K 2249-1:2011
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 試験の原理 ······················································································································ 3
5 試験器···························································································································· 3
6 校正用標準物質 ················································································································ 4
7 試薬······························································································································· 5
8 試料の採取方法及び調製方法 ······························································································ 5
9 試料の準備 ······················································································································ 5
10 試験器の準備 ················································································································· 6
11 試験器の校正 ················································································································· 7
12 試験の手順 ···················································································································· 8
13 計算方法 ······················································································································· 9
14 結果の表し方 ················································································································ 10
15 精度 ···························································································································· 10
16 試験結果の報告 ············································································································· 11
附属書JA(参考)試験方法の種類 ·························································································· 12
附属書JB(参考)密度に関連する用語及び定義 ········································································ 13
附属書JC(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 14
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,石油連盟(PAJ)から,工業標準原案を具し
て日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定し
た日本工業規格である。これによって,JIS K 2249:1995は廃止され,その一部を分割して制定したこの規
格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS K 2249の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 2249-1 第1部:振動法
JIS K 2249-2 第2部:浮ひょう法
JIS K 2249-3 第3部:ピクノメータ法
JIS K 2249-4 第4部:密度・質量・容量換算表
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日本工業規格
JIS
K 2249-1:2011
原油及び石油製品−密度の求め方−
第1部:振動法
