K 1434 : 1999
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによって JIS K 1434-1966 は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,従来の日本工業規格を対応国際規格に整合化することを意図した。
日本工業規格
JIS
K
1434
: 1999
硫酸ナトリウム
Sodium sulphate, anhydrous and 10 hydrate
Na
2
SO
4
M=142.04, Na
2
SO
4
・10H
2
O
M=322.19
序文 この規格は,工業薬品としての硫酸ナトリウムについて規定した日本工業規格であるが,試験方法
については,適用範囲の備考に示した対応国際規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成したも
のである。
ただし,ISO 3234, Sodium sulphate for industrial use−Determination of loss in mass at 110℃の一部,ISO 3236,
Sodium sulphate for industrial use
−Determination of chlorides content−Mercurimetric method は有害物質を使用
しているため,この規格では採用しなかった。
なお,試験方法の規定内容のうち点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。見
出し項目に点線の下線があるものは,その項全体が,対応国際規格にない事項である。
1.
適用範囲 この規格は,工業薬品としての硫酸ナトリウムについて規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 3234 : 1975
Sodium sulphate for industrial use−Determination of loss in mass at 110℃
ISO 3235 : 1975
Sodium sulphate for industrial use−Determination of acid-insoluble matter
ISO 3236 : 1975
Sodium sulphate for industrial use − Determination of chlorides content −
Mercurimetric method
ISO 3237 : 1975
Sodium sulphate for industrial use − Determination of sulphates content −
Calculation method and barium sulphate gravimetric method
ISO 3239 : 1975
Sodium sulphate for industrial use − Determination of iron content-1,
10-Phenanthroline photometric method
ISO 3240 : 1975
Sodium sulphate for industrial use−Determination of acidity or alkalinity
ISO 3241 : 1975
Sodium sulphate for industrial use−Measurement of pH−Potentiometric method
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS K 0050
化学分析方法通則
JIS K 0122
イオン電極測定方法通則
JIS K 0124
高速液体クロマトグラフ分析通則
JIS K 0127
イオンクロマトグラフ分析通則
2
K 1434 : 1999
JIS K 0557
用水・排水の試験に用いる水
JIS K 8005
容量分析用標準物質
JIS K 8102
エタノール(95)(試薬)
JIS K 8121
塩化カリウム(試薬)
JIS K 8155
塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180
塩酸(試薬)
JIS K 8201
塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
JIS K 8202
塩化 1, 10-フェナントロリニウム一水和物(試薬)
JIS K 8355
酢酸(試薬)
JIS K 8371
酢酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8548
硝酸カリウム(試薬)
JIS K 8576
水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8577
水酸化バリウム八水和物(試薬)
JIS K 8789
1, 10-フェナントロリン一水和物(試薬)
JIS K 8809
フタル酸水素カリウム(試薬)
JIS K 8866
四ほう酸ナトリウム十水和物(試薬)
JIS K 8951
硫酸(試薬)
JIS K 8979
硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(試薬)
JIS K 9007
りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS K 9020
りん酸水素二ナトリウム(試薬)
JIS Z 8802
pH 測定方法
3.
種類 硫酸ナトリウムは,無水 (Na
2
SO
4
)
,中性無水 (Na
2
SO
4
)
及び中性結晶 (Na
2
SO
4
・10H
2
O)
の 3
種類とする。
4.
一般事項 化学分析について共通する一般事項は,JIS K 0050 による。
5.
品質 硫酸ナトリウムは,7.によって試験し,表 1 の規定に適合しなければならない。
表 1 品質
無水
中性無水
中性結晶
硫酸ナトリウム
(Na
2
SO
4
)
97.5%
以上
99.0%
以上 42.5%以上
水分
1.0%
以下
0.2%
以下
−
塩酸不溶解分
0.5%
以下
0.05%
以下 0.02%以下
鉄 (Fe)
0.1%
以下
0.01%
以下 0.005%以下
塩化物 (Cl)
0.1%
以下
0.05%
以下 0.02%以下
pH
−
7
±1.5(
1
)
7
±1.0
注(
1
)
中性無水の pH は受渡当事者間の協議による。ただし,特に指定が
ない場合には7±1.5とする。
3
K 1434 : 1999
6.
試料採取方法 試料は,全体を代表するように採取する。採取した試料は縮分し,約 500g を密栓して
保存し,試験に供する。
7.
