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K 2541-5:2003  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,石油連盟(PAJ)から,工業標準原案を具して

日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した

日本工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS K 2541-5には,次に示す附属書がある。 

附属書(規定)誘導結合プラズマ発光法 

JIS K 2541の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 2541-1 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第1部:酸水素炎燃焼式ジメチルスルホナゾⅢ滴

定法 

JIS K 2541-2 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第2部:微量電量滴定式酸化法 

JIS K 2541-3 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第3部:燃焼管式空気法 

JIS K 2541-4 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第4部:放射線式励起法 

JIS K 2541-5 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第5部:ボンベ式質量法 

JIS K 2541-6 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第6部:紫外蛍光法 

JIS K 2541-7 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第7部:波長分散蛍光X線法(検量線法) 

K 2541-5:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 試験の原理 ····················································································································· 2 

4. 試薬 ······························································································································ 2 

5. 試験器 ··························································································································· 3 

6. 試料の採取方法及び調製方法 ····························································································· 5 

7. 試験の手順 ····················································································································· 5 

7.1 試験の準備 ··················································································································· 5 

7.2 試料のはかり採り ·········································································································· 5 

7.3 酸素の圧入 ··················································································································· 6 

7.4 燃焼 ···························································································································· 6 

7.5 燃焼後のボンベ内容液の採集···························································································· 6 

7.6 沈殿の生成 ··················································································································· 7 

7.7 沈殿のろ過 ··················································································································· 7 

7.8 沈殿の強熱及びひょう量 ································································································· 7 

7.9 空試験 ························································································································· 7 

8. 計算方法 ························································································································ 7 

9. 精度 ······························································································································ 7 

10. 試験結果の報告 ············································································································· 8 

附属書(規定)誘導結合プラズマ発光法 ··················································································· 9 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 2541-5:2003 

原油及び石油製品−硫黄分試験方法 

第5部:ボンベ式質量法 

Crude oil and petroleum products−Determination of sulfur content 

Part 5: General bomb method 

1. 適用範囲 この規格は,原油及び石油製品に0.10質量%以上含まれる硫黄分をボンベ式質量法によっ

て,定量する方法について規定する。 

備考1. この方法は,硫酸バリウムの沈殿を生成させるとき,希塩酸に不溶で硫酸バリウム以外の残

留物を与えるような妨害元素を含む試料は,正確な試験結果が得られないことがある。 

これらの妨害元素とは,鉄,アルミニウム,カルシウム,けい素,鉛などである。ほかに

妨害するような酸不溶性の物質は,シリカ,二硫化モリブデン,アスベスト,雲母などであ

る。 

2. この試験法は,潤滑油も測定できるが,妨害元素を多く含む一部の潤滑油と摩耗金属及び汚

染による鉛やけい素酸塩類を含んだ使用潤滑油には適用できない。 

3. 原油及び重油について,この試験方法によって得られた試験結果に疑義が生じた場合は,JIS 

K 2541-3に規定する燃焼管式空気法で試験しなければならない。 

4. この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用法をすべてに

規定しているわけではないので,この試験方法の使用者は試験に先立って,適切な安全上及

び健康上の禁止事項を決めておかなければならない。 

参考 この規格群には,参考表1に示す試験方法がある。 

参考表 1 試験方法の種類 

規格群 

試験方法の種類 

適用油種(例) 

測定範囲 

K 2541-1 

酸水素炎燃焼式ジメチルスルホナゾⅢ滴
定法 

自動車ガソリン,灯油,軽油 

1〜10 000質量ppm 

K 2541-2 

微量電量滴定式酸化法 

自動車ガソリン,灯油,軽油 

1〜1 000質量ppm 

K 2541-3 

燃焼管式空気法 

原油,軽油,重油 

0.01質量%以上 

附属書(参考)燃焼管式酸素法 

K 2541-4 

放射線式励起法 

原油,軽油,重油 

0.01〜5質量% 

K 2541-5 

ボンベ式質量法 

原油,重油,潤滑油 

0.1質量%以上 

附属書(規定) 
誘導結合プラズマ発光法 

潤滑油 

0.05質量%以上 

K 2541-6 

紫外蛍光法 

自動車ガソリン,灯油,軽油 

3〜500質量ppm 

K 2541-7 

波長分散蛍光X線法(検量線法) 

