K 1557-5:2007
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,ウレタン原料工業会(JURA)/日本プラスチ
ック工業連盟(JPIF)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべき
との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによってJIS K 1557:1970は廃止され,JIS K 1557-1,JIS K 1557-2,JIS K 1557-3,JIS K 1557-4及
びJIS K 1557-5に置き換えられる。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS K 1557の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 1557-1 第1部:水酸基価の求め方
JIS K 1557-2 第2部:水分量の求め方
JIS K 1557-3 第3部:不飽和度の求め方
JIS K 1557-4 第4部:塩基性度の求め方
JIS K 1557-5 第5部:色数,粘度,酸価及びpHの求め方
K 1557-5:2007
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 2
4. 試料の採取 ····················································································································· 2
5. 試験項目 ························································································································ 2
6. 試験方法 ························································································································ 2
6.1 色数 ···························································································································· 2
6.2 粘度 ···························································································································· 2
6.3 酸価 ···························································································································· 2
6.4 pH(参考) ·················································································································· 4
7. 試験報告 ························································································································ 5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 1557-5:2007
プラスチック−
ポリウレタン原料ポリオール試験方法−
第5部:色数,粘度,酸価及びpHの求め方
Plastics−Polyols for use in the production of polyurethane−
Part 5: Determination of color, viscosity, acid value and pH
序文 この規格は,ポリウレタン原料−ポリオール試験方法のうち,試験項目の色数,粘度,酸価及びpH
を日本工業規格として追加制定しているもので,現時点では対応国際規格はない。
警告 この規格の使用者は,一般的な実験操作に精通しているのが望ましい。この規格は,これを利用す
ることによって生じる安全に関するすべての問題の処置を意図しているものではない。適切な安全及び健
康に関する基準の策定,及び使用に先駆けて,国のすべての規制への適合の確保は,この規格の使用者の
責務である。
1. 適用範囲 この規格は,ポリウレタンの原料として用いるポリエーテルポリオールの色数,粘度,酸
価及びpHの求め方について規定する。
備考 ポリウレタンの原料としての特殊なポリオールには,りん系,アミン系のポリオール及びこれ
らに添加物を含むポリオールがある。これらの特殊なポリオールについて,これらの方法で試
験する場合は,適用の可否を事前に確認する必要がある。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0071-1 化学製品の色試験方法−第1部:ハーゼン単位色数(白金−コバルトスケール)
JIS K 0071-2 化学製品の色試験方法−第2部:ガードナー色数
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 5600-2-3 塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第3節:粘度(コーン・プレート
粘度計法)
JIS K 7117-1 プラスチック−液状,乳濁状又は分散状の樹脂−ブルックフィールド形回転粘度計によ
る見掛け粘度の測定方法
JIS K 7117-2 プラスチック−液状,乳濁状又は分散状の樹脂−回転粘度計による定せん断速度での粘
度の測定方法
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8034 アセトン(試薬)
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K 1557-5:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8839 2-プロパノール(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
JIS R 3505 ガラス製体積計
JIS Z 8802 pH測定方法
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
a) ポリオール イソシアネートと反応するジヒドロキシル基又はポリヒドロキル基をもつ有機化合物。
参考 JIS K 1557-2参照
b) ポリウレタン 有機ジイソシアネートとポリイソシアネートとジヒドロキル化合物又はポリヒドロキ
ル化合物との反応によって生成するポリマー。
参考 JIS K 1557-1参照
c) 酸価 試料1 g中の遊離酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム(mg)数。
d) pH 室温で,試料10 g及び2-プロパノール60 mLからなる溶液をpH計で測定した値。
備考 一般的な水素イオン濃度を求めるものではなく,ポリオールなどの反応挙動を知る目的で求め
るものである。
4. 試料の採取 ロットを代表する試料を採取する。多くのポリオールは吸湿性があるから,試料の採取
及び取扱いは,空気中の水分を吸収しないように十分な注意をはらい,手早く処理することが必要である。