試験方法
7.1
硫酸ナトリウム
7.1.1
硫酸バリウム質量法
a)
原理 試料を水に溶かし,塩酸酸性にして塩化バリウムを加えて硫酸バリウムの沈殿をつくり,これ
をろ過後強熱して質量をはかり,硫酸ナトリウムを定量する。
b)
装置及び器具
1)
電気炉 温度を 800℃±25℃に調節できるもの。
2)
恒温乾燥器 温度を 110℃±2℃に調節できるもの。
3)
電熱器
4)
化学分析用磁製るつぼ又は白金るつぼ
5)
微孔グレード無灰ろ紙(孔径約 0.4∼1
µm)
参考 微孔グレード無灰ろ紙(孔径約 0.4∼1
µm)として JIS P 3801 に規定されている 5 種 C が相当す
る。
c)
試薬
1)
水 JIS K 0557 に規定する A3 の水。
2)
塩酸 (1+1) JIS K 8180 に規定する塩酸を用いて調製したもの。
3)
硫酸 JIS K 8951 に規定するもの。
4)
水酸化ナトリウム溶液 (80g/l) JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウムを用いて調製したもの。
5)
塩化バリウム溶液 JIS K 8155 に規定する塩化バリウム 122g を水に溶かして 1l としたもの。
6)
硝酸銀溶液 (5g/l) 化学分析用の硝酸銀を用いて調製したもの。
7)
メチルオレンジ溶液 (0.5g/l) 化学分析用のメチルオレンジを用いて調製したもの。
d)
操作
1)
試料(無水及び中性無水の場合は約 10g,結晶の場合は約 20g)を 10mg まで正確にはかりとり,ビー
カー500ml に入れ,水 350ml とメチルオレンジ溶液 (0.5g/l) 3 滴を加える。溶液が赤みの黄色を呈し
ていれば,赤に変わるまで塩酸(1+1)を 1 滴ずつ加える。溶液が赤を呈していれば,赤みの黄色に
変わるまで水酸化ナトリウム溶液 (80g/l) を 1 滴ずつ加え,その後赤に戻るまで塩酸(1+1)を加える。
2)
1)
の液に塩酸(1+1)25ml を加え,かき混ぜながら 10 分間沸騰させた後,時計皿でビーカーにふたを
して沸騰水浴中で 30 分間加熱する。
3)
2)
の液を約 20℃に冷却後,全量フラスコに入れ,水を加えて正確に 1l にした後,溶液を乾いたろ紙
でろ過する。初めのろ液約 100ml を捨て,残りを別の乾いた受器に捕集する。
4)
ろ液 25ml を正確に 500ml ビーカーにとり,水を加えて約 300ml とした後,連続的にかき混ぜなか
ら沸騰させ,塩化バリウム溶液 (122g/k) 10ml を約 1 分 30 秒をかけて滴加し,引き続きかき混ぜを
止めることなく数分間沸騰させる。
次いで時計皿でビーカーにふたをして,約 60℃の水浴中で 4 時間,又は室温で約 12 時間放置す
る。
5)
4)
で生成した沈殿を微孔グレード(孔径約 0.4∼1
µm)の無灰ろ紙でろ過し,沸騰水でよく洗浄する。
この洗液 10ml に対して,硝酸銀溶液 (5g/l) 10ml を滴加し,5 分間透明な状態を保つまで洗浄を続
4
K 1434 : 1999
ける。
6)
あらかじめ強熱して恒量にして 0.1mg まで正確に量った[質量 W
1
(g)
]に沈殿物を無灰ろ紙ごと入
れ,110℃±2℃で乾燥する。次いで無灰ろ紙を燃焼させることなく低温で加熱して炭化した後,ガ
スバーナー又は 800℃±25℃の電気炉中で,15 分間加熱し灰化させる。
参考 無灰ろ紙を燃焼させることなく炭化させるには,電熱器上で加熱するとよい。
7)
6)
の灰化させたるつぼをデシケーター中で室温まで放冷した後,その質量を 0.1mg まではかる [W
2
(g)]
。その時焼成物が灰色を呈していれば,質量をはかる前に硫酸 1 滴を加えて湿らせた後,電気炉
に戻して再び 800℃±25℃で 15 分間加熱し,デシケーター中で放冷する。
e)
測定値の算出 硫酸ナトリウム(質量%)は,次の式によって算出する。
100
000
1
25
6
608
.
