K 2435-2:2006
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本芳香族工業会(JAIA)/財団法人
日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準
調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによってJIS K 2435:1992は廃止され,JIS K 2435-1,JIS K 2435-2及びJIS K 2435-3に置き換えら
れる。
今回の制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成
及び日本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするため,ISO 5272:1979(Toluene for industrial
use-Specification)を基礎として用いた。また,日本工業規格と国際規格との対比を容易にするため,JIS K
2435を3部に分割した。また,前回の改正から今回にかけて,ISO 5272:1979の品質項目に規定されてい
る試験方法に引用されている規格の多くは廃止されているが,この規格で品質項目に規定している項目の
試験方法は品質を確保するためすべて残すこととした。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的内容をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。
JIS K 2435-2には,次に示す附属書がある。
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 2435の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 2435-1 第1部:ベンゼン
JIS K 2435-2 第2部:トルエン
JIS K 2435-3 第3部:キシレン
K 2435-2:2006
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ································································································································· 1
1. 適用範囲 ······················································································································ 1
2. 引用規格 ······················································································································ 1
3. 定義 ···························································································································· 1
4. 品質 ···························································································································· 2
5. 試験方法 ······················································································································ 2
5.1 一般事項 ···················································································································· 2
5.2 試料の採取及び調製 ····································································································· 2
5.3 外観 ·························································································································· 2
5.4 色 ····························································································································· 2
5.5 密度又は比重 ·············································································································· 2
