱菌と呼ぶ。又常温でも生育できるものは通性好熱

菌と,高温でだけ生育できるものを偏性好熱菌と呼ぶことも

ある(参考 好中温性30〜40℃)。 

1517 

酵母 

こうぼ 

yeast 

生活環の大部分が単細胞であり,主として出芽によって増殖

する真菌類の総称。古来より酒,醤油など発酵醸造に広く用

いられている。 

1518 

好冷菌 

こうれいきん 

psychrophil 

発育増殖の上限温度が約20℃である細菌群。耐寒性とは区別

する。 

1519 

枯草菌 

こそうきん 

Bacillus subtilis 

胞子を形成する好気性のグラム陽性かん菌で,バチルス属細

菌の一種。人や動物に病原性がなく,比較的容易に形質転換

することから,特にMarburg株は遺伝子操作の宿主として大

腸菌,酵母などとともに重要である。類縁菌のBacillus natto,  

Bacillus amyloliquefaciensは,工業微生物として重要である。 

1520 

根粒菌 

こんりゅうきん 

leguminous  

bacteria/root  

nodule bacteria 

マメ科植物の根に侵入して,共生型の根粒を形成する好気性

細菌。比較的高い宿主特異性を示し,窒素固定能をもってい

る。Rhizobium属のに属するグラム陰性細菌である。 

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22 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

1521 

細菌 

さいきん 

bacteria 

原核微生物の内,藍藻と放線菌を除いた微生物群。その多く

は単細胞で,増殖は一般に二分裂によるが,発芽,不均等な

分裂などをするものもある。 

1522 

最小阻止濃度/

MIC 

さいしょうそしの

うど/えむあいし

ー 

minimum  

inhibitory  

concentration 

/MIC 

微生物に対する抗菌性物質の感受性試験において,微生物の

発育を阻止し得る抗菌性物質の最小濃度。抗菌性物質の特性

指標として重要。 

1523 

始原菌/古細菌 

しげんきん/こさ

いきん 

archaebacteria/ 

archae 

リボゾームの小サブユニットRNAの塩基配列に基づく生物

の分類で真核生物,真正細菌と並ぶ微生物群であり,メタン

細菌,好塩菌,超好熱菌などが含まれる。細胞膜がエーテル

脂質からなり,イントロンをもつなど真正細菌より真核生物

に近い性質をもつ。 

1524 

指標(菌)株 

しひょう(きん)

かぶ 

biological  

indicator  

(cell) strain 

(1)力価の定量などの標準となる(菌)株 

(2)食品若しくは環境における汚染の程度の指標となる菌株。

例えば,水質汚染の指標菌として大腸菌がある。 

1525 

従属栄養細菌 

じゅうぞくえいよ

うさいきん 

heterotrophic  

bacteria 

細胞に必要な栄養素を一部しか合成できない細菌。光化学反

応を利用してエネルギーを得る緑色非硫黄細菌などの光従属

栄養細菌と化学的暗反応を利用してエネルギーを得るその他

の大部分の細菌が属する化学従属栄養細菌(有機栄養細菌)

に分けられる。 

1526 

腫瘍ウイルス/ 

オンコウイルス 

しゅようういるす

/おんこういるす 

tumor virus 

造腫瘍性のウイルス。DNAをもつものとして,SV40,  

papilloma virus, polyoma virus, adenovirusなどがある。RNAを

もつものとしてオンコウイルスと呼ぶものがあり,oncovirus,  

Rous sarcoma virus, avian leukosis virus, mouse mammary tumor 

virus, murine leukemia virus, humanT-cell lympho-tropic virus 

(HTLV−I) などがある。 

1527 

真菌 

しんきん 

fungi 

細菌を除く,粘菌・カビ・酵母などの真核微生物。分化した

細菌小器官と典型的な核をもつ大型の細胞からなる点で原核

生物である細菌と異なり,細胞壁構成多糖と光合成できない

点で藻類と異なり,細胞壁を欠く点で原虫と異なる。 

1528 

水素細菌 

すいそさいきん 

hydrogen bacteria 

水素と酸素との反応エネルギーを利用して生育できる細菌。 

1529 

耐性菌/ 

抵抗性菌 

たいせいきん/ 

ていこうせいきん 

resistant bacteria/ 

resistant organism 

生存に不利な環境条件,薬剤作用,ファージ感染などに耐性

を示す微生物。ファージ耐性やある種の薬剤耐性等の性質に

よっては工業的に有用なものもある。 

1530 

大腸菌 

だいちょうきん 

Escherichia coli 

ヒトを含めて,ほ乳類などの結腸を主な寄生場所とする細菌。

通性嫌気性グラム陰性かん菌。K12株は,寄生性,定着性,

病原性がないので遺伝子操作の宿主として広く用いられてい

る。既にヒトインシュリン,インターフェロンなどがK12の

組換え株を用いて工業生産されている。 

1531 

独立栄養細菌 

どくりつえいよう

さいきん 

autotrophic 

bacteria 

細菌内のすべての有機代謝物質を無機物から合成できる細

菌。細胞のもつ光化学反応系でエネルギーを得て,炭酸同化

に利用するものを光独立栄養細菌,化学的暗反応を利用して

エネルギーを得るものを化学独立栄養細菌という。 

1532 

粘菌類/ 

変形菌類 

ねんきんるい/ 

へんけいきんるい 

myxomycetes 

変形体といわれるアメーバ状の栄養体は組織を形成せず裸出

した原形質からなり多数の核を含み,塊状,樹枝状など不規

則な形状をなす菌類。 

1533 

微生物 

びせいぶつ 

microorganism/ 

microbe 

藻類,酵母,カビ,細菌,リケッチア,ウイルスなどに対す

る便宜的な総称。原虫なども微生物に含まれる。 

1534 

氷核細菌 

ひょうかくさいき

ん 

ice-uncleation 

active bacteria 

葉の表面で,霜の核となるたん白質を細胞表面にもつ霜害の

原因になる細菌。その一つ,Pseudomonas syringaeの氷核遺伝

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23 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

子が単離され,また,この遺伝子を除いた組換え体は最初の

野外実験計画として有名。一方氷核形成能のない天然変異株

は霜害防止剤として,形成能のあるものは人工雪増量剤とし

て市販されている。 

1535 

(バクテリオ)

ファージ 

(ばくてりお)ふ

ぁーじ 

(bacterio)phage 

細菌に感染して増殖するウイルス。遺伝子操作においてベク

ターとしても利用されている。RNA及びDNAファージがあ

る。 

1536 

不完全ウイルス

/欠陥ウイルス 

ふかんぜんういる

す/けっかんうい

るす 

defective virus 

増殖能がなく,かつ,もとの完全ウイルスの増殖を阻害(干

渉)するウイルス。 

1537 

ヘルパーウイル

ス 

へるぱーういるす 

helper virus 

増殖能を欠いた不完全なウイルスの存続を助けるウイルスの

総称。トリやネズミの肉腫ウイルスにたいする白血病ウイル

ス,サルの細菌でのヒトアデノウイルスの増殖を助けるSV40

がその例である。 

1538 

胞子/芽胞 

ほうし/がほう 

spore 

生物が有性又は無性生殖の手段として形成する休止期にある

小体。胞子は一般に耐久性がある。 

1539 

放線菌 

ほうせんきん 

actinomycetes 

主に土壌中に存在する菌糸状形態を取る細菌の総称。DNAの

GC含量は70mol%以上で,一般の細菌よりも高い。特に抗生

物質の生産菌として工業的に重要である。 

1540 

マイコプラズマ 

まいこぷらずま 

mycoplasma 

125〜250nmの大きさで,細胞壁がなく,3層からなる細胞膜

で覆われている。完全合成培地で増殖できる最小の微生物。 

1541 

マクロファージ

/貪食細胞 

まくろふぁーじ/ 

どんしょくさいぼ

う 

macrophage 

大きな骨髄由来の貪食細胞で,異物排除のほかに特異的免疫

において抗原情報をT細胞に伝えたり,活性化を促す。又炎

症反応においてのエフェクター細胞として働く。 

1542 

Muファージ 

みゅーふぁーじ 

μ-phage 

大腸菌K12株に見いだされた2本鎖DNAをもつtemperate 

phageの1種。挿入配列 (IS) と同種の性質があり,遺伝子解

析の重要な手段を提供している。 

1543 

メタン細菌 

めたんさいきん 

methane bacteria/ 

methanogen 

嫌気下にメタンを生成する偏性嫌気菌。水素と二酸化炭素を

気相とする条件を好んで生育するが,ギ酸も利用できる。メ

タン細菌は古細菌に属する独立栄養細菌である。 

1544 

野生株 

やせいかぶ 

wild-type strain/ 

prototroph 

自然界で最も高頻度に出現する表現型をもつ個体,微生物遺

伝学では原栄養株ともいう。原株の意味で用いられることも

多い。 

1545 

溶菌 

ようきん 

bacteriolysis 

ファージの作用又は補体の存在下における免疫反応による細

菌細胞の破壊と溶解。ある抗生物質がその作用する微生物の

菌体を溶解して死滅させるとき,その抗生物質は溶菌作用が

あるといい,生育を止める作用しかないものを静菌 

(bacterio-static) 抗生物質という。 

1546 

溶原菌 

ようげんきん 

lysogenic bacteria 

溶原ファージをもち,当該ファージに抵抗性を示す宿主。 

1547 

溶原ファージ 

ようげんふぁーじ 

lysogenic phage 

ファージゲノムを宿主の染色体に組み込み,その一部として

複製するバクテリオファージ。染色体に組み込まれることを

溶原化と呼び,この状態のファージをプロファージと呼ぶ。

溶原化したプロファージは自然誘発,紫外線照射で誘発され

て溶菌に向かい,子ファージが産生される。 

1548 

λファージ 

らむだーふぁーじ 

lambda phage 

大腸菌K12株に見いだされた2本鎖DNAをもつtemperate 

phageの1種。最もよく研究されているファージの一つでも

あり,また遺伝子操作でもベクターとして広く利用されてい

る。インビトロパッケージングにも用いられる。 

1549 

レトロウイルス 

れとろういるす 

retrovirus 

RNAウイルスの1種で,遺伝子RNAを粒子内に存在する逆

転写酵素の働きでDNAに変換する生活環をもつ。逆転写酵

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24 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

素の働きで合成されたDNAの一部は宿主のDNAの中へ挿入

され,プロウイルスとなる。oncoviruses(腫瘍ウイルス),

lentiviruses(HIVなど),spumaviruses(持続感染ウイルス)に

分けられる。 

d) 動物細胞,植物細胞,細胞工学 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

1601 

ES細胞/ 

胚幹細胞 

いーえすさいぼう

/はいかんさいぼ

う 

embryonic stem 

cell/ESC/EK cell 

マウス初期胚から得られたEC細胞によく似た細胞。テラト

カルシノーマを得る簡便法。 

1602 

EC細胞 

いーしーさいぼう 

embryo carcinoma 

cell/EC cell 

異常に増殖するがん(癌)の性質と細胞分化する性質を兼ね

備えている細胞。テラトカルシノーマはこの細胞に由来する。 

1603 

SV40 

えすぶいふぉーて

ぃ 

SV40/simian 

virus 40 

二本鎖DNAをもつ腫瘍ウイルス。げっし類の新生児に腫瘍

をつくる。サルの細胞内で増殖するが,ハムスター,マウス,

ウサギなどの細胞ではトランスフォメーション(形質転換)

を起こす。また動物細胞系のベクターとしても利用されてい

る。 

1604 

HIV 

えっちあいぶい 

human  

immunodeficiency  

virus 

AIDS(後天性免疫不全症候群)の原因となるウイルス。レト

ロウイルスの中で最大である。 

1605 

NK細胞 

えぬけいさいぼう 

natural killer cell 

抗原感作をしていない正常動物に存在するリンパ球で,非特

異的に腫瘍細胞やウイルス感染細胞を傷害するリンパ球。 

1606 

エフェクター細

胞 

えふぇくたーさい

ぼう 

effecter cell 

反応を担当する細胞。細胞性細胞傷害反応を担当する細胞(キ

ラー細胞など)。 

1607 

L-細胞/ 

L株細胞 

えるさいぼう/ 

えるかぶさいぼう 

L-cell/strain L 

正常な雄マウスの皮下組織から分離され,継代培養された培

養細胞株。変異を誘導しやすいので,様々な変異株が知られ

ている。動物細胞の宿主ベクター系としても利用されている。 

1608 

幹細胞 

かんさいぼう 

stem cell 

動物のいろいろな組織中にあって,分化した細胞を補給する

際のもとになる幼若未分化の親細胞。幹細胞は分化せずに自

己再生できる。 

1609 

グラム染色 

ぐらむせんしょく 

Gramʼs staining 

クリスタルバイオレットで染色し,ヨード液で媒染後アルコ

ールで脱色したとき,脱色されるかどうかで判定する細菌分

類上の手法。細胞表層構造の差異によるものと考えられてい

る。細菌はグラム陽又は陰の二つに分けることができる。 

1610 

形質細胞 

けいしつさいぼう 

plasma cell 

骨髄由来の分化したBリンパ細胞で,抗体を分泌する。小さ

な核と発達した粗面小胞体をもつ。 

1611 

好酸球 

こうさんきゅう 

acidophil/ 

eosinophil/acido- 

philic leucocyte 

塩基性たん白質を含む顆粒球をもつ多形核白血球。炎症反応

を仲介すると考えられている。血流中の白血球の約1〜3%を

占める。 

1612 

好中球 

こうちゅうきゅう 

neutrophil/neutro- 

phil leukocyte 

中性の顆粒球を含む多形核白血球。旺盛な貪食作用を示す。

全白血球の約55〜65%を占める。 

1613 

コンピテント細

胞 

こんぴてんとさい

ぼう 

competent cell 

外来のDNAを取り込み得る状態になった細胞。組換えDNA

などを取り込ませるために利用されている。発生学では特定

の分化誘導刺激に応じて一定の分化をする能力のある細胞を

指すこともある。 

1614 

再構成細胞 

さいこうせいさい

ぼう 

reconstituted cell 

融合させたい細胞A,Bのうち,Aの核とBの細胞質体とを

融合したもの。核外にあるミトコンドリアDNAなどの作用

を判定するよい実験系である。サイトプラストとカリオプラ

ストを融合させたもの。 

1615 

細胞 

さいぼう 

cell 

生体内を構成する単位。外界を隔絶する膜で囲まれ,内部に

自己再生能を備えた遺伝情報とその発現機構をもつ生命体。

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25 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

はっきりした核をもつ真核細胞とはっきりしない原核細胞が

ある。 

1616 

細胞株 

さいぼうかぶ 

cell line 

選択又はクローニングによって細胞系から分離された特異な

性質あるいは遺伝的標識をもつ培養細胞系。 

1617 

細胞工学 

さいぼうこうがく 

cell technology/ 

cell engineering 

主として培養細胞を材料として,細胞融合,細胞内へDNA

を注入するなどして細胞自体を操作する手法。新しい細胞株

の造成や有用産物の生産を目的とする。 

1618 

CHO細胞 

しーえいちおーさ

いぼう 

chinese hamster  

ovary cell 

チャイニーズハムスター卵巣組織から分離された繊維芽細胞

株。付着性の細胞であるが,浮遊状態でも生育できる。ヒト

由来の生理活性物質(エリスロポエチンなど)の工業生産に

も利用されている。 

1619 

食細胞 

しょくさいぼう 

phagocyte 

細菌,原生動物,死んだ組織細胞,異物などを摂取し,消化

する能力をもった細胞の総称。血流中にある多形核白血球と

単球,そして組織中に存在するマクロファージがある。 

1620 

線維芽細胞/ 

繊維芽細胞 

せんいがさいぼう 

fibroblast 

動物のほとんどすべての組織中にある中胚葉由来の細胞で,

組織培養系では紡錘形をなしてよく増殖する。 

1621 

藻類 

そうるい 

algae 

水中で光合成によって独立栄養生活をする下等植物の総称。

クロレラ,スピルリナ等が代表例。 

1622 

多分化能 

たぶんかのう 

pluripotency 

胚の一部又は細胞が,種々の種類の細胞に分化する能力をも

っていること。造血幹細胞は赤血球,白血球,マクロファー

ジなどに分化する多分化能をもっている。分化して個体まで

造れる能力を全分化能 (totipotency) という。 

1623 

単球 

たんきゅう 

moneocyte/ 

mononuclear  

leucocyte 

血流中にある貪食能をもった単核白血球。組織内に移入する

とマクロファージとなる。 

1624 

T細胞/ 

Tリンパ球 

てぃーさいぼう/ 

てぃーりんぱきゅ

う 

T−cell/ 

T lymphocyte 

胸腺に由来するリンパ球。抗体は産生しないが,抗体産生の

調節と標的細胞の傷害を担う。T細胞にはその機能から,B

細胞の抗体産生を促進するヘルパーT細胞,抑制するサップ

レッサーT細胞,特異的に標的細胞を傷害するキラーT細胞,

遅延型アレルギーにかかわるDTHエフェクターT細胞に分け

られる。 

1625 

胚移植 

はいいしょく 

embryo transfer 

培養された胚又は他の雌の胚を,発生段階に応じて別の雌の

卵管,又は子宮に移して個体を誕生させる技術。 

1626 

白血球 

はっけっきゅう 

leukocyte 

核と細胞質を備えた細胞で,形態及び染色性から好塩基顆粒

球,好酸球,好中球,リンパ球及び単球に分かれる。 

1627 

BHK細胞 

びーえっちけーさ

いぼう 

BHK cell/ 

CHO cell 

生後1日目のシリアン(ゴールデン)ハムスターの腎臓より

培養,その後繊維芽細胞株クローンとして分離された細胞系

統。染色体が安定なため,CHO細胞株とともに,有用物質の

生産に多く使用されている。 

1628 

B細胞 

/Bリンパ球 

びーさいぼう/び

ーりんぱきゅう 

B-cell/ 

Blymphocyte 

骨髄由来の抗体産生細胞。幼若なB細胞の表面上のレセプタ

ーに抗原が結合すると活性を受けて,RNA合成が増加する。

次いでB細胞増殖分化因子に対するレセプターができて増殖

が始まる。これにさらにB細胞分化因子が働いて大量の抗体

を産生する細胞に分化する。 

1629 

比速度 

ひそくど 

specific rate 

生物とくに微生物の生理活性を表す1種の反応速度を言う。

単位微生物量,単位時間当たりの対象とする物質の変化量で

表現される。例えば,微生物の比増殖速度,基質の比消費速

度,酸素の比呼吸速度などがある。酵素の場合は,比活性と

呼ばれる。 

1630 

肥満細胞/ 

ひまんさいぼう/ 

mast cell 

血液中の好塩基球に相当する大きな細胞質顆粒をもつ多形核

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26 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

