K 2580:2003
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,石油連盟(PAJ)
/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS K
2580:1993は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正は,日本工業規格を国際規格に整合させるため,ISO 2049:1996,Petroleum products−
Determination of colour(ASTM scale)を基礎として用いた。
JIS K 2580には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定)刺激値換算法
附属書2(規定)色標準物質の調製方法
附属書3(参考)三刺激値からセーボルト色及びASTM色への換算例
附属書4(参考)JISと対応する国際規格との対比表
K 2580:2003
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 試験方法の種類 ··············································································································· 1
5. セーボルト色試験方法 ······································································································ 2
5.1 試験の原理 ··················································································································· 2
5.2 試薬及び材料 ················································································································ 2
5.3 セーボルト色試験器 ······································································································· 2
5.4 試験器の準備 ················································································································ 9
5.5 試料の採取及び調製方法 ································································································· 9
5.6 試料の準備 ··················································································································· 9
5.7 セーボルト色試験の手順 ································································································· 9
5.8 結果 ··························································································································· 11
5.9 精度 ··························································································································· 11
5.10 試験結果の報告 ··········································································································· 11
6. ASTM色試験方法 ·········································································································· 11
6.1 試験の原理 ·················································································································· 11
6.2 試薬及び材料 ··············································································································· 11
6.3 ASTM色試験器 ············································································································ 12
6.4 試料の採取及び調製方法 ································································································ 17
6.5 試料の準備 ·················································································································· 17
6.6 試験器の準備 ··············································································································· 17
6.7 ASTM色試験の手順 ······································································································ 18
6.8 結果 ··························································································································· 18
6.9 精度 ··························································································································· 18
6.10 試験結果の報告 ··········································································································· 18
附属書1(規定)刺激値換算法 ······························································································· 20
附属書2(規定)色標準物質の調製方法 ··················································································· 24
附属書3(参考)三刺激値からセーボルト色及びASTM色への換算例 ··········································· 30
附属書4(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ·································································· 33
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日本工業規格 JIS
K 2580:2003
石油製品−色試験方法
Petroleum products−Determination of colour
序文 この規格は,1996年に第2版として発行されたISO 2049,Petroleum products−Determination of colour
(ASTM scale)を元に対応する部分(試験の原理,試薬及び材料,ASTM色試験器,試料の準備,試験器
の準備,ASTM色試験の手順,結果,精度,試験結果の報告)については,対応国際規格を翻訳し技術的
内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定項目を
日本工業規格として追加している。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項又は原国際
規格にはない事項である。変更の一覧表をその説明を付けて附属書4(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,染料を添加していない石油製品(以下,石油製品という。)の色を試験する方
法について規定する。
備考1. この規格は,危険な試薬,操作及び装置を使うことがあるが,安全な使用方法をすべてにわ
たって規定しているわけではないので,この試験方法を適用する場合は,試験に先だって,
適切な安全上及び健康上の禁止事項を決めておかなければならない。
