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K 1310-3 : 2000  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

これによって,JIS K 1310 : 1959は廃止され,JIS K 1310-1-1〜JIS K 1310-4に置き換えられる。 

JIS K 1310-3 : 2000には,次に示す附属書がある。 

附属書(参考) 試料採取上の注意事項 

JIS K 1310 : 2000は,一般名称を“工業用塩酸”として,次の各部によって構成する。 

第1部 :全酸性度含有量の求め方−第1節:中和滴定法 
第1部 :全酸性度含有量の求め方−第2節:電位差滴定方法 
第2部 :密度測定による塩酸含有量の求め方 
第3部 :鉄含有量の求め方−1, 10-フェナントロリン吸光光度分析方法,電気加熱方式原子吸光分析

方法,高周波誘導結合プラズマ発光分光分析方法 

第4部 :強熱残分の求め方 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 1310-3 : 2000 

工業用塩酸−第3部: 

鉄含有量の求め方− 

1, 10-フェナントロリン吸光光度分析方法, 

電気加熱方式原子吸光分析方法, 

高周波誘導結合プラズマ発光分光分析方法 

Hydrochloric acid for industrial use− 

Part 3 : Determination of iron content− 

1, 10−Phenanthroline molecular absorption spectrometry, 

Electrothermal type atomic absorption spectrometry, 

Inductively coupled plasma atomic emission spectrometry 

1. 適用範囲 この規格は,工業用塩酸の鉄含有量の1, 10-フェナントロリン吸光光度分析方法,電気加

熱方式原子吸光分析方法,高周波誘導結合プラズマ発光分光分析方法(以下,ICP発光分光分析方法とい

う。)による求め方について規定する。 

備考 試料採取上の注意事項は,附属書(参考)による。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0016 鉄標準液 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0116 発光分光分析通則 

JIS K 0121 原子吸光分析通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬) 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

3. 試験方法 試験方法は,次の3種類とし,そのいずれかによる。

K 1310-3 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 1, 10-フェナントロリン吸光光度分析方法 

b) 電気加熱方式原子吸光分析方法 

c) ICP発光分光分析方法 

3.1 

1, 10-フェナントロリン吸光光度分析方法 1, 10-フェナントロリン吸光光度分析方法は,次のとおり

とする。 

3.1.1 

要旨 試料を蒸発乾固し,塩酸を加えて溶解する。鉄を塩化ヒドロキシルアンモニウムによって還

元し,これに1, 10-フェナントロリンと酢酸アンモニウムを加えて生成する1, 10-フェナントロリン鉄錯体

の吸光度を測定して鉄の含量を求める。 

3.1.2 

試薬 試薬は,次のとおりとする。 

a) 塩酸 (1+1)  JIS K 8180に規定するものを用いて調整する。 

参考 試料採取上の注意事項については,附属書1(参考)を参照。 

b) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (100g/l)  JIS K 8001の4.2(試薬溶液)に規定するもの。 

c) 酢酸アンモニウム溶液 (100g/l)  JIS K 8001の4.2に規定するもの。 

d) 1, 10-フェナントロリン溶液 (2g/l)  JIS K 8001の4.2に規定するもの。 

e) 鉄標準溶液 (0.01mgFe/ml)  JIS K 8001の4.3(2)(原子吸光法,炎光光度法用)に規定するもの。 

3.1.3 

装置 装置は,次のとおりとする。 

JIS K 0115に規定する分光光度計又は,光電光度計。 

3.1.4 

操作 操作は,次のとおりとする。 

a) 試料50〜200gを500ml蒸発皿に量り採る。 

b) 水浴上で蒸発乾固する。 

c) 塩酸 (1+1) 1mlと水10mlを加えて溶解し,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (100g/l) 1mlを加え,

約5分間放置する。 

d) 1, 10-フェナントロリン溶液 (2g/l) 2mlと酢酸アンモニウム溶液 (100g/l) 10mlを加え,全量フラスコ

50ml中に取って水を標線まで加え,よく振り混ぜて20〜35℃で15分間放置して発色させる。 

e) この一部を吸収セル10〜50mmに取り,JIS K 0115の8.1(検量線法)によって,波長510nm付近の

吸光度を測定する。この場合,対照液は水とする。 

f) 