自動車ガソリン,灯油,軽油 

5〜500質量ppm 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

K 2541-5:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS H 6201 化学分析用白金るつぼ 

JIS K 0116 発光分光分析通則 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 1101 酸素 

JIS K 1105 アルゴン 

JIS K 1107 高純度窒素 

JIS K 2238 マシン油 

JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法 

JIS K 2279 原油及び石油製品−発熱量試験方法及び計算による推定方法 

JIS K 2541-3 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第3部:燃焼管式空気法 

JIS K 2839 石油類試験用ガラス器具 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8624 炭酸ナトリウム十水和物(試薬) 

JIS K 9003 流動パラフィン(試薬) 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

JIS Q 0034 標準物質生産者の能力に関する一般要求事項 

JIS Q 0035 標準物質の認証−一般的及び統計学的原則 

JIS R 1301 化学分析用磁器るつぼ 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

JIS R 6252 研磨紙 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的

な使い方 

3. 試験の原理 この試験方法は,炭酸ナトリウム溶液を入れたボンベに,試料皿を入れた後,酸素を圧

入して試料を燃焼させ,生成した硫黄酸化物を硫酸塩にする。次にボンベ内の溶液を洗い出し,これに塩

化バリウム溶液を加えて硫酸バリウムの沈殿を生成させる。この沈殿をろ過し,強熱,ひょう量して試料

中の硫黄分を求める。 

4. 試薬 試薬は,次による。 

a) 塩化バリウム溶液(85 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物100 gを水に溶かし,全量

を1 000 mLとしたもの。 

なお,この溶液は,12時間以上室温に放置した後,ろ紙でろ過して用いる。 

b) 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。 

c) 酸素 JIS K 1101に規定するもの。 

d) 炭酸ナトリウム溶液(50 g/L) JIS K 8624に規定する炭酸ナトリウム十水和物135 gを水に溶かして

全量を1 000 mLとしたもの。 

e) 希釈剤(1) JIS K 9003に規定する流動パラフィン。 

K 2541-5:2003  

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注(1) 試料が流動パラフィンと溶けにくいときは,流動パラフィンの代わりに硫黄分の少ないほかの

希釈剤を用いる。 

f) 

硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして全量を100 mLとし,褐色瓶

に入れて保存する。 

g) 水 JIS K 0557に規定するA3のもの。 

5. 試験器 試験器は次のa)〜h)からなり,その構造の一例を図1に示す。 

a) ボンベ 図1に示す形状のステンレス鋼製の耐圧容器で,容量300±15 mLとし,試験中漏れがなく,

ボンベ内の溶液を完全に取り出しできる構造のもの。また,パッキング,絶縁物などの附属品は,熱

及び化学作用に耐え,試料の硫黄分に影響を与えないものを用いる。 

例えば,JIS K 2279の熱量計用ボンベなどが適切である。 

備考 ボンベは,室温で20 MPa,5分間の水圧試験に耐えるものでなければならない。 

b) 試料皿 石英ガラス又は白金製で内径約22〜30 mm,高さ約13 mmのもの。 

その一例を図2に示す。 

備考1. 試料皿は底部内面の角を丸めた形状のものを用いる。 

試料に亜鉛化合物を含む場合は,白金皿を用いてはならない。 

2. JIS K 2839に規定する図71が相当する。 

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K 2541-5:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

図 1 ボンベ式質量法試験器(一例) 

単位 mm 

図 2 試料皿 

c) 点火線 直径0.3 mm,長さ約100 mmの白金線又はこれと同等なニッケル線とし,中央部約20 mmを

コイル状にしたもの。 

d) 着火材 JIS P 3801に規定するろ紙又は白色良質の木綿糸やナイロン糸。 

e) 点火用回路 点火線を溶融することなく,着火材を燃やすのに十分な電流を通じることのできるもの

とし,スイッチは押しボタン式のもの。 

備考 点火線に負荷する電圧は,次のようにして決めるとよい。 

新しく電極に取り付けた点火線に大気中で電流を2〜3秒間通じて,点火線の溶融がなく着火

材に点火し得る最低電圧を求めて目安とする。 

f) 

