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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 2438-1990 

ピリジン類 

(ピリジン・ピコリン・キノリン) 

Pyridine Bases 

(Pyridine・Picoline・Quinoline) 

FW=79.10 FW=93.13 FW=129.16 

C6H7N 

1. 適用範囲 この規格は,工業用のピリジン,ピコリン及びキノリン(以下,ピリジン類という。)につ

いて規定する。 

備考1. この規格値の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位であって規格値である。 

2. ピリジン類は,皮膚,眼などに対する刺激及び臭気が強く,また,引火爆発性の物質である

ので取扱いには,十分な注意が必要である。 

引用規格及び関連規格:22ページに示す。 

2. 種類 種類は,表1のとおりとする。 

表1 種類 

種類 

主成分 

純ピリジン 

ピリジン 

α−ピコリン 

ピコリン 

高沸点ピコリン 
分留キノリン 

キノリン 

3. 品質 ピリジン類の品質は,4.によって試験したとき,次の表2のとおりとする。 

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K 2438-1990  

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表2 品質 

種類 

項目 

純ピリジン 

α−ピコリン 

高沸点ピコリン 

分留キノリン 

密度 (20℃) g/cm3 

0.980〜0.988 

0.940〜0.948 

0.940〜0.955 

1.086〜1.096 

比重 (15/4 ℃) 

0.985〜0.993 

0.945〜0.953 

0.945〜0.960 

1.090〜1.100 

水分 % 

0.5以下 

ピリジン % 

99以上 

− 

− 

− 

α−ピコリン % 

− 

98以上 

− 

− 

キノリン % 

− 

− 

− 

95以上 

蒸留試験 

(脱水試料につき) 

− 

− 

140〜145℃の留出量
95v/v%以上 

− 

色 

ハーゼン標準比色液

20番以下 

無色〜うすい褐色 無色〜うすい黄色 

うすい褐色〜褐色 

備考 

密度又は比重のいずれかを適用する。 

4. 試験方法 

4.1 

一般事項 試験に共通する一般事項は,JIS K 0050(化学分析方法通則)によるほか,次による。 

4.1.1 

試薬,溶液の濃度を%で示したものは,特に規定のない限り,質量百分率を意味する。 

4.1.2 

液面で目盛を読むときは,次の区分によって,表面張力によって上昇した液面の上縁又は下縁で読

み取る。 

(1) 浮きばかりの場合 上縁 

(2) メスシリンダー及びその他の場合 下縁 

4.1.3 

浮きばかり及び温度計は,あらかじめ校正したものを用いる。 

備考 単に溶液と記し,特に溶媒を示さないものは,すべて水溶液を示す。 

4.2 

試料の採取及び調製 

4.2.1 

試料の採取 試料の採取は,JIS K 2420(芳香族製品及びタール製品試料採取方法)によって行い,

これを代表試料とする。ただし,貯槽などから採取する場合,内容物が十分に均一となっているときは,1

か所から1回採取した試料を代表試料としてもよい。 

また,ピリジン類は吸湿性,着色性があるので,試料用容器には,遮光した密栓容器を用いる。 

4.2.2 

試料の調製 代表試料を脱水しないまま,よく振り混ぜたものを試験に用いる。 

4.2.3 

脱水試料の調製 試料約300mlを,ガラス製共通すり合せ三角フラスコ500mlに取り,JIS K 8574

[水酸化カリウム(試薬)]に規定する水酸化カリウム約100gを加え,栓をする。次に,50〜60℃に加熱

し,ほぼ同温度に保ちながら5分間以上よく振り動かした後,30分間静置し,更に,同様の操作を3回繰

り返した後,上澄み液を取り脱水試料とする。 

4.3 

密度測定方法 密度測定方法は,次のいずれかによる。 

4.3.1 

第1法 4.4によって比重 (15/4℃) を測定し,次の式によって20℃における密度を算出する。 

99997

.0

)

5

(

×

×

=

k

d

D

ここに, D: 密度 (20℃) (g/cm3) 
 

d: 比重 (15/4℃)  

k: 比重−温度補正係数 (℃−1) 

kの値 (1) は,次による。 

  種類 

 k 

 純ピリジン 

0.001 01 

 α−ピコリン 

0.000 93 

K 2438-1990  

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 高沸点ピコリン 

0.000 91 

 分留キノリン 

0.000 76 

0.999 97: 4℃における水の密度 (g/cm3) 

注(1) kの値には,浮きばかり自身の温度補正を含んでいない。比重 (15/4℃) の浮きばかりの温度補

正値は,0.000 025×d× (15−t) で与えられるが,この補正値はかなり小さいので,無視して差

し支えない。ここで,tは測定温度 (℃) とする。 

4.3.2 

第2法 JIS K 2249(原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表)の4.3振

動式密度計法によって,20℃における試料の密度を求める。ただし,測定温度が20℃以外の場合は,次の

式によって密度 (20℃) を算出する。 

)

20

(

20

×

+

=

t

k

D

D

t

ここに, D20: 密度 (20℃) (g/cm3)  
 

Dt: t℃における測定密度 (g/cm3)  

k: 密度−温度補正係数 (g/cm3℃)  

 kの値は,次による。 

  種類 

 k 

 純ピリジン 

0.001 01 

 α−ピコリン 

0.000 93 

 高沸点ピコリン 

0.000 91 

 分留キノリン 

0.000 76 

t: Dtの測定温度 (℃) 

