日本工業規格
JIS
K
2275
-1996
原油及び石油製品−水分試験方法
Crude oil and petroleum products
−
Determination of water content
1.
適用範囲 この規格は,原油及び石油製品の水分を定量する方法について規定する。
備考1. この規格は危険な試薬,操作及び装置を使うことがあるが,安全な使用方法をすべてにわた
って規定しているわけではないので,この試験法の使用者は使用に先立って,適切な安全及
び健康上の禁止事項を決めておかなければならない。
2.
この規格の引用規格を,
付表 1 に示す。
3.
対応国際規格を,次に示す。
ISO 3733 : 1976 Petroleum products and bituminous materials
− Determination of water −
Distillation method
ISO 9029 : 1990 Crude petroleum
−Determination of water−Distillation method
2.
試験方法の種類 試験方法の種類は,表 1 の 4 種類とする。
表 1 水分試験方法の種類
試験方法
適用水分範囲
備考
蒸留法 0.05 容量%以上
1.
水と油を乳化及び安定化させる目的で使用される添加剤を含
む試料(例えば,アスファルト乳剤)には適用できない。
2.
揮発性で水に溶解する物質(例えば,アルコール類)は,水
分として定量される。
カールフィッシャー
式容量滴定法
カールフィッシャー
式電量滴定法
原油:0.02%以上
5.00%
以下
石油製品:20ppm 以上(
2
)
単位は,容量又は質量を
示す。
1.
メルカプタン硫黄分と硫化水素との合計が 150 質量 ppm 以上
には適用できない。
2.
水以外でカールフィッシャー試薬と反応する物質(以下,妨
害物質という。
)(
1
)
を含む添加剤を添加した石油製品には適用でき
ない。ただし,妨害物質を含んでいても水分気化装置を用いた場
合に気化ガス中に妨害物質を含まない試料は,水分気化装置を用
いて適用してもよい。
水素化物反応法 0.05∼2.0 容量%
この方法は,ポータブル型で電気や火気を使用しないために,実
験室以外の場所での測定に適している。
注(
1
)
妨害物質には,次のものがある。
(1)
遊離アルカリ,酸化性物質,還元性物質,メルカプタンなど,よう素と反応する物質。
(2)
二酸化硫黄,ピリジン又はメタノールと反応して水を生成する物質。
(
2
)
水分が 20ppm より少ない石油製品の場合には,試料のはかり採り量を増やして適用してもよい。
備考 水分試験に際しては,油種・予期水分濃度・妨害物質の有無によって試験方法を選定するとよい。
なお,原油の試料と水の均質方法を
附属書(原油試料の均質化方法)に示す。
2
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3.
蒸留法
3.1
試験の原理 試料を蒸留フラスコに採り,これに水に不溶な溶剤を加えて,加熱しながら還流させ
る。凝縮した溶剤と水は,連続的に検水管に捕集されて 2 層に分かれ,溶剤は蒸留フラスコへ戻り,水は
検水管の目盛部にたまる。この検水管の捕集水量と試料はかり採り量から試料中の水分を求める。
3.2
溶剤 水を含まない次の(1)∼(3)のものが適切である。
なお,適用油種による溶剤使用例を
表 2 に示す。
表 2 油種別使用溶剤(一例)
油種
溶剤
原油
キシレン
燃料油,潤滑油,石油スルホン酸塩
石油系留出油,キシレン
歴青物(アスファルトなど)
芳香族溶剤
グリース
揮発性スピリット溶剤
(1)
芳香族溶剤 水分を含まない次の芳香族溶剤とする。
(a)
キシレン JIS K 2435 に規定する 1 号キシレン又は JIS K 8271 に規定する 1 級。
(b)
トルエン・キシレン混合溶剤 JIS K 8680 に規定するトルエン又は JIS K 2435 に規定する純トルエ
ン 1 号の 20 容量%とキシレン 80 容量%を混合したもの。
(c)
ソルベントナフサ 水を含まない石油ナフサ又はコールタールナフサで,125℃留出量が 5 容量%以
下,160℃留出量が 20 容量%以上,密度 (15℃) が 0.854 6g/cm
3
以上のもの。
(2)
石油系留出油 沸点範囲 90∼100℃が 5 容量%以下で,210℃以下で 90%留出するもの。
(3)
揮発性スピリット溶剤 水分を含まない次のいずれかを用いる。
(a)
狭沸点範囲の石油系留出油 沸点範囲が 100∼120℃のもの。
(b)
イソオクタン 純度 95 容量%以上のもの。
備考1. 石油系留出油又は狭沸点範囲の石油系留出油の入手が困難な場合には,JIS K 2201に規定す
る工業ガソリンを蒸留して得たそれぞれの上記沸点範囲の留出油を用いるとよい。
2.
イソオクタンは,JIS K 2280 に規定するイソオクタンを用いるとよい。
3.3
蒸留法水分試験器 試験器は,次の(1)∼(4)からなり,図 1 に組立の一例を示す。
3
K 2275-1996
図 1 蒸留法水分試験器(一例)
(1)
蒸留フラスコ 硬質 1 級のガラス製又は金属製で,検水管との接続部はすり合わせ又は O リングシー
ルのもの。
なお,
図 2∼7 に形状・寸法の例を示す。
図 2 500ml ガラス製蒸留フラスコ(一例)
備考 500ml 蒸留フラスコは,JIS K 2839 の図 83 がこれに相当する。
4
K 2275-1996
図 3 1 000ml ガラス製蒸留フラスコ(一例)
図 4 500ml 金属製三角フラスコ(一例)
備考 グリースなどのような固体又は半固体試料の場合には,試料採取及び試験終了後の洗浄の際に図 5 に示すセ
パレートタイプの蒸留フラスコ又は
図 6 に示す金属製蒸留フラスコを用いると便利である。
図 5 セパレートタイプ蒸留フラスコ(一例)
備考 カバーとフラスコのすり合わせは,水密でなければならない。
5
K 2275-1996
図 6 金属製蒸留フラスコ(一例)
(2)
冷却器 検水管との接続部をもつガラス製の冷却器とする。その一例を図 7 に示す。
6
K 2275-1996
図 7 冷却器
備考1. 冷却器の(a)は,JIS K 2839の図84のものがこれに相当する。
2.
