2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 0554-1995
超純水中の微粒子測定方法
Testing methods for concentration of
fine particles in highly purified water
1. 適用範囲 この規格は,超純水の微粒子の測定方法について規定する。
備考1. この方法は,超純水以外の水に含まれる微粒子の測定方法としても適用できる。
2. この規格の引用規格を,付表1に示す。
2. 共通事項 共通事項は,JIS K 0050,JIS K 0094,JIS K 0101,JIS K 0211及びJIS Z 8122による。
備考 試薬は,該当する日本工業規格がある場合には,その種類の最上級又は適切な用途のものを用
い,該当する日本工業規格がない場合には,試験に支障のないものを用いる。
3. 測定方法の種類 測定方法の種類は,光学顕微鏡による測定方法,走査形電子顕微鏡による測定方法
及び微粒子自動計測器による測定方法の3種類とする(1)。
注(1) 測定方法の種類によっては,測定結果が異なることがある。
4. 微粒子の捕集 光学顕微鏡による測定方法及び走査形電子顕微鏡による測定方法の場合は,微粒子捕
集装置を用いて,試料採取弁から一定量の試料をろ過して,ろ過膜上に微粒子を捕集する。
また,微粒子自動計測器による測定方法の場合は,試料導入管を直接計測器に接続して試料を導入する。
4.1
試薬 試薬は,次のものを用いる。
(1) 水 蒸留水又はイオン交換水を孔径0.2μm以下のろ過膜(2)でろ過したもの。この測定に用いる試薬の
調製及び操作には,この水を用いる。
(2) 過酸化水素水 (30g/l) JIS K 8230に規定する過酸化水素を水で10倍に薄める。
注(2) ろ過膜の孔径は,測定の対象となる粒径よりも小さいものを用いる。
また,このろ過膜の代わりに限外ろ過膜又は逆浸透膜のいずれかを用いてろ過してもよい。
4.2
器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(1) 微粒子捕集装置 試料中の微粒子を捕集する装置で次のものからなる。その構成の一例を図1に示す。
(a) 試料採取弁 試料採取弁は,ステンレス鋼製,合成樹脂製などの耐食性の材質のものを用い,配管
内に分岐管を設けてその先端に取り付ける。試料採取弁の先端には,試料導入管が装着できるノズ
ルを取り付けておく。
(b) 接続具 接続具は,ステンレス鋼製,合成樹脂製などの耐食性の材質のものを用い,試料採取弁の
ノズルに試料導入管を取り付けるのに用いる。
(c) 試料導入管 合成樹脂製(例えば,軟質塩化ビニル製又は四ふっ化エチレン樹脂製)又はステンレ
2
K 0554-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ス鋼製のもの。
(d) ろ過器 分離形の合成樹脂製又はステンレス鋼製のもので(3),直径13〜25mmのろ過膜が装着でき,
試料導入管が接続できるもの。
(e) ろ過膜 微粒子捕集用のろ過膜は,孔径0.2μm(4)以下のもので直径13〜25mm(5)のもの。
(2) 注射筒 容量10mlのもの。
(3) ピンセット ピンセットは,ろ過膜を傷つけるおそれがない先端が平らのもの。
(4) 超音波洗浄器 ろ過器及び注射筒などが洗浄できるもの(6)。
(5) クリーンベンチ JIS B 9922に規定する清浄度クラス3より清浄な環境(作業空間)が得られるもの,
又はこれと同等の性能をもつクリーンルームを用いてもよい。
注(3) ろ過膜の直径に合ったものを用いる。
(4) ろ過膜の孔径は,測定の対象となる粒径以下のものを用いる。
(5) 必要に応じて直径25mm以上のろ過膜を用いてもよい。
(6) 周波数25〜50kHzのものが一般に市販されている。
図1 微粒子の捕集装置の構成例
4.3
器具類の洗浄 ろ過器,注射筒などは,使用の直前にクリーンベンチ内で,次の順序に従って洗浄
する。
(1) 柔らかいブラシと界面活性剤を用いて付着している微粒子を除去する。
(2) 水で十分にすすぎ洗いする。
