2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 0550-1994
超純水中の細菌数試験方法
Testing methods for detection and estimation of
micro-biological contaminants in highly purified water
1. 適用範囲 この規格は,超純水中の細菌数の試験方法について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,付表1に示す。
2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2. 共通事項 共通事項は,次のとおりとする。
(1) 通則 化学分析に共通する一般事項は,JIS K 0050による。
(2) 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0101又はJIS K 0102によるほか,次による。
(a) 細菌とは,標準培地(又はM-TGE培地)で培養したとき,培地上に集落を形成した生菌をいい,
従属栄養細菌又は一般細菌をいう。
(3) 水 JIS K 0557に規定するA1,A2又はA3の水。
(4) 試薬 試薬についての共通事項は,次のとおりとする。
(a) 試薬は,該当する日本工業規格がある場合には,その種類の最上級又は適切な用途のものを用い,
該当する日本工業規格がない場合には,試験に支障のないものを用いる。
(b) 試薬類の溶液の濃度は,一般に質量濃度g/l(化合物の場合は無水物としての質量を用いる。)又は
モル濃度mol/lで示す。
(c) 試薬類の溶液名称の後に括弧で示されている濃度は,概略の濃度であることを意味する。例えば,
水酸化ナトリウム溶液 (0.1mol/l) は約0.1mol/lの水酸化ナトリウム溶液であることを意味する。
(d) 液体試薬の濃度は,水との混合比[試薬 (a+b)]で表す。この表し方は,試薬a mlと水b mlとを
混合したことを示し,JIS K 0050に従い塩酸,硝酸,硫酸,りん酸,アンモニア水,過酸化水素な
どに用いる。ただし,これらの試薬を薄めないで用いる場合は,その試薬名だけで示す。
(e) 試薬類及び廃液などの取扱いについては,関係法令規則などに従い十分に注意すること。
(5) ガラス器具類 ガラス器具類は,原則としてJIS R 3503に規定する硬質1級又は硬質2級を用いる。
(6) 注,備考及び図 注,備考及び図は,各項日ごとに一連番号を付ける。
3. 細菌の捕集 あらかじめ滅菌したろ過材及び捕集装置を用いて,試料採取弁から一定量の試料をろ過
してろ過材上に細菌を捕集する。
3.1
器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(1) 細菌捕集装置 試料中の細菌を捕集する装置で次のものからなる。その構成の一例を図3.1に示す。
2
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(a) 試料採取弁 試料採取弁は,ステンレス鋼製又は合成樹脂製などの耐食性の材質のものを用い,配
管内に分岐管を設けてその先端に取り付ける。試料採取弁の先端には試料導管が装着できるノズル
を取り付けておく。
(b) 接続具 接続具は,ステンレス鋼製又は合成樹脂製などの耐食性の材質のものを用い,試料採取弁
のノズルに試料導管を取り付けるのに用いる。
(c) 試料導管 軟質の合成樹脂製のもの。例えば,軟質塩化ビニル管。
(d) ろ過器 分離形の合成樹脂製又はステンレス鋼製のもので(1)(2),直径37〜55mmのろ過材が装着で
き,試料導管が接続できるもの。使用時に4.1(3)(b)の高圧蒸気滅菌を行う。
(e) ろ過材 孔径0.45μm,直径37〜55mmの有機性のろ過材に方眼紙と同様な画線が印刷されたもの(3)。
ろ過材の取扱いには,ピンセットを用いる。
(2) ピンセット 先端がなめらかなもの。使用直前に4.1(3)(d)の火炎滅菌する。
(3) 注射筒 容量10mlのもの。
(4) 超音波洗浄器 ろ過器,注射筒などが洗浄できるもの(周波数25〜50kHzのもの)。
(5) クリーンベンチ 移動式のもの。JIS B 9922に規定する清浄度3より清浄な環境(作業空間)が得ら
れるもの。又はこれと同等の性能をもつクリーンルームを用いてもよい。