Crude petroleum and petroleum products-Determination of density-
Part 1: Oscillating U-tube method
序文
この規格は,1996年に第1版として発行されたISO 12185を基に,国内の実情に合わせるため,技術的
内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JCに示す。
1
適用範囲
この規格は,試験条件下の温度及び圧力状態において,単一相の液体として扱うことのできる原油及び
石油製品の密度を振動法によって求める方法について規定する。測定できる密度範囲は,0.6〜1.1 g/cm3で
ある。
この規格は,試料の調製から測定までの間に,軽質分の損失を抑え,かつ,試料を単一な液体相として
保つことができる場合は,蒸気圧の高い試料にも適用できる。
密度をJIS K 2249-4に規定する密度・質量・容量換算表を用いて15 ℃の密度に変換する場合,換算表
の使用に伴って起きる種々の不確実な因子を最小限に抑えるため,測定は,15 ℃にできるだけ近い温度で
行うことが望ましい。
注記1 この規格群に規定する試験方法の種類及びその適用区分を附属書JAに示す。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 12185:1996,Crude petroleum and petroleum products−Determination of density−Oscillating
U-tube method(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
警告 この規格は,危険な試薬,操作及び試験器を用いることがあるが,安全な使用方法を全てに規
定しているわけではないので,この試験方法の使用者は,試験に先立って,適切な安全上及び
健康上の禁止事項を決めておかなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
2
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JIS B 7410 石油類試験用ガラス製温度計
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS K 2249-4 原油及び石油製品−密度の求め方−第4部:密度・質量・容量換算表
注記 対応国際規格:ISO 91-1,Petroleum measurement tables−Part 1: Tables based on reference
temperatures of 15 ℃ and 60 °F(MOD)
JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法
注記 対応国際規格:ISO 3170,Petroleum liquids−Manual sampling(MOD)
JIS K 2269 原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8252 ペルオキソ二硫酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8680 トルエン(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的
な使い方
ISO 3171 Petroleum liquids−Automatic pipeline sampling
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
密度(density)
試料の単位体積当たりの質量。密度は,その温度条件を付して,次のように表す。
なお,この規格においては,質量,体積及び温度の単位をそれぞれg,cm3及び℃とする。
a) 密度(15 ℃) 15 ℃における試料の密度。g/cm3で表す。
b) 密度(t ℃) t ℃における試料の密度。g/cm3で表す。
原油及び石油製品の密度は,通常,15 ℃における値“密度(15 ℃)”で表す。
注記1 密度に関連する用語及び定義を,附属書JBに示す。
注記2 密度は,空気の浮力による影響を補正した値(真空中での測定値に相当する。)である。また,
密度の報告単位をg/cm3からkg/m3に変換する場合は,次の式によって換算する。
kg/m3=g/cm3×1 000
3.2
測定密度
JIS K 2249-4の付表I表1A(原油の温度に対する密度換算表),付表II表1B(燃料油の温度に対する密
度換算表)又は付表III表1D(潤滑油の温度に対する密度換算表)を用いて密度(15 ℃)へ換算すると
きに必要な値。この値は,基準温度(15 ℃)で校正されたソーダ石灰ガラス製の浮ひょうで測定したとき
の目盛の読みに相当する。この規格で,15 ℃以外の試験温度(t ℃)における値“密度(t ℃)”から密
度(15 ℃)を求める場合は,密度(t ℃)を測定密度に変換し,その測定密度から密度(15 ℃)へ換算
する。
3
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3.3
基準温度(reference temperature)
試料の密度を報告するときの試料の温度。この規格では,15 ℃とする。
3.4
曇り点
液体試料を規定の条件で冷却したとき,その液体にワックスの結晶からなる曇りが最初に現れる温度。
3.5
流動点
試料を規定の条件で冷却したとき,その試料が流動し続ける最低の温度。
4
試験の原理
一端を固定したガラス管(以下,試料セルという。)に試料を導入し,これに,初期振動を与えると試料
