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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 1352-1993 

無水酢酸 

Acetic anhydride 

(CH3CO)2O  FW : 102.09 

1. 適用範囲 この規格は,工業用の無水酢酸について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,付表1に示す。 

2. この規格の国際対応規格を,付表2に示す。 

2. 品質 品質は,3.によって試験し,表1のとおりとする。 

表1 品質 

項目 

品質 

外観 

透明な液体で,浮遊物,ごみなどの異物のないこと。 

色(ハーゼン色数) 

20以下 

密度 (20℃) 

g/cm

 1.080〜1.084 

純分 

% 99.0以上 

蒸発残分 

%  0.01以下 

鉄 

%  0.000 1以下 

3. 試験方法 

3.1 

一般事項 試験について共通する一般事項は,JIS K 0050による。 

3.2 

数値の丸め方 JIS Z 8401による。 

3.3 

試料採取方法 品質が均一とみなすことができる1ロットから製品の容器の種類によって,次に規

定する方法で代表試料を採取する。 

なお,ロットの設定,試料採取の時期及び場所については,当事者間の協定によって決めてもよい。 

3.3.1 

大形容器(タンク,タンク車,タンクローリー,タンカーなど)の場合 

(1) 要旨 大形液体試料採取器を用いて容器内容物を所定の位置から採取し,所定の割合で適切な試料容

器に移し,よく混合して代表試料とする。 

(2) 器具 

大形液体試料採取器 栓付きのJIS G 4304で規定した熱間圧延ステンレス鋼SUS316製の大形液体試

料採取器で,容器を所定の深さの所まで入れて栓を開き試料を満たした後,そのまま取り出すことが

できるもの。一例を図1に示す。 

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K 1352-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 大形液体試料採取器の一例 

(3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料の採取位置 直立円筒形タンクのように均一な横断面をもつものの場合は,液面の高さの65,21

及び61に相当する位置から,また,横置円筒形タンクの場合は,表2によってそれぞれ等量の試料

を採取する。 

なお,製品の品質が安定していることが確認できる場合には,他の合理的な方法で採取してもよ

い。 

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K 1352-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 横置円筒形タンクの試料採取位置と混合比 

容器内容物の深さ 

(直径に対する%) 

試料採取位置(容器の底からの高さ) 

(直径に対する%) 

試料混合比(体積比) 

上層 

中層 

下層 

上層 

中層 

下層 

90 

75 

50 

20 

 3 

80 

70 

50 

20 

 3 

70 

− 

50 

20 

− 

 4 

60 

− 

50 

20 

− 

 5 

50 

− 

40 

20 

− 

 6 

40 

− 

− 

20 

− 

− 

10 

30 

− 

− 

15 

− 

− 

10 

20 

− 

− 

10 

− 

− 

10 

10 

− 

− 

 5 

− 

− 

10 

(b) 試料の採取方法 大形容器の口を開き,清浄で乾燥した大形液体試料採取器を栓をしたまま所定の

位置まで沈める。次に,たぐり綱を一気に引き上げて栓を抜き,液面に気泡が上がってこなくなる

までその位置に保って試料を満たした後,引き上げて採取する。採取した試料は,清浄で乾燥した

共栓付褐色ガラス瓶に入れ,直ちに栓をする。 

(c) 試験用試料の調製 採取した試料は,直立円筒形タンクの場合は3か所から採取した試料をそれぞ

れ等量ずつ,また,横置円筒形タンクの場合には,表2の混合比になるように採取した試料を清浄

で乾燥した適切な試料容器に移し,よく混合し,このうちの1l以上を試験用試料とする。 

なお,試料調製後直ちに試験を行わないときは,清浄で乾燥した共栓付褐色ガラス瓶に入れ,密

栓して保存する。 

3.3.2 

小形容器(ポリエチレン製20l缶,ステンレス製ドラムなど)の場合 

(1) 要旨 小形液体試料採取器を用いて,複数の容器からそれぞれ等量ずつの試料を採取し,適切な試料

容器に移してよく混合し,このうちの1l以上を試験に供する。 

(2) 器具 

小形液体試料採取器 ガラス管で,口を開いたまま容器に入れ,試料を流入させた後,口をふさいで

取り出すことができるもの。一例を図2に示す。 

図2 小形液体試料採取器の一例 

(3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 小形容器の抜取個数 1ロットから複数の小形容器を抜き取る場合は,表3に示す個数をランダム