注(1) 滅菌済みの市販品を用いてもよい。
(2) ろ過材の直径に合ったものを用いる。
(3) 硫酸紙などに包み,ガラス製ペトリ皿に入れて,4.1(3)(b)の高圧蒸気滅菌を行ったもの。又は滅
菌済みの市販品を用いてもよい。
図3.1 細菌捕集の一例
3.2
器具類の洗浄 ろ過器,注射筒などは,次の順序に従って洗浄する。
(1) 柔らかいブラシと界面活性剤を用いて洗浄する。
(2) 水で十分にすすぎ洗いする。
(3) 超音波洗浄器の洗浄槽に入れ,完全に水に浸るようにし,約15分間超音波洗浄する。
(4) 水で十分にすすぎ洗いする。
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(5) ろ過器,注射筒は,4.1(3)(b)の高圧蒸気滅菌を行う。
3.3
操作 操作は,次のとおり行う。
(1) 試料採取弁を閉じ,試料採取弁のノズルの内外を火炎滅菌(4)した後,試料採取弁を全開した状態で約
5分間放流する(5)。引き続き約1l/minで30分間以上放流する。
(2) 細菌を捕集しやすい流量(6)に試料採取弁を調節して,15分間以上放流する。
(3) 試料採取弁のノズルに4.1(3)(b)の高圧蒸気滅菌した試料導入管を取り付け,15分間以上放流する。
(4) その先端にろ過材を装着したろ過器を取り付け(7),試料を流してろ過器内の空気を除去する(8)。
(5) 一定量(9)(10)の試料をろ過する。
(6) ろ過が終了したら,ろ過器を取り外す。
(7) クリーンベンチ内で,ろ過器内のろ液を出口側から注射器で吸引して(11)抜き取った後,直ちに試験を
行う。直ちに試験ができない場合には,ろ過材をろ過器に装着したまま1〜5℃の暗所に保存(12)し,9
時間以内に試験する。
注(4) 試料採取弁の材質が合成樹脂製の場合には,火炎滅菌の代わりに過酸化水素水 (1+10) 又はエ
タノール (80vol%) で試料採取弁の内外をよくぬぐって消毒する。
(5) 主管路から試料採取弁まで,試料導管の距離が長い場合には,試料導管の容量の5倍量以上の
水を流出させてから,引き続き約5分間放流する。試料採取弁から常時約1l/minの割合で試料
を流出しておくことが望ましい。
(6) 配管の圧力と細菌の捕集に用いるろ過材の孔径によって流出量が異なるので,あらかじめろ過
器にろ過材を装着して流出量を確認しておくことが望ましい。
(7) 移動形のクリーンベンチを作動させながら操作する。
(8) ろ過器の出口を上に向けるなど適当な方法で除去する。
また,ろ過器を取り付けた後は,管路の急激な圧力変動が生じないように流量に注意する。
(9) 試料のろ過量のおおよその目安として,培養後の集落数が30〜300個になるようにする。
(10) ろ液をメスシリンダー1 000ml又は2 000mlに受けてその体積を測定して試料の体積とする。又
は質量既知の試料容器にろ液を受け,ろ過が終了したときの試料容器の質量を1gのけたまで測
定し,試料の体積を求める。
(11) クリーンベンチを使用しない場合には,ろ過器の入口側に0.45μmの疎水性のエアフィルターを
取り付けてから吸引する。
(12) ろ過器の入口側及び出口側に専用のキャップ又は0.45μmの微粒子を除去できるエアフィルタ
を取り付けるなどして汚染を防ぐ。
備考1. 捕集装置を用いて細菌をろ過材に直接捕集できない場合又は細菌数が比較的多い試料の場合
には,次のように操作する。
3.3の(1)〜(3)の操作を行った後,試料導管の先端が,あらかじめ滅菌した試料容器(容量
1l)の試料の底面に接するようにし,試料容器の容量の約5倍量の試料を流出させた後,試
料導管を抜き出し,栓を十分に洗浄した後,密栓する。
次に,クリーンベンチ内で,分離形のろ過装置〔JIS K 0101の16.1(1)(a)[ろ過器(分離形)]
参照〕に孔径0.45μmのろ過材を取り付け,吸引ろ過して細菌を捕集する。
2. 試料が容器に入れられている場合には,あらかじめ4.1(3)(b)の高圧蒸気滅菌した試料導管を
容器に挿入してサイホンとし,試料導管の容量の約5倍量を流出させた後,試料導管の先端
をあらかじめ滅菌した試料容器(容量1l)の底面に接するようにし,約1.5lを流出させた後,
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試料導管を取り出し,栓を十分に洗浄した後密栓する。以下,備考1.と同様に操作してろ過