必要に応じ(特に原油の場合)
,次のものを使用すると便利である。
(a)
大気中の水分の侵入を防ぐため,冷却器の頂部に吸湿によって変色をする乾燥剤を詰めた乾燥管を取り付け
る。
(b)
冷却器内管に水滴が付着したとき,キシレンを噴霧させる噴霧管,先端に PTEF 製の板を取り付け,水滴を検
水管に流れさせるピック,スクラバーなど(
参考図 1 参照)。
7
K 2275-1996
参考図 1
(3)
加熱器 ガラス製の蒸留フラスコ用は,電気加熱式のフラスコヒータ又はマントルヒータとし,金属
製の 1 000ml 蒸留フラスコ用は,ガス加熱式のリングバーナとする。リングバーナは,試料が蒸留フ
ラスコ内で泡立ったり,固まったりする可能性のある場合は,試験をする際に容器の外部を昇降でき
る寸法でなければならない。
(4)
検水管 ガラス製で次の(a)∼(d)に示す 2ml,5ml,10ml 及び 25ml のいずれかとし,冷却器と蒸留フ
ラスコとの接続部はすり合わせのもの。
(a) 2ml
検水管 表 3 に示す目盛をもつもの。
なお,その形状・寸法の一例を
図 8 に示す。
8
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図 8 2ml 検水管(一例)
備考 2ml 検水管は,JIS K 2839 の図 226 がこれに相当する。
(b) 5ml
検水管 表 4 に示す目盛をもつもの。
なお,その形状・寸法の一例を
図 9 及び図 10 に示す。
表 4 20℃における目盛
単位 ml
目盛範囲
長目盛線
目量
目盛許容差
目盛数字
0.00
∼5.00 1.0 0.10
0.10
以下 1.0
9
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図 9 5ml 検水管(テーパすり合わせの一例)
図 10 5ml 検水管(球面すり合わせの一例)
(c) 10ml
検水管 表 5 に示す目盛をもつもの。
なお,形状・寸法の一例を
図 11∼13 に示す。
表 5 20℃における目盛
単位 ml
目盛範囲
長目盛線
目量
目盛許容差
目盛数字
1.0
以下の部分 1
0.1
0.05
以下 1
1.0
を超える部分
1
ごと 0.2
0.1
以下
1
ごと
(d) 25ml
検水管 表 6 に示す目盛をもつもの。
なお,その形状・寸法の一例を
図 14∼16 に示す。
10
K 2275-
199
6
図 11 10ml 検水管
図 12 10ml 検水管
図 13 10ml 検水管
(テーパすり合わせ)
(球面すり合わせ)
(1 000ml 金属フラスコ用)
備考 図 11 及び図 12 の 10ml 検水管は,JIS K 2839 の図 85 及び図 87 のものが,これに相当する。
11
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6
表 6 20℃における目盛
単位 ml
目盛範囲
長目盛線
目量
目盛許容差
目盛数字
1.0
以下の部分 1
0.1 0.05
以下 1
1.0
を超える部分
1
ごと 0.2
0.1
以下
1
ごと
図 14 25ml 検水管
図 15 25ml 検水管
図 16 25ml 検水管
備考1. 図14及び図15の25ml 検水管は,JIS K 2839の図86及び図88のものがこれに相当する。
2.
水分の多い試料には,コック付検水管を用いてもよい。その略図を
図 17 に示す。
12
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図 17 コック付き検水管(略図)
3.4
試験器の校正 蒸留法の試験器の校正は,次による。
(1)
検水管の校正 5ml のマイクロビューレット又は 0.01ml のけたまで読み取れる正確なマイクロピペッ
トを用いて検水管に 0.05ml ずつ蒸留水を加え,検水管の目盛線が正確であることを確認する。加えた
水量と読み取った水量との間に 0.050ml 以上の差がある場合,この検水管は破棄するか校正して使用
する。
(2)
組合せ校正 試験器の組立などが正しいかどうかを次のようにして確かめる。3.6(1)に従って清澄な炭
化水素油及び溶剤を蒸留フラスコに採る。これに
表 7 に示す量の水をビュレット又はピペットで正確
に加えて混合した後,3.6(2)∼(5)の操作を行い,捕集水量を求める。得られた捕集水量が
表 7 に示す
許容範囲内にあれば試験器の組立などは正しいものとみなす。
許容範囲を外れる場合は,
蒸気の漏れ,
加熱速度の速すぎ,検水管目盛の不正確,外部からの水分の侵入などが考えられるので,これらの因
子を取り除いてから校正の操作をやり直す。
13
K 2275-1996
表 7 試験器の校正許容差
単位 ml
検水管の種類
蒸留フラスコへの水添加量
(20
℃)
捕集水量の許容差
(20
℃)
2ml 1.00
1
± 0.05
5ml 1.00
1
± 0.1
1.0
1
± 0.1
5.0
5
± 0.2
10ml
及び 25ml
12.0
12
± 0.2
3.5
試料の採取及び調製方法 試料の採取及び調製方法は,次による。
(1)
試験用の試料は,JIS K 2251 に規定する一次試料の採取及び二次試料調製方法,又はそれに準じた方
法によって行う。
(2)
試料の準備は,次によって試料を均質にし(
3
)
,測定用試料を調製する。もし試料を均質にするのが困
難な場合は,測定を 2 回以上繰り返して行い,その平均値を試験結果とする。
(a)
液状試料は,よく振り混ぜる。必要ならば温めた後,振り混ぜる。
(b)
ぜい(脆)弱な固体試料(例えば,アスファルト)は,粉砕し完全に混合する。
注(
3
)
原油の場合,長時間放置されたり,水分の沈降などで水分が不均一であることが予測される試
料は,
附属書に規定する方法で均質にした後,測定する。
3.6
試験の手順 蒸留法の試験の手順は,次による。
(1)
試料の予期水分に応じた試料量(
4
)
±1%を正確に,蒸留フラスコにはかり採った後,突沸を防ぐために
ガラス玉又はそれに代わる沸石を蒸留フラスコへ入れる。
注(
4
)
試料のはかり採り量は,予期水分が0.1%未満の場合は200ml 又は200g,予期水分が0.1%以上の
場合は100ml 又は100g が望ましい。
なお,水分を多量に含む場合は,試料はかり採り量を減らしてもよい。
(a)
流動性物質の場合 メスシリンダで試料をはかり採る。メスシリンダに付着した試料を初めに溶剤
50ml
で 1 回,次いで 25ml で 2 回すすぎ,それらの液を試料の入った蒸留フラスコに完全に移し入
れる。
(b)
固形物質又は粘着性物質の場合 直接蒸留フラスコに試料を質量ではかり採り,溶剤 100ml を加え
る。
備考 トルエンの蒸気は有害であるから吸引しないように注意すること。特に,トルエンが眼に入る
と危険であるが,他の溶剤の場合でも入らないように注意する。
(2)
試料の予期水分によって適切な検水管を選び(
5
)
,
図 1 のように接続部から蒸気や液が漏れないように
しっかりと試験器を組み立てる。
注(
5
)
次の事項に注意し検水管を選定する。
(a)
原油など 100℃以下の留分を含む試料 100℃以下の留出量が検水管の目盛範囲の上限を超えない
ような検水管を用いる。
(b)
水分の多い試料 捕集水量が検水管の目盛範囲の上限を超えないような検水管を用いる。ただし,
コック付検水管を使用する場合はこの限りではない。
備考 冷却器管内と検水管内部は,凝縮水が目盛部へ流下する際,水滴が付着しないように清浄でな
ければならない。
14
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(3)
冷却器の頂部に綿をかるく詰め,冷却器のジャケットに通水した後,
蒸留フラスコの加熱を開始する。
(4)
冷却器の下端から凝縮液が毎秒 2∼5 滴の割合で落下するように蒸留フラスコの加熱を調整する。検水
管以外の部分に水が認められなく,かつ,検水管の捕集水量が 5 分間変わらなくなるまで蒸留を続け
る。
冷却器の管内に付着した水の環が認められるときには注意しながら蒸留速度を増すか,数分
間冷却水の通水を止める。
(5)
水の留出が終わったら,検水管と内容物を室温まで放冷する。検水管の側壁に付着している水滴を,
ガラス棒,その他の適切な手段で水槽に移し,検水管中の捕集水の量を読み取る(
6
)
。
注(
6
)
読み取りは,検水管の目量の
2
1
までとする。
3.7
計算方法及び精度
3.7.1
蒸留法による水分は次の式によって算出し,水分が 0.1%以上の場合は,JIS Z 8401 によって有効
数字 2 けたに丸め,容量%又は質量%で表す。ただし,最小けたを小数点 1 けたとする。
また,水分が 0.1%未満の場合は 0.05 又は 0.00 に丸める。
C
A
W
V
100
=
又は
D
M
A
W
V
/
100
=
M
A
W
M
100
=
ここに,
W
V
: 試料中の水分(容量%)
W
M
: 試料中の水分(質量%)
A
:
捕集水の量 (ml) (
W
M
を算出するときは ml を g と読み替える。
)
C
: 試料はかり採り量 (ml)
M
: 試料はかり採り量 (g)
D
: 試料の密度 (15℃) (g/cm
3
)
3.7.2
精度
(1)
石油製品の場合 蒸留法による 10ml 検水管及び 25ml 検水管を使用した場合の試験結果の許容差(確
率 0.95)を次に示す。
なお,2ml 及び 5ml の検水管を用いた場合には,この許容差は適用できない。
備考 試験結果が,許容差を外れた場合は,JIS Z 8402 の規定によって処理しない。
(a)
室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間内に同一試料を 2 回
試験したとき,試験結果の差の許容差を
表 8 に示す。
(b)
室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ 1 回ずつ試験し
たとき,2 個の試験結果の差の許容差を
表 8 に示す。
表 8 石油製品の蒸留法の精度
単位 ml
捕集水量
室内併行許容差
室間再現許容差
1.0
以下 0.1 0.2
1.0
を超え 25 まで 0.1 又は平均値の 2%のうち,
いずれか大きい方
0.2
又は平均値の 10%のうち
いずれか大きい方
(2)
原油の場合 蒸留法による 0.01∼1.0%の範囲の試験結果の許容差(確率 0.95)を次に示す。
(a)
室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間内に同一試料を 2 回
試験したときの試験結果の差の許容差を
表 9 に示す。
(b)
室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ 1 回ずつ試験し
15
K 2275-1996
たとき,2 個の試験結果の差の許容差を
表 9 に示す。
表 9 原油の蒸留法の精度
単位 容量%
水分
室内併行許容差 室間再現許容差
0.0
を超え 0.1 以下
図 18 参照
図 18 参照
0.1
を超え 1.0 以下
0.08 0.11
図 18 0.0∼0.1%の水分量の精度
3.8
試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。
(1)
試料名,試料採取場所及び採取年月日
(2)
JIS
の規格番号:JIS K 2275
(3)
試験項目名又はその略号及び 3.7 によって得られた最終試験結果
(4)
特記事項
4.