酸素圧入用連結管 酸素をボンベ内に圧入する連結管であって,減圧弁及びボンベ内圧力をはかるた

めの圧力計(最高圧力5〜7 MPa)を備えたもの。 

備考 酸素圧入用連結管は,酸素に不活性で最高圧力以上の耐圧があれば,銅製以外の材質でもよい。 

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K 2541-5:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

g) るつぼ JIS R 1301に規定する磁器るつぼで記号PC 1のB形で呼び容量が30 mL又はJIS H 6201に

規定する白金るつぼ30番(容量30 mL)のもの。 

h) ろ紙 JIS P 3801に規定する5種C。 

6. 試料の採取方法及び調製方法 試料の採取方法及び調製方法は,次による。 

試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法によるか,又はそれに準じ

た方法によって採取及び調製する。 

7. 試験の手順 試験の手順は,次による。 

7.1 

試験の準備 ボンベ本体(2)及びふたを十分に洗浄し乾燥する。次に,清浄な点火線を,図3に示す

ようにコイルが試料皿の外周上部に位置するように両端を電極に接続する(3)。乾燥した着火材を一端が試

料皿の底部に接し,他端が点火線のコイル中央部に取り付けられる長さに切る。次に,ボンベ本体に炭酸

ナトリウム溶液約5 mLを入れ,その内面をぬらす。 

図 3 点火線の取付け法(一例) 

注(2) ボンベを繰り返し使用した場合,ボンベ内面に曇りを生じることがある。 

この場合,ボンベを旋盤に取り付け,毎分約300回の速さで回転させながら,まず,JIS K 2238

に規定するISO VG 7〜22のものを塗布したJIS R 6252の粒度P240番で磨き,次に,微細な酸

化クロム(粉末)と水とを練り混ぜたもので磨いた後,せっけん水及び水でよく洗浄する。こ

の操作によって,特に深いくぼみでない限り,曇りは除かれ,表面をきれいに仕上げることが

できる。 

(3) 点火線と電極との接続不良の場合,点火失敗の原因となるので,あらかじめ導通を確かめる。 

7.2 

試料のはかり採り 試料(4)0.6〜0.7 gを試料皿に0.1 mgのけたまで正しくはかり採る。ただし,硫黄

分概略値が5質量%を超える場合は,試料のはかり採り量を0.3〜0.4 gとし,これに希釈剤を0.3 g加えて

短い石英棒でかき混ぜる。 

なお,この石英棒は,燃焼の際も試料皿にそのまま入れておく。 

注(4) 塩素分2質量%以上を含む試料の場合は,表1に示す試料量をはかり採る。 

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K 2541-5:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表 1 塩素分2質量%以上の試料及び希釈剤のはかり採り量 