5.6 全硫黄分 ···················································································································· 3
5.7 銅板腐食試験 ·············································································································· 3
5.8 中性度試験 ················································································································· 3
5.9 ガスクロマトグラフィーによる成分試験 ··········································································· 3
5.10 蒸留試験 ··················································································································· 7
5.11 硫酸着色試験 ············································································································· 8
5.12 蒸発残分 ··················································································································· 8
5.13 臭素価試験方法 ·········································································································· 8
5.14 臭素指数試験方法 ······································································································· 8
6. 表示 ···························································································································· 8
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ··································································· 9
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日本工業規格 JIS
K 2435-2:2006
ベンゼン・トルエン・キシレン−第2部:トルエン
Benzene・Toluene・Xylene-Part 2:Toluene
序文 この規格は,1979年第1版として発行されたISO 5272,Toluene for industrial use-Specificationを翻
訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変
更の一覧表をその説明を付けて,附属書(参考)に示す。
警告 トルエンは,引火性の強い危険物であり,火災・爆発などの危険があるので,特に火気,静電気
などに注意するとともに,取り扱いには万全の注意が必要である。さらに,健康有害性の強い物
質であるため,取扱い上,蒸気の吸入,皮膚接触などを避けるように十分な注意が必要である。
また,大気,水質の汚染を防止するため,試料採取時の洗浄廃液,試験終了後の試料の処分など
についてもできる限り回収する必要がある。この規格は,その使用に関連して起こりうるすべて
の安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,各自の責任において安
全及び健康に対する適切な措置を取らなければならない。
1. 適用範囲 この規格は,工業用(溶剤用を含む。)トルエンについて規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を示す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 5272:1979,Toluene for industrial use-Specification(MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 2410 芳香族製品及びタール製品用語
JIS K 2435-1 ベンゼン・トルエン・キシレン−第1部:ベンゼン
JIS K 8680
トルエン(試薬)
JIS K 8858
ベンゼン(試薬)
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 2410による。
2
K 2435-2:2006
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4. 品質 トルエンは,品質によって2種類に区分し,その品質は,5.によって試験したとき,表1によ
る。
表 1 品質
項目
トルエン1号
トルエン2号
外観(1)
