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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0807 : 1997 

水質監視用紫外線吸光度自動計測器 

Ultraviolet photometer for monitoring of water pollution 

1. 適用範囲 この規格は,工場,事業場などからの排出水及び河川・湖沼などの公共用水域の水の汚濁

の程度を,紫外線の吸光度から評価するための水質監視用の自動計測器(以下,計測器という。)について

規定する。 

備考1. 測定値はCODMnと相関づけられて水質総量規制に係る水質汚濁負荷量の算出等に用いられ

る。 

2. この規格の引用規格を付表1に示す。 

2. 共通事項 共通事項は,JIS K 0050及びJIS K 0115による。 

3. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の意味は,JIS K 0211,JIS K 0212及びJIS K 0215によるほ

か,次のとおりとする。 

(1) 有機汚濁 次のスペクトル線253.7nmの光を吸収する物質による水の汚染。 

(2) 試料 工場,事業場などからの排出水及び河川,湖沼などの水。 

(3) 10mmセル換算吸光度 セル長Lmmの計測器で得られた見掛けの吸光度をAsとしたとき,As×10/L

で表される値。 

(4) 校正液 試料中の汚濁と同等の指示値を得るように調製した校正液で,次のものがある。 

(a) ゼロ校正液 

(b) スパン校正液 

(5) ゼロドリフト 計測器の最小目盛に対する指示値のある期間内の変動。 

(6) スパンドリフト 計測器の目盛スパンに対応する指示値のある期間内の変動。 

4. 種類及び測定範囲 計測器の種類及び測定範囲は,次のとおりとする。 

(1) 種類 

(a) 浸せき形(潜せき形) 試料に直接検出部を浸して測定する構造のもの。 

(b) 流液形(流通形) 試料を検出部に導入して流しながら測定する構造のもの。 

(2) 測定範囲 測定範囲(以下,レンジという。)は,10mmセル換算吸光度で表し,0〜0.2から0〜2.5

の間で適当なものを選ぶ。 

5. 定格電圧及び定格周波数 計測器の定格電圧は,単相交流100V,定格周波数は50Hz専用,60Hz専

用又は50Hz及び60Hz共用とする。 

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K 0807 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6. 性能 計測器の性能は,8.による試験を行ったとき,表1を満足しなければならない。 

表1 計測器の性能 

項目 

性能 

試験方法 

繰返し性 

最大目盛の±2% 

8.4(1) 

ゼロドリフト 

最大目盛の±2% 

8.4(2) 

スパンドリフト 

最大目盛の±2% 

8.4(3) 

直線性 

最大目盛の±5% 

8.4(4) 

電圧変動に対する安定性 

最大目盛の±2% 

8.4(5) 

絶縁抵抗 

2MΩ以上 

8.4(6) 

耐電圧 

異常がないこと 

8.4(7) 

7. 構造 

7.1 

構造一般 計測器の構造は,次の各項目に適合しなければならない。 

(1) 形状が正しく,組立及び各部の仕上がりが良好で,堅ろうであること。 

(2) 通常の運転状態で危険の生じるおそれがなく,安全で円滑に作動すること。 

(3) 各部は,容易に機械的・電気的故障を起こさず,危険を生じない構造であること。 

(4) 水ぬれ,水はね,結露などによって計測器の作動に支障が生じない構造であること。 

(5) ヒータなどの発熱部に接する部分は,熱による変形及び機能の変化を起こさない構造であること。 

(6) 保守,点検の際,作業しやすく,危険のない構造であること。 

7.2 

構成 計測器は,検出部及び指示記録外部出力部で構成する。構成例を図1に示す。 

図1 計測器の構成例 

7.2.1 

検出部 試料の紫外線吸光度を測定し電気信号を指示記録外部出力部に供給するもので,光源,測

定セル,測光部,増幅器などで構成する。 

(1) 光源 試料の253.7nmにおける吸光度の測定をするため測定セルに照射するためのものであり,低圧

水銀ランプなどの光源ランプと光源ランプ点灯用電源装置とで構成するもの。 

(2) 測定セル 一定の光路長の空間(セル)に試料を導き,光源からの光を透過させるもの。 

(3) 測光部 測定セルを透過した光を受光素子(1)で検出し,吸光度の測定をするよう構成するもの。 

必要に応じて,レンズや光学フィルタなどを組み合わせる。 

注(1) 受光素子として,主としてフォトダイオードを用いる。 

(4) 増幅器 受光素子からの電気信号を増幅するもの。 

7.2.2 

指示記録外部出力部 紫外線吸光度(10mmセル換算吸光度又はその比例値)を等分目盛で指示,

記録又は外部出力する機能をもつもの。 

7.2.3 

付属装置 

(1) 自動採水装置 試料を自動的にくみ上げ,一定の流速で測定セルに供給するもの。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) セル洗浄装置 測定セルを自動的に洗浄するもの。 

