K 1561:2016
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 品質······························································································································· 1
5 試験方法························································································································· 2
5.1 共通事項 ······················································································································ 2
5.2 外観 ···························································································································· 2
5.3 純度 ···························································································································· 2
5.4 不凝縮性ガス ················································································································ 4
5.5 蒸発残分 ······················································································································ 7
5.6 酸分(HClとして) ······································································································· 9
5.7 水分 ··························································································································· 11
6 容器······························································································································ 15
7 表示······························································································································ 15
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本フルオロカーボン協会(JFMA)及び一
般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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ジフルオロメタン(R-32)
Difluoromethane (R-32)
CH2F2 FW:52.02
1
適用範囲
この規格は,冷媒として用いるジフルオロメタン(R-32)について規定する。
この規格で使用する圧力値は,全てゲージ圧力とする。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
JIS B 7505-1:2015 アネロイド型圧力計−第1部:ブルドン管圧力計
JIS K 0050:2011 化学分析方法通則
JIS K 0068:2001 化学製品の水分測定方法
JIS K 0114:2012 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 8001:2015 試薬試験方法通則
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 7505-1:2015,JIS K 0050:2011,JIS K 0068:2001,JIS K
0114:2012及びJIS K 8001:2015による。
4
品質
ジフルオロメタン(R-32)の品質は,箇条5によって試験したとき,表1の規定に適合しなければなら
