2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K1464-1962
工業用乾燥剤
Desiccants, Activated for Industrial Dehumidification
1. 適用範囲 この規格は,工業的に用いられる吸着乾燥剤(以下乾燥剤という)について規定する。た
だし,JIS Z 0701(包装用乾燥剤)に含まれるものを除く。
2. 性質 乾燥剤は有害であったり,使用中分解したり,有害ガスを発生したり,潮解性があってはなら
ない。
3. 品質 乾燥剤は6. 試験方法によって試験し,表1の規定に適合しなければならない。
表1
乾燥強度 mg/l
0.2 以下
乾燥容量 %
相対湿度10%
2.0 以上
相対湿度50%
6.0 以上
相対湿度90%
15.0 以上
粒子強度 %
3.5 以下
比抵抗 Ωcm
1×103 以上
4. 試料採取方法 試料のとり方は,当事者間の協定による。
5. 試験項目
5.1
一般試験 乾燥強度,乾燥容量,粒子強度,比抵抗
5.2
特別試験(当事者間で必要と認めた場合の試験) 含水率,耐水能,充テン密度,粒度
6. 訳験方法
6.1
乾燥強度測定方法 全装置を図1に示す。図1中の乾燥剤充テン塔およびP2O5吸収管を,それぞれ
図2および図3に示す。
試料(1)は,あらかじめ粗砕し,JIS Z 8801(標準フルイ)の標準フルイ3360μを通り1410μに止まるよう
に調製する。この試料約100gを図2の充テン塔に充テンし,図1のように装置を組む。つぎに25℃±2.5deg,
相対湿度80%の調湿空気(2)を2〜3l/minの流速で流す。15分間の予備送風後,あらかじめはかった図3の
P2O5吸収管(3)を連結し,さらに調湿空気を送る。90分後吸収管をはかってその増量を求め,次式によって
乾燥強度を算出する。
B
C
A=
ここに
A: 乾燥強度 (mg/l)
2
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B: 通過空気量 (l)
C: 吸収管の増量 (mg)
注(1) 試料が吸湿している場合には,加熱乾燥し,デシケーター中で放冷して用いる。
(2) 調湿空気は,表2の硫酸濃度によって得られる。
図1 乾燥強度測定装置
図2 乾燥剤充テン塔
図3 吸収管
表2
相対湿度 %
硫酸
重量 %
比重 (20/4℃)
10
64.6
1.550
50
43.1
1.330
80
26.2
1.189
90
16.0
1.109
(3) 吸収管はガラスウール約1g P2O53.5〜5gを詰めて使用する。また,使用するガラス器具,ガラ
スウールなどは,じゅうぶん乾燥すること。また,P2O5を詰める場合,ガラスウールのほかシ
リカゲル (1〜3mm) 約8gを用いてもよい。
3
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図4 乾燥容量測定装置
6.2
乾燥容量 試料5〜10gを図3の吸収管にとり,正確にはかる。つぎに図4のように装置を組み,調
湿空気(4)を3.5〜4.5l/minの流速でそれぞれ流す。1時間ごとに増量をはかり,連続する2回の増量の差が
試料1g当たり0.001g以下となったときを終点とし,次式によって調湿空気3種類の乾燥容量 (%) をそれ
ぞれ算出し,小数点以下2ケタを丸める(5)。
100
×
E
G
D=
ここに
D: 乾燥容量 (%)
E: 試料の重サ (g)
G: 増量 (g)
注(4) 調湿空気は25℃±2.5deg,相対湿度10%,50%,90%の3種類とする。
(5) 数値の丸め方は,JIS Z 8401(数値の丸め方)による。
備考 この乾燥容量測定方法は,JIS Z 0701(包装用乾燥剤)の吸水試験方法によってもさしつかえ
ない。
6.3
粒子強度 試料は,あらかじめ空気中にさらして,空気中の湿分と平衡になるまで吸湿させる。