材に細菌を捕集する。
また,容器の容量(5l未満)が少ないときは,クリーンルーム内で備考1.と同様に操作し
てろ過材に細菌を直接捕集する。
4. 試験方法 超純水中の細菌数試験は,短時間培養での細菌数試験と長時間培養での細菌数試験に区分
する。
4.1
短時間培養での細菌数試験 細菌を捕集したろ過材をM-TGE液体培地又は標準液体培地を含んだ
吸収パッドに密着して36±1℃で24±2時間培養し,ろ過材上に形成された集落を計数して短時間培養で
の細菌数を試料1l中の個数で表示する。
(1) 試薬 試薬は,次のものを用いる。
(a) 水 A2又はA3の水 この試験に用いる試薬及び培地の調製にはこの水を用いる。
(b) 希釈水 生理食塩液[塩化ナトリウム溶液 (8.5g/l)]又はりん酸塩緩衝液(1)を三角フラスコなどに入
れ,(3)(b)の高圧蒸気滅菌を約15分間行ったもの。
(c) 染色液 JIS K 8102に規定するエタノール (95) [エチルアルコール (95)]230mlにJIS K 8897に
規定するメチレンブルー[3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン−5−イウムクロリド]2.3g
を加えて溶かし,水酸化ナトリウム溶液 (0.1g/l) を加えて液量を1lとする。
(d) M-TGE液体培地(2) ペプトン(カゼインのパンクレアチン水解物のペプトンを用いる。)10.0g,肉
エキス6.0g及びJIS K 8824に規定するD(+)−グルコース2.0gを水1lに加え,加熱して溶かし,
滅菌後のpHが7.0±0.1になるように調節する(3)。三角フラスコに移し入れ,(3)(b)の高圧蒸気滅菌
を約15分間又は(3)(c)の蒸気滅菌を行い,冷暗所に保存する。
(e) 標準液体培地(2) ペプトン(カゼインのパンクレアチン水解物のペプトンを用いる。)5g,酵母エキ
ス2.5g及びJIS K 8824に規定するD(+)−グルコース1.0gを水1lに加え,加熱して溶かし,滅
菌後のpHが7.0±0.1になるように調節する(3)。三角フラスコに移し入れ,(3)(b)の高圧蒸気滅菌を
約15分間行うか,(3)(c)の蒸気滅菌を行い,冷暗所に保存する。
注(1) JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム8.5gを水約500mlに溶かし,これに水酸化ナトリウ
ム溶液 (1mol/l) を滴加して,pHを7.2に調節し,水を加えて全量を1lとする。
この溶液5mlをとり水を加えて1lとし,三角フラスコに移し入れ,(3)(b)の高圧蒸気滅菌を
約15分間行う。
(2) 市販の液体培地(又は粉末培地を溶かしたもの。)を使用してもよい。
(3) 培地は滅菌するとpHが低下することが多い。通常,滅菌によるpHの低下は0.1〜0.2であるが,
ときには0.4に達することがある。このため滅菌前のpHは,所定のpHより0.1〜0.2高く調節
しておく。滅菌後のpHが所定の範囲にないときは,改めて調製し直す。
pHの調節には,水酸化ナトリウム溶液 (4g/l) 又は塩酸 (1+100) などを用いる。
備考1. 培地の取扱い
(1) 調製した培地の保存及び無菌試験 滅菌した培地は,水分の蒸発を防いで冷暗所に保存す
る。長時間経過したものは用いない。使用前に一夜培養器に入れ,雑菌が混入していない
ことを確認する。
(2) 使用済み培地の処理 細菌培養後の使用済み培地は,必ずペトリ皿のまま,(3)(b)の高圧蒸
気滅菌してから廃棄する。ペトリ皿は,培地を捨ててからよく水洗する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(2) 器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(a) ピンセット 3.1(2)による。
(b) 双眼実体顕微鏡 双眼実体顕微鏡は倍率が6〜80倍のもの。又はコロニーカウンター(4)。
(c) ろ過器(分離形) JIS K 0101の16.1(1)(a)による。ろ過装置の各部を硫酸紙などに包んで,材質に
適した滅菌をしておく。
(d) 吸収パッド ろ過材(有機性)と同じ直径の円形の厚形ろ紙で,液体培地1.8〜2.2mlを含むことが
できるもの。ろ過材と同様に滅菌する。滅菌済みの市販品を用いてもよい。
(e) 小形ペトリ皿 吸収パッド及びろ過材を入れて培養するもの。内径50〜60mmで,底部は吸収パッ