4.4 

比重測定方法 

4.4.1 

要旨 浮きばかりを用いて,試料の比重を測定し,比重−温度補正係数を用いて比重 (15/4℃) を

求める。 

4.4.2 

器具 器具は,次のとおりとする。 

(1) シリンダー 流し出し口付ガラス製シリンダーで,内径約40mm,高さ約350mmのもの。 

(2) 浮きばかり JIS B 7525(比重浮ひょう)に規定する大型19本組(細分目盛0.001)の5〜7番のもの。 

(3) 温度計 棒状温度計で,0℃から100℃まで1℃ごとに目盛を刻んだもの,又はこれと同等以上の精度

のもの。 

4.4.3 

操作 操作は,次のとおり行う。 

(1) 試料をシリンダーに取り,静かに浮きばかりを浮かべ,そのまま約10分間静置させる。 

(2) 浮きばかりを約2目盛だけ沈め,手を放して浮きばかりが静止したとき,その目盛を読み取る(2)。 

(3) 浮きばかりを取り去り,直ちに温度計を入れてかき混ぜた後,温度計の指示位置がわずかに液面上に

現れるようにして,その示度を読み取り,これを測定時の試料温度とする。 

(4) 試料の量は,浮きばかりを入れたとき,その下端とシリンダー底との間が15mm以上になるように取

り,測定は10〜20℃で行う。 

注(2) 液中に約2目盛沈める操作は,浮きばかり首部のメニスカスを明りょうにするために行う。メニ

スカスが明りょうでない場合は,浮きばかりを洗浄しなければならない。 

また,測定の際,液中に首部を2目盛以上沈めると,それだけ付着液が増加し,浮きばかりの

質量が増すので注意する。 

4.4.4 

計算 比重は,次の式によって算出する。 

)

15

(

1

+

=

t

k

d

d

ここに, 

d: 比重 (15/4℃) 

d1: 測定比重 

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k: 比重−温度補正係数 (℃−1) 

kの値(1)は,4.3.1のkの値による。 

t: 測定温度 (℃) 

4.5 

水分定量方法 水分の定量は,カールフィッシャー法による定量滴定法又は電量滴定法のいずれか

による。この試験において共通する一般事項は,JIS K 0068(化学製品の水分試験方法)による。 

4.5.1 

容量滴定法 

(1) 要旨 容量滴定法は,よう素,二酸化硫黄,ピリジン又はそれに代わる塩基及びメタノール,クロロ

ホルムなどの有機溶剤を成分とするカールフィッシャー試薬が,水と定量的に反応することを利用す

る測定方法である。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(2.1) 試料採取器具 

(a) 注射器 

注射筒 ロック式 1〜10ml 

注射針 ロック式 外径1mm,長さ50〜70mm 

(b) ピペット 2〜20ml 

(c) ゴム栓 シリコーンゴム製丸型,直径13〜15mm,厚み5〜7mm 

(2.2) 化学はかり 0.1mgまで量れるもの。 

備考 適当な接続器具によって自動滴定装置と接続し,自動的に質量を入力できるものを用いる

と便利である。 

(2.3) 自動容量滴定装置 自動容量滴定装置は,滴定フラスコと自動ビュレットからなる滴定部とマイク

ロコンピューターによる滴定制御機能,データ処理機能及び終点検出機能をもつ測定制御部並びに

表示部から構成する。 

ガラス器具の連結部はすり合わせとし,グリース(カールフィッシャー試薬と反応したり,溶解

しないもの)を塗って大気からの吸湿を防ぐ。 

図1に,構成例を示す。 

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K 2438-1990  

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図1 自動容量滴定装置の構成例 

(2.4) 滴定フラスコ 滴定フラスコは,試料注入口,双白金電極,滴定ノズル及びシリカゲルなどの乾燥

剤を入れた乾燥管を備えた容量約100〜250mlのガラス製平底フラスコとし,かき混ぜ速度を適当

に調節できるマグネチックスターラーの上に置く。 

試料注入口は,パッキン付きのステンレス鋼又は四ふっ化エチレン樹脂製ストッパーをすり合わ

せ結合できる構造のもの。 

(2.5) 双白金電極 滴定液に浸した双白金電極に微弱な電流(交流又は直流)を流して分極を起こさせ,

カールフィッシャー試薬による滴定によってよう素がわずかに過剰となり,分極が復極するのを終

点として電気的に検出できるもの。 

(2.6) 自動ビュレット 自動ビュレットは,容量10ml又は20mlの自動切替弁付ピストンビュレットであ

って,パルスモーターによる最少排出量が0.01〜0.02mlのもの。 

(2.7) 乾燥用デシケーター シリカゲルなどの乾燥剤を入れたもの。 

(2.8) 水分調整用デシケーター JIS K 8514[臭化ナトリウム(試薬)]に規定する臭化ナトリウムに,約

10%の水を加えたものを入れたもの。 

(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(3.1) カールフィッシャー試薬 あらかじめ(4) (4.1)によって力価を標定し,その値が約3mgH2O/mlのも

の。 

備考 この試薬は,密封容器に入れて冷暗所に保存する。調製する場合は,JIS K 0068の2.1 (2) (d)

による。ただし,調製した場合は24時間以上経過後に標定しなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

また,力価は日時の経過とともに変化するので,使用の都度標定する。 

参考 市販のカールフィッシャー試薬を用いてもよい。 

(3.2) 酒石酸ナトリウム JIS K 8540[酒石酸ナトリウム二水和物(試薬)]に規定する酒石酸ナトリウム

の溶液から再結晶させ,結晶に付着した水分を除去し,水分調整用デシケーターに入れ,10〜30℃

において48時間以上保ったもの。 

(3.3) カールフィッシャー滴定用溶剤メタノール JIS K 8891[メタノール(メチルアルコール)(試薬)]