(3) COD換算装置 紫外線の吸光度を換算式によってCODMn換算値にするもの。 

8. 性能試験 次のとおりとする。 

8.1 

試験条件 試験条件は,次のとおりとする。 

(a) 周囲温度 5〜35℃の間の任意の温度で,変化幅は±5℃ 

(b) 湿度 相対湿度85%以下 

(c) 大気圧 95〜106kPaの圧力で,変化幅は5%以下 

(d) 電源電圧 定格電圧 

(e) 電源周波数 定格周波数 

(f) 暖機時間 取扱説明書に記載された時間 

8.2 

試薬 試薬は,次によって調製したものとする。 

(1) 水 JIS K 0102の17.(1)(a)の水。 

(2) ゼロ校正液 (1)の水を用いる。 

(3) スパン校正原液 JIS K 8809に規定するフタル酸水素カリウムを120℃で1時間乾燥し,デジケータ

中で放冷し,その1.000gを量り採り,水に溶かして全量フラスコ1 000mlに入れ,水を標線まで加え

る。 

(4) スパン校正液 スパン校正原液を表2に示す倍数に希釈する。 

スパン校正液のそれぞれの濃度に対応する波長253.7nmの紫外線に対する吸光度の温度25 ℃にお

ける値は,表2に示す値とする。 

表2 スパン校正液濃度及び吸光度 

スパン校正液濃度 

スパン校正液原液の希釈倍率 

25℃における10mmセル換算吸光度(2) 

200 mg/l 

 5 

1.74 

100 mg/l 

10 

0.87 

50 mg/l 

20 

0.44 

(25 mg/l) (3) 

(40) 

(0.22) 

注(2) 光路長が10mmでない計測器では,この値にセル長 (mm) /10を乗じたものとする。 

なお,校正液の吸光度の温度特性は,5〜30℃の温度範囲において, (4.5×10−3) /℃

である。 

(3) スパン中間点試験液 

(5) スパン中間点試験液 スパン校正に使用したスパン校正液の1/2濃度のスパン校正液をスパン中間点

試験液として使用する。 

備考 スパン校正液及びスパン中間点試験液に代えて,波長253.7nmの吸光度を確認した校正用光学

フィルタ又はそれによって確認した光学フィルタを使用してもよい。 

8.3 

試験準備及び校正 試験準備及び校正は,次のとおりとする。 

8.3.1 

暖機運転 計測器は,電源投入後,取扱説明書に示す暖機時間まで暖機運転を行い,各部の機能及

び指示記録部を安定させる。 

8.3.2 

校正 計測器の取扱説明書の校正方法によって,8.2(2)及び(4)の校正液を用いて,計測器のゼロ校

正及びスパン校正を行う。 

8.4 

性能試験方法 試験方法は,次のとおりとする。 

(1) 繰返し性 ゼロ校正液を測定し,指示が安定したことを確認した後,ゼロ値を読み取る。同じ条件で

K 0807 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

スパン校正液を測定し,指示が安定したことを確認した後,スパン値を読み取る。この操作を同一条

件で3回繰り返し,ゼロ値及びスパン値を読み取る。ゼロ値及びスパン値のそれぞれの平均値を算出

し,各測定値と平均値との差の最大目盛値に対する百分率を求める。 

(2) ゼロドリフト ゼロ校正液を用いて,24時間連続測定を行う。この間におけるゼロ値の初期の値から

最大の変動幅を求め,最大目盛値に対する百分率を求める。この試験においては,ゼロ点を最大目盛

値の5%程度に設定してもよい。 

(3) スパンドリフト スパン校正液を用い,ゼロドリフト試験の前後に各々3回測定を行い,その平均値

を求める。初期の値からの変動幅をゼロドリフトの分を除いて算出し,最大目盛値に対する百分率を

求める。 

(4) 直線性 ゼロ校正及びスパン校正を行った後,スパン中間点試験液を測定し指示が安定したことを確

認して,指示値を読み取る。読み取った指示値と,スパン中間点試験液の吸光度との差を最大目盛値

に対する百分率で求める。 

(5) 電圧変動に対する安定性 スパン校正液を測定し,指示が安定していることを確認し,その値をAと

する。次に電源電圧を定格電圧の±10%の電圧に徐々に変化させる。指示が安定したとき,その値を

Bとする。次に定格電圧の−10%の電圧を徐々に変化させ,指示が安定したとき,その値をCとする。

B−A,C−Aの値を最大目盛値に対する百分率として表す。 

(6) 絶縁抵抗 計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱(接地端子)との間の抵抗をJIS C 

