サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

K 0809:2008  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 計測範囲························································································································· 2 

5 性能······························································································································· 2 

6 性能試験························································································································· 3 

6.1 試験環境 ······················································································································ 3 

6.2 試薬 ···························································································································· 3 

6.3 校正 ···························································································································· 4 

6.4 試験方法 ······················································································································ 4 

7 試験結果の報告 ················································································································ 5 

8 表示······························································································································· 5 

9 取扱説明書 ······················································································································ 5 

附属書A(規定)実試料を用いる性能試験 ················································································ 7 

附属書B(参考)全りん自動計測器の計測原理及び構成 ······························································· 8 

K 0809:2008  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本電気計測器工業会(JEMIMA)及

び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日

本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0809:2008 

水質監視用全りん自動計測器 

Automatic total phosphorus analyzer 

適用範囲 

この規格は,水中の全りん濃度を自動計測するための全りん自動計測器(以下,計測器という。)の性能

及びその試験方法について規定する。 

注記 この規格は,計測器の性能及びその試験方法について規定するものであるが,その性能にかか

わる規定は,対象とする特定の試料の計測のために示すものであり,この規格によって適合性

評価を行うことは,意図していない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 1302 絶縁抵抗計 

JIS K 0102 工場排水試験方法 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬) 

JIS Z 8103 計測用語 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 1302,JIS K 0102,JIS K 0211,JIS K 0557,JIS K 9007

及びJIS Z 8103によるほか,次による。 

3.1 

全りん自動計測器 

自動的に採取された試料の全りん含有量を自動的に計測することができ,かつ,計測結果を自動的に記

録することができる機能をもつ計測器。 

注記 この計測器の計測原理及び構成についての一例を,参考として附属書Bに示す。 

3.2 

ゼロ校正液 

計測器の最小目盛値(ゼロ値)を校正するために用いる溶液。 

3.3 

スパン校正原液 

スパン校正液を調製するために用いる溶液。 

background image

K 0809:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.4 

スパン校正液 

計測器の最大目盛値を校正するために用いる溶液。 

3.5 

標準試料原液 

標準試料溶液を調製するために用いる溶液。 

3.6 

標準試料溶液 

標準試料原液をゼロ校正液で希釈して調製した溶液。 

3.7 

ゼロドリフト 

計測器の最小目盛値における計測値のある期間のドリフト。 

注記 この規格では最大目盛値に対する百分率で表す。 

3.8 

スパンドリフト 

計測器の最大目盛値における計測値のある期間のドリフト。 

注記 この規格では最大目盛値に対する百分率で表す。 

3.9 

指示誤差 

最大目盛値の50 %付近の濃度の標準液(スパン校正原液を用いて調製する。)を導入したときの計測値

(濃度)からその標準液の濃度値を差し引いた値。 

注記 この規格では最大目盛値に対する百分率で表す。 

計測範囲 

0〜0.5 mgP/Lから0〜10 mgP/Lの計測範囲の間とし,実試料の濃度をJIS K 0102の46.3.1(ペルオキソ

二硫酸カリウム分解法),46.3.2(硝酸-過塩素酸分解法),46.3.3(硝酸-硫酸分解法)のいずれかの方法によ

って測定して,その測定値が最大目盛値の約50 %付近となることとする。 

性能 

計測器は,6.4の性能試験を行ったとき,表1の規定に適合しなければならない。 

表1−計測器の性能 

項目 

性能 

試験方法 

繰返し性 

最大目盛値の±5 % 

6.4 a) 

ゼロドリフト 

最大目盛値の±5 % 

6.4 b) 

スパンドリフト 

最大目盛値の±5 % 

6.4 c) 

指示誤差 

最大目盛値の±5 % 

6.4 d) 

標準試料試験 

標準試料溶液濃度の±10 % 

6.4 e) 

実試料を用いる試験 

誤差率±10 % 

A.2 

電源電圧変動に対する安定性 

最大目盛値の±5 % 

6.4 g) 

絶縁抵抗 

2 MΩ以上 

6.4 h) 

耐電圧 

異常がない 

6.4 i) 

background image

K 0809:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

性能試験 

6.1 

試験環境 

試験環境は,次による。 

a) 周囲温度 5〜35 ℃の任意の温度で,試験中の変化幅は,5 ℃以内。 

b) 湿度 相対湿度は,85 %以下。 

c) 大気圧 95〜106 kPaで,試験中の変化幅は,5 kPa以内。 

d) 電源電圧 定格電圧 

e) 電源周波数 定格周波数 

f) 

