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K 1468-2 : 1999  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

今回の制定は,日本工業規格を国際規格に整合させるためにISO 5439 : 1978を基礎として用いた。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 1468-2 : 1999 

ふっ化水素酸用ほたる石分析方法− 

第2部 ふっ素含有量の定量−蒸留後電位差滴定法 

Acid-grade fluorspar−Method for chemical analysis 

Part 2 : Determination of available fluorine content− 

Potentiometric method after distillation 

序文 この規格は,1978年に発行された,ISO 5439,Acid-grade fluorspar−Determination of available fluorine 

content−Potentiometric method after distillationを基礎として作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,ふっ化水素酸用ほたる石のふっ素含有量を,蒸留後イオン電極を用いる電位

差滴定法によって定量する方法について規定する。 

この方法はふっ化カルシウム (CaF2) 含有量90%以上の製品に適用する。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 5439 : 1978 Acid-grade fluorspar−Detemination of available fluorine content−Potentiometric 

method after distillation 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけが規格の規

定を構成するものであって,その後の改正・追補は適用しない。発効年(又は発行年)を付記していない

引用規格は,その最新版(追補を含む)を適用する。 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 0122 イオン電極測定方法通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

JIS K 8101 エタノール (99.5) (試薬) 

JIS K 8102 エタノール (95) (試薬) 

JIS K 8223 過塩素酸(試薬) 

JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8777 ピリジン(試薬) 

JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬) 

JIS K 8839 2−プロパノール(試薬) 

K 1468-2 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS Z 8801 試験用ふるい 

備考 ISO 565 : 1990, Test sieves−Metal wire cloth, perforated metal plate and electroformed sheet−

Nominal sizes of openingsが,この規格と一致している。 

JIS Z 8805 pH測定用ガラス電極 

JIS M 8100 粉塊混合物−サンプリング方法通則 

備考 ISO 8868 : 1989, Fluorspar−Sampling and sample preparationがこの規格と同等である。 

3. 原理 温度制御された蒸留装置を用いて,過塩素酸共存下で蒸留することによって分析試料からふっ

素を分離する。蒸留液をふっ素イオン電極を用いて,硝酸ランタン溶液で電位差滴定を行う。 

4. 試薬 分析に当たっては日本工業規格に規定する試薬又は同等の純度をもつ試薬,蒸留水又は同等の

純度をもつ水だけを用い,硝酸ランタン溶液(4.7)の調製にはJIS K 8001に規定する二酸化炭素を含まない

水を用いる。 

4.1 

過マンガン酸カリウム,結晶 JIS K 8247に規定するもの。 

4.2 

ふっ化ナトリウム JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質。 

4.3 

エタノール又は2−プロパノール JIS K 8101に規定するエタノール (99.5) 及びJIS K 8839に規定

する2−プロパノール。 

4.4 

過塩素酸 密度約1.54g/ml 約60%溶液 JIS K 8223に規定するもの。 

4.5 

過塩素酸 約10%溶液 過塩素酸(4.4)16.5mlを,水で100mlに薄めたもの。 

4.6 

水酸化ナトリウム溶液 約1mol/溶液 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム4gを水100mlに溶

