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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 試験の原理 ······················································································································ 2
5 試薬······························································································································· 2
6 試験器及び器具 ················································································································ 3
7 試料······························································································································· 3
8 試験の手順及び評価 ·········································································································· 4
9 結果の表し方 ··················································································································· 6
10 精度 ····························································································································· 6
11 試験結果の報告 ·············································································································· 7
附属書A(規定)試験管法試験器 ···························································································· 8
附属書B(規定)薄膜法試験器 ······························································································ 11
附属書JA(規定)U字管法試験器 ·························································································· 14
附属書JB(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 20
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,石油連盟(PAJ)
から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経
て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS K 2256:1998は改正され,この規格
に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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石油製品−アニリン点及び混合アニリン点の求め方
Petroleum products-Determination of aniline point and mixed aniline point
序文
この規格は,1997年に第3版として発行されたISO 2977を基とし,国内の実情に合わせるため,技術
的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。
1
適用範囲
この規格は,石油製品のアニリン点及び混合アニリン点を求める方法について規定する。試料のアニリ
ン点がアニリン−試料混合液の凝固点よりも低い場合(アニリン点測定操作において室温で透明なアニリ
ン−試料混合液を冷却したとき,それが白濁する前にアニリンの結晶が現れる場合)には,混合アニリン
点を適用する。ただし,アニリン点及び混合アニリン点の測定操作において,室温で白濁しているアニリ
ン−試料混合液を加熱したとき,それが透明になる前に沸騰又は泡立ちが起こる場合には,この規格は,
