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K 2280-4:2013  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 試験の原理 ······················································································································ 3 

5 試薬及び標準物質 ············································································································· 4 

6 試験器···························································································································· 4 

7 試料の採取方法及び調製方法 ······························································································ 7 

8 試験用エンジン及び計測機器の基本設定並びに標準運転条件 ···················································· 7 

9 試験用エンジンの点検及び適合性試験 ················································································· 12 

10 試験の手順 ··················································································································· 13 

11 計算方法 ······················································································································ 15 

12 結果の表し方 ················································································································ 15 

13 精度 ···························································································································· 15 

14 試験結果の報告 ············································································································· 16 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 17 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,石油連盟(PAJ)から,工業標準原案を具し

て日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定し

た日本工業規格である。 

これによって,JIS K 2280:1996は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS K 2280の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 2280-1 第1部:リサーチ法オクタン価 

JIS K 2280-2 第2部:モータ法オクタン価 

JIS K 2280-3 第3部:過給法オクタン価 

JIS K 2280-4 第4部:セタン価 

JIS K 2280-5 第5部:セタン指数 

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日本工業規格          JIS 

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石油製品− 

オクタン価,セタン価及びセタン指数の求め方− 

第4部:セタン価 

Petroleum products-Determination of octane number, cetane number and 

calculation of cetane index-Part 4: Cetane number 

序文 

この規格は,1998年に第3版として発行されたISO 5165を基とし,国内の実情に合わせるため,技術

的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,ディーゼル燃料の15〜100の範囲のセタン価を求める方法について規定する。ただし,燃

料噴射ポンプに流れていかない高粘度試料,又は噴射ノズルの吐出を妨げるような試料には適用しない。 

この規格は,合成燃料,脂肪酸アルキルエステルなどの燃料にも用いることができる1)。 

注記1 通常行われる試験のセタン価の測定範囲は,30〜65である。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 5165:1998,Petroleum products−Determination of the ignition quality of diesel fuels−Cetane 

engine method(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

注1) 実用エンジンにこれらの燃料を用いた場合,どのような影響を与えるかの詳細については,分

かっていない。 

警告 この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用方法を全てに規

定しているわけではないので,この試験方法の使用者は,試験に先立って,適切な安全上及び

健康上の禁止事項を決めておかなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法 

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注記 対応国際規格:ISO 3170,Petroleum liquids−Manual sampling(MOD) 

JIS K 2269 原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

注記 対応国際規格:ISO 4787:1984,Laboratory glassware−Volumetric glassware−Methods for use and 

testing of capacity(MOD) 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的

な使い方 

ISO 3171,Petroleum liquids−Automatic pipeline sampling 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

セタン価(cetane number:CN) 

ディーゼル燃料を規定のエンジン試験で標準燃料と比較して得られる着火性の尺度。着火性とは,燃料

噴射量,噴射時期及び圧縮比を制御した標準のCFRエンジンで測定した燃料の着火遅れを意味する。 

注記 セタン価は,一定速度で運転する単気筒,4サイクル,可変圧縮比のCFRエンジンを用いて副

燃焼室タイプの圧縮着火式のエンジンにおけるディーゼル燃料の着火特性を表す。ただし,試

験エンジンと実用エンジンとの関係については,分かっていない。 

CFRエンジンは,ASTM-CFR(American Society for Testing and Materials−Cooperative Fuel 

Research Committee)によって認可されたセタン価専用のエンジンであり,製造業者は,米国内

の一社だけである。 

3.2 

圧縮比(compression ratio) 

ピストンが下死点(b.d.c)にあるときの副燃焼室を含む燃焼室の容積とピストンが上死点(t.d.c)にあ

るときの容積との比。 

3.3 

着火遅れ(ignition delay) 

燃料を噴射したときから着火するまでの時間であり,クランクの角度数で表す。 

3.4 

燃料噴射時期,燃料噴射進角(injection timing,injection advance) 

燃焼サイクル中の燃料噴射を開始する時期。燃料噴射進角ともいい,クランク角度で表す。 

3.5 

ハンドホイール示度(handwheel reading) 

圧縮比に関係するマイクロメータの指示値。この数値は,試験用エンジンの副燃焼室にある膨張プラグ

(可変圧縮プラグ)の位置を示す。 

3.6 

セタン測定器,着火遅れ測定器(cetane meter,ignition delay meter) 

四つのピックアップから入力パルスを受け取って,噴射時期及び燃料の着火遅れを表示する電子式計測

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

機器。 

3.7 

燃料噴射ノズル開弁圧力(injector nozzle opening pressure) 

ピントルを押し上げて,燃料をノズルから噴射する圧力。 

3.8 

基準ピックアップ(reference pickup) 

フライホイールポインタによって起動する試験用エンジンのフライホイール近くに取り付けられた2個

のトランスデューサ。基準上死点(t.d.c)の設定及び着火遅れ測定器を校正する時間軸に用いる。 

3.9 

燃料噴射ピックアップ(injector pickup) 

噴射ピントルの動きを示すトランスデューサ。燃料噴射時期を表す。 

3.10 

燃焼ピックアップ(combustion pickup) 

シリンダ圧力を検出する圧力トランスデューサ。燃焼開始時期を表す。 

3.11 

正標準燃料(primary reference fuels) 

n-セタン(以下,セタンという。),2,2,4,4,6,8,8-ヘプタメチルノナン(以下,ヘプタメチルノナンという。)

を体積比で混合したもの。正標準燃料のセタン価は,次の式によって求める。 

H

C

15

.0

M

M

CN

×

+

=

ここに, 

CN: セタン価 

MC: セタンの体積分率% 

MH: ヘプタメチルノナンの体積分率% 

3.12 

副標準燃料(secondary reference fuels) 

