K 1200-1 : 2000
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き，本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は，工業標準化法に基づいて，日本工業標準調査会の審議を経て，通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
これによってJIS K 1200 : 1968は廃止され，JIS K 1200-1〜JIS K 1200-10に置き換えられる。
JIS K 1200-1には，次に示す附属書がある。
附属書（参考） 注意事項
JIS K 1200は，一般名称を“工業用水酸化ナトリウム”として，次の各部によって構成する。
第1部：比重又は密度の求め方
第2部：全アルカリ，水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウム含有量の求め方
第3部：塩化物含有量の求め方−第1節：チオシアン酸水銀(II)吸光光度分析方法
第3部：塩化物含有量の求め方−第2節：ホルハルト改良法，イオンクロマトグラフ分析方法
第4部：硫酸ナトリウム含有量の求め方
第5部：けい素含有量の求め方−高周波誘導結合プラズマ発光分光分析方法
第6部：鉄含有量の求め方−原子吸光分析方法，高周波誘導結合プラズマ発光分光分析方法
第7部：アルミニウム含有量の求め方
第8部：カルシウム含有量の求め方−第1節：原子吸光分析方法
第8部：カルシウム含有量の求め方−第2節：高周波誘導結合プラズマ発光分光分析方法
第9部：マグネシウム含有量の求め方−第1節：原子吸光分析方法
第9部：マグネシウム含有量の求め方−第2節：高周波誘導結合プラズマ発光分光分析方法
第10部：マンガン含有量の求め方
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き，本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 1200-1 : 2000
工業用水酸化ナトリウム−
第1部：比重又は密度の求め方
Sodium hydroxide for industrial use−
Part 1 : Specific gravity or density
1. 適用範囲 この規格は，工業用水酸化ナトリウムの比重又は密度の求め方について規定する。
備考 水酸化ナトリウム及び水酸化ナトリウム液の取扱い上の注意については，附属書（参考）を参
照する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は，この規格に引用されることによって，この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は，その最新版（追補を含む。）を適用する。
JIS B 7525 密度浮ひょう
JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. 試験方法 比重又は密度の測定方法は，次の3種とし，そのいずれかによる。
a) 比重瓶法
b) 密度浮ひょう法
c) 振動式密度計法
4. 比重瓶法
4.1
要旨 試料を20℃に保ち，ワードン形比重瓶を用いて測定する。
4.2
装置及び器具 装置及び器具は，次による。
a) 恒温水浴 20.0±0.1℃に保持できるもの。
b) ワードン形比重瓶 JIS R 3503に規定するもの。
4.3
操作 操作は，次による。
4.3.1
比重瓶の質量を0.1mgまで量る。測定温度よりわずかに低い温度に調節した水を気泡が入らないよ
うに満たし，栓を差し込み，20.0±0.1℃に保った恒温水浴中に比重瓶の首部まで浸せきする。
4.3.2
温度が一定になったならば，栓の毛管内のメニスカスを栓の頂部に合わせた後，水浴から比重瓶を
取り出し，外面を清浄な乾燥している布又は紙でふき，ふたをして気泡のないことを確かめ，0.1mgまで
量る。
2
K 1200-1 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き，本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.3.3
次に，比重瓶を乾燥し，測定温度よりわずかに低い温度に調節した試料の水酸化ナトリウム液を気
泡の入らないように満たし，栓を差し込み，20.0±0.1℃に保った恒温水浴中に首部まで浸せきする。
4.3.4
温度が一定になったならば，栓の毛管内のメニスカスを栓の頂部に合わせた後，水浴から比重瓶を
取り出し，あふれ出た試料を清浄な布又は紙でふき取る。
4.3.5
比重瓶の外面を水で洗い，清浄な乾燥している布又は紙でふき，ふたをして気泡のないことを確か
め，1mgまで量る。
4.4
計算 比重 (20/20℃) は，次の式によって算出し，JIS Z 8401によって小数点以下4けたに丸める。
1
2
1
3
1
W
W
W
W
S
−
−
=
(
)
1
1
1
99820
.0
S
d
S
S
a
−
+
=
ここに，
S1： 空気中における比重 (20/20℃)
S： 真空中における比重 (20/20℃)
W1： 比重瓶の質量 (g)
W2： 比重瓶と水の質量 (g)
W3： 比重瓶と試料の質量 (g)
da： 測定時における空気の密度 (g/ml)
0.998 20： 20℃における水の密度 (g/ml)
5. 密度浮ひょう法
5.1
要旨 任意の温度において，密度浮ひょうを用いて測定する。
5.2
器具