マスト細胞 

ますとさいぼう 

細胞。アナフラキシーに関係するヒスタミンやセロトニンな

どを産生する。 

1631 

蛍光in situハイ

ブリダイゼーシ

ョン/FISH 

けいこういんしち

ゅはいぶりだいぜ

ーしょん/ふぃっ

しゅ 

fluorescence in 

situ hybridization/ 

FISH 

蛍光標識されたDNAプローブを細胞や染色体の形態を保っ

たままの試料とハイブリダイズさせ標的遺伝子又はその転写

産物の存在位置や分布状況を蛍光顕微鏡下で観察する方法。 

2. 基礎技術 

a) 培養,培養工学 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

2101 

ウシ胎児血清 

うしたいじけっせ

い 

fetal bovine serum/ 

fetal calf serum 

動物細胞培養において広く利用されるウシ胎児から調製され

たγグロブリンを含まない血清。細胞増殖を促すペプチド性ホ

ルモン,栄養因子,担体,微量金属などを含むが,ロット差

などが問題となる場合もある。 

2102 

株化細胞 

かぶかさいぼう 

established cell 

line 

移植継代しても集団として長期に安定して増殖し,その特性

が安定に保たれる細胞。L細胞,HeLa細胞などが代表例。 

2103 

カルス 

かるす 

callus 

植物組織培養において組織片より形成される不定形の細胞

塊。カルスは固体又は液体培地で増殖できる,又この脱分化

したカルスに適当な培地(植物ホルモンなど)を与えると再

分化して完全な植物体にまで分化させることもできる。 

2104 

完全培地 

かんぜんばいち 

complete medium 

主として微生物の培養に際して,その生物の成長,増殖が最

高度に起こるのに必要な条件を備えた培地。 

2105 

灌流培養法 

かんりゅうばいよ

うほう 

continuous culture 

process/ 

continuous 

purfusion process 

基質を装置内に供給すると同時に同量の反応液を系外に排出

して反応の定常状態を維持する培養法。動・植物の組織細胞

を培養するとき慣習として灌流培養法といわれている。 

2106 

器官培養 

きかんばいよう 

organ culture 

器官を単離してその形態的特徴を保持しつつ培地中で培養す

ること。 

2107 

継代培養 

けいたいばいよう 

subculture/passage 

culture 

微生物や細胞を増殖又は保持する際,その一部を新しい培地

に植継いで培養すること。植継ぎを重ねることによって特性

が変化することもあるので,その回数はできるだけ少なくす

る。 

2108 

茎頂培養 

けいちょうばいよ

う 

shoot tip culture 

茎の頂端部を切りだして培地中で培養し,同一の遺伝的性質

を有する個体を育成する技術。 

2109 

血清添加培地 

けっせいてんかば

いち 

serum-containing 

medium 

血清の種類を明らかにした動物細胞などの培地。血清は多種

類の化合物を含み,有効成分は不明である。ロット差が著し

く,培養条件の正確なコントロールは難しい。 

2110 

合成培地 

ごうせいばいち 

synthetic medium 

化学組成の明確な物質だけからなる培地。微生物や細胞の特

性を研究するうえで重要。 

2111 

高密度培養 

こうみつどばいよ

う 

high-density 

culture 

新鮮培地や基質を途中添加又は増殖阻害物質を除くなどし

て,細胞や生産物を高密度に得る方法。特に動物細胞培養に

おいて重要なもので,灌流培養,置換培養など様々な工夫が

されている。 

2112 

コロニー 

ころにー 

colony 

微生物や動植物の培養細胞の1個の細胞が,固形培地上で増

殖してできる可視的な集塊。 

2113 

混合培養 

こんごうばいよう 

mixed culture 

2種類以上の菌株又は微生物からなる培養。微生物の協同作

用によって物質生産などを行う方式。生もとを用いる酒の生

産,廃液処理などがその例である。 

2114 

最少必須培地 

さいしょうひっす

minimum essential 

透析血清の存在下で,培養細胞を増殖させるための必要最少

background image

27 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

ばいち 

medium 

限の化学成分を含む培地。イーグルの考案した培地を指すこ

とが多い。動物組織,又は細胞培養に使用されるアミノ酸,

ビタミンを含み,10〜20%の血清添加で多くの細胞を良好に

生育できる。 

2115 

最大比増殖速度 

さいだいひぞう 

しょくそくど 

maximum specific 

growth rate 

単位菌体量当たりの増殖速度の最大値。μmaxで表すことが多

い。微生物種に固有の値で,培養条件によって変化する。 

2116 

再分化 

さいぶんか 

redifferentiation/ 

regeneration 

通常の発生分化から逸脱した細胞から元の器官や生物体が復

元すること。植物の場合再生ともいう。 

2117 

細胞質雑種/ 

サイブリッド 

さいぼうしつざっ

しゅ/さいぶりっ

ど 

cybrid 

核は一方の細胞由来であるが異種の細胞質が混在している細

胞又は個体。サイトプラストと細胞とを融合させた細胞。 

2118 

細胞周期 

さいぼうしゅうき 

cell cycle 

細胞の分裂・増殖するときの細胞の生活環。分裂期(M期),

DNA合成準備期(G1期),DNA合成期(S期),分裂準備期

(G2期),細胞が細胞周期の進行を停止している状態(G0期)

に分かれる。 

2119 

細胞寿命 

さいぼうじゅみょ

う 

cellular life span 

細胞の死,分裂の停止,又はある細胞集団から排除される現

象,及びそれに至る期間。培養系では,正常2倍体細胞分裂

に伴う分裂加齢によるクローン加齢を指すことが多い。 

2120 

細胞培養 

さいぼうばいよう 

cell culture 

動物,植物など多細胞生物の器官,組織片を細胞に解離し,

これを試験管内で培養すること。 

2121 

細胞分化 

さいぼうぶんか 

cell differentiation 

発生中の生物の細胞の構造や機能が前進的に変化し,特殊化

した細胞や構造を生じる過程。 

2122 

細胞老化 

さいぼうろうか 

cellular aging/ 

cellular senescence 

細胞レベルにおける形質や機能の変化とそれに続く細胞死。

個体老化の部分的現象と考えられている。 

2123 

雑菌汚染 

ざっきんおせん 

contamination 

特定の有用菌の培養中に,他の菌が混入すること。今日の発

酵はほとんどが純粋培養によるものであるから,雑菌の混入

は妨げねばならない。 

2124 

三次元培養法 

さんじげんばいよ

うほう 

three-dimentional 

culture 

試験管内に立体的配置をとらせた状態で行う器官又は細胞培

養法。生体内での組織と類似の組織を構築させたり,特有の

分化機能を発現させる目的で使用される。スポンジ状構造を

もつ様々な支持体が開発されている。 

2125 

斜面培養 

しゃめんばいよう 

slant culture 

試験管の中に寒天などの固形培地の斜面を作り,その面に微

生物を培養すること,又はそうして培養したもの。無菌操作

が容易で,植継ぎによく用いられる。 

2126 

集積培養 

しゅうせきばいよ

う 

enrichment 

culture 

特定の微生物集団を選択的に増殖させる培養法。薬剤,温度

などの物理的条件等を用いて選別する。 

2127 

純粋培養 

じゅんすいばいよ

う 

pure culture 

単一の菌株のみの培養。現在の発酵プロセスの大部分はこの

方式による。 

2128 

植物組織培養 

しょくぶつそしき

ばいよう 

plant tissue 

culture 

植物の細胞,組織,器官などを取り出して無菌的に培養する

技術。植物細胞は全能性をよく保っているので,組織培養に

よって少ない材料から多くの個体を得ることも可能であり,

また比較的短時間で有用植物の育種も可能である。 

2129 

初代培養 

しょだいばいよう 

primary culture 

生体から分離した器官,組織,又は細胞を体外培養に移して

から植継ぎを行うまでの培養。多くの場合,初代培養細胞は

由来組織,臓器の性質を保持しているが,継代を重ねるにつ

れて特徴が失われる。 

2130 

生育速度/ 

増殖速度 

せいいくそくど/ 

ぞうしょくそくど 

growth rate 

単位時間における生育の度合。生体重量や細胞数の増加又は

伸長の程度で示す。 

2131 

静止期 

せいしき 

(1)stationary 

phase/ 

(1)微生物又は細胞等の培養において増殖速度と死滅速度が

平衡状態にある時期。定常期ともいう。 

background image

28 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

(2)interphase 

(2)動植物の細胞周期における分裂期を除く時期。間期ともい

う。 

2132 

静置培養 

せいちばいよう 

stationary culture 

振とうや通気をせずに容器を静置して行う液体培養。 

2133 

成長因子 

せいちょういんし 

growth factor 

生物又は細胞の数,重量,体積などを増加させる作用をもつ

物質。一般的には,細胞,組織,臓器,個体を問わず,この

作用をもつものを指す。細胞に対しては,形態を変化させ,

肥大させるものもある。 

2134 

成長点 

せいちょうてん 

meristem 

茎や根の先端に存在し,新しく細胞をつくりだす分裂機能を

もつ部位。 

2135 

成長点培養 

せいちょうてんば

いよう 

meristem culture 

成長点を切りだして培養し,無ウイルス株の育成や同一の遺

伝的性質をもつ個体を育成する技術。 

2136 

世代時間 

せだいじかん 

generation time 

(1)個体がその発生を開始してから次の世代を生じるまでの

時間。 

(2)細胞などの場合は細胞分裂における一細胞周期の平均所

要時間。微生物の分野では1個の細胞が2個になるまでの時

間に相当し,培養条件によって変動する。 

2137 

接触阻止 

せっしょくそし 

contact inhibition 

単層状に増殖した細胞が相互に間げき(隙)なく接触するこ

とによって,増殖が止まること。狭義には細胞の運動が他の

細胞との接触によって,規制されることを指す。形質転換し

た細胞はこの性質がなくなるので,その指標として利用でき

る。 

2138 

穿刺培養 

せんしばいよう 

stab culture 

微生物の培養物を白金線の先端に付け,寒天やゼラチンなど

の固形培地に深くさし込んで接種し培養すること。通性嫌気

菌の保存や酵母,細菌の生理的性質の観察に使われる。 

2139 

選択培地 

せんたくばいち 

selective medium 

ある集団の中から特定の性質を示す細胞を選択的に増殖させ

る培地。栄養要求性,温度感受性,薬剤耐性などを指標にす

る。 

2140 

阻害定数 

そがいていすう 

inhibition constant 

酵素反応において酵素と阻害剤から酵素−阻害剤複合体を形

成する反応の解離平衡定数。Kiと略記。 

2141 

組織培養 

そしきばいよう 

tissue culture 

生体の組織の一部又は細胞を生きたまま取り出し,その特性

を保持させながら培養すること。細胞培養を含むことがある。

広義には器官培養,組織培養,細胞培養を含めた体外培養一

般を指す。 

2142 

組織培養苗/ 

クローン苗 

そしきばいような

え/くろーんなえ 

tissue culture 

seedling/clone 

seedling 

胚又は体細胞由来の組織培養により作られた均一な遺伝形質

をもつ苗。 

2143 

対数増殖期 

たいすうぞうしょ

くき 

logarithmic  

growth phase 

細胞集団の細胞数が対数的に増加する時期。増殖の最も盛ん

な時期。 

2144 

滞留時間 

たいりゅうじかん 

retention time 

連続培養又は殺菌において反応槽に培養液を滞留させる時

間。広義には液体を特定の場所にとどめておく時間のことで,

例えば下水中の浮遊物を沈殿分離するために沈殿池に下水を

とどめておく時間を指す。 

2145 

大量培養 

たいりょうばいよ

う 

large-scale culture 

大量に培養すること。“組換えDNA実験指針”では20Lを超

えるものを指す。ガイドラインによると,P1レベルはLS-1,

P2レベルはLS-2で行う。一方,個別審査で,危険性の極め

て少ないと判断されたものはLS-1よりも封じ込めレベルの

緩やかなLS-Cレベルで培養できる。 

2146 

多段単層法 

ただんたんそうほ

う 

multitray method/ 

multilayer culture 

トレーを多段に積み重ねて動物細胞を単層状に効率よく培養

すること。付着依存性細胞を効率よく大量培養する方法の一

つ。 

background image

29 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

2147 

種培養 

たねばいよう 

seed culture 

本培養を効率よく行えるように微生物又は細胞の条件を整

え,かつ,それらの数量を確保するための培養。培地組成,

培養時間,種培養の量などが本培養の成績に大きく寄与する。 

2148 

単層培養 

たんそうばいよう 

monolayer culture 

培養容器の底又は壁面に一層の細胞層として培養すること。

形質転換した接触阻止のない細胞株では,増殖して細胞が接

し合っても増殖を続け多層になる。 

2149 

通気攪拌培養/

深部培養 

つうきかくはんば

いよう/しんぶば

いよう 

submerged culture 

好気性の微生物を液中で生育させるために培養液を通気又は

通気かくはん(攪拌)しながらする培養。かくはん翼を備え

た通気かくはん型発酵槽と通気だけを行う気泡塔型発酵槽が

ある。 

2150 

天然培地 

てんねんばいち 

natural medium 

生物材料から得られた成分だけより構成されている培地。無

機塩類やビタミンなどの増殖因子を補強することが多い。 

2151 

同調培養 

どうちょうばいよ

う 

synchronous 

culture 

細胞を細胞周期の特定の時期にそろえた培養。細胞周期の

様々な時期にある細胞集団から,特定の時期の細胞を密度の

差や付着性で分ける方法と薬剤や物理的処理ですべての細胞

をいったん周期上のある時期で止め,次いでこれを解除して

周期をそろえて進ませる方法がある。 

2152 

軟寒天培地/ 

半流動培地 

なんかんてんばい

ち/はんりゅうど

うばいち 

soft agar medium/ 

semisolid medium 

培地に0.3〜0.6%の寒天を溶解固化したもの。細胞の付着依存

性増殖の判定,ファージの計数などに用いる。 

2153 

培地 

ばいち 

medium 

微生物や細胞,組織,器官などを増殖,発育させるために与

える栄養成分と支持体。 

2154 

付着依存性培養 

ふちゃくいぞんせ

いばいよう 

anchorage- 

dependent culture 

細胞が増殖するとき付着すべき足場を必要とする培養。ガラ

スなどの器壁に接触しなければ増殖できないこと。通常軟寒

天培地での増殖で判別する。 

2155 

プロトプラスト 

ぷろとぷらすと 

protoplast 

細菌,菌類,植物細胞などの細胞壁を取り除いた原形質膜で

囲まれた細胞質体。細菌ではリゾチーム,カビ・酵母ではカ

タツムリの消化酵素,植物細胞ではセルラーゼ,ペクチナー

ゼ,ヘミセルラーゼなどが細胞壁を除くのに用いられる。 

2156 

平板培養 

へいばんばいよう 

plate culture 

寒天などの固化剤を用いて得られる平らな培地上での培養。

固化剤として寒天のほかにゼラチン,シリカゲル,gelrite

(Pseudomonas sp. の生産するヘテロ糖ポリマー),合成ポリ

マーなども使える。 

2157 

保存培養 

ほぞんばいよう 

stock culture 

将来の必要に備えて保存された微生物,細胞及び組織の培養。

凍結保存法(液体窒素中又はグリセリン存在下で−20〜−

100℃保存),凍結乾燥保存法,L−乾燥法(10−1torr付近で凍

結しないで気化によって水分を除去する)などがよく用いら

れる。 

2158 

保存培養/保存

菌株 

ほぞんばいよう/ 

ほぞんきんかぶ 

culture stock/ 

stock culture 

将来の必要に備えて保存された微生物,細胞及び組織の培養

又は保存物。 

2159 

本培養 

ほんばいよう 

main culture 

微生物,動植物細胞又はその生産物を得るために行う培養。 

2160 

無血清培地 

むけっせいばいち 

serum-free 

medium 

血清の代わりに各種の成長因子など既知物質からなる動物細

胞増殖用培地。動物細胞による有用物質(特にたん白質様物

質)生産には血清由来の不純物を避けるためにその開発が必

す(須)。 

2161 

葯(やく)培養 

やくばいよう 

anther culture 

植物組織培養の1種で,やくを培養し半数性細胞や半数体を

得る技術。 

2162 

流加培養/流加

発酵 

りゅうかばいよう

/りゅうかはっこ

う 

fed batch culture/ 

fed batch 

fermentation 

系外から連続又は逐次新鮮な基質(原料)をバイオリアクタ

ー内に許容液量に達するまで供給し,生物反応を行わせる培

養又は発酵操作方法。半連続培養 (semi continuous culture),

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30 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

半連続発酵 (semi continuous fermentation) とも呼ばれる。反応

の進行状態,生体触媒の活性に応じて実行される。 

2163 

連続培養(連続

定常培養法) 

れんぞくばいよう

(れんぞくていじ

ょうばいようほ

う) 

continuous 

fermentation 

培養槽中に連続的に培地を供給し,かつ,連続的に培養液を

排出させる培養法。培養液中の菌体・基質・生産物などの濃

度を一定に保てるので一定状態の微生物を得るのに好適であ

る。単位装置当たりの生産効率はバッチ法に比べてよいが,

雑菌汚染対策を厳密に行うことが必す(須)。 

b) 細胞融合 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

2201 

雑種 

ざっしゅ 

hybrid 

遺伝的に異なった細胞又は個体の交雑によって得られる細胞

又は個体。 

2202 

シンカリオン 

しんかりおん 

synkaryon 

接合又は細胞融合によってもたらされた2個以上の核が融合

して一体になった状態。 

2203 

スフェロプラス

ト 

すふぇろぷらすと 

spheroplast 

細菌又は植物細胞の細胞壁を酵素処理などで部分的に取り除

いたもの。完全に取り除いたものをprotoplastという。高分子

物質に対する透過性は,プロトプラストと同じように高くな

るので,形質転換実験などに利用される。 

2204 

トランスジェニ

ック動植物 

とらんすじぇにっ

くどうしょくぶつ 

transgenic 

organism 

遺伝子組換えによって,外来遺伝子を導入した動植物。通常

の交雑育種では不可能な形質をもった動植物ともいえる。 

c) 遺伝子操作,遺伝子工学 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

2301 

RFLP/制限酵

素断片長多型 

あーるえふえるぴ

ー/せいげんこう

そだんぺんちょう

たけい 

restriction 

fragment length 

polymorphism/ 

RFLP 

制限酵素処理によって得られるDNA断片の長さの多型。同1

種内でも遺伝子には種々の個体差があり,その違いが集積し

た部位があり,個体固有の変異パターンがある。表現型と高

度に相関する部位のDNAプローブを作り,サザンブロット

によってRFLPを検出する。遺伝子疾患の予測,作物の育種

などに利用されている。 

2302 

アテニュエイシ

ョン(DNAの) 