(3) 超音波洗浄器の洗浄槽に入れ,完全に水に浸るようにし,約15分間超音波洗浄する。
(4) 水ですすぎ洗いする。
(5) 水分を自然蒸発させる。
4.4
操作 操作は,次のとおり行う。
(1) 試料採取弁を閉じ,試料採取弁のノズルの内外を過酸化水素水 (30g/l) でよく洗った後,試料導入管
を取り付け,5l/min以上で約5分間(7)放流する。
3
K 0554-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(2) 微粒子を捕集しやすい流量(8)に試料採取弁を調節して,約30分間以上放流する。
(3) 試料導入管の先端にろ過膜を装着(9)したろ過器を取り付け(9),試料を流してろ過器内の空気を除去す
る(10)。
(4) 一定量(11)(12)の試料をろ過する。
(5) ろ過が終了したら,ろ過器を取り外す(9)。
(6) クリーンベンチ内でろ過器に残留している試料を出口側から注射筒,アスピレーターなどで吸引して
(13)抜き取った後,直ちに試験に供する。直ちに試験ができない場合には,1〜5℃の暗所にろ過膜をろ
過器に装着したまま保存する(14)。
(7) 別に空試験として,(1)〜(6)の操作を行う。ただし,測定のためにろ過した試料の体積の5〜10%に相
当する試料(15)をろ過する。
注(7) 主管路から試料採取弁までの距離が長い場合には,主管路から試料採取弁までの滞留水が完全
に置換されるまで放流してから,引き続き約5分間放流する。試料の流量が5l/min以上にならな
い場合には,試料採取弁を全開して25l以上を流出させる。
常時約1l/minの割合で試料採取弁から試料を流出しておくことが望ましい。
(8) 配管の圧力と微粒子の捕集に用いるろ過膜の孔径によって流出量が異なるので,あらかじめろ
過器にろ過膜を装着して流出量を確認しておくとよい。
(9) クリーンベンチ内又は移動形のクリーンベンチ内でピンセットを用いてろ過器にろ過膜を装着
する。
また,ろ過膜を装着したろ過器は移動式のクリーンベンチ内(又はクリーンブロアを作動さ
せる。)で操作する。
(10) ろ過器の出口を上に向けるなど適当な方法で除去する。
また,ろ過器を取り付けた後は,管路の急激な圧力変動が生じないように流量に注意する。
(11) 直径25mm[有効ろ過面積約280mm2(ろ過器によって異なる。)]のろ過膜を使用する場合の試
料のろ過量の目安を表1に示す。ろ過量は,予想微粒子数に比例して増加させる。
表1 試料のろ過量の目安
子想微粒子数
(個/l)
試料のろ過量 (l)
光学顕微鏡の場合 走査形電子顕微鏡の場合
100 001以上
0.5 未満
5未満
50 001〜100 000
0.5 以上 1
未満
5以上 10未満
10 000〜 50 000
1
以上 5
未満
10以上 50未満
10 000未満 5
以上
50以上
(12) ろ液をメスシリンダー1 000ml又は2 000mlに受けて,その体積を測定して試料の体積とするか,
又は質量既知の試料容器にろ液を受け,ろ過が終了したときの試料容器の質量を1gの単位まで
測定し試料の体積を求める。
また,ろ過量が極めて多量になる場合には,適当な流量計(測定精度±10%)を接続して,
試料の体積を求める。
なお,この場合,管路内の水圧及び水温が一定で,ろ過開始時とろ過終了時のろ過流量の変
動が10%以内のときは,ろ過水の流量と所要時間とから積算ろ過水量を求めて試料の体積とし
てもよい。
(13) クリーンベンチを使用しない場合にはろ過器の入口側に0.2μmの微粒子を除去できるエアフィ
4
K 0554-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ルターを取り付けてから吸引する。
(14) ろ過器の入口側及び出口側に専用のキャップ,又は0.2μmの微粒子を除去できるエアフィルタ
ーを取り付けるなどして汚染を防ぐ。
(15) 測定に試料20l以上をろ過した場合には,空試験として1〜2lをろ過する。
また,試料の微粒子数が50 000個/l以上の場合には,試料をろ過せずにろ過膜だけの空試
験を行ってもよい。
備考1. 捕集装置を用いて微粒子をろ過膜に直接捕集できない場合又は微粒子数が多いと予想される