試料はそれぞれの大きさに対応して定めた上の標準フルイにとり,フルイ振動機(6)にかけて3分間ふる
いわけたのち,上のフルイにとまったものをよく混ぜ合わせ,その中から50gをはかりとり上のフルイに
のせる。さらに上のフルイに5個の銅板(10円貨と寸法,重量の等しいもの)を入れ,下のフルイ,受ザ
ラにフタをしてフルイ振動機に固定する。15分間フルイ振動機を動かしたのち,受ザラに落ちた試料の重
サをはかり,次式によって粒子強度を算出する。
100
)
(
50
×
g
J
H=
ここに
H: 粒子強度 (%)
J: 受ザラに落ちた試料の重サ (g)
試料の大キサ
フルイ
0.84〜3.36mm
3.36mm以上
上のフルイ
840μ
2380μ
下のフルイ
350μ
840μ
注(6) フルイ振動機は,タイラー形標準フルイ振動機(振動数240〜290rpm,ハンマーリング数130〜
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165rpm,ハンマーの重サ2kg,ハンマーの長サ240mm)またはこれに準ずる。
6.4
比抵抗 試料10±0.1gを硬質ガラスビーカー500mlにとり,800℃の温水200mlを加えて時計ザラで
おおい,30分間水浴上で80℃±5degに加温したのちロ過し,ロ液について温度250℃で交流高抵抗測定器
を用いて液の比抵抗Ωcmを測定する。
6.5
含水率 試料0.5〜1gを重量既知の平形ハカリビンにはかりとる。つぎに150〜170℃の乾燥器中に1
時間保ち,デシケーター中で放冷後,再びはかり,その減量を求め,次式によって含水率を算出し,小数
点以下2ケタを丸める(5)。
100
×
L
L
M
K
−
=
ここに
K: 含水率 (%)
L: 乾燥後の試料の重サ (g)
M: 乾燥前の試料の重サ (g)
6.6
耐水能 試料はあらかじめ粗砕し,JIS Z 8801(標準フルイ)の標準網フルイ3360μを通り1410μに
止まるように調製する。この試料をあらかじめ相対湿度80%の調湿空気中に24時間放置し吸湿させる。
この試料約30gを内径150mmの結晶ザラにとり,時計ザラで試料が飛び散らぬように注意しながら室温
の蒸留水を試料の層の倍以上の高サまで注加し,時計ザラでフタをして30分間静置する。そののち結晶ザ
ラを傾けてできるだけ水を切り(必要があればスポイトを使用して水を吸い出す),試料を薄く広げて80℃
の恒温乾燥器で3時間乾燥する。
乾燥試料を標準網フルイ840μ上に移して3分間フルイ振動機にかけ,フルイ上に残ったものと通過した
ものの重サを上ザラテンビンではかり,次式によって耐水能を算出する。
100
1
×
P
P
P
N
+
=
ここに
N: 耐水能 (%)
P: フルイに残ったものの重サ (g)
P1: フルイを通過したものの重サ (g)
6.7
充テン密度 試料450〜500mlを重量既知のメスシリンダー500mlにとり,1gの精度ではかる。シリ
ンダーをゴム板上で軽くたたき1分ごとに容量を読む。容量の差の出なくなったときの容量をV (l) とし,
次式によって充テン密度を算出する。
V
S
Q=
ここに
Q: 充テン密度 (g/l)
S: 試料の重サ (g)
6.8
粒度 必要とするフルイをフルイ振動機にセット後,最上部のフルイに試料約150gをはかりとる。
約3分間振トウ後各フルイに残った試料の重サをはかり,次式によって粒度を算出し,小数点以下2ケタ
を丸める(5)。
100
×
T
U
R=
ここに
R: 粒度 (%)
T: 試料の重サ (g)
U: フルイ上に残った試料の重サ (g)
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7. 表示 乾燥剤には,その容器に製造業者名またはその略号,乾燥剤の種類または銘柄,正味重量およ
び製造番号を表示しなければならない。