サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

background image

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K1449-1978 

りん酸 

H3PO4 

1. 適用範囲 この規格は,工業薬品としてのりん酸について規定する。 

引用規格: 

JIS K 8005 容量分析用標準試薬 

JIS K 8012 亜鉛(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(試薬) 

JIS K 8982 硫酸第二鉄アンモニウム(鉄みょうばん)(試薬) 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

2. りん酸の種類 89%りん酸,85%りん酸及び75%りん酸の3種類とする。 

3. 品質 りん酸は5.により試験し,次の規定に合格しなければならない。 

89%りん酸 

85%りん酸 

75%りん酸 

1号 

2号 

特号 

1号 

2号 

特号 

1号 

2号 

外観 

無色又はわずかに着色した粘性の液体であって浮遊物のないこと 

比重 (15/4℃) 

1.73 以上 1. 73以上 1.69  以上 1.69 以上 1.69 以上 1.58以上 

1.58以上 1.58  以上 

塩化物 (Cl) % 

0.001以下 0.005以下 0.0005以下 0.001以下 0.005以下 0.0005以下 0.001以下 0.005以下 

硫酸塩 (SO4) % 

0.003以下 0.006以下 0.003以下 0.003以下 0.006以下 0.003以下 0.003以下 0.006以下 

重金属 (Pb) % 

0.002以下 

− 

0.001 以下 0.002以下 

− 

0.001以下 0.002以下 

− 

鉄 (Fe) % 

0.002以下 0.01 以下 0.002 以下 0.002以下 0.01以下 0.002以下 0.002以下 0.05 以下 

ひ素 (As) % 

0.005以下 0.01 以下 0.0001以下 0.005以下 0.01以下 0.0001以下 0.005以下 0.01 以下 

りん酸 (H3PO4) % 

89.0  以上 89.0 以上 85.0  以上 85.0  以上 85.0  以上 75.0以上 

75.0以上 75.0  以上 

4. 試料採取方法 試料採取は1ロット10本未満については1〜2本,10本以上100本未満については2

本以上,100本以上は100本又はその端数ごとに1本を加え,ランダムに容器を抜き取り,中身をよくか

き混ぜた後,その各々の容器に清浄な試料採取管(1)を垂直に徐々に入れ,器底に達しさせて試料を満たし,

管の口を閉じ,ほぼ等量ずつ必要量をとって共せん細口硬質ガラスびんに入れ密せんして蓄え,試験に供

する。 

注(1) 試料採取管 ガラス管又はビニル製管で図1はその一例を示したもので,試料の採取に都合がよ

いように,その形状及び寸法を変えてよい。 

background image

K1449-1978  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 

5. 試験方法 

5.1 

比重 比重の測定は,15℃で浮ばかりを用いて行う。 

5.2 

塩化物 試料1〜4gを試験管(平底,内径約23mm)にはかりとり,水10mlを加えて薄め,硝酸 (1:

2) 10mlを加えた後,水を加えて液量を25mlにする。これに硝酸銀溶液 (2%) 1mlを加えて15分間放置す

る。その濁りを,別に同形の試験管に塩化物標準溶液 (1ml=0.01mgCl) (2)を採って同様に処理した場合の

濁りと比較し,次の式によって塩化物の百分率を算出する。 

100

)

(

)

ml

(

)

(

00001

.0

)%

CI

(

×

×

=

g

g

試 料

塩化物標準溶液使用量

塩化物

注(2) 塩化物標準溶液 (1ml=0.01mgCl) の作り方:JIS K 8150〔塩化ナトリウム(試薬)〕の特級1.65g

をはかり,水に溶かして1000mlとし,その10mlを水で薄めて1000mlとする。 

5.3 

硫酸塩 試料50gをビーカー1000mlにはかりとり,水約450mlを加えて薄めた後ろ紙でこし,温水

で洗う。ろ液と洗液を合わせて煮沸するまで加熱し,温塩化バリウム溶液 (10%) 20mlを加え,水浴上で

30分間加温し,1夜放置した後,JIS P 3801〔ろ紙(化学分析用)〕の6種でこし,塩酸 (1:25) 20mlで洗

い,次に洗液に塩素イオンの反応のなくなるまで温水で洗う。沈殿はろ紙と共に磁器るつぼに入れ,初め

は徐々に加熱してろ紙を焼いた後約700℃に強熱し,冷却後硫酸(比重1.84)1滴を加えて再び加熱し,約

30分間約700℃に強熱する。冷却後はかり,次の式によって硫酸塩の百分率を算出する。 

100

)