0
)
(
1
2
×
×
×
−
S
W
W
A
=
ここに,
A
:
硫酸ナトリウム(質量%)
S
:
試料量 (g)
W
1
:
沈殿物を入れる前のるつぼ (g)
W
2
:
灰化した沈殿が入ったるつぼ (g)
0.608 6
:
硫酸バリウムから硫酸ナトリウムへの換算係数
なお,無水の場合には,上式で求めた硫酸ナトリウム(質量%)から
7.6
で求めた酸分に相当する
硫酸ナトリウム(質量%)
[酸分×0.979=Na
2
SO
4
(質量%)
]を差し引き硫酸ナトリウム(質量%)と
する。
7.1.2
計算法
a)
原理
差数法による。100 から次の成分(水分,塩酸不溶解分,塩化物,酸分又はアルカリ分)の質
量%を差し引く。
b)
計算
硫酸ナトリウム(質量%)は,次の式によって算出する。
A
=100−(a+b+1.648 4c+d)
ここに,
A
:
硫酸ナトリウム(質量%)
a
:
水分(質量%)
b
:
塩酸不溶解分(質量%)
c
:
塩化物(質量%)
d
:
酸分又はアルカリ分(質量%)
1.648 4
:
塩化物 (Cl) から塩化ナトリウムへの換算係数
7.2
水分(110℃における質量減)
a)
原理
試料を 110℃±2℃で乾燥し,その減量を求め水分を定量する。
b)
装置及び器具
1)
恒温乾燥器
110℃±2℃に調節できるもの。
2)
はかり瓶
50mm×30mm(無水及び中性無水)45mm×60mm(中性結晶)
c)
操作
1)
110
℃で恒量とし,1mg まで正確にはかったはかり瓶[その合量 W
1
(g)
]に試料約 20g,中性結晶の
ときは約 10g を 1mg まで正確にはかりとり,なるべく均等に広げる。
2)
試料を入れたはかり瓶を恒温乾燥器中に入れ,はかり瓶のふたをずらし,110℃±2℃で 2 時間乾燥
する。
5
K 1434 : 1999
3)
2)
のはかり瓶をデシケーター中で放冷した後,その質量を 1mg まで正確にはかる [W
2
(g)]
。
d)
測定値の算出
水分(質量%)は,次の式によって算出する。
100
)
(
2
1
×
−
S
W
W
A
=
ここに,
A
:
水分(質量%)
S
:
試料量 (g)
W
1
:
乾燥前の質量 (g)
W
2
:
乾燥後の質量 (g)
7.3
塩酸不溶解分
a)
原理
試料を塩酸及び水に溶かし,ガラスろ過器でろ過し,水でよく洗い残分を乾燥して質量をはか
り,塩酸不溶解分を定量する。
b)
装置及び器具
1)
恒温乾燥器
110℃±2℃に調節できるもの。
2)
るつぼ形又は漏斗形ろ過器
ガラス製又は磁製のもので,直径約 30mm の溶融フィルターベース付
きで,気孔指数 P16(孔の径が 4∼16
µm)のもの。
参考
JIS R 3503
に規定されている 1G4 又は 3G4 のガラスろ過器が相当する。
c)
試薬
1)
水
JIS K 0557
に規定する A3 の水。
2)
塩酸(1+1)
JIS K 8180
に規定する塩酸を用いて調製したもの。
3)
水酸化ナトリウム溶液 (80g/l)
JIS K 8576
に規定する水酸化ナトリウムを用いて調製したもの。
4)
塩化バリウム溶液
JIS K 8155
に規定する塩化バリウム 122g を水に溶かして 1l としたもの。
5)
メチルオレンジ溶液 (0.5g/l)
化学分析用のメチルオレンジを用いて調製したもの。
d)
操作
1)
試料(無水の場合は約 20g,中性無水及び中性結晶の場合は約 45g)を 10mg まで正確にはかりとる。
2)
試料をビーカー1 000ml にとり,水 700ml 及びメチルオレンジ溶液 (0.5g/l) 3 滴を加える。
溶液が赤みの黄色を呈していれば,赤に変わるまで塩酸(1+1)を 1 滴ずつ加え,溶液が赤を呈し
ていれば,赤みの黄色に変わるまで水酸化ナトリウム溶液 (80g/l) を 1 滴ずつ加え,その後赤に戻
るまで塩酸(1+1)を加える。
3)
2)
の液に更に塩酸(1+1)50ml を加え,
かき混ぜながら沸点よりわずかに低い温度で 10 分間加熱する。
次いでビーカーに時計皿でふたをして,沸騰水浴中で 30 分間加熱した後約 20℃に冷却する。
4)
るつぼ形又は漏斗形ろ過器を恒温乾燥器 110℃±2℃で 1 時間乾燥し,デシケーター中で放冷した後
0.1mg
まで正確にはかる [W
1
(g)]
。このろ過器を用いて吸引ろ過する。
洗浄液を塩酸(1+1)を用いて塩酸酸性とし,塩化バリウム溶液 (122g/l) を加えて白色沈殿が認め
られなくなるまで水で洗浄する。
5)
恒温乾燥器 110℃±2℃でるつぼ形又は漏斗形ろ過器と残さ(渣)を 1 時間乾燥した後,デシケーター
中で放冷し 0.1mg まで正確にはかる [W
2
(g)]
。
e)
測定値の算出
塩酸不溶解分(質量%)は,次の式によって算出する。
100
)
(
1
2
×
−
S
W
W
A
=
ここに,
A
:
塩酸不溶解分(質量%)
S
:
試料量 (g)
6
K 1434 : 1999
W
1
:
ろ過前の質量 (g)
W
2
:
ろ過乾燥後の質量 (g)
7.4
鉄含有量
a)
原理
3 価の鉄イオンを塩化ヒドロキシルアンモニウムで還元し,緩衝液の存在下で 2 価の鉄と 1, 10-
フェナントロリンとの錯塩を生成させ,波長 510nm 付近で吸光度を測定し,鉄含有量を定量する。
b)
試薬
1)
水
JIS K 0557
に規定する A3 の水。
2)
塩酸
JIS K 8180
に規定するもの。
3)
塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液
JIS K 8201
に規定する塩化ヒドロキシルアンモニウム 10g を
水に溶かして 1l としたもの。
4)
塩化 1, 10-フェナントロリニウム溶液
JIS K 8202
に規定する塩化 1, 10-フェナントロリニウム 2.5g
を水に溶かして 1l としたもの。
JIS K 8789
に規定する 1, 10-フェナントロリン 2.5g/l 溶液で代用で
きる。
5)
酢酸ナトリウム溶液
JIS K 8371
に規定する酢酸ナトリウム三水和物 500g を水に溶かして 1l とし
たもの。
6)
臭素水
室温で飽和させたもの。
7)
緩衝液 (pH4.9)
JIS K 8371
に規定する酢酸ナトリウム三水和物 272g を水約 500ml に溶かし,
JIS
K 8355
に規定する酢酸 240ml を加え,
全量フラスコ 1 000ml に移し水を標線まで加え混合したもの。
8)
鉄標準液 (Fe0.200g/l)
JIS K 8979
に規定する硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物 1.404 3g を 0.1mg ま
で正確にはかりとり,水 200ml に溶かす。
JIS K 8951
に規定する硫酸 20ml を加えた後,室温まで
冷却し,全量フラスコ 1 000ml に移し水を標線まで加えて混合したもの。
9)
鉄標準液 (Fe0.010g/l)
鉄標準液 (Fe0.200g/l) 25ml を全量フラスコ 500ml に入れ,水を標線まで加
えて混合したもの。
c)
装置及び器具
1)
分光光度計又は光電吸光光度計
波長 500nm∼520nm で最大透過率を得るフィルターを備えたもの。
2)
セル
光学距離 4cm 又は 5cm のもの。
3)
pH
計
ガラス電極 pH 計
JIS Z 8802
に規定する形式 II を用いる又はガラス測定電極と比較電極を
備えたもの。
4)
pH
試験紙
pH 範囲 3.5∼4.2 で,間隔が 0.2pH 単位のもの。
d)
検量線の作成
1)
全量フラスコ 100ml5 個に鉄標準液 (Fe0.010g/l) を 0ml,2.5ml,5.0ml,10.0ml 及び 15.0ml と段階的
に入れる。各鉄標準液量に対応する鉄量を
表 2
に示す。
7
K 1434 : 1999
表 2 鉄標準液量と対応する鉄重
鉄標準液量
(ml)
対応する鉄量
(mg)
0(
2
)
−
2.5 0.025
5.0 0.050
10.0 0.100
15.0 0.150
注(
2
)
補正溶液
2)
各フラスコに水を加えて約 50ml とした後,各フラスコに
JIS K 8180
に規定する塩酸 0.5ml,塩化ヒ
ドロキシルアンモニウム溶液 (10g/l) 5ml,塩化 1, 10-フェナントロリニウム溶液 (2.5g/l) 5ml,及び
緩衝液 (pH4.9) 25ml を加え,水を標線まで加えて混合し,10 分間放置する。
3)
波長 510nm 付近で分光光度計又は適切なフィルター付きの光電吸光光度計を用いて吸光度の測定を
行う。測定は補正溶液に対して機器の吸光度をゼロに調整してから行う。
4)
標準比色液 100ml 中に含まれる鉄 (Fe) のミリグラムを横軸にとり,それに対応する吸光度の値を
縦軸にとってグラフを作成する。
e)
操作
1)
試料約 10g を 10mg まで正確にはかりとる。
備考
鉄含有量が 0.000 3%未満の製品では,試料約 50g を 10mg まで正確にはかりとる。
2)
別に試料を入れずに
3)
∼
5)
,
7)
∼
8)
の操作と同様に空試験を行う。
3)
ビーカー300ml に試料を入れ,塩酸 (
JIS K 8180
) 25ml
と水約 50ml を加え,これに飽和臭素水 5ml
を加えた後,試料が完全に溶けるまで煮沸し,さらに,少なくとも 5 分間煮沸を続ける。冷却後,
全量フラスコ 500ml に移し,水を標線まで加え混合する。次いで乾いたろ紙でろ過し,初めのろ液
を 100ml 捨て,残りを別の乾いた受器に捕集し,これを試験液とする。
4)
鉄含有量の予想値によって,試験液から予備試験用及び本試験用の 2 点の測定液を採取する。
参考
鉄含有量の予想値による採取液量を,
表 3
に示す。
表 3 鉄含有量の予想値による採取液量
採取する測定液量
(ml)
鉄含有量の予想値
Fe
(質量%)
試料量 10g のとき
試料量 50g のとき