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 2049:1996,Petroleum products−Determination of colour(ASTM scale)(MOD)
2. 引用規格 付表1に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成
する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8105,JIS Z 8120及びJIS Z 8722によるほか,次
による。
a) セーボルト色 石油製品の透明な液体の色を,最も明るい色の+30から最も暗い色の−16に分類した
もの。セーボルト色は,セーボルト色標準ガラスと試料の透過光の明るさがほぼ一致するように試料
の高さを調節して,両者の明るさがほぼ等しいとき,その試料の高さに対応した表3の数値で表す。
b) ASTM色 石油製品の色を,淡い色の0.5から濃い色の8.0に分類したもの。
ASTM色は試料と色標準ガラスと比較して,ほぼ等しいときのASTM色標準ガラスの番号で表す。
4. 試験方法の種類 色試験方法は,表1の3種類とする。
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表 1 試験方法の種類
試験方法の種類
適用油種(例)
箇条番号
セーボルト色試験方法
灯油,流動パラフィン,石油ワックス(パラフィンワッ
クス)
5.
ASTM色試験方法
(ISO 2049に対応)
各種潤滑油,ヒーティングオイル,軽油,石油ワックス
(マイクロワックス,ペトロラタムなど)
6.
刺激値換算法
セーボルト色
灯油,流動パラフィン,石油ワックス(パラフィンワッ
クス)
附属書1
ASTM色
各種潤滑油,ヒーティングオイル,軽油,石油ワックス
(マイクロワックス,ペトロラタムなど)
備考 セーボルト色及びASTM色の測定に自動試験器による方法を用いてもよい。ただし,自動試験器によって得ら
れた結果に疑義が生じた場合には,5.,6.又は刺激値換算法で得られた結果による。
5. セーボルト色試験方法
5.1
試験の原理 試料用ガラス管中の試料の透過光の明るさが,セーボルト色標準ガラスよりはっきり
と明るくなるまで試料の高さを下げる。このときの試料の高さ目盛より一段上の目盛と,セーボルト色標
準ガラスの組合せに対応する表3のセーボルト色を求める。
参考 測定者の目の訓練及び測定の正確さの確認には,附属書2に規定するセーボルト色標準物質を
用いるとよい。
5.2
試薬及び材料 試薬及び材料は,次による。
a) 水 JIS K 0557に規定するA3の水。
b) アセトン JIS K 8034に規定するもの。
c) ろ紙 JIS P 3801に規定するろ紙2種。
5.3
セーボルト色試験器 図1に示す構造及び寸法のもので,a)〜e) からなる。
a) 試料用ガラス管 図2に示す構造・寸法のもので,目盛付きほうけい酸ガラス管 (1) (2),透明ガラス
円板,コック(ペットコック)付き金属円筒及びキャップからなる。
目盛付きほうけい酸ガラス管の目盛は,透明ガラス円板の上面から50.8 mmの位置に回線目盛を刻
み,更にその上方に25.4 mmごとに回線目盛を刻む。各回線には下から2,3,4,5,……,20まで
の整数を刻む。また,回線間にはこれを8等分する細分目盛を刻む。
透明ガラス円板は厚さ6.25 mmで,すじ及びきずのない無色の平らなものとする。
コック付き金属円筒は,黒つや消し電気めっき仕上げの黄銅製のものとし,目盛付きほうけい酸ガ
ラス管と透明ガラス円板とを洗浄のため取り外すことのできる構造とする。
キャップは金属製黒つや消し電気めっき仕上げのもので,目盛付きほうけい酸ガラス管の上部にか
ぶせる。
石油ワックス試料の場合は,試料用ガラス管に図3に示すような石油ワックス試料用加熱器を上部
からかぶせて試料を液状に保ち,試料用ガラス管の目盛を読むことができるものを使用する。
注(1) JIS K 2839に規定する図73が相当する。材質は無色のほうけい酸ガラスとする。
(2) 製造ロットの異なるガラスの光学的特性は,微妙に違う場合がある。
この試験では,試料用ガラス管及び標準色用ガラス管は光学特性の合った管を使用しなけれ
ばならない。管の一方が破損した場合,両管とも取り替えることが望ましい。
参考 注(1)に規定する無色のほうけい酸ガラスとしては,パイレックスNo.7740などがある。
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単位 mm
図 1 セーボルト色試験器(一例)
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単位 mm
図 2 試料用ガラス管及びキャップ
b) 標準色用ガラス管 図4に示す構造及び寸法のもので,ほうけい酸ガラス管(1) (2),その下部に黒つや
消し電気めっき仕上げの黄銅製の金属円筒と,回転盤(回転盤がない構造の場合もある。)を取り付け
たものとする。金属円筒又は回転盤には内径12 mm±1 mmの金属製絞り板を着脱できるもので,回
転盤にはセーボルト色標準ガラス全厚板2枚,全厚板1枚及び半厚板1枚を取り付け,セーボルト色
標準ガラスを交換したとき,光学軸が一致する構造とする。また,ほうけい酸ガラス管の上部にはa)
と同じキャップをかぶせる。
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単位 mm 単位 mm
図 3 石油ワックス試料用加熱器(一例)
図 4 標準色用ガラス管(一例)
c) セーボルト色標準ガラス セーボルト色標準ガラスは,表2の色特性をもつ全厚板及び半厚板とする。
視感透過率Yc及び色度座標x,y,zがJIS Z 8722の“2度視野に基づくXYZ表色系によって物体色を
測定する方法”で分光透過率を測定し,標準の光Cを用いて計算したとき,表2に示す値とする。
表 2 セーボルト色標準ガラスの視感透過率Yc及び色度座標x,y,zの値
色特性
全厚板
反厚板
Yc %
86.0 〜86.5
88.8 〜89.1
x
0.342〜 0.350
0.327〜 0.331
y
0.367〜 0.378
0.344〜 0.350
z
0.272〜 0.291
0.319〜 0.330
d) 光学式接眼部 図5に示すように屈折角と面積のつり合った1対のプリズムと単レンズ接眼鏡とから
なり,試料用ガラス管と標準色用ガラス管を通過した光が,円形視野の中に半円面ずつ接眼鏡を通し
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て見られ,ひずみ及び視差のないように光学的に組み合わせたもので,アルミニウム又は黄銅製でつ
や消し電気めっき若しくは塗装仕上げした金物に固定する。接眼用アダプタ(図6)は,目の位置を
接眼鏡の中心に正しく対応させて,接眼鏡の中心を通った光を視差のないようにのぞ(覗)くために
用いる。
単位 mm
図 5 光学式接眼部(一例)
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単位 mm
図 6 接眼用アダプタ(一例)
e) 人工昼光色光源 図7に示すもので,光源電球,光源箱及び昼光フィルタからなり,反射鏡を組み合
わせて拡散昼光と同様な分光分布特性をもつものとする。試料用ガラス管び標準色用ガラス管の底部
を,陰及び輝きのない光で照明でき,測定に影響のあるような外来光が入らない構造のものとする。
参考 光源電球による陰及び輝きは,次のいずれかによって取り除くとよい。
a) フィルタの内面をサンドブラスト及び酸処理した昼光フィルタを用いる。
b) 表面硬化処理した昼光フィルタを用いる。
c) オパールガラスに透過させる。
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図 7 人工昼光色光源(一例)
1) 光源電球 色温度が約2 750 Kで,約13 lm/Wの電球とする。
参考 JIS C 7501に規定するLW 100V 54W(60W形),LW 100V 54W 55,LW 100V 54W及びLW 100V
60Wのものが相当する。
2) 光源箱 半球形で,その内側はアルミニウム粉を顔料とした耐熱塗料を均一に吹き付けたもので,
選択吸収がなく,65 %以上の反射能をもつものとする。
3) 昼光フィルタ 厚さが均一で,光源電球による陰及び輝きがなく,次の分光分布特性,視感透過率
(YA)及び色度座標(x,y,z)をもつものとする。
3.1) 波長410 nmで60 %以上の分光透過率。
3.2) 波長700 nmで10 %以下の分光透過率。
3.3) 波長540 nmと590 nmの分光透過率を直線で結んだとき,波長570 nmの分光透過率は,直線の
値から上方に3%を超えてはならない。
3.4) 波長700 nmにおける分光透過率は,660 nmにおける分光透過率より3 %以上超えてはならない。
3.5) 視感透過率(YA)及び色度座標(x,y,z)はJIS Z 8722の“2度視野に基づくXYZ表色系によっ
て物体色を測定する方法”で分光透過率を測定し,標準の光Aを用いて計算したとき,次の値と
する。
YA(%)
10.7 〜16.0
x
0.314〜 0.330
y
0.337〜 0.341
z
0.329〜 0.349
4) 反射鏡 図1に示す構造で,オパールガラス又はすりガラス製とし,同じ強さの反射光が底部から
試料とセーボルト色標準ガラスを通過する構造のものとする。反射鏡を用いる代わりに,光源から
の拡散光を直接2本の管内を通過するように,底部から投光する形式としてもよい。
9
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5.4
試験器の準備 セーボルト色試験器の準備は,次による。
a) 試料用ガラス管からその底部に付いているコック付き金属円筒を取り外し,コック付き金属円筒に付
いている透明ガラス円板,試料用ガラス管及び標準色用ガラス管を清浄にする。付着物が落ちない場
合は,石けん水で洗い,水を注ぎ,次に,JIS K 8034に規定するアセトン又は他の適切な溶剤で洗浄
して乾燥する。