(

4115

.0

)

(

BaSO

)%

SO

(

4

4

×

×

=

g

g

試 料

硫酸塩

5.4 

重金属 試料3〜4gをはかり,水で薄めて25mlとしたものをA液とする。A液20mlを試験管(平

底,内径約23mm)にとり,酢酸ナトリウム溶液 (20%) 2ml及び硫化水素水10mlを加え,よくかき混ぜて

10分間放置する。そのとき呈する色を,別に同形の,試験管にA液5mlをとり,これに鉛標準溶液 (1ml

=0.01mgPb) (3)をとり,水を加えて20mlとしたものに酢酸ナトリウム溶液 (20%) 2ml及び硫化水素水10ml

を加えてよくかき混ぜ,10分後に呈する暗色と比較して,次の式によって重金属の百分率を算出する。 

100

25

/

15

)

(

)

ml

(

)

(

00001

.0

)%

Pb

(

×

×

×

=

g

g

試料

鉛標準溶液使用量

重金属

注(3) 鉛標準溶液 (1ml=0.01mgPb) の作り方:JIS K 8563〔硝酸鉛(試薬)〕の特級1.60gをはかり,

水に溶かして1000mlとし,その10mlを水で薄めて1000mlとする。ただし後段の水で薄めた溶

液は変化しやすいから,使用のとき薄めて作る。 

background image

K1449-1978  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.5 

鉄 試料(4)を試験管(平底,内径約23mm)にとり,これにチオグリコール酸0.1mlを加え,アンモ

ニア水 (2:3) で中和した後,塩酸 (2:1) 0.1ml及び水を加えて20mlとし,更にアンモニア水 (2:3) 1ml

を加える。そのとき呈する赤色を,別にアンモニア水 (2:3) (前記中和に要した量)を水浴上で蒸発乾

固した後,塩酸 (2:1) 0.1ml及び水10mlに溶解して別の同形の試験管に移し,鉄標準溶液 (1ml=0.01mgFe) 

(5)をとって同様に処理した場合の赤色と比較し,次の式によって鉄の百分率を算出する。 

100

)

(

)

ml

(

)

(

00001

.0

)%

Fe

(

×

×

=

g

g

試 料

鉄標準溶液使用量

注(4) 試料量は,次のとおりである。 

鉄 (Fe) の規格値 

試料量 

0.002%以下 

0.01 %以下 
0.05 %以下 

1gに水を加えて10mlとし,その全量 
1gに水を加えて全量を50mlとし,その10ml (=0.2g) 
1gに水を加えて全量を250mlとし,その10ml (=0.04g) 

(5) 鉄標準溶液 (1ml=0.01mgFe) の作り方:JIS K 8982〔硫酸第二鉄アンモニウム(鉄みょうばん)

(試薬)〕の特級8.63gをはかり,硝酸 (1:6) 10m1及び水を加えて1000mlとし,その10mlに

硝酸 (1:6) 10ml及び水を加えて1000mlとする。この溶液は,かっ色びんに蓄える。 

5.6 

ひ素 試料(6)をとって発生びん(図2のA)に移し,水を加えて20mlとし,これに塩酸 (1:1) 5ml,

よう化カリウム溶液 (20%) 5mlを加え,2〜3分間放置後塩化第一すず溶液(7)5mlを加え,水を加えて全量

を40mlとし,更に10分間放置した後JIS K 8012〔亜鉛(試薬)〕の無ひ素の砂状のもの(標準網ふるい

1.0〜1.4mm)2gを加え,直ちにAを,Cを連結したBに連結し,25℃の水中に1時間放置する。 

別に同時に他の発生びんにひ素標準溶液 (1ml=0.001mgAs) (8)をそれぞれ1ml,2m1,3mlとり,水で薄

めて20mlとし,以下同一条件で操作し,1時間後に臭化第二水銀紙(9)の呈する黄色〜黄かっ色と比較して,

次の式によってひ素の百分率を算出する。 

)