適用できない。
なお,アニリン点及び混合アニリン点を求める方法は,表0Aに示す3種類の試験方法とする。
表0A−試験方法の種類
試験項目
試験方法
適用区分
アニリン点及び
混合アニリン点
試験管法
JIS K 2580に規定するASTM 色6.5以下の試料に適用する。
JIS K 2254に規定する初留点が予期されるアニリン点より
も十分に高い試料に適している。
U字管法
薄膜法
JIS K 2580に規定するASTM 色0.5以上の試料に適用する。
特にASTM 色6.5を超える試料に適している。
また,JIS K 2254に規定する初留点が予期されるアニリン点
よりも十分に高い試料にも適している。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 2977:1997,Petroleum products and hydrocarbon solvents−Determination of aniline point and
mixed aniline point(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
警告 この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用方法を全てに規
定しているわけではないので,この試験方法の使用者は,試験に先立って,適切な安全上及び
健康上の禁止事項を決めておかなければならない。
2
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引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7410 石油類試験用ガラス製温度計
JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法
JIS K 2254 石油製品−蒸留試験方法
JIS K 2580 石油製品−色試験方法
注記 対応国際規格:ISO 2049,Petroleum products−Determination of colour (ASTM scale)(MOD)
JIS K 8042 アニリン(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8987 硫酸ナトリウム(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的
な使い方
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
アニリン点(aniline point)
アニリンと試料との混合液(体積比1:1)が均一な溶液として存在する最低温度(アニリン及び試料が
完全に溶け合っている状態から,温度を下げて両者が分離して濁りを生じる温度)。
3.2
混合アニリン点(mixed aniline point)
アニリン,試料及びヘプタンの混合液(体積比2:1:1)が均一な溶液として存在する最低温度(アニリン,
試料及びヘプタンが完全に溶け合っている状態から温度を下げて両者が分離して濁りを生じる温度)。
3.3
泡立ち温度(bubble point)
標準条件下で加熱したときに,混合液自体に最初に泡が生じる瞬間の温度。
4
試験の原理
規定量のアニリン及び試料,又はアニリン,試料及びヘプタンを試験管に入れ,かき混ぜながら2層が
混合して透明になるまで,規定の昇温速度で加熱する。次いで,混合液を1分間に0.5〜1 ℃の割合で冷却
し,混合液の全体が急に白濁するときの温度を読み取り,アニリン点又は混合アニリン点とする。
5
試薬
試薬は,次による。
5.1
アニリン この規格で用いるアニリンは,次による。
a) JIS K 8042に規定するアニリンにJIS K 8574に規定する水酸化カリウムを入れて脱水した後,傾斜法
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によって上澄み液をとる。次の検査を試験日ごとに行い合格したものを用いる。このアニリンを用い
て5.3に規定するヘプタンのアニリン点を8.1,8.3及び箇条9によって求める。同様の操作をもう一
度行い,2個のアニリン点の差が0.1 ℃以内のとき,その平均値を求め,その値が69.3 ℃±0.2 ℃で
ある場合は合格とする。
b) アニリン点試験用として市販のアンプル詰めアニリンを用いる場合には,同一ロットごとにa)と同様
の検査を行う。ただし,アニリンの脱水処理は,省略してもよい。
c) ヘプタンのアニリン点が69.3 ℃±0.2 ℃でない場合は,脱水処理したアニリンを蒸留し,体積分率10
〜90 %留出液を採取する。この蒸留によって精製したアニリンを用いて,再びヘプタンのアニリン点
を測定し,規定の範囲内にあることを確認する。
警告 アニリンは,毒性が強いので,誤飲,蒸気吸入,皮膚への付着などを避けるため,取扱いに
は,十分な注意が必要である。
5.2
脱水剤 JIS K 8987に規定する硫酸ナトリウム又は硫酸カルシウム(無水)。
5.3