“T燃料(高セタン価)”及び“U燃料(低セタン価)”と呼ばれる2種類の燃料を体積比で混合物とし

たもの。 

注記 対応T燃料及びU燃料のセタン価は,ASTM Diesel National Exchange Groupが正標準燃料の混

合液との比較によって検定している。 

3.13 

点検燃料(check fuels) 

試験用エンジンの使用可否を判断するための適合試験に用いる燃料で,ASTM Diesel National Exchange 

Groupによって検定されたディーゼル燃料。 

試験の原理 

セタン価試験装置を規定の条件で運転し,セタン価既知の標準燃料の着火性と試料の着火性とを比較し

て決定する内挿ハンドホイール法を用いて測定する。この測定は,二つの内挿用標準燃料の圧縮比の間に

試料の圧縮比が入るように圧縮比(ハンドホイール示度)を変えて,ここで得られたハンドホイール示度

からセタン価を求める。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試薬及び標準物質 

試薬及び標準物質は,次による。 

5.1 

シリンダジャケット冷却液 JIS K 0557に規定するA3の水に不凍液,水処理剤などを加えたもの。 

気圧が低い試験室の場合は,冷却液の温度が100 ℃±2 ℃となるように市販のグリコールを主剤にした

不凍液を加えた水を用いる。水処理剤は,管内の腐食及び鉱物質スケールの付着を防ぐために用いる。冷

却液は,オーバーホール時に全量交換するのが望ましい。冷却液の廃棄については,薬品業者の推奨する

方法で処理する。 

5.2 

エンジンクランク室の潤滑油 100 ℃の動粘度が9.3〜12.5 mm2/sであり,粘度指数が85以上のも

の。 

粘度指数向上剤を含む潤滑油及びマルチグレード潤滑油を用いてはならない。 

注記 潤滑油は,JIS K 2215に規定する陸用3種3号で粘度指数が85以上のもの及びシングルグレー

ド並級モータ油30が相当する。 

5.3 

セタン正標準燃料 純度が体積分率99 %以上のもの。 

これをセタン価100とする。 

なお,純度は,JIS K 0114などによるガスクロマトグラフで測定する。 

5.4 

ヘプタメチルノナン正標準燃料 純度が体積分率98 %以上のもの。 

これをセタン価15とする。 

なお,純度は,JIS K 0114などによるガスクロマトグラフで測定する。 

5.5 

副標準燃料 “T燃料(高セタン価)”及び“U燃料(低セタン価)”と呼ばれるセタン価の異なる2

種類のディーゼル燃料を体積比で混合したもの。 

T燃料及びU燃料の貯蔵及び使用は,固化を避けるため0 ℃を超える温度でなければならない。特にT

燃料には,注意が必要である。低温で貯蔵した副標準燃料は,JIS K 2269によって測定した曇り点より,

15 ℃以上高い温度に加温して30分以上保った後,十分に混合してから用いる。 

注記1 ASTM Diesel National Exchange Groupによって検定された“T燃料”及び“U燃料”には,検

定データ及び混合表が添付されている。この表には,T燃料及びU燃料の種々の混合割合(体

積分率%)に対するセタン価が記載されている。 

注記2 通常,T燃料のセタン価は,73〜75の範囲にあり,U燃料は,20〜22の範囲にある。これら

の燃料は,Chevron Phillips Chemical Companyから市販品として入手できる。 

5.6 

点検燃料 ASTM Diesel National Exchange Groupによって検定された中間留出油タイプの典型的な

ディーゼル燃料。 

低セタン点検燃料のセタン価は,38〜42の範囲にあり,高セタン点検燃料は,50〜55の範囲にある。 

試験器 

試験器は,次による。 

6.1 

セタン価試験装置 セタン価試験装置(CFR F-5)は,次の6.1.1及び6.1.2からなる。 

セタン価試験装置の例を図1に示す。また,セタン価試験装置の計測機器及びセタン価試験装置の燃焼

室部分を,図2及び図3に示す。 

6.1.1 

試験用エンジン 試験用エンジンは,次のa)〜g) からなる。 

ベルトで連結した電動機は,エンジン始動時は,駆動機の能力を備え,燃焼運転中は,一定速度で動力

を吸収する能力を備えているものとする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 標準クランク室 潤滑油ポンプを備えたもの。 

b) シリンダ 図3に示す副燃焼室タイプの分離ヘッドを備えたもの。 

c) ジャケット冷却液システム 熱サイフォンによる再循環形のもの。 

d) 複数燃料タンクシステム 切換え弁を備えたもの。 

e) 燃料噴射器 規定のノズルを備えたもの。 

f) 

計測機器制御装置 

g) 排気管 

注記 セタン価試験装置の詳細については,ASTM D613のAnnex A2(Engine Equipment Description and 

Specifications)に記載している。 

1  燃料タンク 

12 燃料タンクドレン弁 

2  吸入空気加熱器 

13 燃料噴射ポンプ 

3  吸入空気消音器 

14 燃料切換え弁 

4  ビュレット 

15 オイルフィルタ 

5  燃焼ピックアップ 

16 潤滑油加熱調整器 

6  安全カバー 

17 吸入空気加熱器スイッチ 

7  圧縮比調整用ハンドホイール 

18 エンジン始動−停止スイッチ 

8  小ハンドホイール(膨張プラグ固定用) 

19 吸入空気加熱調整器 

9  基準ピックアップ(フライホイール) 