暖機時間 計測器の取扱説明書に記載された時間 

6.2 

試薬 

試薬は,次による。 

6.2.1 ゼロ校正液 JIS K 0557に規定する種別A3の水で,りん化合物を含まないもの。 

6.2.2 スパン校正原液 JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウムを103〜107 ℃で約2時間加熱し,

デシケーター中で放冷する。その0.879 gをとり,少量のゼロ校正液に溶かして,全量フラスコ1 000 mL

に入れ,ゼロ校正液を標線まで加える。この溶液は,りん酸二水素カリウム200 mgP/Lを含む。 

6.2.3 スパン校正液 表2に準じ,全量フラスコを用い,スパン校正原液をゼロ校正液で希釈して必要な

スパン校正液を調製する。 

表2−スパン校正液調製表(例) 

スパン校正液 

mgP/L 

全量フラスコ 

mL 

スパン校正原液の採取量 

mL 

1.0 

1 000 

2.0 

1 000 

10 

5.0 

1 000 

25 

10 

1 000 

50 

20 

500 

50 

50 

200 

50 

100 

200 

100 

6.2.4 標準試料原液 アデノシン5´-三りん酸二ナトリウム三水和物0.65 gをゼロ校正液約300 mLに溶か

した後,フェニルりん酸二ナトリウムn水和物0.82 gを加えて溶かし,全量フラスコ1 000 mLに入れ,ゼ

ロ校正液を標線まで加える。この溶液は,りん濃度約200 mg/L(アデノシン5´-三りん酸二ナトリウム三

水和物100 mgP/L及びフェニルりん酸二ナトリウムn水和物100 mgP/L)を含む。 

調製した標準原液のりん濃度は,JIS K 0102の46.3.1によって決定する。 

6.2.5 標準試料溶液 表3に準じ,全量フラスコを用い,標準試料原液をゼロ校正液で希釈して,必要な

標準試料溶液を調製する。 

background image

K 0809:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表3−標準試料溶液調製表(例) 

標準試料溶液 

mgP/L 

全量フラスコ 

mL 

標準試料原液の採取量 

mL 

1.0 

1 000 

2.0 

1 000 

10 

5.0 

1 000 

25 

10 

1 000 

50 

20 

500 

50 

50 

200 

50 

100 

200 

100 

6.3 

校正 

ゼロ校正液及び表2に示すスパン校正液を用い,計測器の取扱説明書に従ってゼロ校正及びスパン校正

を行う。 

6.4 

試験方法 

性能試験は,6.1の試験環境で,次のa)〜i) によって行う。ただし,a)〜g) の試験は6.3の校正を行っ

た後行う。 

a) 繰返し性 ゼロ校正液を3回計測して各指示値を読み取り,ゼロ指示値とする。次いでスパン校正に

用いたスパン校正液を3回計測し,指示値を読み取り,スパン指示値とする。ゼロ指示値,スパン指

示値の各々の平均値を算出し,その平均値に対する各ゼロ指示値及び各スパン指示値の差の最大目盛

値に対する百分率を求める。 

b) ゼロドリフト ゼロ校正液を用いて,24時間連続測定を行う。この間におけるゼロ指示値の初期値か

らの最大変動幅を求め,最大目盛値に対する百分率を求める。この試験では,ゼロ値を,ゼロ目盛に

代えて最大目盛値の5 %程度の値の目盛に設定して行ってもよい。 

c) スパンドリフト ゼロドリフト試験において,試験開始時,試験終了時(24時間後)及びその中間の

時間(試験開始時及び試験終了時から4時間以上離す。)にゼロ校正液に代えてスパン校正液を導入し,

スパン指示値を記録する。中間及び終了時のスパン指示値のうち,試験開始時の指示値からの大きい

変動幅について最大目盛値に対する百分率を求める。 

なお,試験にゼロドリフトの変動の影響が見られるときは,スパン指示値からその変動分を補正す

る。 

d) 指示誤差 最大目盛値の50 %付近の濃度の標準液(スパン校正原液を用いて調製する。)を計測器に

導入して,指示値を記録する。この指示値から導入した標準液の濃度値を差し引いた値の最大目盛値

に対する百分率を求める。 

e) 標準試料試験 最大目盛値の50 %付近の濃度の標準試料溶液を計測器に導入して,指示値を記録す

る。この操作を3回行い,指示値の平均値を求める。この平均値から導入した標準試料溶液の濃度値

を差し引いた値の標準試料溶液濃度に対する百分率を求める。 

f) 

