K 2247-3:2011
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 一般要件及び推奨事項 ······································································································· 2
4.1 AUS 32に適した材料の使用に関する要件 ··········································································· 2
4.2 輸送及び貯蔵中の物理的条件···························································································· 3
4.3 AUS 32と接触する表面の清浄度 ······················································································· 4
4.4 その他の性状に関する推奨事項························································································· 4
5 品質保証 ························································································································· 5
5.1 一般 ···························································································································· 5
5.2 試料採取 ······················································································································ 5
5.3 試験 ···························································································································· 5
5.4 製品の出荷及び非適合製品の取扱い方法 ············································································· 5
5.5 品質の監視 ··················································································································· 6
6 容器及び装置類の取扱い方法 ······························································································ 6
6.1 一般 ···························································································································· 6
6.2 使い捨て式の小形容器での取扱い······················································································ 7
6.3 専用大形容器での取扱い ································································································· 7
6.4 非専用大形容器での取扱い······························································································· 7
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 9
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人自動車技術会(JSAE)から,工業
標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産
業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS K 2247の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 2247-1 第1部:品質要件
JIS K 2247-2 第2部:試験方法
JIS K 2247-3 第3部:取扱い,輸送及び貯蔵
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日本工業規格 JIS
K 2247-3:2011
ディーゼル機関−NOx還元剤 AUS 32−
第3部:取扱い,輸送及び貯蔵
Diesel engines-NOx reduction agent AUS 32-
Part 3: Handling, transportation and storage
序文
この規格は,2008年に第1版として発行されたISO 22241-3を基とし,国内における実情に合わせるた
め,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,JIS K 2247-1に規定するNOx還元剤 AUS 32(AUSは,aqueous urea solutionの略語で,尿
素水溶液を表す。)の取扱い,輸送及び貯蔵に関する推奨事項及び要件について規定する。それらの推奨事
項及び要件は,規定されているAUS 32の品質を製造拠点から車載タンクに給水するまでの全ての点にお
いて確保し,選択還元式触媒コンバータシステム(以下,SCRコンバータという。)が適正に機能するよ
うにするために必要なものである。
注記1 JIS K 2247(規格群)では,“NOx還元剤AUS 32”を“AUS 32”と略称する。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 22241-3:2008,Diesel engines−NOx reduction agent AUS 32−Part 3: Handling, transportation
and storage(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 2247-1 ディーゼル機関−NOx還元剤 AUS 32−第1部:品質要件
注記 対応国際規格:ISO 22241-1,Diesel engines−NOx reduction agent AUS 32−Part 1: Quality
requirements(MOD)
JIS K 2247-2 ディーゼル機関−NOx還元剤 AUS 32−第2部:試験方法
注記 対応国際規格:ISO 22241-2,Diesel engines−NOx reduction agent AUS 32−Part 2: Test methods
(MOD)
JIS Q 9001 品質マネジメントシステム−要求事項
2
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注記 対応国際規格:ISO 9001,Quality management systems−Requirements(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
保存有効期間(shelf life)
製造バッチの製造が完了した時点を起点として,AUS 32が規定の条件下で保存されたときに,JIS K
2247-1に規定する品質要件を満足する期間。
3.2
AUS 32の製造バッチ(production batch of AUS 32)
製品が,JIS K 2247-1に規定する品質要件を満足するように,最終的に,物理的又は化学的に調製され
る施設において,一度の稼動で製造されるAUS 32の量単位。
注記 混合前のAUS 32がJIS K 2247-1に規定する品質要件を満足するならば,それらを混合しても
物理的又は化学的な調製とはみなさない。
3.3
バルク操作(bulk operation)
大形容器を用いてのAUS 32の取扱い。
注記 大形容器としては,例えば,タンクローリ,鉄道タンク貨車,貯蔵タンク,タンカなどがある。
3.4
少量操作(packaged shipment)
小形容器を用いてのAUS 32の取扱い。
注記 小形容器とは,2 m3以下の容量の容器をいう。例えば,ドラム缶,缶,瓶,中容量容器(IBC),
携帯容器などがある。
4
一般要件及び推奨事項
4.1
AUS 32に適した材料の使用に関する要件
4.1.1
一般
AUS 32の汚染防止及び使用装置類(容器,チューブ,弁,接続金具,ガスケット,ホースなど)の腐食
防止のために,取扱い,輸送及び貯蔵時にAUS 32と直接接触する全ての材料は,AUS 32との適合性をも
っていなければならない。
この規格の利用者は,各自の責任において,適正な材料を用いなければならない。表1及び表2に記載
する材料は,より信頼性の高い情報が得られるまでの間は,単なる指針として利用しなければならない。
AUS 32との適合性が不明確な全ての材料は,事前に確認試験を実施しなければならない。そのときの試
験条件は,JIS K 2247-1に規定する品質要件への影響度を評価するために,AUS 32がさらされる温度範囲
及び接触時間を反映したものであることが望ましい。さらに,この試験では,AUS 32と接触する材料の信
頼性が維持されているかどうかも確認しなければならない。状況に応じて,より高温での加速試験を行っ
てもよい。
取扱い,輸送及び貯蔵の間にAUS 32の汚染が認められたときには,汚染原因を究明するための調査を
行い,それに基づく適切な是正処置を講じなければならない。
3
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4.1.2
推奨材料
AUS 32に対して用いる推奨材料の例を,表1に示す。
注記 この表は,この規格の発行時点における最新の技術及び知見に基づいて編集したものである。
表1−推奨材料の例