<0.000 3
− 50
0.000
3
∼0.010 50
−
0.010
∼0.025 25
−
0.025
∼0.050 10
−
>0.050 5 −
5)
予備試験用の測定液をビーカー100ml に入れ,本試験用の測定液を全量フラスコ 100ml に入れる。
6)
ビーカーに入れた予備試験用の測定液に水を加えて約 50ml とし,次の試薬を加えて pH 調整の予備
試験を行う。
塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (10g/l) 5ml
塩化 1, 10-フェナントロリニウム溶液 (2.5g/l) 5ml
緩衝液 (pH4.9) 25ml
pH
計又は pH 試験紙を用いて pH が 3.5∼4.2 の範囲内であることを確認する。範囲外のときは,
測定液に酢酸ナトリウム溶液 (500g/l) を徐々に加えて混合し,pH を調整する。このとき,加えた
8
K 1434 : 1999
酢酸ナトリウム溶液 (500g/l) の量を記録し,予備試験に用いた液は捨てる。
7)
全量フラスコに入れたこの試験用の測定液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (10g/l) 5ml 塩化
1, 10-
フェナントロリニウム溶液 (2.5g/l) 5ml,緩衝液 (pH4.9) 25ml,及び pH 調整予備試験で記録し
た量の酢酸ナトリウム溶液 (500g/l) を加えた後,水を標線まで加えて混合し 10 分間放置する。
8)
波長 510nm 付近で分光光度計を用いるか又は適切なフィルター付きの光電吸光光度計を用いて
d)
の
3)
と同じ光度計で吸光度の測定を行う。測定は水に対して機器の吸光度をゼロに調整してから行
う。
検量線から測定液及び空試験測定液の鉄 (mg) を求める。
f)
測定値の算出
鉄含有量(質量%)は,次の式によって算出する。
V
S
m
m
A
×
−
×
)
(
50
2
1
=
ここに,
A
:
鉄含有量(質量%)
m
1
:
測定液の鉄の質量 (mg)
m
2
:
空試験の鉄の質量 (mg)
V
:
測定液の採取量 (ml)
S
:
試料量 (g)
7.5
塩化物 (Cl) 含有量
7.5.1
イオン電極法
イオン電極法について共通する一般事項は,
JIS K 0122
による。
a)
原理
試料に酢酸緩衝液を加えて pH を約 5 に調節し,指示電極として塩化物イオン電極を用いて電
位を測定し,塩化物イオンを定量する。
b)
装置及び器具
1)
電位差計
最小目盛 1mV の高入力抵抗電位差計(例えば,ディジタル式 pH-mV 計,拡大スパン付
pH-mV
計及びイオン電極用電位差計など)
。
2)
指示電極
塩化物イオン電極
3)
参照電極
二重液絡形(又は塩橋)参照電極(ダブルジャンクションのスリーブ形参照電極又はセ
ラミック形参照電極で抵抗の小さいもの)内筒液には
JIS K 8121
に規定する塩化カリウムを用い
3mol/l
∼飽和溶液に調製したものを用いる。外筒液には
JIS K 8548
に規定する硝酸カリウムを用い
100g/l
溶液に調製したものを用いる。
4)
マグネチックスターラーの回転による発熱で液温に変化を与えないもの。
c)
試薬
1)
水
JIS K 0557
に規定する A3 の水。
2)
酢酸緩衝液 (pH5)
JIS K 8548
に規定する硝酸カリウム 100g と
JIS K 8355
に規定する酢酸 50ml
を水 500ml に加えて溶かし,これを
JIS K 8576
に規定する水酸化ナトリウムを用いて調製した溶液
(100g/l)
を加えて,pH 計を用い,pH を 5 に調節し,水を加えて 1l としたもの。
3)
塩化物イオン標準液 (1 000mgCl
−
/l)
JIS K 8005
に規定する容量分析用標準試薬の塩化ナトリウ
ムをあらかじめ 600℃で約 1 時間加熱し,テシケータたー中で放冷する。NaCl100%に対してその
1.648g
をとり,少量の水に溶かし,全量フラスコ 1 000ml に移し入れ,水を標線まで加えたもの。
4)
塩化物イオン標準液 (100mgCl
−
/l)
塩化物イオン標準液 (1 000mgCl
−
/l) 20ml
を全量フラスコ
200ml
にとり,水を標線まで加えたもの。
5)
塩化物イオン標準液 (10mgCl
−
/l)
塩化物イオン標準液 (100mgCl
−
/l) 20ml
を全量フラスコ 200ml
にとり,水を標線まで加えたもの。使用時に調製する。
9
K 1434 : 1999
6)
塩化物イオン標準液 (5mgCl
−
/l)
塩化物イオン標準液 (100mgCl
−
/l) 10ml
を全量フラスコ 200ml
にとり,水を標線まで加えたもの。使用時に調製する。
d)
検量線の作成
1)
塩化物イオン標準液 (5mgCl
−
/l) 100ml
をビーカー200ml にとり,酢酸緩衝液 (pH5) 10ml を加える。
2)