あてにゅえいしょ

ん(でぃーえぬえ

ーの) 

attenuation 

翻訳と共役した転写調節機構。オペロン内部にある転写終結

部位(アテニュエーター)の存在によるもので,その構造は

GC塩基の多い2回回転対称構造に連なるA塩基に富んだも

のである。 

2303 

イーエスティー

/EST 

いーえすてぃー/ 

いーえすてぃー 

expression 

sequence tag/EST 

mRNAをもとにして決定されているが,その機能が解明され

ていない塩基配列断片。 

2304 

EKシステム 

いーけーしすてむ 

EK system 

組換えDNA実験において,大腸菌K12又はその誘導体を宿

主とする宿主−ベクター系。K12を用いるEK1とK12のジア

ミノピメりん酸要求変異株 (x1776) を使用するEK2に分か

れる。 

2305 

イーストツーハ

イブリッドシス

テム 

いーすとつーはい

ぶりっどしすてむ 

yeast two hybrid 

system 

二つに分断した転写因子に融合した遺伝子産物の相互作用を

転写因子の再結合を指標にした酵母細胞内での高感度検出

系。 

2306 

遺伝暗号 

いでんあんごう 

genetic code 

4種の塩基 (A/U/G/C) から作られる3種の塩基の順列組合せ

(コドン,codon)。4種の塩基から作られるコドンは全部で

64個あり,そのうち3個には対応するアミノ酸はなくアミノ

酸重合の終了を指定する。 

2307 

遺伝子 

いでんし 

gene 

遺伝情報を決定する機能的・物理的構造単位。転写・翻訳さ

れる構造遺伝子と発現を制御する調節遺伝子から構成され

る。 

2308 

遺伝子型 

いでんしがた 

genotype 

個体又は特定の遺伝子構成。環境との相互作用によって表現

型が決まる。個体がもつ遺伝子の総体を指すこともある。個

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31 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

体がとり得る遺伝子型の数は莫大である。 

2309 

遺伝子欠失 

いでんしけっしつ 

deletion 

染色体からDNAの一部を失うこと。従って機能あるいは構

造体を失うことになり,復帰変異は認められない。 

2310 

遺伝子座/座 

いでんしざ/ざ 

genetic locus/ 

locus 

染色体地図上における遺伝子の位置。一つの染色体上にある

遺伝子座には一つの遺伝子が存在するが,それがとり得る状

態は必ずしも一つとは限らない。そのため多数の個体から特

定の遺伝子座の状態を調べると異なった遺伝子(対立遺伝子)

が見いだされることがある。これを多型現象 (Polymorphism) 

という。 

2311 

遺伝子操作 

いでんしそうさ 

gene manipulation 

DNAの組換え分子を作り,これを生細胞に移入することによ

って遺伝子を電離・解析したり人為的に変換したりすること。

遺伝子を直接取り扱うことをすべて含む。応用だけでなく生

物学の基本的課題解明のためにも重要な分野である。 

2312 

遺伝子増幅 

いでんしぞうふく 

gene amplification 

ある特定の遺伝子が多数複製される現象。生活環のある時期

に増幅する場合と環境の変化に応じて増幅する場合がある。

前者の例として両性類の卵母細胞のリボソーム遺伝子の増

幅,後者の例は細菌のプラスミドの増幅がある。遺伝子操作

では遺伝子そのものを増加させて生産性を上げることが多

い。 

2313 

遺伝子ターゲッ

ティング/ジー

ンターゲティン

グ/相同組換え

技術 

いでんしたーげっ

てぃんぐ/じーん

たーげてぃんぐ/

そうどうくみかえ

ぎじゅつ 

gene targeting 

相同組換えを利用して細胞及び個体レベルで目的とした遺伝

子だけに変異を導入すること。個体レベルで遺伝子ターゲッ

ティングを行った特定遺伝子欠損マウス(ノックアウトマウ

ス)は様々な遺伝子機能の解明に利用されている。 

2314 

遺伝子地図 

いでんしちず 

gene map 

連鎖した遺伝子間に起こる組換え頻度を尺度にして決めた同

一染色体上に乗っている遺伝子の配列順序と相対的関係を直

線上に表したもの。DNAの塩基配列を決めて作られる物理的

地図と比較すると配列順序は一致するが,距離は必ずしも一

致しない。 

2315 

遺伝子重複 

いでんしちょうふ

く 

gene duplication 

染色体が倍数化すること又は特定の遺伝子がDNA配列の重

複によって増加すること。同一染色体間の不等交差によるも

ので,一方の染色体で遺伝子の重複が起こり他方には遺伝子

欠失が起こる。 

2316 

遺伝子治療 

いでんしちりょう 

gene therapy 

遺伝子を導入して,患者の疾患を治す治療法。患者の細胞を

採取して,体外で目的の遺伝子を導入した後,再移植するex 

vivo法と遺伝子を直接導入する直接法の2種ある。アデノシ

ン・デアミネース欠損症(ADA欠損症),ガンなどの治療に

応用されている。 

2317 

染色体ウォーキ

ング/遺伝子ウ

ォーキング 

せんしょくたいう

ぉーきんず/いで

んしうぉーきんぐ 

chromosome  

walking 

目的とする遺伝子が既にクローニングされている遺伝子と近

接している場合,その隣の遺伝子の断片をクローニングされ

ている遺伝子とオーバーラップさせながら順次染色体上を動

いて行くようにして目的の遺伝子をクローニングする方法。 

2318 

遺伝子量効果 

いでんしりょうこ

うか 

gene dosage effect 

特定の遺伝子の遺伝子量に応じて遺伝子産物が増加するこ

と。遺伝子操作では特定の遺伝子を多コピープラスミドに載

せて遺伝子産物の生産を高めることがよく行われる。 

2319 

イニシエーター

(発癌の) 

いにしえーたー

(はつがんの) 

tumor ininiator/ 

initiator of  

carcinogenesis 

正常細胞に働いてそのDNAに固定的変化を起こし,それを

潜在性細胞 (initiated cells) に変える物質。ジベンゾアンスラ

セン,ウレタン,クロロメチルエーテルなどが知られている。 

2320 

インサイチュハ

イブリダイゼー

いんさいちゅはい

ぶりだいぜーしょ

in situ 

hybridization 

DNA−DNA又はDNA−RNAハイブリダイゼーションの一つ

で,固定した染色体に放射性同位元素で標識したプローブを

background image

32 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

ション 

ん 

その場でハイブリダイゼーションさせ,オートラジオグラフ

ィーを行うと,プローブと相同性のある染色体上の配列を決

定できる。 

2321 

イントロン 

いんとろん 

intron/intervening  

sequence 

真核生物やそのウイルスの遺伝子には,最終的にたん白質又

はRNAとして発現する配列と,発現しない配列とがあるが,

このうち,発現しない配列部分。intronはスプライシングを

受けて,切り捨てられ,成熟mRNAの中には存在しない。 

2322 

インバートン 

いんばーとん 

inverton 

逆位を起こすDNA断片が一定の領域であり,かつその中に

この逆位を起こす酵素。DNA invertaseの遺伝子をもっている

もの。逆位し得る断片の両端に塩基配列の回文構造がみられ

る。 

2323 

インビトロパッ

ケージング 

いんびとろぱっけ

ーじんぐ 

in vitro  

packaging 

組換えDNAを細胞外でファージ粒子たん白質に包み込み,

完全な感染体を作ること。ラムダファージがよく用いられる

が,この方法でDNAを効率よく宿主に導入できるのでDNA

クローニングの重要な手法の一つである。 

2324 

エーエフエルピ

ー/AFLP 

えーえふえるぴー 

amplified fragment  

length  

polymorphism/ 

AFLP 

DNAの制限酵素切断断片をPCR法によって選択的に増幅し,

個体間のゲノムDNA,又はcDNAの多型を検出する方法。 

2325 

エクソン 

えくそん 

exon 

真核生物やそのウイルスの遺伝子には,最終的にたん白質又

はRNAとして発現する配列と,発現しない配列とがあるが,

このうち,発現する配列部分。しかしアミノ酸に翻訳されな

い領域を開始コドンの上流にもつものもある。 

2326 

mRNA/メッセ

ンジャーRNA/

伝令RNA 

えむあーるえぬえ

ー/めっせんじゃ

ーあーるえぬえー

/でんれいあーる

えぬえー 

messenger  

RNA/mRNA 

DNAから転写されてできる一本鎖RNAで,リボゾーム上で

たん白質へと翻訳される。原核細胞では一つのオペロンに属

する遺伝子群を一続きのmRNAとして転写する。真核細胞で

は,核の中で前駆体に転写され,5ʼ末端にキャップ構造,3ʼ

末端にポリアデニン構造を結合して修飾される。 

2327 

エンハンサー 

えんはんさー 

enhancer 

真核細胞及びそのウイルスの遺伝子に存在し,配列の向きに

かかわらず転写を著しく促進する塩基配列。比較的大きな配

列であり,かなり距離(数千kilobase)が離れていても働き,

組織特異性がある。シスに作用する要素である。 

2328 

オペロン 

おぺろん 

operon 

DNAからRNAへの転写がプロモーターによって同調的に制

御される遺伝子群。単一プロモーターの下に制御されている

ポリシストロンといえる。カビ以上の微生物及び高等生物で

は一続きのオペロンではなく,遺伝子は散在することが多い。 

2329 

がん遺伝子/ 

オンコジーン/

腫瘍遺伝子 

がんいでんし/ 

おんこじーん/ 

しゅよういでんし 

oncogene 

癌化の指令を発する遺伝子。正常な細胞にあっては制御遺伝

子や,抑制遺伝子の支配下にあって,細胞分裂,細胞分化な

どに関与していると考えられる。しかし,その制御が外れる

と,ガン化に至る。レトロウイルスの多くが腫瘍遺伝子   

(viral oncogene; v-onc) をもち,正常細胞にはこれと相同性の

ある細胞性腫瘍遺伝子(cellular oncogene; c-onc)があることが

示されている。 

2330 

開始信号/ 

開始コドン 

かいししんごう/

かいしこどん 

initiation codon 

生体内でのたん白質合成に際して,mRNAの塩基配列の中で

第一番目のアミノ酸を指定するコドン。AUGとGUGの二つ

を指す。塩基配列から,その遺伝子産物であるたん白質のア

ミノ酸配列を推定するとき,AUGはN末端を決める重要な

目安である。 

2331 

核移植 

かくいしょく 

nuclear  

transplantation 

あらかじめ核をサイトカラシンなどを使って取り除くか,紫

外線照射で核を不活化した細胞に,別の細胞から取った核を

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33 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

挿入すること。核と細胞質の機能や相互関係を検討できる。 

2332 

偽遺伝子 

ぎいでんし 

pseudo-gene 

機能のある本来の遺伝子によく似た塩基配列をもつ機能のな

い遺伝子。pseudo-geneの特徴はその進化速度が速いことであ

る。 

2333 

逆転写 

ぎゃくてんしゃ 

reverse  

transcription 

RNAを鋳型にしてDNAを合成すること。遺伝子操作では

mRNAからこの反応を触媒する逆転写酵素を利用してcDNA

をつくり,このcDNAを適当なベクターにつなぎ目的とする

遺伝子産物を生産するために広く利用されている。 

2334 

キャップ構造 

(mRNAの) 

きゃっぷこうぞう

(えむあーるえゆ

えーの) 

cap structure  

(of mRNA) 

真核細胞のmRNAに広く存在する5ʼ末端の修飾構造で,7メ

チルグアシンがピロリン酸を介して5ʼ末端のりん酸に結合し

たもの。酵素分解に対する保護作用と翻訳開始機構に働いて

いる。 

2335 

組換え体 

くみかえたい 

recombinant 

組換えDNAを含む宿主細胞。遺伝子操作におけるin vitro組

換えによって形成された組換えDNAのことを指すこともあ

る。 

2336 

組換えDNA 

くみかえでぃーえ

ぬえー 

recombinant 

酵素などを用いた切断,再結合の操作によってDNAをつな

ぎ合わせたもの。遺伝子操作では異種遺伝子の発現を図るた

め,ベクターと目的遺伝子の組合せが多い。 

2337 

組換えDNA技

術 

くみかえでぃーえ

ぬえーぎじゅつ 

recombinant 

DNA technology 

組換えDNAを作製し,それを生細胞(宿主)に移入し,増

殖させる技術。異種のDNAを取り扱う場合安全確保のため,

適切な生物学的封じ込め並びに物理的封じ込めの下での実施

が要求されている。 

2338 

形質転換 

けいしつてんかん 

transformation 

遺伝物質が細胞に取り込まれ,発現されることによって形質

が変わること。外来の単離した遺伝物質(DNA)を取り込める

状態にある細胞をコンピテント細胞と呼び,表層荷電の変化

や細胞壁の除去などの工夫が必要である。細胞学では動物細

胞の形質が癌化状態を示し,無期限に増殖できるようになる

こと。増殖の接触阻止の喪失,軟寒天内コロニー形成などの

変化がみられる。 

2339 

形質導入 

けいしつどうにゅ

う 

transduction 

ウイルスを介して遺伝物質が細胞に取り込まれ,発現される

ことによって形質が変わること。普遍形質導入ではすべての

遺伝子が導入されるのに対して,特殊形質導入では特定の遺

伝子だけが導入される。 

2340 

抗菌スペクトル 

こうきんすペくと

る 

antibacterial 

spectrum 

化学物質の抗菌作用の範囲を微生物の種類と濃度で表示した

図又は表。化学療法剤や抗生物質の特性を表す。 

2341 

構造遺伝子 

こうぞういでんし 

structural gane 

たん白質のアミノ酸配列に関する情報を担っている遺伝子。

分子レベルでは開始コドンと終止コドンに挾まれた配列のこ

と。rRNA tRNAなどの塩基配列を決める情報をもつ遺伝子も

指す。 

2342 

高頻度反復配列

DNA 

こうひんどはんぷ

くはいれつでぃー

えぬえー 

highly repetitive 

DNA sequence 

同じ向きに繰返しがまとまってあるものとゲノム中に散在す

るものとがある。前者はセントロメア領域に局在するものが

多く,後者は前ゲノム中に散在する(ヒトにみられるAluフ

ァミリーなど)。 

2343 

コスミド 

こすみっど 

cosmid 

ファージとプラスミドの雑種ベクター。細胞内ではプラスミ

ドとして存在するが,ヘルパーファージなどで誘導するとフ

ァージの殻の中にDNAを包み込む性質(cos領域)をもつ。

大きなDNA断片 (40〜50kilobase) を取り込める。 

2344 

Cot解析(DNA

の)/コット解

析 

こっとかいせき

(でぃーえぬえー

の)/こっとかい

DNA 

reassociation 

kinetics analysis 

DNAを約300塩基対の長さに物理的に切断し,熱変性によっ

て1本鎖にしたものを,適当な条件下でアニーリングする。

DNAの濃度 (Co) と反応に要した時間 (t) の積 (Cot) に対

background image

34 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

せき 

して,形成された2本鎖の割合をプロットしてDNA断片の

反復度を知ることができる。これを用いて染色体の中に存在

する遺伝子の数を測定できる。 

2345 

細菌人工染色体

/BAC 

さいきんじんこう

せんしょくたい/

ばっく 

bacterial artificial 

chromosome/ 

BAC 

大腸菌のF因子由来の複製制御遺伝子を組み込んだ約50〜

150kbのDNAを挿入できる人工プラスミドベクター。 

2346 

サプレッサー変

異 

さぷれっさーへん

い 

suppressor 

mutation 

突然変異によって変異した形質が,その変異部位とは異なる

部位の変異によって,もとの形質を取り戻すこと。遺伝子

DNAの塩基配列を変えるように働くのではなく,mRNA上の

特定のコドンの読み方を変えるように働く。tRNA,リボソー

ム,アミノアシル−tRNA−シンターゼなどの遺伝子の変異が

関与する。 

2347 

自己複製配列/

ARS 

じこふくせいはい

れつ/えーあーる

えす 

autonomous 

replicating 

sequence 

自律的に複製できる複製開始点を含むDNA配列。これを利

用して新しいベクターが開発されている。 

2348 

姉妹染色分体交

換 

しまいせんしょく

ぶんたいこうかん 

sister chromatid 

exchange/SCE 

細胞分裂期に形成された染色体は,分裂中期に長軸方向に縦

裂して,娘細胞へ分配される。この2分された各々を姉妹染

色分体 (sister chromatid) と呼ぶ。この間で起こる部分的交換

現象。同一箇所で切断,再結合を行うので,それ自体では遺

伝的障害を伴わない。 

2349 

シャイン・ダル

ガーノの配列/

SD配列 

しゃいん・だるが

ーののはいれつ/

えすでぃはいれつ 

Shine−Dalgarno 

sequence 

原核細胞のリーダー配列中にある共通の構造で,16Sリボソ

ームRNAと相補的に結合する翻訳に必す(須)の配列(5ʼ)   