試料用ガラス管を組み立てて,試料用及び標準色用ガラス管を試験器に取り付ける。
b) 標準色用ガラス管の底部の金属円筒からセーボルト色標準ガラス及び絞り板を取り外し (3),2本の管
とも空の状態で,規定の光源からの拡散光を用い2等分された視野の明るさを比較する。光源の位置
を調節して2等分された視野の明るさを同じにする。
注(3) 試験器の準備をするとき以外は,絞り板は標準色用ガラス管の金属円筒部に取り付けておく。
c) 絞り板を標準色用ガラス管の金属円筒部に入れ,試料用ガラス管に目盛線20の位置までJIS K 0557
に規定するA3の水を入れる。このとき,2等分された視野の明るさは同じでなければならない。
備考 2等分された視野の明るさが同じでない場合は,光源の位置を調節して視野の明るさを同じに
する。
5.5
試料の採取及び調製方法 試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の試料採取方法及び二次試料の
調製方法,又はそれに準じる方法によって採取及び調製する。
5.6
試料の準備 セーボルト色試験方法の試料の準備は,次による。
a) 試料が濁っている場合は,試料の濁りがなくなるまで,JIS P 3801に規定するろ紙2種でろ過する。
b) 固形パラフィンワックスの試料を調製するときは,酸化による変色を防ぐために過度に熱してはなら
ない。
5.7
セーボルト色試験の手順
5.7.1
液体試料の場合 液体試料のセーボルト色測定は,次による。
a) 採取調製した試料の一部で試料用ガラス管をとも洗いし,液滴が管内に残らないように注意しながら
排出し,捨てる。
b) セーボルト色標準ガラスを次のようにして決める。
試料用ガラス管に試料を20目盛まで満たし,試料中の気泡を除いた後,接眼鏡をのぞいて試料とセー
ボルト色標準ガラス全厚板1枚の明るさを比較する。
試料が全厚板1枚よりも明るいときは,半厚板1枚に切り換える。
試料を排出して,試料が目盛線
8
2
6
の高さで全厚板1枚より暗いときは,全厚板2枚に切り換える。
c) セーボルト色標準ガラスが決まったら,接眼鏡をのぞいて試料用ガラス管の試料がセーボルト色標準
ガラスの明るさよりも明らかに暗くなるまで試料を追加する。
d) 試料用ガラス管下部のコックを少し開き,接眼鏡をのぞいてセーボルト色標準ガラスよりやや暗いと
ころまでゆっくりと排出させる。この点に達したら表3に示す試料の高さ目盛に最も近い高さまで試
料を抜く。そのときの試料の高さ目盛を読み取る(表4参照)。
e) 接眼鏡からのぞいた試料の明るさがセーボルト色標準ガラスよりも,まだ暗いときは,表3に示す次
の目盛まで試料を抜いて比較する。試料の明るさとセーボルト色標準ガラスとの明るさが同じか又は
ほとんどその差(4)を認めなくなるまで,この操作を続ける。
注(4) 明るさを主体に色味も加味して判定する。
f)
e) の手順が終わったら,更にすぐ下の段階の目盛まで試料面を下げ,試料の明るさがセーボルト色標
準ガラスよりはっきりと明るいことを確認して,すぐ前の段階の試料の目盛に対応するセーボルト色
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の数値を読み取り,記録する。
表 3 試料の高さに対応するセーボルト色
セーボルト色
標準ガラス
試料の
高さ目盛
セーボルト色
セーボルト色
標準ガラス
試料の
高さ目盛
セーボルト色
半厚板1枚
20.00
+ 30
全厚板2枚
6.00
+ 6
半厚板1枚
18.00
+ 29
全厚板2枚
586
+ 5
半厚板1枚
16.00
+ 28
全厚板2枚
584
+ 4
半厚板1枚
14.00
+ 27
全厚板2枚
582
+ 3
半厚板1枚
12.00
+ 26
全厚板2枚
5.00
+ 2
全厚板1枚
20.00
+ 25
全厚板2枚
486
+ 1
全厚板1枚
18.00
+ 24
全厚板2枚
484
0
全厚板1枚
16.00
+ 23
全厚板2枚
482
− 1
全厚板1枚
14.00
+ 22
全厚板2枚
4.00
− 2
全厚板1枚
12.00
+ 21
全厚板2枚
386
− 3
全厚板1枚
1086
+ 20
全厚板2枚
385
− 4
全厚板1枚
984
+ 19
全厚板2枚
384
− 5
全厚板1枚
882
+ 18
全厚板2枚
383
− 6
全厚板1枚
782
+ 17
全厚板2枚
382
− 7
全厚板1枚
682
+ 16
全厚板2枚
381
− 8
全厚板2枚
1084
+ 15
全厚板2枚
3.00
− 9
全厚板2枚
986
+ 14
全厚板2枚
287
− 10
全厚板2枚
9.00
+ 13
全厚板2枚
286
− 11
全厚板2枚
882
+ 12
全厚板2枚
285
− 12
全厚板2枚
786
+ 11
全厚板2枚
284
− 13
全厚板2枚
782
+ 10
全厚板2枚
283
− 14
全厚板2枚
686
+ 9
全厚板2枚
282
− 15
全厚板2枚
684
+ 8
全厚板2枚
281
− 16
全厚板2枚
682
+ 7
備考1. 試料の高さは,試料用ガラス管の目盛によって読む。
2. セーボルト色の測定例を,表4に示す。
表 4 セーボルト色測定の例
試料の観察
全厚板1枚の場合の
試料の高さ目盛
全厚板2枚の場合の
試料の高さ目盛
① 色標準ガラスよりも試料の方が暗い
16
484
② 色標準ガラスよりも試料の方が暗い
14
482
③ 色標準ガラスよりも標準色とほぼ等しい
12
4.0
11
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
④ 色標準ガラスよりも試料の方が明るい
1086
386
セーボルト色
+21
−2
5.7.2
石油ワックス試料の場合 石油ワックス試料のセーボルト色測定は,次による。
a) 試料をその融点より8〜17 ℃高い温度に加熱し,試料用ガラス管も予熱する。
参考 融点は,JIS K 2235によって測定するとよい。
b) 溶融試料を試料用ガラス管に入れ,熱源を止めて試料の温度が均一になって対流が認められなくなっ
てから5.7.1と同じ操作で測定する。
5.8
結果 5.7で記録した数値をセーボルト色とする。また,試料をろ過した場合は,“ろ過試料”と付
記する。
5.9
精度 この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。
備考 試験結果が許容差を外れた場合にはJIS Z 8402-6によって処理する。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間内に,同一試料を2回
試験したときの試験結果の差の許容差を表5に示す。
b) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ1回ずつ試験した
ときの2個の試験結果の差の許容差を表5に示す。
表 5 精度
室内併行許容差
室間再現許容差
1
2
5.10 試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。
a) 試料名,試料採取場所及び採取年月日
b) JISの規格番号:JIS K 2580
c) 試験方法の名称,箇条番号及び5.8によって得られた結果に“セーボルト色”である旨付記する。
d) 特記事項
6. ASTM色試験方法
6.1
試験の原理 ASTM色試験器を用い,試料の色とASTM色標準ガラスの色とを比較して,試料の色
と一致したASTM色標準ガラスの番号,又は試料の色に最も近くて濃い方のASTM色標準ガラスの番号
をASTM色として表す。試料の色が,一番濃いASTM色標準ガラスより濃い場合には,規定の溶剤で薄
めてASTM色標準ガラスの色と比較する。
参考 目の訓練及び測定の正確さの確認には,附属書2に規定するASTM色標準物質を用いるとよい。
6.2
試薬及び材料 試薬及び材料は,次による。
a) 水 JIS K 0557に規定するA3の水で,かつJIS K 0071-1に規定するハーゼン標準比色液の10番を超
えないもの。
b) 灯油 灯油の色は,JIS K 8517に規定する二クロム酸カリウム (K2Cr2O7) 4.8 mgを水1 000 mlに溶か
した二クロム酸カリウム溶液の色より明るいもの,又はセーボルト色が+23以上のもの。
参考 JIS K 2203に規定する灯油1号のセーボルト色は,+25以上である。
6.3
ASTM色試験器
6.3.1
ASTM色試験器の構成 比色計及び試験容器からなる。
参考 二視野式ASTM色試験器の構成の一例を参考図1に,三視野式ASTM色試験器の一例を参考
図2にそれぞれ示す。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考図 1 二視野式ASTM色試験器の構成(一例)
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参考図 2 三視野式ASTM色試験器の構成(一例)
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6.3.2
比色計 比色計は光学式接眼部,人工昼光色光源,ASTM色標準ガラス及び試験容器カバーからな
る。また,比色計は,試料及び任意のASTM色標準ガラス1枚(三視野試験器では,試料と任意のASTM
色標準ガラス2枚)を同時に照明し,直視又は光学式接眼部によって観察できるものとする。
a) 光学式接眼部 試料及びASTM色標準ガラスを通過した光を同時に同一視野で観察できる二視野式,
又は三視野式のもので,次の性能をもつものとする。
1) 二視野試験器の場合 二視野試験器の接眼部の性能は,次による。
1.1) 接眼部から,寸法及び形状が等しい二つの照明領域が観察でき,一つの照明領域は,ASTM色標
準ガラスを透過した光が占め,他の一つの照明領域は試料を透過した光が占める。二つの照明領
域は,垂直中央線に対称に配置され,しかも,垂直中央線の幅は測定者の眼から見て水平方向に
角度2〜3.6° になるように分離する。
1.2) 二つの照明領域は,測定者の眼から見て角度2.2° 以上とする。二つの照明領域の任意の2点が,
測定者の眼から見て角度10° 以下(5)で分離していれば,二つの照明領域は,どのような大きさに
