K 2541-2:2003
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,石油連盟(PAJ)から,工業標準原案を具して
日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した
日本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS K 2541の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 2541-1 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第1部:酸水素炎燃焼式ジメチルスルホナゾⅢ滴
定法
JIS K 2541-2 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第2部:微量電量滴定式酸化法
JIS K 2541-3 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第3部:燃焼管式空気法
JIS K 2541-4 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第4部:放射線式励起法
JIS K 2541-5 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第5部:ボンベ式質量法
JIS K 2541-6 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第6部:紫外蛍光法
JIS K 2541-7 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第7部:波長分散蛍光X線法(検量線法)
K 2541-2:2003
(2)
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目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 試験の原理 ····················································································································· 2
4. 試薬 ······························································································································ 2
5. 試験器 ··························································································································· 3
6. 試験器の準備 ·················································································································· 5
7. 装置の点検と検量線の作成 ································································································ 5
8. 試料の採取方法及び調製方法 ····························································································· 7
9. 試料の測定 ····················································································································· 7
10. 計算方法 ······················································································································ 8
11. 結果の表し方················································································································· 8
12. 精度 ···························································································································· 8
13. 試験結果の報告 ············································································································· 9
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日本工業規格 JIS
K 2541-2:2003
原油及び石油製品−硫黄分試験方法
第2部:微量電量滴定式酸化法
Crude oil and petroleum products−Determination of sulfur content
Part 2: Oxidative microcoulometry
1. 適用範囲 この規格はガソリン,灯油及び軽油中の硫黄分1〜1 000質量ppmを微量電量滴定式酸化