AGGA (3ʼ)。 

2350 

シャトルベクタ

ー 

しゃとるべくたー 

shuttle vector 

2種以上の細胞のいずれでも複製可能なベクターの総称。酵

母−大腸菌,枯草菌−大腸菌,放線菌−大腸菌,動物細胞−

大腸菌などのシャトルベクターが開発されている。 

2351 

シャロンベクタ

ー 

しゃろんべくたー 

charon phage 

ラムダファージDNAの一部を欠失した部分にクローン化し

ようとする断片をつなぎ,ベクターとして利用できるように

したもの。charon3A 4A 16Aは更にアンバー変異をもち特定の

サプレッサー変異株だけで生育できるので,EK2ベクターと

して利用される。 

2352 

宿主 

しゅくしゅ 

host 

(1)組換えDNA技術において,DNAを移入される生細胞。目

的の遺伝子を増殖,発現させ宿主細胞内で目的産物を生産す

る。 

(2)寄生性生物(寄生虫,ウイルスなど)の生育を許容する生

物。 

2353 

宿主−ベクター

系 

しゅくしゅ−べく

たーけい 

host-vector system 

組換えDNA技術で用いられる宿主とベクターの組合せ。 

2354 

純化DNA 

じゅんかでぃーえ

ぬえー 

cloned DNA 

組換え技術においてDNA供与体から調製し,同定された

DNA,クローン化されたDNA又は化学合成されたDNA。(通

商産業省“組換えDNA実験指針”を参照)。特に危険性のな

いDNAの場合,その組換え体の規制レベルを一段階下げる

ことができる。 

2355 

純系 

じゅんけい 

inbred line 

遺伝子が均一でホモ接合である個体からなる系統の総称。自

家受粉や近親交配を繰り返して得ることができる。マウスで

は20世代以上も近親交配を続けても完全に純系にできない

ので,着目した遺伝子が純系であればよいとすることが多い。 

2356 

スプライシング 

すぷらいしんぐ 

splicing 

真核細胞遺伝子の直接の転写産物(前駆体RNA)からイント

ロンを切りだし,残ったエクソンをつなぎ合わせて,成熟

mRNAを作ること。核内に見いだされる低分子RNA (small 

background image

35 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

nuclear RNA, snRNA) の関与,スプライシング酵素,マチュ

ラーゼ,前駆体RNA自体による触媒作用などが発見されてい

る。 

2357 

制御遺伝子/ 

調節遺伝子 

せいぎょいでんし

/ちょうせついで

んし 

regulatory gene 

ある遺伝子のもつ遺伝情報の発現に対して,調節機能をもつ

遺伝子。プロモーター,アテニュエーター,ターミネーター,

エンハンサーなどのことを指す。 

2358 

制限酵素 

せいげんこうそ 

restriction enzyme 

2本鎖DNAの塩基配列を認識してDNA鎖を切断する機能を

もつ酵素。ファージの感染を制限する細菌の生体防御のため

の酵素として発見されたものであるが,その特異性から遺伝

子操作に必す(須)のもの。 

2359 

制限酵素地図 

せいげんこうそち

ず 

restriction map/ 

cleavage map 

制限酵素によって切断される点をゲノム上に示したもの。そ

れぞれのDNAに特異的な地図が得られる。 

2360 

生物学的封じ込

め 

せいぶつがくてき

ふうじこめ 

biological 

containment 

自然環境下での生存能力が低い宿主及び宿主依存性の高いベ

クターを用いることによって,組換え体の伝ぱん,拡散を防

止すること。B1/B2の二つのレベルがある。 

2361 

挿入配列 

そうにゅうはいれ

つ 

insertion sequence/ 

IS 

転移性遺伝要素 (movable genetic element/transposable genetic 

elemant) の一つ。DNA上を動く1000塩基対前後のDNA配列

で,移動する部位は一定ではない。転位された遺伝子を不活

化する。末端に逆向きの繰返し構造(パリンドローム)をも

ち,これが移動に重要な役割を果たしている。 

2362 

相補的DNA/ 

cDNA 

そうほてきでぃー

えぬえー/しーで

ぃーえぬえー 

complementary 

DNA/cDNA 

mRNAを鋳型として逆転写酵素によって合成された一本鎖

DNAのこと。このとき鋳型DNAと相補的な一本鎖DNAと

プライマーが要求される。遺伝子操作でよく利用される技術

である。 

2363 

ターミネーター 

たーみねーたー 

terminator 

転写が終了するとき,RNAポリメラーゼの離脱をうながす

DNAの塩基配列。次の特徴がある;中央に数塩基はさんで逆

方向反復配列,数個のポリU残基,終止点の上流にこれに接

してG/C塩基対に富む配列。 

2364 

対立遺伝子 

たいりついでんし 

allele 

相同の遺伝子座を占める遺伝子。同一遺伝子座に起こった

DNA塩基配列の差に基づく差異によるものとみなされ,表現

型の違いで区別できる。 

2365 

DNA供与体 

でぃーえぬえー 

きょうよたい 

DNA donor 

組換えDNA技術で宿主となる細胞に移入するために,DNA

を供与する細胞。生物種の危険度に応じて組換えDNAを取

り扱うとき備えるべき封じ込めレベルが示されている。 

2366 

DNA修復 

でぃーえぬえー 

しゅうふく 

DNA repair 

DNAに生じる様々な変異を修復する機構。異常な塩基やヌク

レオチドを除去する除去修復,ピリミジン二量体の光回復,

アルキル化された塩基の修復に関わる適応修復,複製後修復

(組換え修復),SOS修復など多数の修復機構がある。 

2367 

転移性遺伝要素 

てんいせいいでん

ようそ 

transposable 

genetic element/ 

movable genetic 

element 

遺伝子上を移動できる配列の総称。insertion sequence (IS),ト

ランスポゾン,ある種のファージ(Muファージなど),酵母

のTy因子,ショウジョウバエのコピア様因子やP因子,トウ

モロコシのDs因子などを指す。 

2368 

転座 

てんざ 

translocation/ 

transposition 

染色体上を遺伝子が移動すること。遺伝子制御が変化して遺

伝子疾患や発癌に至る原因となることも多い。 

2369 

転写 

てんしゃ 

transcription 

DNAを鋳型にしてRNAを合成する過程。DNA依存性RNA

ポリメラーゼによって触媒される。 

2370 

転写因子 

てんしゃいんし 

transcription 

factor 

遺伝子の転写を調節している因子で,RNAポリメラーゼ以外

のたん白質。転写の開始反応を誘導する転写開始因子と,転

写を正又は負に調節する転写調節因子がある。 

2371 

転写解読枠/オ

てんしゃかいどく

open reading 

アミノ酸配列として翻訳され得るDNA塩基配列のこと。ORF

background image

36 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

ープンリーディ

ングフレーム/

コーディング領

域/翻訳領域 

わく/おーぷんり

ーでぃんぐふれー

む/こーでぃんぐ

りょういき/ほん

やくりょういき 

frame/ORF/ 

coding frame 

を調べることによって翻訳され得るたん白質の数とアミノ酸

配列を知ることができる。原核生物では一本のmRNAの上に

複数のORFがあるが,真核生物ては一本のmRNAには一つ

のORFしかない。mRNAのORFに対応するDNA上の領域

もORFと呼ばれる。 

2372 

転写調節/ 

転写制御 

てんしゃちょうせ

つ/てんしゃせい

ぎょ 

transcriptional 

control 

遺伝情報の発現過程において,転写段階に働く調節。 

2373 

突出末端/相補

末端/付着端 

とっしゅつまった

ん/そうほまった

ん/ふちゃくたん 

sticky end/ 

cohesive end 

DNA分子又はDNA断片の末端部位の数塩基が一本鎖として

突き出しているDNAの構造。両末端は互いに相補性がある。

この性質を利用して異種DNAを挿入する。 

2374 

トランジション

変異/塩基転位 

とらんじしょんへ

んい/えんきてん

い 

transition 

DNA塩基対の置換の一形式で,プリン塩基が他のプリン塩基

と,ピリミジン塩基が他のピリミジン塩基と置き換わること。 

2375 

トランスバージ

ヨン変異/塩基

転換 

とらんすばーじょ

んへんい/えんき

てんかん 

transversion 

DNA塩基対の置換の一形式で,プリン塩基がピリミジン塩基

と,ピリミジン塩基がプリン塩基と置き換わること。 

2376 

トランスファー

RNA/転移

RNA 

とらんすふぁーあ

ーるえぬえー/て

んいあーるえぬえ

ー 

transfer 

RNA/tRNA 

翻訳の過程で特定のアミノ酸をリボソームへ運ぶ低分子量の

RNA。mRNAのもつコドンを厳密に読み取るアンチコドン領

域がある。3ʼ末端にはすべてのtRNAに共通のCCAの配列が

ある。 

2377 

トランスフェク

ション/移入 

とらんすふぇくし

ょん/いにゅう 

transfection 

細胞にDNAを直接導入して細胞の遺伝形質を変化させる方

法。通常,目的とするDNAはベクターに挿入して導入する。

遺伝子機能の解析,植物育種,細菌内でのファージ増殖など

に利用される。 

2378 

トランスポゾン

/転位因子 

とらんすぽぞん/ 

てんいいんし 

transposon/ 

Tn transposable 

element 

転位性遺伝要素の一つで,自らの転移に必要な遺伝子のほか

に薬剤耐性遺伝子など他の遺伝子をもったもの。IS (insesion 

sequence) よりも大きく,両末端に反復配列 (inverted repeat 

IR) をもっている。転移のとき働くたん白質(トランスポゼ

ース)の遺伝子をもつものもある。 

2379 

ナンセンス変異 

なんせんすへんい 

nonsense mutation 

突然変異によってコドンが変化して翻訳が停止する変異。

UAGをアンバー (amber) codon,UGAをオパール (opal) 

codon,UAAをオーカー (ochre) codonともいう。 

2380 

ニックトランス

レーション 

にっくとらんすれ

ーしょん 

nick translation 

二本鎖DNAをエンドヌクレアーゼで軽く処理し,一本の鎖

に切れ目をつける。その切れ目からDNA polymeraselで5ʼ→3ʼ

方向に新たなDNA合成を行うこと。この方法で特定の遺伝

子の比活性の高い標識DNAを作製できる。サザンブロティ

ング法などに使用される。 

2381 

ノックアウトマ

ウス 

のっくあうとまう

す 

knockout mouse 

ジーンターゲッティング(相同組換え技術)で任意の遺伝子

を破壊し機能を欠損させたトランスジェニックマウス。遺伝

子の生体内での機能を調べる有力な手法となっている。 

2382 

ハウスホールデ

ィング遺伝子/

ハウスキーピン

グ遺伝子 

はうすほーるでぃ

んぐいでんし/は

うすきーぴんぐい

でんし 

house holding 

gene/ 

housekeeping gene 

個体のいろいろな種類の細胞で共通に働いていて,細胞の生

存に必す(須)の遺伝子。luxury geneの対語。 

2383 

発現ベクター 

はつげんべくたー 

expression vector 

遺伝子産物を宿主細胞で効率的に発現させるために作られた

ベクター。 

2384 

表現型 

ひょうげんけい 

phenotype 

生物の観察し得る形態的及び生理的性質。遺伝子型の対語。 

2385 

標識遺伝子 

ひょうしきいでん

し 

genetic marker/ 

marker gene 

遺伝解析に利用できる遺伝的に決定されている形質が,明り

ょうに分かる遺伝子。薬剤耐性(抗生物質耐性など),温度感

background image

37 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

受性,栄養要求性などがよく利用される。 

2386 

部位特異的突然

変異 

ぶいとくいてきと

つぜんへんい 

site directed 

mutagenesis/ 

site specific 

mutagenesis 

遺伝子の特定の部位に特定の変異を導入する技法。変更しよ

うとするDNA配列だけを変え,その前後は目的のDNAと相

補的なオリゴヌクレオチドを合成する。これを改変しようと

する一本鎖DNAとアニーリングさせ,これにDNA合成酵素

を働かせて変異DNAを得ることができる。Muファージを用

いることも多い。 

2387 

複合プラスミド 

ふくごうぷらすみ

ど 

hybrid plasmid/ 

chimaera plasmid/ 

composite plasmid 

由来の異なるプラスミドからなる複合プラスミドのこと。コ

スミド,シャトルベクターなどがある。 

2388 

物理的封じ込め 

ぶつりてきふうじ

こめ 

physical 

containment 

組換え体を施設,設備内に物理的に閉じこめることにより,

伝搬,拡散を防止すること。実験レベルではP1からP4まで,

大量培養ではLS-C/LS-1/LS-2がある。実生産ではGLSP,カ

テゴリー1/2/3がある。 

2389 

プライマー 

ぷらいまー 

primer 

DNA合成の開始や遺伝子工学実験で逆転写酵素を用いて相

補的DNAの合成を開始する際に要求されるヌクレオチド。

短鎖のRNA又は一本鎖DNAが一部折り返してもprimerとな

り得る。ファージなどではヌクレオチドの30Hの代わりにセ

リン又はチロシンのOH基がprimerとして働くことが発見さ

れた (protein priming)。 

2390 

プラスミド 

ぷらすみど 

plasmid 

細菌や細胞内で染色体とは別個に存在して自律的に複製され

る遺伝因子。遺伝子操作においてベクターとしてよく用いら

れる。大腸菌のpBR322,酵母のYRp7,植物のTiプラスミド

などがその例である。 

2391 

プリブノーボッ

クス/タータボ

ックス 

ぷりぶのーぼっく

す/たーたぼっく

す 

Pribnow box 

原核生物のmRNA転写において転写開始部位から10塩基ほ

ど上流のRNA polymearaseが認識結合する部位にある共通の

構造(5ʼ) TATAATG (3ʼ)。 

2392 

プローブ(DNA

プローブ) 

ぷろーぶ(でぃー

えぬえーぷろー

ぷ) 

probe 

組換えDNA実験で目的遺伝子を探り出すために用いる核酸

断片。例えば目的遺伝子のmRNAから作成したcDNAやたん

白質のアミノ酸配列を基にしてデザイン,合成したもの。又

遺伝子病に関与する特定遺伝子の検出に用いることもある。 

2393 

プロモーター

(転写の) 

ぷろもーたー(て

んしゃの) 

promoter 

転写を開始させるために必要なDNA上の特徴的な塩基配列。

RNA polymeraseの結合に関与しているTATA box,Pribnow box

などの翻訳されない配列。 

2394 

平滑末端 

へいかつまったん 

flush end/ 

blunt end 

制限酵素などで二本鎖DNAを切断した際,二本鎖の同一箇

所が切断されるために生じるDNAの構造。T4ファージリガ

ーゼは適切な条件下で,平滑末端を繋げるが効率はよくない

ので,通常は末端に適切なリンカーDNAをつけることもあ

る。 

2395 

ベクター 

べくたー 

vector 

目的とする遺伝子を宿主に移入し,増殖,発現させるための

運搬体DNA。宿主内で複製できること,既知の制限酵素切断

部位があること。適切な標識遺伝子をもつことがベクターと

しての要件である。本来は病気を媒介する昆虫を指す。 

2396 

ヘテロカリオン 

へてろかりおん 

heterokaryon 

一つの細胞に2個以上の遺伝子型の異なる核が存在する状

態。核融合が起こっていないのでヘテロカリオン試験を,細

胞質遺伝研究の手段の一つにでき,同種の核が融合せずに存

在するものをホモカリオン (homokaryon) という。 

2397 

ホグネスボック

ス/タータボッ

クス 

ほぐねすぼっくす

/たーたぼっくす 

Hogness box/ 

TATA box 

真核生物のmRNA転写において転写開始部位から30塩基ほ

ど上流のRNA polymerase IIが認識結合する部位にあり,ヒト

から酵母までに共通の構造(5ʼ) TATAAA (3ʼ)。 

background image

38 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

2398 

翻訳 

ほんやく 

translation 

mRNAの情報に従ってたん白質を合成する過程。リボソーム

上でtRNAが運んできたアミノ酸をペプチジルトランスフェ

ラーゼでアミノ酸を重合させること。 

2399 

マイクロインジ

ェクション 

まいくろいんじぇ

くしょん 

microinjection 

卵細胞や体細胞に微量のDNAや化合物を細いガラス針など

を用いて注入する方法。顕微鏡下で,マイクロマニピュレー

ターを使用して行う。トランスジェニック動植物を作成する

のに用いられる。 

2400 

酵母人工染色体

/YAC 

こうぼじんこうせ

んしょくたい/や

っく 

yeast artificial 

chromosome/YAC 

酵母で染色体として機能するセントロメア,複製開始点,テ

ロメアを含む大腸菌と酵母のシャトルベクター。 

2401 

融合遺伝子/モ

ザイク遺伝子 

ゆうごういでんし

/もざいくいでん

し 

fused gene/ 

fusion gene/ 

chimaera gene/ 

hybrid gene 

ある遺伝子を別の遺伝子と連結することによって,各々の遺

伝子のすべて又は一部をもった連結遺伝子。天然には存在し

ない遺伝子で異種たん白質を生産するのに利用される。 

2402 

ラグジュアリー

遺伝子 

らぐじゅありーい

でんし 

luxury gene 

分化した細胞でその細胞に特有のたん白質の産生に関与して

いる遺伝子。この遺伝子が働かなくとも細胞の生存には支障

のないものともいえる。 

2403 

ラプド法/

RAPD 

らぷどほう/あー

るえーぴーでぃー 

random amplified 

polymorphic 

DNA/RAPD 

10塩基程度の任意の配列をもったDNAをプライマーとして

PCRを用いてDNA増幅を行い,試料間のDNA多型を検出す

る方法。簡便さから多型解析や遺伝子マーカーとしてよく用

いられている。プライマーはキットとして市販されている。 

2404 

リーダー配列 

りーだーはいれつ 

leader sequence 

転写されるmRNAの5ʼ末端からアミノ酸重合開始コドンまで

の翻訳されない配列。翻訳に際して重要な配列[SD   

(Skaine-Del gorns) sequence, attenuation sequenceなど]を含む。 

2405 

リプレッサー 

りぷれっさー 

repressor 

DNA上の特定領域(オペレーター)に結合して,オペロンの

転写を阻止するたん白質。誘導酵素系(ラクトースオペロン

など)ではリプレッサーに誘導物質が結合すると不活性化さ

れて,転写が開始される。抑制酵素系(トリプトファンオペ

ロンなど)では,誘導物質が結合して,活性化されて転写が

阻止される。 

2406 

リンカー 

りんかー 

linker 

二つのDNA断片を結合させるとき制限酵素が認識する部位

を作る目的で,つなぎ目に挿入する合成ヌクレオチド配列。

利用度の高い制限酵素(EcoRI, BamHI, Sallなど)の認識部位

をもつものが市販されている。 

2407 

レトロポゾン 

れとろぽぞん 

retroposon 

RNAを転移中間体とする転移遺伝因子群。 

2408 

レプリコン/ 

複製単位 

れぷりこん/ 

ふくせいたんい 

replicon 

隣り合った複製開始遺伝子の制御下にあるDNAの複製単位。

大腸菌,プラスミドなどは,1か所の複製開始点をもち,そ

れ自体が一つのレプリコンである。一方動物細胞のDNAは

何箇所もの複製開始点があり,複数のレプリコンよりなって

いる。 

d) 一般的操作 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

2501 

アニーリング

(DNAの) 