1302に規定する直流500V絶縁抵抗計で測定する。 

(7) 耐電圧 計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱(接地端子)との間に,定格周波数の

交流電圧1 000Vを1分間加え,異常の有無を調べる。 

備考 (4)以外はその計測器の最小目盛範囲における試験結果をもって各レンジごとの性能としても

よい。(6),(7)の試験において,電源回路に避雷器,ノイズフィルタなどがある場合には,これ

らを回路から除いて試験を行う。 

9. 表示 計測器には,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 名称及び製造業者が指定する形名 

(2) 測定対象 

(3) 測定範囲 

(4) 使用温度範囲 

(5) 電源種別及び容量 

(6) 製造業者名又はその略号 

(7) 製造年月 

(8) 製造番号 

備考 これらの表示は一箇所にまとめて表示しなくてもよい。 

10. 取扱説明書 取扱説明書には,少なくとも次の事項を記載しなければならない。 

(1) 設置場所 

(2) 試料の前処理方法 

(3) 試料流量 

(4) 配管及び配線 

K 0807 : 1997  

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(5) 暖機時間 

(6) 使用方法 

(a) 測定の準備 

(b) 校正方法 

(c) 測定操作 

(d) 測定停止時の処置 

(7) 保守点検 

(a) 日常点検の指針 

(b) 定期点検の指針 

(c) 流路系の清掃 

(d) 故障時の対策 

付表1 

引用規格 

JIS C 1302 絶縁抵抗計 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0102 工場排水試験方法 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0212 分析化学用語(光学部門) 

JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門) 

JIS K 8809 フタル酸水素カリウム(試薬) 

K 0807 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

環境・リサイクル部会 水質企画専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

並 木   博 

横浜国立大学名誉教授 

梅 崎 芳 美 

社団法人産業環境管理協会 

川 瀬   晃 

セイコー電子工業株式会社 

坂 本   勉 

財団法人日本規格協会 

佐 藤 寿 邦 

横浜国立大学 

田 尾 博 明 

工業技術院資源環境技術総合研究所 

土 屋 悦 輝 

東京都立衛生研究所 

西 出 徹 雄 

工業技術院標準部消費生活規格課 

野 原 和 夫 

財団法人化学品検査協会 

畑 野   浩 

環境庁水質保全局 

日 野 隆 信 

干葉県衛生研究所 

藤 冨 正 晴 

通商産業省環境立地局 

本 郷 秀 昭 

社団法人日本工業用水協会 

(事務局) 

岡 本 康 男 

工業技術院標準部消費生活規格課 

橋 田 安 弘 

工業技術院標準部消費生活規格課 

JIS K 0807 水質監視用紫外線吸光度自動計測器 

改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

鈴 木 繁 喬 

東京都立大学名誉教授 

岡 林 哲 夫 

工業技術院標準部 

飯 島   孝 

環境庁水質保全局 

藤 冨 正 晴 

通商産業省環境立地局 

池 谷 浩乃助 

通商産業省機械情報産業局 

梅 崎 芳 美 

社団法人産業環境管理協会 

内 山   甫 

財団法人日本品質保証機構 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

有 賀 喜 一 

社団法人日本環境技術協会 

木 村   康 

社団法人日本鉄鋼連盟 

世 良   昇 

社団法人日本環境測定分析協会 

菅 原 継 好 

社団法人日本下水道協会 

下 山   修 

石油連盟 

泉 川 硯 雄 

東京都環境科学研究所 

吉 成 晴 彦 

千葉県環境研究所 

森   正 樹 

電気化学計器株式会社 

福 嶋 良 助 

株式会社堀場製作所 

森 田 洋 造 

株式会社島津製作所 

山 田 浩 司 

東亜電波工業株式会社 

吉 廣 真 一 

株式会社アナテック・ヤナコ 

竹 居 昭 一 

安藤電気株式会社 

宮 川 清 孝 

社団法人日本分析機器工業会 

若曽根 和 之 

社団法人日本電気計測器工業会 

(事務局) 

宮 崎 勝 朗 

社団法人日本電気計測器工業会 

安 達 亮 司 

社団法人日本電気計測器工業会