セルは,試料質量に比例した固有振動周期で振動する。試料セルの振動部分の体積を一定とすれば,固有
振動周期は,試料の密度に比例する。この試験方法は,試料セルの固有振動周期を検出して試料の密度を
求める方法である。
試験操作は,密度既知の標準物質2種類を容量約1 cm3の試料セルに導入し,それぞれの固有振動周期
及び密度から密度試験器の試料セル定数を求めておく。次に,試料の固有振動周期を求め,これと試料セ
ル定数とから試料の密度を求める。
5
試験器
密度試験器は,次に規定するa)〜e) からなり,その構成の例を図1に示す。校正後の密度試験器は,密
度測定において±0.000 1 g/cm3以上の分解能をもつものとする。密度試験器には,振動法密度試験器とI
形振動法密度試験器がある。表1に振動法密度試験器及びI形振動法密度試験器の性能を示す。
注記 I形振動法密度試験器は,JIS K 2249-2に規定する浮ひょう密度試験器(L50 SP 及び M50 SP)
と同等の精度をもつものである。
1 測定部
2 発振器
3 水晶発振器
4 固有振動周期検出器
5 演算表示部
6 温度調節部
7 試料セル室
8 試料セル
図1−密度試験器の構成の例
4
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表1−振動法密度試験器及びI形振動法密度試験器の性能
項目
振動法密度試験器
I形振動法密度試験器
測定部及び演算部連続測定差a) g/cm3
0.000 1以下
0.000 5以下
温度調節部恒温性能 ℃
±0.05
±0.1
注a) 試料セルに導入した同一試料で連続して3回測定した試料の密度の最大値と最小値との差。
a) 測定部 測定部は,容量約1 cm3の試料セル,発振器及び固有振動周期検出器からなり,試料セルに
初期振動を与え,生じる固有振動周期を検出できるもの。
b) 演算部 演算部は,次のいずれか又はいずれも表示できるもの。
1) 試料セルの固有振動周期を数値変換し,5桁以上を表示できるもの。
2) 固有振動周期から自動演算し,試料の密度を0.000 1以上の桁を表示できるもの。
c) 試料導入部 試料導入部は,試料を試料セルに導入できるもの。シリンジ,オートサンプラなどで圧
入する方式,ポンプ,オートサンプラなどで吸引する方式のいずれでもよい。試料セルの温度を空気
の露点以下に保ったとき,密度試験器の中には,測定部のセンサー,電子部品などに結露を生じるも
のがある。この場合,密度試験器周辺を除湿するとよい。
d) 温度調節装置 温度調節装置は,試料セルを試験温度に保持することができるもの。恒温性能は,表
1による。循環恒温槽を用いる場合は,循環液の温度を設定温度の±0.05 ℃に保つことができるもの。
e) 温度計 温度計は,試料セル温度を測定できるもので,次のいずれかを用いる。
1) ガラス製温度計 振動法密度試験器では,目量が0.1 ℃で,目盛誤差が0.1 ℃以内のもの。I形振
動法密度試験器では,目量が0.2 ℃で,目盛誤差0.2 ℃以内のもの。 ガラス製温度計は,JIS B
7410の附属書(補正試験方法)によって誤差を求め,補正する。
2) 抵抗温度計 振動法密度試験器では,0.01 ℃の桁まで表示でき,精度が0.1 ℃以内のもの。I形振
動法密度試験器では,0.1 ℃の桁まで表示でき,精度が0.2 ℃以内のもの。
6
校正用標準物質
密度試験器(試料セル)の校正には,二つ以上の校正用標準物質が必要である。これらの標準物質を選
ぶには,その密度が試料の密度を挟むように選ぶ。校正用標準物質は,国家標準に対してトレーサビリテ
ィがあるか,又は国際的に容認されたものでなければならない。空気及び水を用いるときは,次のa) 及
びb) に示すものを用いる。
a) 空気 測定場所の大気を用いる。空気が汚染している場合及び湿度の高い場所で試験を行う場合など
は,試料セルに適切な吸着剤入りの吸収管を接続する。空気の密度は,次の式(1)によって算出する。
s
a
P
P
t
d
×
+
×
=
273.15
273.15
293
001
.0
······················································ (1)
ここに,
da: 試験温度における空気密度(g/cm3)
t: 試験温度(℃)
P: 測定時の大気圧(kPa)
Ps: 標準大気圧(101.32 kPa)
b) 水 JIS K 0557に規定するA3以上のものを煮沸し,脱気して用いる。水の密度は,表2による。
5
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表2−水の密度
温度
℃
密度
g/cm3
温度
℃
密度
g/cm3
温度
℃
密度
g/cm3
温度
℃
密度
g/cm3
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
0.999 84
0.999 90
0.999 94
0.999 96
0.999 97
0.999 96
0.999 94
0.999 90
0.999 85
0.999 78
0.999 70
0.999 60
0.999 50
0.999 38
0.999 24
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
0.999 10
0.998 94
0.998 77
0.998 59
0.998 40
0.998 20
0.997 99
0.997 77
0.997 54
0.997 29
0.997 05
0.996 78
0.996 51
0.996 23
0.995 94
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