解し,プラスチック瓶に保存する。 

4.7 

硝酸ランタン溶液 約0.01mol/l 

4.7.1 

溶液の調製 硝酸ランタン六水和物4.33gを水に溶解し,0.001mol/l硝酸10mlを加え,全量フラス

コ1 000mlに移し入れ,水で標線まで薄め,よく混合する。 

4.7.2 

標定 7.4参照。 

4.8 

緩衝液 pH6.5 JIS K 8777に規定するピリジン79gを水約800mlに溶解し,過塩素酸(4.5)でpH値

6.5±0.2となるまで中和する。水で1 000mlに薄め,必要ならばpH6.5に再び調整する。 

4.9 

フェノールフタレイン指示薬 5g/l JIS K 8799に規定するフェノールフタレインをJIS K 8102に

規定するエタノール (95) に溶解する。 

5. 装置及び器具 

5.1 

蒸留装置 ふっ素蒸留装置は,通常,次のものを使用する。図1に蒸留装置の一例を示す。 

5.1.1 

水蒸気発生装置 丸底フラスコ3 000ml〜5 000mlに水及び沸騰石を入れたもの。 

5.1.2 

蒸留器 主管には水蒸気導入管及び接触温度計を,側管には滴下漏斗を取り付けた容量250mlのフ

ラスコ。 

5.1.3 

冷却器 長さ約300mmの蛇管冷却器。 

5.1.4 

加熱器 蒸留器には約150W以上,水蒸気発生器には約500W以上のマントルヒーターを用い,温

度調節が可能なもの。 

5.2 

マグネチックスターラー 

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K 1468-2 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.3 

pH計 JIS Z 8805に規定するガラス電極及び銀−塩化銀電極を装着したもの。 

5.4 

自動滴定装置 ビュレット容量20ml〜50mlのもの。 

5.5 

ふっ素イオン電極 JIS K 0122に規定するもの。 

5.6 

比較電極 JIS K 0122に規定する銀−塩化銀電極又はその他の型式のものでもよい。 

5.7 

電位差計 JIS K 0113に規定する電位差計。終点の検出に変曲点法が使用でき,±0.5mVが再現で

きるもの。 

5.8 

はかり瓶 JIS R 3503に規定するもの。 

5.9 

乾燥器 105℃±2℃に調節できるもの。 

図1 ふっ素蒸留装置の一例 

6. 試験試料 試験試料は,JIS M 8100の5.に準じた受渡当事者間で規定した方法によって採取,調製し

たもの。 

7. 操作 

7.1 

分析試料 数gの試験試料をJIS Z 8801に規定する網ふるいの目開き63μmを全通するまで,めの

う乳鉢ですりつぶす。ふるいに掛けた試料を105℃±2℃に調節した乾燥器(5.9)で2時間乾燥し,デシケー

ター中で放冷する。放冷後,試料をはかり瓶(5.8)に約0.2gを0.1mgまではかりとる。 

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7.2 

蒸留 蒸留器(5.1.2)に数個の過マンガン酸カリウム(4.1)の結晶を入れ,はかり瓶中の分析試料(7.1)

を少量の水で洗い入れ,次に,水約15mlを加える。135℃に設定した接触温度計を取り付ける。全量フラ

スコ500mlに水酸化ナトリウム溶液(4.6)25ml及び水約40mlを入れておく。冷却器に冷却水を通じた後,

滴下漏斗から過塩素酸(4.4)35mlを加え,直ちに滴下漏斗の栓を閉じ,ふり動かしてよく混ぜた後,蒸留器

を加熱する。 

蒸留器の温度が135℃になったとき,水蒸気発生装置と蒸留装置との間のスクリューコックを開き,次

いで,水蒸気発生装置のスクリューコックを閉じ,毎分約4mlの水に相当する水蒸気を蒸留器に導入する

(1)。留出液が約400mlになるまで蒸留を行う。 

冷却器内及びその脚部の内外を水で洗い,洗浄液は留出液と合わせる。数滴のフェノールフタレイン指

示薬(4.9)を指示薬とし,過塩素酸(4.5)で中和する。水で標線まで薄め,混合する。 

注(1) あらかじめ水蒸気発生装置を加熱し,水蒸気を発生させておく。ただし,蒸留器内の温度が135℃

になるまでは,蒸留器に水蒸気を導入してはならない。 

7.3 

電位差滴定 全量フラスコ500mlから50.0mlを分取し,ビーカー250mlに入れる。緩衝液(4.8)10ml

を加え,次にエタノール(4.3)又はプロパノール(4.3)60mlを加える。ビーカーに回転子を入れ,マグネチッ

クスターラー(5.2)の上に置き,ふっ素イオン電極(5.5)及び比較電極(5.6)を溶液に浸し,電位差計(5.7)に接

続する。かき混ぜながら毎分3.0ml以下の速度で硝酸ランタン溶液(4.7)で滴定する。滴定量とそれに対応

する電位差を記録する。電位差の変化が大きくなれば,ゆっくり滴定を行う。滴定曲線の変曲点を終点と

する。 

滴定曲線の一例を図2に示す。 

図2 滴定曲線の一例 

7.4 

標定 分析試料(7.1)の代わりにふっ化ナトリウム(4.2)の約0.200gを0.1mgまではかりとり,定量と

並行して,7.2及び7.3の操作を行う。 

空試験を7.5の操作によって行う。硝酸ランタン溶液(4.7)1mlのふっ化ナトリウムに相当する質量 (g) を,

次の式によって算出する。 

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(

)100

500

/

50

0

1

1

×

×

×

=

V

V

P

W

m

 ··································································· (1) 