拡大してもよい。
注(5) 測定者の眼から距離Dのところに分離されている距離dを望む角度(視線角度)は,57.3d/D
によって与えられる。倍率Mの接眼レンズを使用している場合は,57.3 Md/Diによって与
えられる。ただし,Diは,測定者の眼と像の平面間の距離とする。
2) 三視野試験器の場合 三視野試験器の接眼部の性能は,次による。
2.1) 接眼部から,三つの照明領域が観察できなければならない。二つの照明領域は,二つの異なった
ASTM色標準ガラスを透過した光が占め,試料を透過した光が占めた第3の照明領域に対して,
左右対称の位置に配置される。三つの照明領域は,同一寸法の長方形であり,左側の照明領域の
左角と右側の照明領域の右角には,縦寸法の1/2を超えない半径の丸みを付ける。試料の照明領域
とASTM色標準ガラスの一つの照明領域との垂直線の幅は,測定者の眼から見て水平方向に角度
0.3〜0.6° になるように分離する。
2.2) 三つの照明領域は,測定者の眼から見て角度2.6° 以上である。三つの照明領域の任意の2点が,
測定者の眼から見て角度6.4° 以下(5)で分離していれば,三つの照明領域は,どのような大きさに
拡大してもよい。
b) 人工昼光色光源(6) 本体に組み込まれた一体形又は分離形のもので,光源電球,昼光フィルタ及びオ
パールガラスを組み合わせて拡散昼光と同様な分光分布特性をもつものとする。この光源はオパール
ガラスを通したとき,陰及び輝きがなく,その照度は900 lx±100 lxで,ASTM色標準ガラス及び試
料を観察できるものとする。また,測定に影響のあるような外来光の入らない構造のものとする。
注(6) 人工昼光色光源を利用できないときは,拡散昼光を利用してもよい。この場合,直射日光は避
け,また試験器の近くに着色物があってはならない。
参考 参考図1及び参考図2は,光源が本体に組み込まれた一体形ASTM色試験器の一例である。
1) 光源電球 色温度が2 750 Kの電球,又は3 300 Kの石英製ハロゲン電球とする。
参考 JIS C 7501に規定するLW 100V 54W(60W形),LW 100V 54W 55,LW 100V 54W及びLW
100V 60Wのものが相当する。
2) 昼光フィルタ 厚さが均一で,次の分光分布特性,視感透過率(YA)及び色度座標(x,y,z)をも
つものとする。
2.1) 波長410 nmで60 %以上の分光透過率。
2.2) 波長700 nmで10 %以下の分光透過率。
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2.3) 波長540 nmと590 nmの分光透過率を直線で結んだとき,波長570 nmの分光透過率は,直線の値
から上方に3 %を超えてはならない。
備考 分光分布曲線には,過剰なコバルトの特徴である,著しい山があってはならない。コバル
トガラスの典型的な分光分布曲線は,波長570 nmにおいて,波長540 nmと590 nmを結
んだ直線の上方に出る分光透過率を示し,また,660 nm以上の分光透過率においても同様
な上方に出る分光透過率を示す。
2.4) 波長700 nmにおける分光透過率は,660 nmにおける分光透過率より3 %以上超えてはならない。
2.5) 視感透過率(YA)及び色度座標(x,y,z)はJIS Z 8722の“2度視野に基づくXYZ表色系によっ
て物体色を測定する方法”で分光透過率を測定し,標準の光Aを用いて計算したとき,表6の値
とする。
表 6 昼光フィルタの特性値
特性
特性値
電球の色温度 2 750 K
電球の色温度 3 300 K
YA %
10.7 〜16.0
7.5 〜12.5
x
0.314〜 0.330
0.300〜 0.316
y
0.337〜 0.341
0.325〜 0.329
z
0.329〜 0.349
0.355〜 0.375
3) オパールガラス 泡及び不純物を含まない均一の密度と厚さのもので,特に,選択吸収が少なく,
光を散乱させるものでなければならない。
c) ASTM色標準ガラス 表7に示す16種類とし,ASTM色標準ガラスの直径は,14 mm以上とする。
表 7 ASTM色標準ガラス
ASTM色
色度座標(7)
視感透過率(CIE・C光源)
Yc %
r
g
b
0.5
0.462
0.473
0.065
86 ±6
1.0
0.489
0.475
0.036
77 ±6
1.5
0.521
0.464
0.015
67 ±6
2.0
0.552
0.442
0.006
55 ±6
2.5
0.582
0.416
0.002
44 ±4
3.0
0.611
0.388
0.001
31 ±4
3.5
0.640
0.359
0.001
22 ±4
4.0
0.671
0.328
0.001
15.2 ±2.2
4.5
0.703
0.296
0.001
10.9 ±1.6
5.0
0.736
0.264
0.000
8.1 ±1.2
5.5
0.770
0.230
0.000
5.8 ±1.0
6.0
0.805
0.195
0.000
4.0 ±0.8
6.5
0.841
0.159
0.000
2.6 ±0.6
7.0
0.877
0.123
0.000
1.6 ±0.4
7.5
0.915
0.085
0.000
0.81±0.16
8.0
0.956
0.044
0.000
0.25±0.06
注(7) 色度座標は,公差±0.006で,RGB UCS系に従って表示してある。
d) 試験容器カバー 試験容器を試験器に挿入する部分で,内部の色はつや消し黒とし,6.6 a)で規定する
ように,外部からの光を完全に遮断できるものとする。
6.3.3
試験容器 図8に示す形状及び寸法のガラス製試験容器とする。また,ガラスの品質は無色透明で
ほうけい酸ガラス−2以上のものとする。
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K 2580:2003
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なお,JIS K 2269に規定する試験容器を用いてもよいが,試験結果に疑義が生じたときは図8に規定す
る試験容器を用いる。
備考 JIS K 2839に規定する図109のものが,これに相当する。
単位 mm
図 8 試験容器
6.4
試料の採取及び調製方法 試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の試料採取方法及び二次試料の
調整方法,又はそれに準じた方法によって採取及び調製する。
6.5
試料の準備 ASTM色試験の試料の準備は,次による。
a) 液体試料の場合 液体試料のASTM色測定の準備は,次による。
1) 試料を試験容器に深さ50 mm以上になるように入れ,色を観察する。試料が不透明なときは,曇り
又は濁りが消える温度より6 ℃高い温度に加熱して測定する。
2) 試料のASTM色が8.0を超える場合は,試料と灯油を混合し,これを測定試料とする。試料と灯油
との混合割合は,体積比で15:85とする。
b) 石油ワックス試料の場合 石油ワックス試料のASTM色測定の準備は,次による。
1) 試料をその融点より11〜17 ℃高い温度に加熱して用いる。
参考 正確な融点を求めたい場合は,JIS K 2235によって測定するとよい。
2) 試料のASTM色が8.0を超える場合は,試料と灯油とを1) の温度に加熱してから,a) 2) のように
混合し,1) の温度で測定する。
6.6
試験器の準備 ASTM色試験器の準備は,次による。
a) 二視野試験器の場合には,2本の試験容器に,また,三視野試験器の場合には,3本の試験容器に,そ
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れぞれ水を深さ50 mm以上になるように入れ,試験容器カバー内のASTM色標準ガラス側及び試験
容器側に収め,ふたをして外部からの光を遮断する。
b) 電源スイッチを入れて人工昼光色光源部を点灯させ,ASTM色標準ガラス切替えダイヤルでブランク
(ASTM色標準ガラスが光路にない状態)を選定したとき,ASTM色標準ガラス側と試験容器側のす
べての視野の明るさが,同じであることを確認する。
6.7
ASTM色試験の手順 ASTM色試験の手順は,次による。
a) 二視野試験器の場合には試料及び水を別々の試験容器に,また,三視野試験器の場合には試料を1本
の試験容器に,水を2本の試験容器に,それぞれ深さ50 mm以上になるように入れ,試験器の試験容
器カバー内の所定の場所(水を入れた試験容器はASTM色標準ガラス側)に収め,ふたをして外部か
らの光を遮断する。
b) 電源スイッチを入れて人工昼光色光源部を点灯させ,ASTM色標準ガラスと試料の色を比較する。三
視野試験器の場合には,試料を,試料の色より濃いASTM色標準ガラスと薄いASTM色標準ガラス
との間に挟むか,又は試料の色と一致するASTM色標準ガラスと試料の色より濃いASTM色標準ガ
ラスとの間に挟む。二視野試験器の場合には,試料の色と一致するASTM色標準ガラスを選定する。
c) 試料の色と一致するASTM色標準ガラスの数値を読む。一致しない場合は,濃い方の色標準ガラスの
数値を読む。
6.8
結果 ASTM色試験の結果は,次による。
a) 試料の色がASTM色標準ガラスと一致した場合は,そのASTM色標準ガラスの数値をASTM色とす
る。
b) 試料の色が二つのASTM色標準ガラスの間にある場合は,濃い方のASTM色標準ガラスの数値の前
に “L” を付けて,次の例のように表す。
ただし,試料の色が8.0より濃い場合に限り“D8.0”とする。
例 試料の色が7.0と7.5の間にある場合は,“L7.5”とする。
c) 試料を灯油で薄めて測定した場合は,ASTM色のあとに “Dil” を付記する。
例 7.5 Dil
6.9
精度 この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。
備考1. 試験結果が許容差を外れた場合には,JIS Z 8402-6によって処理する。
2. 精度は,図8の寸法の試験容器を使用した照合試験で求めたものである。JIS K 2269に規定
する試験容器を用いた場合も,表8の値が適用できると考えられるが,今のところ検証され