0.995 65
0.995 34
0.995 02
0.994 70
0.994 37
0.994 03
0.993 68
0.993 33
0.992 96
0.992 59
0.992 21
45
50
55
60
65
70
75
80
85
90
95
100
0.990 22
0.988 05
0.985 70
0.983 21
0.980 57
0.977 78
0.974 86
0.971 80
0.968 62
0.965 32
0.961 89
0.958 35
c) 密度標準物質 校正用標準物質として国家標準に対してトレーサビリティがあるJCSS認定の密度標
準液を用いることができる。また,検証用標準液として用いることもできる。
注記 JCSS認定の密度標準液として,2,2,4-トリメチルペンタン及びジクロロトルエンのほか,粘
度の異なる密度標準液などが供給されている。
7
試薬
試薬は,次による。
a) トルエン JIS K 8680に規定するもの。
b) アセトン JIS K 8034に規定するもの。
c) 水 JIS K 0557に規定するA3以上のもの。
d) 試料セル洗浄剤 JIS K 8951に規定する硫酸1 LにJIS K 8252に規定するペルオキソ二硫酸アンモニ
ウム8 gを溶かしたもの又はこれと同等の性能をもつ洗浄剤。
警告 ペルオキソ二硫酸アンモニウムは,強酸化剤であるので,その取扱いには十分注意する。
8
試料の採取方法及び調製方法
試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法,又はそれに準じた方法に
よって採取及び調製する。自動サンプリングの場合には,ISO 3171によってもよい。
9
試料の準備
9.1
一般事項
試料の準備は,次による。
a) 軽質分の損失は,できるだけ少なくする。
b) 試料の温度は,JIS K 2269によって求めた流動点より20 ℃高い温度又はJIS K 2269によって求めた
曇り点より高い温度とする。
6
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注記 試料中に堆積物,水又は不溶解性ワックスが存在するとき,均質化及び加熱操作が必要とな
るが,この操作による軽質分の損失は,密度の測定値に誤差を生じる場合がある。
9.2
水及び堆積物を含まない,十分流動性のある石油製品
ゆっくり振とうしてかくはんする。
9.3
水及び堆積物を含む原油及び石油製品
水及び堆積物を含む試料は,かくはんによって十分に均一な液体状態になる場合,軽質分の損失をでき
るだけ抑えるように十分注意して,試料採取に用いた容器のまま密閉した状態でかくはんする。均一な状
態にならない場合は,ろ紙によるろ過,遠心分離などによって除去してもよい。この場合,揮発性の試料
は,蒸発損失が起こらないように注意する。
注記 開放容器で揮発性の高い試料をかくはんすると,軽質成分の損失を起こす。
9.4
ワックスを含む原油
軽質分の損失が起こらないように注意しながら,試料採取に用いた密閉容器のまま,試料を原油の流動
点より20 ℃高い温度まで温めてからかくはんする。
9.5
ワックスを含む留出油
曇り点の3 ℃高い温度まで温めてからかくはんする。
9.6
重質燃料油
流動するまで加熱してからかくはんする。
10 試験器の準備
10.1 試験温度
密度の測定は,15 ℃で行う。高粘度及びワックスを含む試料で15 ℃での測定が困難な場合は,試料の
曇り点より3 ℃高い温度又は流動点より20 ℃高い温度で行う。揮発性試料で15 ℃での測定が困難な場
合は,軽質分の蒸発損失が起こらない温度を選択する。
密度試験器の試料セルの温度及び圧力は,密度試験器に規定された操作可能範囲を超えてはならない。
また,試料の種類によって表3に示す事項に注意して,試験温度を選ぶことができる。
表3−試験温度を選択するときの注意事項の例
試料の種類
試験温度
揮発性試料
4 ℃以上で蒸気圧が80 kPaを超えない温度
高粘度試料
60 ℃以下で十分に流動する温度
石油類とそれ以外のものとの混合物
15 ℃±0.1 ℃
10.2 密度試験器の準備
密度試験器の準備は,次による。
a) 密度試験器の結線,循環水の配管などが正しく行われていることを確認する。測温部と温度調節部と
が一体となっていない形式の密度試験器の場合,循環水の配管は,できるだけ短くし,十分に保温す
る。また,循環水は,常に清浄であることを確認する。
b) 温度計を試料セル室の規定する位置に設置する。測温部が恒温槽側にある密度試験器の場合は,恒温
槽と試料セル温度との関係をあらかじめ求めておいて,試料セル温度が試験温度と等しくなるように
恒温槽温度を調節する。
7
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c) 密度試験器の電源を入れ,試料セル温度を試験温度±0.05 ℃に調節する。I形振動法密度試験器の場
合は,試験温度±0.1 ℃に調節する。
10.3 試料セルの洗浄
試料セルの洗浄は,次による。
a) 試料セルに十分な量のトルエンを流し,次いでアセトンを流した後,空気を通して試料セルを乾燥す
る。
b) 溶解塩を含んだ原油などを測定した後は,a) のトルエン及びアセトンで洗浄した後,水を流して試料
セルを洗浄する。最後にアセトンを流した後,空気を通して試料セルを乾燥する。
c) 試料セルの汚れが,これらの溶剤で十分に落ちない場合及び標準物質の密度測定結果と標準値との差
が箇条11 f) に示す許容差を超えたときは,試料セル洗浄剤で,試料セルを洗浄し,水で十分にすす
ぎ,最後にアセトンを流した後,空気を通して試料セルを乾燥する。