カールフィッシャー式容量滴定法
4.1
試験の原理 外気と遮断した滴定フラスコ内で試料を混合溶剤に溶かした後,水と定量的に反応す
るカールフィッシャー試薬で滴定し,遊離よう素によって滴定系中の分極電圧が急激に変化する点を電気
的に検出して滴定終点とする。
試料中の水分は,カールフィッシャー試薬 1ml が水と反応する mg 数(以下,力価という。
)
,滴定に要
したカールフィッシャー試薬量及び試料はかり採り量から求める。
備考 試料中のメルカプタン硫黄分及び硫化水素,1 質量 ppm は,それぞれ 0.3 質量 ppm,0.6 質量
ppm
の水分に相当する正の誤差を生じる。
参考 この試験方法は ISO/DIS 10336 : 1993,ISO/DIS 6296 : 1982 を参照して作成している。
4.2
試薬 カールフィッシャー式容量滴定法の試薬は,次による。
(1)
カールフィッシャー試薬 力価が,0.5mg/ml,1.0mg/ml,3.0mg/ml 又は 5.0mg/ml のものを試料の予期
水分によって選択する。
この試薬は遮光して冷暗所に保存する必要がある。
16
K 2275-1996
備考 カールフィッシャー試薬を調製する場合は,JIS K 0113 に規定された方法による。
参考 市販のカールフィッシャー試薬を用いてもよい。
(2)
混合溶剤 JIS K 0113 に従って脱水したメタノールと JIS K 8322 規定するクロロホルムを 1 : 4(容積)
で混合したもの又は試料に適した混合溶剤。
(3)
水−メタノール標準液 水の濃度が 2.0mg/ml のもの。
備考 有機溶剤を取り扱う場合には,蒸気の吸入を避け,人体に付着した場合には,石けん,水で洗
浄する。
参考 市販のカールフィッシャー用水−メタノール標準液を用いてもよい。
(4)
水 JIS K 0557 に規定する A3 のもの。
(5)
酒石酸ナトリウム二水和物 JIS K 8540 に規定する酒石酸ナトリウム二水和物を水溶液から再結晶さ
せ,よく付着水分を除いてから,室温 (10∼30℃),相対湿度約 50%で 48 時間以上乾燥し,恒量(含
水量を一定)としたものを用いる。
4.3
カールフィッシャー式容量滴定法水分試験器 試験器は,滴定部,測定制御部及び表示部からなり,
図 19 に構成の一例を示す。
図 19 水分試験器の構成(容量滴定法の一例)
(1)
滴定フラスコ 滴定フラスコ(
7
)
は,容量約 250ml の試料注入口,検出電極,滴定ノズル及び乾燥管(
8
)
を備えたガラス製平底フラスコで,かき混ぜ速度を適当に調節できる電磁スターラの上に置く。
なお,試料注入口はパッキン付きのステンレス鋼製又は四ふっ化エチレン樹脂製ストッパをすり合
わせ結合できる構造のもの。
17
K 2275-1996
注(
7
)
ガラス器具の連結部はすり合わせとし,グリース(カールフィッシャー試薬と反応したり,溶
解しないもの)を塗り保護する。
(
8
)
大気からの吸湿を防ぐ目的で,乾燥したシリカゲル,活性アルミナなどの乾燥剤を入れておく。
備考 注射器を用いて試料を滴定フラスコに入れる際に,試料注入口に図 20 に示すようなストッパを
取り付けて大気からの吸湿を防ぐとよい。
図 20 ストッパ(一例)
(2)
ビュレット 目量 0.02ml 以下のもの。
なお,
自動ビュレットを用いる場合は,
容量 10ml 又は 20ml の自動切換弁付ピストンビュレットで,
パルスモータによって最小排出量が 0.01∼0.02ml のものが適切である。
(3)
試料注入器 外気水分の影響を受けないで試料のはかり採りができるもの。その一例を図 21 に示す。
図 21 試料注入器(一例)
備考 水分気化装置 水分気化装置は,試料を加熱しながら水を含まない窒素ガスなどで試料中の水
分を気化させ,その気化ガスを滴定フラスコに導くもので,その一例を
図 22 に示す。
参考 水分気化装置の操作方法は,装置メーカーの取扱説明書によるとよい。
図 22 水分気化装置のフローチャート(一例)
(4)
マイクロシリンジ 容量 10
µl 又は 50µl で,針の長さは 130mm 以上のもの。
4.4
カールフィッシャー試薬の力価標定 カールフィッシャー試薬は,試験前にあらかじめ次によって
力価の標定を行う。
18
K 2275-1996
(1)
水を用いる方法 次の手順で力価の標定を行う。
(a)
混合溶剤約 50ml を滴定フラスコに採り,栓をしてから電磁スターラを作動させる。次に滴定を開
始し,カールフィッシャー試薬で終点(
9
)
まで滴定し,フラスコ内を無水状態とする。
注(
9
)
終点はカールフィッシャー試薬1滴の滴下で,分極電圧の急激な低下が一定時間(30∼60秒間)
持続したときとする。
備考 滴定フラスコ内が無水状態となってから 4.6(3)までに要する時間だけ放置して,再滴定したと
き,カールフィッシャー試薬が消費されないことを確認すること。
(b)
次にマイクロシリンジを用いて
表 10 に示す量の水を滴定フラスコに素早く加える(
10
)
。水の正確な
量は,水を加える前後の注射器の質量差を 0.1mg のけたまではかって求める。
注(
10
)
大気からの吸湿を防ぐために栓の開口時間は最小限度にとどめる。
表 10 水注入量
力価 mg/ml
水注入量 mg
0.5 4.5
1.0 9
3.0 27
5.0 45
(c)
(a)
に規定する方法で再び終点(
9
)
まで測定し,この滴定に要したカールフィッシャー試薬の量を
0.01ml
のけたまで読み取る。
(d)
次の式を用いてカールフィッシャー試薬の力価を算出し,有効数字 3 けたに丸める。
1
1
V
A
F
=
ここに,
F
: カールフィッシャー試薬の力価 (mg/ml)
A
1
: 水の注入量 (mg)
V
1
: 測定に要したカールフィッシャー試薬の量 (ml)
(2)
水−メタノール標準液を用いる方法 次の手順で力価の標定を行う。
(a)
(1)(a)
と同様に滴定フラスコ内を無水状態にする。
(b)
滴定フラスコに,
表 11 に示す量の水−メタノール標準液をビュレットから滴下し,その量を 0.01ml
のけたまで読み取る。
表 11 水−メタノール標準液注入量
力価 mg/ml
水−メタノール標準液注入量 ml
0.5 2
1.0 4.5
3.0 13
5.0 20
(c)
次にカールフィッシャー試薬で再び終点(
9
)
まで滴定し,この滴定に要したカールフィッシャー試薬
の量を 0.01ml のけたまで読み取る。
(d)
次の式を用いてカールフィッシャー試薬の力価を算出し,有効数字 3 けたに丸める。
2
2
V
A
P
F
⋅
=
ここに,
F
: カールフィッシャー試薬の力価 (mg/ml)
P
: 水−メタノール標準液の力価 (mg/ml)(