透明で,かつ,不溶解水分,沈殿物及び浮遊物を含まないこと。
色
ハーゼン(白金・コバルト)標準比色液20番より暗くないこと。
密度又は
比重(2)
密度(20 ℃) g/cm3
0.864〜0.868
0.859〜0.870
比重(15/4 ℃)
0.869〜0.873
0.864〜0.875
全硫黄分 mg/kg
2 以下
―
銅板腐食試験
―
わずかに変色
中性度試験
中性
非芳香族炭化水素 %(質量分率) 0.25以下
―
ベンゼン %(質量分率) 0.10以下
―
C8芳香族炭化水素 %(質量分率) 0.10以下
―
蒸留試験 (脱水試料につき)
―
蒸留範囲が1.0 ℃以内で,かつ,
110.6 ℃を含むこと。
硫酸着色試験 (脱水試料につき)
標準比色液2番より暗くないこと。 標準比色液3番より暗くないこと。
蒸発残分 mg/100 mL
5 以下
臭素価 g/100g
受渡当事者間の協定による。
臭素指数 mg/100g
受渡当事者間の協定による。
注(1) 目視による。
(2) 密度又は比重のいずれかを適用する。
5. 試験方法
5.1
一般事項 試験の一般事項は,JIS K 2435-1の5.1による。
5.2
試料の採取及び調製 試料の採取及び調製は,JIS K 2435-1の5.2による。
5.3
外観 外観試験は,JIS K 2435-1の5.3による。
5.4
色 色の測定は,JIS K 2435-1の5.4による。
5.5
密度又は比重 密度又は比重の測定は,次に規定する計算のほかは,JIS K 2435-1の5.5又はJIS K
2435-1の附属書による。
5.5.1 計算 密度(15 ℃及び20 ℃)は,密度(15 ℃)を目盛った15 ℃基準の浮ひょうを用いるとき,次に
よって算出し,小数点以下4けたに丸める。器差の補正は,浮ひょうの示度から器差を減じて行う。ただ
し,小数点以下3けたまでの精度で測定値を求めるときは,これを省略してもよい。
1) D20= Dt [1-0.000 023(t-15)]+ 0.000 92 (t-20)
2) D15= Dt [1-0.000 023(t-15)]+ 0.000 92(t-15)
ただし,必要な精度が,小数点以下3けた以下のときは,次の式を用いることができる。
3) D20= Dt+0.000 92 (t-20)
ここに,
D15:密度(15 ℃)(g/cm3)
D20:密度(20 ℃)(g/cm3)
Dt:t ℃における密度の測定値(g/cm3)
t:測定温度(℃)
0.000 023:測定器の熱膨張率(℃-1)
0.000 92:比重−温度補正係数(℃-1)
3
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5.6
全硫黄分 全硫黄分の測定は,JIS K 2435-1の5.6による。
5.7
銅板腐食試験 銅板腐食試験は,JIS K 2435-1の5.7による。
5.8
中性度試験 中性度試験は,JIS K 2435-1の5.8による。
5.9
ガスクロマトグラフィーによる成分試験 ガスクロマトグラフィーを用いて,トルエン中に0.01 %
(質量分率)以上含まれる非芳香族炭化水素,ベンゼン及びC8芳香族炭化水素の成分試験を行う。
5.9.1
キャピラリーカラム法
5.9.1.1
要旨 キャピラリーカラムを用いるガスクロマトグラフィーによって試料を分離し,クロマトグ
ラムのピーク面積から補正面積百分率法によって各成分の量を求める。
非芳香族炭化水素は,デカンとして測定する。
5.9.1.2
装置及び器具 装置及び器具は,JIS K 2435-1の5.9.1.2による。
5.9.1.3
試薬及びキャリヤーガス 試薬及びキャリヤーガスは,次による。
a) 試薬 試薬は,次のとおりとする。
1) ベンゼン JIS K 8858に規定するもの。
2) トルエン JIS K 8680に規定するもの。
3) エチルベンゼン 純度99 %(質量分率)以上のもの。
4) p-キシレン 純度99 %(質量分率)以上のもの。
5) m-キシレン 純度99 %(質量分率)以上のもの。
6) o-キシレン 純度99 %(質量分率)以上のもの。
7) (1-メチルエチル)ベンゼン(クメン) 純度99 %(質量分率)以上のもの。
8) デカン 純度99 %(質量分率)以上のもの。
b) キャリヤーガス JIS K 2435-1の5.9.1.3 b)による。
5.9.1.4 装置の準備 装置の準備は,次による。
a) 分離カラムの前処理 JIS K 2435-1の5.9.1.4 a)による。
b) 装置の調整 全装置を作動状態に調整し,それぞれ0.01 %(質量分率)のデカン及び(1-メチルエチ
ル)ベンゼンを含む試料0.1〜2 μLを注入したときのクロマトグラムにおいて,各ピークの高さは,
ノイズレベルの2倍以上であることを確認する。
5.9.1.5
検量 検量は,次による。
a) 検量用標準試料の調製 5.9.1.3 a)の試薬を化学はかりを用いてはかりとり,被検成分に近い段階的な
3種類の濃度の検量用標準試料を調製する。
非芳香族炭化水素成分は,デカンを混合する。
b) 相対感度の求め方 JIS K 2435-1の5.9.1.5 b)による。
c) 保持時間の測定 JIS K 2435-1の5.9.1.5 c)による。
5.9.1.6
操作 全測定操作は,検量時と厳密に同一条件の下で行う。
操作条件は,使用機種及びカラムの長さによって異なるので,各機種について最適条件を求める。キャ
ピラリーカラム法による操作条件及び相対保持時間の例を表2に,クロマトグラムの例を図1に示す。
4
K 2435-2:2006