に規定するメタノール1 000mlを滴定フラスコに取り,JIS K 8876[マグネシウム末(試薬)]に規

定するマグネシウム末5gを加え,JIS K 8125[塩化カルシウム(水分測定用)(試薬)]に規定する

塩化カルシウムを入れた水分吸収管及び還流冷却器を滴定フラスコ上端に取り付けて,穏やかに加

熱する。必要なときは,JIS K 8920[よう素(試薬)]に規定するよう素0.5gを加えて反応を促進さ

せる。 

ガスの発生が停止した後,滴定フラスコ上部に凝縮器及び上記の水分吸収管を取り付けた捕集瓶

を連結して,メタノールを蒸留し,密封して保存する。 

なお,本品1ml中の水分は,0.2mg以下とする。 

参考 メタノールを主成分とする市販のカールフィッシャー滴定用溶剤を使用してもよい。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(4.1) カールフィッシャー試薬の標定 メタノール50mlを滴定フラスコに取り,これにカールフィッシ

ャー試薬を滴定終点まで正しく加えておく。次に,この溶液に水約50mgを0.1mgまで量って速や

かに加えるか,又は酒石酸ナトリウム約150mgを0.1mgまで量って加え,直ちによくかき混ぜなが

らカールフィッシャー試薬で終点まで滴定する。 

カールフィッシャー試薬1mlに対応する水の質量 (mg) (力価)は,次の式によって算出する。 

水を用いた場合

a

W

F=

酒石酸ナトリウムを用いた場合

a

Z

F

1.

230

0.

36

×

=

ここに, 

F: 力価 (mgH2O/ml) 

W: 水の質量 (mg) 

Z: 酒石酸ナトリウムの質量 (mg) 

a: 滴定に用いたカールフィッシャー試薬の容量 (ml) 

(4.2) 試料採取 試料採取は,注射器又はピペットのいずれかを用いて行う。 

(4.2.1) 注射器を用いる場合 

(a) 注射筒と注射針はあらかじめ洗浄し,乾燥した後,デシケーター中に保管する。 

(b) デシケーターから注射筒と注射針を取り出し,接続して速やかに注射針の先端をゴム栓に差し込む。 

(c) 密封容器中の試料の温度が室温になった後,その試料を振り混ぜて均一にし,密封容器の栓を開く。 

(d) 注射器のゴム栓を外し,ピストンを十分に押し下げてから,表3によって試料を手早く採取し,直

ちに注射針をゴム栓に差し込む。このとき,若干の気泡が注射筒に残っても差し支えない。 

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K 2438-1990  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表3 試料採取量 

予想水分 

0.1%未満 

0.1〜0.5% 

0.5〜1% 

試料採取量 10〜20ml 

5〜10ml 

2ml 

(e) (d) の操作を終了した後,直ちに注射器全体の質量を0.1mgまで量る。 

備考 注射器を試料で共洗いする必要のあるときは,注射針を試料に浸したままピストンを上下

させ,共洗いから試料採取までの操作をできるだけ短時間で終了させる。 

(4.2.2) ピペットを用いる場合 

(a) ピペットは,あらかじめ洗浄し,乾燥しておく。 

(b) 密封容器中の試料の温度が室温になった後,その試料を振り混ぜて均一にした後,密封容器の栓を

開ける。 

(c) 表1によって決めた量の試料を手早く採取し,標線を合わせる。 

備考 試料の容量から質量を求めるには,試料採取時の温度における密度を用いて,次の式によ

って算出する。 

試料の質量 (g) =密度 (g/ml) ×試料の容量 (ml) 

(4.3) 滴定 カールフィッシャー試薬による滴定は湿気を避け,これを標定したときの温度とほぼ同一の

温度で行う。 

(4.3.1) 前滴定 カールフィッシャー滴定用溶剤メタノール20〜50mlを,容量100〜250mlの滴定フラスコ

に入れ,カールフィッシャー試薬を用いて終点まで滴定し,滴定フラスコ内を無水状態にする。こ

のとき,消費されたカールフィッシャー試薬の量は,計算に用いないので読み取る必要はない。 

(4.3.2) 本滴定 

(4.3.2.1) 注射器を用いる場合 

(a) (4.2.1)によって採取した試料を,試料注入口から,(4.3.1)の操作で無水状態にした滴定フラスコ内に

注入する。 

(b) 注射針の先端を再びゴム栓で密封し,その質量を0.1mgまで量り,試料注入前後の注射器の質量差

から注入した試料の質量を求める。 

(c) 滴定フラスコ中の溶液をよくかき混ぜながら,カールフィッシャー試薬を用いて終点まで滴定する。 

(4.3.2.2) ピペットを用いる場合 

(a) (4.2.2)によって採取した試料を,(4.3.1)によって無水状態にした滴定フラスコの試料注入口を開けて

注入し,直ちに閉じる。 

(b) 滴定フラスコ中の溶液をよくかき混ぜながら,カールフィッシャー試薬を用いて終点まで滴定する。 

(c) 空試験は,(4.3.1)によって無水状態にした滴定フラスコの試料注入口を,試料注入に要した時間だ

け開けてから再び閉じる。その後,滴定フラスコ中の溶液を約1分間かき混ぜ,カールフィッシャ

ー試薬を用いて終点まで滴定する。 

(5) 計算 水分は,次の式によって算出し,小数点以下2けたに丸める。 

100

1000

)

(

×

×

×

=

S

B

V

F

W

ここに, W: 水分 (%) 
 

F: カールフィッシャー試薬の力価 (mgH2O/ml) 

