K 2171:2013
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 種類······························································································································· 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 試料採取方法 ················································································································ 2
6.2 引火点 ························································································································· 2
6.3 動粘度 ························································································································· 2
6.4 流動点 ························································································································· 2
6.5 灰分 ···························································································································· 2
6.6 硫黄分 ························································································································· 3
6.7 塩素分 ························································································································· 3
6.8 水分 ···························································································································· 3
6.9 油脂分 ························································································································· 3
6.10 総発熱量 ····················································································································· 3
7 表示······························································································································· 3
8 バイオ再生重油の製造及び取扱いに関する注意事項 ································································ 3
附属書A(規定)油脂分試験方法(赤外分光分析法) ································································· 4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 2171:2013
バイオ再生重油
Bio reclaimed oil
序文
この規格は,バイオ再生重油の品質及びその試験方法を明確にすることによって,生産者,及び使用者
の“環境・安全・健康の保護”,“資源循環型社会形成などの社会的目標の達成手段”,“適正かつ効率的な
生産・使用の指針”とすることを目的としている。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,直火使用工業炉などの燃料として使用するバイオ再生重油について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 2170 再生重油
JIS K 2231 流動パラフィン
JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法
JIS K 2265-3 引火点の求め方−第3部:ペンスキーマルテンス密閉法
JIS K 2269 原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
JIS K 2272 原油及び石油製品−灰分及び硫酸灰分試験方法
JIS K 2275 原油及び石油製品−水分試験方法
JIS K 2279 原油及び石油製品−発熱量試験方法及び計算による推定方法
JIS K 2283 原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法
JIS K 2541-5 原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第5部:ボンベ式質量法
JIS K 8848 ヘキサン(試薬)
JIS Z 8401 数値の丸め方
食用植物油脂の日本農林規格
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用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
2
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3.1
バイオ再生重油
自動車エンジン,工業用用途に使用された使用済み潤滑油などと使用済み食用油1) を原料として双方を
混ぜ合わせて製造された混合燃料。
なお,廃食用油含有量は油脂分として表す。
注1) 使用済み食用油とは,一般家庭等で使用された植物油を主体とする油脂分。
3.2
直火使用工業炉
直接熱を供給して物を製造する工程の構成部分。例えば,焼却灰溶融炉,石灰焼成炉,溶解炉,セメン
ト焼成炉。
4
種類
バイオ再生重油は,含有水分によって2種類に分類する(表1参照)。
5
品質
バイオ再生重油は,直火使用の工業炉などの燃料として適切な品質であって,箇条6によって試験を行
ったとき,表1の規定に適合しなければならない。
表1−品質
項目
1種
2種
試験方法
引火点
℃
70
以上
70
以上
JIS K 2265-3
動粘度
50 ℃ mm2/s
50
以下
50
以下
JIS K 2283
流動点
℃
−10
以下
−10
以下
JIS K 2269
灰分
質量分率 %
1.0 以下
1.0 以下
JIS K 2272
硫黄分
質量分率 %
0.6 以下
0.6 以下
JIS K 2541-5
塩素分
質量分率 %
0.05 以下
0.05 以下
JIS K 2170
水分
質量分率 %
1.0 以下
5.0 以下
JIS K 2275
油脂分
質量分率 %
5.0以上〜10.0以下
5.0以上〜10.0以下
附属書A
総発熱量