11
)
A
2
: 水−メタノール標準液の量 (ml)
V
2
: 滴定に要したカールフィッシャー試薬の量 (ml)
19
K 2275-1996
注(
11
)
水−メタノール標準液の力価は保存中に大気からの吸湿によって変化することがあるので,長
期間使用しなかった場合は,水を用いる方法で滴定したカールフィッシャー試薬を用いて,そ
の力価を確認すること。
(3)
酒石酸ナトリウム二水和物を用いる方法 次の手順で力価の標定を行う。
(a)
(1)
の水を用いる方法の水を加える代わりに
表 12 に従って酒石酸ナトリウム二水和物を加える。
表 12 酒石酸ナトリウム二水和物はかり採り量
力価 mg/ml 酒石酸ナトリウム二水和物はかり採り量 mg
0.5 30
1.0 60
3.0 170
5.0 290
(b)
次の式を用いてカールフィッシャー試薬の力価を算出し,有効数字 3 けたに丸める。
a
V
m
F
2
6
156
.
0
=
ここに,
F
:
カールフィッシャー試薬の力価
(mg/ml)
m
2
:
酒石酸ナトリウム二水和物のはかり採り量
(mg)
V
a
:
滴定に要したカールフィッシャー試薬の量
(ml)
0.156 6
:
酒石酸ナトリウム二水和物中の水分の含有率
4.5
試料採取方法及び試料取扱い
4.5.1
試料採取方法及び調製 試料は,JIS K 2251 に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方
法,又はそれに準じた方法によって行う。
4.5.2
試料取扱い 試料は外気の水の影響を受けやすいので,次の点に注意して取り扱う。
(1)
試料容器は密封できる構造のものを,あらかじめ乾燥して用いる。
(2)
試料採取量は,試料容器の
8
割以上とする。
(3)
試料採取後,別の試料容器に移し替えてはならない。
(4)
試料は開封前に十分振り混ぜて均質にする。
(5)
試料容器の開封は,試料温度が室温になってから行う。
(6)
試料容器開封後は,直ちに試験を行う。
備考
原油の場合で,長時間静置されたりして水分の沈降などで水分が不均一であることが予測され
る試料は
附属書に規定する方法で均質にした後測定する。
4.6
試験の手順 カールフィッシャー式容量滴定法の試験の手順は,次による。
(1)
混合溶剤
100ml
を滴定フラスコにとり,
栓をしてから電磁スターラを作動させる。
次に滴定を開始し,
カールフィッシャー試薬で終点
(
9
)
まで滴定し,滴定フラスコ内を無水状態にする。
(2)
あらかじめ約
150
℃で
1
時間以上乾燥し,シリカゲルなどを入れたデシケータ中で放冷した試料注入
器を用いて,
表 13 を目安に試料をはかり採り,滴定フラスコ内に素早く加える(
12
)
。
試料はかり採り量は,
試料を加える前後の試料注入器の質量差を
0.01g
のけたまではかって求める。
表 13 試料はかり採り量
カールフィッシャー試薬の種類(力価)
予期水分 (ppm)
0.5 1.0 3.0 5.0
100
以下
約 50g
−
−
−
100
を超え 1 000 以下 30∼10g
40
∼20g
−
−
20
K 2275-1996
カールフィッシャー試薬の種類(力価)
予期水分 (ppm)
0.5 1.0 3.0 5.0
1 000
を超え 10 000 以下
−
5
∼2g 20∼5g
30
∼10g
10 000
を超えるもの
−
約 1g
約 3g
約 5g
注(
12
)
試料採取に注射器を用いる場合には,注射器のすり合わせ部分からの空気の漏れこみをなくす
ために注射器の約
10
1
まで試料を採る。次に針を上向きにして気泡を除いてから注射針の先端に
シリコーンゴム片を差し込み,圧力を加えて注射器のすり合わせ部分を試料で湿らせた後,試
料を捨てる。この操作を
2
∼
3
回繰り返した後,ゆっくり試料を注射器に採取する。
試料の質量をはかる場合にはシリコーンゴム片を付けたままはかり,次にシリコーンゴム片
を外して試料を滴定フラスコに入れた後に,再度シリコーンゴム片を付けてはかり,前後の質
量差を試料のはかり採り量とする。
備考
原油試験時に滴定フラスコ内容物が混合溶剤
100ml
に対して,試料が
13g
又はカールフィッシ
ャー試薬が
28ml
を超えた場合は,試料が完全に溶剤に溶けないために正確な試験結果が得ら
れないことがあるので,滴定フラスコ内容物を取り替える。
(3)
(1)
と同様に再び終点まで滴定し,この滴定に要したカールフィッシャー試薬の量を
0.01ml
のけたまで
読み取る。
4.7
計算方法及び精度
4.7.1
計算方法 水分は次の式によって算出し,JIS Z 8401 の規定によって丸める。
(1)
計算式
1
10
/
%
−
×
⋅
=
D
M
F
V
W
V
1
10
%
−
×
⋅
=
M
F
V
W
M
3
10
/
×
⋅
=
D
M
F
V
ppm
W
V
3
10
×
⋅
=
M
F
V
ppm
W
M
ここに,
W
V
%
:
試料の水分(容量
%
)
W
M
%
:
試料の水分(質量
%
)
W
V
ppm
:
試料の水分(容量
ppm
)
W
M
ppm
:
試料の水分(質量
ppm
)
V
:
滴定に要したカールフィッシャー試薬の量
(ml)
F
:
カールフィッシャー試薬の力価
(mg/ml)
M
:
試料はかり採り量
(g)
D
:
試料の密度
(15
℃
) (g/cm
3
)
(2)
丸めるけた数
(a)
原油及び重油の水分は,容量
%
又は質量
%
単位で,有効数字
3
けたに丸める。ただし,最小けたを
小数点以下
2
けたとする。
(b)
重油以外の石油製品の水分は,容量
ppm
又は質量
ppm
単位で有効数字
3
けたに丸める。ただし,
小数点以下を含む場合は,整数位とする。
4.7.2
精度 カールフィッシャー式容量滴定法によって得られた試験結果の許容差(確率
0.95
)は,次の
とおりである。
21
K 2275-1996
なお,これは水分
0.02
∼
2%
の範囲の原油,及び水分
50
∼
1 000ppm
の範囲の石油製品に適用する。水分
気化装置を用いた場合にはこの許容差は適用しない。
備考
試験結果が許容差を外れた場合には,JIS Z 8402 の規定によって処理する。
(1)
室内併行精度 同一試験室において同一人が同一試験器で,引き続き短時間内に同一試料を
2
回試験
したときの試験結果の差の許容差を
表 14 に示す。
(2)
室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ
1
回ずつ試験した
ときの
2
個の試験結果の差の許容差を
表 14 に示す。
表 14 精度
試料
室内併行許容差
室間再現許容差
原油
3
1
034
.