単位 g 

塩素分 質量% 

試料のはかり採り量 

希釈剤のはかり採り量 

 2以上  5以下 

 0.4 

0.3 

 5を超え10以下 

 0.2 

0.5 

10を超え20以下 

 0.1 

0.6 

20を超え50以下 

 0.05 

0.6 

備考 原油など軽質分を含む試料は,試料はかり採り時にカプセル(JIS K 2279参照)を用いる

か又はできるだけ速やかに質量をはかり,直ちに燃焼させる。 

7.3 

酸素の圧入 酸素の圧入に先立ち酸素圧入用連結管,減圧及び酸素ボンベが清浄であることを確か

める。次に,試料皿を電極に取り付け,図3に示すように着火材の一端を試料中に浸す(5)。ボンベのふた

をし,酸素を圧入したとき漏れがないように外ぶたを堅く締め付ける。次に,試料が試料皿から吹きこぼ

れないように静かに酸素を圧入し,ボンベ内圧力が3.0〜3.5 MPaに達したら圧入を止める(6)。 

注(5) 原油など軽質分を含む試料の場合は,点火コイルの損傷を避けるため,着火材の先端を試料に

浸さないで試料面から3 mm程度離すとよい。 

(6) ボンベに酸素を入れ過ぎぬように十分に注意しなければならない。もし,入れ過ぎた場合はボ

ンベが破裂する危険があるので,酸素圧入用連結管を外し,酸素を放出して試験を最初からや

り直す。 

備考 ボンベは常に静かに取り扱う必要がある。ボンベに衝撃を与えたり,倒したり,落としたりし

たときは,酸素の圧入又は点火を行ってはならない。このような場合は,ボンベの内容を点検

した後,試験を最初からやり直す。 

7.4 

燃焼 酸素を圧入したボンベを20 ℃以下にした水浴中に入れ(7),漏れがないことを確かめ(8),点火

用回路に電極端子を接続し2〜3秒間スイッチを入れて試料を燃焼させる(9)。少なくとも20分間水浴中に

放置した後,ボンベを取り出しボンベ内の圧力を一定速度で7分以上かけて抜く。ふたを外し内部の燃焼

状態を調べ,未燃焼試料又はすすが少しでもあった場合,又は点火線が切れている場合は,ボンベを清浄

にして試験を最初からやり直す。 

注(7) このとき電極上部の電極端子は,水面上に出るようにする。 

(8) 酸素の漏れがあったときは,試験を最初からやり直す。 

(9) 突発的な事故に備えて,点火燃焼中は絶対にボンベの上面に顔や手などを差し出してはならな

い。 

7.5 

燃焼後のボンベ内容液の採集 燃焼後のボンベ内容液の採集は,次による。 

a) ボンベ本体内面,試料皿及び内ぶた内面に水を吹きかけて,十分に洗浄する。特に電極の付け根は,

丁寧に洗浄し(10),全洗液をビーカ500 mLに集め,ボンベに沈殿があればこれをゴム管付ガラス棒を

用いてこすり落とし,ビーカ500 mLに移す。 

なお,このときのビーカ500 mLの内容液は,300 mLを超えないようにする。 

注(10) 洗液が適切な指示薬(メチルレッド溶液など)で中性を示すまで洗浄する。 

b) 試料皿は別のビーカ50 mLに入れ塩酸2 mLを加え,更に,試料皿が完全に浸るまで水を加え,わず

かに沸騰する程度で3〜4分間加熱する。次に,この溶液をa)のビーカ500 mLに加える。さらに,

試料皿とビーカ50 mLとを水でよく洗い,試料皿に沈殿があれば(11),これをゴム管付ガラス棒を用い

てこすり落とし,洗液と共にビーカ500 mLに加える。 

注(11) 沈殿がシリカ,雲母など明らかに硫酸塩以外のものである場合は,ろ過して取り除く。 

K 2541-5:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

また,この沈殿が硫酸塩の場合は,ろ過することなく7.6の操作に移る。 

備考 沈殿が硫酸塩か否かは,発光分光分析などによって金属元素を測定し,判定するとよい。沈殿

が認められた場合は,測定値の正確さが期待できない場合が多い。 

7.6 

沈殿の生成 7.5で採集した溶液を熱板又は砂浴上で,溶液がわずかに沸騰するまで加熱する(12)。

次に溶液を緩やかにかき混ぜながら沸騰する程度に加熱した塩化バリウム溶液をピペットを用いて10 mL

をゆっくり滴下する。時計皿でビーカ500 mLにふたをし,わずかに沸騰させながら更に30分間加熱を続

ける。次いで沸騰させないように注意して約2時間加熱を続けるか,又は室温で一夜静置し,沈殿の熟成

を行う。 

注(12) 硫黄分の少ない試料の場合は,約200 mLになるまで濃縮する。 

7.7 

沈殿のろ過 沈殿のろ過は,次による。 

a) 沈殿熟成の終わった溶液を60 ℃以上に加熱し,沈殿が流出しないように静かに上澄み液だけをろ紙

上に八分目を超えない程度に注ぎ,この操作を繰り返す。 

b) ビーカ500 mLに残った沈殿は温水20〜30 mL加えてかき混ぜた後,静置し,再び上澄み液を傾斜法

によってろ過する。この操作を2回繰り返す。 

c) 次いでビーカ500 mLの内容物に温水を少量加えてかき混ぜながらろ紙上に移す。 

さらに,ビーカ500 mLの内壁に少量の温水を吹き付け,水で湿したゴム管付ガラス棒を用いて,

内壁に付着した沈殿を洗い落としてろ紙上に移す。沈殿を完全に移し終わるまで,この操作を行う。 

d) 沈殿の洗浄は,新しいろ液が硝酸銀溶液によって乳白色を呈しなくなるまで少量の温水で約10回程度

繰り返す(13)。b)〜d)で使用する温水は200 mLを超えてはならない。 

注(13) 200 mL以内で塩素イオンのなくなるように効果的な洗浄を行わなければならない。例えば,漏