ドが密着できるように平らで,水分の蒸発を防ぐため,ふたと底皿はできるだけ密着するものがよ
い。ペトリ皿は滅菌器に入れて(4)(a)の乾熱滅菌をしておく。又はJIS K 0950に規定するプラスチ
ック製滅菌シャーレの60。
(f) 培養器(ふ卵器) JIS T 1702に規定するもので,36±1℃に調節できるもの。
(g) 乾熱滅菌器 100〜200℃に調節できるもの。
(h) 高圧蒸気滅菌器 JIS T 7322又はJIS T 7324に規定するもので,121℃に加熱でき,196kPa {2kgf/cm2}
の器内圧力で使用できるもの。
(i) 平圧蒸気滅菌器 100℃に加熱でき,大気圧 (101.325kPa) で使用できるもの。(h)の高圧蒸気滅菌器
を100℃,大気圧で使用してもよい。
注(4) コロニーカウンターは倍率1.5倍以上のもの。
(3) 器具などの滅菌操作 滅菌操作は,次のとおり行う。
(a) 乾熱滅菌 乾熱滅菌には乾熱滅菌器を用い,170℃で1時間滅菌する。ガラス器具類の滅菌は,この
方法による。
(b) 高圧蒸気滅菌 高圧蒸気滅菌には高圧蒸気滅菌器を用い,特に記載のないものは121℃で約30分間
滅菌する。培地,希釈水,使用済みの培地などの滅菌は,この方法による。
(c) 蒸気滅菌 蒸気滅菌には平圧蒸気滅菌器を用い,大気圧で100℃で15〜30分間1日1回の滅菌を3
回(3日間)繰り返す。これを間欠滅菌という。加熱によって変化しやすい糖類を加えた培地など
高圧蒸気滅菌ができない場合に用いる。
また,高圧蒸気滅菌器を備えていない場合にも利用できる。
(d) 火炎滅菌 希釈水及び培地を入れた試験管,フラスコの口部の滅菌に用いる。試験管及びフラスコ
の綿栓を抜いた直後及び培養の操作を終わって綿栓をする直前に試験管,フラスコを斜めに持って
回しながら口部を火炎の中にしばらく入れて滅菌する。
(4) 消毒操作 消毒操作は,次のとおり行う。
(a) 試験操作の前後には手指や実験台を消毒する。手指の消毒にはクレゾール石けん溶液 (1g/4g/l),消
毒用アルコール[エタノール (80vol%)],陽性石けん溶液 (1〜10g/l) を用いる。
実験台は,陽性石けん溶液 (10g/l) ,フェノール溶液 (30〜50g/l) などを噴霧するか,これらを布
に含ませてぬぐって消毒する。
(b) 使用済みのピペット,試料容器,三角フラスコなどの器具はクレゾール石けん溶液 (30〜50g/l) な
どの消毒液中に1日間浸した後,消毒液が完全に除去されるまで,よく水洗する。
(c) 培養試験後のペトリ皿類は,培地ごと(3)(b)の高圧蒸気滅菌した後,培地を捨ててからよく水洗する。
(5) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) ピンセットを用いて,吸収パッドを1枚ずつ小形ペトリ皿に入れ,吸収パッドが,M-TGE液体培地
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又は標準液体培地で十分に潤うように,M-TGE液体培地又は標準液体培地を加える(通常2ml程度
でよい。)。
(b) 3.3の操作を行ったろ過器から,ピンセットを用いてろ過材を外して,(a)の小形ペトリ皿の吸収パ
ッドの上に,ろ過面を上にして密着させる。この際,ろ過材と吸収パッドとの間に気泡が残らない
ように注意する。
(c) 小形ペトリ皿にふたをし,逆さにして培養器に入れ,36±1℃で24±2時間培養する。
(d) 培養後,ピンセットを用いて,培地からろ過材を取り出し,小形ペトリ皿に入れた染色液中に約1
分間浸した後,ろ紙(JIS P 3801に規定するもの。)上で風乾する。
(e) 双眼実体顕微鏡を用いてろ過材上に発生した集落(青い色を呈した)を計数する。
(f) 次の式によって試料1l中の短時間培養での細菌数を算出する。
V
n
a
000
1
=×
ここに,
a: 短時間培養での細菌数(個/l)
n: ろ過材上の集落数(個)
V: 試料 (ml)
備考2. 試料容器に試料を採取した場合には,3.の備考1.によって孔径0.45μmのろ過材に細菌を捕集
し,試料が試料容器に入れられている場合には,3.の備考2.によって試料の適量 (500ml〜1l)
を孔径0.45μmのろ過材でろ過し,ろ過材に細菌を捕集する。引き続いて希釈水20〜30mlず