ない。
表1−品質
項目
品質
試験方法
外観
無色で濁りがない
5.2
純度
質量分率99.7 %以上a)
5.3
不凝縮性ガス
体積分率1.5 %以下
5.4
蒸発残分
質量分率0.01 %以下
5.5
酸分(HClとして)
質量分率0.000 1 %以下
5.6
水分
質量分率0.002 %以下
5.7
注a) 不純物としての塩素含有化合物は質量分率0.2 %未満とし,さらに,このうち各オゾン
層破壊物質(ODS)は質量分率0.1 %未満とする。
なお,ODSとは“特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律”の第二条
で規定する特定物質を指す。
2
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5
試験方法
5.1
共通事項
共通事項は,次による。
a) 化学分析について共通する一般事項はJIS K 0050:2011に,ガスクロマトグラフィーについてはJIS K
0114:2012による。
b) 以下の事項に注意する。
警告1 液化ガスの取扱いは,凍傷などの危険を伴うため,保護手袋,保護面などを着用して行い,
万一,液が接触したときは,直ちに大量の水で20分間以上洗浄した後,医師の診断を受け
ることを推奨する。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提と
する。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするも
のではない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート:JIS Z 7253:2012),MSDS(化
学物質等安全データシート:JIS Z 7250−2012年廃止,猶予期間2016年まで)などを参考
にして各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
5.2
外観
試料を,蒸発残分の分析用に試料採取容器からガラス製オートクレーブに採取したときに[5.5.4 d) 参
照],ガラス製オートクレーブに対して横方向から目視によって,液が無色で濁りがないことを確認する。
5.3
純度
5.3.1
要旨
試料を,試料容器液相部から減圧にした試料採取計量管内に噴霧し,完全に気化させた後,気体を採取
し,その一部をガスクロマトグラフに注入する。R-32のピーク面積を測定し,補正面積百分率法によって
計算し,純度を求める。あわせて,塩素含有化合物,ODSなどのピーク面積を測定し,含有率を求める。
5.3.2
主な装置及び器具
主な装置及び器具は,次のものを用いる。
a) 検出器 水素炎イオン化検出器(FID)
b) カラム用管 フューズドシリカ製キャピラリーカラムなど
c) カラム構成(固定相) ジビニルベンゼンポリマーでカラム用管の内面をコーティングしたもの,PLOT
カラムなど
d) ガスクロマトグラフ用計量管 内容積 5〜200 μL程度のもの(スプリットを用いて,注入量を5〜10
μLに調整する。)
e) 試料採取容器 ステンレス製耐圧容器,内容積約100 mL未満のもの
f)
試料採取用器具 計量管(内容積 約1 mL)及びe) のステンレス製試料採取容器を,ステンレス鋼管
又は銅管(内径3〜6 mm程度)を用いてバルブと接続させたもの(図1参照)
g) 連成計 JIS B 7505-1:2015に規定するブルドン管圧力計
5.3.3
分析条件
分析条件は,ガスクロマトグラフの種類及び機器によって異なるため,R-32と少なくとも表1に規定し
た不純物とを分離できる,適正な条件に設定しなければならない。分析条件の例を表2に示す。
3
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表2−分析条件の例
項目
分析条件例1
分析条件例2
カラム用管
フューズドシリカ製
キャピラリーカラム
内径及び長さ:0.53 mm×30 mなど
フューズドシリカ製
キャピラリーカラム
内径及び長さ:0.32 mm×60 m
検出器
水素炎イオン化検出器(FID)
水素炎イオン化検出器(FID)
固定相
TC-BOND Q 0.53 mm×30 m
(ジビニルベンゼンポリマー:20 μm)
又は
CP-PoraBOND Q 0.32 mm×25 m
(スチレン−ジビニルベンゼンポリマー:5 μm)
GS-Gaspro
(独自の結合フューズドシリカ)
温度
カラム
50 ℃(10分間保持)→ 昇温(5 ℃/min)→
150 ℃(5分間保持)
40 ℃(7分間保持)→ 昇温(5 ℃
/min)→ 120 ℃(10分間保持)
検出器
250 ℃
250 ℃
試料気化室
200 ℃
150 ℃
キャリヤーガス(He)圧力 30 kPa
(線速度30 cm/s,一定)
試料注入量
5 μL
(ガスクロマトグラフ用計量管
50 μL,スプリット比1:9)
10 μL
(ガスクロマトグラフ用計量管
200 μL,スプリット比1:19)
5.3.4
操作
操作は,次のとおり行う。