高合金オーステナイト系クロム−ニッケル鋼及び高合金オーステナイト系クロム−ニッケル−モリブデン鋼,例えば,
EN 10088-1,EN 10088-2及びEN 10088-3による1.4541及び1.4571,又はASTM A240,ASTM A276及びASTM A312
によるステンレス鋼304(S30400),304L(S30403),316(S31600)及び316L(S31603)。
チタン
ニッケル−モリブデン−クロム−マンガン−銅−けい素−鉄合金a),例えば,ハステロイc/c-276。
無添加ポリエチレン
無添加ポリプロピレン
無添加ポリイソブチレン
無添加パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)
無添加ポリフルオロエチレン(PFE)
無添加ポリビニリデンフルオライド(PVDF)
無添加ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
無添加ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
注記1 この表の配列順は,推奨材料の優先度を示すものではない。
注記2 プラスチック材料は,加工又は特殊機能付加によって多様な添加剤を含んでいる可能性がある。これらの添
加剤は,AUS 32に溶け出す可能性がある。そのため,AUS 32と直接接触するプラスチック材料の添加剤に
よるAUS 32の汚染を試験するに当たっては,特別な注意が必要である。
注a) 銅を含むが,他の金属を基材とした高耐熱高耐腐食合金であるため,推奨材料とする。
4.1.3
非推奨材料
AUS 32に対して用いることを推奨しない材料の例を,表2に示す。
注記 この表は,この規格の発行時点における最新の技術及び知見に基づいて編集したものである。
表2−非推奨材料の例
アンモニアとの反応によって化合物を生成する材料(SCRコンバータに悪い影響を与える可能性がある。),例えば,
炭素鋼,亜鉛めっき炭素鋼,軟鋼。
非鉄金属及びその合金,例えば,銅,銅合金,亜鉛,鉛。
鉛,銀,亜鉛又は銅を含むはんだ
アルミニウム,アルミニウム合金
マグネシウム,マグネシウム合金
ニッケルめっきを施したプラスチック又は金属
4.2
輸送及び貯蔵中の物理的条件
4.2.1
一般的推奨事項
輸送及び貯蔵中のAUS 32の品質悪化を避けるために,次の条件を考慮することが望ましい。
− 尿素の分解及び通気口付き容器における水分の蒸発を防止するために,25 ℃以上での長時間輸送又は
貯蔵を避けることが望ましい。
注記1 輸送用車両に,AUS 32を断熱する手段が必要な場合もある。
注記2 25 ℃以上で長時間貯蔵すると,保存有効期間が短くなる可能性がある(表3参照)。ただ
し,短時間の高温暴露である場合にはAUS 32 の品質は必ずしも悪化しない。
4
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− AUS 32の凍結を避けるために,−5 ℃以下での貯蔵を避けることが望ましい。
注記3 輸送用車両に,AUS 32を断熱又は加熱する手段が必要な場合もある。
注記4 AUS 32が凍結すると液体状態より体積が約7 %増加するので,密閉容器を満杯にすると破
裂する可能性がある。凍結したAUS 32は,30 ℃以下の温度で慎重に温めれば,品質が悪
化することはなく,凍結片がなくなり次第使用可能である。
− 過度な温度上昇を避けるために,AUS 32を直射日光に当てないようにすることが望ましい。
− 空気中の異物によるAUS 32 の汚染を避けるために,密閉容器又はフィルタ付き通気口をもつ容器を
用いることが望ましい。
4.2.2
保存有効期間
AUS 32は,流通過程の全ての段階で少なくとも表3に規定する期間は,JIS K 2247-1に規定する品質要
件を満たすと考えられる。
表3−保存有効期間
貯蔵時の一定周囲温度
℃
最短保存有効期間
(月数)
≦10
36
≦25
18
≦30
12
≦35
6
>35
−a)
注記1 この表の保存有効期間を決めるときに考慮した主な因子は,貯蔵時の周囲温度及びAUS 32の初期アルカリ度
である。密閉容器と非密閉容器との間の蒸発量の差異も考慮因子である。
注記2 この表は,AUS 32を一定の周囲温度で貯蔵した場合の最短保存有効期間を示している。
注a) 保存有効期間が著しく短くなるので,使用前に当該バッチの品質を確認しなければならない。
4.3
AUS 32と接触する表面の清浄度
AUS 32 と直接接触する全ての表面は,異物(燃料,オイル,グリース,洗剤,粉じん及びその他の汚
染物質)のないものでなければならない。
微量成分,粒子及び異物によるAUS 32の汚染を避けるために,AUS 32専用でない装置類の表面は,AUS
32を扱う直前に蒸留水又は脱イオン水で洗浄し,最後にその装置類で扱うAUS 32を用いて洗浄しなけれ
ばならない。
水道水は,アルカリ及びアルカリ土類金属イオンを多く含むので,特に避けることが望ましい。ただし,
蒸留水又は脱イオン水が直ぐには手に入らない場合,水道水で洗浄しても構わないが,最後にその装置類
で扱うAUS 32を用いて洗浄しなければならない。
洗剤の使用の有無にかかわらず洗浄する必要が生じたときには,最後の洗浄に用いたAUS 32の中のJIS
K 2247-1に規定する微量成分が,JIS K 2247-2に規定する試験方法を用いて,許容値以下であることを確
認しておくことが望ましい。