つでろ過材とろ過器を2,3回洗浄する。ろ過材をピンセットで取り出し,(5)の(a)〜(f)の操作
を行い,試料1l中の短時間培養での細菌数を算出する。
4.2
長時間培養での細菌数試験 細菌を捕集したろ過材を標準寒天培地又はM-TGE寒天培地上に密着
して25±1℃で5日間細菌を培養し,ろ過材上に形成した集落を計数して,長時間培養での細菌数を試料
1l中の個数で表示する。
(1) 試薬 試薬は,次のものを用いる。
(a) 水 A2又はA3の水 この試験に用いる試薬及び培地の調製にはこの水を用いる。
(b) 希釈水 4.1(1)(b)による。
(c) 染色液 4.1(1)(c)による。
(d) 標準寒天培地(2) ペプトン(カゼインのパンクレアチン水解物のペプトンを用いる。)5g,酵母エキ
ス2.5g,JIS K 8824に規定するD(+)−グルコース1.0g及びJIS K 8263に規定する寒天(粉末に
したもの)15gを水1lに加え,加熱して溶かし,滅菌後のpHが7.0±0.1になるように調節する(3)。
次に,三角フラスコに移し入れ,4.1(3)(b)の高圧蒸気滅菌を約15分間行うか,4.1(3)(c)の蒸気滅菌
を行い,冷暗所に保存する。
(e) M-TGE寒天培地(2) ペプトン(カゼインのパンクレアチン水解物のペプトンを用いる。)10.0g,肉
エキス6.0g,JIS K 8824に規定するD(+)−グルコース2.0g及びJIS K 8263に規定する寒天(粉
末にしたもの)15gを水1lに加え,加熱して溶かし,滅菌後のpHが7.0±0.1になるように調節す
る(3)。次に,三角フラスコに移し入れ,4.1(3)(b)の高圧蒸気滅菌を約15分間行うか,4.1(3)(c)の蒸
気滅菌を行い,冷暗所に保存する。
(2) 器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(a) メスシリンダー 容量100〜1 000mlのもの。口部をアルミニウムはくで覆い,4.1(3)(a)の乾熱滅菌
又は4.1(3)(b)の高圧蒸気滅菌をしておく。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(b) ピンセット 3.2(2)による。
(c) 双眼実体顕微鏡 4.1(3)(b)による。
(d) ろ過器(分離形) 4.1(3)(c)による。
(e) ペトリ皿 内径約80mmで浅形のもの。ガラス製のものを使用するときは,硫酸紙などで包んで
4.1(3)(a)の乾熱滅菌をしておく。又はJIS K 0950に規定するプラスチック製滅菌シャーレの90。
(f) 培養器(ふ卵器) JIS T 1702に規定するもので,25±1℃に調節できるもの。
(g) 乾熱滅菌器 4.1(3)(g)による。
(h) 高圧蒸気滅菌器 4.1(3)(h)による。
(i) 平圧蒸気滅菌器 4.1(3)(i)による。
(3) 器具などの滅菌操作 滅菌操作は,次のとおり行う。
(a) 乾熱滅菌 4.1(3)(a)による。
(b) 高圧蒸気滅菌 4.1(3)(b)による。
(c) 蒸気滅菌 4.1(3)(c)による。
(d) 火炎滅菌 4.1(3)(d)による。
(4) 消毒操作 消毒操作は,4.1(4)の消毒操作による。
(5) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) 標準寒天培地又はM-TGE寒天培地を水浴中で加熱して溶かした後,その15〜20mlを無菌的にペト
リ皿に加える。水平な状態で放置し,培地を固まらせる(5)。
(b) 3.3の操作を行ったろ過器から,ピンセットを用いてろ過材を外して,(a)のペトリ皿の培地上にろ
過面を上にして密着させる。このときろ過材と培地の間に気泡が入らないように注意する。
(c) ペトリ皿にふたをして,逆さにして培養器に入れ,25±1℃で5日間培養する。
(d) 培養後,4.1(5)(d)及び(e)の操作を行う。
(e) 次の式によって試料1 l中の長時間培養での細菌数を算出する。
V
n
a
000
1
=×
ここに,
a: 長時間培養での細菌数(個/l)
n: ろ過材上の集落数(個)
V: 試料 (ml)
注(5) 通常,20〜30分間放置して乾燥させる。
備考3. M-TGE寒天培地の代わりにM-TGE液体培地(又は標準寒天培地の代わりに標準液体培地)
を用いてもよい。この場合には,次のように操作する。
4.1(5)の(a)〜(c)の操作に準じて培養温度を25±1℃とし5日間培養した後,4.2(5)の(d)以降