場合,管路から採取するには次のように操作する。
4.4(1)の操作を行った後,試料採取弁のノズルに試料導入管(あらかじめ管の内外を十分に
洗浄したもの。)を取り付け,試料の流量を約1l/minに調節して約15分間放流する。
試料容器 (500〜1 000ml) [4.1(1)の水で十分に洗浄した後エタノール (80vol%) を試料容
器の容量の約2%になるように加えて密栓したもの。]中のエタノールを捨てた後,試料容器
の底面に試料導入管の先端が接するようにして,試料容器の容量の約10倍量に相当する試料
を流出させた後(この操作は移動式のクリーンベンチ内で行うことが望ましい。),試料導入
管を抜き出し,栓をよく洗浄した後密栓する。これを微粒子測定用の試料とする。
クリーンベンチ内で,あらかじめ洗浄した分離形のろ過装置[JIS K 0101の16.1(1)(a)参照。]
にろ過膜を取り付け,微粒子測定用試料を吸引ろ過して微粒子をろ過膜に捕集する,又は加
圧形ろ過装置にろ過膜を取り付け加圧ろ過して微粒子をろ過膜に捕集する。
別に空試験として,測定のためにろ過した微粒子測定用の試料の体積の5〜10%に相当す
る微粒子測定用試料をろ過する。
なお,エタノール (80vol%) はJIS K 8102に規定するエタノール (95) 80mlを4.1(1)の水で
100mlとし,耐有機溶媒性の孔径0.2μm以下のろ過膜でろ過したものを用いる。
2. 試料が容器に入れられている場合には,次のように操作する。
試料容器 (500〜1 000ml) [4.1(1)の水で十分に洗浄した後,エタノール (80vol%) を試料
容器の容量の約2%になるように加えたもの。]中のエタノールを捨てた後,試料導入管(あ
らかじめ管の内外を水で十分に洗浄したもの。)をサイホンとして容器から試料を流出させ,
試料導入管を試料容器に挿入して試料容器の容量の約5倍量に相当する試料を流出させた後,
試料導入管を取り出し,栓を十分に洗浄した後密栓する。以下,備考1.と同様に操作してろ
過膜に微粒子を捕集する。
また,容器の容量(5l未満)が少ないときは,クリーンベンチ内でこの容器から直接備考
1.と同様に操作してろ過膜に微粒子を捕集する。
5. 光学顕微鏡による測定 ろ過膜に捕集した微粒子を光学顕微鏡を用いて,微粒子の大きさ及びその数
を計数する。この方法は,粒径0.2〜10μmの微粒子に適用する。
5.1
試薬 試薬は,次のものを用いる。
(1) 水 4.(1)による。
(2) 液浸油 JIS K 2400に規定するもの。
(3) フクシン(酸性)溶液 (2g/l) フクシン(酸性)0.20gを水に溶かして100mlとし,JIS R 3503に規
定するガラスろ過器3G1でろ過する。
(4) メチレンブルー溶液 (0.2g/l) JIS K 8897に規定するメチレンブルー20mgを水に溶かして100mlと
5
K 0554-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
する。
(5) フクシン−メチレンブルー染色液 フクシン−フェノール溶液(16)8mlとアルカリ性メチレンブルー溶
液(17)10ml及び水10mlとをよくかき混ぜる。
注(16) フクシン−フェノール溶液 塩基性フクシン溶液[JIS K 8804に規定するフクシン(塩基性)
11gをJIS K 8102に規定するエタノール (95) 100mlに溶かす。]10mlと,フェノール溶液 (5g/l)
(JIS K 8798に規定するフェノール5gを水に溶かして100mlとする。)100mlとをよくかき混ぜ
た後,ガラスろ過器1G4でろ過する。
(17) アルカリ性メチレンブルー溶液 メチレンブルー溶液[JIS K 8897に規定するメチレンブルー
5gをJIS K 8102に規定するエタノール (95) 100mlに溶かす。]30mlと,水酸化カリウム溶液
(0.1g/l) (JIS K 8574に規定する水酸化カリウム1gを水に溶かして100mlとし,その5mlをと
り,水で500mlとする。)100mlとをよくかき混ぜた後,ガラスろ過器1G4でろ過する。
5.2