貯蔵及び輸送用設備に関しては,最後の洗浄に用いたAUS 32をJIS K 2247-2に規定する試験方法で分
析することによって,洗浄結果を確認することができる。
4.4
その他の性状に関する推奨事項
AUS 32のその他の性状に関する情報は,製品安全データシートに記載することが望ましい。
5
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品質保証
5.1
一般
市場で扱われる全てのAUS 32容器は,固有のバッチ番号によってAUS 32製造時のバッチにまで遡れる
ことが望ましい。容器には,製造日付又は最終品質確認日付を表示することが望ましい。
流通経路の任意の点で採取されたAUS 32の品質は,JIS K 2247-1で規定する品質要件を満たさなけれ
ばならない。5.2〜5.5には,バルク操作(3.3参照)又は少量操作(3.4参照)における試料採取,試験・
確認及び監視に関する推奨事項が規定されている。また,中間的操作(すなわち,途中段階でのタンク貯
蔵,充塡又は補充)が発生した場合の品質の再試験及び/又は再確認の方法も規定されている。
5.2 試料採取
JIS K 2247-2の附属書Aに規定する試料採取方法のほかに,次の推奨事項を全ての試料採取に適用する。
− 文書化された作業手順があることが望ましい。
− 試料採取の具体的な方法は,試料採取の目的に合致したものであることが望ましい。
例1 大形容器中のAUS 32の品質を見極めるのが目的である場合には,容器出口から取り出した
最初の2〜3 Lを廃棄するのは,適切なやり方である。
例2 AUS 32と直接接触している材料の適合性を見極めるために試料採取を行うのが目的である
場合には,容器出口から取り出した最初の2〜3 Lを廃棄するのは,適切なやり方ではない。
例3 給水装置の給水ノズルから出てくるAUS 32の品質を見極めるのが目的である場合には,給
水開始後の最初の3 Lから試料採取するのは,適切なやり方である。
− 製造場所において輸送用大形容器にAUS 32を充塡した後,充塡した容器から試料採取することが望
ましい。この試料が代表的なものであることが保証されるように,標準作業手順に従って試料採取す
ることが望ましい。その輸送用大形容器が非専用である場合には,AUS 32の配送前にこの試料の分析
を行うことが望ましい。
− 専用の輸送用大形容器については,前回充塡したAUS 32が,4.2.1の規定とは異なる物理的条件下で
貯蔵されていた場合に,今回の輸送分について試料を取り,分析することが望ましい。
− 一連の使い捨て式の小形容器にAUS 32を充塡するときは,充塡した最初の容器から1 L の試料を採
取することが望ましい。容器容量が1 L 以下の場合には,最初に充塡した容器のAUS 32を試料とす
ることが望ましい。
5.3 試験
AUS 32の各製造バッチは,出荷前にその品質がJIS K 2247-1に規定する品質要件に適合していること
を検証しておかなければならない。その結果は文書に記録し,製造場所に保管しておかなければならない。
係争時の有資格試験所としては,次のようなものがある。
− JIS Q 9001などの認証を得ている品質管理システムをもつ試験所。
− 過去5年以内に国際的なAUS 32のラウンドロビン試験に参加し,問題のなかった試験所。
5.4
製品の出荷及び非適合製品の取扱い方法
AUS 32の製造バッチは,その試験結果がJIS K 2247-1に規定する品質要件に適合している場合,又は
製造工程の検証データによってその製品がJIS K 2247-1に規定する品質要件に適合していることが立証さ
れる場合に,目的の用途に出荷することができる。
品質要件から外れる項目があったり,ラベルなしの容器,製品の着色若しくは濁り,異臭,又は保存有
効期間切れのような製品品質に疑いがもたれるような状況が生じた場合には,当該AUS 32 は,流通過程
から引き上げて別に保管し,そのことを明記したラベルを添付しなければならない。その後,更なる調査
6
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を行うことが望ましい。
流通経路に再投入するためには,製品品質を再度確認し,JIS K 2247-1に規定する品質要件を満たして
いることを立証しなければならない。
分析の結果,同一製造バッチのAUS 32 が同じ欠陥をもっていることが明らかになった場合,当該出荷
品を回収しなければならない。
汚染を見過ごす可能性を最小限にするためには,このように回収され品質要件を満足しないと判定され
た製品は,低品質品とし,二度とAUS 32と呼称してはならない。
注記1 保存有効期間切れの密閉容器の場合,それが更に使用可能かどうかを判定するためには,JIS
K 2247-2に従って容器中のAUS 32のアルカリ度を試験するだけで十分である。
注記2 容量が5 L以下の密閉容器が保存有効期間切れの場合には,廃棄するか,又は容器中のAUS
32が更に使用可能か若しくは他の用途で使用可能かどうかを判定するために,アルカリ度を
再試験するのがよい。
注記3 保存有効期間切れのAUS 32 の小形容器が,同一製造バッチから製造されていて,かつ,同
一条件下で保存されていた場合には,任意の1個の容器について再試験するだけで十分であ
る。
5.5
品質の監視
5.5.1 一般
配送されるAUS 32の各製造バッチに対して,製造業者は品質証明書(例えば,品質適合証明書又は試
験成績書)を提供することが望ましい。