0
W
3
1
111
.
0
W
石油製品 11ppm
−
W
:試験結果の平均値(容量%又は質量%)
参考
表 14 の原油の水分に対応した精度を参考表 1 に示す。
参考表 1 原油精度
単位 容量
%
又は質量
%
水分
室内併行許容差
室間再現許容差
0.02 0.009
0.030
0.05 0.013
0.041
0.10 0.016
0.052
0.50 0.027
0.088
1.00 0.03
0.11
2.00 0.04
0.14
4.8
試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。
(1)
試料名,試料採取場所及び試料採取年月日
(2)
JIS
の規格番号:JIS K 2275
(3)
試験名称及び 4.7 によって得られた最終試験結果
(4)
特記事項
5.
カールフィッシャー式電量滴定法
5.1
試験の原理 外気と遮断した電解セルの陽極室に試料を加える。よう素の代わりによう化物イオン
を混合したカールフィッシャー試薬を電気分解によってよう素を発生させる。試料中の水とこのよう素が
定量的に反応するので,よう素を発生するために消費した電気量から水の量を求める。
この水の量と試料はかり採り量から試料中の水分を求める。
備考
試料中のメルカプタン硫黄分及び硫化水素,
1
質量
ppm
は,それぞれ
0.3
質量
ppm
,
0.6
質量
ppm
の水分に相当する正の誤差を生じる。
参考
この試験方法は,ISO/DIS 10337
: 1993
を参照して作成している。
5.2
試薬 カールフィッシャー式電量滴定法の試薬は,次による。
(1)
電解液 次の電解液を用いる。
(a)
陽極液 よう化物イオン,二酸化硫黄,ピリジン又はそれに代わる塩基などの電解質及びメタノー
ルなど有機溶剤の混合液
(b)
陰極液 よう化物イオン,二酸化硫黄,ピリジン又はそれに代わる塩基などの電解質及びメタノー
22
K 2275-1996
ルなど有機溶剤の混合液
参考
電解液の組成は JIS C 2101 及び JIS K 0113 に一例が示されている。
(2)
水−アルコール液
2-
メトキシエタノールに水を加えて,その液
1ml
が水約
4mg
を含むように調製し
たもの。
(3)
水 JIS K 0557 に規定する A3 のもの。
備考
有機溶剤を取り扱う場合には,蒸気の吸入を避け,人体に付着した場合には,石けん,水で洗
浄する。
参考
電解液,水−アルコール液は,適切な市販品を使用するとよい。
5.3
カールフィッシャー式電量滴定法水分試験器 試験器は,電解セル,電流制御部,検出器,表示部
などからなり,
図 23 に構成の一例を示す。
図 23 水分試験器の構成(電量滴定法の一例)
備考 表示部には,水量 (
µg) を表示する。
(1)
電解セル 容量約
200ml
のガラスセルで,陽極室,陰極室の
2
室からなり,両室はセラミックやイオ
ン交換膜などの隔膜で仕切られ,試料注入口はステンレス鋼製又は四ふっ化エチレン製ストッパの付
いたもので,その一例を
図 24 に示す。
電解セルは大気に接する開口部にシリカゲルなどの乾燥剤を入れた乾燥管を取り付け,また,ガラ
ス器具の接続には,すべてすり合わせ継手を用い,そこにグリース(カールフィッシャー試薬と反応
したり,溶解しないものを用いる。
)を塗り,大気からの吸湿を防ぐ。
23
K 2275-1996
図 24 電解セル(一例)
(2)
注射器 図 25 に一例を示す。
図 25 注射器(一例)
(3)
マイクロシリンジ 容量
10
µl
で,針の長さが
130mm
以上のもの。
備考
水分気化装置 水分気化装置は,試料を加熱しながら水を含まない窒素ガスなどで試料中の水
24
K 2275-1996
分を気化させ,その気化ガスを電解セルに導くもので,その一例を
図 26 に示す。
なお,水分気化装置の使用に際しては,5.4 によって試験器を校正後,水分気化器に添加剤を
含まない石油製品を適量はかり採り,水分気化装置を作動して試料中の水分を測定する。次に,
水分気化器にマイクロシリンジで水を
10
µl
注入し水分気化装置を操作して水分量を測定し,こ
の結果が
10 000
±
500
µg
以内であるものを用いる。
参考
水分気化装置の操作方法は,装置メーカの取扱説明書によるとよい。
図 26 水分気化装置のフローチャート(一例)
5.4
試験器の校正 カールフィッシャー式電量滴定法の試験器の校正は,次による。
(1)
使用済の陽極液及び陰極液をそれぞれ抜き取り,電解セル内を清浄・乾燥する。電解セルの陽極室に
陽極液を約
100ml
,陰極室に陰極液を約
5ml
入れ,電解セルを組み立て,試験器へ取り付ける。
(2)
電解セル内の陽極液をかき混ぜながら電解電流(
13
)
を流し,よう素を陽極側に発生させて電解セル内を
無水の状態にする。
(3)
次に,水をマイクロシリンジで正確に
10
µl
陽極液に注入し,終点まで電量滴定を行い水分を求める。
この操作を
2
回繰り返して行い,求めた水分量が
10 000
±
200
µg
の範囲内でなければならない。
注(
13
)
陽極液に遊離よう素が存在しているときは電解が行われない。このようなときは,水−アルコ
ール液又は水を
2 000
∼
3 000
µg
水相当量過剰になるように加えるとよい。
5.5
試料採取方法及び試料取扱い
5.5.1
試料採取及び調製 試料は,JIS K 2251 に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法,
又はそれに準じた方法によって行う。
5.5.2
試料取扱い 試料は,外気の水の影響を受けやすいので,次の点に注意して取り扱う。
(1)
試料容器は,密封できる構造のものを,あらかじめ乾燥して用いる。
(2)
試料採取量は,試料容器の
8
割以上とする。
(3)
試料採取後,別の試料容器に移し替えてはならない。
(4)
試料は,開封前に,十分振り混ぜて均質にする。
(5)
試料容器の開封は,試料温度が室温になってから行う。
(6)
試料容器開封後は,直ちに試験を行う。
備考
原油の場合で,長時間静置されたりして水分の沈降などで水分が不均一であることが予測され
る試料は,
附属書に規定する方法で均質にした後測定する。
5.6
試験の手順 カールフィッシャー式電量滴定法の手順は,次による。
(1)
試験器点検 試験に先立ち試験器を点検し,次の事項に該当する場合は,陽極液及び陰極液を取り替
える。
(a)
水
10
µl
を注入した結果,水分が
10 000
±
200
µg
の範囲外にある。
(b)
バックグランド電流が安定していない。
25
K 2275-1996
(c)
滴定セル内の試料量が陽極液容積の
3
1
を超えている。
(d)
陽極液内での相分離,又は試料による電極の汚染が認められる。
(e)
滴定セル内の溶液が,
1
週間以上経過している。
(2)
注射器の共洗い 次によって注射器を試料で共洗いする。
(a)
注射器と注射針は,あらかじめ,洗浄し乾燥した後,デシケータ中に保管する。
(b)
デシケータから注射器と注射針を取り出し,接続して速やかに注射針の先端をシリコーンゴム栓に
差し込む。
備考
注射器のすり合わせ部分からの空気の漏れ込みをなくすために注射器の約
10
1
まで試料をとる。
次に針を上向きにして気泡を除いてから注射針の先端にシリコーンゴム栓を付けて圧力を加え,
注射器のすり合わせ部分を試料で湿らせた後試料を捨てる。
この操作を
2
∼
3
回繰り返した後(c)
の操作を始めるとよい。
(c)
注射器のシリコーンゴム栓を外し,試料の液面からできる限り深く注射針を入れ注射器のピストン