ヘプタン n-ヘプタンで純度が体積分率99.75 %以上のもの。このヘプタンのアニリン点は69.3 ℃
±0.2 ℃である。
6
試験器及び器具
試験器及び器具は,次による。
6.1
アニリン点試験器 アニリン点試験器には,附属書Aに規定する試験管法試験器,附属書Bに規定
する薄膜法試験器及び附属書JAに規定するU字管法試験器がある。
自動アニリン点試験器を用いてもよい。自動試験器を用いる場合は,定期的にヘプタンのアニリン点を
測定し,69.3 ℃±0.2 ℃であることを確認する。
なお,自動試験器で得られた試験結果に疑義が生じた場合は,試験管法,薄膜法又はU字管法によって
判定する。
アニリンは吸湿性があり,水分を含むアニリンは誤った試験結果を示すため,アニリン点試験器及び冷
却浴の加熱又は冷却用の媒体には,いずれにも水を用いてはならない。また,アニリン点が露点以下の場
合は,アニリンと試料との混合液を覆うように乾燥した空気又は不活性ガスを測定管内に静かに流し込む
とよい。
注記 体積分率0.1 %の水を含むアニリンは,脱水したアニリンを用いたヘプタンのアニリン点より
約0.5 ℃高くなる場合がある。
6.2
温度計 JIS B 7410に規定する温度計番号39 (AP),40 (AP) 又は41 (AP) のもの。JIS B 7410の附
属書によってあらかじめ温度計の誤差を求めておく。
6.3
全量ピペット JIS R 3505に規定する呼び容量5 mL及び10 mLのもの。
6.4
はかり 0.01 gの桁まで質量をはかることができるもの。
6.5
保護眼鏡 安全ガラス製のもの。
6.6
保護手袋 耐アニリン性のもの。
7
試料
試料の採取及び脱水方法は,次による。
a) 試料の採取方法及び調製方法 試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調
製方法又はそれに準じた方法によって採取及び調製する。
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b) 試料の脱水方法 試料に脱水剤(試料量の約1/10の容量)を加えて3〜5分間振り混ぜて脱水し,遠
心分離法又はろ過法によって脱水剤を除く。試料中に水が明らかに懸濁している場合は,遠心分離法
によってできるだけ水分を除いてから脱水剤による操作を行う。試料の粘度が高い場合,析出ワック
スを含む場合などは,軽質分が損失しない程度に又は脱水剤に吸収された水分が再分離しない程度に
温めて粘度を下げてから,脱水操作を行う。
8
試験の手順及び評価
8.1
アニリン点
8.1.1
試験管法の試験の手順
試験管法の試験の手順は,次による。
a) 附属書Aに規定する試験管法試験器の各部を洗浄して乾燥する。アニリン10 mL及び脱水試料10 mL
をそれぞれピペッターなどを取り付けた全量ピペットで試験管にとり,これにかき混ぜ棒及び温度計
をつけて外管に差し込む。全量ピペットによる採取が難しい粘ちょうな試料の場合は,適切なはかり
を用いて,室温で10 mL±0.02 mLに相当する量を0.01 gの桁まではかりとる。
b) 温度計は,浸没線が液面にくるように,かつ,水銀球が管壁に触れないように,試験管のほぼ中央の
位置に取り付ける。
c) かき混ぜ棒を約50 mm上下させて,アニリン−試料混合液(以下,試験管内溶液という。)を急速に
かき混ぜる。このとき,気泡が入らないように注意する。試験管内溶液が,室温で2層に分離してい
るか,又は白濁している場合には,d)の操作を行う。試験管内溶液が室温で透明な場合には,かき混
ぜながら白濁するまで冷却した後d)の操作を行う。
d) かき混ぜながら1分間に1〜3 ℃の割合で加熱して,試験管内溶液を透明にした後,1分間に0.5〜1 ℃
の割合で徐々に冷却して最初に曇りが認められてから更に冷却し続け,試験管内溶液が急に白濁する
温度を0.1 ℃の桁まで読み,これを測定したアニリン点とする。
e) d)のアニリン点の測定を3回繰り返し,8.3によって測定したアニリン点の評価を行う。
8.1.2
薄膜法の試験の手順
薄膜法の試験の手順は,次による。
a) 附属書Bに規定する薄膜法試験器の各部を洗浄して乾燥する。アニリン10 mL及び脱水試料10 mLを
それぞれピペッターなどを取り付けた全量ピペットで試料管にとる。全量ピペットによる採取が難し
い粘ちょうな試料の場合は,適切なはかりを用いて室温で10 mL±0.02 mLに相当する量を0.01 gの
桁まではかりとる。
b) 試料管にポンプと温度計とを取り付け,温度計の浸没線が液面にくるように,かつ,水銀球が管壁に
触れないようにする。
c) アニリン−試料混合液(以下,試料管内溶液という。)が透視ランプ室上に連続して流れ,薄膜が一様
に形成するように,ポンプの回転速度を調節する。濃暗色試料の場合は,ポンプの回転速度を遅くし,
吐出し口を透視ランプ室の頂端にほとんど接する点まで下げて,アニリン点を観察できる程度の連続
した薄膜が得られるようにする。透視ランプの光度を調節し,薄膜を通して光が見える程度にする。
d) 試料管内溶液が,室温で2層に分離しているか,又は白濁している場合には,e)の操作を行う。試料