あにーりんぐ 

(でぃーえぬえー

の) 

annealing 

二本鎖DNAを水溶液中で特定の温度以上に加熱すると一本

鎖に分かれる。これを徐々に冷やして再結合してもとの生物

活性のあるDNAに戻すこと。このとき近縁の生物に由来す

るDNAを混在させると,雑種DNAができる。雑種DNAの

形成の程度は用いたDNAの近縁度を示す。 

2502 

アビジン−ビオ

チン法 

あびじん−びおち

んほう 

avidin-biotin 

technique 

一次抗血清を特定の抗原に対して作成して,特定の抗原と反

応させたあと,あらかじめ準備したビオチン化した二次抗体

で処理する。次いであらかじめ準備したアビジン−ビオチン

background image

39 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

−ペルオキシダーゼ複合体を用いて二次抗体が反応した部位

を特定する免疫ペルオキシダーゼ法。ペルオキシダーゼ反応

は,過酸化水素とジアミノベンゼン又はクロロナフトールと

の反応による発色によって検出できる。この方法はパラフィ

ン包埋標本,塗沫標本などに応用できる。 

2503 

アフィニティク

ロマトグラフィ

ー 

あふぃにてぃくろ

まとぐらふぃー 

affinity 

chromatography 

生体物質の示す特異的な相互作用(親和性)を利用して多成

分混合物からある目的成分を分離する手段。酵素や抗原など

の高い特異性のある物質を固定化して担体とするので,原料

中の含量の極めて低いものの精製も可能になった。 

2504 

移動層式連続ク

ロマトグラフィ

ー 

いどうそうしきれ

んぞくくろまとぐ

らふぃー 

moving bed 

continuous 

chromatography 

固定相を移動させて行う連続クロマトグラフィー。 

2505 

インビトロ検査 

いんびとろけんさ 

in vitro analysis 

生体外に取り出して人工的な系で行う検査。生物個体がもつ

各種の制御機構の影響を排除して純粋な生理的反応を確認で

きるが,一方限られた反応しか検出できない。微量で,簡便

に行える特徴があり臨床検査法などに応用されている。 

2506 

ウエスタンブロ

ツト法 

うえすたんぶろっ

とほう 

western blot 

technique 

アクリルアミドスラブゲルなどの上で分離したたん白質をニ

トロセルロース膜などに転写,同定する方法。 

2507 

エアロゾル 

えあろぞる 

aerosol 

気体中に分散している微細な液体又は固体粒子及びその状

態。バイオハザード対策の最も重要な項目の一つ。 

2508 

エームス試験 

えーむすしけん 

Ames test 

ヒスチジン要求性サルモネラ菌の復帰変異試験。変異原性試

験の一つ。癌原性の可能性ある物質を検出するための第一次

スクリーニングに用いられる。代謝活性化を受けて生物活性

を示すものの検出には肝臓ホモジネートの遠心上澄(S9)を使

って検討する。 

2509 

滅菌保証レベル

/SAL 

めっきんほしょう

れべる/えすえー

える/さる 

sterility assurance 

level 

ある条件(温度,酸化エチレン濃度,線量など)で,あるも

のを処理した結果,それに付着している菌が生き残っている

であろう確率をいう。 

2510 

SDS PAGE 

えすでぃえすぺー

じ 

SDS PAGE/ 

sodium dodecyl 

sulfate polyacryl 

amide gel 

electrophoresis 

ドデシル硫酸ナトリウム (SDS) の存在下で行うポリアクリ

ルアミドゲル電気泳動法。SDSはたん白質と結合してたん白

質固有の負電荷を消してしまうので,ポリペプチド鎖レベル

で分析できる。また,難溶性のたん白質を溶かすこともでき

る。たん白質の分子量や会合状態の検討に用いられる。 

2511 

S1マッピング 

えすわんまっぴん

ぐ 

S1mapping 

成熟mRNAがDNAのどこにマップされるかを知る方法。

mRNAと相補的配列を含むDNAとアニーリングし,非相補

部分をS1nucleaseて分解する。これを熱処理で分離して一本

鎖のDNAを得て,その大きさ塩基配列を解析できる。 

2512 

X線結晶構造解

析 

えっくすせんけっ

しょうこうぞうか

いせき 

X-ray 

crystallographic 

analysis 

X線が結晶によって回析されることを利用して結晶内部の分

子,原子の配置,電子分布,スピン分布などの状況を解析す

ること。低分子化合物の構造解析及び高分子物質の構造解析

に利用されている。 

2513 

N末端分析 

えぬまったんぶん

せき 

N-terminal 

analysis 

たん白質,ペプチドのアミノ酸配列で,アミノ基側の末端ア

ミノ酸配列を分析する方法。主な方法としてエドマン法,ジ

ニトロフェニル法,ダンシルクロリド法などがある。自動化

した装置としてペプチドシーケンサーがある。 

2514 

FAB質量分析法 

えふえーびーしつ

りょうぶんせきほ

う 

fast atom 

bombardment mass 

spectrometry/ 

FAB-MS 

質量分析の際,高速の中性原子を一次粒子として用い,グリ

セロールと混合して金属表面に塗布した試料に照射して得ら

れる二次イオンを分析する方法。分子量に関する情報が得ら

れやすい。 

2515 

FD質量分析法 

えふでぃーしつり

field desorption 

質量分析の際,樹脂状の細いエミッターに試料を塗布して高

background image

40 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

ょうぶんせきほう 

mass spectrometry 

/FD-MS 

い電圧をかけることによってイオン化させ,これを分析する

方法。 

2516 

FT赤外分析法 

えふてぃーせきが

いぶんせきほう 

Fourier transform 

infrared 

spectrometry 

横軸に時間又は光路差をとった応答曲線をとり,これをフー

リエ変換して分散型分光器で得られるように横軸に周波数又

は波長を,縦軸に吸収又は発光強度が得られるように測定す

る方法。分子構造の推定や定量分析に利用される。 

2517 

ELISA/酵素免

疫(検査)法/ 

酵素抗体法/ 

エンザイムイム

ノアッセイ 

えらいざ/ 

こうそめんえき

(けんさ)ほう/

こうそこうたいほ

う/えんざいむい

むのあっせい 

enzyme-linked 

immunosorbent 

assay/ 

enzyme- 

immunoassay 

ハプテンを酵素で標識し,抗ハプテン抗体と反応させること

によって酵素活性が変化することを利用した酵素免疫(検査)

法。臨床診断法などに応用されている。酵素で標識した抗原

又は抗体によって分析する方法。ペルオキシダーゼやガラク

トシダーゼがよく用いられ,酵素反応によって発色する基質

の発色度によって測定する。 

2518 

エレクトロポレ

ーション/電気

窄孔法 

えれくとろぽれー

しょん/でんきさ

っこうほう 

electroporation 

細胞に高電圧をかけて膜の透過性を亢進させDNAやオルガ

ネラを導入する方法。特に動・植物の細胞への遺伝子導入に

用いられる。手軽さと効率がよい。 

2519 

遠心分離法 

えんしんぶんりほ

う 

centrifugation 

遠心力場において物質を形状と比重差によって分離する方

法。核酸やたん白質,細胞内顆粒,オルガネラ等の調製や分

析に利用する。 

2520 

塩析法 

えんせきほう 

salting-out 

溶液に塩類を加えて,先に溶けていた物質を析出させる方法。

たん白質の沈殿などに用いられる。硫酸イオンやりん酸イオ

ンなど多価の陰イオンを含む塩が塩析効果が大きい。 

2521 

円二色性/ 

円偏光二色性 

えんにしょくせい

/えんへんこうに

しょくせい 

circular 

dichroism 

物質が同一波長の左円偏光と右円偏光に対して異なる吸光度

を示す現象。不斉分子の立体構造や立体配座を決定するのに

利用する。 

2522 

オートラジオグ

ラフィー 

おーとらじおぐら

ふぃー 

autoradiography 

X線フィルムに密着させて感光させることによって,試料中

の標識化合物の分布を調べる方法。放射性同位元素で標識す

るので微量の物質を検出することができるブロット法などの

分析法又は薬物の生体内分布の測定など広く利用されてい

る。 

2523 

火炎殺菌/ 

火炎滅菌 

かえんさっきん/ 

かえんめっきん 

burning 

灼熱や焼却によって微生物を殺すこと。白金線,白金耳など

金属性のものやガラス棒などをガスバーナーで殺菌すること

がよくある。 

2524 

化学発光 

かがくはっこう 

chemiluminescence 

原子又は分子が,化学反応によって生じるエネルギーにより

励起され,発光する現象。例えば,過酸化水素としゅう酸ジ

エステルが反応して生じる中間体が蛍光物質を励起発光する

ことを利用して,過酸化水素を発生する酵素反応を感度よく

測定できる。 

2525 

ガス殺菌/ 

ガス滅菌 

がすさっきん/ 

がすめっきん 

gas sterilization 

殺菌効力をもつガスに接触させることによって行う殺菌。加

熱処理ができないプラスチック器具などの殺菌法。エチレン

オキサイドがよく使われる。 

2526 

間けつ殺菌/ 

間けつ滅菌 

かんけつさっきん

/かんけつめっき

ん 

intermittent 

sterilization/ 

fractional 

sterillization 

100℃の湿熱で1日1回30分の加熱を3回繰り返す殺菌。細

胞を加熱で殺し,次の加熱までの間に胞子が発芽するのを待

って,殺菌しやすい生細胞として殺菌することを狙っている。 

2527 

乾熱殺菌/ 

乾熱滅菌 

かんねつさっきん

/かんねつめっき

ん 

dry heat 

sterilization 

乾燥した加熱空気によって行う殺菌。通常,165〜170℃,2

〜3時間行う。ガラス器具,包帯,綿栓などの殺菌を行う。 

2528 

疑似移動層式連

続クロマトグラ

フィー 

ぎじいどうそうし

きれんぞくくろま

とぐらふぃー 

simulated moving 

bed continuous 

chromatography 

原料及び溶離液の供給排出位置を切り換えて固定相を動かす

ことなく行う連続クロマトグラフィー。 

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41 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

2529 

逆浸透法 

ぎゃくしんとうほ

う 

reverse osmosis 

膜と加圧によって溶液中の低分子量溶質や溶媒を分離する方

法。通常,分子量500以下が対象。たん白質を濃縮したり,

また海水から真水を得ることなどに利用されている。 

2530 

くん蒸消毒 

くんじょうしょう

どく 

fumigation 

昆虫や微生物の生活力を奪うガスを用いる消毒。ホルマリン,

亜硫酸ガス,クロールピクリンなどが用いられる。 

2531 

蛍光抗体法 

けいこうこうたい

ほう 

fluorescent 

antibody method 

蛍光をもつ物質によって標識した抗体による分析方法又は染

色方法。よく使われる色素としてフルオレシン・イソチオシ

アネート (FITC) とローダミンがある。 

2532 

硅藻土濾過法 

けいそうどろかほ

う 

diatomaceous 

earth filtration 

けい(硅)藻土をあらかじめ支持面に積層(プレコート)し,

その層で濾過する方法。発酵液から菌体を分離するときその

速度を早めるためによく使われる。 

2533 

限界希釈法 

げんかいきしゃく

ほう 

limiting dilution 

method 

細胞又はウイルスを含む培養液を,1滴にその1個又はそれ

以下が含まれる程度にまで希釈し,この1滴を多数の新しい

液体培地に摂取して培養する方法。単クローン化に用いられ

る。 

2534 

高圧蒸気殺菌/

高圧蒸気滅菌 

こうあつじょうき

さっきん/こうあ

つじょうきめっき

ん 

autoclaving 

高圧水蒸気を用いて殺菌する湿熱殺菌法。通常は120℃,ゲ

ージ圧1kg/cm2,20分で行う。培地,各種器具などの最も一

般的な殺菌法。 

2535 

光学分割 

こうがくぶんかつ 

optical resolution 

光学対掌体を分割すること。光学活性の酸又は塩基との塩を

形成させて光学対掌体ではない異性体に導き,物理化学的な

差をつけて分離するか光学活性分離用担体によるクロマトグ

ラフ法又は酵素や微生物による生物反応を利用して分離す

る。 

2536 

好気性処理 

こうきせいしょり 

aerobic treatment 

酸素呼吸を伴う微生物の作用で有機物を分解,処理する方法。

活性汚泥法による廃液処理はこの原理を応用している。 

2537 

高周波殺菌法/

高周波滅菌法 

こうしゅうはさっ

きんほう/ 

こうしゅうはめっ

きんほう 

high frequency 

induction 

germicide 

水又は水を含む物質が高周波の照射を受けて生じる熱による

殺菌法。食品などの殺菌法。 

2538 

固定化(リガン

ドの) 

こていか(りがん

どの) 

immobilization  

(of ligand) 

リガンドを支持体に共有結合させること。リガンドの特異性

を十分に発揮させるため適当なスペーサーを介して結合させ

る。アフィニティークロマトグラフ法の担体として利用され

る。 

2539 

コロニーハイブ

リダイゼーショ

ン 

ころにーはいぶり

だいぜーしょん 

colony 

hybridization 

探索したいDNAの配列を全部又は一部の配列を含むDNA断

片に標識を付け,これを平板培地に培養して目的のDNAを

含むと思われる細菌群のコロニーをフィルターに転写溶解し

て,露出させたDNAと相補的結合させることによって目的

DNAを検出する方法。 

2540 

コンフォメーシ

ョン 

こんふぉめーしょ

ん 

conformation 

結合の回転によって生じる原子の空間的配置のこと。たん白

質などの高分子化合物については,特異な生物機能や生理活

性維持に重要な三次元的立体構造を指す。 

2541 

細胞凍結法 

さいぼうとうけつ

ほう 

cryopreservation 

培養細胞,精子,卵などを細胞機能を回復可能な状態に保っ

たまま凍らせて保存すること。細胞外に氷晶を緩やかに成長

させることによって,細胞内を脱水させて,氷晶による細胞

内構造の破壊を少なくして超低温に凍結する。 

2542 

細胞融合 

さいぼうゆうごう 

cell fusion 

2個以上の細胞が融合して隔壁が消失し,単一の細胞膜で包

まれた細胞が生じる現象。植物細胞では育種技術として,動

物細胞ではハイブリドーマを形成してモノクローナル抗体を

産生するための必す(須)技術である。 

background image

42 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

2543 

サザンブロット

法 

さざんぶろっとほ

う 

Southern blot 

technique 

アガロースゲルなどの上で分離したDNA断片をニトロセル

ロース膜などへ転写し,同定する方法。最初に方法を開発し

たDr. Southernにちなんで命名した。以後それにちなんで方位

の名を付けるのが慣習。 

2544 

殺菌/滅菌 

さっきん/めっき

ん 

sterilization 

微生物の生活力を奪い,生存しているものを完全になくし,

無菌状態を作り出すこと。広義には無生物状態を作り出すこ

と。ごく狭い意味では細菌を殺すことを指すことがある。 

2545 

サンドイッチ法 

さんどいっちほう 

sandwitch 

technique 

抗原を試料中の抗体及びそれと同じ性質の蛍光抗体で挟み込

んで免疫反応を検出する方法。 

2546 

C末端分析 

しーまったんぶん

せき 

C-terminus 

analysis 

たん白質,ペプチドのアミノ酸配列で,カルボキシル基側の

末端アミノ酸を分析する方法。主な方法としてヒドラジン分

解,トリチウム標識法,及びカルボキシペプチダーゼを用い

る酵素法がある。 

2547 

時間分解蛍光イ

ムノアッセイ 

じかんぶんかいけ

いこういむのあっ

せい 

time-resolved 

fluoroimmunoas- 

say 

試料溶液中の特定物質を定量するために,抗原抗体反応を利

用し検出試薬として標識蛍光色素を利用する高感度蛍光免疫

測定法の1種。蛍光寿命の長い色素を用いて励起光を照射し

た直後に生じる様々な迷光が消失した後に測定対象の蛍光を

測定することによって高感度で定量する方法。 

2548 

質量分析法 

しつりょうぶんせ

きほう 

mass spectrometry 

イオン化した分子及びそのフラグメントを電磁場に導入し,

その移動状況からm/z(質量・電荷比)のスペクトルを求め,

定性・定量を行う方法。様々のイオン化法が考案されている。

一般にガス状の試料に電子衝撃をあたえてイオン化する   

(EI-MS/electron impact mass spectrometry)。 

2549 

消毒 

しょうどく 

disinfection 

病因微生物を不活化したり,除去したりして感染が起こらな

いようにすること。殺虫,解毒を意味することもある。必ず

しも殺菌を意味しない。 

2550 

静脈栄養法/ハ

イパーアリメン

テーション 

じょうみゃくえい

ようほう/ 

はいぱーありめん

てーしょん 

hyperalimentation 

経口栄養摂取ができないとき,上行大静脈にカテーテルを入

れ,これを通じてアミノ酸,糖を含む高張液,脂肪乳剤,ビ

タミンなどを持続的に与えて栄養を確保すること。 

2551 

除菌 

じょきん 

elimination/ 

microlees 

洗浄,ろ過,遠心分離,電気的手法などによって,微生物を

除くこと。 

2552 

ショットガン法 

しょっとがんほう 

shotgun cloning 

目的とする特定のDNA断片を狙ってクローニングするので

はなく,全DNAを適当に断片化し,すべてをクローン化し,

そのなかから目的の断片をもつものを探す方法。 

2553 

真空凍結乾燥/

冷凍真空乾燥 

しんくうとうけつ

うかんそう/れい

とうしんくうかん

そう 

freeze-dry/ 

lyophilization 

凍結した溶媒を真空下で昇華・除去すること。生物試料の濃

縮や保存に用いられる。微生物の保存によく用いられるが,

このときは処理過程及び復元のときの傷害を最少にするため

保護剤を加える。 

2554 

浸透気化法 

しんとうきかほう 

pervaporation 

膜の片側へ液体を置き,反対側へ蒸気として成分を取り出す

方法。膜の親水性を利用するアルコールの脱水はその一例。 

2555 

水性二相分配法 

すいせいにそうぶ

んぱいほう 

aqueous two-phase 

partition method 

互いに溶けにくい2種類の水溶液で2層を形成させ,この2

層に対する親和性の差を利用する分離法。水溶性高分子物質

や細胞顆粒の分離に利用される。 

2556 

スクリーニング 

すくりーにんぐ 

screening 

ある特定の生物活性又は化学的性質をもった物質又は特定の

性質をもった生物個体を集団の中から選別する操作。例えば,

抗生物質の生産菌を選別し,さらに,生産された物質の新規

性を検討しながら特定の菌株を選抜すること。 

2557 

スペーサー(固

定化用の) 

すぺーさー(こて

いかようの) 

spacer 

リガンドを支持体分子から離して固定化するために,支持体

との間に導入する適当な長さの鎖状分子。鎖状分子の末端に

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43 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