V: 試料の滴定に用いたカールフィッシャー試薬の容量 (ml) 

S: 試料の質量 (g) 

B: 空試験に用いたカールフィッシャー試薬の容量 (ml) 

 (ピペットを用いた場合に限る。) 

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4.5.2 

電量滴定法 

(1) 要旨 よう素の代わりに,よう化物イオンを混合したカールフィッシャー試薬(電解液という。)に試

料を加え,電気分解に要する電気量を測定して水分を求める。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(2.1) 試料採取器具 4.5.1 (2) (2.1)に示すもの。ただし,ピペットは用いない。 

(2.2) 化学はかり 4.5.1 (2) (2.2)に示すもの。 

(2.3) 自動電量滴定装置 自動電量滴定装置は,双白金電極を備えた電解セルから成る滴定部と,マイク

ロコンピューターによる滴定制御機能,データ処理機能及び終点検出機能をもつ測定制御部並びに

表示部から構成される。ガラス器具の連結部はすり合わせとし,グリース(カールフィッシャー試

薬と反応したり,溶解しないもの)を塗って大気からの吸湿を防ぐ。図2に,構成例を示す。 

図2 自動電量滴定装置の構成例 

(2.4) 電解セル 容量約200mlのガラス製容器で,それぞれ白金網電極を備えた陽極室及び陰極室から成

り,両室は,セラミック,イオン交換膜などの隔膜で仕切られ,試料注入口はステンレス鋼又は四

ふっ化エチレン樹脂製ストッパーの付いたもの。 

また,電解セルの陽極室には,双白金電極を取り付け,陽極室及び陰極室の大気に接する開口部

には,シリカゲルなどの乾燥剤を入れた乾燥管を取り付ける。 

(2.5) 双白金電極 4.5.1 (2) (2.5)による。 

(2.6) 電解制御部 終点近くで水分量に応じて電気量を漸減又は断続できる比例制御機能をもつもの。  

(3)  試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(3.1) 電解液 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(a) 陽極液(発生液) よう化物イオン,二酸化硫黄,ピリジン又はそれに代わる塩基及びメタノール

などの有機溶剤との混合液。 

(b) 陰極液(対極液) よう化物イオン,二酸化硫黄,ピリジン又はそれに代わる塩基などの電解質と

メタノールなどの有機溶剤との混合液。 

参考1. 電解液の組成は,JIS C 2101(電気絶縁油試験方法)の19.3.3 (1)及びJIS K 0113(電位差・

電流・電量滴定方法通則)の6.4.2 (6)に一例が記載されている。 

2. 電解液は,市販品を使用してもよい。 

(3.2) チェック液 JIS K 8895[2−メトキシエタノール(エチレングリコールモノメチルエーテル)(試

薬)]に規定する2−メトキシエタノールに水を加え,その溶液1mlが水約4mgを含むように調製

する。 

参考 チェック液は,市販品を使用してもよい。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(4.1) 試料採取方法 注射器を用い,4.5.1 (4) (4.2) (4.2.1)によって行う。ただし,試料採取量は表4による。 

表4 試料採取量 

予想水分 

0.05%未満 

0.05〜0.1% 

0.1〜0.2% 

0.2〜0.5% 

試料採取量 

5ml 

2ml 

1ml 

0.5ml 

(4.2) 滴定 

(4.2.1) 前滴定(3) 

(a) 電解セルの陽極室に陽極液(発生液)約100ml,陰極室に陰極液(対極液)約5mlを入れ,電解セ

ルを密封した後,装置にセットする。 

(b) 電解セル内の陽極液をかき混ぜながら電解電流(4)を流し,よう素を陽極液側に発生させて電解セル

内を無水の状態にする。この場合,水分の質量は計算に用いない。 

注(3) 装置を校正するときは,電解セル内を無水状態にした後,水5μλをマイクロシリンジで陽極

液に注入し,終点まで電量滴定を行い,水分の質量を求める。この操作を2回以上繰り返し

て行い,水分の質量の平均値を求める。この値が5 000±25μgの範囲内であれば,正常に作

動しているとしてよい。 

(4) 陽極液に遊離よう素が存在するときは,電解が行われない。このときは,チェック液又は

水を適量加えてわずかに水過剰の状態 (2 000〜3 000μgH2O) にすればよい。 

(4.2.2) 本滴定 

(a) (4.1)によって採取した試料を,試料注入口から(4.2.1)の操作で無水状態にした電解セル中の陽極液

に注入する。 

(b) 注射針の先端を再びゴム栓で密封し,その質量を0.1mgまで量る。試料注入前後の注射器の質量差

から注入した試料の質量を求める。 

(c) 陽極液の水分を終点まで電量滴定する。 

(5) 計算 水分は,次の式によって算出し,小数点以下2けたに丸める。 

100

106×

×

=SG

W

ここに, W: 水分 (%) 
 

G: 水分の質量 (μg) 

S: 試料の質量 (g) 

10 

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4.6 

ピリジン類の定量方法 ガスクロマトグラフ分析によって,ピリジン類各成分の定量を行う。別に,

不揮発分及び水分を測定し,各成分の含量又は純度を補正する。ガスクロマトグラフ分析における一般事

項は,JIS K 0114(ガスクロマトグラフ分析のための通則)による。 

4.6.1 

ピリジン類各成分の定量方法 

(1) 要旨 ピリジン類中に含まれるピリジン類の同族体又は異性体などをガスクロマトグラフ分析によっ

て測定し,各成分の含量を求める。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(2.1) ガスクロマトグラフ 