管内溶液が室温で透明な場合には,かき混ぜながら,白濁するまで冷却した後e)の操作を行う。
e) 1分間に1〜2 ℃の割合で試料管内溶液を加熱し,透視ランプのフィラメントが急に輝き出し薄膜の乳
白色が消える点を過ぎるまで加熱を続ける。
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加熱を止め,透視ランプの光度を調節してフィラメントが明確に見え,かつ,目ざわりでない程度
の明るさにした後1分間に0.5〜1 ℃の割合で混合液を冷却する。再び薄膜に乳白色が現れる(通常は
薄膜を通してフィラメントがぼんやり見える)か,フィラメントが急に薄暗くなるか又はその両方の
状態になったときの温度を0.1 ℃の桁まで読み,これを測定したアニリン点とする。
f)
e)のアニリン点の測定を3回繰り返し,8.3によって測定したアニリン点の評価を行う。
8.1.3
U字管法の試験の手順
U字管法の試験の手順は,次による。
a) 附属書JAに規定するU字管法試験器の各部を洗浄して乾燥する。アニリン10 mL及び脱水試料10 mL
をそれぞれピペッターなどを取り付けた全量ピペットでU字管にとる。全量ピペットによる採取が難
しい粘ちょうな試料の場合は,適切なはかりを用いて室温で10 mL±0.02 mLに相当する量を0.01 g
の桁まではかりとる。
b) 偏平室を通して透視ランプのフィラメントを観察できるような位置にU字管を保持器に取り付ける。
U字管に試料かき混ぜ棒と温度計とを差し込み,温度計の浸没線が液面下にくるように,かつ,水銀
球が管壁に触れないようにする。
c) アニリン−試料混合液(以下,U字管内溶液という。)がU字管の偏平室内を連続して一様に流れる
ように試料のかき混ぜ棒の回転速度を調節する。U字管内溶液が,室温で2層に分離しているか,又
は白濁している場合には,d)の操作を行う。U字管内溶液が室温で透明な場合にはかき混ぜながら白
濁するまで冷却した後d)の操作を行う。
d) U字管内溶液が完全に混合するまで1分間に1〜2 ℃の割合で加熱する。次いで加熱を止め,続けて
かき混ぜながら1分間に0.5〜1 ℃の割合で徐々に混合液を冷却する。偏平室内を流れる混合液が完全
に曇り,透視ランプのフィラメントが見えなくなったときの温度を0.1 ℃の桁まで読み,これを測定
したアニリン点とする。
e) d)のアニリン点の測定を3回繰り返し,8.3によって測定したアニリン点の評価を行う。
8.2
混合アニリン点
混合アニリン点の試験の手順は,次による。
a) アニリン10 mL,脱水試料5 mL及びヘプタン5 mLをそれぞれピペッターなどを取り付けた全量ピペ
ットで清浄な乾いた試験管,試料管又はU字管にとる。
b) この混合液について,8.1.1 b),8.1.2 b)又は8.1.3 b)以降の手順によって,アニリン点を測定し,混合
アニリン点とする。
c) 混合アニリン点の測定を3回繰り返し,8.3によって測定したアニリン点の評価を行う。
8.3
測定したアニリン点の評価
測定したアニリン点の評価は,次による。
a) 3回の測定したアニリン点の範囲が表1に示す許容値以内の場合には,箇条9によってアニリン点を
算出する。3回の測定したアニリン点の範囲が表1に示す許容値を超える場合には,更に測定操作を2
回追加して行い,5回の測定したアニリン点のうちいずれかの連続3回の測定したアニリン点の範囲
が表1に示す許容値以内であれば,箇条9によってアニリン点を算出する。
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表1−測定したアニリン点の範囲の許容値(3回の場合)
単位 ℃
試料及び外観(色)
測定したアニリン点許容値
淡色透明試料(ASTM色 0.5〜6.5)
0.1
暗色試料(ASTM色 6.5<)
0.2
潤滑油
0.2
b) 測定操作を5回繰り返しても,範囲が表1に示す許容値以内にある連続3回の測定したアニリン点が
得られない場合には,新たに試料をとり直して,これまでの操作をもう一度繰り返す。このようにし
ても範囲が表1に示す許容値を超え,連続3回の測定したアニリン点が得られないときは,次のよう
にする。
1) 5回の測定したアニリン点の範囲が,表2に示す許容値以内であれば,箇条9によってアニリン点
を算出する。
2) 5回の測定したアニリン点の範囲が,表2に示す許容値を超えた場合には,測定できないとする。
表2−測定したアニリン点の範囲の許容値(5回の場合)
単位 ℃
試料及び外観(色)
測定したアニリン点許容値
淡色透明試料(ASTM色 0.5〜6.5)
0.2
暗色試料(ASTM色 6.5<)
0.3
潤滑油
0.3
9
結果の表し方
アニリン点又は混合アニリン点は,8.3 a)又は8.3 b)で得られた連続3回又は連続5回の測定したアニリ
ン点を,温度計の目盛誤差を補正し,平均した後,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.1に丸める。
10 精度
10.1 一般事項
この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。試験結果が許容差を外れ