20 コンソール形制御盤 

10  オイルフィラーキャップ 

21 温度調節器 

11  燃料噴射ポンプ緊急遮断ソレノイド 

22 着火遅れ測定器 

図1−セタン価試験装置の例 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1 着火遅れ測定器 

7 噴射量マイクロメータ 

2 燃焼ピックアップ 

8 噴射時期マイクロメータ 

3 燃料噴射器の冷却液接続部 

9 圧縮比調整用ハンドホイール 

4 燃料噴射ピックアップ 

10 小ハンドホイール 

5 基準ピックアップ 

11 燃料切換え弁 

6 燃料噴射ポンプ 

12 ハンドホイールマイクロメータ目盛 

図2−セタン価試験装置の計測機器 

1 固定用小ハンドホイール 

6 副燃焼室 

2 圧縮比調整用ハンドホイール 

7 シリンダヘッド 

3 圧縮比調整用マイクロメータ 

8 噴射ノズル 

4 膨張プラグ 

9 シリンダ 

5 燃焼ピックアップ孔 

10 乱流通路 

図3−セタン価試験装置の燃焼室部分 

6.1.2 

計測機器 

計測機器は,次のa) 及びb) からなる。 

a) 噴射時期及び燃料の着火遅れを測定する着火遅れ測定器。 

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b) 温度計,圧力計及びその他の計測機器。 

注記1 この規格で用いる計測機器は,ASTM D613のAnnex A3(Instrumentation Description and 

Specifications)に記載している。 

注記2 エンジン部品及び計測機器は,製造業者Waukesha gas engines,GE Energyが取り扱っている。 

6.2 

正標準燃料の分注器 校正済みのビュレット又は定量容器。 

呼び容量400〜500 mLで体積の許容誤差が±0.2 %のもの。正標準燃料の調製に用いる。ビュレットの校

正は,JIS R 3505に従って行う。ビュレットは,液体を送り出すためのバルブ及び規定量を分注できる先

端部からなる。先端部は,バルブを閉止したとき,この先端部からの流出量が0.5 mLを超えない寸法及び

形状とする。分注器から液体を送り出す速度は,毎分500 mLを超えてはならない。 

注記 分注器に関する情報は,ASTM D613のAppendix X1(Volumetric Reference Fuel Blending Apparatus 

and Procedures)に記載している。 

6.3 

噴射ノズル試験器 

噴射ノズルを外したとき及び再び組み立てたときは,噴射器を点検し,ノズルから燃料を噴射する開弁

圧力を正しく設定していることを確認する。また,噴射ノズルから生じるスプレーパターンを点検する。 

注記 噴射ノズル試験器は,一般的なディーゼルエンジン保守装置として入手できる。 

6.4 

保守用専用工具 試験用エンジン及び試験装置を容易に,かつ,効率的に保守できる専用の工具及

び計器。 

注記 これらの工具及び計器のリスト及び用途の説明は,エンジン部品の製造業者などから入手でき

る。 

試料の採取方法及び調製方法 

試料の採取方法及び調製方法は,次による。 

a) 試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法,又はそれに準じた方法

によって採取及び調製する。自動サンプリングの場合には,ISO 3171によってもよい。 

b) 試料は,エンジン試験前に室温に調節する。通常,18〜32 ℃に調節する。 

c) 試料は,必要に応じて室温及び大気圧の状態で,JIS P 3801に規定するろ紙2種でろ過する。 

試験用エンジン及び計測機器の基本設定並びに標準運転条件 

8.1 

エンジン部品及び計測機器の組付け 

試験用エンジンは,セタン価の試験結果に影響を与える気体及び排気ガスの影響を受けない場所に設置

する。 

試験用エンジンは,適切な固定台に据付け,全ての付帯設備をもつ場所に設置する。また,設置又は取

付けに当たっては,遵法上の必要な諸手続を滞りなく行う。 

注記 試験用エンジン及び計測機器の据付け及び組立ての詳細は,ASTM D613のAnnex A4(Apparatus 

Assembly and Setting Instructions)に記載している。 

8.2 

エンジン回転数 

エンジン回転数の設定は,次による。 

a) エンジン回転数は,毎分(900±9)の回転に設定する。 

b) セタン価測定時のエンジン回転数の最大変化は,毎分9以内とする。 

c) 燃焼時のエンジン回転数は,燃焼を行わないモータリング時に比べて毎分3を超えてはならない。 

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8.3 

バルブ開閉時期 

試験用エンジンは,クランク軸の回転数が2の間に,吸気・圧縮・燃焼・排気の4行程を行い,一連の

燃焼サイクルを完結する。吸気バルブは,吸気行程中の上死点後(a.t.d.c)10.0°±2.5°で開き,圧縮行程

中の下死点後(a.b.d.c)34°±2.5°で閉じなければならない。 

排気バルブは,燃焼行程中の下死点前(b.b.d.c)40°±2.5°で開き,排気行程中の上死点後(a.t.d.c)15°

±2.5°で閉じなければならない。 

注記 カム軸のタイミングの設定手順は,ASTM D613のAnnex A4(Apparatus Assembly and Setting 

Instructions)に記載している。 

8.4 

バルブリフト 

吸気カムローブ及び排気カムローブ(カムの突出部)の輪郭線は,形は違っているが,基礎円からカム