ていない。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で,引続き短時間内に,同一試料を2回試
験したときの試験結果の差の許容差を表8に示す。
b) 室間再現精度 異なる2試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ1回ずつ試験し
たときの2個の試験結果の差の許容差を表8に示す。
表 8 精度
室内併行許容差
室間再現許容差
0.5
1.0
6.10 試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。
a) 試料名,試料採取場所及び採取年月日。
b) JISの規格番号:JIS K 2580
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c) 試験方法の名称・箇条番号及び6.8によって得られた結果に“ASTM色”である旨付記する。
d) 特記事項
付表 1 引用規格
JIS K 0062 化学製品の屈折率測定方法
JIS K 0071-1 化学製品の色試験方法−第1部:ハーゼン単位色数(白金−コバルトスケール)
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS K 2249 原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算法
JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法
JIS K 2269 原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
JIS K 2839 石油類試験用ガラス器具
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8517 二クロム酸カリウム(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS Z 8105 色に関する用語
JIS Z 8120 光学用語
JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的
な使い方
JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色
関連規格 JIS C 7501 一般照明用電球
JIS K 2203 灯油
JIS K 2235 石油ワックス
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附属書1(規定)刺激値換算法
1. 適用範囲 この附属書は,石油製品の色を石油製品の透過光の三刺激値からセーボルト色(+30〜−
16)又はASTM色(0.5〜8.0)に換算する方法について規定する。
備考1. この刺激値換算法は,固体試料及び染料を添加した石油製品には適用しない。
2. この附属書による試験結果と本体による測定結果に疑義があるときは,本体5.及び6.の試験
結果による。
参考
蛍光の著しい試料は,本体5.及び6.の測定結果と異なる場合がある。
2. 試験の原理 試料をセルに注ぎ,セルを分光測光器又は光電色彩計の光路上に置く。標準の光C及び
2度視野のもとで,試料の透過光から三刺激値を求め,この測定された三刺激値から適切な計算手法を用
いてセーボルト色又はASTM色を求める。
3. 試薬 試薬は,次による。
a) 基準溶剤 市販最上級品のドデカンで,品質が附属書1表1の規定に適合し,かつ,分光透過率 (1)
から算出したXYZ表色系の三刺激値 (2) が附属書1表2の規定に適合する無色透明の液体。
注(1) 分光透過率の測定は,一般に,光路中に試料を挿入しない場合の空気層を基準物体として行う。
(2) JIS Z 8722によって,波長380〜780 nm分光透過率(5 nm間隔の値)を分光測光器(波長幅5 nm,
吸収セル100 mm)で測定し,標準の光Cを使って三刺激値X,Y,Zを算出する。
附属書1表 1 ドデカンの品質
項目
性状
試験方法
密度 g/cm3 20 ℃
0.749±0.010
JIS K 2249
屈折率 n20D
1.422±0.010
JIS K 0062
附属書1表 2 ドデカンの三刺激値
刺激値
規定値
X
90.00以上
Y
92.00以上
Z
105.00以上
b) 灯油 灯油の色はJIS K 8517に規定する二クロム酸カリウム(K2Cr2O7)4.8 mgを水1 000 mlに溶か
した二クロム酸カリウム溶液の色より明るい(うすい)もの。又はセーボルト色が+23以上のもの。
参考 JIS K 2203に規定する灯油1号のセーボルト色は,+25以上である。
c) 色標準物質 附属書2に規定するセーボルト色標準物質及びASTM色標準物質。
d) 水 JIS K 0557に規定するA3の水。
e) アセトン JIS K 8034に規定するもの。
f)
ろ紙 JIS P 3801に規定するろ紙2種。
4. 試験器 試験器は,次による。
4.1
2度視野で測定できる分光測光器又は光電色彩計
a) 分光測光器 次の性能をもつもの。
20
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1) 波長範囲は380 nm〜780 nmをもち,分光測光器の射出スリットから出る放射束の有効波長幅は,5
nm±1 nm又は10 nm±2 nmとする。分光透過率と測光目盛の直線性は測光範囲の最大目盛の0.5 %
以内で,再現性は0.2 %以内とする。任意の公称波長に設定したとき,透過波長帯の中心波長は公
称波長から±1 nm以内とする。
2) 照明及び受光の幾何学的条件 光源はC光源とし,照明光線束は中心線に対し5°以上の角度をも
つ光線を含んではならない。また,照明光線束の中心線の傾きは試料表面に垂直な直線に対し0°
±2° でなければならない。
b) 光電色彩計 試料に透過した光を標準の光Cを用いた2度視野に基づくXYZ表色系の三刺激値をa)
に規定した分光測光器と同等の精度で測定できるもの。
4.2
セル 無色透明の清浄なもので,試料によって腐食など起こさないものとする。
備考 セーボルト色測定には光路長100 mmが,また,ASTM色測定には光路長33 mmが適切であ
る。
5. 試料の採取及び調製方法 試料はJIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法,
又はそれに準じた方法によって採取及び調製する。
6. 試験の手順 試験の手順は,次による。
6.1
セーボルト色の測定
6.1.1
検量線の作成 検量線の作成は,次による。
a) 水でセルを洗浄する。セルに付着物が残っている場合は,洗剤で洗浄する。清浄になったら水ですす
ぎ,次に,アセトン又は適切な溶剤ですすぎ乾燥する。
b) 水を入れたセルを装置のセルホルダに固定した後,装置の指示を標準の光Cの値に合わせる。
c) 基準溶剤をセルに入れ,三刺激値をJIS Z 8722の規定によって求める。
d) 試料の予想するセーボルト色を挟んでセーボルト色標準物質を5種類以上選定し,各標準物質の三刺
激値を基準溶剤の場合と同様に測定する。
e) 標準物質のセーボルト色とc) で求めた基準溶剤及びd) で求めた標準物質の三刺激値の関係について
検量線又は相関式を求める。
備考 相関式又は検量線を内蔵している試験器は,検量線の作成の操作は必要としないが,セーボル
ト色標準物質で装置の指示値を点検し,その差が1を超えたら装置を調整する。
参考 検量線及び相関式の一例を附属書3(参考)に示す。
6.1.2
試料のセーボルト色測定手順 試料のセーボルト色測定手順は,次による。
a) 試料が濁っているときは,濁りがなくなるまで,新しいろ紙に取り替えてろ過する。
b) セルを6.1.1 a)と同様に洗浄し基準溶剤をセルに入れて,三刺激値を測定する。
c) 測定する試料でセルを共洗いし,試料をセルに入れて三刺激値を測定する。
備考 三刺激値の測定は,検量線を作成したときと同じ条件で測定する。
d) 6.1.1で求めた検量線又は相関式を用いてセーボルト色を小数点以下1けたまで求める。
6.1.3
結果 試料のセーボルト色は,6.1.2 d)で求めた数値の小数点第1位を切り上げ,明るい方向に整
数値で丸める。
6.1.4
精度 この試験方法で得られたセーボルト色0〜+30試験結果の許容差(確率0.95)は,次のとお
りである。
21
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なお,試料を適切に取り扱うならば石油ワックスの測定にも適用できるが,精度は適用しない。
備考 試験結果が許容差を外れた場合には,JIS Z 8402-6の規定によって処理する。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間に,同一試料を2回試
験したとき得られた試験結果の差の許容差を附属書1表3に示す。
b) 室間再現精度 異なる2試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ1回ずつ試験し
たとき得られた2個の試験結果の差の許容差を附属書1表3に示す。
附属書1表 3 精度
室内併行許容差
室間再現許容差
1
2
6.1.5
試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。
a) 試料名,試料採取場所及び採取年月日
b) JISの規格番号:JIS K 2580
c) 6.1.3によって得られた結果に“セーボルト色”である旨付記する。
d) 特記事項
6.2
ASTM色の測定
6.2.1
検量線の作成 検量線の作成は,次による。
a) 水でセルを洗浄する。セルに付着物が残っている場合は,洗剤で洗浄する。清浄になったら水ですす
ぎ,次に,アセトン又は適切な溶剤ですすぎ乾燥する。
b) 水を入れたセルを装置のセルホルダにセットした後,装置の指示を標準の光Cに合わせる。
c) 試料の予想するASTM色を挟んでASTM色標準物質を4種類選定し,各ASTM色標準物質の三刺激
値をJIS Z 8722の規定によって求める。