実試料を用いる試験 附属書Aによる。 

g) 電源電圧変動に対する安定性 電源電圧を定格電圧にしてスパン校正液を用いて計測を行い,指示値

が安定したときの値をAとする。次に電源電圧を定格電圧の+10 %に変化させ,指示値が安定した

ときの値をBとする。さらに,電源電圧を定格の−10 %に変化させ,指示値が安定したときの値をC

とする。B−A,及びC−Aの値の最大目盛値に対する百分率を求める。 

K 0809:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

h) 絶縁抵抗 計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱(接地端子)との間の絶縁抵抗を,

JIS C 1302に規定する直流500 V 絶縁抵抗計で測定する。 

i) 

耐電圧 計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱(接地端子)との間に定格周波数の交

流1 000 Vを1分間加えて,異常の有無を調べる。 

試験結果の報告 

試験結果の報告書には,性能試験結果及び次の事項を含める。 

a) この規格の番号 

b) 計測器の名称並びに製造業者が指定する形式,製造番号及び製造年月 

c) 計測方式(附属書B参照) 

d) 試験環境 

6.1のa)〜f) 

e) 試験で設定した計測範囲 

f) 

試験に用いた標準試料溶液の濃度 

g) 試験に用いた実試料の種類(業種,状態など)及び濃度 

JIS K 0102の46.3.1,46.3.2,46.3.3のいずれかによって測定した濃度の平均値。 

h) 試験年月日,試験者名及び試験場所 

i) 

その他特記すべき事項 

表示 

計測器には,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。 

a) 名称及び製造業者が指定する形式 

b) 計測方式(附属書B参照) 

c) 測定対象成分 

d) 測定濃度範囲 

e) 使用温度範囲 

f) 

定格電圧,定格周波数及び容量 

g) 製造業者名又はその略号 

h) 製造年月 

i) 

製造番号 

これらの表示は,1か所にまとめて表示しなくてもよい。 

取扱説明書 

取扱説明書には,少なくとも次の事項を記載しなければならない。 

a) 設置場所に関する注意事項 

b) 試料流量 

c) 配管及び配線 

d) 暖機時間 

e) 使用方法 

1) 計測の準備及び校正 

K 0809:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 試薬の調製方法(試薬の調製が必要の場合) 

3) 計測操作 

4) 計測停止時の処置 

f) 

排出液の取扱い 

g) 保守点検 

1) 日常点検 

2) 定期点検の指針 

3) 故障時の対策 

background image

K 0809:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(規定) 

実試料を用いる性能試験 

序文 

この附属書は,実際の試料を用いて行う性能試験について規定する。 

A.1 性能 

計測器は,計測対象とする実際の試料を用いて性能試験を行ったとき,表A.1の規定に適合しなければ

ならない。 

表A.1−計測器の性能 

性能 

試験での実試料の濃度条件 

試験方法 

誤差率±10 % 

最大目盛値の50 %付近 

A.2 

A.2 試験方法 

実試料の全りん濃度について,計測器による計測及びJIS K 0102の46.3.1,46.3.2,46.3.3のいずれかの

方法による測定を各々3回以上行い,JIS K 0102の46.3.1,46.3.2,46.3.3のいずれかによる測定値の平均

値に対する計測器による計測値の平均値の差を求め,JIS K 0102の46.3.1,46.3.2,46.3.3のいずれかによ

る測定値の平均値に対する百分率(誤差率)を求める。 

注記 実試料とは,本計測器を適用して測定しようとする水であり,例えば,測定によって監視され

るべき公共用水域へ工場及び事業場から排出される水をいう。本計測器の性能は実試料ごとに

調整されるものとする。 

background image

K 0809:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

全りん自動計測器の計測原理及び構成 

序文 

この附属書は,全りん自動計測器の計測原理及び構成について記載するものであって,規定の一部では

ない。 

B.1 

計測原理 

計測原理としてモリブデン青吸光光度方式があり,その概要を次に示す。 

試料分解部で試料に酸化剤1) を添加し,加熱又は紫外線照射を行うことで,試料に含まれるりん化合物

を分解してりん酸イオンとし,続いて,モリブデン酸塩,アスコルビン酸などを添加してモリブデン青2)

を生成させ,測定部で吸光度を測定して全りん濃度を測定する方法である。 

注1) 酸化剤として空気を用いる方法もある。 

2) アスコルビン酸を添加せず,電気的に還元して,そのときの電流値によって全りん濃度を測定

する方法もある。 

B.2 

構成 

計測器の構成は,図B.1による。 

試料 

試料 

導入口 

試料 

分解部 

測定部 

指示・記録 

外部入出力部 

図B.1−全りん自動計測器の構成