K 2439:2006
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本芳香
族工業会(JAIA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの
申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 2439:1983は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS K 2439には,次に示す附属書がある。
附属書(参考)“有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律”で規制対象となるクレオソート油
K 2439:2006
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 種類 ······························································································································ 1
4. 品質 ······························································································································ 1
4.1 クレオソート油 ············································································································· 1
4.2 加工タール ··················································································································· 2
4.3 タールピッチ ················································································································ 2
5. 試験方法 ························································································································ 2
6. 表示 ······························································································································ 2
附属書(参考)“有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律”で規制対象となるクレオソート油 ··· 3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 2439:2006
クレオソート油・加工タール・タールピッチ
Creosote oil・Prepared tar・Tar pitch
1. 適用範囲 この規格は,コールタール製品としてのクレオソート油,加工タール及びタールピッチに
ついて規定する。
なお,有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律で規制対象となるクレオソート油については,
附属書に示す。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 2425 クレオソート油・加工タール・タールピッチ試験方法
3. 種類 クレオソート油,加工タール及びタールピッチは,品質によってそれぞれ次の種類に区分する。
a) クレオソート油 1号,2号,3号
b) 加工タール
1) 精製タール 1号,2号,3号
2) 無水タール
c) タールピッチ
1) 一般用 中ピッチ,硬ピッチ
2) ピッチコークス用 中ピッチ,硬ピッチ
4. 品質
4.1
クレオソート油 クレオソート油の品質は,5.(試験方法)によって試験したとき,表1による。
表 1 品質
種類
1号
2号
3号
密度(40 ℃) g/cm3
1.01以上
1.01以上
1.05以上
水分 %(質量分率)
3以下
エングラー度(40/20 ℃)
2.0以下
2.5以下
−
蒸留試験
(脱水試料につき)
%(体積分率)
235 ℃までの留出量
25以下
−
−
235〜315 ℃間の留出量
40以上
−
−
315 ℃までの留出量
50以上
45以上
−
360 ℃までの留出量
−
−
60以上
235〜315 ℃留分の密度(40 ℃) g/cm3
1.02以上
−
−
トルエン不溶分(脱水試料につき) %(質量分率)
0.5以下
1.0以下
2.5以下
流動性試験(32 ℃,2h)
顕著な固形物を
生成しない
−
−
2
K 2439:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.2
加工タール 加工タールの品質は,5.(試験方法)によって試験したとき,表2による。
表 2 品質
種類
精製タール
無水タール
1号
2号
3号
密度(15 ℃) g/cm3
1.10〜1.25
1.10〜1.30
1.10〜1.25
水分 %(質量分率)
1.0以下
2.0以下
0.3以下
エングラー度(50/20 ℃)
15以下
20以下
25以下
―
トルエン不溶分(脱水試料につき) %(質量分率)
15以下
25以下
15以下
蒸留試験(脱水試料につき)
%(質量分率)
230 ℃までの留出量
5以上
5以下
5以上
300 ℃までの留出量
20以上
25以下
20以上
4.3
タールピッチ タールピッチの品質は,5.(試験方法)によって試験したとき,表3による。
表 3 品質
種類
一般用
ピッチコークス用
中ピッチ
硬ピッチ
中ピッチ
硬ピッチ
軟化点(環球法) ℃
70〜85
85以上
70〜85
85以上
灰分 %(質量分率)
0.4以下
0.2以下
5. 試験方法 試験方法は,JIS K 2425による。
6. 表示 クレオソート油,加工タール及びタールピッチの容器には,次の事項を表示しなけれはならな
い。ただし,大形容器(タンクローリー,貨車など)の場合には,送り状に表示してもよい。
a) 製品名及び種類
b) 製造業者名又はその略号
c) 製造年月又はその略号
3
K 2439:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(参考)“有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律”
で規制対象となるクレオソート油
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
1. クレオソート油の使用に関しての規制 クレオソート油の発がん性は,IARCのグループ2A(ヒトに
対しておそらく発がん性がある。)と評価されている。近年,クレオソート油に含有されているベンゾ[a]
ピレンに対する規制の動きがあり,EUでは2003年6月30日から,クレオソート油の使用に関して次の
規制が実施された。
a) 一般消費者が,クレオソート油による木材処理を実施すること,及びクレオソート油で処理された木
材を,一般消費者向けに販売することを禁止する。
b) 工業用又は業務用による木材処理は許可される。ただし,クレオソート油の純度及び用途は,次のと
おりである。
1) クレオソート油の純度はベンゾ[a]ピレン残留濃度は質量分率0.005 %,また水溶性フェノール量
は質量分率3 %以下でなければならない。
2) 販売は1こん(梱)包20 L以下で,工業用又は業務用以外の一般消費者に販売してはならない。
3) 処理木材の用途は,鉄道,電柱及び電信柱,塀,農業用の支柱及び水路に限る。
c) 工業用途の使用禁止場所及び用途
1) 建築物の内部
2) おもちゃ
3) 遊園地(遊び場)
4) 公園,庭園,野外レクリエーション施設及びレジャー施設で皮膚接触するリスクがあるもの
5) アウトドア用テーブルのような庭用調度の製造
6) 栽培目的の容器,人又は動物が食する製品(中間品・未加工品を含む。)と接触の可能性がある容器
一方,国及び地方公共団体では,建築仕様書からクレオソート油を削除する動きが増加しつつある。こ
のような動きを受けて,厚生労働省は“有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律”第2条第2項
の物質を定める政令の一部を改正し,平成16年6月15日から一般消費者向けのクレオソート油について,
規制を開始した。
2. “有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律”によるクレオソート油の規制 “有害物質を含
有する家庭用品の規制に関する法律”によるクレオソート油の規制は,次のとおりである。
a) クレオソート油及びその混合物に含まれるジベンゾ[a,h]アントラセン,ベンゾ[a]アントラセン
及びベンゾ[a]ピレンは,それぞれ10 μg/g以下とする。
b) クレオソート油及びその混合物で処理された家庭用の防腐木材及び防虫木材に含まれるジベンゾ[a,
h]アントラセン,ベンゾ[a]アントラセン及びベンゾ[a]ピレンは,3 μg/g以下とする。