11 試験器の校正
密度試験器の校正の手順は,次による。試験温度を変更したとき,密度試験器を修理したとき及びプロ
グラムを変更したときは,密度試験器を校正する。
なお,校正後は,7日を超えない間隔で検証する。
a) 10.3に従って試料セルを洗浄し,乾燥する。
b) 試料セル内の空気の流れを止め,空気の振動周期又は密度を表示させ,表示値が安定したら,その値
及び試料セル温度を記録する。同時に測定場所の大気圧を記録する。空気が校正用標準物質の場合は,
c) を省略する。
c) 二つの校正用標準物質のうち,密度の小さい方を最初の校正用標準物質とし,気泡が入らないように
試料セルに導入し,振動周期又は密度を表示させ,表示値が安定したら,その値及び試料セル温度を
記録する。次に10.3に従って試料セルを洗浄し,乾燥する。
d) 2番目の校正用標準物質を気泡が入らないように試料セルに導入し,振動周期又は密度を表示させ,
表示値が安定したら,その値及び試料セル温度を記録する。
e) 密度試験器の取扱説明書に従って試料セル定数を算出する。
f)
空気及び水を校正用標準物質とした場合,記録した振動周期から次の手順によって試料セル定数を算
出することができる。
1) 箇条6 a) の式(1)及び表2によって,試験温度における空気及び水の密度を求める。
2) a)〜d) に準じて求めた空気及び水の振動周期と1) で求めた密度とから,次の式(2)によって,試料
セル定数を算出する。
2
2
at
wt
at
wt
t
T
T
d
D
K
−
−
=
·········································································· (2)
ここに,
Kt: 試験温度(t ℃)における試料セル定数
Dwt: 試験温度(t ℃)における水の密度(g/cm3)(表2参照)
dat: 試験温度(t ℃)における空気の密度(g/cm3)
Twt: 試験温度(t ℃)における水の振動周期
Tat: 試験温度(t ℃)における空気の振動周期
g) 校正用標準物質として空気及び水以外の物質を用いる場合は,a)〜d) に準じてそれらの物質の試験温
度における振動周期及び密度を求め,それらの値をf) の式(2)の該当する項に代入し,算出する。こ
8
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のとき,式(2)の中の空気の密度及び振動周期を最初の校正標準物質の密度及び振動周期に,水の密度
及び振動周期を2番目の校正標準物質の密度及び振動周期にそれぞれ置き換えて試料セル定数を算出
する。
h) 密度試験器の校正は,試験温度を変更,試験器の修理及びプログラムの変更のほか,必要に応じて標
準物質の密度を測定し,標準値との差が0.000 1 g/cm3(I形振動法密度試験器の場合は,0.000 5 g/cm3)
を超えたときは,校正し直す。
なお,このとき,試料セルは,試料セル洗浄剤を用いて十分洗浄する。
i)
校正後,10.3に従って試料セルを洗浄し,乾燥する。
12 試験の手順
試験の手順は,次による。
a) 10.3に従って,試料セルを洗浄し,乾燥する。
b) 試料セル内の空気の流れを止めて測定した空気による密度試験器の読みと箇条11 b) によって得られ
た振動周期又は密度とを比較して最小有効桁の数字1) が±1であることを確認する。それを超える場
合は,試料セルを洗浄し,乾燥後,再確認する。再確認を行っても読みが違う場合は,密度試験器を
校正し直す。
注1) 通常,密度試験器における読みの有効桁数は,振動周期の場合,5桁,密度の場合,小数点
以下4桁である。
c) 試料を適切なシリンジ又はオートサンプラを用いて試料セルに導入する。ワックスを含む留出油,残
さ油及び原油を試験するときは,シリンジ又はオートサンプラを試料の曇り点より3 ℃又は流動点よ
り20 ℃高い温度に温める。オートサンプラを用いて測定するときは,気泡を生成する場合があるが,
その場合は,必要に応じて,試料を2回測定するか,又は密度既知の試料を挟んで測定することで気
泡の生成の有無が確認できる。
d) 軽質分の損失がある試料は,どの段階にあっても吸引してはならない。この場合は,次のいずれかの
方法によって試料セルに導入する。
1) 試料をシリンジにとり,試料セルに圧入する。
2) オートサンプラの場合は,試料を密度試験器に圧入できるものを用いる。
e) 手動で試料を注入する場合は,注入前に試料セルの照明灯を点灯し,気泡の生成の有無を点検して試
料セルに試料を満たす。気泡が認められた場合,試料セルを空にした後,再度試料を満たして気泡が
できていないことを確認する。
f)
密度試験器が密度に対して0.000 1 g/cm3以内,又は振動周期に対して5桁の最小有効桁の数字の安定
した読みの表示2) を確認し,この値及び試料セル温度を0.1 ℃の桁まで記録する。読みが不規則に上
下に振れる場合は,試料セル中に空気又は試料ガスの泡が発生していることがある。この場合は,試
料セルに新しい試料を注入し直す。読みの変動が試料ガスの発生による場合は,試料ガスの発生を抑
えるために低い温度で測定するとよい。
注入前の試料のかくはんが不完全で大きな水滴が試料に存在する場合,表示される密度又は振動周
期は,不規則に上下して安定しない。
注記 振動周期及び密度の読みが一定方向に変動することは,通常,試料セルが平衡温度に達して
いないことを示している。
注2) 安定した読みの表示が自動化されているものもある。
9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
g) 高粘度試料では,試料セル中に空気又は試料ガスの泡が存在していても安定した読みが得られる場合