ローブの頂部まで6.223〜6.350 mmの輪郭線高さがある。このため,バルブリフトは,6.045 mm±0.05 mm

になければならない。 

注記 バルブリフトを測定する手順は,ASTM D613のAnnex A4(Apparatus Assembly and Setting 

Instructions)に記載している。 

8.5 

燃料噴射ポンプのタイミング 

ポンププランジャの入口ポートの閉止は,試験用エンジンが圧縮行程のとき,フライホイールのクラン

ク角が300〜306°のときに行うように設定する。このとき,燃料の流量測定用マイクロメータは,通常の

操作位置に設定し,可変タイミングレバーは,最大進角(試験者に最も近い位置)になっていなければな

らない。 

注記 燃料噴射ポンプのタイミングの設定及び点検に関する詳細は,ASTM D613のAnnex A4

(Apparatus Assembly and Setting Instructions)に記載している。 

8.6 

燃料噴射ポンプの入口圧力 

燃料噴射ポンプの入口圧力は,燃料タンク(貯蔵タンク)及び流量測定ビュレットの取付位置によって

決まる。このときの燃料タンク及び流量ビュレットの底部は,燃料噴射ポンプ入口の中心線よりも635 mm

±25 mm上方に設定する。 

8.7 

試験用エンジンの回転方向 

試験用エンジンの回転方向は,試験用エンジンを前面から見たとき,クランク軸が時計方向に回転する

ように設定する。 

8.8 

噴射時期 

噴射時期は,試料及び正標準燃料に対して,上死点前(b.t.d.c)13.0°に設定する。 

8.9 

燃料噴射ノズル開弁圧力 

燃料噴射ノズル開弁圧力は,10.3 MPa±0.34 MPaに設定する。 

8.10 噴射流量 

噴射流量は,毎分13.0 mL±0.2 mL(60秒間±1秒間に13.0 mL)とする。 

8.11 

噴射器の冷却液通過温度 

噴射器の冷却液通過温度は,38 ℃±3 ℃に設定する。 

8.12 バルブクリアランス 

バルブクリアランスの設定は,次による。 

a) 組み立てた試験用エンジンが,運転前の冷機状態のとき,バルブステム(弁軸)とバルブロッカー半

球とのクリアランスを測定し,おおよそ次の値に設定すれば,通常用いる範囲内の“エンジン運転中

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のクリアランス”になる。 

   吸気バルブ  0.102 mm 

   排気バルブ  0.356 mm 

これらのクリアランス調整によって,吸気バルブ及び排気バルブは,試験用エンジンの暖機運転時

に適切なバルブの開閉時期を保つことができる。バルブロッカーの調節ねじによって長さを調節でき

るバルブプッシュロッドの取付けは,最終的なクリアランスの調整ができるように十分な間隔を確保

する。 

b) エンジン運転中(暖機運転中)の吸気バルブ及び排気バルブのクリアランスは,代表的なディーゼル

燃料を用いて規定の条件で運転し,0.200 mm±0.025 mmに設定する。 

8.13 潤滑油の圧力 

潤滑油の圧力は,172〜207 kPaに設定する。 

注記 この調整手順は,ASTM D613のAnnex A4(Apparatus Assembly and Setting Instructions)に記載

している。 

8.14 潤滑油の温度 

潤滑油の温度は,57 ℃±8 ℃に設定する。クランクケース内の潤滑油に感温部を完全に浸して測定する。 

8.15 シリンダジャケット冷却液の温度 

シリンダジャケット冷却液の温度は,100 ℃±1.5 ℃に設定する。 

8.16 吸入空気の温度 

吸入空気の温度は,66 ℃±0.5 ℃に設定する。 

8.17 基準着火遅れ 

基準着火遅れは,試料及び正標準燃料に対して13.0°に設定する。 

8.18 シリンダジャケット冷却液の高さ 

シリンダジャケット冷却液の高さは,サイトグラスの底から13〜19 mmとし,作動温度に達したときに

冷却液の高さは,コンデンサ側面にあるホットレベルマークの位置に調節する。 

8.19 エンジンクランク室の潤滑油の高さ 

エンジンクランク室の潤滑油の高さは,規定条件下で運転したとき,サイトグラスの中間になければな

らない。試験用エンジンが運転前の冷機状態のとき,クランク室に潤滑油を加え,油面がサイトグラスの

上部近くにくれば,規定条件下で運転したときの適正レベルになる。 

8.20 クランク室の内圧 

クランク室の内圧は,大気圧よりも水柱圧で25〜150 mm低くなければならない。ただし,負圧度は,

水柱圧254 mmを超えてはならない。測定方法は,脈動を極力少なくするため,緩衝オリフィスを通して,

クランク室の開口部に圧力計又はマノメータを接続して測定する。 

8.21 排気圧力 

排気サージタンクの排気圧力は,水柱圧254 mmを超えてはならない。測定方法は,脈動をできるだけ

少なくするため,緩衝オリフィスを通して,排気サージタンク又は排気管の開口部に圧力計又はマノメー

タを接続して測定する。 

8.22 排気及びクランク室通気管システムの共鳴 

排気及びクランク室の通気管システムは,適切な内部容積をもち,かつ,ガスによる共鳴を起こさない

ような長さにする。 

注記 共鳴が起きるかどうか判断するための手順については,ASTM D613のAppendix X2(Operating 

10 

K 2280-4:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Techniques−Adjustment of Variables)に記載している。 