指示電極と参照電極とを浸し,マグネチックスターラーで泡が電極に触れない程度に強くかき混ぜ
る。
3)
液温をはかり,電位差計で電位を測定する。
4)
塩化物イオン標準液 (10mgCl
−
/l) 100ml,
塩化物イオン標準液 (100mgCl
−
/l) 100ml
及び塩化物イオン
標準液 (1 000mgCl
−
/l) 100ml
をそれぞれビーカー200ml にとり,酢酸緩衝液 (pH5) 10ml を加える。
それぞれの塩化物イオン標準液 (10∼1 000mgCl
−
/l)
の
3)
の液温±1℃に調節し,
2)
∼
3)
の操作を行っ
て塩化物イオン標準液の電位を測定する。
5)
片対数方眼紙の対数軸に塩化物イオンの濃度を,均等軸に電位をとり塩化物イオンの濃度 (mgCl
−
/l)
と電位の関係線を作成する。
e)
操作
1)
試料約 10g を 10mg まで正確にはかりとり水約 80ml を加えて溶かし,全量フラスコ 100ml に移し水
を標線まで加える。これを試験液とする。
2)
この試験液を乾いたビーカー200ml に移し,酢酸緩衝液 (pH5) を 10ml 加える。
参考
酢酸緩衝液 (pH5) は,測定時の pH を約 5 に調節し,イオン強度を一定にするためのもので中
性無水及び中性結晶の場合は 1ml を加えればよい。
3)
液温を検量線作成時の温度±1℃に調節し電位を計る。
4)
検量線から塩化物イオン濃度を読み取る。
f)
測定値の算出
塩化物イオン (Cl
−
)
(質量%)は,次の式によって算出する。
100
000
10
×
×
S
B
A
=
ここに,
A
: 塩化物イオン (Cl
−
)
(質量%)
B
: 検量線から読み取った濃度(mgCl
−
/l)
S
: 試料量 (g)
7.5.2
イオンクロマトグラフ法
イオンクロマトグラフ法について共通する一般事項は,
JIS K 0127
によ
る。
a)
原理
試料をイオン交換水に溶解し,水酸化バリウム及びイオン交換樹脂によって硫酸ナトリウムの
影響を除いて,イオンクロマトグラフ法によって塩化物イオンを定量する。
b)
装置及び器具
1)
イオンクロマトグラフ
イオンクロマトグラフには,分離カラムと除去カラムを組み合わせた方式
のものと分離カラム単独の方式のものとがあるが,次に掲げる条件を満たすもので塩化物イオン,
亜硝酸イオン,臭化物イオン,硝酸イオン,硫酸イオンなどを検出できるもの。
1.1)
分離カラム ステンレス鋼製又は合成樹脂製のものに,強塩基性陰イオン交換体(I 形)
(表層被覆
形又は全多孔性シリカ形など)を充てんしたもの。
1.2)
検出部 電気伝導度検出器
2)
記録部
JIS K 0124
の
4.3.2
による。
3)
シリンジ
1ml∼10ml
10
K 1434 : 1999
4)
シリンジフィルター
孔径 0.45
µm 以下
c)
試薬
1)
水
JIS K 0577
に規定する A3 の水
2)
イオン交換樹脂
強酸性陽イオン交換樹脂
3)
溶離液
溶離液は装置の種類及び分離カラムに充てんした陰イオン交換体の種類によって異なるの
で,あらかじめ陰イオンが分離できることを確認する。分離の状態がよくない場合には,溶離液の
種類及び濃度を変えて分離状態を確認し,良好ならば,その溶離液を用いる。
4)
除去液
除去液は装置の種類及び除去カラムの種類によって異なる。
あらかじめ分離カラムと組み合わせて除去液の性能を確認する。除去液の性能がよくない場合に
は,除去液の種類及び濃度を変えて除去性能を確認し,良好ならば,その除去液を用いる。
5)
塩化物イオン標準液 (1 000mgCl
−
/l)
7.5.1
の
c)
の
3)
による。
6)
塩化物イオン標準液 (100mgCl
−
/l)
塩化物イオン標準液 (1 000mgC1
−
/l) 20ml
を全量フラスコ
200ml
にとり,水を標線まで加えたもの。
7)
塩化物イオン標準液 (10mgCl
−
/l)
塩化物イオン標準液 (100mgC1
−
/l) 20ml
を全量フラスコ 200ml
にとり,水を標線まで加えたもの。使用時に調製する。
8)
水酸化バリウム溶液
JIS K 8577
に規定する水酸化バリウム八水和物 45g を水に溶かして 1l とした
もの。
例1.
溶離液の例を,次に示す。
A
液 [炭酸水素ナトリウム溶液 (4mmol/l) +炭酸ナトリウム溶液 (4mmol/l)]
B
液 [炭酸水素ナトリウム溶液 (1.7mmol/l) +炭酸ナトリウム溶液 (1.8mmol/l)]
C
液 [グルコン酸カリウム溶液 (1.3mmol/l) +四ほう酸ナトリウム溶液 (1.3mmol/l) +ほ
う酸溶液 (30mmol/l) +アセトニトリル溶液 (115ml/l) +グリセリン溶液 (4ml/l)]
D
液 [フタル酸溶液 (2.5mmol/l) +2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1, 3-プロパンジオール
(2.4mmol/l)
]
例2.