AUS 32の製品特性を測定する方法には,AUS 32を明確に識別し,汚染を発見することのできる試験(す
なわち,JIS K 2247-2に規定する方法)が含まれる。
製品識別のために測定する代表的な特性としては,例えば密度及び屈折率があるが,それが全てではな
い。
汚染確認のための試験には,最低限,色,懸濁粒子及び異臭に関する試験を含めることが望ましい。
汚染確認のための最低限の試験は,製品が大形容器から別の大形容器に移し替えられるたびに行うのが
望ましい。
5.5.2
監査
流通経路の全ての当事者は,流通経路の担当部分について,AUS 32の品質を確保するために監査を行う
責任がある。
問題発生時には,責任をもつ当事者が対応策を講じることが望ましい。
5.5.3
記録
製造,製品受渡,荷積み,貯蔵,試料採取,試験,出荷,取扱い及び監査に関するAUS 32の流通経路
における作業手順及び記録は,例えばJIS Q 9001の指針に従って,文書化しておかなければならない。
品質に関する記録は,少なくともAUS 32の保存有効期間は保管することが望ましい。
6
容器及び装置類の取扱い方法
6.1
一般
容器及び装置類の取扱いに関する一般的な推奨事項は,次のとおりである。
− AUS 32の少量操作及びバルク操作に用いる全ての装置類は,専用品又は完全に洗浄され清浄性が証明
されたもの(6.4参照)で,そのことが明示されていることが望ましい。
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− 汚染を防止するために,専用の又は完全に洗浄され清浄性が証明された容器を用いることが望ましい。
− AUS 32を4.2に示す推奨温度範囲に維持するためには,温度調節手段が必要な場合もある。
− 充塡又は抜取り用装置の構成部品は,周囲からのAUS 32の汚染を防ぐために,使用後に空にして洗
浄し,密閉することが望ましい。特にホースは,専用品を用い,使用の都度開口部を塞ぎ,決まった
方法で取扱い,保管することが望ましい。
6.2
使い捨て式の小形容器での取扱い
次の事項は,使い捨て式の小形容器に適用される。
− 全ての容器は,識別用ラベルの添付又はスタンプによる表示がなされ,その内容物がAUS 32製造業
者の製造バッチにまで遡れることが望ましい。
− 粉じん,虫又はその他不溶物のような異物がないかどうか,充塡前に文書化された手順に従って容器
の内部を目視確認することが望ましい。容器内に異物が確認された場合には,5.4に従って処置するこ
とが望ましい。
− 通気口のない容器は,充塡後に密封しておくことが望ましい。
6.3
専用大形容器での取扱い
AUS 32の輸送又は貯蔵に用いる専用大形容器は,全ての弁,開口部及びホース類が閉じられていて汚染
されることなく取り扱われていた場合には,AUS 32の充塡前に洗浄する必要はない。閉じられていたかど
うか,適切に取り扱われていたかどうかは,充塡作業場において目視確認し,文書にして記録しておくこ
とが望ましい。
大形容器によるAUS 32の積下ろし作業の全ては,作業手順書として定めておくことが望ましい。積下
ろし作業の各段階を記録するためのチェックリストを用いるのが望ましい。このチェックリストは,その
作業に責任をもつ者及び実際の作業者が署名し,前者が保管することが望ましい。
AUS 32の積下ろし作業の前に,最低限,次の検査結果を記録しておくのが望ましい。
− 積下ろし作業終了後に弁及び開口部を適切に閉めていたかどうか。
− 清浄度証明書の確認(専用大形容器に初めてAUS 32を充塡するとき)。
− 輸送及び貯蔵のための大形容器,積下ろし作業用装置,付帯装置及びシステムに関して,清浄度,不
具合又は不備についての目視確認。
− 積下ろしの対象になっている製品が配送書類記載のものと一致しているかどうかの照合。
積下ろし作業中に何らかの異常が生じたときには,直ちに作業を中止することが望ましい。充塡した大
形容器から試料を採取して,問題点を明らかにするための分析を行い,その結果に基づいて更なる対応措
置を決めることが望ましい。
6.4
非専用大形容器での取扱い
非専用の輸送又は貯蔵に用いる大形容器は,AUS 32の充塡前に十分に洗浄しておくのが望ましい。洗浄
作業では,過去3回の輸送品又は貯蔵品の化学的性質を考慮に入れることが望ましい。その洗浄作業内容
及び清浄度の両方を清浄度証明書に記録しておくことが望ましい。この証明書は,充塡前に作業場で提示
することが望ましい。さらに,大形容器の入口,出口及び内部を目視確認することが望ましい。目視確認
の結果,清浄度の要件に不適合であることが分かった場合には,その容器に充塡することはせず,更に洗
浄するか又は交換するかしなければならない。
容器にAUS 32を充塡するための非専用装置類は,使用前に十分に洗浄しておくことが望ましい。洗浄
作業では,その装置が扱った過去3回の物質の化学的性質を考慮に入れることが望ましい。AUS 32を充塡
した最初の容器から採取した試料は,JIS K 2247-1に規定する品質要件を満足しているかどうかを確認す
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
るために分析することが望ましい。以前にこの充塡装置を使って充塡した製品及び今回の分析結果は,文
書にして記録しておくことが望ましい。
参考文献 ASTM A240/A240M-07e1,Standard specification for chromium and chromium-nickel stainless steel