法によって定量する方法について規定する。
備考1. 窒素が0.1質量%以上又は塩素が1.0質量%以上含む試料は,この分析法を妨害するが,滴定
セルの電解液にアジ化ナトリウムを添加することによって妨害を除くことができる。しかし,
臭素及び有機金属化合物を約500質量ppm含む試料には適用できない。
2. 硫黄分が200質量ppm以上の試料は,試料をイソオクタン,トルエンなどで50質量ppm程
度まで希釈して測定することができる。
3. この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用方法をすべて
に規定しているわけではないので,この試験方法の使用者は試験に先立って,適切な安全上
及び健康上の禁止事項を決めておかなければならない。
参考1. この試験方法は2000年に提案されたISO/DIS 16591 Petoroleum products−Determination of
sulfur content−Oxidative microcoulometry methodを参考にして作成した。
2. この規格群には,参考表1に示す試験方法がある。
参考表 1 試験方法の種類
規格群
試験方法の種類
適用油種(例)
測定範囲
K 2541-1
酸水素炎燃焼式ジメチルスルホナゾⅢ滴
定法
自動車ガソリン,灯油,軽油
1〜10 000質量ppm
K 2541-2
微量電量滴定式酸化法
自動車ガソリン,灯油,軽油
1〜1 000質量ppm
K 2541-3
燃焼管式空気法
原油,軽油,重油
0.01質量%以上
附属書(参考)燃焼管式酸素法
K 2541-4
放射線式励起法
原油,軽油,重油
0.01〜5質量%
K 2541-5
ボンベ式質量法
原油,重油,潤滑油
0.1質量%以上
附属書(規定)
誘導結合プラズマ発光法
潤滑油
0.05質量%以上
K 2541-6
紫外蛍光法
自動車ガソリン,灯油,軽油
3〜500質量ppm
K 2541-7
波長分散蛍光X線法(検量線法)
自動車ガソリン,灯油,軽油
5〜500質量ppm
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS K 1101 酸素
2
K 2541-2:2003
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JIS K 2249 原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表
JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8680 トルエン(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 9501 アジ化ナトリウム(試薬)
JIS K 9703 2,2,4-トリメチルペンタン(試薬)
JIS Q 0034 標準物質生産者の能力に関する一般要求事項
JIS Q 0035 標準物質の認証−一般的及び統計学的原則
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的
な使い方
3. 試験の原理 試料を加熱した燃焼管に導入し,酸素と不活性ガス気流中で燃焼させる。燃焼生成した
二酸化硫黄は,電解液に含まれる三よう化物イオンと反応する。消費された三よう化物イオンは,電量滴
定によって補充される。このときに消費された電気量から硫黄分を求める。反応は次のように進む。
I3−+SO2+H2O→SO3+3I−+2H+
3I−→I3−+2e−
4. 試薬 試薬は,次による。
a) 酸素 JIS K 1101に規定するもの。
b) 不活性ガス 純度99.99容量%以上のヘリウム又はアルゴン。
c) 電解液 JIS K 8913に規定するよう化カリウム,JIS K 9501に規定するアジ化ナトリウム(1)及びJIS K
8355に規定する酢酸の所定量(2)を水で溶解し,全量を1 000 mLとしたもの。
注(1) アジ化ナトリウムは,皮膚に対して非常に毒性が高い。アジ化ナトリウムを扱うときは,いつ
も保護服を着用する。結晶性アジ化ナトリウムは,加熱,衝撃,摩擦などの条件下では爆発的
に分解するので,これらの条件が起こらないように十分な注意を払う必要がある。
(2) 各試薬の量は,使用する試験器によって異なる。一例を表1に示す。
表 1 電解液中の各試薬の量(一例)
試薬名
縦形試験器
横形試験器
よう化カリウム g
5.0
0.5
アジ化ナトリウム g
0.5
0.6
酢酸 mL
6
5
d) 硫黄化合物 次の1)〜4)に示す化合物が適切であり,硫黄含有量は計算値が与えられている。これ
らの化合物の異性体を含む純度が99 %以上のものを用いる。
1) チオフェン 硫黄含有量38.10質量%
2) ジブチルスルフィド(DBS) 硫黄含有量21.92質量%
3) ジベンゾチオフェン(DBT) 硫黄含有量17.40質量%
4) チオナフテン(TNA)(ベンゾチオフェン) 硫黄含有量23.89質量%
e) 硫黄標準溶液(250 ppm) 質量既知の全量フラスコ100 mLに,ジブチルスルフィド0.98 gを0.1 mg
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K 2541-2:2003
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のけたまではかり採り,JIS K 8680に規定するトルエンを加えて溶解し,更に,トルエンを標線まで
加えた後,その質量をはかる。次いで,この溶液25 mLを全量ピペットで全量フラスコ250 mLに取
り,トルエンを標線まで加えたもの。
この硫黄標準値は,次の式によって算出し,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.1に丸める。
5
10
2
219
.0
×
=
T
M
A
ここに,