(a) 検出器 水素炎イオン化検出器。0.01%のピリジンを含む試料0.6μlを注入したとき,ピリジンが十

分に分離溶出し,ピーク高さは,雑音信号の2倍以上であり,かつ3μV以上であること。 

備考 検出器は,試験の目的を満足するものであれば,熱伝導度検出器を用いてもよい。 

(b) カラム用管 内径3mm,長さ2mの硬質ガラス管又はステンレス鋼管。 

(c) 試料導入部 液体試料導入口及び気化器を備えたもの。 

(2.2) マイクロシリンジ 容量1〜10μlのもの。 

(3) 充てん剤及びキャリヤーガス 充てん剤及びキャリヤーガスは,次のとおりとする。 

(3.1) 充てん剤 充てん剤は,次のいずれかとする。 

(a) 

沸点が約200℃以下の成分を主な対象とする場合 担体(5)に平均分子量約6 000のポリエチレング

リコールを25%保持したもの又は同等以上のもの。 

注(5) 粒度177〜250μm(80〜60メッシュ)又は149〜177μm(100〜80メッシュ)のけい藻土を処

理したものなどがある。 

参考1. 市販の充てん剤には,PEG-6 000を担持したものなどがある。 

2. 市販の担体には,シマライト301,クロモソルブPなどがある。 

(b) 沸点が約200℃以上の成分を主な対象とする場合 担体(6)に平均分子量約20 000のポリエチレング

リコールを5%保持したもの又は同等以上のもの。 

注(6) 粒度177〜250μm(80〜60メッシュ)又は149〜177μm(100〜80メッシュ)のけい藻土を処

理したものなどがある。 

参考1. 市販の充てん剤は,PEG−HTを5%保持したものなどがある。 

2. 市販の担体には,ユニポートRなどがある。 

(3.2) キャリヤーガス 窒素又はヘリウムを用い,純度は99.99%以上のもの。 

(4) 充てん剤の準備 

(4.1) 充てん剤の充てん方法 バイブレーターを用いてカラム用管に充てん剤を均一に充てんし,両端に

JIS K 8251[ガラスウール(試薬)]に規定するガラスウールを詰める。 

(4.2) 充てん剤の前処理方法 前処理は,キャリヤーガスを通じながら,室温で約1時間,次に80〜100℃

で約1時間保持し,更に設定温度より約10℃高い温度で数時間エージングして,残存する溶媒を十

分に除去する。 

備考1. 溶出ガスは,検出器を汚染するおそれがあるから,検出器を通してはならない。 

2. この前処理は,設定最高感度における基線が安定するまで行う。 

3. 充てん剤中の空気を十分にキャリヤーガスで置換しないで昇温すると分離ができない場

合がある。通常1時間キャリヤーガスを通気すればよい。 

(5) 操作  (2.2)のマイクロシリンジを使用して,試料約0.6μlを導入し,クロマトグラムを記録する(7)。 

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注(7) 主ピーク面積は,600〜1 000万μVsになるように試料量を調整する。 

(6) 計算 JIS K 0114の8.3 (2)のデータ処理装置を用いてピーク面積(8)を測定した後,各成分の含量を次

の式によって算出し,小数点以下1けたに丸める。 

)

100

(

1

W

R

A

A

C

n

i

i

i

i

×

=∑

=

ここに, Ci: i成分の含量 (%) 
 

Ai: i成分のピーク面積 (μVs) 

n: 全ピーク数 

R: 4.8によって求めた不揮発分 (%) 

W: 4.6によって求めた水分 (%) 

注(8) 主成分の異性体以外の同族体及び不純物で,含量が1%を超えるものについては,JIS K 0114の

8.6の規定によって相対感度を求め,面積補正を行う。 

備考 水分及び不揮発分の値が測定値に影響のないときは,補正を行わなくてよい。 

4.6.2 

純ピリジン及びα−ピコリンの純度測定方法 純ピリジン及びα−ピコリンの純度測定は,4.6.1に

よるほか次による。 

(1) 操作 操作は,4.6.1 (5)によって行う。分析条件の例を表5に,そのクロマトグラムの例を図3に示す。 

(2) 計算 純ピリジン及びα−ピコリンの純度は,4.6.1 (6)によって算出する。クロマトグラムの面積測定

において,ピリジンのピークのテーリングの上に検出されるα−ピコリン及びα−ピコリンのテーリン

グの上に検出される2, 6−ルチジンは,JIS K 0114の8.3 (2)の接線法によって面積計算を行う。 

表5 分析条件の例 

試料 

分析条件 

ピリジン 

α−ピコリン 

固定相液体(保持量) 

PEG-6000 (25%) 

担体[μm(メッシュ)] 

シマライト301[けい藻土177〜250 (80〜60)] 

カラム用管内径及び長さ mm×m 

3×2 

カラム槽温度 ℃ 

100 

検出器槽温度 ℃ 

200 

試料導入部温度 ℃ 

200 

キャリヤーガス 

窒素 

キャリヤーガス流量 ml/min 

50 

検出器 

水素炎イオン化検出器 

水素流量 ml/min 

50 

空気流量 ml/min 

500 

試料導入量 μl 

0.6 

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図3 微量不純物を添加したときのクロマトグラムの例 

4.6.3 

分留キノリン中のキノリン含量測定方法 分留キノリン中のキノリン含量測定は,4.6.1によるほ

か次による。 

(1) 操作 操作は4.6.1 (5)によって行う。分析条件の例を表6に,そのクロマトグラムの例を図4に示す。 

(2) 計算 キノリン含量は,4.6.1 (6)によって算出する。クロマトグラムの面積測定では,キノリンとピー

クの裾が重なるイソキノリンのピーク面積は,JIS K 0114の8.3 (2)の垂線法によって求める。 

表6 分析条件の例 

試料 

分析条件 

キノリン 

固定相液体(保持量) 