斗中に溶液が残っているのに,その上に新しい温水を注ぐのは洗浄効果を低下させることにな

る。 

7.8 

沈殿の強熱及びひょう量 沈殿の入ったろ紙をあらかじめ恒量にしたるつぼに移し水分がなくなる

まで低い温度で乾燥する。ろ紙は,燃えないように注意して炭化させた後,次第に温度を上げて灰化した

後,750〜800 ℃で20分間強熱する。次に乾燥剤を用いないデシケータ中で室温まで放冷した後,0.1 mg

のけたまで質量をはかる。この操作は,恒量になるまで繰り返し,この質量から空のるつぼの質量を差し

引いて硫酸バリウムの質量を求める。 

7.9 

空試験 試料を用いないで7.1〜7.8と同様の操作を行う。 

8. 計算方法 硫黄分は次の式によって算出し,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.01に丸める。 

M

B

A

S

)

(

74

.

13

=

ここに, 

S: 硫黄分(質量%) 

A: 硫酸バリウムの質量(g) 

B: 空試験における硫酸バリウムの質量(g) 

M: 試料のはかり採り量(g) 

9. 精度 この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。ただし,塩素分

2質量%以上を含む試料には適用しない。 

備考 試験結果がこの許容差を外れた場合は,JIS Z 8402-6によって処理する。 

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K 2541-5:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間に同一試料を2回試験し

たとき,試験結果の許容差を表2に示す。 

b) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して求

めた2個の試験結果の差の許容差を表2に示す。 

表 2 精度 

単位 質量% 

室内併行許容差 

室間再現許容差 

0.02+0.02X 

0.05+0.05X 

備考 表中のXの値は試験結果の平均値である。 

10. 試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。 

a) 試料名,採取場所及び採取年月日 

b) 日本工業規格番号:JIS K 2541-5 

c) 8.によって得られた結果 

d) 特記事項 

K 2541-5:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書(規定)誘導結合プラズマ発光法 

1. 適用範囲 この附属書は,硫黄分0.05質量%以上含有する潤滑油中の硫黄分を誘導プラズマ発光法に

よって定量する方法について規定する。 

備考1. この試験方法は,試料中に添加されている粘度指数向上剤の種類によっては試験結果が低く

なることがある。 

2. この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用方法をすべて

にわたって規定しているわけではないので,この試験方法の使用者は試験に先立って,適切

な安全上及び健康上の禁止事項を決めておかなければならない。 

2. 引用規格 引用規格は,本体2.による。 

3. 試験の原理 試料を灯油で一定量に希釈したのち,最適条件に調整した誘導結合プラズマ(ICP)発

光分析装置で発光強度を測定し,あらかじめ作成した検量線から試料中の硫黄分を求める。 

4. 試薬 試薬は,次による。 

a) 灯油 硫黄分20質量ppm以下のもの。 

備考 ロットによって硫黄分濃度が異なる場合があるので試験溶液及び検量線作成用標準液(検量線

用ブランク液を含む。)の調製は,同一ロットの灯油を用いる。 

b) 基油 JIS K 9003に規定する流動パラフィン又はこれに準じたもので,硫黄分1質量ppm以下のもの

を用いる。 

c) 硫黄分認証標準物質(2質量%レベル) JIS Q 0034及びJIS Q 0035に従って認証されたもの。 

参考 社団法人石油学会から供給されている。 

d) アルゴンガス JIS K 1105に規定するもの。 

e) 窒素ガス JIS K 1107に規定するもの。 

5. 試験器 試験器は,次による。 

a) 誘導結合プラズマ発光分析装置 JIS K 0116に適合した波長固定形,波長走査形及びこれらの複合形

で,光電測光法による測定が可能なもの。また,光路を真空又は不活性ガス置換するなどの機能をも

ち,紫外領域の測定が可能なもの。 

b) 全量フラスコ JIS R 3505に規定する全量フラスコ100 mLのもの。 

c) 天びん 0.1 mgまでひょう量できるもの。 

6. 誘導結合プラズマ発光分析装置の調整 装置の調整は,次による。 

a) プラズマガス,補助ガス,キャリヤーガスを誘導結合プラズマ発光分光分析装置の最適条件に設定す

る。 

b) 励起源部を作動し,プラズマを点灯する。 

c) 灯油をプラズマ中に噴霧し,高周波出力,反射波出力などを最適化する。 

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K 2541-5:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 分析線182.04 nmを設定するとともに,積分回数,測定回数,測光位置,スリット幅などを誘導結合