器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(1) スライドガラス JIS R 3703に規定するもので,品質2種以上で標準形 (76×26mm) を用いる。
(2) カバーガラス JIS R 3702に規定する品種1種のもの。
(3) ペトリ皿 JIS R 3503に規定する内径90mm,高さ15mmのもの,又はJIS K 0950に規定する90Bの
もの。
(4) ろ紙 JIS P 3801に規定する5種Bの直径70mmのものを用いる。
(5) ピンセット 4.2(3)による。
(6) 光学顕微鏡及びその附属品 光学顕微鏡は,0.2μmの粒子を測定できるもので,次のものからなる。
(a) 光学顕微鏡 JIS B 7132に規定するもの。
(b) 対物レンズ JIS B 7147に規定する液浸対物レンズ。呼び倍率100のもの。
(c) 接眼レンズ JIS B 7148に規定する呼び倍率15〜20のもの。
(d) 接眼レンズミクロメータ JIS B 7149に規定したもの。
(e) 対物ミクロメータ JIS B 7152の3.1(2)に規定する一目盛の間隔が0.01mm,全長1mmのミクロメ
ータ目盛をもつもので,JIS R 3702に規定するカバーガラスNo.1−S及びJIS R 3703に規定するス
ライドガラス1種,標準形を用いたもの。
(7) 計数器 計数器は,手動で微粒子数が計数できるもの。
(8) 超音波洗浄器 4.2(4)による。
(9) クリーンベンチ 4.2(5)による。
5.3
器具類の洗浄 スライドガラス,カバーガラス,ペトリ皿,ピンセットなどは4.3に従って洗浄する。
5.4
プレパラートの調製 この操作は,クリーンベンチ内で行う。
(1) ペトリ皿にろ紙を置き,4.4の操作を行ったろ過器からピンセットでろ過膜を取り出し,捕集面を上に
してろ紙上に置き,自然乾燥させる。
(2) 乾燥後,ペトリ皿にフクシン−メチレンブルー染色液約5mlを入れ,ろ紙を浸す(18)。そのろ紙上に捕
集面を上にしてろ過膜を置き,約6分間放置し,ろ過膜上の微粒子を染色する。
(3) ペトリ皿に水約5mlを入れ,ろ紙を浸す。そのろ紙上に捕集面を上にしてろ過膜を置き,過剰の染色
液を除去する。
(4) 捕集面を上にしてろ過膜を別のろ紙上に置き,自然乾燥する。
(5) スライドガラスに液浸油2〜3滴を滴加し,その上にろ過膜の捕集面を上にして置く。さらに,液浸油
をろ過膜上に均一になるように滴加し,カバーガラスをかぶせる。
6
K 0554-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(6) 4.4(7)の操作を行った空試験用のろ過膜について(1)〜(5)の操作を行う。
注(18) ろ過膜の染色にフクシン(酸性)溶液 (2g/l) を用いて,次のように操作してもよい。
ペトリ皿に硝酸 (1+5) 約5mlを入れ,ろ紙を浸す。そのろ紙上に捕集面を上にしてろ過膜
を約2分間浸す。ろ紙で硝酸 (1+5) をふき取り,フクシン(酸性)溶液 (2g/l) 約5mlを入れ
たペトリ皿にろ紙を浸し,その上に捕集面を上にしてろ過膜をおき,3〜5分間放置してろ過膜
上の微粒子を染色する。
引き続いてメチレンブルー溶液 (0.2g/l) 約5mlを入れたペトリ皿にろ紙を浸し,その上に捕
集面を上にしてろ過膜を60〜90秒間浸した後,裏面に残留しているメチレンブルー溶液をろ紙
でふき取り,以下(4)以降の操作を行う。
5.5
測定 測定は,次による。
(1) 5.4の操作を行って調製したプレパラートを顕微鏡のステージ上に置く。この際,スライドガラスの長
辺を可動ステージの座標軸と一致させる。
(2) 倍率を1 500倍又は2 000倍とし,ろ過膜の最上部の左端から右端へ(右端から左端へ)視野を移動さ
せてろ過膜の右端まで検鏡する。次に,視野を下方に移し右端から左端(左端から右端)まで検鏡す
る(19)。この操作をろ過膜の最下部まで繰り返して行い,ろ過膜の有効ろ過面積(20)の全域を含むよう
に検鏡し,各視野ごとに粒径0.2μm以上の微粒子の大きさとその数を計数し(21),合計する。
なお,視野数は,ろ過膜の有効ろ過面積に対し視野面積(22)の合計値(面積測定率)が0.1%(23)(24)
以上になる値とする。