の操作を行って試料1l中の長時間培養での細菌数を算出する。
4. 試料容器に試料を採取した場合には,3.の備考1.によって孔径0.45μmのろ過材に捕集し,試
料が試料容器に入れられている場合には,3.の備考2.によって試料の適量 (500ml〜1l) を孔
径0.45μmのろ過材でろ過し,ろ過材に細菌を捕集する。引き続いて希釈水20〜30mlずつで
ろ過材とろ過器を2,3回洗浄する。ろ過器を外しろ過材をピンセットで取り出し,以下(5)
の(a)〜(e)の操作を行って試料1l中の長時間培養での細菌数を算出する。
5. 結果の表示 次の項目を表示することとする。
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(1) 試験値
(2) 使用した培地及び試験方法の種類
(3) 試料採取日時及び試験日時
付表1 引用規格
JIS B 9922 クリーンベンチ
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0101 工業用水試験方法
JIS K 0102 工場排水試験方法
JIS K 0557 化学分析用の水
JIS K 0950 プラスチック製滅菌シャーレ
JIS K 8102 エタノール (95) [エチルアルコール (95)](試薬)
JIS K 8263 寒天(試薬)
JIS K 8824 D(+)−グルコース(試薬)
JIS K 8897 メチレンブルー(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS T 1702 ふ(孵)卵器
JIS T 7322 医療用高圧蒸気滅菌装置
JIS T 7324 医療用小形高圧蒸気滅菌器
関連規格 JIS K 1106 液化二酸化炭素(液化炭酸ガス)
JIS K 1107 高純度窒素
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8295 グリセリン(試薬)
JIS K 8470 L-システイン塩酸塩一水和物(試薬)
JIS K 8631 チオグリコール酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 9017 りん酸水素二カリウム(試薬)
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参考
この参考は,本体の規定に関する事柄を,本体に準じる形で補足したものであって規定の一部ではない。
1. 嫌気性細菌数試験 細菌を捕集したろ過材をGAM液体培地,M-HPC培地又はSCD培地のいずれか
を含んだ吸収パッドに密着し,嫌気性状態で36±1℃,72±2時間培養し,ろ過材上に形成された集落を計
数して嫌気性細菌数を試料1l中の個数で表示する。
(1) 試薬 試薬は,次のものを用いる。
(a) 水 本体4.(1)(a)による。
(b) 染色液 本体4.1(1)(b)による。
(c) 窒素 JIS K 1107に規定する高純度窒素 2級
(d) GAM液体培地(1) ペプトン10.0g,ダイズペプトン3.0g,プロテオーゼペプトン10.0g,消化血清
末13.5g,酵母エキス5.0g,肉エキス2.2g,肝臓エキス末1.2g,JIS K 8241に規定するD(+)−グ
ルコース3.0g,JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム2.5g,JIS K 8150に規定する塩化ナト
リウム3.0g,JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)5.0g,JIS K 8470に規定するL-システイン塩
酸塩一水和物0.3g及びJIS K 8631に規定するチオグリコール酸ナトリウム(メルカプト酢酸ナトリ
ウム)0.3gを水1lに加え,加熱して溶かし,滅菌後のpHが7.3±0.1になるように調節する(2)。三
角フラスコに移し入れ,本体4.1(3)(b)の高圧蒸気滅菌を約15分間行うか,4.1(3)(c)の蒸気滅菌を行
い,冷暗所保存する。
(e) M-HPC液体培地(1) ペプトン2.0g,ゼラチン2.5g,JIS K 8295に規定するグリセリン1mlを水100ml
に加え,加熱して溶かし,滅菌後のpHが7.0±0.1になるように調節する(2)。三角フラスコに移し