8.23 ピストンの突き出し高さ 

シリンダをクランク室に組み付けるとき,ピストンが上死点(t.d.c)にあるとき,ピストンは,シリン

ダ表面の上部から0.381 mm±0.025 mm突き出ていなければならない。シリンダ及びクランク室回りの適

正な位置決めは,種々な厚さのプラスチック製又は紙製のガスケットを用いて組み立てる。 

8.24 ベルトの張力 

フライホイールを電動機に接続するベルトは,最初の慣らし運転の後に張り調整をしなければならない。

ベルトの張り具合は,試験用エンジンを止めて,フライホイールと電動機プーリとの中央で,2.25 kgのお

もりを一方のベルトからつり下げ,ベルトのたわみを約12.5 mmに調節する。 

8.25 噴射ノズルの開弁圧 

圧力調整ねじで,燃料噴射圧力を10.3 MPa±0.34 MPaに設定する。噴射ノズルの開弁圧は,ノズルの洗

浄及び組立て直した場合は,改めて設定しなければならない。 

注記 点検には,市販の噴射ノズル試験器を用いる。詳細な手順は,ASTM D613のAnnex A4(Apparatus 

Assembly and Setting Instructions)に記載している。 

8.26 噴射ノズルのスプレーパターン 

噴射ノズルからのスプレーパターンの対称性及び特性について点検する。点検は,ノズルから約76 mm

の距離に置いた1枚のろ紙又は僅かに吸収性のある材料に1回だけ噴射して,その模様を調べて行う。模

様は,放射状に噴霧している場合を正常な状態とし,模様に偏りがある場合は,ノズルを整備又は交換す

る。 

警告 噴射ノズルからの噴射圧力は,皮膚をも突き抜ける高圧のため,接触しないように安全対策を

講じなければならない。また,スプレーパターンの点検は,換気設備のある場所で,蒸気を吸

引しないように行わなければならない。 

8.27 ハンドホイール示度の調整 

8.27.1 一般事項 

ハンドホイール示度は,エンジン圧縮比を表した指示値である。この値は,試料のセタン価を内挿する

ための正標準燃料を選ぶ上で,重要な指標になる。試験用エンジンが新しい場合,一対のハンドホイール

及びシリンダヘッドを交換した場合,分解して組み直した場合は,次の手順でハンドホイールを調整する。 

注記 ハンドホイールの再調整の手順は,ASTM D613のAppendix X3(Maintenance Techniques)に記

載している。 

8.27.2 膨張プラグ(可変圧縮プラグ)の基本設定 

膨張プラグは,平らな表面がちょうど見えるようにして,燃焼ピックアップ孔のねじの端と正確に一致

するように,直定規で検証して位置を決める。 

8.27.3 ハンドホイールマイクロメータドラム及びスケールの設定 

膨張プラグを基本設定にした状態で,ハンドホイール示度が1.000になるようにハンドホイール及びス

ケールを設定する。 

注記 研磨して径が大きくなったシリンダの再設定方法は,ASTM D613のAppendix X3(Maintenance 

Techniques)に記載している。 

8.27.4 ハンドホイール示度の設定 

ハンドホイール示度の設定は,次による。 

a) 小さいロック用ハンドホイールを手で締めて,膨張プラグを孔に固定する。 

11 

K 2280-4:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 大きいハンドホイールのロックナットを緩めて,ロック用のL字形キーを取り外す。 

c) 大きいハンドホイールを回してドラムの端が水平目盛上の1.000又は任意に選択した目盛と一致させ

る。 

d) b) で取り外したL字形キーを大きいハンドホイールの最も近い鍵穴に差し込み,短い方の脚は,ハン

ドホイールに入れる。鍵穴に差し込むため,ハンドホイールを少しずらしても設定には影響しない。 

e) ロックナットを手で締め,キーを指定の位置に固定する。 

f) 

位置決め用ねじをドラムから取り外し,ドラムを回して目盛0のマークが選択した読みに一致させる。 

g) ドラムのねじ穴とハンドホイールのハブ穴とを合わせて,f) で取り外した位置決め用ねじを再び取り

付ける。 

h) 大きいハンドホイールのロックナットをレンチで固く締め,膨張プラグが適正な位置にあり,ハンド

ホイール示度が選択した数値になっているか点検する。 

8.28 基準圧縮圧力 

ハンドホイール示度が1.000のとき,標準大気圧101.3 kPaで運転する試験用エンジンの圧縮圧力は,3 275 

kPa±138 kPaでなければならない。試験用エンジンの圧縮圧力は,標準運転条件で暖機運転した試験用エ

ンジンを停止した後,できるだけ速やかに圧縮圧力ゲージを取り付けて読む。試験用エンジンの圧縮圧力

が許容範囲に入らない場合,基本ハンドホイールの設定方法を点検して見直す。必要があれば装置を分解

し,整備を行う。 

注記1 標準大気圧以外の気圧で運転する試験用エンジンの圧縮圧力は,一般にその大気圧を標準大

気圧で除した比率に比例する。例えば,大気圧が94.6 kPaにあるエンジンは,おおよそ3 060 

kPa±138 kPaの圧縮圧力を示すと考えられる。 

STD

L

L

275

3

P

P

CP

×

=

ここに, 

CPL: エンジン試験室内の気圧における圧縮圧力(kPa) 

PL: 試験用エンジンの試験室内の気圧(kPa) 

PSTD: 標準大気圧(kPa) 