固定化に使用できるジスルフィド基,ヘキサメチレンジアミ

ン基などが付けられたものを活性化支持体という。 

2558 

生物発光 

せいぶつはっこう 

bioluminescence 

生物が自ら光を発する現象。細菌,菌類,原生動物,昆虫(ホ

タル)など多数知られている。 

2559 

染色体分析/核

型分析 

せんしょくたいぶ

んせき/ 

かくがたぶんせき 

chromosome 

analysis/karyotype 

analysis 

染色体の数と形を分析すること。体細胞分裂の中期に観察さ

れる生物種に固有の染色体構成を分析することによって,種

の系統・類縁関係及び表現系として発現する前の遺伝的変異

を検出するのに利用される。パルスフィールドゲル電気泳動

法でも解析できる。 

2560 

体細胞雑種形成

法 

たいさいぼうざっ

しゅけいせいほう 

somatic cell 

hybridization 

遺伝型の異なる培養細胞を融合して,シンカリオンを形成さ

せること。細胞工学の重要な技術の一つである。 

2561 

担体結合法 

たんたいけつごう

ほう 

carrier binding 

method 

生体触媒を水不溶性の担体に物理的又は化学的に固定する方

法。酵素の離脱がなく,基質との接触性もよい。酵素の熱安

定性を増すことも多い。臭化シアンによるデキストラン,ア

ガロースとの固定,酸アミド法によるカルボキシメチルセル

ロースとの固定などがよく行われる。 

2562 

チェインターミ

ネーター法/ジ

デオキシ法/サ

ンガー法 

ちぇいんたーみね

ーたーほう/じで

おきしほう/さん

がーほう 

dideoxy chain  

termination 

method/Sanger 

method 

1本鎖DNAファージM13に目的とするDNA断片を結合し,

プライマーDNAをアニーリングしてDNAポリメラーゼで

cDNAを合成する。このとき基質としての4種のヌクレオチ

ド三りん酸とジデオキシ三りん酸を独立した四つの反応系に

それぞれ1種加える。反応生成物を電気泳動によって分け,

各バンドに対応する塩基を同定することによって配列を決め

る酵素的DNA塩基配列決定法。 

2563 

超音波処理 

ちょうおんぱしょ

り 

supersonic 

treatment 

超音波照射によって,菌体の破砕,はく離などを行うこと。

可聴周波領域よりも高い振動数の音波を用いる(20kHz以

上)。 

2564 

超臨界流体クロ

マトグラフィー 

ちょうりんかいり

ゅうたいくろまと

ぐらふぃー 

supercritical fluid 

chromatography 

超臨界流体を移動相とするクロマトグラフ法。固形物の成分

分析や超臨界ガス抽出条件の検討に利用される。 

2565 

超臨界抽出法 

ちょうりんかいち

ゅうしゅつほう 

supercritical fluid 

extraction 

超臨界流体(気体を臨界点以上に加圧した液体)を用いて抽

出する方法。緩和条件下で効率よく目的物を分離抽出できる。

薬草の有効成分,食品の香気成分,脂肪酸の分離などに利用

されている。 

2566 

ディファレンシ

ャルディスプレ

イ法 

でぃふぁれんしゃ

るでぃすぷれいほ

う 

differential 

display/DD 

RNAからPCR法によってDNAを増幅し,その電気泳動パタ

ーンを比較することにより遺伝子発現の特異性を研究する手

法。 

2567 

電子スピン共鳴

分析法 

でんしすぴんきょ

うめいぶんせきほ

う 

electron spin 

resonance 

analysis/ESR 

試料物質の不対電子の数と存在状態を,磁場中でのスピンの

磁場共鳴によるマイクロ波吸収によって分析する方法。酸化

還元反応の中間体ラジカル,鉄や銅イオンを含むたん白質な

どの研究に用いる。 

2568 

透析法 

とうせきほう 

dialysis 

膜を隔てて,一方に溶液を他方に溶媒を流すことによって,

溶液中の低分子溶質を濃度差によって分離する方法。使用す

る膜は半透性のもので,セロファン膜,コロジオン膜,合成

半透膜などが使われる。 

2569 

二次元核磁気共

鳴分析法 

にじげんかくじき

きょうめいぶんせ

きほう 

two dimentional 

NMR 

二つの時間変数に対するスピン系のパルス応答を2度フーリ

エ変換する核磁気共鳴分析法。 

2570 

二次元電気泳動

法 

にじげんでんきえ

いどうほう 

two dimensional 

electrophoresis 

原理の異なる2種類の電気泳動法を逐次組み合わせて行う電

気泳動法。まず比較的細いガラス管を用いてゲル電気泳動を

行い,これをスラブゲル電気泳動の開始点に埋め込んで第2

background image

44 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

回目の泳動を行う。 

2571 

二重染色法 

にじゅうせんしょ

くほう 

double staining 

2種類の異なった染色剤で逐次染色する方法。細胞や組織を

より詳しく弁別して染め分けること。グラム染色法もその一

つである。 

2572 

ノーザンブロッ

ト法 

のーざんぶろっと

ほう 

Northern blot 

technique 

アガロースゲルなどの上で分離したRNA断片をニトロセル

ロース膜などへ転写し,同定する方法。 

2573 

バイオアッセイ

/生物学的定量

法 

ばいおあっせい/ 

せいぶつがくてき

ていりょうほう 

bioassay 

物質の量,構成成分又は効力を,その物質を与えられた生物

の反応から推定する方法。 

2574 

バイオオートグ

ラフィー 

ばいおおーとぐら

ふぃー 

bioautography 

微生物や細胞を用いて,その生育や機能に影響を与える物質

を検出する方法。薄層クロマトグラフ法又はぺーパークロマ

トグラフ法で混合物を分離後,検定用の寒天プレート上に置

き,一定時間培養後有効物質の位置を知る方法。 

2575 

ハイスループッ

トスクリーニン

グ 

はいするーぷっと

すくりーにんぐ 

high through put 

screening 

多様な対象物から目的のものをロボット・自動解析装置を用

いて包括的かつ高速に見つけだすこと。 

2576 

ハイブリダイゼ

ーション法 

はいぶりだいぜー

しょんほう 

hybridization 

DNAとDNA又はDNAとRNAの間で塩基配列に相補性があ

るときに二重鎖を形成する。この原理を応用して核酸の相同

性を判定できる。核酸を溶液中で混ぜて加熱し,そのあと徐

冷して二重鎖を形成させる。 

2577 

ハイブリドーマ 

はいぶりどーま 

hybridoma 

リンパ球とミエローマ細胞を人工的に融合させてできる雑種

細胞。モノクローナル抗体を作るのに利用される。 

2578 

発色合成基質法

(比色法) 

はっしょくごうせ

いきしつほう(ひ

しょくほう) 

chromogenic 

method  

(colorimetry) 

酵素によって加水分解されたとき,着色生成物を生じる合成

基質を用いた酵素作用の測定法。エンドトキシンの測定など

にも利用される。 

2579 

パッチクランプ

法 

ぱっちくらんぷほ

う 

patch clamping 

細胞膜の一部をマイクロピペットの先端を用いて取り出し,

ここに流れる電流を測定する方法。 

2580 

パルスフィール

ドゲル電気泳動

法 

ぱるすふぃーるど

げるでんきえいど

うほう 

pulsed-field gel 

electrophoresis/ 

PFG 

electrophoresis 

電場の方向を正逆交互に変えたり,方向に変化をつけて大き

なDNA分子(百万塩基対くらいまで)を分離するための方

法。 

2581 

PCR/プライマ

ー利用遺伝子増

幅 

ぴーしーあーる/ 

ぷらいまーりよう

いでんしぞうふく 

polymerase 

chain reaction/ 

primer-directed 

enzymatic 

amplification of 

DNA 

試料DNA断片をプライマーと結合させ,2重鎖DNAをDNA

ポリメラーゼ(Klenow polymerase又はThermus aquaticus (Taq 

polymerase))を用いて合成する。次いで熱変性して合成され

たDNAを鋳型から離す。再びアニーリングさせ,先の工程

を繰り返す。このとき熱耐性のTaq polymeraseを用いること

によって酵素の補給をすることなくこのサイクルを繰り返す

ことによって,目的のDNA配列を増幅できる。2 000塩基対

くらいのものを106くらい増幅できる目的遺伝子を互いに逆

方向から挟み込むような2種の相補的オリゴヌクレオチドプ

ライマーをハイブリダイズさせ,行う方法をnest PCR法とい

う。RNAからの増幅も可能。 

2582 

比濁時間分析法

(比濁法) 

ひだくじかんぶん

せきほう(ひだく

ほう) 

kinetic 

turbidimetric- 

method 

反応液の透過光量が,あらかじめ定められた値に達するまで

の反応時間を測定することによって,凝集反応の平均反応速

度を測定する方法。カブトガニ血球抽出物を用いたエンドト

キシン,(1→3) -β-D-グルカンの測定にも利用される。 

2583 

非特異的吸着 

ひとくいてききゅ

うちゃく 

nonspecific 

adsorption 

特定の官能基又はリガンドに特異的に吸着すること以外の吸

着で,予期しない,又は,好ましくない吸着現象。 

2584 

フローサイトメ

トリー 

ふろーさいとめと

りー 

flow cytometry 

蛍光標識又は未標識の細胞などを大きさ,光散乱様式,蛍光

等の因子について定量的に解析し,その情報に基づいて特定

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45 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

の細胞などを迅速に選択分離する方法。蛍光活性化セルソー

ターはその一つの例である。 

2585 

ブロツト法/ブ

ロツトハイブリ

ダイゼーション

法 

ぶろっとほう/ぶ

ろっとはいぶりだ

いぜーしょんほう 

blotting method/ 

blot hybridization 

method 

核酸やたん白質をメンブレンフィルターに浸み込ませ   

(blot),固定させた後,標識したプローブを用いてそのプロー

ブと反応するものの位置を検出する方法。標識したDNAプ

ローブとハイブリダイゼーションさせたり,抗体と反応させ

てその位置を決定する。 

2586 

分取 

ぶんしゅ 

separation 

実験室で用いられる分析 (analysis) に対して,工業で目的生

産物を得る方法。したがって,物質を同定することではなく,

決まったプロセスで活性を失わず,純度を保ち,確実に分離

することが要求される。 

2587 

包括法 

ほうかつほう 

entrapment 

生体触媒などを高分子ゲル,膜などの中に閉じ込める方法。

天然又は合成高分子のゲルに閉じ込める格子型,半透膜によ

るマイクロカプセル型,液体膜によるリポソーム型などがあ

る。酵素のみならず微生物,細胞,オルガネラを固定化でき,

包括操作中に修飾が起こらない。一方,高分子基質は作用を

受けない,担体の再利用ができない難点がある。 

2588 

放射線殺菌/ 

放射線滅菌 

ほうしゃせんさっ

きん/ 

ほうしゃせんめっ

きん 

radiation/ 

sterilization 

ガンマ線又は電子線の照射による殺菌。加熱処理ができない

器具や食品の殺菌法。 

2589 

マクサム−ギル

バート法 

まくさむ−ぎるば

ーとほう 

Maxam−Gilbert 

method 

3ʼ又は5ʼ末端を32Pで標識したDNA断片に4種類の各塩基に

選択的な化学修飾をし,修飾した塩基の位置で部分分解する。

得られた分解物を電気泳動によって,1塩基ずつの長さの違

いによって分け,一端から順に各バンドに対応する塩基を同

定することによって配列を決める化学的DNA塩基配列決定

法。 

2590 

密度勾配遠心

(沈降)法 

みつどこうばいえ

んしん(ちんこう)

ほう 

density gradient 

centrifugation 

しょ(蔗)糖などを用いて遠心方向に媒体の密度勾配を形成

させ,溶質である高分子の分離精製を行う方法。溶質の密度

に分布があるとき,溶液中の溶質に働く遠心力と浮力因子が

釣り合う点に分かれることを利用して分離する。 

2591 

無菌操作 

むきんそうさ 

aseptic technique 

殺菌したものに手を触れたり,殺菌していないものに接触さ

せないようにして,雑菌の汚染を妨げながら行う操作。 

2592 

無菌濾過/ 

濾過除菌/ 

濾過殺菌/ 

濾過滅菌 

むきんろか/ 

ろかじょきん/ 

ろかさっきん/ 

ろかめっきん 

sterilization by 

filtration/filtration  

(bacterial) 

微生物を含む液体を微細な孔径のろ(濾)過器を通すことに

よって,微生物を除き無菌状態の液体を得ること。メンブレ

ンフィルターなどが用いられる。加熱処理のできない培地成

分の殺菌に用いる。 

2593 

ラジオイムノア

ッセイ/RIA/

放射性免疫(検

査)法 

らじおいむのあっ

せい/あーるあい

えー/ほうしゃせ

いめんえき(けん

さ)ほう 

radioimmunoas- 

say/RIA 

放射性同位元素又は物質によって標識した抗原又は抗体を用

いて,試料中の目的物質を検出・定量する方法。RIAは放射

線の被爆や廃棄物処理の問題があるので診断薬はEIAに変わ

りつつある。 

2594 

レース法/ 

RACE 

れーすほう/れー

す 

rapid amplification 

of cDNA end 

/RACE 

部分的な既知配列を基にPCR法を行い,全長cDNAを得る方

法。 

2595 

レプリカ法(培

養法の)(電子

顕微鏡の) 

れぷりかほう(ば

いようほうの)

(でんしけんびき

ょうの) 

replica method 

(1)寒天平板上のコロニーをビロード布上に移しとり,それを

各種の培地に順次プリントし突然変異株を検出する方法。 

(2)表面の鋳型をとり,それと電子線の散乱の違いによって観

察する方法。 

e) 器具,装置 

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K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

2601 

アイソレーター 

あいそれーたー 

isolator 

無菌動物を外界の微生物から隔離するために用いる装置。無

菌化された空気が送られ,器具,器材はすべて殺菌したもの

をスリーブを通して入れる。 

2602 

アブソリュート

フィルター 

あぶそりゅーとふ

ぃるたー 

absolute filter 

孔径が微細で均一な網目構造をしているスポンジ状の有機材

料を用いたフィルター。空気,液体いずれにも使用できる。 

2603 

安全キャビネッ

ト 

あんぜんきゃびね

っと 

safety cabinet 

実験操作中に発生する汚染エアロゾルが外部に漏出しないよ

う設計された箱。組換え体の操作に用いられる。 

2604 

イオン交換膜 

いおんこうかんま

く 

ion exchange 

membrane 

正又は負の固定電荷をもつ荷電膜。多数のイオン交換基を備

えた多孔性の合成膜。正と負の膜を組み合わせて電気透析に

用いて効率よく電解質を除ける。 

2605 

イオン選択電極 

いおんせんたくで

んきょく 

ion selective 

electrode 

溶液中の特定イオンの濃度(活量)に依存して電極と溶液と

の界面に電位差を発生する半電池。膜材料によってイオン選

択性が決まる。 

2606 

インキュベータ

ー 

いんきゅべーたー 

incubator 

内部温度などを一定に保つことのできる培養装置。動物細胞

の培養に使われるものは炭酸ガス濃度を一定に保つようにな

っていて,CO2インキュベーターという。 

2607 

ウエルリーダー

/マイクロプレ

ートリーダー 

うえるりーだー/ 

まいくろぷれーと

りーだー 

well reader/ 

micro plate reader 

比色及び比濁に適応した96穴マイクロプレート用の測定装

置。 

2608 

液体膜 

えきたいまく 

liquid membrane 

形成物質が液体である膜。組成の異なる2種の水溶液相が混

合しないようにその間に全く溶け合わない有機溶媒を膜状に

したもの。疎水性多孔質高分子膜又は非イオン性界面活性剤

の助けを借りて作成する。 

2609 

加圧液体せん断

式ホモジナイザ

ー 

かあつえきたいせ

んだんしきほもじ

ないざー 

high pressure 

valve homogenizer 

ノズルより弁座に高速で液を衝突させ,せん断力によって菌

体を破砕して均質化する装置。工業的に菌体抽出液を得る装

置。 

2610 

回転濾過機 

かいてんろかき 

continuous rotary 

filter 

ろ(濾)過円筒又はろ過円板を原液槽に浸して回転させなが

ら行う連続ろ過。加圧型と真空型がある。 

2611 

組換え体の環境

放出 

くみかえたいのか

んきょうほうしゅ

つ 

environmental 

release of 

recombinant 

organisms 

遺伝子を組み換えた生物を用いて野外(開放系)で行う試験。 

2612 

気体分離膜 

きたいぶんりまく 

gas separable 

membrane 

混合気体中の特定の気体を選択的に透過させる膜。 

2613 

クリーンベンチ 

くりーんべんち 

clean bench 

規定された清浄度レベルに管理された空気が作業対象物に対

して直接に流れるように作られた作業台。作業台内部にろ過

空気の供給源をもつことを特徴とする。無菌操作を行うため

に旧来の無菌箱に代わって使用されている。 

2614 

グロースチャン

バー 

ぐろーすちゃんば

ー 

growth chamber 

植物細胞,植物個体などの生育箱。温度,光,湿度などを制

御できる。ファイトトロンよりも小規模のもの。 

2615 

グローブボック

ス 

ぐろーぶぼっくす 

glove box 

操作用の手袋を取り付けた無菌箱又は危険物取扱い箱。P4設

備で用いる安全キャビネットや危険な化学品を取り扱うとき

に使用。 

2616 

蛍光活性化セル

ソーター/ 

FACS 

けいこうかっせい

かせるそーたー 

/ふぁくす 

fluorescence 

acitivated cell 

sortor/FACS 

ノズルから噴射された細胞流にレーザーを当て,発生する分

散光と蛍光を分析して,各1個の細胞を含む水滴を荷電させ,

高電界で分離する装置。また,適当な蛍光物質と組み合わせ

て,ある特徴ある細胞集団を定量測定できる。FACSは

Dickinson社の商品名。 

2617 

原子間力顕微鏡 

げんしかんりょく

けんびきょう 

atomic force 

microscope 

AFM,SFMとも略した呼び名の装置。代表的な走査型プロー

ブ顕微鏡の一つで,鋭くとがらせたプローブと試料との間に

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47 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

働く原子間力を,プローブを保持する微細な板バネのたわみ

によって検知し,その力を一定に保つようにして走査するこ

とによって試料表面の三次元像を得る装置。 

2618 

コロニー計数器

/コロニーカウ

ンター 

ころにーけいすう

き/ころにーかう

んたー 

colony counter 

固体培地に形成されたコロニーを自動的に測定する装置。コ

ロニーを画像的に認識して,コロニーサイズを区別して数え

たり,コロニーを無菌的に移植できる装置もある。 

2619 

サーマルサイク

ラー 

さーまるさいくら

ー 

thermal cycler 

数段階の異なった温度からなる反復反応を自動的に行う装

置。PCR法に使用。 

2620 

細胞破砕機 

さいぼうはさいき 

homogenizer 

細胞壁と細胞質膜を破壊し,内容物を抽出する器具。機械的

手段で破壊や,乳化を行う装置の総称。加圧型装置,振とう

式装置,衝撃式装置などがある。 

2621 

殺菌灯 

さっきんとう 

germicidal lamp 

殺菌効力のある253.7nm前後の紫外線を放出するランプ。紫

外線は透過力が弱くガラスを透過しないので,直接しかも長

時間照射しなければ殺菌できない。 

2622 

酸素富化膜 

さんそふかまく 

oxygen 

enrichment 

membrane 

通常の空気よりも酸素濃度の大きい気体を得るために用いる

選択性透過膜。 

2623 

晶析器 

しょうせきき 

crystallizer 

溶液から結晶を析出させる装置。濃縮して過飽和にする方法

として蒸発,冷却などがあり,精製か造粒かの目的に応じた

方法をとる。 

2624 

徐放性膜 

じょほうせいまく 

controlled release 

membrane 

封じ込められた物質の放出速度を制御する機能をもった膜。

厚さや崩壊速度,溶出速度を調節した膜。 

2625 

浸漬槽 

しんせきそう 

dunk bath 

組換えDNA実験区域から加熱殺菌が不適当な試料,物品を

搬出するために備えた消毒液入りのくぐり抜け槽。麦芽製造

の前処理として大麦を水に浸せき,吸水させる装置 (steeping 

tank)。 

2626 

振とう培養器 

しんとうばいよう

き 

shaking 

incubator/shaker 

振とうをして液体培地中で微生物・細胞を増殖させるための

装置。回転式装置と往復式装置があり,それぞれ特徴がある。 

2627 

生化学的酸素要

求量/ 

生物学的酸素要

求量/BOD 

せいかがくてきさ

んそようきゅうり

ょう/ 

せいぶつがくてき

さんそようきゅう

りょう/びぃーお

ーでぃー 

biochemical 

oxygen demand/ 

biological oxygen 

demand/BOD 

水の汚染度を表す指標。有機物を微生物の酸化作用によって

安定した物質まで,酸化分解するために消費される酸素量を

表し,その値が大きいほど汚染されていることになる。通常,

20℃,5日間に消費する酸素量を,被検水1L当たりのmg 

(mg/L) 又はppmで表す。 

2628 

セルソーター 

せるそーたー 

cell sorter 

フローサイトメトリーに基づいて細胞を選択分離する装置。 

2629 

選択性透過膜 

せんたくせいとう

かまく 

permselective 

membrane 

液体又は気体の成分を,その成分の大きさ,形,荷電,溶解

度,拡散速度のような性質の差によって分離する膜。合成ポ

リマー,セラミックスなど様々な材質のものが製品化されて

いる。 

2630 

濁度センサー 

だくどせんさー 

turbido sensor 

一定の強さと波長をもつ光(例えば,レーザー光,632.8nm)