た場合には,JIS Z 8402-6の規定によって処理する。
10.2 室内併行精度
同一試験室において,同一人が同一試験器で引続き短時間に同一試料を2回試験したとき,試験結果の
差の許容差は,表3及び表4による。
10.3 室間再現精度
異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して求めた2個の試験結
果の差の許容差は,表3及び表4による。
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表3−アニリン点の精度
単位 ℃
試料及び外観(色)
室内併行許容差
室間再現許容差
淡色透明試料(ASTM色 0.5〜6.5)
0.2
0.5
暗色試料(ASTM色 6.5<)
0.3
1.0
潤滑油
0.3
1.0
表4−混合アニリン点の精度
単位 ℃
試料及び外観(色)
室内併行許容差
室間再現許容差
淡色透明試料(ASTM色 0.5〜6.5)
0.2
0.7
暗色試料(ASTM色 6.5<)
0.3
1.0
潤滑油
0.3
1.0
11 試験結果の報告
試験結果には,次の事項を記載する。
a) 試料名,採取場所及び採取年月日
b) この規格の番号(JIS K 2256)
c) 試験項目名(アニリン点又は混合アニリン点の別)
d) 結果(箇条9の表し方による)
e) 試験年月日
f)
特記事項
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附属書A
(規定)
試験管法試験器
A.1 試験器
試験管法試験器は,次に規定するa)〜f)からなり,その例を図A.1に示す。
a) 試験管 JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス−1製で,寸法は,図A.2に示すもの。
b) 外管 JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス−1製で,寸法は,図A.3に示すもの。
c) かき混ぜ棒 軟質鉄線又はステンレス鋼とし,図A.4に示す形状・寸法のもの。差込用ガラス管の中
を手動又は電動で上下する構造のもの。
d) 差込用ガラス管 JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス−2製以上で,寸法は図A.5に規定するも
の。
e) 冷却浴 JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス−1製で,寸法の例を図A.6に示す。図A.7に示す
フェノール樹脂製積層板などで製作した蓋を用いてもよい。
f)
加熱器 電熱,赤外線などの熱源を用いて試料温度を1分間に1〜3 ℃の割合で昇温ができるもの。
単位 mm
① 差込用ガラス管
② かき混ぜ棒
③ 温度計
④ コルク栓
⑤ 加熱器(赤外線ランプなど)
⑥ 試験管
⑦ 外管
⑧ 耐熱板
⑨ 操作盤
図A.1−試験管法試験器の例
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単位 mm
単位 mm
図A.2−試験管
図A.3−外管
単位 mm
単位 mm
図A.4−かき混ぜ棒
図A.5−差込用ガラス管
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単位 mm
単位 mm
図A.6−冷却浴の例
図A.7−冷却浴の蓋
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附属書B
(規定)
薄膜法試験器
B.1
試験器
薄膜法試験器は,次に規定するa)〜f)からなり,その例を図B.1に示す。
a) 試料管 JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス−1製で,寸法は,図B.2に示すもの。
b) ポンプ JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス−2製以上で,図B.3に示すポンプ管及び図B.4に示
す形状・寸法のステンレス鋼製のポンプ回転子からなるもの。
c) 電動機 ポンプ回転子及び浴用かき混ぜ機を任意の速さで回転できるもの。
d) 加熱及び冷却用浴 A.1 e)に規定する冷却浴で,図B.5に示すフェノール樹脂製積層板製などの蓋及び
金属製冷却管を備えたもの。
e) 透視ランプ 7.2 V 0.55 ABのランプで,光度を調整できるもの。
f)
加熱器 図B.6に示す形状・寸法とし,耐熱板の中央に直径約65 mmの孔をもち,下部から250〜375
Wの赤外線ランプなどの適切な器具を用いて,試料の温度を1分間に1〜2 ℃の割合で昇温できるも
の。
単位 mm
① 試料用温度計
② 試料管
③ 加熱及び冷却用浴
④ ポンプ管
⑤ 浴用かき混ぜ機
⑥ 加熱器
⑦ 試料管押さえ金具
⑧ 電動機
⑨ 透視ランプ
⑩ 浴用温度計
⑪ ポンプ回転子
⑫ 操作盤
図B.1−薄膜法試験器の例
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単位 mm
図B.2−試料管
単位 mm
単位 mm