PEG-HT (5%)  

担体[μm(メッシュ)] 

ユニポートR[けい藻土177〜250 (80〜60)] 

カラム用管内径及び長さ mm×m 

3×2 

カラム槽温度 ℃ 

130 

検出器槽温度 ℃ 

250 

試料導入部温度 ℃ 

250 

キャリヤーガス 

窒素 

キャリヤーガス流量 ml/min 

30 

検出器 

水素炎イオン化検出器 

水素流量 ml/min 

50 

空気流量 ml/min 

500 

試料導入量 μl 

0.6 

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図4 クロマトグラムの例 

4.7 

不揮発分試験方法 

4.7.1 

要旨 ガスクロマトグラフ分析において,結果の算出に必要な不揮発分を量る。試験は,次のいず

れかの方法によって,試料中の揮発性成分を所定の温度で揮発させ,残分の質量を量って不揮発分とする。 

(1) 第1法 JIS K 0067(化学製品の減量及び残分試験方法)に準じる方法。 

(2) 第2法 管状電気炉を用いて,揮発性成分を窒素又はヘリウム気流中で揮発させて不揮発分を求める

方法。 

4.7.2 

第1法 

(1) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 水浴 

(b) 油浴 温度調節器を備えたもので,250℃まで調整できるもの。 

(c) 電気炉又は乾燥器 300℃まで設定でき温度調節精度が±10℃のもの。 

(d) 蒸発皿 ガラス製平底蒸発皿60×30mm 

(e) 全量ピペット 10ml 

(f) 化学はかり 0.1mgまで量れるもの 

(g) デシケーター 

(2) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 蒸発皿の質量を0.1mgまで量り,これに試料10mlを全量ピペットで量り取る。 

(b) ピリジン及びピコリンの場合は水浴中で,キノリンの場合は約235℃の油浴中でそれぞれ加熱して

蒸発乾固させ,蒸発皿を浴から取り出す。 

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(c) 蒸発皿の外側に付着した油はベンゼンに浸した清浄な布でふき取り,更にアセトンでふき取る。 

(d) 所定の温度(9)に保った電気炉又は乾燥器で恒量まで加熱し,デシケーター内で約30分間放冷後,そ

の質量を0.1mgまで量る。 

(e) 別に,試料採取時の温度に補正した密度を4.3によって測定しておく。 

注(9) ガスクロマトグラフ分析における試料導入部の温度 

参考 油浴に用いる油は,タービン油などがよい。 

(3) 計算 不揮発分は,次の式によって算出する。 

100

1000×

×

×

=

d

V

m

R

ここに, R: 不揮発分 (%) 
 

m: 揮発後の残分の質量 (mg) 

V: 試料の容量 (ml) 

d: 試料採取時の温度における試料の密度 (g/ml) 

4.7.3 

第2法 

(1) 装置及び器具 装置は,管状電気炉,石英管及び試料容器からなり,その例を図5及び図6に示す。 

(a) 管状電気炉 400℃まで設定でき温度調節精度が±10℃のもの。 

(b) 石英管 図5又は図6による。 

(c) 試料容器 白金,石英又は硬質ガラス製のもので,形状及び寸法は図5又は図6による。 

(d) 全量ピペット 1ml 

(e) 化学はかり 0.1mgまで量れるもの。 

(f) デシケーター 

(2) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料容器の質量を0.1mgまで量り,これに試料1mlを全量ピペットで量り取る。 

(b) あらかじめ所定の温度(9)に保った石英管内に試料を入れた試料容器を挿入し,流量約300ml/minの

窒素又はヘリウム気流中で10分間揮発させる。 

(c) 試料容器を取り出し,約30分間デシケーター内で放冷した後,その質量を0.1mgまで量る。 

(d) 別に,試料採取時の温度に補正した密度を,4.3によって測定しておく。 

(3) 計算 不揮発分は,4.7.2 (3)によって算出する。 

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図5 横型不揮発分試験装置の例 

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図6 縦型不揮発分試験装置の例 

4.8 

蒸留試験方法 

4.8.1 

要旨 試料を蒸留し,蒸留温度と留出量の関係を求める。試験において共通する一般事項はJIS K 

0066(化学製品の蒸留試験方法)による。 

備考 3.に規定する蒸留試験は,高沸点ピコリンだけを対象としているが,その他のピリジン類につ

いても適用できる。 

4.8.2 

装置 蒸留装置 蒸留装置は,次の器具を用いて図7のとおりとする。 

(1) 蒸留フラスコ 図8に示す形状,寸法の硬質ガラス製蒸留フラスコI形 (100ml) 又はII形 (125ml) の

もの。原則として,分留キノリンの場合はII形を,その他の場合はI形を用いる。ただし,分留キノ

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リン以外の場合も,泡立ちのためI形を用いることが困難な場合は,II形を用いてもよい。 