入れ,本体4.1(3)(b)の高圧蒸気滅菌を約15分間行うか,4.1(3)(c)の蒸気滅菌を行い,冷暗所保存す
る。
(f) SCD液体培地(1) カゼイン製のペプトン17.0g,大豆製のペプトン5.0g,JIS K 9017に規定するり
ん酸水素二カリウム2.5g,JIS K 8824に規定するD(+)−グルコース2.5g及びJIS K 8150に規定
する塩化ナトリウム5.0gを水1lに加え,加熱して溶かし,滅菌後のpHが7.0±0.1になるように調
節する(2)。三角フラスコに移し入れ,本体4.1(3)(b)の高圧蒸気滅菌を約15分間行うか,4.1(3)(c)の
蒸気滅菌を行い,冷暗所保存する。
注(1) 本体4.の注(2)による。
(2) 本体4.の注(3)による。
備考1. 本体4.の備考1.による。
(2) 器具及び装置 器具及び装置は,次のとおりとする。
(a) ピンセット 本体の3.1(2)による。
(b) 双眼実体顕微鏡 本体の4.1(2)(b)による。
(c) ろ過器(分離形) 本体の4.1(2)(c)による。
(d) 吸収パッド 本体の4.1(2)(d)による。
(e) 小形ペトリ皿 本体の4.1(2)(e)による。
(f) 嫌気性容器 小形ペトリ皿を収容し,内部を嫌気性状態に保持(3)して培養を行う密閉容器。
(g) 培養器 JIS T 1702に規定するもので,嫌気性培養器を収容し,35±1℃に調節できるもの。
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K 0550-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(h) 乾熱滅菌器 本体の4.1(2)(g)による。
(i) 高圧蒸気熱滅菌器 本体の4.1(2)(h)による。
(j) 平圧蒸気熱滅菌器 本体の4.1(2)(i)による。
注(3) 嫌気性状態に保つには,ガス発生方式又はスチールウール−二酸化炭素封入方式がある。
参考 ガス発生方式のものは,Gas Pakジャー,ガスジャーなどの名称で市販されている。
(3) 器具などの滅菌操作 本体の4.1(3)による。
(4) 消毒操作 本体の4.1(4)による。
(5) 細菌の捕集 細菌の捕集は,次のとおり行う。
(a) 本体3.3の(1)〜(6)の操作を行う。
(b) 窒素を流したクリーンベンチ内で,ろ過器内のろ液を出口側から注射器で吸引して(4)抜き取った後,
直ちに試験を行う。直ちに試験ができない場合には,ろ過材をろ過器に装着したまま嫌気性容器に
入れ,嫌気性とした後,1〜5℃の暗所に保存し,9時間以内に試験する。
注(4) クリーンベンチを使用しない場合には,ろ過器の入口側に0.45μmの疎水性のエアフィルターを
取り付け,窒素気流中で吸引する。
(6) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) ピンセットを用いて,吸収パッドを1枚ずつ小形ペトリ皿に入れ,吸収パッドが,GAM液体培地,
M-HPC液体培地又はSCD液体培地で十分に潤うように,GAM液体培地,M-HPC液体培地又はSCD
液体培地を加える(通常2ml程度でよい。)。
(b) 窒素気流中で(5)の操作で細菌を捕集したろ過材をろ過器から,ピンセットを用いて取り外し,(a)
の小形ペトリ皿の吸収パッドの上にろ過面を上にして密着させる。この際,ろ過材と吸収パッドと
の間に気泡が残らないように注意する。
(c) 小形ペトリ皿にふたをし,逆さにして嫌気性容器に入れ,嫌気状態(5)にした後,培養器に入れて36
±1℃で72±2時間培養する。
(d) 培養後,本体の4.1(5)(d)及び(e)の操作を行う。
(e) 次の式によって試料1l中の嫌気性の細菌数を算出する。
V
n
a
000
1
=×
ここに,
a: 嫌気性の細菌数(個/l)
n: ろ過材上の集落数(個)
V: 試料 (ml)
注(5) ガス発生方式又はスチールウール−二酸化炭素封入方式によって嫌気状態にする。スチールウ
ール−二酸化炭素封入方式を用いる場合には,次による。
嫌気性容器の容量3lにつきスチールウール10gをとり,約45℃に加熱した酸性硫酸銅(II)溶
液500ml中に数分間浸す。これを取り出し手早く水分を除いてペトリ皿に入れ,嫌気性容器に
入れる。嫌気性容器の内部の空気を排気口から真空ポンプで吸引除去する。次に,二酸化炭素
[JIS K 1106に規定する液化二酸化炭素(液化炭酸ガス)の1種]を封入する。