ここに, m1:硝酸ランタン溶液(4.7)1mlに相当するふっ化ナトリウムの質量 (g) 
 

W:ふっ化ナトリウム(4.2)の質量 (g)  

P:ふっ化ナトリウム(4.2)の純度 (%)  

V0:空試験に用いた硝酸ランタン溶液(4.7)の体積 (ml)  

V1:標定に用いた硝酸ランタン溶液(4.7)の体積 (ml)  

7.5 

空試験 試料を用いないで,全操作(7.1〜7.4)を定量と並行して行い,空試験とする。 

8. 結果の表示 

8.1 

計算 ふっ化カルシウムの質量百分率 (CaF2, %) は,次の式によって算出する。 

(

)1000

7

929

.0

0

0

2

1

1

×

×

=

m

V

V

m

C

 ···················································· (2) 

ふっ素 (F) の質量百分率は,次の式によって算出する。 

(

)1000

4

452

.0

0

0

2

1

2

×

×

=

m

V

V

m

C

 ···················································· (3) 

ここに, C1:ふっ化カルシウムの質量百分率 (CaF2, %)  
 

C2:ふっ素の質量百分率 (F, %)  

m0:分析試料(7.1)の質量 (g)  

m1:硝酸ランタン溶液(4.7)1mlに相当するふっ化ナトリウムの質量 (g) 

V0:空試験に用いた硝酸ランタン溶液(4.7)の体積 (ml)  

V2:測定に用いた硝酸ランタン溶液(4.7)の体積 (ml)  

参考 繰返し性及び再現性 3試料について,5か所の試験室で行われた比較試験の統計的情報を,表

1に示す。 

表1 

試料 

平均値 CaF2 % 

97.04 

96.79 

96.41 

標準偏差 

繰返し性 sr 

0.85 

0.77 

0.56 

再現性  sR 

1.22 

0.82 

0.76 

9. 試験結果の報告 試験結果の報告は,次の事項を記載しなければならない。 

a) 試料の識別に必要なすべての情報 

b) 用いた分析方法の明示(この規格の引用) 

c) 結果及び用いた表示方法 

d) 測定時に気づいた特記事項 

e) この規格又は引用した規格に含まれていない操作及び随意とみなされるすべての操作 

関連規格 JIS K 0050 化学分析方法通則 

K 1468-2 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 1468-2(ふっ化水素酸用ほたる石分析方法 第2部 

ふっ素含有量の定量−蒸留後電位差滴定法)原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

川 瀬   晃 

セイコーインスツルメンツ株式会社 

(委員) 

大 嶋 清 治 

工業技術院標準部材料規格課 

高 橋 和 夫 

通商産業省製品評価技術センター検査部 

西 出 徹 雄 

通商産業省基礎産業局化学課 

佐々木 謙 治 

社団法人日本海事検定協会 

新 井 一 正 

日本軽金属株式会社 

成 塚 定 司 

旭硝子株式会社 

後 藤 正二郎 

セイミケミカル株式会社 

(主査) 

百 田 邦 堯 

森田化学工業株式会社 

中須賀 正 直 

森田化学工業株式会社 

新 井 博 通 

セントラル硝子株式会社 

山 本 浩 司 

株式会社トーケムプロダクツ 

上 山 恵 一 

ダイキン工業株式会社 

米 沢   勗 

ステラ ケミファ株式会社 

(事務局) 

中 島 俊 隆 

日本無機薬品協会 

金 古 博 文 

日本無機薬品協会 

解説文責者 米沢 勗(ステラ ケミファ株式会社)