を培養液に照射し,微生物によって散乱若しくは吸収されて

減衰した光の強さを測定することによって,微生物濃度を測

定するセンサー。 

2631 

超低温フリーザ

ー 

ちょうていおんふ

りーざー 

ultra-deep freezer 

−85℃以下の低温を保てる冷凍保存機。−85℃〜−135℃の範

囲に限定する場合もある。微生物や特に細胞の長期保存に用

いる。 

2632 

通気攪拌槽 

つうきかくはんそ

う 

jar fermentor 

装置底部から通気し,かくはん翼を回転させて生体触媒(と

くに微生物)と原料(基質)及び空気とか互いによく混じり

合い接触反応効率が高まるように設計されたバイオリアクタ

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48 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

ーをいう。もっとも古い歴史をもつバイオリアクターで,装

置工学的にはほとんど完成されているといわれている。 

2633 

DNAシークエ

ンサー/ 

ベースシークエ

ンサー 

でぃーえぬえーし

ーくえんさー/ 

べーすしーくえん

さー 

DNA sequencer/ 

base sequencer 

DNAの塩基配列を自動的に解析する装置。ジデオキシ法で調

製したDNA断片を電気泳動にかける方式が行われているが,

細菌4種の蛍光色素を取り込ませて,電気泳動1レーンで4

種すべての塩基について配列を決定できる装置がある。識別

にはレーザーを利用して,画像処理の自動化と組み合わせて

自動的に読み取れるものもある。 

2634 

DNAシンセサ

イザー/DNA

自動合成機 

でぃーえぬえーし

んせさいざー/ 

でぃーえぬえーじ

どうごうせいき 

DNA synthesizer 

目的とする塩基配列をもつDNAを自動的に合成する装置。 

2635 

DNAチップ 

でぃーえぬえーち

っぷ 

DNA chip 

何百万とおりものDNAプローブをパネル上に固定したもの。

これを未知のDNA断片と対合させてそのパターンを手掛か

りにして遺伝子の発現や変異,多型性などの同時解析に有用

である。 

2636 

デンシトメータ

ー 

でんしとめーたー 

densitometer 

薄層クロマトグラフ法又は電気泳動法でバンドを走査しなが

ら光学的に濃度を測定する装置。光の反射又は吸収のいずれ

でも測定できる。 

2637 

糖鎖シーケンサ

ー/ 

糖鎖構造解析装

置 

とうさしーけんさ

ー/ 

とうさこうぞうか

いせきそうち 

glyco-chain 

sequencer 

糖鎖の構造を自動的に解析する装置。ピリジルアミノ化(PA

化)による蛍光標識だけ,又はPA化とエキソグリコシダー

ゼなどの酵素反応を組み合わせて得た糖鎖サンプルをHPLC

によって比較して,その構造を分析する方法。 

2638 

動物細胞培養装

置 

どうぶつさいぼう

ばいようそうち 

cell culture 

system for animal 

cells 

動物細胞は物理的な力に対して弱いので,かくはんによるせ

ん断力を避けること及び培地を交換しやすくするなどの工夫

がなされている。 

2639 

トキシノメータ

ー 

ときしのめーたー 

Toxinometer 

比濁(反応)時間分析法に基づいて,エンドトキシン又は (1

→3) -D-β-グルカンの測定に使用する分析装置。 

2640 

トランスファー

ブロッティング

装置 

とらんすふぁーぶ

ろってぃんぐそう

ち 

transfer blotting 

apparatus 

スラブゲル上で泳動分離したDNA又はたん白質の分離を,

ニトロセルロース膜などの上に自然拡散又は電気泳動的に転

写し,固定する装置。 

2641 

パーティクルガ

ン 

ぱーてぃくるがん 

particle gun 

微細な金属粒子にDNAなどを付着させ,これを高速で細胞

に打ち込むことによって遺伝子を細胞に導入する装置。 

2642 

バイオイメージ

ングアナライザ

ー 

ばいおいめーじん

ぐあならいざー 

bioimaging 

analyzer 

二次元的な画像データを記録し演算処理を行う装置。例えば,

放射性同位元素の2次元的な分布を,輝尽性蛍光体を塗布し

たプレートを使用し,電離放射線の照射によって放射された

蛍光を検出,オートラジオグラムを得る装置。又は,二次元

電気泳動の展開図の解析装置。 

2643 

バイオクリーン

ルーム 

ばいおくりーんる

ーむ 

bioclean room 

生物学的な清浄にした部屋。バイオテクノロジーに関連する

実験室や工場など室内を清浄に保ち,微生物による汚染を防

ぐ施設。GMP,GLPなどに基づいて基準が定められている 

2644 

バイオセンサー 

ばいおせんさー 

biosensor 

被検出物の識別に生体由来の選択的認識作用・反応性を利用

したセンサー。固定化して使うことが多く,固定化生体触媒

の形態は膜の場合が多い。グルコースセンサーがその例であ

る。 

2645 

バイオチップ 

ばいおちっぷ 

biochip 

たん白質や脂質,神経細胞などの生体分子から構成され,コ

ンピューターと同じく基本的な演算や処理を行わせる素子。

現在はチトクロームやバクテリオロドプシンなどを使ってコ

ンデンサー特性や光スイッチ特性を確認中である。 

2646 

ビアコアシステ

びあこあしすてむ 

BIACORE 

センサーとしては表面金属膜層とそれに共有結合によって固

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49 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

ム 

system/ 

biological 

interaction 

analysis 

定化した分子とから構成される。これにある試料分子が特異

的に結合するとき,その結合量を表面プラズモン共鳴によっ

て測定する装置。表面プラズモン共鳴とは一定波長の変更が

金属一電気二重層の界面で内部全反射をする最小角度で起こ

る共鳴現象。BIACOREという商品名が一般名詞化しつつあ

る。 

2647 

飛行時間型質量

分析装置 

ひこうじかんがた

しつりょうぶんせ

きそうち 

time-of-flight 

mass spectrometer 

マトリックス利用レーザー脱離イオン化法やエレクトロイオ

ン化法と組み合わせ,イオン化された試料が一定距離を移動

する時間の測定によってイオン分子量を測定する装置。質量

分析装置の1種。ある程度の無機塩存在下でもイオン化が可

能で,質量分析が困難であった高分子領域のたん白質まで高

感度で構造解析分析が可能な装置。 

2648 

プロテインシー

クエンサー/ 

ペプチドシーク

エンサー/ 

アミノ酸配列分

析装置 

ぷろていんしーく

えんさー/ぺぷち

どしーくえんさー

/あみのさんはい

れつぶんせきそう

ち 

amino acid 

sequence analyzer/ 

peptide sequencer 

たん白質の一次構造を決定するために用いるたん白質,又は

ペプチドをN末端アミノ酸から逐次分解するエドマン法を自

動化した装置。 

2649 

HEPAフィルタ

ー 

へぱふぃるたー 

high efficiency 

particulate air 

filter/ 

HEPA filter 

0.3μm以上の粒子を99.97%以上除去できるエアフィルター。

空気から微粒子を除去するために使用され,医薬品,食品な

どの製造過程での微粒子制御及び封じ込を必要とする遺伝子

操作を行う空間への空気の給排気装置に付けられている。 

2650 

マイクロカプセ

ル 

まいくろかぷせる 

microcapsule 

0.1〜100μmの小胞で,各種の物質を包括したもの。薬剤に徐

放性をもたせたり,細胞や酵素の固定化,人工細胞,人工種

子などとしての広い用途がある。 

2651 

膜電極 

まくでんきょく 

membrane 

electrode 

イオン選択性膜の膜電位を利用した可逆電極。 

備考:イオン選択性コロジオン膜,イオン交換膜などの

電極のほか,ガラス電極もこの1種。 

2652 

溶存酸素計 

ようぞんさんそけ

い 

disolved oxygen 

sensor 

液中に溶存する酸素深度を測定するセンサーをいう。酸化還

元電位を測定する分析計,磁気式分析計,ガルバニックセル

を用いたセンサー,隔膜式ガラス電極,蛍光半導体を用いた

センサーなどがある。バイオリアクターに直接装塡する場合

には蒸気滅菌ができるかどうか,その他測定範囲,糖度,応

答時間,安定性などを使用前に検討することが重要である。 

3. 応用技術 

a) 発酵 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

3101 

アミノ酸発酵 

あみのさんはっこ

う 

amino acid 

fermentation 

微生物の培養によって特定のアミノ酸を生成,蓄積させる発

酵。我が国が1957年にグルタミン酸発酵を世界にさきがけて

工業化した。発酵法は合成法に比べて光学異性体のアミノ酸

が得られる利点がある。 

3102 

アルコール発酵 

あるこーるはっこ

う 

alcohol 

fermentation 

生物が炭水化物を分解して無酸素的にエネルギーを獲得する

一つの様式で,通常はアルコールが生成される場合を指す。 

3103 

異常診断(発酵

プロセスの) 

いじょうしんだん

(はっそうぷろせ

すの) 

diagnosis of 

malfunctions in 

fermentation 

process system 

発酵プロセスシステム又はもっと広くバイオプラントにおい

て,発酵状態や計測・制御器,装置などの異常又は故障を自

動的に検出し,原因を究明して対応措置をすばやく指示する

計算機ソフトウエア。熟練運転者の知識と経験を体系化した

ソフトウエアで,これによって初心者でも確実かつ容易にプ

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50 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

ロセスを運転できるようになった(エキスパートシステム)。 

3104 

一次代謝産物 

いちじたいしゃさ

んぶつ 

primary metabolite 

生物の生命維持又は発育増殖に必す(須)な物質を供給する

代謝産物。 

3105 

回分発酵法/バ

ッチ法 

かいぶんはっこう

ほう/ばっちほう 

batch fermentation 

process 

原料(基質)の仕込み,殺菌,冷却,植菌,発酵,排液,装

置の洗浄を1回ごとに達成する発酵方法。バッチ法ともいわ

れる。 

3106 

核酸発酵 

かくさんはっこう 

nucleotide 

fermentation/ 

nucleic acid 

fermentation/ 

nucleic acid 

related substance 

fermentation 

微生物の培養によって核酸及び核酸関連物質を生成,蓄積さ

せる発酵。化学調味料としてのIMP,GMPやFADNADなど

の補酵素の生産方法として重要である。 

3107 

後発酵 

こうはっこう 

after- 

fermentation 

主発酵が終わり,なお,おだやかに発酵が続いている時期の

発酵。 

3108 

固定床バイオリ

アクター 

こていしょうばい

おりあくたー 

fixed bed 

bioreactor 

固定化生体触媒を浮遊させずに反応を行うバイオリアクタ

ー。反応器単位体積当たりの触媒負荷量が多く,効率がよい。

一方,温度,pHの制御,軸方向の濃度変化,圧損などの難点

がある。 

3109 

酸素消費速度 

さんそしょうひそ

くど 

oxygen 

consumption rate 

微生物が水中の酸素を消費する速度。酸素要求量ともいい,

微生物の種類,生育相などによって異なる。発酵を効率的に

管理するときの指標の一つ。 

3110 

深層ばっ(曝)

気法 

しんそうばっきほ

う 

aeration system 

using a deep vessel 

水深の大きいばっ気槽を用いる活性汚泥処理法。 

3111 

代謝制御発酵 

たいしゃせいぎょ

はっこう 

metabolic 

regulatory 

fermentation 

微生物の代謝調節機構を人為的に変え,目的とする代謝生産

物を大量に生産,蓄積させる発酵。アミノ酸などの一次代謝

産物の発酵生産にしばしば応用される。 

3112 

二次代謝産物 

にじたいしゃさん

ぶつ 

secondary 

metabolite 

植物や微生物の発育増殖機能に関与しない特定の代謝産物。

抗生物質などはその代表例である。 

3113 

バイオリアクタ

ー 

ばいおりあくたー 

bioreactor 

生体触媒を固定化して用いる反応器。微生物を固定化せずに

利用する反応器は発酵槽 (fermentor) という。 

3114 

発酵 

はっこう 

fermentation 

微生物を利用して物質を生産するプロセス。本来は有機物質

が微生物によって分解される現象又は炭水化物が微生物によ

って無酸素的に分解されることを指した。 

3115 

発酵槽 

はっこうそう 

fermentor 

微生物を利用して物質を生産する反応器。通常かくはん翼,

通気用装置,邪魔板などが通気効率を向上させるためについ

ている通気かくはん型と通気だけを行う気泡塔型に分けられ

る。 

3116 

HAT培地 

はっとばいち 

HAT medium 

ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ 

(HGPRT) 欠損細胞とチミジンキナーゼ欠損細胞を融合させ

たとき融合雑種細胞を選択するために用いるhypoxanthine   

(H),aminopterine (A),thymidine (T)を含む選択培地。ハイブ

リドーマ選別など最も広く用いられている動物細胞用選択培

地。 

3117 

マイクロキャリ

ア法/ 

細胞培養用担体

法/ 

スーパービーズ

法 

まいくろきゃりあ

ほう/さいぼうば

いようようたんた

いほう/すーぱー

びーずほう 

microcarrier 

method 

極微小のビーズを用いELISA,エンザイムイムノアッセイな

どの測定用抗体の固定化や細胞培養を行う方法。付着性細胞

を大量に培養するとき浮遊細胞と同じように取り扱える利点

があるが,マイクロキャリアは使い捨ての物が多く高価であ

る。動物細胞によるインターフェロンの生産に実用化されて

いる。 

background image

51 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

3118 

膜型バイオリア

クター 

まくがたばいおり

あくたー 

membrane 

bioreactor 

装置内又は外部に高分子若しくは無機素材の膜を装てんし,

生産反応と目的生産物との分離を同時に達成できるように設

計された分離型バイオリアクターの1種である。濾過面積を

かせぎ,膜に形成するろし(濾滓)(ケーキ)をいかに除去す

るかが運転上主要な問題となる。 

3119 

メタン発酵 

めたんはっこう 

methane 

fermentation 

嫌気条件下で細菌の働きによって,有機物が分解されてメタ

ンを生成する発酵。非メタン産生菌によって有機物が分解さ

れてできたギ酸,酢酸などがメタン細菌によってメタンに転

換する。 

3120 

流動床バイオリ

アクター 

りゅうどうしょう

ばいおりあくたー 

fluidized bed 

bioreactor 

固定化生体触媒を懸濁浮遊させて反応を行うバイオリアクタ

ー。固体粒子と流体との均一混合物全体を流体として取り扱

え,熱や物質移動特性がよく,目詰まりがない。スケールア

ップに難点がある。 

b) バイオリアクター 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

3201 

生物農薬 

せいぶつのうやく 

biological 

agrochemicals 

化学薬品の代わりに害虫や雑草を駆除,防除するために用い

るそれらに寄生したりする動物植物や微生物。種特異性が高

いため周辺環境に与える影響が少ない。 

3202 

生分解性ポリマ

ー 

せいぶんかいせい

ぽりまー 

biodegrative 

polymer 

自然界中に存在する生物による分解・消化により低分子化が

可能な高分子樹脂。 

3203 

バイオレメディ

エーション 

ばいおれめでぃえ

ーしょん 

bioremediation 

生物又は生物機能を利用して環境に放出された有害化学物質

及び有害廃棄物を除去し,汚染された環境を浄化・修復する

こと,又はその技術。 

3204 

バクテリアリー

チング 

ばくてりありーち

んぐ 

bacterial 

leaching 

細菌を利用して,鉱石に含まれる金属を溶出して回収する方

法。従来は利用しにくかった低品位鉱や廃鉱などから金属を

回収できる。 

c) バイオインフォマティクス 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

3301 

遺伝子ライブラ

リー 

いでんしらいぶら

りー 

gene library/ 

gene bank 

染色体DNAの全断片をベクターに結合した組換え体で,染

色体上のすべての領域を含むように工夫したもの。ポリA鎖

のついたmRNAからcDNAを作製したときも,こう呼ぶが,

このときは,全ゲノムを含むものではない。全ゲノムを含む

ようにしたものをgenomic libraryということもある。 

3302 

ゲノミッククロ

ーン 

げのみっくくろー

ん 

genomic clone 

細胞の中で遺伝子として存在するままの状態のDNAをプラ

スミドにつなぎ,クローン化したもの。真核細胞からのゲノ

ミッククローンはイントロン,エクソンを遺伝子のなかでの

配列のままもっている。 

3303 

ゲノミックス/ 

ゲノム解析 

げのみっくす/ 

げのむかいせき 

genomics 

生物のゲノムの全塩基配列を決定し,全遺伝情報を解読する

ことを目的とする研究。 

3304 

バイオインフォ

ーマティックス 

ばいおいんふぉー

まてぃっくす 

bioinformatics 

タンパク質のアミノ酸配列や高次構造に関する情報,染色体

DNA又はcDNAに関する塩基配列などの生命情報を明らか

にして,医療,医・農薬の開発,生物の系統保存や新品種の

開発などに役立てるコンピュータ技術をいう。計算機産業,

電子・通信産業などの情報産業と次々に新しい生命情報を創

成しているバイオインダストリーとが融合した結果生まれた

最も新しい学際領域の一つである。 

d) バイオレメディエーション 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

3401 

データベース 

でーたべーす 

database 

多様なデータを統一的に貯蔵・管理し,複数の利用者の間で

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52 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