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表 2 キャピラリーカラム法による操作条件及び相対保持時間の例
操作条件
固定相液体
ポリエチレングリコール−20 M
固定相膜厚 μm
0.25
カラム用管内径及び長さ mm×m
0.25×60
カラム槽温度 ℃
80
試料導入部温度 ℃
200
キャリヤーガス
ヘリウム
キャリヤーガス流量 mL/min
2
検出器
水素炎イオン化検出器
水素流量 mL/min
45
空気流量 mL/min
550
試料導入量 μL
1
スプリット比
100:1
最小面積 μVs
10
全面積 μVs
1 000 000
記録紙送り速度 mm/min
5
相対保持時間
デカン
0.86
ベンゼン
0.79
トルエン
1.00
エチルベンゼン
1.26
p-キシレン
1.30
m-キシレン
1.33
o-キシレン
1.56
図 1 キャピラリーカラム法によるクロマトグラムの例
5
K 2435-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.9.1.7
計算 JIS K 2435-1の5.9.1.7による。
5.9.1.8
精度 試験結果が正しいか否かは,次の基準によって判定する。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間内に同一試料を2回試験
したとき,試験結果の差が表3に示す許容差を超えない場合は,その試験結果はいずれも正しいもの
と認める。
b) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験したと
き,2個の試験結果の差が表3に示す許容差を超えない場合は,その試験結果はいずれも正しいもの
と認める。
表 3 精度の許容差
対象
成分
濃度範囲
[%(質量分率)]
許容差(相対%)
室内併行精度
室間再現精度
トルエン
非芳香族炭化水素
0.01〜2.5
20
40
ベンゼン
0.01〜0.25
15
30
C8芳香族炭化水素
0.01〜0.15
25
50
備考 許容差の相対%は,平均値に対する差の割合,%。
5.9.2
充てんカラム法
5.9.2.1
要旨 充てんカラムを用いたガスクロマトグラフによって成分を分離し,クロマトグラムのピー
ク面積から補正面積百分率によって各成分の含量を求める。
非芳香族炭化水素は,デカンとして測定する。
また,この方法では,二硫化炭素は,非芳香族炭化水素として測定される。
5.9.2.2
装置及び器具 JIS K 2435-1の5.9.2.2による。
5.9.2.3
担体,試薬及びキャリヤーガス 担体及びキャリヤーガスは,JIS K 2435-1の5.9.2.3による。
試薬は, この規格の5.9.1.3 a)による。
5.9.2.4
装置の準備 装置の準備は,次による。
a) 分離カラムの前処理 使用温度で数時間キャリヤーガスを通じ,十分に揮発性物質を除去する。この
場合,溶出ガスは,検出器を汚染するおそれがあるので,検出器を通さない。
b) 装置の調整 全装置を作動状態として調整し,それぞれ0.01 %(質量分率)のデカン及びイソプロピ
ルベンゼンを含む試料0.1〜2 μLを注入したときのクロマトグラムにおいて,各ピークの高さは,ノ
イズレベルの2倍以上であることを確認する。
5.9.2.5
検量 検量は,次による。
a) 検量用標準試料の調製 5.9.1.3 a)の試薬を化学はかりを用いてはかりとり,被検成分に近い段階的な
3種類の濃度の検量用標準試料を調製する。
ただし,非芳香族炭化水素分としては,デカンを混合する。
b) 相対感度の求め方 JIS K 2435-1の5.9.2.5 b)による。
c) 保持時間の測定 JIS K 2435-1の5.9.2.5 c)による。
5.9.2.6
操作 全測定操作は,検量時と厳密に同一条件の下で行う。
操作条件は,使用機器及びカラムの長さによって異なるので,各機器について最適条件を求める。充て
んカラム法による操作条件及び相対保持時間の例を表4に,クロマトグラムの例を図2に示す。
6
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表 4 充てんカラム法による操作条件及び相対保持時間の例
操作条件
固定相液体
ジエチレングリコールサクシネートポリエステル
固定相液保持量 %(質量分率)
25
担体 μm
けい藻土 177〜250
カラム用管内径及び長さ mm×m
3×3
カラム槽温度 ℃
100
気化室温度 ℃
200
検出器槽温度 ℃
150
キャリヤーガス
窒素
キャリヤーガス流量 mL/min
30
検出器
水素炎イオン化検出器
水素流量 mL/min
20
空気流量 mL/min
600
試料導入量 μL
0.5
記録紙送り速度 mm/min
10
相対保持時間
デカン
0.26
ベンゼン
0.65
トルエン
1.00
エチルベンゼン
1.47
p-キシレン及びm-キシレン
1.55
o-キシレン
2.00
図 2 充てんカラム法によるクロマトグラムの例
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.9.2.7
計算 JIS K 2435-1の5.9.2.7による。
5.9.2.8
精度 試験結果が正しいか否かは,次の基準によって判定する。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間内に同一試料を2回試験
したとき,試験結果の差が表5に示す許容差を超えない場合は,その試験結果はいずれも正しいもの
と認める。
b) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験したと