plate, sheet, and strip for pressure vessels and for general applications
ASTM A276-06,Standard specification for stainless steel bars and shapes
ASTM A312/A312M-07,Standard specification for seamless, welded, and heavily cold worked
austenitic stainless steel pipes
EN 10088-1,Stainless steels ‒ Part 1: List of stainless steels
EN 10088-2,Stainless steels ‒ Part 2: Technical delivery conditions for sheet/plate and strip of corrosion
resisting steels for general purposes
EN 10088-3,Stainless steels ‒ Part 3: Technical delivery conditions for semi-finished products, bars,
rods, wire, sections and bright products of corrosion resisting steels for general purposes
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2
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2
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 2247-3:2011 ディーゼル機関−NOx還元剤 AUS 32−第3部:取扱い,輸送及
び貯蔵
ISO 22241-3:2008 Diesel engines−NOx reduction agent AUS 32−Part 3:Handling,
transportation and storage
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範
囲
NOx還元剤 AUS 32
をAUS 32と略称す
ることを,注記とし
て追加した。
1
−
追加
技術的差異はない。
技術的差異がないので,このまま
とする。
2 引用規
格
3 用語及
び定義
3.4 少量操作
小形容器の定義を
注記に追加した。
3.4
−
追加
小形容器の定義として2 m3以
下の容量の容器であることを
追加した。これによって,大形
容器と小形容器の境界を明確
にした。
機会を捉えて,ISO規格の修正を
提案する。
4 一般要
件及び推
奨事項
4.1.2 推奨材料
表1に,ニッケル−
モリブデン−クロ
ム−マンガン−銅
−けい素−鉄合金
に関する 注a)を追
加した。
4.1.2
−
追加
当該合金は銅を含んでおり,表
2の非推奨材料である銅合金と
紛らわしい。そのため,注を追
加し,推奨材料である理由を記
載した。技術的差異はない。
機会を捉えて,ISO規格の修正を
提案する。
4.2.2 保存有効期間
表3に注記2を追加
した。
4.2.2
−
追加
最短保存有効期間の意味の理
解を促進するために注記を追
加した。技術的差異はない。
技術的差異がないので,このまま
とする。
1
0
K
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2
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-3
:
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0
11
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0
K
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-3
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4 一般要
件及び推
奨事項
(続き)
−
4.2.2
注a)で,25 ℃以上での長
時間輸送又は貯蔵を避け
ることが望ましいと記載
している。
削除
4.2.1に同様の記載があり,重
複するので削除した。技術的差
異はない。
技術的差異がないので,このまま
とする。
−
4.4
製品安全データシート
(MSDS)の説明が記載さ
れている。
削除
MSDSの一般的かつ常識的説
明であるため,削除した。技術
的差異はない。
技術的差異がないので,このまま
とする。
5 品質保
証
5.1 一般
“市場で扱われる
全てのAUS 32容器
は,固有のバッチ番
号によってAUS 32
製造時のバッチに
まで遡れることが
望ましい”という,
AUS 32のトレーサ
ビリティの確保を
推奨事項とした。
5.1
トレーサビリティの確保
を要件としている。
変更
トレーサビリティの確保は,流
通過程におけるAUS 32の品質
確保に有効である一方,日本で
は係争がまれであること,及び
車載タンクに入れたAUS 32の
バッチ番号を使用者が記録し
ている可能性が低く製造時の
バッチにまで遡れるか疑問が
あることを考慮し,推奨事項と