に抜き取る。 

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なお,製品の品質が安定していることが確認できる場合には,抜取個数を変更してもよい。 

表3 小形容器の抜取個数 

小形容器数 

抜取個数 

小形容器数 

抜取個数 

 1〜 4 

全数 

 76〜100 

10 

 5〜10 

101〜125 

11 

11〜20 

126〜150 

12 

21〜30 

151〜200 

13 

31〜50 

201〜250 

14 

51〜75 

251以上 

14+α(1) 

注(1) αは,次の式によって算出し,小数点以下は,切り上げ

て整数とする。 

50

250

=n

α

ここに, n: 小形容器数 

(b) 試料の採取方法 小形容器の口を開き,清浄で乾燥した小形液体試料採取器を口を開いたまま容器

の中に入れ,先端が器底に達した後,口を閉じて引き上げて採取する。 

(c) 試験用試料の調製 採取した試料は,それぞれ等量を清浄で乾燥した適切な試料容器に移し,よく

混合し,このうちの1l以上を試験用試料とする。 

なお,試料調製後直ちに試験を行わないときは,清浄で乾燥した共栓付褐色ガラス瓶に入れ,密

栓して保存する。 

3.4 

外観 

(1) 要旨 目視によって試料の外観を調べる。 

(2) 器具 

比色管 内径約23mm,高さ約400mmの無色透明の共栓付平底ガラス試験管を用い,底部から200

〜300mmの高さに100mlの標線を付けたもの。 

(3) 操作 試料を比色管に標線まで入れ,白地及び黒地を背景として上方及び側方から透視し,透明であ

って,浮遊物,ごみなどの異物がないかどうかを調べる。 

3.5 

色 色は,目視比色法,分光測光器又は光電色彩計による比色法によって測定し,ハーゼン色数を

求める。 

3.5.1 

目視比色法 

(1) 要旨 試料の透過色をハーゼン標準比色液と目視で比較してハーゼン色数を求める。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 比色装置 2本の比色管を立てる支持台,白色の平滑な底板,側面からの散光を防ぐ黒色の遮光板

及び底板を透して光線を導入する反射鏡からなり,JIS C 7601に規定する拡散昼光の下で比色管の

上から透視して,二つの管の液の色を比較することができるもの。 

(b) 比色管 3.4(2)で規定の同材質同形のもの。 

(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 標準比色原液 白金0.500gを含むようにJIS K 8163に規定するヘキサクロロ白金 (IV) 酸カリウム