き,2個の試験結果の差が表5に示す許容差を超えない場合は,その試験結果はいずれも正しいもの
と認める。
表 5 精度の許容差
対象
成分
濃度範囲
[%(質量分率)]
許容差(相対%)
室内併行精度
室間再現精度
トルエン
非芳香族炭化水素
0.01〜2.5
20
40
ベンゼン
0.01〜0.25
10
20
C8芳香族炭化水素
0.01〜0.15
30
60
備考 許容差の相対%は,平均値に対する差の割合,%。
5.10 蒸留試験 次に規定する温度計のほかは,JIS K 2435-1の5.10による。
5.10.1 温度計 表6に示す浸没線付ガラス製水銀棒状温度計。
表 6 水銀棒状温度計
液体
水銀
液上に満たす気体
窒素
温度範囲 ℃
105 〜 120
最小目盛 ℃
0.1
全長 mm
210 〜 230
幹の直径 mm
6 〜 7
大水銀球の直径 mm
5 〜 6
大水銀球の長さ mm
10 〜 15
大水銀球の下端から最低刻度線までの距離 mm
115 〜 120
温度計の上端から最高刻度線までの距離 mm
20 〜 45
大水銀球の下端から浸線までの距離 mm
110
大水銀球の上端から小水銀球の上端までの距離 mm
約20
許容差 ℃
0.1
参考 最小目盛1℃でよいときは,表7に示す水銀棒状温度計を
用いてもよい。
表 7 水銀棒状温度計
温度範囲 ℃
0 〜 250
最小目盛 ℃
1
全長 mm
320 ± 10
幹の直径 mm
6 ± 1
水銀球の下端から0℃目盛までの距離 mm
50 ± 5
水銀球の長さ mm
13 ± 2
水銀球の直径 mm
5.0± 0.5
8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.11 硫酸着色試験 硫酸着色試験は,JIS K 2435-1の5.11による。
5.12 蒸発残分 蒸発残分の測定は,JIS K 2435-1の5.12による。
5.13 臭素価試験 臭素価試験は,JIS K 2435-1の5.13による。
5.14 臭素指数試験 臭素指数試験は,JIS K 2435-1の5.14による。
6. 表示 トルエンの容器には,次の事項を表示しなければならない。ただし,大形容器(タンクローリ
ー,貨車など)の場合には,送り状に表示してもよい。
a) 種類
例 トルエン1号
b) 正味質量又は正味容量
c) 製造業者名又はその略号
d) 製造年月又はその略号
e) 製造番号又はロット番号
関連規格 ISO 2160:1998 Petroleum products−Corrosiveness to copper−Copper strip test
ISO 2211:1973 Liquid chemical products−Measurement of colour in Hazen units (platinum - cobalt
scale)
ISO 4626:1980 Volatile organic liquids−Determination of boiling range of organic solvents used as
raw materials
ISO 5275:2003 Petroleum products and hydrocarbon solvents−Detection of thiols and other sulfur
species−Doctor test
ISO 6271:1981 Clear liquids−Estimation of colour by the platinum - cobalt scale
9
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9
K
2
4
3
5
-2
:
2
0
0
6
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附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 2435-2:2005 ベンゼン・トルエン・キシレン−第2部:トルエン
ISO 5272:1979,工業用トルエン−仕様
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1. 適用
範囲
工業用及び溶剤用トルエン
について規定。
ISO 5272
1
工業用トルエン
(トルエン1級及びト
ルエン2級)
MOD/変更 トルエンの用途に関する
記述が異なる。
実質的に同じである。ISO規格は制定後
20年以上経過し実態に合わない部分が
あるので,JISは,ISO規格を修正の上
採用した。
修正部分については,ISO規格の見直し
時に提案を検討する。
2. 引用
規格
JIS K 2410
JIS K 2435-1
2
ISO 2160,ISO 2211,
ISO 4626,ISO 6271
MOD/削除
MOD/追加
ISO規格の引用規格を削
除し,新たな引用規格を
追加。
規定項目(定義)の追加及び試験方法の
見直しによる。
3. 定義
JIS K 2410による。
−
−
MOD/追加
−
JISを簡潔に作成するため,用語の定義
を追加。
4. 品質
(トルエ
ン1号)
名称:トルエン1号
3
工業用トルエン1級
MOD/変更 名称が異なる。
実質的には同じである。
ISO規格見直し時,提案を検討する。
外観:透明で,かつ,不溶
解水分,沈殿物及び浮遊物
を含まない。
3
透明で,遊離の不純物
を含まない。
MOD/追加 ISO規格は,外観と不溶
解水分を別々の項目で規
定。
JISは,不溶解水分を外
観の項目で規定。
実質的な差異はない。次回のJIS改正時