(3) 5.4(6)の操作を行った空試験用のろ過膜について(1)及び(2)の操作を行って,試料についての場合と同
じ視野数について微粒子数を計数し,空試験値を求める(25)。
(4) 次の式によって試料中の微粒子数を,試料1lの個数として算出する。
1000
×
−
×
−
=
b
s
b
b
s
s
V
V
a
A
n
N
n
N
N
ここに,
N: 試料中の微粒子数(個/l)
Ns: 測定した全微粒子数(個)
Nb: 空試験で求めた微粒子数(個)
ns: 測定した視野数
nb: 空試験での視野数
A: 有効ろ過面積 (mm2)
a: 一視野の面積 (mm2)
Vs: 試料 (ml)
Vb: 空試験に用いた試料 (ml)
注(19) 検鏡時の視野を接眼レンズミクロメータの目盛幅と視野の移動距離から求め,この視野内の微
粒子を計算する場合には,視野領域を上下に移動させて,微粒子が接眼レンズミクロメータの
目盛を通過する際に行う。
また,この場合には,視野領域の境界にかかった粒子については,視野領域の右辺及び下辺
にかかった粒子は計数しない。
(20) ろ過膜の有効ろ過面積は,使用するろ過器のろ過部の内径から求める。ろ過器に表示してある
ものもある。
(21) 微粒子の計数は,次の要領で行う。
(a) 凝集したものは塊で1個とする。
7
K 0554-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(b) 連鎖状の微粒子は一つの連鎖で1個とする。
(c) 微粒子に異なる種類の微粒子が付着しているものは,まとめて1個とする。
(d) 接眼レンズミクロメータを中心にして上側の視野領域の境界にかかった粒子は計数しない。
(e) ろ過膜の表面に捕集した微粒子だけを計数する。裏面や内部に存在するものは計数しない。
(22) 視野面積は,顕微鏡の接眼レンズの視野直径及び対物レンズの倍率から求めるか又は対物ミク
ロメータを用いて測定する。
(23) 面積測定率が0.1%になるため視野数は,次の式によって求める。
100
×
×
=a
k
A
n
ここに,
n: 視野数(個)
A: 有効ろ過面積 (mm2)
k: 面積測定率 (%)
a: 一視野の面積 (mm2)
また,注(19)の操作を行った場合には視野面積の代わりに一視野の領域面積を次の式によって
求める。
a0=x×y
ここに, a0: 一視野の領域面積 (mm2)
x: 接眼レンズミクロメータの幅 (mm)
y: 視野の移動距離 (mm)
(24) 一視野当たりの微粒子数が約25個を超える場合には,面積測定率は0.1%未満としてもよい。
(25) 4.の備考1.及び備考2.の操作で微粒子を捕集した場合には,次のように操作してろ過膜の空試
験値を求める。
ろ過膜をピンセットを用いて容器から取り出し,5.4及び5.5の操作を行い,ろ過膜の微粒子
の大きさとその数を求める。この操作を,同一容器の中からろ過膜5枚以上を無作為に取り出
して繰り返し,それぞれのろ過膜の微粒子の大きさとその数を求め,これらの平均値を求めて,
空試験値とする。
備考 光学顕微鏡の接眼レンズミクロメータの校正は,対物ミクロメータを可動ステージ上に置き,
これを基準として接眼レンズミクロメータの目盛が何μmに相当するかを,総合倍率1 500〜2
000倍について定期的に行う。ただし,校正は接眼レンズミクロメータの全体に対して行い,
目盛の一部については行わない。
6. 走査形電子顕微鏡による測定 ろ過膜に捕集した微粒子を走査形電子顕微鏡を用いて,微粒子の大き
さ及びその数を計数する。この方法は,粒径0.1〜10μmの微粒子に適用する。
6.1
試薬 試薬は,次のものを用いる。
(1) 水 蒸留水又はイオン交換水を孔径0.1μm以下のろ過膜(2)でろ過する。この試験及び器具類の洗浄に
はこの水を用いる。
6.2
器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(1) 走査形電子顕微鏡 走査形電子顕微鏡は,最小粒子径0.1μmを測定するのに十分な分解能をもったも
の(26)。
(2) 真空蒸着装置 真空蒸着装置は,微粒子を捕集したろ過膜に金,その他の導電性の材料を蒸着できる
もの。
8