全操作にわたって空試験を行い,e)で測定した吸光度を補正する。 

g) 鉄標準溶液 (0.01mgFe/ml) 0〜15mlを数個の全量フラスコ50mlに段階的にとり,c)〜e)によって操作

し,鉄の含量と吸光度との関係を示す検量線を作成する。 

3.1.5 

計算 検量線から鉄の値を求め,試料中の鉄は次の式によって算出する。 

100

103×

×

W

A

C=

ここに, C: 鉄 (Fe) (%) 
 

A: 検量線から求めた鉄の値 (mg) 

W: 試料の質量 (g) 

3.2 

電気加熱方式原子吸光分析方法(1) 電気加熱方式原子吸光分析方法は,次のとおりとする。 

注(1) 0.001〜0.005%の鉄分を測定する場合には,フレーム原子吸光分析装置を用いてもよい。 

3.2.1 

要旨 試料を蒸発乾固した後,塩酸を加えて水に溶解し,吸光度を測定して鉄の含量を求める。 

3.2.2 

試薬 試薬は,次のとおりとする。 

K 1310-3 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 塩酸 (1+1)  3.1.2a)による。 

b) 鉄標準溶液 (0.01mgFe/ml)  3.1.2e)による。 

3.2.3 

装置 装置は,次のとおりとする。 

JIS K 0121に規定する電気加熱方式によるフレームレス原子吸光分析装置で,ランプは鉄中空陰極ラン

プを用いる。 

3.2.4 

操作 操作は,次のとおりとする。 

a) 試料50〜200gを500ml蒸発皿に量り採る。 

b) 水浴上で蒸発乾固する。 

c) 塩酸 (1+1) 1mlと水を加えて溶解し,全量フラスコ50mlに移し標線まで水を加えてよく振り混ぜる。 

d) 原子吸光分析装置を用い,JIS K 0121の6.(操作方法)によって,c)の溶液の吸光度を波長248.3nm

で測定する。 

e) 前操作にわたって空試験を行い,d)で測定した吸光度を補正する。 

f) 

鉄標準溶液を段階的に全量フラスコ50mlにとり,c)〜d)の操作を行って吸光度を求め,鉄の含量と吸

光度との関係を示す検量線を作成する。 

3.2.5 

計算 検量線から鉄の値を求め,試料中の鉄は,次の式によって算出する。 

100

103×

×

W

A

C=

ここに, C: 鉄 (Fe) (%) 
 

A: 検量線から求めた鉄の値 (mg) 

W: 試料の質量 (g) 

3.3 

ICP発光分光分析方法 ICP発光分光分析方法は,次のとおりとする。 

3.3.1 

要旨 試料に水を加え希釈した後,ICP発光分光法によって発光強度を測定し,鉄の含有量を求め

る。 

3.3.2 

試薬 試薬は,次のとおりとする。 

a) 鉄標準溶液 (0.01mgFe/ml)  3.1.2e)による。 

3.3.3 

装置 装置は,次のとおりとする。 

JIS K 0116に規定するもの。 

3.3.4 

操作 操作は,次のとおりとする。 

a) 100ml全量フラスコに試料約50gを0.01gまで精ひょうし,水を加えて,100mlとし,試料溶液とする。 

b) 検量線作成用溶液の調整 

別に100ml全量フラスコ5個を用意し,試料約50gを0.01gまで精ひょうし,STD-1,STD-2,STD-3,

STD-4,STD-5とする。 

この全量フラスコに鉄標準液の適量(2)を加えよく振り混ぜる。 

注(2) 3.3.2a)の鉄標準溶液の添加量を5種類段階的に変えたものを調整する。また,3.3.4a)の溶液中の

鉄の予想含有量及びその前後を含むことが望ましい。 

c) JIS K 0116によってa)及びb)で得た溶液の発光プラズマ強度を波長476.4nm(3)で測定する。 

注(3) 測定波長は機器の特性に応じ,他の適正な波長を選んでもよい。 

d) 添加した水の空試験を行い各発光強度を補正する。 

e) JIS K 0116の6.8.3(定量法)に規定する発光強度法又は,強度比法によって検量線を作成する。 

K 1310-3 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.3.5 

計算 検量線から鉄の値を求め,試料中の鉄は,次の式によって算出する。 

100

103×

×

W

A

C=

ここに, C: 鉄 (Fe) (%) 
 