1.245g及びコバルト0.250gを含むようにJIS K 8129に規定する塩化コバルト (II) 六水和物1.000g

をJIS K 8180に規定する塩酸100mlに溶かす。これに水を加えて1000mlとする。 

この液は,分光光度計で吸収セル10mmを用い,水を対照液として表4の波長において吸光度を

測定し,それぞれの右欄に示す吸光度の範囲に入ることを確認したものを標準比色原液とし,これ

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K 1352-1993  

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をハーゼン500番とする。 

表4 標準比色原液の吸光度許容範囲 

波長 nm 

吸光度 

430 

0.110〜0.120 

455 

0.130〜0.145 

480 

0.105〜0.120 

510 

0.055〜0.065 

(b) ハーゼン標準比色液 各種のハーゼン標準比色液の作り方は,表5による。 

表5 ハーゼン標準比色液 

標準比色液 

色数 

比色原液 

ml 

水 
ml 

99 

10 

98 

15 

97 

20 

96 

25 

95 

30 

94 

標準比色原液及び標準比色液は,密栓した着色ガラス瓶に入れ暗所に保存する。保存期間は,原

則として調製後,ハーゼン500番の標準比色原液については1か年以内とし,ハーゼン500番未満

の標準比色液は,1か月以内とする。 

(4) 操作 試料を比色管に100mlの標線まで入れる。別の比色管にハーゼン標準比色液を100mlの標線ま

で入れて両管を比色装置の中に並べて立て,両管を上から透視して液の色を比較し,ハーゼン色数を

求める。 

なお,二つの中間にあるときは,二つの内濃い方の番号を採択する。 

3.5.2 

分光測光器又は光電色彩計による比色法 

(1) 要旨 試料とハーゼン標準比色液との透過色を分光測光器又は光電色彩計によって比較し,ハーゼン

色数を求める。 

(2) 装置 JIS Z 8722の4.(分光測色方法)又は5.(刺激値直読方法)に規定する分光測光器又は光電色

彩計を使用する。 

(3) 操作 JIS Z 8722の4.4(透過物体の測定方法)又は5.3(測定方法)による。 

(a) ハーゼン標準比色液の黄変度 (∆YI) を分光測光器又は光電色彩計によって測定し,あらかじめ検量

線を作成する。 

(b) 分光測光器又は光電色彩計によって測定した試料の黄変度 (∆YI) から検量線を用いて試料のハー

ゼン色数を読み取る。 

3.6 

密度 密度は,振動式密度計法又は浮ひょう法によって求める。 

3.6.1 

振動式密度計法 

(1) 要旨 JIS K 0061の4.3(振動式密度計法)によって密度を求める。 

(2) 装置 装置は,次のとおりとする。 

振動式密度計 JIS K 0061の4.3.2(装置及び器具)に規定するB形のもの。 

(3) 操作 JIS K 0061の4.3によって行う。 

(4) 計算 密度は,次の式によって算出する。 

D=Dw2+Kt (Tst2−Twt2)  

K 1352-1993  

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ここに, 

D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)  

Dw2: 水の密度 (20℃) (0.998 20g/cm3)  

Kt: 試料セル定数 (20℃)  

Tst: 試料の振動周期 (20℃)  

Twt: 水の振動周期 (20℃)  

なお,密度から比重を求める場合は,次の式によって換算して求める。 

1

W

D

D

G=

ここに, 

G: 試料の比重 (20/4℃)  

D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)  

Dw1: 水の密度 (4℃) (0.999 97g/cm3)  

3.6.2 

浮ひよう法 

(1) 要旨 JIS K 0061の4.1(浮ひょう法)によって20/4℃の比重を測定し,密度を求める。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 恒温水槽 20.0±0.1℃に保持できるもの。 

(b) 浮ひょう JIS K 2249又はJIS B 7525に規定する有効目盛範囲1.060〜1.120,細分目盛0.001のも

の。 

(c) シリンダー ガラス製で,内径約60mm,高さ約350mm 

(d) 温度計 JIS B 7410に規定するもので,感温液が水銀であり,測定温度範囲が−20〜50℃,細分目

盛0.1℃のあらかじめ校正されているもの。 

(e) かき混ぜ棒 直径約2mm,長さ約450mmのガラス棒で,その先端がガラス棒と直角になるように

環状にしたもの。 

(3) 操作 JIS K 0061の4.1によって20.0±0.1℃で測定する。 

(4) 換算 比重から密度を求める場合の換算は,次の式による。 

D=G×Dw1 

ここに, 

D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)  

G: 試料の比重 (20/4℃)  

Dw1: 水の密度0.99997 (4℃) (g/cm3)  