a) 試料を液相側からサンプリングできるように,試料採取用器具を試料容器に接続する(図1に例を示
す。)。試料ガス取出し口に真空ポンプを取り付け,バルブA,バルブB及びバルブCを開け,系内を
−0.1 MPa以下に減圧にしてバルブCを閉じる。試料ガス取出し口から真空ポンプを外す。
b) バルブBを閉じ,試料容器のバルブを開けて,試料液を計量管内に採取する。
c) バルブAを閉じ,バルブBを開けて,計量管内の採取試料を試料採取容器へ導入し,気化させる。連
成計で,室温(20±15 ℃)で内圧が0.2〜0.4 MPaであることを確認する。試料容器バルブを閉じ,
試料採取用器具を試料容器から外す。試料ガス取出し口をガスクロマトグラフ用計量管に接続する。
d) ガスクロマトグラフ用計量管内を試料ガスでガス置換し,あらかじめ表2に記載したような分析条件
のとおりに設定して安定を確認した後,ガスクロマトグラフに導入し,記録をとる。
図1−試料採取用器具の例
5.3.5
ピーク面積の測定方法
ピーク面積の測定方法は,JIS K 0114:2012の11.3 a)又は11.3 b) による。
5.3.6
計算
純度の計算は,JIS K 0114:2012の11.6による。
4
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5.3.7
ガスクロマトグラムの例
表2に示した分析条件によるガスクロマトグラムの例を,図2に示す。
図2−ガスクロマトグラムの例(分析条件例1 固定相:CP-PoraBOND Q)
5.4
不凝縮性ガス
5.4.1
要旨
減圧にした試料採取計量管内に,試料容器気相部から気体試料を導入し,その一部をガスクロマトグラ
フに注入する。不凝縮性ガス(空気:O2及びN2)成分のピーク面積を測定し,補正面積百分率法によっ
て計算し,不凝縮性ガス濃度を求める。
5.4.2
主な装置及び器具
主な装置及び器具は,次のものを用いる。
a) 検出器 熱伝導度検出器(TCD)
b) カラム用管 ステンレス製,内径及び長さ:3 mm×3 m
c) カラムの構成 粒度が149〜177 μmのエチルビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体(以下,
EVB-DVBという。)又はビニルピロリドン重合体(以下,VPRDという。)を,長さ3 mのカラム用
管に詰め,充塡剤固有の温度で空焼きを行ったもの
d) ガスクロマトグラフ用計量管 内容積0.5〜1 mLのもの
e) 試料採取容器 ステンレス製耐圧容器,内容積約200 mL未満のもの
f)
試料採取用器具 試料採取容器を,ステンレス鋼管又は銅管(内径3〜6 mm程度)を用いて,バルブ
と接続させたもの(図3参照)
g) 連成計 JIS B 7505-1:2015に規定するブルドン管圧力計
5.4.3
分析条件
分析条件は,ガスクロマトグラフによって異なるため,機器装置及び器具ごとに適正な条件の設定を行
わなければならない。分析条件の例を表3に示す。
5
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表3−分析条件の例
項目
分析条件
カラム用管
ステンレス製,内径及び長さ:3 mm×3 m
検出器
熱伝導度検出器(TCD: Thermal Conductivity Detector)
カラム充塡剤
EVB-DVB(149〜177 μm)又は
VPRD(149〜177 μm)
温度
カラム
80 ℃
検出器
80 ℃
試料気化室
60 ℃
検出器電流
110 mA
キャリヤーガス(He)流量 15 mL/min
試料注入量
1 mL
5.4.4
操作
操作は,次のとおり行う。
a) 試料の採取
1) 試料を気相側からサンプリングできるように容器を配管に接続する。図3に例を示す。
なお,試料容器に内装管が装着されている場合は,試料容器を逆さにして気相試料を採取する。
2) バルブDが閉まっていることを確認し,バルブA,バルブB及びバルブCを開け,試料採取容器を
真空ポンプで−0.1 MPa以下に減圧する。
3) 次にバルブBを閉め,連成計で試料採取容器の内圧が0.3〜0.4 MPaになるように試料容器バルブを
開けて,試料ガスを試料採取容器に採取する。
4) 2)及び3) の操作を3回繰り返し,試料採取用器具のガス置換を行う。
5) 試料採取容器の内圧が0.3〜0.4 MPaであることを確認して,試料容器バルブ,バルブA及びバルブ
Cを閉める。
6) 試料採取容器と試料容器バルブとを切り離す。
b) 試料のガスクロマトグラフ注入
1) 状態が安定したことを確認したガスクロマトグラフの試料注入バルブの試料ガス入口に試料採取容
器を接続する。図4に例を示す。
2) 試料採取容器のバルブDをゆっくり開け,ガスクロマトグラフ試料注入バルブ内と計量管内との置
換を行う。
3) ガスクロマトグラフ試料注入バルブを切り替えて,ガスクロマトグラフに試料ガスを導入すると同
時に,データ処理装置のスタートボタンを押す。
6
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図3−試料採取用器具の接続例