注a) 試料をくみ上げる方向であればよい。
図B.3−ポンプ管
図B.4−ポンプ回転子
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単位 mm
図B.5−加熱及び冷却用浴の蓋の例
単位 mm
図B.6−加熱器の例
14
K 2256:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(規定)
U字管法試験器
JA.1 試験器
U字管法試験器は,次に規定するa)〜g)からなり,その例を図JA.1に示す。
a) U字管 JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス−1製で,寸法は,図JA.2に示すもの。偏平室内面
は,なるべく平面に仕上げ透明であるとよい。
b) 試料かき混ぜ棒 JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス−1製で,寸法は,図JA.3に示すもの又は
同一形状・寸法のステンレス鋼製のもの。羽根のねじれ方向は,試験器に組み込んで回転させたとき
試料をくみ上げる方向とする。
c) 電動機 試料かき混ぜ棒及び浴用かき混ぜ機を任意の速さで回転できるもの。
d) 加熱及び冷却用浴 A.1 e)に規定する冷却浴で,図JA.4に示すフェノール樹脂製積層板などの蓋及び
金属製冷却管を備えたもの。
e) 保持器 図JA.5に示す形状・寸法のステンレス鋼製で,蓋に固定し,U字管及び透視ランプカバーを
保持できるもの。
f) 透視ランプ 7.2 V 0.55 ABのランプを,図JA.6に示すランプカバーの中に入れ光度を調整できるもの。
ランプカバーの材質は,JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス−2製以上で,寸法は,図JA.6に示
すもの。
g) 加熱器 図JA.7に示す形状・寸法とし,耐熱板の中央に直径約65 mmの孔をもち,下部から250〜
375 Wの赤外線ランプなどの適切な器具を用いて,試料の温度を1分間に1〜2 ℃の割合で昇温でき
るもの。
15
K 2256:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
① 加熱及び冷却用浴
② 保持器
③ U字管
④ 浴用かき混ぜ機
⑤ 加熱器
⑥ 試料用温度計
⑦ 浴用温度計
⑧ 電動機
⑨ 試料かき混ぜ棒
⑩ 操作盤
⑪ 透視ランプ
図JA.1−U字管法試験器の例
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K 2256:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
図JA.2−U字管
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K 2256:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
羽根部
厚さ
1〜2
幅
5.5〜6
ねじれ数
1〜1.5回
ねじれ方向 右又は左
図JA.3−試料かき混ぜ棒
単位 mm
図JA.4−加熱及び冷却用浴の蓋の例
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K 2256:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
図JA.5−保持器
単位 mm
図JA.6−ランプカバー
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K 2256:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
図JA.7−加熱器の例
参考文献 [1] IP 2/61 Standard Method of Test for Aniline Point and Mixed Aniline Point of Petroleum Products
and Hydrocarbon Solvents
20
K 2256:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JB
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 2256:2013 石油製品−アニリン点及び混合アニリン点の求め方
ISO 2977:1997 Petroleum products and hydrocarbon solvents−Determination of aniline
point and mixed aniline point
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 石油製品
1
石油製品,炭化水素溶剤 削除
炭化水素溶剤は石油製品に含
まれる。
技術的差異はない。
3種類の試験方法を
規定
5種類の試験方法を規定
変更/
追加
JISは,ISOが規定している5
種類の試験方法のうち,2種類