がある。このような試料は,最初に密度を読んでから,僅かに圧力をかけて,もう一度密度を測定す
る。試料セル中に空気又は試料ガスの泡が存在していない場合は,加圧による密度の変化は僅かであ
る。しかし,空気又は試料ガスの泡が存在すると,気泡が圧縮されるため,密度の変化は,大きくな
る。このような場合は,試料セルを空にして新たな試料を注入し直す。
h) 試料が懸濁した水の微粒子を含んでいる場合,温度が安定したら直ちに密度を測定する。
注記 懸濁した水の微粒子を含んだ試料を長い間試料セルに放置すると,水滴がゆっくり凝集して
試料セルの内壁に移動し,密度が変動する場合がある。
i)
10.3に従って,試料セルを洗浄し,乾燥する。
13 計算方法
試料の密度(15 ℃)は,次のいずれかの方法によって算出する。
13.1 試験温度が15 ℃の場合
a) 密度試験器が密度を表示している場合は,その値を試料の密度(15 ℃)とし,密度試験器が振動周期
を表示している場合は,密度試験器の取扱説明書に従って試料の密度(15 ℃)を算出し,JIS Z 8401
の規定によって丸めの幅0.000 1に丸める。
b) 校正用標準物質として水を用いた場合は,試料の振動周期から試料の密度を次の式によって算出でき
る。また,水以外の校正用標準物質を用いて密度試験器を校正した場合は,次の式のDw15及びTw15
にそれぞれ15 ℃における標準物質の密度及び振動周期を代入して算出する。
(
)
2
15
2
15
15
15
15
w
s
w
T
T
K
D
d
−
×
+
=
ここに,
d15: 試料の密度(15 ℃)(g/cm3)
Dw15: 15 ℃における水の密度(=0.999 10 g/cm3)
K15: 15 ℃における試料セル定数
Ts15: 15 ℃における試料の振動周期
Tw15: 15 ℃における水の振動周期(校正のときに求めた値)
13.2 試験温度が15 ℃以外の場合
a) 密度試験器が密度を表示している場合は,得られた密度(t ℃)から,又は密度試験器が振動周期を
表示している場合は,取扱説明書に従って算出した試料の密度(t ℃)から次の式によって測定密度
(浮ひょうの目盛読みに相当する値)を算出し,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.000 1に丸める。
G
d
S
t
t=
(
)
(
)2
15
02
000
000
.0
15
023
000
.0
1
−
×
−
−
×
−
=
t
t
G
ここに,
St: 測定密度(g/cm3)
dt: 密度試験器から得られた試験温度における試料の密度
(g/cm3)
G: 測定密度に変換するための係数
t: 試験温度(℃)
b) 校正用標準物質として水を用いた場合は,試料の振動周期から次の式によって測定密度を算出できる。
また,水以外の校正用標準物質を用いて密度試験器を校正した場合は,次の式のDwt及びTwtにそれぞ
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
れ試験温度(t ℃)における標準物質の密度及び振動周期を代入して算出する。
G
T
T
K
D
S
wt
st
t
wt
t
)
(
2
2−
×
+
=
··························································· (3)
(
)
(
)2
15
02
000
000
.0
15
023
000
.0
1
−
×
−
−
×
−
=
t
t
G
ここに,
St: 測定密度(g/cm3)
Dwt: 試験温度における水の密度(g/cm3)(表2参照)
Kt: 試験温度における試料セル定数
Tst: 試験温度における試料の振動周期
Twt: 試験温度における水の振動周期(校正のときに求めた値)
G: 測定密度に変換するための係数
t: 試験温度(℃)
式(3)の分子部分の項式
(
)
2
2
wt
st
t
wt
T
T
K
D
−
×
+
から得られる値は,試験温度(t ℃)における試料の密
度(t ℃)である。
c) a) 及びb) で算出した測定密度及び試験温度を用いて,JIS K 2249-4に規定する付表I表1A(原油の
温度に対する密度換算表),付表II表1B(燃料油の温度に対する密度換算表)又は付表III表1D(潤
滑油の温度に対する密度換算表)から試料の密度(15 ℃)を求める。油種別による密度換算表の適用
例を表4に示す。
表4−油種別による密度換算表の適用例
油種名
適用する密度換算表
原油,天然ガソリン,コンデンセート
付表I表1A
ナフサ,航空ガソリン,自動車ガソリン,工業ガソリン,
航空タービン燃料油,灯油,軽油,重油及びこれらに類似
する石油系燃料油
付表II表1B
石油系潤滑油,1種電気絶縁油
付表III表1D
1) 密度試験器には,試験温度が15 ℃以外で,密度(t ℃)を密度(15 ℃)へ変換する機能をもつも
のもあるが,その場合は,表示された値を試料の密度(15 ℃)とする。
2) 密度(15 ℃)を比重60/60 °F又はAPI度に換算する場合は,JIS K 2249-4の附属書JA[原油及び
石油製品の密度(15 ℃),API度及び比重60/60 °Fの相互換算方法]によって行う。
3) 試料の密度(15 ℃)を比重15/4 ℃に変換する場合は,次の式によって換算できる。
4
15
15
w
D
d
s=
ここに,
s15: 比重15/4 ℃
d15: 試料の密度(15 ℃)(g/cm3)
Dw4: 4 ℃における水の密度(=0.999 97 g/cm3)
14 結果の表し方
密度(15 ℃)は,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.000 1に丸める。