図7 蒸留装置 

(2) 温度計及び補助温度計 

(a) 純ピリジン用 浸線付棒状水銀温度計とし,表7に示すもの又は同等以上のもの。 

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18 

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表7 温度計 

温度範囲 ℃ 

105〜120 

最小目盛 ℃ 

0.1 

全長 mm 

210〜230 

幹の外径 mm 

6〜7 

大水銀球の外径 mm 

5〜6 

大水銀球の長さ mm 

10〜15 

大水銀球の下端から最低刻度線までの距離 mm 

115〜120 

温度計の上端から最高刻度線までの距離 mm 

20〜45 

大水銀球の下端から浸線までの距離 mm 

110 

大水銀球の上端から小水銀球の上端までの距離 mm 

約20 

許容差 ℃ 

0.1 

(b) α−ピコリン用 棒状水銀温度計とし,表8に示すもの又は同等以上のもの。 

表8 温度計 

温度範囲 ℃ 

120〜140 

最小目盛 ℃ 

0.1 

全長 mm 

250±1.0 

幹の外径 mm 

6±1 

大水銀球の外径 mm 

5〜6 

大水銀球の長さ mm 

10〜15 

大水銀球の下端から最低刻度線までの距離 mm 

100±2 

温度計の上端から最高刻度線までの距離 mm 

20〜45 

大水銀球の上端から小水銀球の上端までの距離 mm 

約20 

許容差 ℃ 

0.1 

(c) 高沸点ピコリン及び分留キノリン用 棒状水銀温度計とし,表9に示すもの又は同等以上のもの。 

表9 温度計 

温度範囲 ℃ 

0〜250 

最小目盛 ℃ 

全長 mm 

320±10 

幹の外径 mm 

6±1 

水銀球の下端から0℃目盛までの距離 mm 

50±5 

水銀球の長さ mm 

13±2 

水銀球の外径 mm 

5.0±0.5 

(d) 分留キノリン用補助温度計 温度範囲が0〜100℃で,最小目盛が1℃のもの。 

(3) 冷却器 形状及び寸法は,図8による。 

(4) メスシリンダー 形状及び寸法は,図9による。 

(5) 架台 図8に示すように,ところどころに通風孔のある金属円筒上に,150mm平方,厚さ約6mmの

耐熱板の中央に所定のあなを開けたもの。あなの径は,ピリジン及びピコリンでは約30mm,キノリ

ンでは約50mmとする。 

(6) アダプター 形状及び寸法は,図10による。 

(7) 受器 試料を量り取ったメスシリンダーを洗浄,乾燥することなく,そのまま受器とする。 

(8) 風よけ 適宜のもの。 

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図8 蒸留フラスコ 

図9 メスシリンダー 

図10 アダプター 

4.8.3 

操作 操作は,次のとおり行う。 

(1) 4.2.3によって調製した脱水試料100mlをメスシリンダーで量り取り,蒸留フラスコに移し入れる。 

(2) 蒸留フラスコに温度計を取り付けて架台に載せ,冷却器,アダプターを連結し,(1)で試料を量るため

20 

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に用いたメスシリンダーを受器として,組み立てる。この場合,温度計の取付け位置は,純ピリジン

及びα−ピコリンのとき,小水銀球の上端が,蒸留フラスコ枝管の下部付根の高さとなる位置とし,

その他のとき,水銀球の上端が,蒸留フラスコ枝管の下部付根の高さとなる位置とする。 

また,補助温度計は,分留キノリンの場合に限り,蒸留フラスコに取り付けられた温度計の水銀柱

の露出部中央(ただし,露出部の下端はコルク栓の中央とする。)に補助温度計の水銀球の中央部が位

置するように取り付ける。 

(3) 冷却器に冷却水を通し,蒸留フラスコを耐熱板の下から直火で加熱して5〜10分間で留出を開始し,

毎分4〜5mlの割合で留出するように加熱を調節し,留出液を受器に受けながら,留出量と温度計(補

助温度計を含む。)の示度を読み取る。 

4.8.4 

蒸留温度の求め方 蒸留温度の求め方は,次による。 

(1)  α−ピコリン及び高沸点ピコリンの場合は,読み取った温度計の示度に器差補正を行って蒸留温度

とする。 

(2) 純ピリジン及び分留キノリンの場合は,次の温度補正を行って蒸留温度を求める。 

4.8.5 

温度補正 

(1) 純ピリジンの場合 気圧による温度補正値 (⊿tp) は,次の式によって算出し,器差補正後の温度に加

えて蒸留温度とする。 

)

273

)(

325

.

101

(

0009

.0

t

P

tp

+

=

)}

273

)(

760

(

00012

.0

{

t

P

tp

+

=

ここに, ⊿tp: 気圧による温度補正値 (℃) 
 

P: 気圧 (kPa) {mmHg} 

t: 器差補正後の温度 (℃) 

(2) 分留キノリンの場合 露出部による温度補正値 (△tn) は,次の式によって算出し,器差補正後の温度

に加えて蒸留温度とする。 

)

(

00016

.0

2

1t

t

n

tn

=

ここに, ⊿tn: 露出部による温度補正値 (℃) 
 

n: 温度計露出部の水銀柱の度数 (℃) 

t1: 器差補正後の温度 (℃) 

t2: 補助温度計の示度 (℃) 