に,ISO規格に合わせることを検討す
る。
不溶解水分:項目なし。
3
存在しないこと。
MOD/削除
密度又は比重
3
密度
MOD/選択
JISは,比重の規定項目
を追加。
揮発油税法の規定が比重で記載されて
いるため。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
4. 品質
(トルエ
ン1号)
(続き)
色,全硫黄分,中性度試験,
非芳香族炭化水素,ベンゼ
ン,C8 芳香族炭化水素及
び蒸発残分。
3
JISと同じ。
IDT
−
−
硫酸着色試験
3
JISとほぼ同じ。
MOD/変更 標準比色液が異なる。
実質的差異はない。次回のJIS改正時
に,ISO規格に合わせることを検討す
る。
臭素価,臭素指数
−
−
MOD/追加
−
我が国では,商取引上,規定が必要。ISO
規格の見直し時に提案を検討する。
4. 品質
(トルエ
ン2号)
名称:トルエン2号
3
工業用トルエン2級
MOD/変更 名称が異なる。
実質的には同じである。
ISO規格見直し時,提案を検討する。
外観:透明で,かつ,不溶
解水分,沈殿物及び浮遊物
を含まない。
3
透明で,遊離の不純物
を含まない。
MOD/追加 ISO規格は,外観と不溶
解水分を別々の項目で規
定。
JISは,不溶解水分を外
観の項目で規定。
実質的な差異はない。次回のJIS改正時
に,ISO規格に合わせることを検討す
る。
不溶解水分:規定なし。
3
存在しないこと。
MOD/削除
密度又は比重
3
密度
MOD/選択 JISは,比重の規定を追
加。
揮発油税法規定が比重で記載されてい
るため。
色,中性度試験,蒸留試験,
蒸発残分。
3
JISと同じ。
IDT
−
−
全硫黄分:規定なし。
3
全硫黄分の数値を規
定。
MOD/削除
−
規定の必要がない。次回のJIS改正時
に,ISO規格に合わせることを検討す
る。
銅板腐食試験
3
JISとほぼ同じ。
MOD/変更 変色の表現が異なる。
実質的な差異はない。次回のJIS改正時
に,ISO規格に合わせることを検討す
る。
1
0
K
2
4
3
5
-2
:
2
0
0
6
11
K 2435-2:2006
11
K
2
4
3
5
-2
:
2
0
0
6
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
4. 品質
(トルエ
ン2号)
(続き)
ベンゼン:規定なし。
3
ベンゼンの質量%を規
定。
MOD/削除
−
用途が主に溶剤であるため,JISは,蒸
留範囲だけを規定。次回のJIS改正時
に,ISO規格に合わせることを検討す
る。
硫酸着色試験
3
JISとほぼ同じ。
MOD/変更 JISの規定の方が,ISO
規格の規定より緩やかで
ある。
実質的差異はない。次回のJIS改正時
に,ISO規格に合わせることを検討す
る。
臭素価,臭素指数
−
−
MOD/追加
−
我が国では,商取引上,規定が必要。ISO
規格の見直し時に提案を検討する。
5. 試験
方法
5.1 一般事項
−
−
MOD/追加
−
JISは,品質及び試験方法を一つの規格
に規定したため,一般事項を追加。
5.2 試料の採取及び調製
4
代表試料の量の採取量
を規定。
MOD/追加 試料採取量は整合してい
る。JISは,試料の採取
及び調製方法を追加し
た。
ISO規格の見直し時に提案を検討する。
5.3 外観
4
目視
IDT
−
−
5.4 色
2
JISとほぼ同じ。
MOD/追加 JISは適用範囲に加熱し
て溶融状態になる試料も
含めている。
技術的差異はない。
ISO規格の見直し時に提案を検討する。
5.5 密度又は比重
−
−
MOD/追加 密度及び比重の試験方法
を追加規定した。
ISO規格が引用している密度の試験方
法規格は廃止されている。
5.6 全硫黄分
−
規定なし。将来規定す
ると記載されている。
MOD/変更
−
ISO規格の見直し時に提案を検討する。
5.7 銅板腐食試験
2
ISO 2160を引用。
MOD/変更 ISO規格の適用範囲に芳
香族製品は入っていな
い。
ISO規格の試験方法を,トルエンに適し
た方法に変更し,規定した。ISO規格の
見直し時に提案を検討する。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
5. 試験
方法(続
き)
5.8 中性度試験
−
−
MOD/追加
−
ISO規格が引用している試験方法規格
は廃止されている。
5.9 成分試験
−
−
MOD/追加
−
5.10 蒸留試験
2
JISとほぼ同じ。
MOD/変更 蒸留フラスコの寸法及び
温度計が異なる。
蒸留試験を精度よく行うため。ISO規格
の見直し時に提案を検討する。
5.11 硫酸着色試験
−
−
MOD/追加
−
ISO規格が引用している試験方法規格
は廃止されている。
5.12 蒸発残分
−
−
MOD/追加
−
5.13 臭素価試験方法
5.14 臭素指数試験方法
−
−
MOD/追加
−
品質規定項目の追加による。
6. 表示
表示内容を規定。
−
−
MOD/追加
−
指定商品として必要。
7. 注意
事項
トルエンを取り扱う場合の
注意事項を規定。
−
規定に先立ち,警告と
して記載されている。
MOD/追加
ISO規格の見直し時,提案を検討する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
― MOD/選択……… 国際規格の規定内容と別の選択肢がある。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
1
2
K
2
4
3
5
-2
:
2
0
0
6