3.7 

純分 純分は,モルホリン法又はガスクロマトグラフ法によって求める。 

3.7.1 

モルホリン法 

(1) 要旨 過剰のモルホリンと試料を反応させ,残ったモルホリンを塩酸で滴定し,純分を求める。 

(2) 器具 器具は,次のとおりとする。 

(a) 共通すり合わせ三角フラスコ JIS R 3503に規定する300ml 

(b) ビュレット JIS R 3505に規定する25ml 

(c) メスピペット JIS R 3505に規定する1ml 

(d) はかり瓶 JIS R 3503に規定する2ml 

(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) モルホリン溶液 (0.5mol/l)  モルホリン44mlをJIS K 8891に規定するメタノールに溶解し,全量

を1000mlとしたもの。 

(b) 混合指示薬 JIS K 8897に規定するメチレンブルー0.1gとJIS K 8494に規定するメチルエロー1.0g

をJIS K 8891に規定するメタノール125mlに溶かしたもの。 

(c) 塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l)  JIS K 8001の4.5(5.4)[0.5mol/l塩酸(メタノール溶媒)]による。 

K 1352-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 三角フラスコにモルホリン溶液 (0.5mol/l) 25mlをビュレットを用いて入れる。 

(b) 約20℃の試料0.8mlをメスピペットを用いてはかり瓶に取り,0.1mgのけたまで量った後,三角フ

ラスコに移す。 

(c) 軽く振り混ぜた後,5分間室温で放置後,混合指示薬3滴を加え,塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l) (2)

で滴定し,液の色が緑色からこはく色に変わった点を終点とする。 

(d) 空試験として,試料を入れずに(a)〜(c)の操作を行う。 

(5) 計算 純分は,次の式によって算出する。 

100

05

  

0.051

)

(

1

0

×

×

×

=

S

f

V

V

P

ここに, 

P: 純分 (%)  

V0: 空試験の滴定に用いた塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l) の温

度補正後の量 (ml)  

V1: 滴定に用いた塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l) の温度補正後

の量 (ml)  

f: 20℃における塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l) のファクター 

S: 試料の質量 (g)  

0.051 05: 塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l) の1.00mlに対する無水酢酸

の量 (g)  

注(2) 滴定に用いた塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l) の液温が20℃でない場合は,次の式によって補正

を行う。 

V0=V0' (1+K)  

V1=V1' (1+K)  

ここに, V0: 空試験の滴定に用いた塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l) の温

度補正後の量 (ml)  

V0': 空試験の滴定に用いた塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l) の消

費量 (ml)  

V1': 試料の滴定に用いた塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l) の温度

補正後の量 (ml)  

V1': 試料の滴定に用いた塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l) の消費

量 (ml)  

K: 滴定時の塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l) の温度による補正

係数 

補正係数は,次の式によって算出する。 

K=(20−t0)×0.001 13 

ここに, 

t0: 滴定時の塩酸メタノール溶液 (0.5mol/l) の液温 

0.001 13: 1℃/ml 容積変化量 

3.7.2 

ガスクロマトグラフ法 

(1) 要旨 ガスクロマトグラフを用い,主成分及びその他の成分のピーク面積から,面積百分率法によっ

て純分を求める。 

備考 ガスクロマトグラフ分析に共通する一般事項は,JIS K 0114による。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとし,分析条件は機器によって異なるため,最適条件に

設定する。 

(a) カラム 酢酸と無水酢酸及び他の不純物が十分に分離できるもの。 

K 1352-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(b) 検出感度 不純物の酢酸が0.01%以上の濃度で存在するとき,それを正確に検出できる感度である

こと。 

(c) 検出器 熱伝導度検出器を使用する。 

(3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) ガスクロマトグラフの測定 マイクロシリンジを使用して,試料をガスクロマトグラフに導入し,

試料のクロマトグラムを得る。 

(b) ピーク面積測定法 JIS K 0114の8.3(2)(データ処理装置を用いる方法)を用いてピーク面積を求

める。 

(4) 計算 純分は,JIS K 0114の8.5(面積百分率法)によって計算する。 

3.8 

蒸発残分 

(1) 要旨 試料を蒸発乾固させた後,加熱した残分の質量を量る。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(2.1) 恒温乾燥器 110±2℃に保持できるもの。 