を採用し,国内で実績がある1
種類を加えて3種類の試験方法
を表0Aで明記した。
ISOの他の3種類の方法は,これまでも
国内での実施実績がない。JISは,国内
の実情に合わせてU字管法を追加規定
した。技術的差異はない。
6 試験器及
び器具
乾燥に用いるガス
に空気又は不活性
ガスを規定
6
乾燥に用いるガスに不活
性ガスを規定
追加
JISは,乾燥に用いるガスとし
て空気を独自に追加規定した。
国内では,乾燥に用いるガスに空気を用
いることがあるため追加規定した。技術
的差異はない。
6.1 アニリ
ン点試験器
試験管法,U字管法,
薄膜法の試験器を
規定
試験管法,薄膜法,密閉
式試験管法,少量密閉式
試験管法の試験器を規定
追加/
削除
JISは,密閉式試験管法,少量
密閉式試験管法の試験器を削
除し,U字管法を追加した。
国内では,U字管法の試験器が普及して
いるため,ISO規格のNOTEで許容して
いるU字管法の試験器を規定し,国内で
使用実績がないものは不採用とした。
6.2 温度計
引用規格のJIS B
7410で規定
6.3
Annex Fで規定
変更
JISは,アニリン点用温度計に
ついて,JIS B 7410を参照した。
JISは,温度計について,別途JIS B 7410
で規定している。技術的差異はない。
7 試料
a) 試料の
採取方法及
び調製方法
7
追加
JISは,測定前の試料採取方法
及び調製方法を追加規定した。
国内では,JIS K 2251に試料採取方法が
あり,その様式に従って規定した。
2
K
2
2
5
6
:
2
0
1
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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K 2256:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
8 試験の手
順及び評価
8
8.1.3 U字
管法の試験
の手順
U字管法の試験手順
を規定
U字管法をNOTEで許容 追加
JISは,U字管法を採用した。
国内では,U字管法が普及しているため,
ISO規格のNOTEで許容しているU字管
法を規定した。
8.3 測定し
たアニリン
点の評価
潤滑油試料の範囲
の許容値を規定
潤滑油試料と他油種の範
囲の許容値を同一で規定
追加
JISは,潤滑油試料の範囲の許
容値を追加規定した。
JISは,照合試験結果に基づいた潤滑油
試料の精度に整合させて範囲の許容値
を規定した。
9 結果の表
し方
報告値は,0.1 ℃単
位
9
報告値は,0.05 ℃単位
変更
使用する温度計の読取り精度
に合わせて変更した。
温度計の読取り0.1 ℃,補正値も0.1 ℃
単位であり報告値も0.1 ℃単位が妥当。
5年見直しでISOに提案している。
追加
JISは,数値をJIS Z 8401によ
って丸めることを追加してい
る。
JISは,数値の丸め方を明確にするため
に追加した。
10 精度
室内併行許容差:
0.2 ℃
10
室内併行許容差:0.16 ℃ 変更
室内併行許容差:ISO規格は,
0.16 ℃であるがJISは0.2 ℃と
した。
報告値が0.1 ℃単位であるため,0.2 ℃
に切り上げるのが妥当。5年見直しで
ISOに提案している。
精度は,試料の外観
(ASTM色)及び油
種(潤滑油)で規定
精度は,試料の外観
(ASTM色)で規定
追加
JISは,潤滑油試料の精度を追
加規定した。
潤滑油試料は,淡色透明であっても,精
度は,暗色試料に相当するため,潤滑油
試料の精度を別に規定した。5年見直し
でISOに提案している。
追加
JISでは,JIS Z 8402-6の引用を
追加している。
JISは,許容差を外れた場合の取扱いを
明確にした。
附属書A
(規定)
試験管法試験器
Annex
A
試験管法試験器と試験手
順
変更
JISは,試験手順の部分を本文
に記載した。
JISの一般的な記載方法に従って,本文
と附属書に分けて記載した。
附属書B
(規定)
薄膜法試験器
Annex
B
薄膜管法試験器と試験手
順
変更
JISは,試験手順の部分を本文
に記載した。
JISの一般的な記載方法に従って,本文
と附属書に分けて記載した。
附属書JA
(規定)
U字管法試験器
−
U字管法をNOTEで許容 追加
JISは,附属書に詳細を記載し
た。
JISは,IP 2/61を基にして作成した。
2
K
2
2
5
6
:
2
0
1
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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K 2256:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 2977:1997,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
K
2
2
5
6
:
2
0
1
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。