注記2 圧縮圧力を点検する詳細な手順は,ASTM D613のAnnex A4(Apparatus Assembly and Setting 

Instructions)に記載している。 

警告 圧縮圧力ゲージを用いて行う圧力試験は,できるだけ短時間で終了し,圧力計又は燃焼室に残

る少量の燃料による燃焼が起きないように,噴射ノズル及び燃料ライン中の燃料を全て除去す

る。 

8.29 燃料噴射ポンプの潤滑油レベル 

試験用エンジンを停止したとき,潤滑油レベルが深さ計量棒(レベルゲージ)のマーク上にくるように,

エンジンクランク室用潤滑油を加える。 

注記 エンジン試験の結果,特にポンプのバレル/プランジャ(一式)が磨耗し始めると,油タンク

の潤滑油レベルが燃料希釈によって上昇する。この現象は,ポンプハウジングの透明なプラス

チック側板から観察できる。潤滑油レベルが正常時より上昇したときは,タンク内の潤滑油を

廃棄して,新しい潤滑油を加える。 

8.30 燃料噴射ポンプのタイミングギヤボックスの潤滑油レベル 

試験用エンジンを停止して,ギヤボックス側面の上部及び側面の中ほどにある開口部の栓を取り外す。

上部の開口部から十分な量のエンジンクランク室用潤滑油を加え,潤滑油レベルを側面の開口部の高さに

12 

K 2280-4:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

する。両方の開口部に栓を取り付ける。 

注記 ポンプ用の潤滑油タンクとタイミングギヤボックス用の潤滑油タンクとは,つながっていない

ので,双方の潤滑は,別々に行われる。 

8.31 基準ピックアップ及び燃料噴射器ピックアップの設定 

基準ピックアップ及び燃料噴射器ピックアップの位置決めは,噴射時期及び着火遅れ時期を一様に正し

く設定することになるので重要である。 

二つの基準ピックアップは,同じタイプで互換性がある。ピックアップは,これらを起動するフライホ

イール指示計を切り離し,フライホイール上のブラケットに取り付ける。 

各ピックアップのブラケットへの取付け方は,各ピックアップ附属の取扱説明書に従い,フライホイー

ル指示計に関係付けられるように,適切に保持する。 

ピックアップ及びフライホイールのクリアランスは,必要に応じて非磁気性フィラーゲージで測定し,1

〜1.25 mmに設定する。 

注記 各ピックアップの取付手順は,ASTM D613のAnnex A4(Apparatus Assembly and Setting 

Instructions)に記載している。 

8.32 噴射器ピックアップのクリアランスの設定 

試験用エンジンを停止して,噴射器ピックアップのクリアランスを,通常,1 mmに設定する。 

注記 個々のピックアップは,試験用エンジンが最終的に稼働したとき,安定したメータの読みを得

るため,1 mmを基準にして,適宜,細かな調整が必要になる場合がある。ただし,クリアラ

ンスが小さすぎると,着火遅れの角度表示が振り切れてしまうことがある。 

試験用エンジンの点検及び適合性試験 

9.1 

一般事項 

試験用エンジンは,この試験方法で規定する試験用エンジン及び計測機器の基本設定に従って運転する。

試験用エンジンは,暖機運転を行い,安定した状態であることを確認する。試験用エンジンの暖機は,通

常,1時間程度で安定する。 

9.2 

点検燃料による適合性試験 

試験用エンジンが正常な状態にあることを点検するには,3.13に規定する点検燃料を用いる。一つ以上

の点検燃料のセタン価を測定した結果が,許容範囲内にあれば,試験用エンジンが正常な状態にあると判

断できる。点検燃料のセタン価の下限値(LL)及び上限値(UL)は,次の式によって算出する。 

CF

CF

5.1 S

CN

LL

×

=

CF

CF

5.1 S

CN

UL

×

+

=

ここに, 

CNCF: 点検燃料のセタン価の決定値 

1.5: 許容限界係数(K) 

SCF: セタン価の決定値を求めたときの標準偏差 

注記 点検燃料の許容範囲は,標本の大きさ(n)に基づく許容限界係数(K)によって求めたもので

ある。 

9.3 

適合しない場合の点検 

点検燃料の測定結果が許容範囲を超えた場合は,全ての運転条件を確認した後,主要部品の点検を行い

再度点検燃料を測定する。その結果,許容範囲を超えた場合は,分解整備を行い,必要に応じて重要部品

13 

K 2280-4:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

を交換する。噴射器ノズルは,測定結果に影響を与える重要な因子となるので噴射器ノズルを最初に点検

するか,又は交換するとよい。 

10 

試験の手順 

10.1 一般事項 

試験用エンジンの運転条件は,通常のディーゼル燃料を燃焼させて安定した状態のとき,各数値が試験

条件に適合していることを確認する。型式Mark II及びそれ以前のモデルは,燃料の切換えを行う前に,

着火遅れ指示メータ上のモード選択スイッチを“calibrate”の位置にして,メータの針がフルスケールにわ

たって急激な振戻しが起こらないようにする。校正は,測定前に実施し,セタン価測定中は,調整しない。 

注記 エンジン運転及び個々の運転変数についての詳細な調整方法は,ASTM D613のAppendix X2

(Operating Techniques−Adjustment of Variables)に記載している。 

10.2 試料の導入 

試料を空の燃料タンクに注ぎ込み,燃料ビュレットを共洗いして燃料ラインからポンプまでの空気を除

去する。この作業は,混入した空気が燃料噴射に影響し,試験用エンジンの運転が不調になることを避け

るため,重要である。その後,燃料切換え弁を試料の入ったタンクの方に回して運転する。 

試料の曇り点が高く,ワックスが析出している場合には,試料をJIS K 2269によって測定した曇り点よ

り10 ℃以上高い温度に加熱して,1時間以上又はワックスが完全に溶解するまで保持する。 

10.3 燃料噴射量 

燃料噴射量を燃料噴射ポンプの流量マイクロメータによって調節し,消費量が毎分13 mLに設定する。

最終流量は,60秒間±1秒間測定し,流量測定用マイクロメータの示度を基準値として記録する。 

10.4 燃料噴射時期 

燃料噴射量を決定した後,燃料噴射ポンプの噴射時期マイクロメータを調整し,燃料噴射時期を13.0°

±0.2°に設定する。噴射時期マイクロメータの示度を基準値として記録する。 

10.5 着火遅れ 

ハンドホイールを調整して圧縮比を変え,着火遅れ示度を13.0°±0.2°に設定する。ハンドホイールの

最終調整は,試験用エンジンの前面から見て,時計方向に回して,ハンドホイールの遊び(バックラッシ

ュ)による誤差要因を除く。 

10.6 安定化 

噴射時期及び着火遅れの示度が安定するまで待つ。通常,5〜10分の間に安定した示度が得られる。試

料及び標準燃料の安定時間は,それぞれ同様に3分以上でなければならない。 

10.7 ハンドホイール示度 

着火遅れ示度が13.0°を表示するのに必要なハンドホイール示度を記録する。このハンドホイール示度

から,試料の予測セタン価が過去のデータによって推定できる。 

10.8 標準燃料の選定 

標準燃料の選定は,次による。 

a) 第一標準燃料 第一標準燃料の調製及び測定は,次による。 

1) 試料の予測セタン価に近い正標準燃料又は副標準燃料(T燃料及びU燃料)の混合液を選ぶ。選択

した標準燃料を400〜500 mL新しく調製する。 

2) これを第一標準燃料として,未使用の燃料タンクの一つに注入する。このとき,10.2に従って試料

と同じように燃料ラインを共洗いする。 

background image

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K 2280-4:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3) 試料の場合と同様に10.2〜10.7に示す手順で調整し,測定して得られたハンドホイール示度の読み