a) 密度浮ひょう JIS B 7525に規定する小形又は大形（有効目盛範囲1.480〜1.540）
b) シリンダ ガラス製で内径は密度浮ひょうの最大直径より25mm以上大きく，高さは密度浮ひょうを
入れた場合，密度浮ひょうの下端がシリンダの底から25mm以上の位置にくるもの。
c) かき混ぜ棒 シリンダ中の液体の密度差を除くため，十分にかき混ぜることのできるガラス製のもの。
d) 温度計 JIS K 8001の3.6(5)（温度計）に規定するもの。
5.3
操作
5.3.1
試料の水酸化ナトリウム液の適量を気泡が入らないようにシリンダに取る。
5.3.2
かき混ぜ棒を用いてかき混ぜた後，密度浮ひょうに気泡がつかないように注意して試料中に浮かべ
る。
5.3.3
静止した後，更に約2目盛だけ液中に沈めて手を離す。密度浮ひょうがシリンダ内壁に触れずに静
止したら，メニスカスの上縁で示度を読み取る。
5.3.4
同時に温度計を指示温度目盛付近まで浸して試料の温度を測定する。
5.4
計算 比重 (20/20℃) は，次の式によって算出し，JIS Z 8401によって小数点以下3けたに丸める。
S1＝St [1＋0.000 025 (15−t)]
S2＝S1−0.00071 (20−t)
99820
.0
2
D
S
S
×
=
ここに，
S： 比重 (20/20℃)
S1： 比重 (t/4℃)
S2： 比重 (20/4℃)'
3
K 1200-1 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き，本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
t： 測定温度 (℃)
St： 測定温度t℃における密度浮ひょうの示度
D： 4℃における水の密度 (g/ml)
0.998 20： 20℃における水の密度 (g/ml)
6. 振動式密度計法
6.1
要旨 一端を固定したガラス管（以下，試料セルという。）に試料を導入し，これに初期振動を与え
ると，試料セルは，試料質量に比例した固有振動周期をもって振動する。試料セルの振動部分の体積を一
定とすれば，固有振動周期は試料密度に比例する。水及び乾燥空気を密度標準物質とし，それらの固有振
動周期と密度から振動式密度計の試料セル定数を求めておくことによって，試料の密度及び比重を求める。
6.2
装置及び機具（振動式密度計） JIS K 0061の4.3（振動式密度計法）に規定するもの。
6.3
操作 操作は，次のとおり行う。
6.3.1
振動式密度計の準備
a) 振動式密度計の結線，循環恒温水の配管(1)などが正しく行われていることを確認する。
b) 温度計を所定の位置に設置する。
c) 振動式密度計などに電源を入れ，試料セル温度を20℃に調節する。
注(1) 測温部と温度調節部が一体となっていない型式の振動式密度計の場合，循環恒温水の配管はで
きるだけ短くし，十分に保温すること。
6.3.2
試料の準備 試料の水酸化ナトリウム液は，均一な液状で，ごみ，固形物，気泡などを含んではな
らない。これらのものを含む場合は，ろ紙によるろ過，遠心分離などによって除去する。
6.3.3
振動式密度計の校正（試料セル定数の決定） 校正の手順は，次による。
備考1. 自動校正機能をもつ振動式密度計の場合は，次のように校正する。
a) 振動式密度計をスイッチの操作によって校正の状態にする。
b) 乾燥空気及び水を6.3.1a)〜c)によって，試料セルに導入する。
c) スイッチを操作し，試料セル定数を演算させ，振動式密度計に記憶させる。
2. 標準物質として，乾燥空気及び水以外の物質を用いる場合は，それらの物質の測定温度にお
ける振動周期及び密度を求め，それらの値を代入して計算する。
3. 振動式密度計の校正は，測定温度を変更したときのほか，必要に応じて標準物質の密度を測
定し実際の値との差が許容値(2)を超えたときは，校正し直す。
注(2) 試料測定上の必要精度によって異なり，例えば，必要精度が±0.000 5g/ml以内ならば許容差は，
±0.000 5g/mlとする。
a) 試料セルを洗浄し，乾燥(3)する。
注(3) 溶剤を用いて洗浄した後，アルコール，アセトンなどを流し，その後，乾燥空気を通す。
b) 試料セル内の乾燥空気の流れを止め，乾燥空気の振動周期を表示させ，表示値が乾燥したら，その値
を記録する。
c) 試料セルに水を導入(4)し，水の振動周期を表示させ，表示値が安定したら，その値を記録する。
注(4) 気泡が入らないように注意する。
d) 試料セル定数は，次の式によって算出する。
2
2
a
w
a
w
T
T
d
d
K
−
−
=
ここに，
K： 20℃における試料セル定数
4
K 1200-1 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き，本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
dw： 20℃における水の密度 (0.998 20g/ml)
da： 20℃における乾燥空気の密度 (0.001 20g/ml)
Tw： 20℃における水の振動周期
Ta： 20℃における乾燥空気の振動周期
6.3.4
測定 測定は，次のとおり行う。
a) 試料セルを洗浄し，乾燥する。
b) 試料セル内に気泡が入らないように試料を移し入れ，試料の振動周期を表示させ，表示値が安定した
ら，その値を記録する。
備考 密度演算機能をもつ振動式密度計の場合，試料密度を記録する。
6.4
計算 試料の密度 (20℃) は，次の式によって算出する。
(
)
2
2
w
s
w