を引き,注射器の最大目盛以上になるまで試料を吸引する。
(d)
注射器を試料容器から離し,注射器を上にして空気を抜き試料を排出する。この共洗い操作を
2
回
以上繰り返して注射器の内部に気泡のないことを確認する。
(3)
試料の試験器への直接注入法 次によって試料を試験器に注入する。
(a)
予期水分に応じて試料を
0.1
∼
10ml
(
14
)
注射器に採った後,直ちに注射針の先端をシリコーンゴム栓
で密栓し,その質量を
0.1mg
のけたまではかる。
注(
14
)
予期水分による試料はかり採りの目安を
表15に示す。
表 15 試料はかり採り量(目安)
予期水分 (%)
試料はかり採り量 (g) 試料中の水量 (
µg)
0.02
を超え 0.1 以下
1
200
∼ 1 000
0.1
を超え 0.5 以下
0.5
500
∼ 2 500
0.5
を超え 5 以下
0.25
1
250
∼ 12 500
(b)
次に,注射器内の試料をストッパーを通じて無水状態にしてある滴定フラスコ内の陽極液に注入す
る。
(c)
注射器の先端を再びシリコーンゴム栓で密封し,その質量を
0.1mg
まではかる。試料注入前後の質
量差から注入した試料の質量を求める。
(4)
水分量の読み取り 陽極液の水分を終点まで電量滴定し,そのときの水分量
(
µg)
を記録する。
5.7
計算方法及び精度
5.7.1
計算方法 水分は次の式によって算出し,JIS Z 8401 の規定によって丸める。
(1)
計算式
M
G
M
G
W
M
M
M
×
=
×
×
=
000
10
10
100
%
6
D
W
W
M
V
×
=
%
%
M
G
W
M
M
=
ppm
D
W
W
M
V
×
=
ppm
ppm
ここに,
W
M
ppm
:
試料の水分(質量
ppm
)
M
:
試料はかり採り量
(g)
26
K 2275-1996
G
M
:
水量
(
µg)
W
V
%
:
試料の水分(容量
%
)
W
V
ppm
:
試料の水分(容量
ppm
)
D
:
試料密度
(15
℃
) (g/cm
3
)
(2)
丸めるけた数
(a)
原油及び重油の水分は,容量
%
又は質量
%
単位で,有効数字
3
けたに丸める(ただし,最小けたを
小数点以下
2
けたとする。
)
。
(b)
原油及び重油以外の水分は,容量
ppm
又は質量
ppm
単位で有効数字
3
けたに丸める(ただし,小
数点以下を含む場合は,整数位とする。
)
。
5.7.2
精度 カールフィッシャー式電量滴定法によって得られた試験結果の許容差(確率
0.95
)は,次の
とおりである。
なお,これは水分
0.02
∼
5%
の範囲の原油,及び水分
30
∼
1 000ppm
の範囲の石油製品に適用する。水分
気化装置を用いた場合には,この許容差を適用しない。
備考
試験結果が許容差を外れた場合には,JIS Z 8402 の規定によって処理する。
(1)
室内併行精度 同一試験室において同一人が同一試験器で,引き続き短時間内に同一試料を
2
回試験
したときの試験結果の差の許容差を
表 16 に示す。
(2)
室間再現精度 異なる試験室において別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ
1
回ずつ試験したとき
の
2
個の試験結果の差の許容差を
表 16 に示す。
表 16 精度
試料
室内併行許容差
室間再現許容差
原油
0.040 (
3
2
W
) 0.105
(
3
2
W
)
石油製品 0.01W
P
+3 0.08W
P
+13
W
:試験結果の平均値(容量%又は質量%)
W
P
:試験結果の平均値(容量 ppm 又は質量 ppm)
参考
表 16 の原油の水分に対応した精度を参考表 2 に示す。
参考表 2 原油精度
単位 容量
%
又は質量
%
許容差
許容差
水分
室内併行 室間再現
水分
室内併行 室間再現
0.02 0.003 0.008 0.50
0.025 0.066
0.05 0.005 0.014 1.00
0.04 0.11
0.10 0.009 0.023 2.00
0.06 0.17
5.8
試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。
(1)
試料名,試料採取場所及び採取年月日
(2)
JIS
の規格番号:JIS K 2275
(3)
試験名称及び 5.7.1 によって得られた結果
(4)
特記事項
6.
水素化物反応法
6.1
試験の原理 試料
20ml
を反応フラスコに採り,水素化カルシウムを加え,試料中の水と水素化カル
シウムが反応して発生した水素ガスをガスビュレットに捕集する。水素ガスの容量をガスビュレットの目
盛(水分の容量
%
に換算したもの)で読み取り,試料中の水分を求める。
27
K 2275-1996
備考
この方法は,ポータブル型で電気や火気を使用しないために,実験室以外の場所での測定に適
している。
参考
この試験方法は,ISO/DIS 9114
: 1987
を参照して作成している。
6.2
試薬 水素化物反応法の試薬は,次による。
(1)
試薬カプセル 粉末状の水素化カルシウム
0.6
∼
0.7g
を,試薬投入コックの装着穴に入る寸法のカプセ
ルに入れたもの。
(2)
反応促進剤 水と水素化カルシウムの反応促進作用のあるもの。ジオクチルコハク酸ナトリウムが適
切である。
備考
試薬カプセル,反応促進剤は,水素化物反応法試験器の附属品として市販されているのでこれ
を用いると便利である。
(3)
希釈剤 JIS K 2203 に規定する灯油,又は揮発分及び水分を含まない炭化水素。
なお,使用に先立ちこの方法で,希釈剤
40ml
について水分を試験し,その結果が
0.01
容量
%
未満
であることを確認する。
6.3
水素化物反応法水分試験器 試験器は,(1)∼(4)からなり,その組立の一例を図 27 に示す。
図 27 水素化物反応法水分試験器
(1)
反応フラスコ 容量
100ml
で
10ml
,
20ml
,
40ml
に対応する
3
か所に標線を付けたもの。
(2)
試薬投入コック 水素化カルシウム入りカプセルの装着穴を備え,コックの回転によって水素化カル
シウムを反応フラスコへ投下できる構造のもの。反応フラスコの栓(
15
)
に取りつけて使用する。
注(
15
)
四フッ化エチレンなどの炭化水素,水素を通さない素材のもの。
(3)
ガスビュレット及び水準瓶 ガラス製平底円筒のガスビュレットと圧力調節用の水準瓶からなり,ガ
スビュレットの目盛部には,
0.00
∼
1.00%
まで目量
0.01%
ごとに目盛を付けたもの。
なお,目盛は,
0.00%
を基準にして水分
1.00
容量
%
を含む試料
20ml
が水素化カルシウムと反応して
発生する水素ガス量
(20
℃
, 1 013kPa)
と同体積の位置を
1.00%
目盛とする。
(4)
三方コック コックの回転によって,ガスの流路を反応フラスコ,大気開放などへ切換えができる構
造のもの。
備考
水素ガス量の測定にガスビュレット以外の方法を用いたものでもよい。
6.4
試料採取方法及び試料の取扱い
28
K 2275-1996
6.4.1
試料採取及び調製 試料は,JIS K 2251 に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法,
又はそれに準じた方法による。
6.4.2
試料の取扱い 試料は,外気の水の影響を受けやすいし,水は沈降しやすいので試料の取扱いには
次の事項を守ること。
(1)
試料容器は,密封できる構造のものをあらかじめ乾燥して用いる。