した。
トレーサビリティの確保は,保存
試料と合わせて,SCRコンバータ
の品質問題に関する係争が起き
たときに,原因がAUS 32にある
かどうかを明らかにするための
規定である。日本は,効果が限定
的な規定は推奨事項にするか,又
は削除すべきと強く主張したが
受け入れられなかった経緯があ
る。機会を捉えて,ISO規格の修
正を提案する。
−
5.2
流通過程で採取したAUS
32試料の保存を推奨事項
としている。
削除
AUS 32試料の保存に際し,保
管場所の確保及び保管するの
に多大なコストがかかるとい
う問題があるとともに,車載タ
ンクでのAUS 32の混合によっ
て保存試料を用いた原因追求
には限界がある。さらに,日本
では係争がまれであることを
考慮し,この規定を削除した。
保存試料は,トレーサビリティの
確保と合わせて,SCRコンバータ
の品質問題に関する係争が起き
たときに,原因がAUS 32にある
かどうかを明らかにするための
規定である。日本は,保管場所の
確保及び多大なコストという問
題があり,効果に疑問があること
から,規格から削除するように強
く主張したが受け入れられなかっ
た経緯がある。機会を捉えて,ISO
規格からの削除を提案する。
11
K
2
2
4
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-3
:
2
0
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K
2
2
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:
2
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 品質保
証
(続き)
5.2 試料採取
使い捨て式の小形
容器からのAUS 32
試料の採取方法を
追加した。
6.2
使い捨て式の小形容器か
らの保存試料とその採取
方法が,推奨事項として
記載されている。
追加
6.2で保存試料の規定を削除し
たが,使い捨て式の小形容器か
らの試料採取方法に関する規
定は有効な情報であるため,
5.2に推奨事項として移した。
機会を捉えて,ISO規格の修正を
提案する。
−
5.3
係争時の有資格試験所と
して,国の当局が認証し
た試験所が記載されてい
る。
削除
該当する試験所が,将来的にも
日本に存在する可能性がない
と考えられるため,削除した。
技術的差異はない。
技術的差異がないので,このまま
とする。
5.5.3 記録
記録の保管期間を
“少なくともAUS
32の保存有効期間”
とした。
5.5.3
品質に関する記録の保管
期間を5年間とし,推奨
事項としている。
変更
5年間の保管期間は必要以上に
長いことから,“少なくとも
AUS 32の保存有効期間”に変
更し,推奨事項とした。
日本は,保管期間を“少なくとも
AUS 32の保存有効期間”にする
ように強く主張したが受け入れ
られなかった経緯がある。機会を
捉えて,ISO規格の修正を提案す
る。
6 容器及
び装置類
の取扱い
方法
6.2 6.2 使い捨て式の小
形容器での取扱い
““その内容物がAUS
32製造業者の製造
バッチにまで遡れ
ることが望ましい”
という,AUS 32の
トレーサビリティ
の確保を推奨事項
とした。
6.2
トレーサビリティの確保
を要件としている。
変更
トレーサビリティの確保は,流
通過程におけるAUS 32の品質
確保に有効である一方,日本で
は係争がまれであること,及び
車載タンクに入れたAUS 32の
識別用ラベルの記載事項を使
用者が記録している可能性が
低く製造時のバッチにまで遡
れるか疑問があることを考慮
し,推奨事項とした。
トレーサビリティの確保は,保存
試料と合わせて,SCRコンバータ
の品質問題に関する係争が起き
たときに,原因がAUS 32にある
かどうかを明らかにするための
規定である。日本は,効果が限定
的な規定は推奨事項にするか,又
は削除すべきと強く主張したが
受け入れられなかった経緯があ
る。機会を捉えて,ISO規格の修
正を提案する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6 容器及
び装置類
の取扱い
方法
(続き)
−
6.2
使い捨て式の小形容器か
らの保存試料とその採取
方法が,推奨事項として
記載されている。
削除
AUS 32試料の保存に際し,保
管場所の確保及び保管するの
に多大なコストがかかるとい
う問題があるとともに,車載タ
ンクでのAUS 32の混合によっ
て保存試料を用いた原因追求
には限界がある。さらに,日本
では係争がまれであることを
考慮し,保存試料の規定を削除
した。
なお,試料採取方法について
は,5.2に推奨事項として移し
た。
保存試料は,トレーサビリティの
確保と合わせて,SCRコンバータ
の品質問題に関する係争が起き
たときに,原因がAUS 32にある
かどうかを明らかにするための
規定である。日本は,保管場所の
確保及び多大なコストという問
題があり,効果に疑問があること
から,規格から削除するように強
く主張したが受け入れられなか
った経緯がある。機会を捉えて,
ISO規格からの削除を提案する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 22241-3:2008,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。