15 精度
この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。この精度は,15 ℃の試験
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温度で試験した場合の試料に適用する。試験結果が許容差を外れた場合は,JIS Z 8402-6の規定によって
処理する。
15.1 室内併行精度
同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間に同一試料を2回試験したとき,試験結果
の差の許容差は,表5及び表6による。
15.2 室間再現精度
異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して求めた2個の試験結
果の差の許容差は,表5及び表6による。
表5−精度(振動法密度試験器)
単位 g/cm3
試料
室内併行許容差
室間再現許容差
透明な中間留出油
(灯油,航空タービン燃料油,軽油)
0.000 2
0.000 5
原油及びそのほかの石油製品
0.000 4
0.001 5
表6−精度(I形振動法密度試験器)
単位 g/cm3
試料
室内併行許容差a)
室間再現許容差a)
石油製品
0.000 5
0.001 2
原油
0.001 05 X
0.004 12 X
注a) Xは,試験結果の平均値である。
16 試験結果の報告
試験結果には,次の事項を記載する。
a) 試料名,採取場所及び採取年月日
b) この規格の番号(JIS K 2249-1)
c) 箇条14によって得られた結果
d) 試験年月日
e) 特記事項
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K 2249-1:2011
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附属書JA
(参考)
試験方法の種類
JA.1 試験方法の種類
JIS K 2249の規格群には,表JA.1に示す試験方法がある。
表JA.1−試験方法の種類
規格群
試験方法の種類
適用区分
JIS K 2249-1
振動法
試験条件下で,軽質分の損失がないなど成分に変化がない液状試料に
適用する。
JIS K 2249-2
浮ひょう法
試験温度又は15 ℃において液状で,JIS K 2258-1又はJIS K 2258-2
によって求めた蒸気圧が100 kPa以下の試料に適用する。
JIS K 2249-3
ピクノメ
ータ法
毛細管共栓ピ
クノメータ法
試験温度で液体,固体又は半固体の試料(例えば,高含ろう原油など)
に適用するa)。
JIS K 2258-1又はJIS K 2258-2によって求めた蒸気圧が50 kPa以下で,
かつ,JIS K 2254の常圧法によって求めた初留点が40 ℃以上の液状試
料に適用する。
目盛ピクノメ
ータI形法
JIS K 2258-1又はJIS K 2258-2によって求めた蒸気圧が130 kPa以下
で,JIS K 2283によって求めた動粘度が,試験温度で50 mm2/s未満の
試料に適用する。特に,試料の量が少ない場合に適している。ただし,
不透明試料の測定には注意を要する。
JIS K 2249-4
密度・質量・容量換算表
温度に対する密度換算表:原油,燃料油及び潤滑油
温度に対する容量換算係数表:原油,燃料油及び潤滑油
質量及び容量換算表:原油及び石油製品
熱膨張係数に対する容量換算係数表:原油及び石油製品
附属書(規定)
密度(15 ℃),API度及び
比重60/60 °Fの相互換算
方法
密度(15 ℃)に対応する比重60/60 °F及びAPI度:原油及び石油製品
API度に対応する比重60/60 °F及び密度(15 ℃):原油及び石油製品
比重60/60 °Fに対応するAPI度及び密度(15 ℃):原油及び石油製品
注記 液化石油ガスの密度は,JIS K 2240によって求める。また,石油アスファルトの密度は,JIS K 2207によっ
て求める。
注a) 適用試料は,ピクノメータの種類によって異なる。
13
K 2249-1:2011
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附属書JB
(参考)
密度に関連する用語及び定義
JB.1 比重
温度t1においてある体積の試料の質量と,温度t2においてそれと等体積の水の質量との比。すなわち,
試料の密度と水の密度との比であり,相対密度ともいう。比重は,試料及び水の温度条件を示す記号を付
して次のように表す。
なお,比重は,無次元量である。
a) 比重15/4 ℃ 15 ℃におけるある体積の試料の質量と,それと等体積の4 ℃における水の質量との
比。比重15/4 ℃は,密度(15 ℃)の近似値であり,両者の間には,次の式に示す関係がある。
97
999
.0
15
15
×
=s
d
ここに,
d15: 密度(15 ℃)
s15: 比重15/4 ℃
b) 比重t1/t2 ℃ t1 ℃におけるある体積の試料の質量と,それと等体積のt2 ℃における水の質量との比。
c) 比重60/60 °F 15.56 ℃(60 °F)におけるある体積の試料の質量と,それと等体積の15.56 ℃(60 °F)
における水の質量との比。
JB.2 API度
American Petroleum Institute(アメリカ石油協会)で制定した比重の表示方法。石油類の比重表示方法と
して用いる。“APIボーメ度”又は“API比重”と呼称されることもある。API度は,比重60/60 °Fと次の
式に示す関係がある。
5.
131
5.
141
60
−
=s
A
5.
131
5.