d) 標準物質のASTM色とc)で求めたASTM標準物質の三刺激値の関係について検量線又は相関式を求
める。
備考 相関式又は検量線を内蔵している試験器は検量線の作成の操作は必要としないが,ASTM色標
準物質で装置の指示値を確認し,その差が0.5を超えたら装置を調整する。
参考 相関式の一例を附属書3(参考)に示す。
6.2.2
試料のASTM色測定手順 試料のASTM色測定手順は,次による。
a) 試料が不透明なときは,曇り点又は濁りが消える温度より6 ℃高い温度に加熱する。
b) 試料のASTM色が8.0を超える場合は,灯油で試料を薄め,この混合物を測定試料とする。このとき,
試料と灯油との割合は,体積比で15:85とする。
c) 測定する試料でセルを共洗いし,試料をセルに入れて刺激値を測定する。
備考 三刺激値の測定は検量線を作成したときと同じ条件(例えば,セルの位置)で測定する。
d) 6.2.1 d)で求めた検量線又は相関式を用いてASTM色を小数点第1位まで求める。
6.2.3
結果 試料のASTM色は,6.2.2 d)で得られた値をa)〜d) によって表す。また,試料を希釈剤で薄
めて測定した場合は,測定値の後に “Dil” を付記し,測定値が8.0を超える場合は “D8” として表す。
a) 小数点第1位が0の場合は,小数点第1位を0として測定値を表す。ただし,0.0の場合はL0.5とす
る。
b) 小数点第1位が1〜4の場合は,小数点第1位を5として表し,測定値の前に“L”を付ける。
c) 小数点第1位が5の場合は,小数点第1位を5として測定値を表す。
d) 小数点第1位が6から9の場合は, 整数位に切り上げ小数点第1位を0として表し, 測定値の前に “L”
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K 2580:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
を付ける。
6.2.4
精度 この試験方法で得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次のとおりである。
なお,試料を適切に取り扱うならば石油ワックスの測定にも適用できるが,精度は適用しない。
備考 試験結果が許容差を外れた場合には,JIS Z 8402-6の規定によって処理する。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間に,同一試料を2回試
験したとき得られた試験結果の差の許容差を附属書1表4に示す
b) 室間再現精度 異なる2試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ1回ずつ試験し
たとき得られた2個の試験結果の差の許容差を附属書1表4に示す。
附属書1表 4 精度
室内併行許容差
室間再現許容差
0.5
1.0
6.2.5
試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。
a) 試料名,試料採取場所及び採取年月日
b) JISの規格番号:JIS K 2580
c) 6.2.3によって得られた結果に“ASTM色”である旨付記する。
d) 特記事項
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附属書2(規定)色標準物質の調製方法
1. 適用範囲 この附属書は,セーボルト色標準物質及びASTM色標準物質の調製方法について規定する。
2. 調製方法の概要 色標準物質の調製方法の概要は,次による。
a) セーボルト色標準物質の調製方法 セーボルト色標準物質は,3種類の染料をそれぞれアルキルジフ
ェニルエタンに溶かした後,これら3種の染料溶液の所定量を混合し,更にこの混合染料液の所定量
をドデカンで薄めて,7種類の色標準物質を調製する。
b) ASTM色標準物質の調製方法 ASTM色標準物質は,7種類の染料をそれぞれアルキルジフェニルエ
タンに溶かした後,これら5〜7種の染料溶液の所定量を混合して4種類の混合染料液を調製し,更に
この混合染料液の所定量をドデカンで薄めて,4種類の色標準物質を調製する。
3. 装置及び器具 装置及び器具は,次による。
a) 分光測光器 測定に用いる分光測光器は,通常,次の条件に適合しなければならない。
1) 波長範囲 波長範囲は,380〜780 nmとする。
2) 有効波長幅 分光測光器の射出スリットから出る放射束の有効波長幅は,三刺激値の計算を10 nm
間隔で行うときは10 nm±2 nm,5 nmで行うときは5 nm±1 nmとする。
3) 測光目盛 分光透過率の測光目盛の直線性は,測光範囲の最大目盛の0.5 %以内で,再現性は,0.2 %
以内とする。
4) 波長目盛 分光測光器の波長目盛を任意の公称波長に設定したとき,分光測光器の透過波長帯の中
心波長は,公称波長から1 nm以内とする。
5) 照明及び受光の幾何学的条件 照明 (1) は試料面の法線方向からとし,受光はすべての方向に透過
する光を集積する。
注(1) 照明光線束には,その中心線に対して角度5°以上の傾きをもつ光線が含まれてはならない。
なお,照明光線束の中心線の傾きは,試料面の法線に対して角度0°±2°とする。
b) 吸収セル 光路長が10 mm,33 mm及び100 mmの角形のもの。
c) 天びん 0.1 mgまでひょう量できるもの。
d) 全量ピペット 容量2 mlのもの。
e) 全量フラスコ 容量200 ml及び250 mlのもの。
f)
共通すり合わせ三角フラスコ 容量100 mlのもの。
g) ビーカ 容量50 mlのもの。
4. 試薬 試薬は,次による。
a) 染料 染料は,次の市販最上級品とする。
1) 3-メチル-1-フェニル-4-(フェニルアゾ)-ピラゾール-5-オール(以下,Yellow 5GS-EXという。)
Chemical Abstracts Service Registry Number(以下,CAS RNという。)4314-14-1のもの。
2) 1-(フェニルアゾ)-2-ナフタレノール(以下,Orange EXという。)CAS RN 842-07-9のもの。
3) 1,4-ビス(ブチルアミノ)-9,10-アントラセンジオン(以下,Blue SBという。) CAS RN 17354-14-2
のもの。
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4) 1-【〔4-[(ジメチルフェニル)アゾ]ジメチルフェニル〕アゾ】-2-ナフタレノール(以下,Red 5B-SP
という。) CAS RN 1320-06-5のもの。
5) 1,5(又は1,8)-ビス[(4-メチルフェニル)アミノ]-9,10-アントラセンジオン(以下,Violet 3Rとい
う。) CAS RN 8005-40-1のもの。
6) 1-ヒドロキシ-4-[(4-メチルフェニル)アミノ]-9,10-アントラセンジオン(以下,Violet B-2Rという。)
CAS RN 81-48-1のもの。
7) 1,4-ビス[(4-ブチルフェニル)アミノ]-5,8-ジヒドロキシ-9,10-アントラセンジオン(以下,Green
SGという。) CAS RN 28198-05-2のもの。
b) アルキルジフェニルエタン JIS C 2320に規定する絶縁油Aの5種2号で,15 ℃における密度が
0.986 5〜0.987 7 g/cm3のもの。
c) ドデカン 市販最上級品のもので,品質が附属書2表1の規定に適合し,かつ,分光透過率(2)から算
出したXYZ表色系の三刺激値 (3) が附属書2表2の規定に適合する無色透明の液体。
注(2) 分光透過率は,セルに入れた水を基準物体として測定する。
(3) JIS Z 8722によって,波長380〜780 nmの分光透過率(5 nm間隔の値)を分光測光器(波長幅
5 nm,吸収セル100 mm)で測定し,標準の光Cを使って三刺激値X,Y,Zを算出する。
附属書2表 1 ドデカンの品質
項目
性状
試験方法
密度 g/cm3,20 ℃
0.749±0.010
JIS K 2249
屈折率 nD20
1.422±0.010
JIS K 0062
附属書2表 2 ドデカンの三刺激値
刺激値
規定値
X
90.00以上
Y
92.00以上
Z
105.00以上
d) 水 JIS K 0557に規定するA3の水。
5. セーボルト色標準物質の調製方法 セーボルト色標準物質は,次の3段階(染料溶液の調製,セーボ
ルト色混合染料溶液の調製,セーボルト色標準物質の調製)の操作によって調製する。
a) 染料溶液の調製
1) ビーカ50 mlに,染料Yellow 5GS-EX 0.250 0 g±0.000 5 gをはかり取り,これをアルキルジフェニ
ルエタン約20 mlで溶かした後,全量フラスコ250 mlに移し入れ,アルキルジフェニルエタンを標
線まで加え,よく混合する。これをYellow 5GS-EX染料溶液とする。
2) 1) と同様に,染料Orange EX及びBlue SBをアルキルジフェニルエタンに,それぞれ溶かして調製
する。これをOrange EX染料溶液及びBlue SB染料溶液とする。
3) 次の操作によって,染料溶液の吸光度を確認する。
3.1) 1) のYellow 5GS-EX染料溶液2 mlを全量ピペットで全量フラスコ200 mlに取り,ドデカンを標線
まで加え,よく混合する。同様に,2) の2種類の染料溶液2 mlを取り,ドデカンをそれぞれ加え,
よく混合する。
3.2) 分光測光器(波長幅2 nm,吸収セル10 mm)を用いて,ドデカンを対照液として,3.1) で調製した
3種類の溶液の吸光度を測定し,吸光度が附属書2表3の規定に適合することを確認する。
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規定に適合しない場合は,1) からやり直す。
附属書2表 3 染料溶液の吸光度許容範囲
染料溶液の種類
波長 nm
吸光度
Yellow 5GS-EX
395
0.881〜0.935
Orange EX
465
0.519〜0.541
Blue SB
600
0.412〜0.438
645
0.465〜0.494
Red 5B-SP
515
0.673〜0.715
Violet 3R
545