T
T
K
d
D
−
+
=
ここに，
D： 20℃における試料の密度 (g/ml)
dw： 20℃における水の密度 (0.998 20g/ml)
K： 20℃における試料セル定数
Ts： 20℃における試料の振動周期
Tw： 20℃における水の振動周期（校正時に求めた値）
備考 密度演算機能をもつ振動式密度計の場合は，表示された値を試料の密度 (20℃) とする。
試料の比重 (20/20℃) は，次の式によって算出する。
(
)
()
w
d
t
d
t
t
S
=
2
/
ここに， S (t/t2)： 比重 (20/20℃)
d (t)： 20℃における試料の密度 (g/ml)
dw： 20℃における水の密度 (0.998 20g/ml)
7. 比重から密度への換算
7.1
要旨 比重瓶，密度浮ひょう又は振動式密度計を用いて測定した比重に水の密度を乗じて試料の密
度 (g/ml) を算出する。
7.2
計算 換算密度 (20℃) は，次の式によって算出し，JIS Z 8401によって丸める（比重瓶の場合は小
数点以下4けた，密度浮ひょうの場合は小数点以下3けた）。
d＝0.998 20×S
ここに，
d： 20℃における試料の換算密度 (20℃)
S： 20℃における試料の比重 (20/20℃)
0.998 20： 20℃における水の密度 (g/ml)
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K 1200-1 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き，本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書（参考） 注意事項
この附属書（参考）は，本体の規定に関連する事柄を補足するもので，規定の一部ではない。
1. 一般的注意事項
a) 水酸化ナトリウム及び水酸化ナトリウム液は，毒物及び劇物取締法によって劇物として規定されてい
るので法規に従い，取扱いには十分な注意が必要である。
b) 試料容器は，運搬に適するもので，かつ，容器の破損が起きにくい構造，材質のものとする。
c) 試料採取作業員には，あらかじめ水酸化ナトリウム及び水酸化ナトリウム液取扱い時の危険性を十分
に教育し，危険に対する注意を指示しておく。
d) 試料採取は危険を伴うから，必要な保安上の知識をもつ者によって，又はその監督下で行われなけれ
ばならない。
e) 試料採取作業に当たっては，保護眼鏡，ゴム手袋，ゴム靴，ゴム又はビニル衣などの保護具を着装す
ること。また，ミストや粉じんが飛散する所では，防じんマスクを着用する。
2. 試料採取上の注意事項
a) パイプラインから試料を採取する場合は，水酸化ナトリウム液が漏えい及び飛散するおそれがあるた
め，採取量を明確にし，かつ，流量を適切に調整できるようにしておくこと。
b) 事故の際，試料採取場所の安全を確保するため，バルブなどによる流量の調整ができるように配慮し
ておくことが望ましい。
c) 漏えいした水酸化ナトリウム液を安全に集めることのできる容器（砂，炭酸水素ナトリウムなどを一
緒に回収が可能なもの）を用意し，かつ，試料採取作業員を保護するため，水酸化ナトリウム液の飛
散を防ぐような配慮が望ましい。
d) 水酸化ナトリウム及び水酸化ナトリウム液には，爆発性及び引火性はないが，両性金属などと反応す
ると水素を発生し爆発するおそれがあるので，万一容器の破損に備え，酸，金属，爆薬，有機過酸化
物などからは離しておくことが望ましい。
6
K 1200-1 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き，本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
解説表1 ソーダ関係製品JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
（委員長）
松 野 武 雄
横浜国立大学名誉教授
（委員）
西 出 徹 雄
通商産業省基礎産業局化学課
大 嶋 清 治
通商産業省工業技術院標準部
高 橋 和 夫
通商産業省製品評価技術センター
中 村 進
物質工学工業技術研究所
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
神 代 啓
社団法人日本化学工業協会
並 木 昭
財団法人化学品検査協会
吉 田 儀 章
化成品工業協会
渡 辺 浄 光
日本石鹸洗剤工業会
堀 定 男
日本製紙連合会
佐 藤 邦 弘
日本化学工業株式会社
湯 村 崇 男
日木化学繊維協会
一 戸 正 憲
社団法人日本水道協会
橋 本 俊 夫
旭硝子株式会社
小 野 宏
旭化成工業株式会社
安 食 亮 伍
旭化成工業株式会社
西 尾 圭 司
日本曹達株式会社
片 岡 基
株式会社トクヤマ
藤 井 昇
鶴見曹達株式会社
須 永 忠 典
日本ソーダ工業会
（事務局）
三 須 武
社団法人日本化学工業協会
内 田 幹 雄
社団法人日本化学工業協会
ソーダ関連製品JIS分科会 構成表
氏名
所属
（主査）
小 野 宏
旭化成工業株式会社
橋 本 俊 夫
旭硝子株式会社
安 食 亮 伍
旭化成工業株式会社
大 津 健 治
ダイソー株式会社
新宮領 宏
鐘淵化学工業株式会社
西 尾 圭 司
日本曹達株式会社
鈴 木 邦 彦
東亜合成株式会社
片 岡 基
株式会社トクヤマ
武 居 弘 記
東ソー株式会社
藤 井 昇
鶴見曹達株式会社
（事務局）
須 永 忠 典
日本ソーダ工業会
三 須 武
社団法人日本化学工業協会
宮 越 正 行
日本ソーダ工業会