(2.2) 化学はかり又は電子はかり 

(2.3) 蒸発皿 蒸発皿は,次のいずれかを用いる。 

(a) JIS R 1302に規定する磁器蒸発皿丸底形100mm又は120mm 

(b) JIS H 6202に規定する白金製の皿で150番のもの。 

(c) JIS R 3503に規定するガラス製丸底蒸発皿90×45mm 

(2.4) 全量ピペット JIS R 3505に規定する100ml 

(2.5) デシケーター JIS R 3503に規定するもの。 

乾燥剤は,JIS Z 0701に規定するシリカゲルA形1種を用いる。 

(2.6) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿を載せられるもの。 

(3) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) あらかじめ洗浄した蒸発皿を110±2℃で1時間加熱し,デシケーターの中で室温まで放冷した後,

その質量を0.1mgのけたまで量る。 

(b) (a)の蒸発皿に20℃の試料100mlを全量ピペットで取り,ドラフトチャンバー内の沸騰水浴上で,ほ

とんど乾固するまで蒸発させる。 

(c) 次に,蒸発皿を110±2℃で2時間加熱し,デシケーターの中で室温まで放冷した後,蒸発皿の質量

を0.1mgのけたまで量る。 

(4) 計算 蒸発残分は,次の式によって算出する。 

100

1

2

×

×

=

D

S

W

W

R

ここに, 

R: 蒸発残分 (%)  

W2: 操作(c)で得られた蒸発皿の質量 (g)  

W1: 操作(a)で得られた蒸発皿の質量 (g)  

S: 試料採取量 (ml)  

D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)  

3.9 

鉄 鉄は,1,10−フェナントロリン法又は原子吸光法によって測定する。 

3.9.1 

1,10−フエナントロリン法 

(1) 要旨 試料中の鉄を1,10−フェナントロリン一水和物で発色させ,分光光度計を用いて吸光度を測

定し,検量線から試料中の鉄の含有量を求める。 

K 1352-1993  

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(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの。 

備考 分析条件は機器によって異なるため,最適条件に設定する。 

(b) 水浴 沸騰水浴として使用することができ全量フラスコを載せられるもの。 

(c) 三角フラスコ JIS R 3503に規定する100ml 

(d) 全量フラスコ JIS R 3505に規定する100ml 

(e) 全量ピペット JIS R 3505に規定する5ml,20ml,25ml及び50ml 

(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (110g/l)  JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ

ウム11gを水に溶かして100mlとする。 

(b) 1,10−フェナントロリン一水和物溶液 (0.2%)  JIS K 8789に規定する1,10−フェナントロリン

一水和物2gをJIS K 8102に規定するエタノール (95) 100mlに溶かし,全量フラスコ1 000mlに入

れ,水を標線まで加える。 

(c) アンモニア水 (2+3)  JIS K 8085に規定するアンモニア水と水とを体積比2 : 3に混合する。 

(d) 鉄標準液 (1mgFe/ml)  JIS K 0016のFe 1000を用いるか又は鉄(99.5%以上)1.00gをJIS K 8541

に規定する硝酸 (60%) を用いて調製した硝酸 (1+2) 25ml中に加え,加熱して溶かし,放冷後全量

フラスコ1 000mlに入れ,水を標線まで加える。 

又は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄 (III) ・12水8.63gを,JIS K 8541に規定する硝

酸 (60%) を用いて調製した硝酸 (1+2) 25mlと適量の水に溶かし,全量フラスコ1 000mlに入れ水

を標線まで加える。 

(e) 鉄標準液 (0.01mgFe/ml)  JIS K 0016のFe10を用いるか,又は鉄標準液 (1mgFe/ml) 10mlを全量フ

ラスコ1 000mlに取り,JIS K 8541に規定する硝酸 (60%) を用いて調製した硝酸 (1+2) 25mlを加

えた後,水を標線まで加える。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(4.1) 試料液 試料液の吸光度の測定は,次のとおり行う。 