(2)
試料採取量は,試料容器の
8
割以上とする。
(3)
試料採取容器以外の別の試料容器に移し替えてはならない。
(4)
試料容器は,開封前に十分振り混ぜて均質にする(高流動点試料は,必要なら温めた後振り混ぜる。
)
。
(5)
試料容器を開封後,直ちに試験を行う。
備考
原油の場合で,長時間静置されたりして水分の沈降などで水分が不均一であることが予測され
る試料は,
附属書に規定する方法で均質にした後,測定する。
6.5
試験器の準備 測定を正確に行うためには,すべての部品を完全に密着させ気密を保つことと反応
フラスコを清浄に保つことが重要である。そのため,次のような日常点検を行う。
(1)
反応フラスコを溶剤(ヘプタン,アセトンなど)で洗浄した後,乾燥空気で乾かすか,又はガーゼか
ティシュペーパーで注意深くふく。
(2)
ガスビュレット内の液体(水を含まない軽油)の汚れ及び量を調べ,必要に応じ追加するか取り替え
る。
(3)
試験器系内(以下,系内という。
)が気密であることを確認する。
6.6
試験の手順 水素化物反応法の試験の手順は,次による。
(1)
試料はかり採り 試料の予期水分に応じて表 17 に示す量(
16
)
を反応フラスコの標線まで入れる。試料
の粘度が高い場合は,希釈剤を加える。ただし,試料と希釈剤の合計が
40ml
を超えてはならない。
注(
16
)
予期水分が不明な場合は,
20ml
の標線まで入れる。
表 17 試料はかり採り量
予期水分(容量%)
試料はかり採り量 (ml)
0.5
以下
40
0.5
を超え 1.0 以下
20
1.0
を超え 2.0 以下
10
備考 試料を質量ではかり採る場合は,予期水
分に応じ,容量にほぼ相当する質量とす
る。
(2)
反応フラスコへ反応促進剤を
3
滴加えた後(
17
)
,試薬投入コックを反応フラスコへ取り付ける。
注(
17
)
電磁スターラを使用してかくはんをしようとする場合は,四ふっ化エチレン被膜の回転子を反
応フラスコへ入れる。
(3)
ガスビュレット内の液面(メニスカス下面)を
0.00%
に合わせた後,系内を閉の状態にする。
(4)
試料の揮発性物質を除去するため反応フラスコを振り混ぜる(
18
)
。この操作を行うときは,ガスビュレ
ット内の液面の高さに注意し,液面の変化が認められたら,ときどき三方コックを系内“開”の位置
[
図 28(a)]にし,揮発性物質を大気に放出する。この揮発性物質の除去操作をガスビュレット内の液
面の変化が認められなくなるまで行う。
注(
18
)
電磁スターラを使用する場合は,反応フラスコ内容物のかくはんを行う。
29
K 2275-1996
図 28 三方コック
(5)
揮発性物質の除去操作が終了した後,三方コックが系内“閉”の位置に,ガスビュレット内の液面(メ
ニスカス下面)が
0.00%
の目盛に一致するように,水準瓶の液面の高さを調節する。
(6)
試薬カプセルのキャップを外し,試薬投入コックのカプセル装着穴[
図 29(a)参照]へ入れる。試薬投
入コックレバーを回転させて試薬カプセルを反応フラスコへ投下した後,レバーをもとの位置へ戻す。
図 29 試薬カプセル投入コック
(7)
反応フラスコを静かに振り混ぜ(
18
)
泡がわずかに発生するようにする。泡の出る状況を見ながら次第に
激しく振り混ぜる。
備考
試料中の水分が多く,かつ,振り混ぜが激しすぎる場合は,大量の泡が発生してフラスコ内容
物が噴出することがある。このような場合は,試験を中止し,試料はかり採り量を少なく(約
半分)して試験をやり直す。
(8)
泡の発生が終了し,ガスビュレット内の液面が再び安定したら,振り混ぜを中止し,水準瓶の高さを
動かして水準瓶の液面とガスビュレット内の液面(メニスカス下面)とを合わせてからガスビュレッ
トの目盛を読み取る。
(9)
反応フラスコから試薬投入コックを外し,メタノールを
5ml
以上加え,泡(水素)が出なくなったこ
30
K 2275-1996
とを確認してからフラスコ内容物を捨てる。
備考
未反応の水素化カルシウムは,メタノールと反応し,水酸化カルシウムになる。
6.7
計算方法及び精度
6.7.1
計算方法 水素化物反応法による水分は,次の式によって算出し,JIS Z 8401 の規定によって有効
数字
2
けたに丸める。ただし,最小けた数は,小数点以下
2
けたとする。
S
V
W
S
20
=
ここに,
W
:
水分(容量
%
)
S
:
試料はかり採り量
(ml)
V
S
:
試料試験時のガスビュレットの読取値
(%)
備考1.
試料を質量ではかり採った場合は,次の式によって算出する。
SM
D
V
W
S
⋅
=
20
ここに,
W
:
水分(容量
%
)
SM
:
試料はかり採り量
(g)
D
:
試料の密度
(20
℃
) (g/cm
3
)
V
S
:
試験時のガスビュレットの読み取り値
(%)
2.
特殊な気象条件下(気温及び気圧)で試験した場合は,次によって補正係数を求め,試験結
果に乗じて補正する。
(
)
[
]
20
2
.
293
3
.
101
2
.
293
−
+
×
×
=
t
P
F
ここに,
F
:
補正係数
P
:
気圧
(kPa)
t
:
温度
(
℃
)
6.7.2
精度 水素化物反応法によって得られた試験結果の許容差(確率
0.95
)は,次のとおりである。
備考
試験結果が許容差を外れた場合には,JIS Z 8402 の規定によって処理する。
(1)
室内併行精度 同一試験室において同一人が同一試験器で,引き続き短時間内に同一試料を
2
回試験
したときの試験結果の差の許容差を
表 18 に示す。
(2)
室間再現精度 異なる試験室において別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ
1
回ずつ試験したとき
の
2
個の試験結果の差の許容差を
表 18 に示す。
表 18 水素化物反応法の精度
室内併行精度
室間再現精度
3
2
117
.
0
M
W
3
2
467
.
0
M
W
W
M
は,試料の平均水分(容量%)
6.8
試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。
(1)
試料名,試料採取場所及び試料採取年月日
(2)
JIS
の規格番号:JIS K 2275
(3)
試験名称及び 6.7.1 によって得られた結果
(4)
特記事項
参考
表 18 の精度を次の参考図 2 に示す。
31
K 2275-1996
参考図 2 水素化物反応法の精度
付表 1 引用規格
JIS C 2101
電気絶縁油試験方法
JIS K 0113
電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0557
化学分析用の水
JIS K 2201
工業ガソリン
JIS K 2203
灯油
JIS K 2251
原油及び石油製品−試料採取方法
JIS K 2280
石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法
JIS K 2435
ベンゼン・トルエン・キシレン
JIS K 2839
石油類試験用ガラス器具
JIS K 8271
キシレン(試薬)
JIS K 8322
クロロホルム(試薬)
JIS K 8540
(
+
)
−酒石酸ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8680
トルエン(試薬)
JIS Z 8401
数値の丸め方
JIS Z 8402
分析・試験の許容差通則
32
K 2275-1996
附属書 原油試料の均質化方法
1.