K 0554-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(3) 試料台 試料台は,アルミニウム製,黄銅製又はステンレス鋼製のもの。
(4) 両面テープ及び銀ペースト 両面テープ及び銀ペーストは,微粒子を捕集したろ過膜を走査形電子顕
微鏡の試料台に固定できるもの。
(5) ピンセット 4.2(3)による。
(6) 超音波洗浄器 4.2(4)による。
(7) クリーンベンチ 4.2(5)による。
注(26) 走査形電子顕微鏡の倍率表示マークは,定期的に粒径1μm程度のポリスチレン系の標準粒子を
用いて校正する。
6.3
器具類の洗浄 試料台,ピンセットなどは,4.3によって洗浄する。
6.4
測定用試料の調製 測定用試料の調製は,次による。
(1) 4.4で試料中の微粒子を捕集したろ過膜(孔径0.1μm以下を用いる。)を5.4(1)の操作を行って自然乾
燥させた後,両面テープ又は銀ペーストを用いて試料台に固定する。
(2) ろ過膜及び捕集した微粒子に,金,その他の導電性の材料を蒸着する。
(3) 4.4(7)の操作を行った空試験用のろ過膜について(1)及び(2)の操作を行う。
6.5
測定 測定は,次による。
(1) 6.4の(1)及び(2)の操作を行ったろ過膜を固定した試料台を走査形電子顕微鏡の試料室に入れる。
(2) 倍率を5 000倍以上とし,ろ過膜の最上部の左端から右端へ(右端から左端へ)視野を移動させてろ
過膜の右端まで走査し各視野の写真撮影を行う(27)。次に,視野を下方に移し右端から左端(左端から
右端)まで走査し写真撮影を行う(27)。この操作をろ過膜の最下部まで繰り返して行い,ろ過膜の有効
ろ過面積(20)の全域を含むように走査し,撮影した写真上で各視野ごとに粒径0.1μm以上の微粒子の大
きさとその数を計数し(21)(28),合計する。
なお,視野数は,ろ過膜の有効ろ過面積に対し視野面積(29)の合計値(面積測定率)が0.01%(30)以上
になる値とする。
(3) 6.4(3)の操作を行った空試験用のろ過膜について(1)及び(2)の操作を行って試料と同じ視野数について
微粒子数を計数し,空試験値を求める(31)。
(4) 5.5(4)の式によって試料中の微粒子数を,試料1lの個数として算出する。
注(27) 走査形電子顕微鏡の画面上で粒径0.1μm以上の微粒子が鮮明に観察できる場合には画面上で微
粒子の大きさとその数を計数してもよい。
(28) 電子顕微鏡の視野が円形の場合には円の横方向の中心線から上辺の境界にかかった粒子は計数
しない。
(29) 装置の形式及び倍率によって決まる。
(30) 面積測定率が0.01%になるための視野数は注(23)の式を用いる。
(31) 4.の備考1.及び備考2.の操作で微粒子を捕集した場合には,次のように操作してろ過膜の空試
験値を求める。
ろ過膜をピンセットを用いて容器から取り出し,6.4及び6.5の操作を行い,ろ過膜の微粒子
の大きさとその数を求める。この操作を,同一容器の中からろ過膜5枚以上を無作為に取り出
して繰り返し,それぞれのろ過膜の微粒子の大きさとその数を求め,これらの平均値を求めて,
空試験値とする。
9
K 0554-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7. 微粒子自動計測器による測定 試料を配管から微粒子自動計測器(以下,自動計測器という。)に導入
して微粒子の相対的な大きさ及び数を連続的に測定する。この方法は,粒径0.2〜10μmの微粒子に適用す
る(32)。
注(32) 自動計測器の種類によって測定値が異なることがある。
7.1
試薬 試薬は,次のものを用いる。
(1) 水 6.1(1)による。
(2) 過酸化水素水 (30g/l) 4.1(2)による。
(3) 微粒子標準液 ポリスチレン系の微粒子標準液。粒径0.2μmのもの(33)(34)。
(4) 校正液 微粒子標準液を水で希釈して粒子数が105〜106個/mlの範囲の液を調製して校正液とする。
この校正液の正確な濃度は,次のようにして求める。
粒子数約106個を含むように校正液の一定量をとり,水で約100mlに希釈する。この液の全量を用