4.9 

色の試験方法 色の試験は,次の区分によって行う。 

(a) 比色法は,ハーゼン標準比色液を用いて比較する方法で純ピリジンに適用する。 

(b) 簡易法は,目視による方法で純ピリジン以外のものに適用する。 

4.9.1 

比色法 

(1) 器具 器具は,次のとおりとする。 

(a) 比色管 同質,同形の100ml栓付ネスラー管で,液量が100mlの位置に標準線を刻んだもの。 

(b) 白色板 ガラス製,プラスチック製などの,各辺の長さが20cm以上の長方形のもの。 

(2) 標準比色液の調製 標準比色液の調製は,次による。 

(a) ハーゼン標準色溶液(500番) JIS K 8163[ヘキサクロロ白金 (IV) 酸カリウム(塩化白金酸カリ

ウム)(試薬)]に規定する塩化白金酸カリウム1.245g,JIS K 8129[塩化コバルト (II) 六水和物(試

薬)]に規定する塩化コバルト1.000g及び塩酸100mlを水に溶かした後,更に水を加えて1 000ml

とする。 

(b) ハーゼン標準比色液 ハーゼン標準色溶液(500番)と水とを,表10によって混合して調整する。 

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21 

K 2438-1990  

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表10 ハーゼン標準比色液 

標準比色液
の番号 

標準色溶液 

(500番)ml 

水 

ml 

標準比色液
の番号 

標準色溶液 

(500番)ml 

水 

ml 

 0 

 0 

100 

 70 

 14 

86 

 5 

 1 

 99 

100 

 20 

80 

10 

 2 

 98 

150 

 30 

70 

15 

 3 

 97 

200 

 40 

60 

20 

 4 

 96 

250 

 50 

50 

25 

 5 

 95 

300 

 60 

40 

30 

 6 

 94 

350 

 70 

30 

35 

 7 

 93 

400 

 80 

20 

40 

 8 

 92 

450 

 90 

10 

50 

10 

 90 

500 

100 

 0 

60 

12 

 88 

備考 ハーゼン標準比色液は,密栓して冷暗所に保存する。この場合,原則として調整後1か年

以上経過した500番の溶液,又は1か月以上経過した500番未満の比色液は用いてはなら

ない。 

(3) 操作 試料とハーゼン標準比色液とをそれぞれ比色管の標線まで入れ,白色板上に置き,拡散昼光の

下で比色管の上方から下方に透かして色を比較する。試料の色は,試料に最も近似したハーゼン標準

比色液の番号で表す。 

4.9.2 

簡易法 

(1) 器具 器具は,次のとおりとする。 

(a) 試験管 内径約30mmのもの。 

(b) 自色板 4.9.1 (1) (b)に示すもの。 

(2) 操作 試料を試験管に取り,白色板を背後に立て,試験管の側面から白色板の方に透かして色を調べ

る。 

5. 検査 検査は,4.によって試験し,表2に適合しなければならない。 

6. 表示 ピリジン類の容器には,次の事項を表示しなければならない。ただし,大型容器(タンクロー

リー,貨車など)の場合には,送り状に表示してもよい。 

(1) 種類 

(2) 正味質量又は正味容量 

(3) 製造年月 

(4) 製造番号 

(5) 製造業者名又はその略号 

22 

K 2438-1990  

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引用規格: 

JIS B 7525 比重浮ひょう 

JIS C 2101 電気絶縁油試験方法 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0066 化学製品の蒸留試験方法 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0068 化学製品の水分試験方法 

JIS K 0113 電位差・電流・電量滴定方法通則 

JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析のための通則 

JIS K 2249 原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表 

JIS K 2420 芳香族製品及びタール製品試料採取方法 

JIS K 8125 塩化カルシウム(水分測定用)(試薬) 

JIS K 8129 塩化コバルト (II) 六水和物(試薬) 

JIS K 8163 ヘキサクロロ白金 (IV) 酸カリウム(塩化白金酸カリウム)(試薬) 

JIS K 8251 ガラスウール(試薬) 

JIS K 8514 臭化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8540 酒石酸ナトリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8876 マグネシウム末(試薬) 

JIS K 8891 メタノール(メチルアルコール)(試薬) 

JIS K 8895 2−メトキシエタノール(エチレングリコールモノメチルエーテル)(試薬) 

JIS K 8920 よう素(試薬) 

関連規格 ISO 758 Liquid chemical products for industrial use−Determination of density at 20 degrees C 

ISO 759 Volatile organic liquids for industrial use−Determination of dry residue after evaporationon 

water bath−General method 

ISO 760 Determination of water−Karl Fischer method (General method) 

ISO 918 Volatile organic liquids for industrial use−Determination of distillation characteristics 

ISO 2211 Liquid chemical products−Measurement of colour in Hazen units (platinum-cobalt scale) 

ISO 2718 Standard layout for a method of chemical analysis by gas chromatography 

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K 2438-1990  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

本委員会 分科会 

(本委員会長) 

中 村 悦 郎 

工業技術院公害資源研究所 

○ 

請 川 孝 治 

工業技術院公害資源研究所 

○ 

○ 

桜 井 俊 彦 

工業技術院標準部 

○ 

田 坂 勝 芳 

工業技術院標準部 

○ 

○ 

榎 元 宏 明 

通商産業省基礎産業局 

○ 

飯 田 広 義 

社団法人日本海事検定協会理科学研究所 

○ 

池 田 順 一 

財団法人日本規格協会 

○ 

桑 田 眞 一 

三菱化成工業株式会社総合研究所 

○ 

○ 

田 中 郁 衛 

化成品工業協会 

○ 

松 隈 義 則 

日本石鹸洗剤工業会 

○ 

須 田 康 祐 

大阪ガス株式会社酉島製造所 

○ 

○ 

若 林   哲 

住友化学工業株式会社基礎化学品管理室 

○ 

○ 

竹 内 茂 基 

広栄化学工業株式会社技術部 

○ 

○ 

檜 垣   浄 

ダイセル化学工業株式会社大竹工場 

○ 

○ 

(分科会主査) 

小薗井   勝 

新日鐵化学株式会社技術管理部 

○ 

○ 

塩 月 勝 行 

新日鐵化学株式会社戸畑製造所 

○ 

○ 

猪 瀬 太 郎 

社団法人日本芳香族工業会 

○ 

○ 

(事務局) 

岡 田 憲 治 

社団法人日本芳香族工業会 

○ 

○