a) 試料採取時
b) ガスクロマトグラフへの試料導入時
図4−ガスクロマトグラフ試料注入バルブ及び計量管
5.4.5
ピーク面積の測定方法
ピーク面積の測定方法は,JIS K 0114:2012の11.3 b) 又は11.3 a) による。
5.4.6
計算
不凝縮性ガスの計算は,JIS K 0114:2012の11.6による。
5.4.7
ガスクロマトグラムの例
表3に示した分析条件によるガスクロマトグラムの例を図5に示す。
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図5−ガスクロマトグラムの例
5.5
蒸発残分
5.5.1
要旨
試料を蒸発させ,その残分の質量を測定し,蒸発残分を求める。
5.5.2
主な装置及び器具
主な装置及び器具は,次のものを用いる。
a) 試料採取用器具 試料採取容器は,耐圧5 MPa以上,内容積100 mL以上のものがよい。使用前に洗
浄し,よく乾燥しておく。図6に例を示す。
b) ガラス製オートクレーブ 耐圧1 MPa以上で,内容積100〜200 mLのもの。使用前にガラスにきずな
どがないことを確認する。
c) 水槽 室温を保持できるもの
d) 恒温槽 105〜110 ℃を保持できるもの
e) デシケーター 乾燥剤としてシリカゲルを用いたもの
f)
冷媒回収装置 測定する冷媒に対応するもの
g) 冷媒回収用ボンベ 内容積200 mL以上のもの。空の質量を測定し,回収後,再度,質量を測定し,
過充塡にならないように管理する。
5.5.3
準備
準備は,次のとおり行う。
a) 試料の採取
1) 試料採取容器の入口弁を下にして採取用導管を連結し,採取用導管の他端を試料容器の液相取出し
口に接続する。
2) 試料容器(冷媒の入っているボンベ)のバルブを開き,試料採取容器の出口弁を数回開閉して試料
を液状で導入した後,入口弁及び出口弁を閉め,試料容器から取り外す。
3) 入口弁を上にし,入口弁を数回開閉して,試料量を試料採取容器の内容積の約80 %に調節する。霜
などが付いている場合には拭き取り,試料採取容器が室温になった時点で,その質量(S1)を0.1 g
の桁まではかる。
8
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5.5.4
操作
操作は,次のとおり行う(室温30 ℃以下の室内で行う。)。
a) オートクレーブのガラス容器を取り出し,洗浄した後,105〜110 ℃の恒温槽中で約30分間乾燥し,
デシケーター中で常温近くまで冷却する。その質量(m0)を0.001 gの桁まではかる。
b) オートクレーブを組み立て,試料を採取した試料採取容器の出口弁を下にして,オートクレーブに接
続する。冷媒回収装置もオートクレーブに接続する。図7に例を示す。
c) ニードルバルブAを開にし,冷媒回収装置を操作し,オートクレーブ内を真空にする。
d) ニードルバルブAを閉めた後,試料採取容器の出口弁をゆっくり開いて,試料採取容器内の液をオー
トクレーブ内に移す(出口弁を急に開くとガラスの破損につながるので,注意深く行う。)。出口弁を
全開しても液が落ちてこない場合は,ニードルバルブAを少し開いて,液を落とす。ここで外観を確
認する(5.2参照)。
e) オートクレーブを水槽につけ,試料が突沸しないように注意しながら,ニードルバルブAを少し開き,
冷媒回収装置で蒸発した試料を回収する。ただし,自動停止スイッチがある場合は“連続”とする。
f)
オートクレーブ内の液がなくなり,連成計の読みが−0.02 MPa以下となったとき,ニードルバルブA
を閉じる。
g) 試料採取容器の入口弁をゆっくり開放し,系内を常圧に戻した後,試料採取容器を取り外し,オート
クレーブを解体してガラス容器を取り出す。
h) ガラス容器の周りをよく拭き取った後,105〜110 ℃の恒温槽中で約30分間乾燥し,デシケーター中
で常温近くまで冷却した後,その質量(m1)を0.001 gの桁まではかる。また,試料採取容器につい
ても,その質量(S0)を0.1 gの桁まではかる。
注記 冷媒回収装置による排気操作及び回収操作,並びに冷媒の排出作業は,冷媒回収装置の操作
マニュアルを参照する。
5.5.5
計算
蒸発残分は,次の式によって算出する。
100
0
1
×
−
=
S
m
m
R
ここに,
R: 蒸発残分(質量分率%)
m0: ガラス容器の質量(g)
m1: 試料を気化させた後のガラス容器の質量(g)
S: 試料の質量(S1−S0)(g)
S1: 試料及び試料採取容器の質量(g)
S0: 試料採取容器の質量(g)
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a) 試料採取容器
b) 採取用導管
図6−蒸発残分測定時の試料採取用器具の例
図7−蒸発残分測定時の試料採取用器具の例
5.6
酸分(HClとして)
5.6.1
要旨
試料を気化させて水中に吹き込み,ニュートラルレッド−ブロモチモールブルー溶液又はフェノールフ
タレイン溶液を指示薬として,水酸化ナトリウム溶液で滴定し,塩酸として酸分を求める。