A: 硫黄標準溶液の硫黄分(質量ppm)
M: ジブチルスルフィドはかり採り量(g)
T: 全量フラスコ100 mLにはかり採ったジブチルスルフィドとト
ルエンの質量(g)
備考 ジブチルスルフィド以外の硫黄化合物を用いて硫黄標準溶液(250 ppm)を調製する場合のはか
り採り量は,チオフェンで0.57 g,ジベンゾチオフェンで1.25 g,チオナフテンで0.91 gである。
f)
硫黄標準溶液 試料の予想される硫黄濃度の範囲をカバーできるように硫黄標準溶液(250質量ppm)
をJIS K 8680に規定するトルエンで希釈して,一連の硫黄標準溶液を調製する。少なくとも,各硫黄
濃度のレベルに対して,三つの標準溶液が必要である。
g) 硫黄分認証標準物質 JIS Q 0034又はJIS Q 0035に従って認証されたもの。
参考 社団法人石油学会から供給されている。
h) 水 JIS K 0557に規定するA3のもの。
5. 試験器 試験器はa)〜g)からなり,その構成の一例を図1に示す。
4
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縦形試験器(一例)
図 1 試験器の構成(一例)
a) 燃焼炉 燃焼管の入口部,中央部及び出口部を個別に加熱調節できるもの。
横形試験器(一例)
5
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b) 燃焼管 石英製で,試料を酸素と不活性ガス気流中で燃焼させることができるもの。
c) 滴定セル 検出電極,参照電極及び一対の発生電極を内蔵したマグネチックスターラ付きのガラス製
電解液槽。検出電極と参照電極は,二酸化硫黄の吸収によって生じた三よう化物イオンの濃度変化を
検出できるもの。発生電極はこの濃度変化量に相当する三よう化物イオンを発生できるもの。
備考 マグネチックスターラのかくはん速度は,電極をきずつけないように設定する。わずかに渦が
できる程度で十分である。
参考 滴定セルはアースし,電気的妨害を遮断することが望ましい。特に,低硫黄試料測定時に有効
である。
d) 微量電量計 検出電極,参照電極の間にあらかじめ設定した電位差と,滴定中の両電極間の電位差と
を連続的に比較し,差があればこれを補償するのに必要な電流を発生電極に供給できるもの。
e) 硫黄量表示器 発生電極に供給された電気量を硫黄量に換算して表示又は記録できるもの(3)。
注(3) ピーク面積積分値として記録できるものでもよい。
f)
マイクロシリンジ 容量10 μL,20 μL,50 μL及び100 μLのもの。
g) 試料ボート 石英製又は白金製のもの。
6. 試験器の準備 試験器の準備は,次による。
a) 試験に先立ち燃焼管及びガス導入管を,次によって確認する。
1) 燃焼管 燃焼管及び石英ウ−ルは,石英の劣化や汚れを点検し,清浄でない場合は,清掃又は取り
替えた後,十分に空焼きする。
2) ガス導入管 ガス導入管に劣化や汚れのないことを点検し,清浄にする。
b) 電解液で滴定セル内を洗浄した後,再び電解液を各電極が十分に浸る程度に入れる。
c) 検出電極,参照電極及び発生電極のそれぞれの端子を微量電量計の回路に接続する(4)。
注(4) 縦形試験器の場合は,この段階で終点電位を設定する。
d) 燃焼管出口部の端に滴定セルのガス導入管を連結し,テープヒータに通電し,滴定セルのガス導入管
を100 ℃以上に保温する。
e) 酸素及び不活性ガスの流量,燃焼炉の温度,微量電量計などを測定条件に設定する。測定条件の一例
を表2に示す。
表 2 測定条件(一例)
項目
縦形試験器
横形試験器
酸素流量
mL/min
320
160
不活性ガス流量
mL/min
80
40
燃焼炉温度
入口部
℃
850
700
中央部
℃
950
900
出口部
℃
300
800
微量電量計
バイアス電圧
mV
−
160
終点電位
mV
250
−
ゲイン
目盛2〜3
低(約200)
7. 装置の点検と検量線の作成
a) 予想される硫黄含有量の範囲をカバーできるように硫黄標準溶液又は硫黄標準物質を選ぶ。
b) 硫黄標準溶液のはかり採り量を表3から選び,マイクロシリンジに採取し,次の方法によって燃焼管
6
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へ導入する。
表 3 硫黄標準溶液の種類及びはかり採り量
硫黄標準溶液の種類
はかり採り量 μL
縦形試験器
横形試験器
5質量ppm
50〜100
10〜30
50質量ppm
5〜10
250質量ppm
20〜 50
2〜 5
1) 縦形試験器の場合 マイクロシリンジの針先を試料注入口を通して燃焼管入口部まで差し込み,硫
黄標準溶液を1.0〜1.2 μL/s (5)で注入し,注入量を正確(6)に読み取る。
2) 横形試験器の場合 マイクロシリンジの針先を試料注入口を通し,硫黄標準溶液を試料ボートに注
入し,注入量を正確(6)に読み取る。次いで試料ボートを燃焼管入口部手前まで移動し,そのまま20
〜60秒間保持(7)した後,燃焼管入口部へ送入する。
注(5) 試料を一定速度で注入するにはディスペンサ又は自動注入器を用いるとよい。
(6) 硫黄標準溶液の注入前後にマイクロシリンジ内に同量の空気を吸引し,その読みの差から注入
量を求めると,針先からの揮散量を補正した正しい値が求められる。
(7) 試料ボートを燃焼管入口部手前で保持しないで挿入すると,試料が不完全燃焼して正確な測定
値が得られない。
備考 横形試験器でも直接硫黄標準溶液を注入する場合には,1)の操作による。ただし,注入速度は
0.2〜0.3 μL/sとする。
c) 硫黄ピークの形状をチェックする。
1) 硫黄ピークは,正しい形状をしていなければならない[図2 B)]。
2) ピークがテーリングしている場合[図2 A)]は,ゲイン又はバイアスコントロールを少しずつ上げ
ていって,ピークが正しい形状をもつように調節する。
3) ピークがオーバーシュートした場合[図2 C)]は,ゲイン又はバイアスコントロールを少しずつ下