除去液の例を,次に示す。
A
液 [硫酸 (15mmol/l)]
B
液 [硫酸 (25mmol/l)]
d)
準備操作
1)
試料約 2g を 10mg まで正確にはかりとり,水を加え溶解し,全量フラスコ 100ml に移し標線まで水
を加えよく振り混ぜる。この液を試料液とする。
試料液からピペットを用い 10ml を栓付試料容器 50ml に分取する。
2)
水酸化バリウム溶液 (45g/l) 10ml を加え密栓後,約 3 分間振り混ぜる。
静置後,上澄み液をシリンジで約 10ml とり,シリンジフィルターを通してろ過し,このろ液は
捨てる。
再び上澄み液をシリンジで約 10ml とり,シリンジフィルターを替えずにろ過し,別の栓付試料
容器 50ml に入れる。この容器にイオン交換樹脂 10g を加え密栓後,約 1 分間振り混ぜた後,静置
する。
3)
シリンジ及びシリンジフィルターは,
2)
で用いたものとは別に用意し,
2)
で得られた上澄み液をシ
リンジで約 2ml とり,シリンジフィルターを通してろ過し,このろ液は捨てる。再び上澄み液をシ
リンジで約 2ml とり,シリンジフィルターを替えずにろ過し試料容器 2ml に入れ,これを試験液と
11
K 1434 : 1999
する。
4)
同時に水 10ml について,
2)
∼
3)
の操作を同様に行い,空試験とする。
e)
操作
1)
イオンクロマトグラフを作動できる状態にし,分離カラムに溶離液を一定の流量で流しておく。除
去カラムを必要とする装置では除去液を一定の流量で流しておく。
2)
d)
の準備操作を行った試験液の一定量をシリンジを用いてイオンクロマトグラフの分離カラムに注
入し,一定の流量の溶離液で溶離し,クロマトグラムを記録する。
3)
クロマトグラム上の塩化物イオンに相当するピークについて,ピーク高さ(又はピーク面積)を測
定する。空試験のピーク高さを補正する。
4)
検量線から,塩化物イオンの量を求め,試料中の塩化物イオンの濃度(質量%)を算出する。
検量線
塩化物イオン標準液 (10mgCl
−
/l) 1.0ml
∼25.0ml を段階的に全量フラスコ 100ml にとり,水
を標線まで加える。この溶液について
e)1)
∼
3)
の操作を行って,それぞれの塩化物イオンに相当す
るピーク高さを求める。別に,空試験として水について
e)1)
∼
3)
の操作を行って,それぞれの塩化
物イオンに相当するピーク高さを補正した後,塩化物イオン (Cl
−
)
の量とピーク高さとの関係線を
作成する。検量線はカラムの分離状態を確認するために測定の都度作成する。
f)
測定値の算出
塩化物イオン (Cl
−
)
質量%は次の式によって算出する。
100
10
10
4
×
×
−
S
B
A
=
ここに,
A
: 塩化物イオン(CL
−
)
(質量%)
B
: 検量線から読み取った濃度(mgCl
−
/l)
S
: 試料量 (g)
7.6
酸分又はアルカリ分
a)
原理 試料を水に溶かし,メチルレッドを指示薬として硫酸標準液の既知量を過剰に加え煮沸し,二
酸化炭素を除き酸の過剰分を水酸化ナトリウム標準液で滴定し,消費された水酸化ナトリウム溶液量
から酸分又はアルカリ分を定量する。
b)
器具 ビュレット
c)
試薬
1)
水 JIS K 0557 に規定する A3 の水。
2)
硫酸溶液(0.05mol/l 標準液) JIS K 8951 に規定する硫酸を用いて調製し,標定したもの。
3)
水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/l 標準液,炭酸を含まないもの) JIS K 8576 に規定した水酸化ナ
トリウムを用いて調製し,標定したもの。
4)
メチルレッド溶液 (1g/l) 化学分析用メチルレッド 1g を JIS K 8102 に規定するエタノール (95)
に溶かして 1l としたもの。
d)
操作
1)
試料 10g を 10mg まで正確にはかりとる。
2)
別に,試料を加えずに 3)∼5)の操作を試験液と同量の硫酸溶液(0.05mol/l 標準液)及びメチルレッ
ド溶液 (1g/l) を用いて空試験を行う。
3)
三角フラスコ 500ml に水 200ml とメチルレッド溶液 (1g/l) 5 滴を入れた後,試料を溶かす。
4)
溶液が黄色の場合,赤を呈するまで,硫酸溶液(0.05mol/l 標準液)をビュレットから滴加し,記録
12
K 1434 : 1999
する。さらに,硫酸溶液(0.05mol/l 標準液)1.0ml を正確に加えて 5 分間煮沸する。溶液が赤の場
合,硫酸溶液(0.05mol/l 標準液)10ml を正確に加えて 5 分間煮沸する。煮沸中に黄色に変わった場
合,さらに,硫酸溶液(0.05mol/l 標準液)の既知量を正確に加え,最終的な硫酸過剰分を約 10ml
とする。
5)
煮沸した液を約 60℃に冷却し,赤から黄色に変わるまで,水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/l 標準液)
で過剰の酸を滴定する。
e)
測定値の算出 酸分(質量%)又はアルカリ分(質量%)は,次の式によって算出する。
1)
酸分 測定に要した水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/l 標準液)量が,空試験に要した水酸化ナトリ
ウム溶液(0.1mol/l 標準液)量より大きくなる (V
1
>V
2
)
。
得られた酸分は,硫酸(質量%)換算値となる。
S
V
V
V
V
A
×
−
×
×
2
2
1
0
)
(
49
.