適用範囲 この附属書は,混和器を使用して水分試験用原油試料を均質化する方法について規定する。
備考
水分試験用原油試料の水分の均一性について疑義が生じた場合,この均質化の操作を行ってか
ら,試料の水分を測定する。
参考
この
附属書は,ISO 9029
: 1987
,ISO/DIS 10336
: 1993
,ISO/DIS 10337
: 1993
及び ASTM D 4377
:
1988
を参照して作成している。
2.
均質化方法の原理 あらかじめ低水分原油に一定量の水を加え試料容器中で,水分が均質になるよう
な混和器の運転条件を求める。ここで求めた混和器の運転条件で試料原油中の水分を均質にする。
3.
器具及び試薬 器具及び試薬は試験方法(本体 4.,5.又は 6.)にそれぞれ規定されているものによる
ほかは,次による。
(1)
低水分原油 試験方法(本体 4.,5.又は 6.)によって測定した水分が
0.1
容量
%
以下のもの。
(2)
試料容器
500ml
又は適切な大きさのもの。
(3)
混和器 回転翼式のホモジナイザーで回転数
3 000
∼
10 000rpm
のもの。
参考
エアーモーターなど引火のおそれのないものがよい。
また,揮発性物質を含む試料には密閉式のものがよい。
4.
混和器の効率の測定 新しい混和器を使用する場合,試料容器の形状を変える場合及び原油の粘度が
大きく変わる場合は,必ず前もってこの測定を行い,均質化を確認する。
(1)
試料容器の質量を
0.01g
のけたまではかる。これを
M
0
(g)
とする。
(2)
試料容器に低水分原油を約
80%
満たす。
(3)
混和器の底が試料容器の底から
5mm
上にくるように,混和器をセットして使用予定の回転数及び時
間で,原油をかき混ぜる。
参考
混合時間は,混合器の能力によっても異なるが
5
分間を目安とするとよい。
(4)
直ちに原油の水分を本体 4.,5.又は 6.によって,
2
回測定し,
2
回の結果の平均値を求める。この水分
結果を空試験値として記録する。
備考
2
回の測定結果の差が室内併行許容差内であることを確認する。
(5)
原油及び試料容器の質量を
0.01g
のけたまではかる。これを
M
1
(g)
とする。(3)と同じように混和器を
セットする。
(6)
原油の質量
(M
1
−
M
0
)
から,加えたい水分量に相当する量を求める。
備考
1
∼
2
質量
%
上昇させる量の水を加える。
(7)
注射器に加えたい水分量に相当する水を満たし,質量を
0.1mg
のけたまではかる。
(8)
混和器の注ぎ口の近くの原油の表面下に水を注入する。
(9)
針についている油分をすべてふき取り,注射器の質量を再度
0.1mg
のけたまではかり,加えた水の質
量を求め(6)の原油量から添加した水分を求める。
(10)
(3)
と同じ条件で試料をかき混ぜる。
33
K 2275-1996
備考
均質化中の温度上昇は
10
℃を超えてはいけない。
(11)
直ちに液面のすぐ下の試料の水分含量を本体 4.,5.又は 6.によって
1
回測定する。
(12)
かき混ぜることなく,
15
分後及び
30
分後に水分含量をそれぞれ
1
回測定する。
(13)
(11)
及び(12)で求めた水分から(4)の空試験値を減じた値と添加した水分の差が
0.05%
以内にあること
及び直後,
15
分,
30
分のはかりとり時の水分が
0.05%
以内にあることを確認する。
(14)
もしこれが(13)の条件を満足しない場合は,(3)の混和器回転数及び混合時間を変えて再度(4)から(13)
までの操作をやり直す。
参考
原油によっては,水分の均質化がしにくいことがあるが,この場合は原油を室温以下に冷却し
て行うとよい。
5.
原油試料の均質化方法 試料容器の中の原油の水分を測定するに先立って 4.で均質が確認された混和
器を使用して,同一の条件でかき混ぜる。
備考
この均質化方法は水分測定の直前(
15
分以内)に行う。
関連規格 ISO/DIS 3733
Petroleum products and bituminous materials
−
Determination of water Distillation
method
ISO/DIS 6296
Liquid petroleum products
−
Determination of water
−
Karl Fischer method
ISO/DIS 9114
Petroleum products
−
Crude oil
−
Determination of water content by hydride reaction
(Field method)
ISO/DIS 10336
Crude petroleum
−
Determination of water
−
Volumetric Karl Fischer
titration method
ISO/DIS 10337
Crude petroleum
−
Determination of water
−
Coulomeric Karl Fischer
titration method
ASTM D 4377
Standard Test Method for Water in Crude Oils by Potentiometric Karl Fischer Titration
34
K 2275-1996
工業標準原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
小 西 誠 一
元防衛大学校教授
高 木 譲 一
工業技術院標準部材料規格課
吉 田 裕
資源エネルギー庁石油部
高 橋 千 晴
工業技術院計量研究所熱物性部
近 藤 輝 男
工業技術院資源環境技術総合研究所エネルギー資源部ヘテロ
分子工学研究所
有 賀 正 夫
社団法人石油学会
高 木 茂 男
社団法人日本海事検定協会
高 野 敏 夫
社団法人自動車技術会
中 西 忠 雄
防衛庁装備局管理調達補給室
福 嶋 信一郎
日本鋼管株式会社鉄鋼技術センター環境・エネルギー部
中 村 準
三菱重工業株式会社技術本部横浜研究所
吉 田 彰 夫
いすゞ自動車株式会社材料開発部
岩 田 圭 一
東京電力株式会社火力部
君 島 孝 尚
石川島播磨重工業株式会社技術研究所
加 藤 良 三
東燃株式会社製造計画部
松 崎 昭
日本石油株式会社中央技術研究所
小久保 陽 生
出光興産株式会社製造部
橘 宗 昭
昭和シェル石油株式会社商品技術室
伊 達 和 人
株式会社日鉱共石石油精製本部製油部
下 平 武
日本科学機器団体連合会
(事務局)
西 川 輝 彦
石油連盟技術環境部
分科会 構成表
氏名
所属
(分科会長)
橘 宗 昭
昭和シェル石油株式会社商品技術室
小 嶋 誠
工業技術院標準部材料規格課
伊 藤 玄
出光興産株式会社製造部
近 藤 修
日本石油株式会社中央技術研究所
番 馬 章
三石テクノ株式会社業務部
高 木 茂 男
社団法人日本海事検定協会
鈴 木 繁
東燃株式会社総合研究所
長谷部 好 昭
富士石油株式会社袖ケ浦製油所技術管理部
広 田 義 則
株式会社コスモ総合研究所
高 橋
己
株式会社共石製品技術研究所
一ノ瀬 裕 人
キグナス石油精製株式会社業務部
今 泉 雄 二
昭和シェル石油株式会社中央研究所
大 滝 盛 司
ゼネラル石油株式会社中央研究所
隠 岐 明 重
モービル石油株式会社鶴見研究所
下 平 武
日本科学機器団体連合会
大 森 道 昭
日本科学機器団体連合会
橘 田 英 男
吉田科学株式会社
(事務局)
久保田 亘
石油連盟技術環境部