5.6.2
主な器具
主な器具は,次のものを用いる。
a) 試料採取用器具 試料採取容器は,耐圧5 MPa以上で,内容積100 mL以上のもの。使用前に洗浄し,
よく乾燥した後,常温での質量(S0)を0.1 gの桁まではかっておく。図6に例を示す。
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b) 吸収瓶 図8に例を示す。
c) コニカルビーカー 容量500 mLのもの
5.6.3
試薬
試薬は,次のものを用いる。また,この測定では,JIS K 8001:2015の5.8 c) に規定された二酸化炭素を
除いた水を用いる。
a) ニュートラルレッド−ブロモチモールブルー溶液,又はフェノールフタレイン溶液 JIS K 8001:2015
の表JA.6の指示薬に規定するもの
b) 0.4 g/L 水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8001:2015の表JA.3によって調製した,40 g/L 水酸化ナトリウ
ム溶液を,水を用いて100倍に希釈し,ポリエチレンなど樹脂製容器に保存したもの
5.6.4
準備
準備は,次のとおり行う。
a) 試料の採取
1) 試料採取容器の入口弁を下にして採取用導管を連結し,採取用導管の他端を試料容器の液相取出し
口に接続する。
2) 試料容器のバルブを開き,試料採取容器の出口弁を数回開閉して試料を液状で導入した後,入口弁
及び出口弁を閉め,試料容器から取り外す。
3) 入口弁を上にし,入口弁を数回開閉して,試料が約80 gになるように調整する。霜などが付いてい
る場合には拭き取り,試料採取容器が常温になった時点で,その質量(S1)を0.1 gの桁まではかる。
b) 吸収瓶の準備 吸収瓶4本にそれぞれ水100 mLを入れ,導管で直列に連結する。
5.6.5
操作
操作は,次のとおり行う。
a) 試料採取容器の出口弁を上にして,出口弁と吸収瓶の1本目とを導管で接続する。
b) 液の飛まつが次の吸収瓶に入らないように吸収瓶のバブリングの状態を見ながら,試料採取容器の出
口弁を開く。室温で自然に蒸発させるが,時々バブリングの状態を見て,バブリングの状態が変わら
ないように出口弁の開度を調整する。
c) 試料が気化し終わったとき,吸収瓶の1本目及び2本目の水を合わせて,コニカルビーカーに移し入
れる。また,試料採取容器の内部を10〜20 mL程度の水で洗浄し,コニカルビーカーに加える。
d) これに指示薬として,ニュートラルレッド−ブロモチモールブルー溶液又はフェノールフタレイン溶
液2,3滴を加え,0.4 g/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し,色が変わった点を終点とする。このとき
滴定に要した量をD(mL)とする。
e) 同時に吸収瓶の3本目及び4本目の水を合わせてd) によって滴定する。これを空試験とし,このと
きの滴定に要した量をE(mL)とする。
5.6.6
計算
酸分は,次の式によって算出する。
100
10
365
.0
)
(
3×
×
×
−
=
−
S
E
D
O
ここに,
O: 酸分(HClとして)(質量分率%)
D: 滴定に要した0.4 g/L水酸化ナトリウム溶液の量(mL)
E: 空試験に要した0.4 g/L 水酸化ナトリウム溶液の量(mL)
S: 試料の質量(S1−S0)(g)
S1: 試料及び試料採取容器の質量(g)
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S0: 試料採取容器の質量(g)
単位 mm
図8−吸収瓶の例
5.7
水分
5.7.1
試験方法の種類
水分の試験は,カールフィッシャー滴定法の容量滴定法又は電量滴定法のいずれかを用いる。
5.7.2
容量滴定法
5.7.2.1
要旨
メタノールを主とする溶媒に試料を吹き込み,水分を溶かした後,JIS K 0068:2001の6.3によって滴定
を行い,水分を求める。
5.7.2.2
主な装置及び器具
主な装置及び器具は,次のものを用いる。
a) 試料採取用器具 試料採取容器は,耐圧5 MPa以上で,内容積100 mL以上のもの。使用前に洗浄し,
よく乾燥する。図9に例を示す。
b) 容量滴定装置 図10に滴定フラスコの例を示す。使用前によく乾燥する。
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単位 mm
a) 試料採取容器
b) 採取用導管
c) 注射針
図9−試料採取用器具の例
図10−滴定フラスコの例
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.7.2.3
試薬
試薬は,次のものを用いる。
a) 滴定溶媒 JIS K 0068:2001の6.3.3 j) に規定するもの又はこれと品質が同等以上のもの
b) カールフィッシャー試薬 JIS K 0068:2001の6.3.3 k) に規定する力価が1 mg H2O/mL以下のもの。力