試料を保存する場合は,密せん後,冷暗所に貯蔵する。この場合,窒素シールすることが望ましい。
5. 試験項目 試験項目は,次による。
a) 色数
b) 粘度
c) 酸価
d) pH(参考)
6. 試験方法
6.1
色数
6.1.1
ハーゼン単位色数 JIS K 0071-1による。
6.1.2
ガードナー色数 JIS K 0071-2による。
6.2
粘度
6.2.1
ブルックフィールド形回転粘度計を用いる方法 JIS K 7117-1による。ただし,測定温度は25 ℃
とする。
6.2.2
回転粘度計による定せん断速度での粘度の測定方法 JIS K 7117-2による。ただし,測定温度は
25 ℃とする。
6.2.3
コーン・プレート回転粘度計を用いる方法 JIS K 5600-2-3による。ただし,測定温度は25 ℃と
する。
6.3
酸価
6.3.1
指示薬滴定法 指示薬滴定法は,次による。
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K 1557-5:2007
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a) 要旨 試料を2-プロパノールに溶かし,水酸化カリウム溶液で滴定する。
b) 装置及び器具
1) 三角フラスコ 500 mLのもの。
2) ビュレット JIS R 3505に規定する5 mLのもの。
3) メスシリンダ JIS R 3505に規定する100 mL及び200 mLのもの。
4) はかり 100〜200 gの試料を感度0.1 g又はそれ以上の精度でひょう量できるもの。
c) 試薬
1) 2-プロパノール JIS K 8839に規定するもの。
2) メタノール JIS K 8891に規定するもの。
3) 0.02 mol/L水酸化カリウムのメタノール溶液 JIS K 8574に規定する水酸化カリウム1.122 gをメタ
ノール1 000 mLに溶かし,フタル酸水素カリウムで標定したもの。
4) ブロモチモールブルーのメタノール溶液 JIS K 8001の4.4(指示薬)に規定するもの。
d) 操作 2-プロパノール200 mL及び水100 mLを三角フラスコ500 mLにとり,指示薬としてブロモチ
モールブルーのメタノール溶液6〜8滴を加え,0.02 mol/L水酸化カリウムのメタノール溶液で緑色に
なるまで滴定する。これに試料約50 gを0.1 gまで正しくはかりとり(1),よく溶かしたのち0.02 mol/L
水酸化カリウムのメタノール溶液で滴定し,液の色が緑となった点を終点とする。
注(1) 減量法による。
e) 計算式 酸価は,次の式によって算出する。
m
c
V
A
1
S
122
.1
×
×
=
ここに,
A:酸価(mg KOH/g)
VS:試料の滴定に要した0.02 mol/L水酸化カリウムメタノール
溶液の使用量(mL)
c1:0.02 mol/L 水酸化カリウムのメタノール溶液の正確な濃度
(mol/L)
m:試料量(g)
6.3.2
電位差滴定法 電位差滴定法は,次による。
a) 要旨 試料をアセトンに溶かし,水酸化ナトリウム溶液で電位差滴定する。
b) 装置及び機器
1) 電位差滴定装置又はpHメータ JIS K 0113又はJIS Z 8802による。
2) マグネチックスターラ
3) ビーカ 300 mLのもの。
4) ビュレット JIS R 3505に規定する5 mLのもの。
5) メスシリンダ JIS R 3505に規定する200 mLのもの。
6) はかり 100〜200 gの試料を感度0.1 g又はそれ以上の精度でひょう量できるもの。
c) 試薬
1) アセトン JIS K 8034に規定するアセトンと水とを容量比で80対20に混合したもの。
2) 0.1 mol/L水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8001の4.5(19.4)[0.1 mol/L水酸化ナトリウム溶液(4.000
gNaOH/L)]に規定するもの。
d) 操作 試料約50 gをビーカ300 mLに0.1 gまで正しくはかりとり,これにアセトン(体積分率80 %)
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125 mLを加えてよく溶かす。
pH計を用いて0.1 mol/L水酸化ナトリウム溶液で電位差滴定を行い,得られた滴定曲線の変曲点を
終点とする(2)。
この試験には,別に同一条件で空試験を行う。
注(2) 終点の求め方は,JIS K 0113の5.2.2(終点決定法)による。
e) 計算式 酸価は,次の式によって算出する。
(
)
m
c
V
V
A
2
Β
S
61
.5
×
−
×
=
ここに,
A:酸価(mg KOH/g)
VS:試料の滴定に要した0.01 mol/L水酸化ナトリウム溶液の使用
量(mL)
VB:空試験の滴定に要した0.01 mol/L水酸化ナトリウム溶液の使
用量(mL)
c2:0.1 mol/L水酸化ナトリウム溶液の正確な濃度(mol/L)
m:試料量(g)
6.4
pH(参考)
6.4.1
要旨 pH計を用い,室温における2-プロパノール溶液での見掛けのpHを測定する。
6.4.2
装置及び器具
a) pH計(飽和カロメル電極はスリーブ形)
b) マグネチックスターラ
c) ビーカ 100 mLのもの
d) メスシリンダ JIS R 3505に規定する100 mLのもの。
e) はかり 100〜200 gの試料を,感度0.1 g又はそれ以上の精度でひょう量できるもの。
6.4.3
試薬
a) 2-プロパノール溶液 2-プロパノールと水を容量比で10対6に混合したもの。
b) 0.01 mol/L塩酸 JIS K 8001の4.5(5.1)[1 mol/L塩酸]に従って調整した1.0 mol/L塩酸を100倍に
希釈する。
c) 0.01 mol/L水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8001の4.5(19.1)(1 mol/L水酸化ナトリウム溶液)に従っ
て調製した1.0 mol/L水酸化ナトリウム溶液を100倍に希釈する。
6.4.4
操作 あらかじめ試料10 gをビーカ100 mLに0.1 gまで正しくはかりとる。別のビーカに2-プロ
パノール溶液60 mLをとり,pH計をセットしてマグネチックスターラでかきまぜながら0.01 mol/L塩酸
又は0.01 mol/L水酸化ナトリウム溶液を滴下して,静止1分後の室温におけるpHを7.0に安定するように
調整する(3) (4)。
この溶液を上記試料中に加え,pH計をセットしてマグネチックスターラで5分間かきまぜて均一な溶液
とし,指示の安定を確認した後,室温におけるpHを読む。
注(3) pHの指示の安定とは,更に1分間かきまぜ1分間静置した後,読みとったpH値の差が0.05以
下であることをいう。
(4) 2-プロパノール溶液のpHの調整に当たっては,できるだけ最小限度の0.01 mol/L塩酸又は0.01
mol/L水酸化ナトリウム溶液の使用にとどめる。
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7. 試験報告 試験報告書には,次の事項を含まなければならない。
a) この規格番号
b) 試料を完全に特定するための必要なすべての事項
c) 滴定の方法(指示薬滴定法又は電位差滴定法)
d) 得られた結果(小数点以下三けたに丸めて報告。ただし,pHは小数点以下一けたに丸める。)
e) この規格には規定していないが,結果に影響があるかもしれない補足事項又は詳細
f)
試験年月日
関連規格
JIS K 1557-1 プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法−第1部:水酸基価の求め方
JIS K 1557-2 プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法−第2部:水分量の求め方