(

)

ml

(

)

(

00001

.0

)%

As

(

g

g

試 料

ひ素標準溶液使用量

ひ素

×

=

注(6) 試料量は,次のとおりである。 

ひ素(As)の規格値 

試料量 

0.0001%以下 

0.005 %以下 

0.01  %以下 

2gに水を加えて10mlとし,その全量 
1gに水を加えて全量を100mlとし,その4ml (=0.04g) 
1gに水を加えて全量を100mlとし,その2ml (=0.02g) 

(7) 塩化第一すず溶液の作り方:塩化第一すず4gに塩酸(無ひ素)125mlを加えて溶解した後,水

で薄めて250mlとする。この溶液は共せんびんに密せんして蓄える。 

(8) ひ素標準溶液 (1ml=0.001mgAs) の作り方:JIS K 8005(容量分析用標準試薬)の三酸化ひ素

1.32gをはかり,水酸化ナトリウム溶液 (10%) 6mlを加えて溶解した後,水で薄めて1 000mlと

し,その1mlを水で薄めて1 000mlとする。 

(9) 臭化第二水銀紙の作り方:約10×約4cmのろ紙(東洋濾紙クロマトグラフ用No.53又はこれと

同等品)を臭化第二水銀溶液〔臭化第二水銀1gをエチルアルコール(95容量%)20mlに溶解

したもの〕に浸してときどき振りながら約1時間暗所に放置した後取り出し,暗所で自然乾燥

する。周りを切り除き,適当な大きさに切って用いる。これはかっ色びんに入れて蓄える。 

background image

K1449-1978  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図2 ひ素試験装置 

(10) 酢酸鉛紙の作り方:酢酸鉛11.8gに水を加えて100mlとし,これに酢酸2滴を加えた溶液に10

×5cmのろ紙を浸した後,常温で乾燥したものを巻いて透き問が均等になるように (B) に差し

込み,その上端から25mm下に位置させる。 

備考 (B) と (C) の間に臭化第二水銀紙をはさみ,ゴムせんをゴム輪で緊密に連結する。 

5.7 

りん酸 試料約1.5gを正確にはかり,コニカルビーカー300mlに移し,水を加えて約25mlとし,チ

モールフタレインのエチルアルコール溶液 (0.1%) (11)約5滴を加え,1N水酸化ナトリウム溶液(12)で滴定

し,淡青色に変わったときを終点とし,次の式によってりん酸の百分率を算出する。 

100

)

(

04900

.0

)

ml

(

1

)%

PO

H

(

4

3

×

×

=

g

N

試 料

使用量

水酸化ナトリウム溶液

りん酸

注(11) チモールフタレインのエチルアルコール溶液 (0.1%) の作り方:チモールフタレイン0.1gをエ

チルアルコール(95容量%)90mlに溶かした後,水で薄めて100mlとする。 

(12) lN水酸化ナトリウム溶液の作り方:水酸化ナトリウム約45gを水1000mlに溶かし,新たに作

った飽和水酸化バリウム溶液を沈殿が生じなくなるまで加えて強く振り混ぜる。この溶液は内

面にパラフィンを塗ったガラスびんに入れ,ソーダ石灰管を付け炭酸ガスをさえぎって2〜3日

間放置し,その上澄液を用いる。この力価は次の方法によって標定する。 

真空硫酸デシケーター中で24時間以上乾燥したJIS K 8005のスルファミン酸2〜2.5gを正確

にはかり,水約25mlに溶かした後ブロムチモールブルーのエチルアルコール(20容量%)溶液 

(0.1%) を指示薬として本溶液で滴定して決める。