0.337〜0.358
Violet B-2R
585
0.332〜0.353
Green SG
635
0.400〜0.424
680
0.467〜0.496
b) セーボルト色混合染料溶液の調製
1) a) 1) 及びa) 2) で調製した3種類の染料溶液を,三角フラスコ100 mlに附属書2表4の量をはかり
取り,混合する。
附属書2表 4 料溶液の種類及びはかり取り量
染料溶液の種類
染料溶液のはかり取り量 g
Yellow 5GS-EX
30.000±0.010
Orange EX
10.000±0.005
Blue SB
1.000±0.001
2) 三角フラスコ100 mlに1) の溶液5.000 g±0.001 gをはかり取り,更にドデカン45.000 g±0.001 gを
はかり取り,よく混合する。これらをセーボルト色混合染料溶液という。
c) セーボルト色標準物質の調製
1) ビーカ50 mlに,b)のセーボルト色混合染料溶液を,附属書2表5の規定量はかり取り,これにド
デカン約20 mlを加えて混合した後,全量フラスコ250 mlに移し入れ,ドデカンを標線まで加え,
よく混合する。
附属書2表 5 セーボルト色混合染料溶液のはかり取り量
セーボルト色
標準物質の種類
セーボルト色混合染料溶液の
はかり取り量 g
S +30
0.200±0.001
S +25
0.472±0.002
S +19
1.087±0.002
S +15
1.724±0.003
S +12
2.083±0.004
S
0
4.545±0.005
S −15
8.772±0.010
2) 1) で調製した7種類の溶液について,JIS Z 8722によって,波長380〜780 nmの分光透過率 (2) を
分光測光器(波長幅5 nm,吸収セル100 mm)で測定する。
3) JIS Z 8722によって,分光透過率(5 nm間隔の値)から標準の光Cを使って,XYZ表色系の刺激値
Y及び色度座標x,y,zを計算する。Y,x,y及びzの値が附属書2表6の規定に適合している場合
は,これらをセーボルト色標準物質S+30,S+25,S+19,S+15,S+12,S 0及びS−15という。
これら色標準物質のセーボルト色は,それぞれ+30,+25,+19,+15,+12,0及び−15とする。
Y,x,y及びzの値が附属書2表6の規定に適合しない場合は,b) からやり直す。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2表 6 セーボルト色標準物質の刺激値Y及び色度座標x,y,zの値
セーボルト色
セーボルト
色標準物質
の種類
刺激値
色度座標
Y
x
y
z
+30
S +30
93.0〜99.0
0.311〜0.316
0.321〜0.326
0.358〜0.368
+25
S +25
92.0〜98.0
0.316〜0.322
0.327〜0.335
0.343〜0.357
+19
S +19
91.0〜97.0
0.325〜0.332
0.342〜0.350
0.318〜0.333
+15
S +15
89.0〜96.0
0.337〜0.342
0.358〜0.365
0.293〜0.305
+12
S +12
87.0〜92.0
0.342〜0.348
0.366〜0.373
0.279〜0.297
0
S
0
83.0〜89.0
0.376〜0.383
0.411〜0.419
0.198〜0.213
−15
S −15
77.0〜84.0
0.418〜0.426
0.460〜0.466
0.108〜0.122
6. ASTM色標準物質の調製方法 ASTM色標準物質は,次の3段階(染料溶液の調製,ASTM色混合染
料溶液の調製,ASTM色標準物質の調製)の操作によって調製する。
a) 染料溶液の調製
1) ビーカ50 mlに,染料Yellow 5GS-EX 0.250 0 g±0.000 5 gをはかり取り,これをアルキルジフェニ
ルエタン約20 mlに溶かした後,全量フラスコ250 mlに移し入れ,アルキルジフェニルエタンを標
線まで加え,よく混合する。これをYellow 5GS-EX染料溶液とする。
2) 1) と同様に,染料Orange-EX,Blue SB,Red 5B-SP,Violet 3R,Violet B-2R及びGreen SGをアル
キルジフェニルエタンに,それぞれ溶かして調製する。これをOrange EX染料溶液,Blue SB染料
溶液,Red 5B-SP染料溶液,Violet 3R染料溶液,Violet B-2R染料溶液及びGreen SG染料溶液とす
る。
3) 次の操作によって染料溶液の吸光度を確認する。
3.1) 1) のYellow 5GS-EX染料溶液2 mlを全量ピペットで全量フラスコ200 mlに取り,ドデカンを標
線まで加え,よく混合する。同様に,2) の6種類の染料溶液にドデカンをそれぞれ加え,よく混
合する。
3.2) 分光測光器(波長幅2 nm,吸収セル10 mm)を用いて,ドデカンを対照液として,1) で調製した
7種類の溶液の吸光度を測定し,吸光度が附属書2表3の規定に適合することを確認する。規定に
適合しない場合は,1) からやり直す。
b) ASTM色混合染料溶液の調製 a) 1) 及びa) 2) で調製した5〜7種類の染料溶液を,三角フラスコ100
mlに附属書2表7の量をはかり取り,混合する。これらをASTM色混合染料溶液M1,M3,M5及び
M7とする。
附属書2表 7 染料溶液の種類とはかり取り量
単位 g
染料溶液の種類
ASTM色混合染料溶液
M1
M3
M5
M7
Yellow 5GS-EX
42.000±0.010
40.000±0.010
40.000±0.010
36.600±0.010
Orange EX
5.200±0.005
5.800±0.005
11.600±0.005
10.600±0.005
Blue SB
0.400±0.001
0.400±0.001
−
0.200±0.001
Red 5B-SP
−
1.400±0.001
2.000±0.001
2.600±0.001
Violet 3R
2.600±0.001
1.200±0.001
3.200±0.001
2.200±0.001
Violet B-2R
−
0.800±0.001
1.600±0.001
3.200±0.001
Green SG
0.600±0.001
0.800±0.001
1.600±0.001
0.600±0.001
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) ASTM色標準物質の調製
1) ビーカ50 mlに,b)のASTM色混合染料溶液を,附属書2表8の規定量はかり取り,これにドデカ
ン約20 mlを加えて混合した後,全量フラスコ250 mlに移し入れ,ドデカンを標線まで加え,よく
混合する。
附属書2表 8 ASTM色混合染料溶液のはかり取り量
ASTM色標準物質の種類
ASTM色混合染料溶液
種類
はかり取り量 g
A1
M1
2.467±0.001
A3
M3
12.987±0.006
A5
M5
23.956±0.010
A7
M7
41.822±0.020
2) 1) で調製した4種類の溶液について,JIS Z 8722によって,波長380〜780 nmの分光透過率 (2) を
分光測光器(波長幅5 nm,吸収セル33 mm)で測定する。
3) JIS Z 8722によって,分光透過率(5 nm間隔の値)から標準の光Cを使って,XYZ表色系の刺激値
Y及び色度座標x,y,zを計算する。Y,x,y及びzの値が附属書2表9の規定に適合している場合
は,これらをASTM色標準物質A1,A3,A5及びA7という。これら色標準物質のASTM色は,そ
れぞれ1.0,3.0,5.0及び7.0とする。
Y,x,y及びzの値が附属書2表9の規定に適合しない場合は,b) からやり直す。
附属書2表 9 ASTM色標準物質の刺激値Y及び色度座標x,y,zの値
ASTM色
ASTM色
標準物質の
種類
刺激値
色度座標
Y
x
y
z
1.0
A1
71.0〜 83.0
0.390〜0.402
0.427〜0.439
0.149〜0.183
3.0
A3
27.0〜 35.0
0.533〜0.545
0.449〜0.461
0.000〜0.019
5.0
A5
6.9〜 9.3
0.616〜0.628
0.372〜0.384
0.000〜0.013
7.0
A7
1.2〜 2.0
0.684〜0.696
0.303〜0.315
0.000〜0.012
備考 ASTM色標準物質を33 mmの吸収セルに入れた場合 ASTM色標準物質A1,A3,A5及びA7のASTM色は,
本体表7の色標準ガラスのASTM色1.0,3.0,5.0及び7.0に,それぞれ相当する。
7. 色標準物質の保管 5. c) 3) で調製したセーボルト色標準物質及び6. c) 3) で調製したASTM色標準物
質は,ねじふた付き褐色瓶に入れ,更にこれを黒色袋に入れて冷暗所に保存する。
備考 色標準物質の点検 保管中の色標準物質の変質の有無は,セーボルト色標準物質の場合は5. c)
2) 及び3) によって,また,ASTM色標準物質の場合は6. c) 2) 及び3) によって,適宜,測定
及び確認する。確認の結果,色標準物質の刺激値Y及び色度座標x,y,zの値が,セーボルト
色標準物質では附属書2表6の規定に,また,ASTM色標準物質では附属書2表9の規定に適
合しない場合は,使用してはならない。
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附属書3(参考)
三刺激値からセーボルト色及びASTM色への換算例
序文 この附属書(参考)は,附属書1(規定)に規定する刺激値換算法を用いて三刺激値からセーボル
ト色及びASTM色に換算する換算式の一例を記述するものであり,規定の一部ではない。
1. セーボルト色の検量線
a) 附属書1(規定)の6.1.1 a) からb) によって基準溶剤及び各種のセーボルト色標準物質の三刺激値 (X,
Y,Z) を求め,これらの三刺激値からL*,a*及びb*表色系における明度指数L*及びクロマネティクス
指数a*,b*を,次の式によって計算する。
16
100
116
3
1
*
−
=
Y
L
3
1
3
1
*
100
072
.