A: 検量線から求めた試料溶液 (100ml) 中の鉄の値 (mg) 

W: 試料の質量 (g) 

K 1310-3 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書(参考) 試料採取上の注意事項 

この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

1. 一般的注意事項 

a) 塩酸は,毒物及び劇物取締法によって劇物として規定されているので,法規に従い取扱いには十分な

注意が必要である。 

b) 試料容器は運搬に適するもので,かつ,容器の破損が起きにくい構造,材質のものとする。 

c) 試料採取作業員には,あらかじめ塩酸取扱い時の危険性を十分に教育し,危険に対する注意を指示し

ておく。 

d) 試料採取は危険を伴うから,必要な保安上の知識をもつ者によって,又は,その監督下で行われなけ

ればならない。 

e) 試料採取作業に当たっては,保護眼鏡(ゴーグル型),ゴム手袋,ゴム長靴,防毒マスク,ゴム又はビ

ニール衣などの保護具を着装すること。 

2. 試料採取上の注意事項 

a) 塩酸は腐食性が強いので,取り扱う場合には常に保護具を着用して,作業が終わったならばシャワー

を浴びるか,又は入浴し,食事の直前には顔及び手を洗い,うがいをすること。 

b) ミストの発生する場合において自然換気ができないときは,排出装置によって汚染空気を室外に排出

すること。 

c) 吸引によって塩酸をサンプリングするときは,安全ピペット,真空パイプなどを使用すること。 

d) 塩酸には,爆発性や引火性はないが,各種の金属を侵して水素を発生し,爆発するおそれがあるので,

万一容器の破損に備え,金属,還元性物質,強酸化剤,強塩基,強酸などからは離しておくことが望

ましい。 

K 1310-3 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 1310(工業用塩酸試験方法)改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

委員会 

分科会 

(委員長) 

松 野 武 雄 

横浜国立大学名誉教授 

○ 

(委員) 

西 出 徹 雄 

通商産業省基礎産業局 

○ 

大 嶋 清 治 

通商産業省工業技術院標準部 

○ 

高 橋 和 夫 

通商産業省製品評価技術センター 

○ 

中 村   進 

物質工学工業技術研究所計測化学無機分析研究室 

○ 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会技術部 

○ 

神 代   啓 

社団法人日本化学工業協会 

○ 

並 木   昭 

財団法人化学品検査協会 

○ 

吉 田 儀 章 

化成品工業協会技術部 

○ 

渡 辺 浄 光 

日本石鹸洗剤工業会 

○ 

堀   定 男 

日本製紙連合会技術環境部 

○ 

佐 藤 邦 弘 

日本化学工業株式会社生産管理部 

○ 

湯 村 崇 男 

日本化学繊維協会技術部 

○ 

一 戸 正 憲 

社団法人日本水道協会工務部 

○ 

小 野   宏 

旭化成工業株式会社 

○ 

◎ 

橋 本 俊 夫 

旭硝子株式会社基礎化学品事業本部 

○ 

○ 

安 食 亮 伍 

旭化成工業株式会社川崎工場交換膜営業技術部 

○ 

○ 

大 津 健 治 

ダイソー株式会社生産技術部 

○ 

新宮領   宏 

鐘淵化学工業株式会社高砂工業所化成製造部 

○ 

西 尾 圭 司 

日本曹達株式会社研究技術本部 

○ 

○ 

鈴 木 邦 彦 

東亜合成株式会社名古屋工場技術部 

○ 

片 岡   基 

株式会社トクヤマ経営企画室 

○ 

○ 

武 居 弘 記 

東ソー株式会社環境保安・品質保証部 

○ 

藤 井   昇 

鶴見曹達株式会社研究部 

○ 

○ 

須 永 忠 典 

日本ソーダ工業会 

○ 

○ 

(事務局) 

三 須   武 

社団法人日本化学工業協会 

○ 

○ 

内 田 幹 雄 

社団法人日本化学工業協会 

○ 

○ 

宮 越 正 行 

日本ソーダ工業会技術部 

○ 

○ 

備考 ◎分科会主査 

(文責 新宮領 宏)