(a) 三角フラスコ100mlに水約20mlを入れ,この中に20℃の試料20mlを全量ピペットで入れる。 

(b) 三角フラスコをときどき振り混ぜながら,30〜40℃の湯浴中で30分間加熱し,無水酢酸を加水分解

させる。加水分解終了後,水10mlを加える。 

(c) 次いで,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (110g/l) 5mlを全量ピペットで加える。 

(d) 三角フラスコを沸騰水浴中に入れ,20分間加熱する。 

(e) 熱いうちに,アンモニア水 (2+3) 5ml,次に1,10-フェナントロリン一水和物溶液 (2g/l) 25mlを全

量ピペットで加える。 

(f) 50〜60℃の水浴上で30分間加温し,水冷後室温まで冷却した後,全量フラスコ100mlに移しかえ,

三角フラスコの洗液も加えてから水を標線まで加える。 

(4.2) 空試験 空試験の操作は,次のとおり行う。 

(a) 水50mλを全量ピペットで三角フラスコ100mlに取る。 

(b) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (110g/l) 5mlを全量ピペットで加える。 

(c) 三角フラスコを沸騰水浴中に入れ,20分間加熱する。 

(d) 熱いうちに,1,10−フェナントロリン一水和物溶液 (2g/l) 25mlを全量ピペットで加える。 

(e) 50〜60℃の水浴上で30分間加温し,水冷後室温まで冷却した後,全量フラスコ100mlに移しかえ,

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K 1352-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

三角フラスコの洗液も加えてから水を標線まで加える。 

(4.3) 空試験液を対照として,40mmセルを用い510nmの吸光度を求める。 

(5) 検量線 検量線は,次のとおり作成する。 

(a) 鉄標準液 (0.01mgFe/ml) 10mlを全量フラスコ100mlに取り,水を標線まで加える。 

(b) (a)で作成した鉄標準液 (0.001mgFe/ml) 1〜15mlを段階的に4〜5個の100ml全量フラスコに取り, 

(4)の項によって測定する。 

(c) 試料100ml中の鉄の含有量と吸光度の関係を示す検量線を作成する。 

(6) 計算 検量線から試料100ml中の鉄の含有量を求め,鉄は,次の式によって算出する。 

4

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Fe

×

×

=

D

S

W

ここに, Fe: 鉄 (%)  
 

W: 検量線から求めた鉄の含有量 (μg/100ml)  

S: 試料採取量 (ml)  

D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)  

3.9.2 

原子吸光法 

(1) 要旨 試料を濃縮処理した後,アセチレン−空気のフレーム中に噴霧し,鉄による原子吸光を波長

248.3nmで測定して鉄を定量する。 

(2) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するフレーム原子吸光分析装置による。 

備考 分析条件は機器によって異なるため,最適条件に設定する。 

(b) 水浴 沸騰水浴として使用でき蒸発皿を載せられるもの。 

(c) 鉄中空陰極ランプ JIS K 0121の4.2.1(1)(中空陰極ランプ)に規定するもの。 

(d) 全量フラスコ JIS R 3505に規定する25ml 

(e) 全量ピペット JIS R 3505に規定する100ml 

(f) 丸底蒸発皿 JIS R 1302に規定する磁器蒸発皿丸底形100mm,又はJIS R 3503に規定するガラス製

丸底蒸発皿90×45mm 

(3) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 塩酸 (1+1)  JIS K 8180に規定する塩酸と水とを体積比1 : 1に混合する。 

(b) 鉄標準液 3.9.1(3)(e)による。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(4.1) 濃縮は,次のとおり行う。 