を記録する。 

注記 この試験手順によるハンドホイール示度とセタン価の関係は,試験を経験して,セタン価と

ハンドホイール示度との相関図又は表を作れば,標準燃料を選択する指針となる。 

b) 第二標準燃料 もう一つの正標準燃料又は副標準燃料を第二標準燃料として選ぶ。選択した第二標準

燃料のハンドホイール示度は,a) で測定した第一標準燃料のハンドホイール示度との間に試料のハン

ドホイール示度が入るように選ぶ。ただし,第二標準燃料のセタン価は,第一標準燃料とのセタン価

の差が5.5以内でなければならない。副標準燃料の場合,通常,T燃料が体積分率5 %異なる混合液は,

セタン価として約2.8の差があり,体積分率10 %異なる混合液は,約5.6の差がある。第二標準燃料

の調製及び測定は,次による。 

1) 第二標準燃料として選択した正標準燃料又は副標準燃料を新たに400〜500 mL調製する。 

2) 第二標準燃料を3番目の燃料タンクに注入し,燃料ラインを共洗いする。 

3) 試料及び第一標準燃料の場合と同様に測定して,得られたハンドホイール示度を記録する。 

注記 2種類の標準燃料の組成は,類似しているため,燃料噴射量の調整における燃料の流量は,

同じ程度になる。 

c) 標準燃料の再選定 試料のハンドホイール示度が,2種類の標準燃料のハンドホイール示度の間にあ

れば,試験を続ける。間にない場合は,この条件を満たすまで標準燃料の組合せを変えて試験する。 

10.9 測定の読取順序 

測定の読取順序は,次による。 

a) 第二標準燃料の試験が正常であれば,試料,次いで第二標準燃料,最後に第一標準燃料を再度測定す

る。 

b) 各々の燃料に対するハンドホイール示度を読み取るときは,全てのパラメータを確認し,運転が安定

になってから,ハンドホイール示度を記録する。 

c) 燃料の切換えは,図4“シーケンスA”による。 

d) 試料を第一標準燃料の直後に試験した場合には,第一標準燃料のハンドホイール示度は,新しい試料

に適用できる。この場合の燃料の切換えは,図4“シーケンスB”による。 

e) “シーケンスA”又は“シーケンスB”によって測定したハンドホイール示度の平均値を求める。 

[シーケンスA]の読取順序 

第一標準燃料 

試料 

第二標準燃料 

[シーケンスB]の読取順序 

第一標準燃料 

試料 

第二標準燃料 

図4−燃料の切換え及びハンドホイール示度の読取順序 

background image

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K 2280-4:2013  

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11 

計算方法 

試料のセタン価は,次の式によって算出する。 

(

)(

)

(

)

LRF

HRF

LRF

HRF

LRF

S

LRF

S

HW

HW

CN

CN

HW

HW

CN

CN

×

+

=

ここに, 

CNS: 試料のセタン価 

CNLRF: 低セタン価標準燃料のセタン価 

CNHRF: 高セタン価標準燃料のセタン価 

HWS: 試料のハンドホイール示度の平均値 

HWLRF: 低セタン価標準燃料のハンドホイール示度の平均値 

HWHRF: 高セタン価標準燃料のハンドホイール示度の平均値 

計算例 

ハンドホイール示度の平均値 

セタン価 

第一標準燃料 

1.520 

37.0 

試料 

1.545 

CNS 

第二標準燃料 

1.576 

42.3 

(

)(

)

(

)

520

.1

576

.1

0.

37

3.

42

520

.1

545

.1

0.

37

S

×

+

=

CN

4.

39

S=

CN

12 

結果の表し方 

セタン価は,JIS Z 8401の規定によって,丸めの幅0.1に丸める。 

13 

精度 

13.1 一般事項 

この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。試験結果が許容差を外れ

た場合は,JIS Z 8402-6の規定によって処理する。 

13.2 室内併行精度 

同一試験室において,同一人が同一試験器で引続き短時間に同一試料を2回試験したとき,試験結果の

差の許容差は,表1による。 

13.3 室間再現精度 

異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して求めた2個の試験結

果の差の許容差は,表1による。 

表1−精度 

試験結果の平均値a) 

室内併行許容差 

室間再現許容差 

40 

0.8 

2.8 

44 

0.9 

3.3 

48 

0.9 

3.8 

52 

0.9 

4.3 

56 

1.0 

4.8 

注a) 試験結果の平均値が,表中の平均値の間にある場合は,補間法によって室内併行許容

差及び室間再現許容差を求める。 

16 

K 2280-4:2013  

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14 

試験結果の報告 

試験結果には,次の事項を記載する。 

a) 試料名,採取場所及び採取年月日 

b) この規格の番号(JIS K 2280-4) 

c) 結果(箇条12の表し方による) 

d) 試験年月日 

e) 特記事項 

参考文献 [1] JIS K 2215 内燃機関用潤滑油 

[2] ISO 3015,Petroleum products−Determination of cloud point 

[3] ISO 3696,Water for analytical laboratory use−Specification and test methods 

[4] ASTM D613,Standard Test Method for Cetane Number of Diesel Fuel Oil 

[5] ASTM E832,Standard Specification for Laboratory Filter Papers 

[6] JPI-5R-39 セタン価測定・整備マニュアル(公益社団法人石油学会規格) 