価の計算方法は,JIS K 0068:2001の6.3.3 k) 3) による。
5.7.2.4
準備
準備は,次のとおり行う。
a) 試料の採取
1) 試料採取容器の入口弁を下にして採取用導管を連結し,採取用導管の他端を試料容器に接続する。
2) 試料容器のバルブを開き,試料採取容器の出口弁を数回開閉して試料を液状で導入した後,入口弁
及び出口弁を閉め,試料容器を取り外す。
3) 入口弁を上にし,入口弁を数回開閉して,試料量が試料採取容器の内容積の約80 %になるように調
節する。
b) 滴定装置の調整 滴定フラスコに滴定溶媒200 mLを注入し,カールフィッシャー試薬を加えて無水
の状態にする。
5.7.2.5
操作
操作は,次のとおり行う。
a) 試料採取容器の質量をはかり,注射針を取り付ける。
b) 試料採取容器の注射針を,滴定フラスコの試料注入用シリコーンゴム板を通して,底部に届くように
差し込む。
c) 滴定フラスコ中の溶媒をかき混ぜながら,試料約10 gを注入する。
d) 注入の速度は,1〜2 g/minとし,出口弁付近に結露しないように熱風で加温する。
e) 注射針を抜き,a)と同様に質量をはかり,注入前との差を試料の質量(S)とする。
f)
直ちにカールフィッシャー試薬で無水状態になるまで滴定し,その滴定量を読み取る。
5.7.2.6
計算
水分は,次の式によって算出する。
100
103×
×
×
=
−
S
f
C
H
ここに,
H: 水分(質量分率%)
C: 滴定に要したカールフィッシャー試薬の量(mL)
f: カールフィッシャー試薬1 mLに対応する水の質量(mg/mL)
S: 試料の質量(g)
5.7.3
電量滴定法
5.7.3.1
要旨
メタノールを主とする溶媒に試料を吹き込み,水分を溶かした後,JIS K 0068:2001の6.4によって滴定
を行い,水分を求める。
5.7.3.2
主な装置及び器具
主な装置及び器具は,次のものを用いる。
a) 試料採取用器具 図9に例を示す。使用前によく乾燥する。
b) 電量滴定装置 図11に滴定槽の例を示す。使用前によく乾燥する。
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K 1561:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図11−滴定槽の例
5.7.3.3
試薬
試薬は,次のものを用いる。
a) 陽極液 JIS K 0068:2001の6.4.3 a) 1) に規定するもの又はこれと品質が同等以上のもの
b) 陰極液 JIS K 0068:2001の6.4.3 a) 2) に規定するもの又はこれと品質が同等以上のもの
5.7.3.4
準備
準備は,次のとおり行う。
a) 試料の採取 5.7.2.4 a) による。
b) 滴定装置の調整
1) 滴定槽に陽極液200 mL及び陰極液5 mLを注入する。
2) 次に,電解電流を流して終点になるまでよう素を発生させ,滴定槽内を無水の状態にする。
5.7.3.5
操作
操作は,次のとおり行う。
a) 試料の注入 5.7.2.5による。
b) 滴定槽中の水分 直ちにJIS K 0068:2001の6.4.4に従って行い,このときの電気量又は水分の質量を
読み取る。
5.7.3.6
計算
水分は,次の式によって算出する。
a) 指示値が電気量の場合
100
72
.
10
103×
×
×
×
=
−
S
F
Q
H
b) 指示値が水分の質量の場合
100
106×
×
=
−
S
G
H
ここに,
H: 水分(質量分率%)
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K 1561:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
Q: 電気分解に要した電気量(C)[電流(A)×時間(s)]
G: 水分の質量(μg)
S: 試料の質量(g)
F: 装置設計時,回路によって発生する電気量が異なることがあ
るため,装置メーカーに確認する補正係数
10.72: 水1 mgと反応するのに必要な電気量
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容器
内容液が品質劣化しない材質を用いる。
注記 容器については,高圧ガス保安法などの規制がある。
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表示
ジフルオロメタン(R-32)の容器には,容易に消えない方法で次の事項を表示するか,又は次の事項を
記載した書面を添付しなければならない。
a) 名称(ジフルオロメタン,R-32又はHFC-32)
b) 製造業者名又はその略号
c) 製造年月日又はその略号
d) 製造番号若しくはロット番号,又は高圧ガス保安法で規定された容器番号
e) 正味質量
参考文献 [1] JIS Z 7253:2012 GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法−ラベル,作業場内の
表示及び安全データシート(SDS)