プラズマ発光分析装置の最適条件に設定する。 

7. 試料の採取方法及び調製方法 JIS K 2251に規定する一次試料採取方法及び二次試料調製方法又はそ

れに準じた方法によって採取及び調製する。 

8. 試験の手順 試験の手順は,次による。 

a) 検量線用標準液の調製 検量線用標準液の調製は,次による。 

1) 全量フラスコ100 mLを4個用意し,硫黄分認証標準物質0.1 g,0.2 g,0.5 g,及び1.0 gを0.1 mg

のけたまではかり採る。次いで,これらに基油0.9 g,0.8 g及び0.5 gをはかり採り,硫黄分認証標

準物質1.0 gをはかり採った全量フラスコには基油を加えず,灯油を標線まで加える。この溶液を

20 μg/mL,40 μg/mL,100 μg/mL及び200 μg/mLレベルの検量線用標準液とする。 

2) 全量フラスコ100 mLに基油1.0 gをはかり採り,灯油を標線まで加える。この溶液を0 μg/mL検量

線用標準液とする。 

b) 試験溶液の調製 試料をよく振り混ぜたのち,全量フラスコ100 mLにその1 gを0.1 mgのけたまで

はかり採り,灯油で標線まで希釈する。この溶液を試験溶液とする。 

備考1. 希釈倍率は,硫黄分が低濃度の場合に検量線の中心近くになるように40倍以上であれば使用

できる。ただし,疑義が生じた場合は100倍希釈とする。また,検量線用標準液も基油を加

え,同じ希釈倍率にする。 

2. 硫黄分予想濃度が2質量%を超える試料は,試料はかり採り量を1 gより少なくし,その減

少分は基油を加えることによって,測定できる。 

c) 発光強度の測定 発光強度の測定は,次による。 

1) 6.に従って最適条件に調整した誘導結合プラズマ発光分析装置を用い,検量線用標準液及び試験溶

液をプラズマトーチ中に順次噴霧して硫黄の発光強度を測定し,記録する。 

2) 検量線用標準液の発光強度と硫黄分(μg/mL)の検量線を作成する。 

3) 試験溶液の発光強度から検量線を用いて試験溶液の硫黄分(μg/mL)を求める。 

備考 多数の試料を連続して測定する場合は,一定時間ごと又は一定試料数ごとに検量線用標準液を

測定し,装置が正確に校正されていることを確認する。 

9. 計算及び結果 計算及び結果は,次による。 

試料中の硫黄分は次の式によって算出し,JIS Z 8401の規定によって,丸めの幅0.01に丸める。ただし,

0.05質量%未満の場合は,0.05質量%未満とする。 

000

10

×

×

=W

M

A

C

ここに, 

C: 試料中の硫黄分(質量%) 

A: 検量線から求めた試験溶液の硫黄濃度(μg/mL) 

M: 試験溶液の全量(mL) 

W: 試料のはかり採り量(g) 

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11 

K 2541-5:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

10. 精度 この試験法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次のとおりである。ただし,

硫黄分が2質量%を超える試料についてはこの精度は適用しない。 

備考 この許容差を外れた場合は,JIS Z 8402-6によって処理する。 

a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間に同一試料を2回試験し

たとき,試験結果の差の許容差を附属書表1に示す。 

b) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して求

めた2個の試験結果の差の許容差を附属書表1に示す。 

附属書表 1 精度 

単位 質量% 

硫黄分(質量%) 

室内併行許容差 

室間再現許容差 

0.05以上 2.0以下 

0.03X+0.001 

0.06X+0.007 

備考 表中のXの値は,試験結果の平均値である。 

11. 試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。 

a) 試料名,採取場所及び採取年月日 

b) 日本工業規格番号:JIS K 2541-5 附属書 

c) 9.によって得られた結果 

d) 特記事項