げていってピークが正しい形状をもつように調節する。
A)テーリング B)正常ピーク C)オーバーシュート
図 2 ピーク形状
d) 次の式によって回収係数を算出する。回収係数が0.65〜0.95に入らない場合は試験そのものが疑わし
いので,装置のパラメータ,装置チェックし,硫黄標準溶液を再調製し再測定する。
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
S
C
D
V
A
F
×
×
=
3
10
ここに,
F: 回収係数
A: 検出硫黄量(μg)
V: 硫黄標準溶液の注入量(μL)
D: 硫黄標準溶液の密度(g/cm3)
Cs: 硫黄標準溶液の硫黄標準値(質量ppm)
e) 硫黄標準溶液の硫黄量表示器の読みを記録する。b)〜c)の操作を3回繰り返し,各硫黄標準溶液の
硫黄量表示器読みの平均を求める。
f)
各硫黄標準溶液の系列について,硫黄の質量(μg)に対して各硫黄標準溶液の硫黄量表示器読みの平
均をプロットする。
g) 検量線を毎日又は10試料測定するごとにチェックして,操作条件の変わらないことを確認する。
h) 試験操作及び試験器が正常であることを確認するため,4. e)〜f)に規定する硫黄標準溶液又は4. g)
に規定する硫黄分認証標準物質を9.の手順によって測定し,標準値又は認証値との偏りを確認する。
1) 1回の試験の場合は1回の試験結果と標準溶液の標準値又は認証標準物質の認証値との差は,次の
許容範囲になければならない。
2
R
x
≤
−μ
ここに,
x: 試験結果(質量ppm)
μ: 硫黄標準溶液の標準値又は硫黄分認証標準物質の認証値
(質量ppm)
R: この規格の室間再現許容差(質量ppm)
2) n回の試験の場合はn回の試験結果の平均値と標準溶液の標準値又は認証標準物質の認証値との差
は,次の許容範囲になければならない。
2
1R
xbar
≤
−μ
ここに, xbar: 試験結果の平均値(質量ppm)
μ: 硫黄標準溶液の標準値又は硫黄分認証標準物質の認証値
(質量ppm)
R1:
)
/1
1(
2
2
n
r
R
−
−
(質量ppm)
R: この規格の室間再現許容差(質量ppm)
r: この規格の室内併行許容差(質量ppm)
n: 試験回数
3) 試験結果が許容範囲内にあることを確認する。許容範囲内になければ,試験器を点検し,再試験を
する。
8. 試料の採取方法及び調製方法 JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料調製方法又は
それに準じた方法によって,採取及び調製する。
9. 試料の測定 試料の測定は,次による。
a) 測定の手順 測定の手順は,次による。
1) 直接測定する場合 試料の適量(8)をマイクロシリンジに採り7. b)の操作に従って燃焼管に導入し
8
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た後,ピーク面積値を読み取る。この操作を同一試料で2回繰り返す。
注(8) 試料の予想濃度から判断して,検量線範囲のほぼ中央になるように,試料をはかり採る。
2) 希釈測定する場合 試料を1 mgのけたまで正確にはかり採り,JIS K 9703に規定する2,2,4-トリメ
チルペンタン又はJIS K 8680に規定するトルエンで約50質量ppmに希釈し,希釈試料溶液を調製
する。ただし,試料が完全に溶解しない場合はトルエンだけでもよい。この希釈試料溶液を1)と
同様の操作を行って硫黄分を測定する。
参考 硫黄分概略値が200質量ppm未満の試料は直接測定するとよく,硫黄分概略値が200質量ppm
超える試料は,希釈測定するとよい。
10. 計算方法 計算方法は,次による。
a) 試料を直接測定した場合 検量線から硫黄量を読み取り,次の式によって硫黄分を整数以下まで算出
する。
D
V
B
S
×
=
3
10
ここに,
S: 硫黄分(質量ppm)
B: 検量線から読み取った硫黄量(μg)
V: 試料注入量(μL)
D: 試料の密度(9)(g/cm3)
注(9) あらかじめJIS K 2249によって室温で測定しておく。
b) 希釈測定した場合 検量線から硫黄量を読み取り,次の式によって硫黄分を整数以下まで算出する。
H
V
G
B
S
×
×
=
3
10
ここに,
S: 硫黄分(質量ppm)
B: 検量線から読み取った硫黄量(μg)
G: 希釈試料溶液の全量(mL)
V: 試料注入量(μL)
H: 試料のはかり採り量(g)
c) a)又はb)で計算した2個の結果が表4の室内併行許容差以内の場合は,これを平均し11.によって
報告する。室内併行許容差を超えた場合は,再度9. a)の操作を行う。
11. 結果の表し方 JIS Z 8401の規定によって丸めの幅1に丸める。
12. 精度 この試験法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。
備考 この許容差を外れた場合は,JIS Z 8402-6によって処理する。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間に同一試料を2回試験し
たとき,試験結果の差の許容差を表4に示す。
b) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して求
めた2個の試験結果の差の許容差を表4に示す。
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表 4 精度
単位 質量ppm
硫黄分
室内併行許容差
室間再現許容差
1以上 10未満
1
2
10以上 30未満
2
4
30以上1 000未満
0.067S
0.133S
備考 S:試験結果の平均値
13. 試験結果の報告
a) 試料名,採取場所,及び採取年月日
b) 日本工業規格番号:JIS K2541-2
c) 11.によって得られた結果
d) 特記事項