酸性硫酸銅(II)溶液は,次のように調製する。
JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物2.3g及びポリオキシエチレン (20) ソルビタンモノ
オレアート0.8gをとり,水約900mlに加え,加熱して溶かす。冷却後,硫酸 (1mol/l) を加えて
pHを約1.5に調節し,水で1lとする。
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K 0550-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考2. 試料容器に試料を採取した場合には,本体の3.の備考1.によって孔径0.45μmのろ過材に細菌
を捕集し,試料が試料容器に入れられている場合には,本体の3.の備考2.によって試料の適量
(500ml〜1l) を孔径0.45μmのろ過材でろ過し,ろ過材に細菌を捕集した後,ろ過材をピンセ
ットで取り出し,(6)の(a)〜(e)の操作を行って試料1l中の嫌気性の細菌数を算出する。
(7) 結果の表示 次の項目を表示することとする。
(a) 試験値
(b) 使用した培地の種類
(c) 試料採取日時及び試験日時
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K 0550-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 0094(工業用水・工場排水試料採取方法)及びJIS K 0550(超純水中の細菌数試験方法)
ほか2件の改正原案作成調査委員会 構成表
小委員会
氏名
所属
A B C
委員長 ◎
並 木 博
横浜国立大学教育学部
○ ○ ○ 倉 剛 進*
工業技術院標準部繊維化学規格課
加 藤 裕 之
通商産業省立地公害局産業施設課
○
鈴 木 繁
環境庁水質保全局水質規制課
○
田 中 宏 明
建設省土木研究所水道部
○
伊 藤 裕 康
国立環境研究所化学環境部
○
渡 部 欣 愛
国立環境研究所環境研修センター
◎ 番 匠 賢 治
工業技術院資源環境技術総合研究所
○ 田 村 誠 也
工業技術院計量研究所
○
石 関 忠 一
横浜国立大学工学部
○
小 倉 光 夫
神奈川県環境科学センター
○ 米 倉 茂 男
東京都鍍金工業組合
○ ◎ ○ 坂 本 勉
財団法人日本規格協会
加 山 英 男**
財団法人日本規格協会
○
浅 田 正 三
財団法人機械電子検査検定協会
○
○ 梅 崎 芳 美
社団法人産業公害防止協会
○ 森 田 羊 造
日本分析機器工業会(株式会社島津製作所工業計測事業部)
○ 池 田 久 幸
日本分析機器工業会(横河アナリテカルシステム株式会社技術生産本部)
○ 田 口 富 男
日本分析機器工業会(東亜電波工業株式会社科学計測技術部)
○
相 澤 睦 夫
日本分析機器工業会(東亜電波工業株式会社計装技術部)
○ 狩 野 久 直
日本錬水株式会社研究所
○
松 崎 晴 美
株式会社日立製作所日立研究所
○
中 村 忠
オルガノ株式会社研究開発本部
○ 三 輪 良 平
栗田工業株式会社研究開発本部
岩 崎 岩 次
社団法人日本工業用水協会
関係者
山 岸 幸 子
オルガノ株式会社研究開発本部
本 多 理江子
オルガノ株式会社研究開発本部
芳 賀 良 一
株式会社日立製作所日立研究所
参考人
岩 田 照 史
トキコ株式会社研究所
讃 井 洋 一
トキコ株式会社マーケティング
Jack Y. Yamamori
Anatel Corporation President and CED
Paul Melanson
Anatel Corporation Director of Research and Development
三 浦 正 美
伯東株式会社半導体装置事業部
事務局
佐 宗 正 雄
社団法人日本工業用水協会
飛 渡 祥 弘
社団法人日本工業用水協会
本 郷 秀 昭
社団法人日本工業用水協会
注 ◎:各小委員会委員長,○:小委員会委員
A:JIS K 0094(工業用水・工場排水の試料採取方法)小委員会
B:JIS K 0550(超純水中の細菌数試験方法)小委員会
C:JIS K 0551[超純水中の有機体炭素 (TOC) 試験方法]及びJIS K 0552(超純水の電気伝導率試験方法)
小委員会
*
:発足当初は地崎 修(現在は倉 剛進)
** :発足当初は黒木 勝也(現在は加山 英男)
文責:坂本 勉