MJ/kg
41.8 以上
41.8 以上
JIS K 2279
6
試験方法
6.1
試料採取方法
試料採取方法は,JIS K 2251による。
6.2
引火点
引火点は,JIS K 2265-3による。
6.3
動粘度
動粘度は,JIS K 2283による。
6.4
流動点
流動点は,JIS K 2269による。
6.5
灰分
灰分は,JIS K 2272による。
3
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6.6
硫黄分
硫黄分は,JIS K 2541-5による。
6.7
塩素分
塩素分は,JIS K 2170による。
6.8
水分
水分は,JIS K 2275による。
6.9
油脂分
油脂分は,附属書Aによる。
6.10
総発熱量
総発熱量は,JIS K 2279による。
7
表示
容器の見やすいところに容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。ただし,タンク
車,タンク船,タンクローリー,その他表示が困難な場合は,送り状に表示してもよい。
なお,製造業者は廃食用油の混合量に応じて油脂分含有量(質量分率%)を表示しなければならない。
a) 名称 名称は“バイオ再生重油”とする。
b) 種類
c) 正味容量
d) 製造業者名又はその略号
e) 製造年月日又はその略号
f)
油脂分含有量
g) この規格の番号(JIS K 2171)
8
バイオ再生重油の製造及び取扱いに関する注意事項
製造業者は,バイオ再生重油の品質を維持し,適切,安全かつ効率よく取り扱うために,次の点に十分
注意する。また,バイオ再生重油の使用者にも注意するよう周知を図る。
a) 引火性 バイオ再生重油は,危険物なので,火気に十分注意する。
b) 塩素分 バイオ再生重油中の塩素分は,燃焼条件によってはダイオキシン類を発生させることがある
ので,できるだけ低減化を図ることが望ましい。
c) 燃焼設備 バイオ再生重油が,使用する直火使用工業炉,ボイラ,貯槽・ポンプなどそれらの付帯設
備(これらを総称して“燃焼設備”という。)の仕様,要求事項などに適合していることを確認し,使
用に当たっては適切な必要措置をとる。バイオ再生重油の使用に伴う燃焼設備のつまり,汚れ,摩耗
などに留意する。特に,遊離水があると失火等バーナトラブルの原因になるので,外部からの水分の
混入に注意する。
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附属書A
(規定)
油脂分試験方法(赤外分光分析法)
A.1 試験の原理
フーリエ変換形赤外分光光度計のATR法(Attenuated total reflection method)によって,試料の吸光度を
測定し,あらかじめ作成した検量線から油脂分を求める。
なお,液膜法によっても測定可能であるが,疑義が生じた場合には,この試験方法による。
A.2 試験器及び器具
試験器及び器具は,次による。
A.2.1 フーリエ変換形赤外分光光度計 JIS K 0117に規定する装置。
A.2.2 天びん 0.1 gまでひょう量できるもの。
A.3 試薬
試薬は,次による。
A.3.1 ノルマルヘキサン JIS K 8848に規定するもの。
A.3.2 精製なたね油 日本農林規格に規定する食用なたね油の精製なたね油に区分するもの。市販の採種
白しめ油がこれに相当する。
A.3.3 流動パラフィン JIS K 2231に規定するもの。粘度グレードは,ISO VG 15又はISO VG 32を用い
るとよい。
A.3.4 検量線作成用標準液 精製なたね油を流動パラフィンで薄めて,精製なたね油濃度の異なる3種類
以上の標準液を調製する。通常,標準液として精製なたね油濃度が質量分率5 %,10 %及び15 %の3種を
用いる。この範囲以外の検量線作成用標準液を調製する場合は,試料の予期油脂分の0.5〜1.5倍の濃度範
囲に調整する。
A.4 試験の準備
装置の取扱いは,製造業者の取扱説明書による。装置の使用に当たっては,あらかじめ定められた手順
に従って点検し,異常のないことを確認した後,電源を入れて装置の安定化を図る。
A.5 検量線の作成
検量線の作成順序は,次による。
a) あらかじめ調製した検量線作成用標準液3種を用意する。
b) ATRのプリズム表面をノルマルヘキサンで洗浄し,十分に乾燥させた後,バックグランドのスペクト
ルを測定し,装置が清浄であることを確認する。
c) 検量線作成用標準液をATRのプリズム表面上に薄く均一に塗布し,スペクトルを測定する。
d) スペクトルの波数範囲1 750 cm−1〜1 740 cm−1における最大吸光度(ピークトップ)に対してベース
ラインを引く。次に,ピークトップの頂点から波数軸に沿って垂線を引き,ベースラインと交わる点
を求める。
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e) ピークトップの吸光度とベースライン(交点)の吸光度との差を求め,ここで測定した標準液の吸光
度とする。例として,波数1 820 cm−1と波数1 680 cm−1との間にベースラインを引いたときの吸光度
の求め方を図A.1に示す。
f)
c)〜e) の操作を繰り返し,ほかに用意した検量線作成用標準液について,それぞれ最大吸光度を求め
る。
g) 検量線作成用標準液の濃度と波数範囲1 750 cm−1〜1 740 cm−1における最大吸光度との関係線を求め
て,検量線を作成する。図A.2に検量線の例を示す。
A.6 試験の手順
試験の手順は,次による。
a) 試料油をATRのプリズム表面上に薄く均一に塗布してスペクトルを測定する。
b) スペクトルの波数範囲1 750 cm−1〜1 740 cm−1における最大吸光度(ピークトップ)に対してベース
ラインを引く。次に,ピークトップの頂点から波数軸に沿って垂線を引き,ベースラインと交わる点
を求める。
c) ピークトップの吸光度とベースライン(交点)の吸光度との差を求め,試料油の吸光度とする。
d) あらかじめ作成した検量線によって,試料油の吸光度から濃度の読み値を求める。
e) 濃度の読み値が,作成した検量線の範囲内にあった場合は,これを油脂分とする。ただし,検量線の
範囲を外れた場合は,この結果を棄却し,次のf) 及びg) の操作に従って,油脂分を求める。
f)
試料油の濃度の読み値が,検量線の濃度範囲のほぼ中央に位置するように,A.5に従い任意の濃度範
囲の検量線を作成する。
g) 改めて作成した検量線を用い,c) で求めた試料油の最大吸光度から濃度の読み値を求め,これを油脂
分とする。
図A.1−吸光度の求め方の例
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図A.2−検量線の例
A.7 結果の表し方
油脂分量は,濃度の読み値を,JIS Z 8401によって丸めの幅0.1に丸める。
A.8 精度
この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で引続き短時間に同一試料を2回試験した
とき,試験結果の差の許容差は,表A.1による。
b) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験機で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して求
めた2個の試験結果の差の許容差は,表A.1による。
表A.1−精度
単位 %
油脂分
室内併行許容差a)
室間再現許容差a)
10 %以下
0.15X
0.3X
注a) 表中のXは,2個の試験結果の平均値である。
A.9 試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載する。
a) 試料名,採取場所及び採取年月日
b) この規格の附属書Aによる旨(JIS K 2171の附属書Aによる)
c) A.7によって得られた結果
d) 試験年月日
e) 特記事項