いて液中の微粒子を4.の備考2.に準じて孔径0.1μmのろ過膜上に捕集する。引き続いて6.4及び6.5
に従って微粒子の粒径及び数を測定し,校正液1ml中の粒子数を算出する。
なお,希釈及びろ過の操作は,クリーンベンチ内で行う。
注(33) 粒径の変動係数が4%以下のものを用いる。市販品を使用できる。市販の微粒子標準液は,通常
は安定であるが,これを水で希釈すると不安定になる。
(34) 試験目的によって,粒径を0.2μm以外(10μm以下)のものを用いる。
7.2
装置 装置は,次のとおりとする。
(1) 自動計測器 光散乱方式微粒子自動計測器
(2) 試料採取弁 4.2(1)(a)による。
(3) 接続具 4.2(1)(b)による。
(4) 試料導入管 4.2(1)(c)による。
(5) クリーンベンチ 4.2(5)による。
7.3
自動計測器の接続 自動計測器の接続は,次のとおりとする。
(1) 4.4の(1)及び(2)の操作を行った後,自動計測器に適した流量(35)に試料採取弁を調節して約15分間放
流する。
(2) 次に,自動計測器の試料導入口と試料導入管を直結する。
注(35) 自動計測器の種類によって異なる。
7.4
校正 校正は,次のとおりとする(36)。
(1) 自動計測器に一定の流量(37)で試料を導入する。
(2) 自動計測器の電源を入れ,作動状態とする。
(3) 指示値が安定した後,粒径0.2μmの校正液を一定流量で自動計測器に注入して(38),指示値を読む。
(4) 校正液の注入流量を変え,指示値を読む。
(5) 試料の流量と校正液の注入流量とから校正液を加えた試料中の微粒子数(個/l)を算出し,指示値と
の関係を求める(39)。
注(36) 機種によって,校正方法が異なる場合がある。その場合には,この方法に準じて校正する。
(37) 通常,10〜500ml/minが用いられる。
(38) 試料導入管に分岐管を設け,校正液が試料中に均一に希釈されるように注入ポンプを用いて一
定流量で注入する。
(39) 目的によって,粒径0.2μm以外の校正液についても,(3)〜(5)の操作を行い,校正液を加えた試
10
K 0554-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
料中の粒子数(個/l)を算出し,指示値との関係を求める。
7.5
測定 測定は,次による。
(1) 自動計測器に一定の流量(37)で試料を導入する。
(2) 自動計測器の電源を入れ,作動状態とする。
(3) 指示値が安定した後,連続して5回指示値を読む。
(4) 5回の平均値を求める。
(5) この値と,7.4で求めた粒子数と試料中の微粒子数(個/l)の関係から,試料中の微粒子数(個/l)
を求める。
備考 次の操作によって試料を試料容器に採取した後,自動計測器を用いて微粒子数(個/l)を求め
ることができる。ただし,試料容器の汚れと操作中の微粒子による汚染に十分な注意が必要で
あり,微粒子数の少ない試料には適用しにくい。
4.の備考1.に従い,試料容器(1l以上)に試料を採取する。7.3及び7.4の操作によって自動
計測器の校正を行った後,試料導入口から一定の流量(通常,10〜500ml/minが用いられる。)
で水を流しておく。次に,試料容器中の試料を自動計測器に導入し,指示値を読み,試料中の
微粒子数(個/l)を算出する。
なお,これらの操作は,クリーンベンチ内で行う。
8. 結果の表示 測定結果を表示する場合には,必ず測定方法を記載する。
付表1 引用規格
JIS B 7132 液浸系レンズ用生物顕微鏡
JIS B 7147 生物顕微鏡用対物レンズ
JIS B 7148 顕微鏡用接眼レンズ
JIS B 7149 顕微鏡用101mm目盛接眼レンズミクロメータ
JIS B 7152 生物顕微鏡用対物レンズ及び接眼レンズ−性能測定方法
JIS B 9922 クリーンベンチ
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0094 工業用水・工場排水の試料採取方法
JIS K 0101 工業用水試験方法
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS K 0950 プラスチック製滅菌シャーレ