0
=
2)
アルカリ分 空試験に要した水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/l 標準液)量か,測定に要した水酸化
ナトリウム溶液(0.1mol/l 標準液)量より大きくなる。 (V
2
>V
1
)
得られたアルカリ分は,炭酸ナトリウム(質量%)換算値となる。
S
V
V
V
V
A
×
−
×
×
2
1
2
0
)
(
53
.
0
=
1)
及び 2)の計算式において,
A
: 硫酸又は炭酸ナトリウム(質量%)
V
0
: 測定時(空試験も同様)に加えた硫酸溶液(0.05mol/l 標準液)量 (ml)
V
1
: 測定に要した水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/l 標準液)量 (ml)
V
2
: 空試験に要した水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/l 標準液)量 (ml)
S
: 試料量 (g)
0.49
: 酸分を硫酸に換算する係数
0.53
: アルカリ分を炭酸ナトリウムに換算する係数
7.7
pH
a)
原理 試料を水に溶かし,ガラス電極 pH 計を用いて溶液の pH を JIS Z 8802 に準じて測定する。
b)
装置
ガラス電極 pH 計 JIS Z 8802 に規定する形式 II を用いる(又はガラス測定電極と比較電極を備えた
もの,感度 0.05pH 単位)。
c)
試薬
1)
水 JIS K 0557 に規定する A3 の水。
2)
ほう酸塩 pH 標準液 JIS K 8866 に規定する四ほう酸ナトリウム(ほう砂)3.81g±0.01g (0.01mol) を
水に溶かし,1l とする。この緩衝液の pH は,20℃で 9.22 である。
3)
中性りん酸 pH 標準液 JIS K 9007 に規定するりん酸二水素カリウムを 3.40g±0.01g (0.025mol) と
JIS K 9020
に規定するりん酸水素二ナトリウム 3.55g±0.01g (0.025mol) を水に溶かし,1l としたも
の。この緩衝液の pH は,20℃で 6.88 である。
4)
フタル酸塩 pH 標準液 JIS K 8809 に規定するフタル酸水素カリウムを 10.21g±0.01g を水に溶かし,
1l
としたもの。この緩衝液の pH は,20℃で 4.00 である。
d)
操作
1)
試料 2g±0.01g を正確にはかりとる。
13
K 1434 : 1999
2)
試料を水 100ml の入ったビーカー200ml に,ガラス棒で混ぜながら徐々に加え,完全に溶かした後
全量フラスコ 200ml に移し,水を標線まで加えて混合し,これを試料溶液とする。
3)
ほう酸塩 pH 標準液 (pH9.22),中性りん酸 pH 標準液 (pH688) 及びフタル酸塩 pH 標準液 (4.00) を
用いて,20℃±1℃で pH 計の校正を行う。
4)
2)
の試料溶液を乾いたビーカー100ml に適量入れ,pH 電極を挿入して校正したときと同じ状態にな
るようにして 20℃±1℃で測定する。
e)
測定結果 pH 測定値を 0.1pH 単位で表す。
8.
表示 次の事項を容器の見やすいところに表示する。
a)
名称
b)
種類
c)
製造業者名又はその略号
d)
製造年月日又はその略号
e)
正味質量
関連規格 JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503
化学分析用ガラス器具
無機製品原案作成委員会・分科会 構成表
(硫酸ナトリウム)
氏名
所属
(委員長)
荒 木 峻
東京都立大学名誉教授
増 田 優
通商産業省基礎産業局
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
○
小 倉 悟
工業技術院標準部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
堀 本 能 之
工業技術院物質工学工業技術研究所
政 岡 進
製品評価技術センター
神 代 啓
社団法人日本化学工業協会
竹 中 松 雄
日本硫曹協会
(分科会主査)
○
米 谷 昇
四国化成工業株式会社 徳島第一工場
○
土 居 靖 隆
株式会社興人品質保証室
○
中 元 裕
東ソー株式会社 南陽事業所環境保安・品質保証部
○
森 本 國 宏
社団法人日本染色協会技術部兼大阪事務所
○
西 島 靖
日本浴用剤工業会
(事務局)
○
三 須 武
社団法人日本化学工業協会
○
内 田 幹 雄
社団法人日本化学工業協会
○印は,分科会委員を示す。
文責 米 谷 昇