(a) 試料100mlを全量ピペットで丸底蒸発皿に取る。 

(b) 沸騰水浴上で蒸発乾固させる。 

(c) 塩酸 (1+1) 2mlを加え,残分を溶解し,全量フラスコ25mlに入れ水を標線まで加える。 

(4.2) 濃縮液の測定は,次のとおり行う。 

(a) 原子吸光分析装置を用いて,波長248.3nmの共鳴線の指示値(3)を読み取る。 

注(3) 吸光度又はその比例値 

(b) 空試験として,4.1(c)以下の操作を行って指示値を読み取り,試料から得た指示値を補正する。 

(5) 検量線 鉄標準液 (0.01mgFe/ml) 1〜15mlを段階的に4〜5個の全量フラスコ25mlに取り,塩酸 (1+

1) 2mlを加えた後,水を標線まで加える。 

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K 1352-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

これらの溶液について4.2の操作を行い,鉄の含有量と指示値(3)との関係を示す検量線を作成する。

検量線の作成は,試料測定時に行う。 

(6) 計算 検量線から原子吸光分析供試料25ml中の鉄の含有量を求め,鉄は,次の式によって算出する。 

4

10

Fe

×

×

=

D

S

w

ここに, Fe: 鉄 (%)  
 

w: 検量線から求めた鉄の含有量 (μg/25ml)  

S: 試料採取量 (ml)  

D: 試料の密度 (20℃) (g/cm3)  

4. 検査 検査は,3.によって試験をし,表1に適合しなければならない。 

5. 表示 製品の容器ごとに,次の事項を表示するか,添付しなければならない。 

(1) 規格名称 無水酢酸又は酸化アセチル 

(2) 正味質量 

(3) 製造番号又はロット番号 

(4) 製造業者名又はその略号 

(5) 製造年月又はその略号 

付表1 引用規格 

JIS B 7410 石油類試験用ガラス製温度計 

JIS B 7525 比重浮ひょう 

JIS C 7601 蛍光ランプ(一般照明用) 

JIS G 4304 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯 

JIS H 6202 化学分析用白金皿 

JIS K 0016 鉄標準液 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法 

JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 2249 原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8102 エタノール (95) [エチルアルコール (95)](試薬) 

JIS K 8129 塩化コバルト (II) 六水和物(試薬) 

JIS K 8163 ヘキサクロロ白金 (IV) 酸カリウム(塩化白金酸カリウム)(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬) 

JIS K 8494 メチルエロー(試薬) 

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K 1352-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8789 1,10−フェナントロリン一水和物(ο−フェナントロリン)(試薬) 

JIS K 8891 メタノール(試薬) 

JIS K 8897 メチレンブルー(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄 (III)・12水(試薬) 

JIS R 1302 化学分析用磁器蒸発ざら 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製化学用体積計 

JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8722 物体色の測定方法 

付表2 対応国際規格 

ISO 754 Acetic anhydride for industrial use−Methods of test 

ISO 758 Liquid chemical products for industrial use−Determination of density at 20 degrees C 

ISO 759 Volatile organic liquids for industrial use−Determination of dry residue after evaporation on 

water bath −General method 

ISO 2209 Liquid halogenated hydrocarbons for industrial use−Sampling 

ISO 2211 Liquid chemical products−Measurement of color in Hazen units (platinum-cobalt scale)  

関連規格 JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0071 化学製品の色及び硫酸着色試験方法 

JIS K 1351 酢酸 

JIS K 6716 メタクリル酸メチル 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

無水酢酸JIS改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

冨 永 博 夫 

埼玉工業大学 

作 田 頴 治 

通商産業省基礎産業局 

竹 田 一 郎 

工業技術院化学技術研究所 

地 崎   修 

工業技術院標準部 

村 山   普 

大正製薬株式会社薬製部 

柳 瀬 斉 彦 

化成品工業協会 

都 木 道 久 

デナック株式会社 

丸 橋 基 一 

日本合成化学工業株式会社合成事業部 

(大垣内   宏)  

母 里 浩 一 

ダイセル化学工業株式会社網干工場 

谷   弘 毅 

チッソ株式会社有機化学品事業部 

(事業局) 

樋 口 太 郎 

酢酸工業会 

備考 ( )内は,関係者を示す。