141
60
+
=A
s
ここに,
A: API度
s60: 比重60/60 °F
注記 密度(15 ℃),比重60/60 °F及びAPI度の相互換算は,JIS K 2249-4の附属書JA[原油及び石
油製品の密度(15 ℃),API度及び比重60/60 °Fの相互換算方法]によって行う。
参考文献 [1] JIS K 2207 石油アスファルト
[2] JIS K 2240 液化石油ガス(LPガス)
[3] JIS K 2249-2 原油及び石油製品−密度の求め方−第2部:浮ひょう法
[4] JIS K 2254 石油製品−蒸留試験方法
[5] JIS K 2258-1 原油及び石油製品−蒸気圧の求め方−第1部:リード法
[6] JIS K 2258-2 原油及び石油製品−蒸気圧の求め方−第2部:3回膨張法
[7] JIS K 2283 原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法
附属書JC
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 2249-1:2011 原油及び石油製品−密度の求め方−第1部:振動法
ISO 12185:1996 Crude petroleum and petroleum products−Determination of
density−Oscillating U-tube method
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及
び定義
密度,測定密度,基
準温度,曇り点及び
流動点を定義。
3
密度及び基準温度を定
義。
追加
JISは,測定密度,曇り点及び
流動点を追加規定している。
測定密度,曇り点及び流動点は,
ISO規格の本文中でも引用されて
おり,JISでは,それを明確にす
るために追加した。技術的差異は
ないが,ISOへの提案を検討する。
5 試験器
振動法密度試験器
及びI形振動法密度
試験器を規定。
a) 測定部
b) 演算部
c) 試料導入部
d) 温度調節装置
e) 温度計
5.1
5.2
5.3
密度試験器
循環恒温槽
温度センサー
追加
ISO規格で規定している密度
試験器は,JIS規定の振動法密
度試験器と同等の性能である。
そのほか,JISは,若干性能の
劣るI形振動法密度試験器を
追加規定している。
I形振動法密度試験器は,国内の
普及状況に合わせて規定してい
る。技術的差異はない。
6 校正用
標準物質
校正用標準物質と
して,空気,水及び
密度標準物質を規
定。
6.3
校正用流体
追加
JISは,校正用標準物質として,
空気及び水のほかに,密度標準
物質を特定・規定している。
ISO規格では,許容しているが
特定していない。
JISは,仕様を分かりやすくする
ために記載した。技術的差異はな
い。
7 試薬
a) トルエン
b) アセトン
6.1
フラッシング用溶剤
追加
JISは,試料セルの洗浄溶剤と
してトルエン及びアセトンを
特定しているが,ISO規格は,
溶剤を特定していない。
JISでは,石油製品の洗浄剤とし
て,汎用性があり一般的であるト
ルエン及びアセトンを選定した。
技術的差異はない。
1
4
K
2
2
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(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
9 試料の
準備
測定前の試料の調
製を規定。
8
JISとほぼ同じ
変更
JISは,試料に含まれる水,堆
積物などの除去を許容してい
る。ISO規格は,これらの除去
について規定していない。
試験の意義を考慮すると不純物
は,除去する方が望ましい。ISO
への提案を検討する。
10 試験器
の準備
試験温度の設定,試
験器の準備及び試
料セルの洗浄を規
定。
9
JISとほぼ同じ
追加
JISでは,試料の種類別に適切
な試験温度を例として示して
いる。
使用者の利便性を考慮して追加
した。技術的差異はない。
11 試験器
の校正
密度試験器の校正
を規定。
10
試験器の校正
追加
JISは,校正標準物質として空
気及び水を,表示値として,振
動周期を用いた場合の試料セ
ル定数の算出式を追加した。
空気及び水は,校正標準として最
も多く用いられ,振動周期は最も
基本的な表示値である。算出式の
追加使用者の利便性を考慮した
ものである。技術的差異はない。
追加
JISは,試験器の校正の時期を
標準物質の測定によって確認
することを追加規定している。
測定値の偏りの大きさによって
試験器の校正の必要性を判断す
るためである。技術的差異はな
い。
13 計算方
法
測定値から密度の
算出法及び結果の
表示方法を規定。
12
計算
追加
JISは,振動周期から密度への
算出式を追加している。
追加した算出式は,この試験法に
おける最も基本的な変換式であ
る。使用者の利便性を考慮して追
加した。技術的差異はない。
追加
JISは,算出値をJIS Z 8401に
よって丸めることを追加して
いる。
JISは,数値の丸め方を明確にす
るために追加した。技術的差異は
ない。
追加
JISは,具体的な多くの油種を
例にして,それらの油種に適用
される密度換算表を油種別に
分類している。
使用者の利便性の考慮して追加
した。技術的差異はない。
14 結果の
表し方
13
結果の表し方
追加
JISは,数値をJIS Z 8401によ
って丸めることを追加してい
る。
JISは,数値の丸め方を明確にす
るために追加した。技術的差異は
ない。
1
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
15 精度
精度を規定。
14
精度
変更
JISでは,精度規定は“15 ℃
の試験温度で測定した場合”に
適用するとした。ISO規格では
適用範囲規定はない。
JISで精度規定範囲を設定したの
は,密度(15 ℃)を求めるとき,
試験温度が15 ℃以外の場合は密
度換算表を適用するが,換算表を
適用したときの精度が必ずしも
明らかでないためである。ISOへ
の提案を検討する。
追加
ISO規格の精度は,JISの振動
法密度試験器と同等である。
JISでは,I形振動法密度試験
器を追加しているため精度も
規定している。
振動法密度試験器については,技
術的差異はない。I形振動法密度
試験器は,国内の実情に合わせて
規定している。技術的差異はな
い。
追加
JISでは,JIS Z 8402-6の引用
を追加している。
JISは,許容差を外れた場合の取
扱を明確にした。
−
−
Annex A
浮ひょう,ピクノメータ
及び振動法による密度測
定から測定密度への補正
方法を規定。
削除
JISでは,試験方法の本文の中
で,ISO規格のAnnex Aと同一
内容を規定している。
技術的差異はない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 12185:1996,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
1
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。