JIS K 2400 顕微鏡用液浸油
JIS K 8102 エタノール (95) (試薬)
JIS K 8230 過酸化水素(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8804 塩基性フクシン(試薬)
JIS K 8897 メチレンブルー(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
11
K 0554-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3702 顕微鏡用カバーガラス
JIS R 3703 顕微鏡用スライドガラス
JIS Z 8122 コンタミネーションコントロール用語
超純水中粒子計数法 原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
山 下 憲 一
工業技術院機械技術研究所
秋 山 正
株式会社ダン科学
浅 田 敏 勝
日本アイ・ビー・エム株式会社
岩 波 洋
株式会社大林組
大 田 嘉 治
野村マイクロサイエンス株式会社
大 谷 純 生
富士写真フィルム株式会社
本 村 敬 人
栗田工業株式会社
柏 木 徹
アルバックサービス株式会社
小 林 八 郎
日本・シー・アイ・シー技研株式会社
佐 藤 美 和
日本ミリポアリミテッド
坂 本 勉
オルガノ株式会社
鈴 鹿 周 正
株式会社掘場製作所
高 山 肇
トーヨコ株式会社
田 中 辰 雄
東洋濾紙株式会社
田 原 戦太郎
日本錬水株式会社
土 崎 南
日本微生物クリニック株式会社
外 山 文 生
富士電機株式会社
名 淵 隆 司
野崎産業株式会社
沼 田 典 之
ダン産業株式会社
野 崎 雄 幸
日本無線株式会社
橋 本 次 夫
株式会社忍足研究所
浜 中 克 彦
旭化成株式会社
福 本 隼 明
三菱電機株式会社
星 名 民 雄
リオン株式会社
杢 中 一
マイクロピュアー株式会社
松 永 有志夫
日本ポール株式会社
森 康 修
株式会社竹中工務店
渡 辺 直 樹
日本エアーテック株式会社
(事務局)
三 上 壯 介
社団法人日本空気清浄協会
12
K 0554-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
化学分析部会 用水・排水分析方法専門委員会 構成表(平成2年1月1日制定のとき)
氏名
所属
(委員会長)
並 木 博
横浜国立大学教育学部
岩 崎 岩 次
社団法人日本工業用水協会水質分析センター
米 倉 茂 男
東京都鍍金工業組合
小 倉 紀 雄
東京農工大学農学部
上 村 正 弘
通商産業省立地公害局
細 川 幹 夫
工業技術院標準部
西 末 雄
工業技術院化学技術研究所
平 石 尹 彦
環境庁水質保全局
中 村 栄 一
建設省土木研究所
藤 貫 正
社団法人日本分析化学会
星 野 芳 生
社団法人日本下水道協会
遣 沢 哲 夫
社団法人産業公害防止協会
武 田 盛 二
社団法人日本産業機械工業会
松 前 鼎 一
社団法人日本環境技術協会
松 村 正 勝
社団法人日本計量機器工業連合会
岩 橋 康 夫
日本鉱業協会
吉 田 千 秋
日本化学工業協会
長 澤 忠 彦
日本鉄鋼連盟
三 村 秀 一
株式会社環境管理センター
岩 村 一 正
石油連盟
坂 本 勉
オルガノ株式会社
星 名 民 雄
リオン株式会社
番 匠 賢 治
工業技術院公害資源研究所
松 崎 淳 三
千葉県水質保全研究所
野々村 誠
東京都立工業技術センター
浅 田 敏 勝
日本アイ・ビー・エム株式会社
狩 野 久 直
日本錬水株式会社
垂 水 弘 毅
栗田工業株式会社
秋 山 重 之
株式会社堀場製作所
福 本 隼 明
三菱電機株式会社
太 田 嘉 治
野村マイクロ・サイエンス株式会社
松 永 有志夫
日本ポール株式会社
(関係者)
山 下 憲 一
法政大学
三 上 壯 介
社団法人日本空気清浄協会
(事務局)
吉 野 大 輔
工業技術院標準部繊維化学規格課
(浦 野 四 郎)
飯 嶋 啓 子
工業技術院標準部繊維化学規格課
(事務局)
阪 本 公 昭
工業技術院標準部繊維化学規格課(平成7年7月1日改正のとき)
小 川 和 雄
工業技術院標準部繊維化学規格課(平成7年7月1日改正のとき)