共用できるようにした計算機ネットワーク。DNAの塩基配列

やたん白質の構造,細胞信号情報など多くのデータベースが

構築され,利用されている。 

3402 

糖鎖工学 

とうさこうがく 

glyco- 

engineering 

天然に存在する糖鎖を改変して,目的の機能をもつ糖鎖を作

製すること。糖鎖が細胞間の認識,情報伝達に重要な役割を

果たしていることが分かり,注目されている。 

3403 

閉鎖株 

へいさかぶ 

blocked mutant 

生合成経路上である特定の部位の反応が失われている変異

株。通常閉鎖された反応の直前の代謝産物が蓄積される。こ

の原理を応用して特定の代謝産物の工業的生産を行える。 

e) その他 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

3501 

RI診断 

あーるあいしんだ

ん 

radioisotope 

diagnosis 

物理的半減期が短く,粒子線をできるだけ放出しないが,電

磁波を放出する化合物を利用する腫瘍位置,形態学的変化を

診断すること。99mTc,67Ga,131I,18Fなどがよく用いられる。 

3502 

アトピー 

あとぴー 

atopy 

遺伝的に様々な抗原に対して示す通常よりも高い免疫反応。 

3503 

アナフィラキシ

ー/過敏症 

あなふぃらきしー

/かびんしょう 

anaphylaxis 

感作動物に抗原を与えたときに起こる,即時型過敏症の一つ

の表現。lgEが肥満細胞に働いてヒスタミンなどのメディエ

ーターを放出して起こる。 

3504 

アンジオグラフ

ィー/血管造影

法 

あんじおぐらふぃ

ー/けっかんぞう

えいほう 

angiography 

血管内に造影剤(水溶性のヨード含有有機物)を注入してX

線撮影を行い血行状態などを観察して,血管の異常,癌の範

囲などを診断する方法。 

3505 

萎縮 

いしゅく 

atropy 

臓器,組織又は細胞の体積の減少。機能の低下を伴う。病気,

栄養不良,老化に伴って認められる。 

3506 

移植免疫 

いしょくめんえき 

transplantation 

immunity 

個体の一部を分離して,同じ個体の別な場所に移植 

(trans-plantation/graft) する際に,移植片に対して受容体が示す

免疫反応。移植片対宿主反応 (graft vs. hostreaction) ともいう。

組織適合性抗原が移植免疫を起こす抗原の主体である。 

3507 

SPF動物/ 

無菌動物 

えすぴーえふどう

ぶつ/ 

むきんどうぶつ 

specific pathogen 

free animal/ 

germfree animal 

微生物及び寄生虫の検出できない動物。餌を含むすべてのも

のを殺菌して与え無菌状態でアイソレーターを用いて飼育す

る。生理機能,免疫応答,発癌などの研究に用いる。特に常

在細菌の影響を解析するのに重要である。 

3508 

活性汚泥 

かっせいおでい 

activated sludge 

下水,廃水などに連続通気かくはんして,それらの含有有機

物に対する資化能,酸化能の高い種々の好気性細胞を増殖さ

せて得られる泥状の物質。細菌に加えて糸状菌,原生動物が

混在している微生物集団で,廃水処理に広く使用されている。 

3509 

仮親/里親マウ

ス 

かりおや/さとお

やまうす 

foster mother 

培養した胚を受け取って正常な個体にまで育てる雌親。ホル

モン処理や輸精管を切断して不妊になった雄と交尾させ,偽

妊娠 (pseudopregnancy) の状態にしておき,ホルモンバラン

スを妊娠時と同じにしておく。 

3510 

機能性食品 

きのうせいしょく

ひん 

physiologically 

functional food 

摂取されて食品機能を有効に発現するように設計され,加工

変換された食品。食品機能とは,1)一次機能性(栄養機能),

2)二次機能性(感覚機能),3)三次機能性(生体調節機能)の

ことである。しかしその重点は人間の健康に直接関係する生

体の諸系統の調節に有効に機能する食品にある。 

3511 

胸腺 

きょうせん 

thymus 

Tリンパ球分化の中枢的働きをするリンパ組織。 

3512 

クローン動物 

くろーんどうぶつ 

cloned animal 

無性的に複製された遺伝的に同一な動物個体。卵細胞に脱核

や核移植などの操作をすることにより個体を複製することを

いう。 

3513 

交配 

こうはい 

mating/crossing 

接合体を形成するため,2個体間で受粉又は受精をすること。 

3514 

自己免疫疾患 

じこめんえきしっ

autoimmune 

生体防御機構である免疫系が自己の細胞を攻撃することによ

background image

53 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

かん 

disease 

って引き起こされる疾病。代表的疾患としてSLE(全身性エ

リトマトーデス),慢性間接リウマチなどの膠原病,糸球体腎

炎,自己免疫性溶血性貧血,橋本病などがある。 

3515 

持続感染 

じぞくかんせん 

persistence 

infection 

ウイルス感染が1個の細胞又は一定の細胞集団若しくは1個

体で感染性のある子ウイルスをつくるかあるいはつくらずに

持続していること。有膜ウイルス(ヘルペスウイルスなど)

で起こりやすい。 

3516 

条件致死突然変

異体 

じょうけんちしと

つぜんへんいたい 

conditional lethal 

mutant 

ある環境条件下では増殖不能の突然変異体。温度条件がよく

選ばれる。生物に必す(須)の遺伝子の研究によく用いられ

る。また,制御機構の変化したものも得られる。 

3517 

ショウジョウバ

エ 

しょうじょうばえ 

Drosophila/fruit 

fly 

果実につく小型のハエ。飼育が容易で,世代時間が短く(約

2週間),多数の子孫が得られ,唾液腺から巨大染色体が得ら

れるので,古くから遺伝研究の材料として利用されている。

Homeoboxなど形態形成に関する研究の材料として再脚光を

浴びている。 

3518 

植物工場 

しょくぶつこうじ

ょう 

Plant Factory 

植物を環境制御が可能な温室内で生育させ,工場のように安

定・計画生産する栽培システム。人工光や水耕栽培によって

完全に無農薬の植物を生産できる。 

3519 

人工臓器 

じんこうぞうき 

artificial organ 

臓器の人工的な代替物。心臓,腎臓,肝臓,膵臓,中耳など

の代替臓器から,人工弁,人工血管,ペース・メーカー,生

体材料(バイオマテリアル)までが含められる。人工材料と

培養細胞を組み合わせたハイブリッド型人工臓器(バイオ人

工臓器)もある。 

3520 

ストレス 

すとれす 

stress 

生体において誘起有害作用因子(ストレッサー)に反応する

生体内緊張状態。細胞レベルでは,高温ストレス,酸化スト

レスなどのように作用因子を意味し,それに対する細胞の状

態変化をストレス反応と呼ぶ。 

3521 

性染色体 

せいせんしょくた

い 

sex chromosome 

雌雄の分化に深い関係のある染色体。ヒトを含む多くのほ乳

類はXY型であり,鳥類などはZW型である。 

3522 

生体適合材料 

せいたいてきごう

ざいりょう 

biocompatible 

material 

細胞,血液,結合組織などの生きた生体組織に直接的に接触

して利用され,長期間にわたって生体に悪影響も強い刺激も

与えず,本来の機能を果たしながら生体と共存できる医用材

料。 

3523 

生体防御系/ 

生体防御 

せいたいぼうぎょ

けい/ 

せいたいぼうぎょ 

bio-defense 

system 

外来性異物や異物的自己成分の排除に関与する生体の恒常性

維持機構。ほ乳類の場合はインターフェロン,補体,好中球,

好酸球,マクロファージ,NK細胞などが関与する非特異的

生体防御機構と抗体や感作Tリンパ球などが関与する抗原特

異的生体防御機構がある。 

3524 

全雌化/ 

雌性発生 

ぜんめすか/ 

しせいはっせい 

gynogenesis 

雌性前核から単為発生によって,雌の個体を選択的に発生さ

せること。 

3525 

臓器移植 

ぞうきいしょく 

organ 

transplantation 

機能しなくなった臓器を正常な機能をもつ他人の臓器で置き

換えて機能回復を図ること。角膜移植と腎臓移植は治療法と

して確立している。しかし組織適合性,拒絶反応,手術方法

の開発などの科学的問題と宗教的,法律的問題がある。 

3526 

体外受精 

たいがいじゅせい 

in viteo  

fertilization 

精子と卵を人為的に体外に取り出して,ガラス容器内で受精

させた後,体内に戻す手法。体外に取り出した精子と卵を同

時に卵管内に直接移植するギフト法 (gamate intra-fallopian 

transfer/GIFT) も含めることが多い。ヒトの不妊症の治療及び

家畜の品種改良と増産に利用されている。 

3527 

胎児 

たいじ 

fetus 

子宮内で受精卵から子宮外生活をできるまでに成長発育した

background image

54 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

個体。 

3528 

脱感作 

だつかんさ 

desensitization 

(1)酵素活性は失わないで,アロステリックエフェクターに対

する感受性だけを酵素の化学的処理などや突然変異によって

失うこと。 

(2)アレルギーに対する感受性を失うこと。 

3529 

窒素固定 

ちっそこてい 

nitrogen fixation 

空気中の窒素からアンモニアなどの窒素化合物を生成する過

程。通常,生物による固定を指し,Azotbacter/Rhizobiumなど

が代表的窒素固定生物である。 

3530 

転移(癌の) 

てんい(がんの) 

metastasis 

腫瘍細胞が身体の他の部位に移動し,定着して増殖すること。

転移しやすいものほど悪性である。 

3531 

動物工場 

どうぶつこうじょ

う 

animal factory 

マウス,ブタ,ヒツジ,ウシなどに外来遺伝子を導入したト

ランスジェニック動物を医薬品など有用たん白質の製造工場

として利用すること。 

3532 

ヌードマウス 

ぬーどまうす 

nude mouse 

nu遺伝子のホモ接合体で体毛,胸腺を欠損しているマウスの

突然変異種。胸腺で成熟するTリンパ球がないので,免疫力

が弱く,異種細胞を移植できる。 

3533 

脳死 

のうし 

brain death/ 

neomort 

心臓は動いているが脳が機能していない人に死の宣言を下す

こと。次の基準が出されている。①深い昏睡死の定義②自発

的呼吸の消失③瞳孔が固定し,瞳孔径は左右とも4mm以上④

脳幹反射の消失⑤平坦脳波⑥以上の条件が満たされた後,6

時間経過を見て変化が無いことを確認。 

3534 

バイオトロン/

生物環境調節実

験施設 

ばいおとろん/せ

いぶつかんきょう

ちょうせつじっけ

んしせつ 

biotron 

生育環境を人工的に調節して,光,気温,湿度など多くの要

因の効果を正確に出すための装置。植物用のファイトトロン   

(phytotron) がよく使われている。アクアトロン(aquatron,水

生動植物用),インセクトトロン(insectotron,昆虫用)など

もある。 

3535 

バイオナーサリ

ー 

ばいおなーさりー 

bionursery 

組織培養などを利用して苗を育てる工場。光,水,温度等を

最適に制御して効率的な苗の生産を期待できる。 

3536 

バイオプリベン

ション 

ばいおぷりべんし

ょん 

bioprevention 

生物又は生物機能を利用して製造過程及び製品に由来する有

害化学物質及び有害廃棄物を除去すること,又はその技術。 

3537 

ハセップ/ 

HACCP 

はせっぷ/えいち

えーしーしーぴー 

hazard analysis 

critical control 

point/HACCP 

原材料から製品に至るまでの一連の工程で安全性を管理する

こと。食品製造における衛生管理手法の一つ。 

3538 

発癌機構 

はつがんきこう 

carcinogenesis/ 

oncogenesis 

正常細胞が癌細胞になること。その原因から(1)化学発癌 

(chemical carcinogenesis);発癌物質によるもの及びイニシエー

ターとプロモーターによるものがある。 

(2)ウイルス発癌;腫瘍ウイルスによる発癌。 

(3)放射線による発癌;X線や紫外線によるDNAに対する傷

害による。 

3539 

病態モデル動物

/疾患モデル動

物 

びょうたいもでる

どうぶつ/しっか

んもでるどうぶつ 

symptom (disease)  

model animal 

人間の疾患と類似した症状を示す実験動物。 

3540 

日和見感染 

ひよりみかんせん 

oppotunistic 

infection 

通常の健康人には感染しない病原性の極めて弱い菌や非病原

菌による感染。免疫力の低下した患者に起こる。 

3541 

封じ込めレベル 

ふうじこめれべる 

containment level 

遺伝子組換えで得られた新しい生物が一般環境へ放出される

ことを防ぐための基準。生物学的封じ込めレベルと物理的封

じ込めレベルを組み合わせて適切な封じ込めレベルを確保す

る。ガイドラインが所管省庁によって定められている。 

3542 

不死化 

ふしか 

immortalization 

細胞が無限増殖能を獲得して株化細胞になること。ある種の

癌遺伝子[myc,アデノウイルスの初期遺伝子 (E1A) など]

background image

55 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

が関与する。逆にこれらの癌遺伝子を積極的に導入して細胞

の株化を図ることも可能。 

3543 

プリオン 

ぷりおん 

prion 

核酸のシステムに依存しないで増殖するたん白質性の感染症

粒子。ウイルスの100分の1以下の大きさで,分子量27KDa

〜30KDaの疎水性たん白質からなる。ヒツジのスクレピーの

原因物質である。 

3544 

プロモーター 

(発癌の) 

ぷろもーたー(は

つがんの) 

tumor promoter/ 

promoter of 

carcinogenesis 

それ自体では癌原性はないが,イニシエーターによって潜在

性細胞 (initiated cells) となった細胞に働いて癌細胞に変化さ

せる物質。ホルボールエステル,アントラセン,テレオシジ

ンなどが知られている。 

3545 

不和合性 

ふわごうせい 

imcompatibility 

花粉及び胚のうの機能が正常で,正常な受粉をしても受精・

結実が行われないことで,植物界ではかなり広く見いだされ

る。不稔性とは区別される。プラスミドについては同種又は

近縁のプラスミドは同一細胞内に安定に保持されない現象を

指す。 

3546 

放射線障害 

ほうしゃせんしょ

うがい 

radiation damage 

電離放射線の照射によって引き起こされる生物学的障害。放

射線がDNAなどの重要分子を電離(又は励起)させて直接

障害する場合と,ラジカルを発生させて間接的に障害を起こ

す場合がある。 

3547 

マスターセルバ

ンク(セルバン

ク,菌株保存) 

ますたーせるばん

く(せるばんく,

きんかぶほぞん) 

master cell bank 

厚生省の“組換え体をDNA技術応用医薬品の製造のための

指針”で定義されている,すべての製造用細胞シードの元に

なる種株であり,一般的には,研究段階で作成しクローン化

した組換え体を培養,分注し,その遺伝的性質が一定の継代

培養の範囲内で十分に安定であることを確認したものであっ

て,安定性が確認された条件で保存しているもの。組換え体

により生産される生物製剤の品質を保証するための手段の一

つ。 

3548 

ミクロコズム 

みくろこずむ 

microcosm 

自然環境をモデル化したもの。模擬環境として各種薬物など

の環境に与える影響を検討するのに用いる。 

3549 

免疫遺伝学 

めんえきいでんが

く 

immunogenetics 

免疫学的個体差を取り扱う遺伝学の一つ。血液型,主要組織

適合性,免疫応答等を遺伝的手法で研究する一分野。 

3550 

免疫抑制剤 

めんえきよくせい

ざい 

immunosuppres- 

sive agents/ 

immunosuppres- 

sants 

生体の免疫反応を人為的に抑制するのに用いる薬剤。 

3551 

模擬自然環境 

もぎしぜんかんき

ょう 

simulated natural 

environment 

増殖室,温室,昆虫飼育室など人工的に自然を模倣して設計

した環境。 

3552 

薬剤耐性 

やくざいたいせい 

drug-resistance 

化学療法剤の通常の有効濃度で細胞や菌の発育が阻止されな

いこと。薬剤耐性機構として,1)薬剤不活性化酵素の産生,

2)薬剤作用点の変化,3)薬剤の細胞内到達阻止などがある。 

3553 

GILSP/ 

優良工業製造規

範 

じーあいえるえす

ぴー/ 

ゆうりょうこうぎ

ょうせいぞうきは

ん 

good industrial 

large scale 

practice 

/GILSP 

組換えDNA技術工業化指針の場合,宿主の安全性について

国が定めた評価及び分類の一つ。発酵工業などで既に長期間

利用されてきた微生物を宿主として,特に害のない遺伝子を

導入した組換え体は,よく整備された既存の工場で取り扱う

ことができるとするもの。 

3554 

GLP/ 

優良実験室規範 

じーえるぴー/ 

ゆうりょうじっけ

んしつきはん 

good laboratory 

gractice/GLP 

“医薬品の安全性試験の実施に関する基準”の略。目的は非

臨床試験データの信頼性の確保。清浄度などについての基準。 

3555 

GMP/ 

優良製造規範 

じーえむぴー/ 

ゆうりょうせいぞ

good 

manifacturing 

“医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準”の略。医薬

品の製造課程で微生物の混入や異物の混入を防ぐために設け

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56 

K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

ふりがな 

対応英語 

定義 

うきはん 

practice/GMP 

られた清浄度などに関する基準。 

3556 

養子免疫 

ようしめんえき 

adoptive 

immunity 

正常個体,又はX線照射を行って免疫反応が抑制された個体

に,あらかじめ,何らかの抗原で免疫されている他個体のリ

ンパ系細胞を移入し,供与者から受容者に免疫性を伝達する

こと。 

3557 

リスクアセスメ

ント 

りすくあせすめん

と 

risk assessment 

潜在的に起こり得る危険性の査定又は評価。リスクを系統的

に洗いだして対処方法を作成することを含む。 

5. 参考文献 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0213 分析化学用語(電気化学部門) 

JIS K 0214 分析化学用語(クロマトグラフィー部門) 

JIS K 3802:1995 膜用語 

JIS Z 8122 コンタミネーションコントロール用語 

JIS Z 4001 医用放射線用語 

JIS Z 4005 原子力用語 

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K 3600 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 3600 (バイオテクノロジー用語)改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

奥 山 典 生 

東京都立大学名誉教授 

(委員) 

遠 藤   勲 

理化学研究所 

太 田 隆 久 

工学院大学工学部 

国 分 友 邦 

工業技術院生命工学工業技術研究所 

竹 内 幸 夫 

和光純薬工業株式会社 

田 中   章 

三菱化学株式会社 

冨 田 房 男 

北海道大学農学部 

宮 田   満 

株式会社日系B・P 

松 本 保 輔 

財団法人化学品検査協会 

橋 本   進 

財団法人日本規格協会 

川 端 尚 志 

通商産業省生物産業化学課 

(事務局) 

奥 泉 仁 一 

財団法人バイオインダストリー協会 

野 崎 恵 子 

財団法人バイオインダストリー協会