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17 

K 2280-4:2013  

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附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS K 2280-4:2013 石油製品−オクタン価,セタン価及びセタン指数の求め方−第
4部:セタン価 

ISO 5165:1998 Petroleum products−Determination of the ignition quality of diesel 
fuels−Cetane engine method 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範
囲 

セタン価の適用範
囲 

セタン価の適用範囲を0
〜100に規定。 

変更 

JISは,セタン価の適用範囲を
15〜100として規定している。 

正標準燃料をセタン価0としてい
た1-メチルナフタレンからセタ
ン価15としたヘプタメチルノナ
ンへの変更に伴い適用範囲を変
更した。適用範囲の変更をISO規
格の定期見直し時に提案する。 

5 試薬及
び標準物
質 

5.1 シリンダジャケ
ット冷却液 

5.1 

水の仕様にISO 3696を規
定。 

変更 

JISは,水の仕様にJIS K 0557
を規定している。 

国内の実情に合わせてJISを規定
した。技術的差異はない。 

5.3 セタン正標準燃
料 

5.3 

純度の測定にクロマトグ
ラフィーを規定。 

追加 

JISは,純度の測定にJIS K 
0114を規定している。 

測定方法を明確にするために追
加した。技術的差異はない。 

5.4 ヘプタメチルノ
ナン正標準燃料 

5.4 

純度の測定にクロマトグ
ラフィーを規定。 

追加 

JISは,純度の測定にJIS K 
0114を規定している。 

測定方法を明確にするために追
加した。技術的差異はない。 

5.5 副標準燃料 

5.5 

曇り点の測定にISO 3015
を規定。 

変更 

JISは,曇り点の測定にJIS K 
2269を規定している。 

国内の実情に合わせてJISを規定
した。技術的差異はない。 

7 試料の
採取方法
及び調製
方法 

c) 試料のろ過 

ろ過に用いるろ紙につい
てASTM E832を規定。 

変更 

JISは,ろ過に用いるろ紙につ
いてJIS P 3801を規定してい
る。 

国内の実情に合わせてJISを規定
した。技術的差異はない。 

2

K

 2

2

8

0

-4

2

0

1

3

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

18 

K 2280-4:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

8 試験用
エンジン
及び計測
機器の基
本設定並
びに標準
運転条件 

8.3 バルブ開閉時期  

8.3 

吸気行程及び排気行程中
のバルブ開閉時期に許容
差(±2.5°)を規定。 

追加 

JISは,4行程全てのバルブ開
閉時期に許容差(±2.5°)を
規定している。 

計測機器の調整方法を分かりや
すくするため追加した。技術的差
異はない。 

8.12 バルブクリア
ランス 

8.12 

吸気バルブ0.075 mm
(0.004 in),排気バルブ
0.330 mm(0.014 in) 

変更 

JISは,吸気バルブ0.102 mm,
排気バルブ0.356 mm。 

インチが基準であり,正しい数値
(mm)に変更した。ISO規格の
定期見直し時に修正を提案する。 

8.18 シリンダジャ
ケット冷却液の高
さ 

8.18 

JISにほぼ同じ。 

追加 

JISは,冷却液の量を調節する
参考として数値を追加してい
る。 

作業を分かりやすくするため追
加した。技術的差異はない。 

8.26 噴射ノズルの
スプレーパターン 

8.26 

JISにほぼ同じ。 

追加 

JISは,点検の判定方法を追加
している。 

点検方法を分かりやすくするた
めに追加した。技術的差異はな
い。 

8.31 基準ピックア
ップ及び燃料噴射
器ピックアップの
設定 

8.31 

基準ピックアップの設定 

追加 

JISは,二つの基準ピックアッ
プの名称を明記し,設定値を追
加している。 

設定手順を分かりやすくするた
め追加した。技術的差異はない。 

10 試験の
手順 

10.2 試料の導入 

10.2 

ISO規格には,ワックス
が析出している場合の対
処法がない。 

追加 

JISは,混入空気の除去作業の
重要性及びワックスが析出し
ている場合の対処法を規定し
ている。 

作業を分かりやすくするため追
加した。技術的差異はない。 

10.8 b) 第二標準燃
料 

10.9 

JISにほぼ同じ。 

変更 

JISは,各第二標準燃料のセタ
ン価の差の数値を変更してい
る。 

最新の数値に変更した。技術的差
異はない。 

10.9 測定の読取順
序 

10.11 

JISにほぼ同じ。 

変更 

JISは,測定順序及び燃料の切
換え順序(シーケンスA及び
シーケンスB)を変更してい
る。 

経時変化の影響を抑えるために
国内で通常行われている順序に
変更した。技術的差異はない。 

12 結果の
表し方 

数値の丸め方 

12 

JISにほぼ同じ。 

追加 

JISは,数値をJIS Z 8401によ
って丸めることを規定。 

数値の丸め方を明確にするため
追加した。技術的差異はない。 

2

K

 2

2

8

0

-4

2

0

1

3

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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19 

K 2280-4:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

13 精度 
 

許容差を外れた場
合の処理 

13 

ISO規格にはない。 

追加 

JISは,許容差を外れた場合の
処理方法としてJIS Z 8402-6
によって処理することを規定。 

JIS規格体系に合わせるため追加
した。技術的差異はない。 

Note 

精度を決定した照合試験
を記述。 

削除 

JISは,ISO規格の精度を採用
している。 

JIS規格様式に合わせ解説に記載
した。技術的差異はない。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 5165:1998,MOD 

関連する外国規格 

ASTM D613 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

2

K

 2

2

8

0

-4

2

0

1

3

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。