98
500
Y
X
a
−
=
3
1
3
1
*
225
.
118
100
00
2
Z
Y
b
−
=
ここに, X,Y及びZ:基準溶剤又はセーボルト色標準物質の三刺激値
b) セーボルト色標準物質ごとに基準溶剤との色差∆E*abを,次の式によって求める。
∆E*ab= [(L*1−L*0)2+(a*1−a*0)2+(b*1−b*0)2]1/2
(
)(
)(
)2
*
0
*
1
2
*
0
*
1
2
*
0
*
1
*
b
b
a
a
L
L
ab
E
Δ
−
+
−
+
−
=
ここに, ∆E*ab :¥セーボルト色標準物質と基準溶剤の色差
L*1 :セーボルト色標準物質の明度指数
a*1,b*1 :セーボルト色標準物質のクロマネティクス指数
L*0 :基準溶剤の明度指数
a*0,b*0 :基準溶剤のクロマネティクス指数
c) 色差(∆E*ab)とセーボルト色標準物質のセーボルト色の関係を作図し検量線を作成する。
その一例を附属書3図1に示す。
備考1. 光路長が100 mmセルの場合の相関式は,次のような式となる。
γ
ab
E
Δ
β
α
S
−
+
=
*
log
ここに, S :セーボルト色
∆E*ab :試料と基準溶剤の色差
α :切片補正定数(例51.1)
β :こう配補正定数(例44.5)
γ :補正定数(例2.55)
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2. セーボルト色標準物質を用いて必要に応じ検量線の点検を行う。
点検の結果,標準値との差がセーボルト色で1を超える場合には,検量線を作り直す。
附属書3図 1 セーボルト色の検量線(一例)
2. ASTM色の検量線
a) 各種のASTM色標準物質の三刺激値(X,Y,Z)を附属書1(規定)の6.2.2 a) からc) によって求め,
次の式を用いて,色標準物質ごとに光学濃度の和ΣDを計算する。
ΣD=DX+DY+DZ
ここに, ΣD:光学濃度の和
DX=−log10 (X/Xn)
DY=−log10 (Y/Yn)
DZ=−log10 (Z/Zn)
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X,Y,Z :ASTM色標準物質の三刺激値
Xn,Yn,Zn
:標準の光Cの三刺激値
Xn=98.071
Yn=100.000
Zn=118.226
b) 光学濃度和 (ΣD) とASTM色標準物質のASTM色(標準値)の関係を作図し検量線を作成する。
備考1. 光路長が33 mmセルの場合は,次のような式となる。
A=α+β・ΣDs
ここに, A :ASTM色
ΣDs :試料の光学濃度和
α :切片補正定数(例0.25)
β :こう配補正定数(例0.869 5)
2. 検量線の点検 ASTM色標準物質を用いて必要に応じ検量線の点検を行う。点検の結果,標
準値との差がASTM色で0.5を超える場合には,検量線を作り直す。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書4(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 2580:200x 石油製品−色試験方法
国際規格 ISO 2049:1996 石油製品−色試験方法(ASTM色)
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目
ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線又は実線の側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1.適用範
囲
本体1.で規定。染料を添加
していない石油製品に適
用する。
ISO 2049
1.
ISO 2049は
ASTM色試験方
法だけを規定し
ている。
MOD/追加
JISではセーボルト色試験
方法,刺激値換算法,色標
準物質の調製方法を追加
した。
JISでは国内で幅広く使用されている
セーボルト色試験方法及び刺激値換算
法を追加した。また,刺激値換算法に
よる測定に必要な色標準物質の調製方
法も附属書(規定)で規定した。
2.引用規
格
JIS C 2320ほか,引用する
JISを付表で規定した。
ISO 2049
2.
ISO 3015,ISO
3016,ISO 3696,
ISO 6271,ISO
6353
MOD/追加
JISではISO規格を削除し,引用してい
るJIS規格を追加した。
3.定義
セーボルト色及びASTM
色を定義した。
MOD/追加
JISではセーボルト色及び
ASTM色の定義を追加し
た。
JISではASTM法に準拠したセーボル
ト色を追加したため,ASTM色につい
ても追加定義した。
4.試験方
法の種類
a) セーボルト色試験方法
b) ASTM色試験方法
c) 刺激値換算法(附属書1)
d )三刺激値からセーボル
ト色及びASTM色への換
算例(附属書3)
e) 色標準物質の調製方法
(附属書2)
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
JISでは試験方法の種類を
箇条番号を付けて追加し
た。
JISではセーボルト色試験方法などを
追加したため,試験方法の種類が一目
で分かるように表を追加した。
3
1
K
2
5
8
0
:
2
0
0
3
32
K 2580:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目
ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線又は実線の側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
5.セーボ
ルト色試
験方法
試験の原理
試薬及び材料
セーボルト色試験器
試験器の準備
試料の採取及び調製方法
試料の準備
セーボルト色試験の手順
結果
精度
試験結果の報告
ISOでは規定し
ていない。
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
ISOでは規定していな
い。
6.ASTM
色試験方
法
試験の原理
試薬及び材料
ASTM色試験器
試料の採取及び調製方法
試料の準備
試験器の準備
ASTM色試験の手順
結果
精度
試験結果の報告
ISO 2049
3.
4.
5.,附属書
A
規定なし
6.
7.
7.
8.
9.
10.
JISに同じ。
JISに同じ。
JISに同じ。
ISOには規定が
ない。
JISに同じ。
JISに同じ。
JISに同じ。
JISに同じ。
JISに同じ。
JISに同じ。
IDT
IDT
IDT
MOD/追加
IDT
IDT
IDT
IDT
IDT
IDT
JISでは試料の採取及び
調製方法を追加した。
JISではJIS K 2251(原油及び石油製品
−試料採取方法)を引用した。
3
2
K
2
5
8
0
:
2
0
0
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目
ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線又は実線の側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
附属書1
(規定)
刺激値換算法
ISOでは規定し
ていない。
MOD/追加
ISOでは規定していな
い。
附属書2
(規定)
色標準物質の調製方法
ISOでは規定し
ていない。
MOD/追加
ISOでは規定していな
い。
附属書3
(参考)
三刺激値からセーボルト
色及びASTM色への換算
例
参考のため
評価の対象
外
ISOでは規定していな
い。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
3
3
K
2
5
8
0
:
2
0
0
3