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K 0450-30-10:2006  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本工業

用水協会(JIWA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの

申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 0450-30-10:2002は改正され,この規格に置き換えられる。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS K 0450には,次に示す附属書がある。 

附属書1(規定)試験に使用する水の質の確認方法 

附属書2(規定)活性けい酸マグネシウムを用いるカラムクロマトグラフ分離法 

附属書3(規定)感度係数を用いる濃度の算出方法 

附属書4(参考)装置の定量範囲の下限値を確認する場合の方法 

JIS K 0450の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 0450-10-10 工業用水・工場排水中のビスフェノールA試験方法 

JIS K 0450-20-10 工業用水・工場排水中のアルキルフェノール類試験方法 

JIS K 0450-30-10 工業用水・工場排水中のフタル酸エステル類試験方法 

JIS K 0450-40-10 用水・排水中のアジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)試験方法 

JIS K 0450-50-10 用水・排水中のベンゾフェノン試験方法 

K 0450-30-10:2006  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 共通事項 ························································································································ 1 

4. 試料 ······························································································································ 2 

4.1 試料の採取 ··················································································································· 2 

4.2 試料の取扱い ················································································································ 3 

5. 試料の前処理 ·················································································································· 3 

5.1 溶媒抽出法 ··················································································································· 3 

5.2 固相抽出法 ··················································································································· 5 

6. ガスクロマトグラフ質量分析法 ·························································································· 6 

6.1 試薬 ···························································································································· 7 

6.2 器具及び装置 ················································································································ 8 

6.3 操作 ···························································································································· 9 

6.4 検量線 ························································································································ 10 

7. 結果の表示 ···················································································································· 10 

附属書1(規定)試験に使用する水の質の確認方法 ···································································· 13 

附属書2(規定)活性けい酸マグネシウムを用いるカラムクロマトグラフ 分離法 ···························· 14 

附属書3(規定)感度係数を用いる濃度の算出方法 ···································································· 17 

附属書4(参考)装置の定量範囲の下限値を確認する場合の方法 ·················································· 18 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0450-30-10:2006 

工業用水・工場排水中の 

フタル酸エステル類試験方法 

Testing method for phthalic acid esters in industrial water and wastewater 

1. 適用範囲 この規格は,工業用水及び工場排水中のフタル酸エステル類のうち,表1の物質の試験方

法について規定する。 

備考 この試験においては,試薬,有機溶媒及び器具類からの汚染,操作及び空気中からの汚染が結

果に大きく影響を及ぼすので,特に注意が必要である。そのためにも試薬と,空気との接触量,

接触時間を最小にする必要がある。 

表 1 対象物質一覧 

Chemical Abstracts name 

慣用名 

CAS No. 

分子式 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジエチルエステル 
1, 2-benzenedicarboxylic acid diethyl ester 

フタル酸ジエチル 

84-66-2 

C12H14O4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジプロピルエステル 
1, 2-benzenedicarboxylic acid dipropyl ester 

フタル酸ジプロピル 

131-16-8 

C14H18O4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジブチルエステル 
1, 2-benzenedicarboxylic acid dibutyl ester 

フタル酸ジブチル 

84-74-2 

C16H22O4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジペンチルエステル 
1, 2-benzenedicarboxylic acid dipentyl ester 

フタル酸ジペンチル 

131-18-0 

C18H26O4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジヘキシルエステル 
1, 2-benzenedicarboxylic acid dihexyl ester 

フタル酸ジヘキシル 

84-75-3 

C20H30O4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)エステル 
1, 2-benzenedicarboxylic acid bis (2-ethylhexyl) ester 

フタル酸ジ-2-エチルヘキシル 

117-81-7 

C24H38O4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジシクロヘキシルエステル 
1, 2-benzenedicarboxylic acid dicyclohexyl ester 

フタル酸ジシクロヘキシル 

84-61-7 

C20H26O4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ブチルフェニルメチルエステル 
1, 2-benzenedicarboxylic acid butylphenylmethyl ester 

フタル酸ブチルベンジル 

85-68-7 

C19H20O4 

2. 引用規格 付表1に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成

する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

3. 共通事項 共通事項は,次による。 

a) 通則 化学分析に共通する一般事項は,JIS K 0050による。 

b) 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0101, JIS K 0102, JIS K 0211又はJIS K 0215によ

る。 

c) ガスクロマトグラフ質量分析法 ガスクロマトグラフ質量分析法に共通する一般事項は,JIS K 0123

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

による。 

d) 化合物の名称 化合物の名称は,社団法人日本化学会が定めた化合物命名法[国際純正及び応用化学

連合(IUPAC)の有機化学命名法に基づく。]によるものを用い,その末尾に慣用名を括弧で記載してあ

る。 

e) 水 この規格で用いる水は,JIS K 0557に規定するA1〜A4の水とする 

f) 

試薬 

1) 試薬は,日本工業規格(以下,JISという。)に規定されているもので試験に支障のないものを用い

る。JISに規定されていないものは,試験に支障のないものを用いる。 

2) 標準液の濃度は,mg/ml,μg/ml又はng/mlで表す。 

3) AとBの混合溶液濃度は,C(a+b)で表す。この表し方は,AとBをa mlとb mlの割合で混合し

たことを示す。 

4) 標準液の名称の後に括弧で示されている濃度は,正確な濃度であることを意味する。 

5) 試薬類の名称は,国際純正及び応用化学連合(IUPAC)の無機化学命名法及び有機化学命名法を基に

して社団法人日本化学会が定めた化合物命名法及びJIS試薬の名称とできるだけ整合させている。 

6) 標準液の調製に使用する試薬は,可能な限りトレーサビリティが確保された標準物質又は認証標準

物質を使用する。入手できない場合は,純度と不確かさが明らかなものを用いる。この規格では,

“標準品”と記述してある。それらの中には類似した化合物が不純物として含まれることがあるの

で,試験に支障のないものを使用する。 

7) 試薬類及び廃液類などによる室内汚染,人体への吸引及び付着に注意する。また,その取扱いにつ

いては,関係法令,規則などに従い,十分に注意する。 

g) ガラス器具類 ガラス器具類についての共通事項は,次による。 

1) ガラス器具類は,特に断らない限りJIS R 3503及びJIS R 3505に規定するものを使用する。ただし,

分液漏斗などのコック部には,四ふっ化エチレン樹脂製のものを用いてもよい。また,加熱操作を

伴う場合には,JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス-1を用いる。 

デシケーターに用いる乾燥剤は,特に断らない限りシリカゲル(1)とする。 

注(1) JIS Z 0701に規定する包装用シリカゲル乾燥剤A形1種を用いる。 

2) 試験に用いるガラス器具類は,使用前に5.1.1 a)の水で洗浄した後,更にアセトン(JIS K 8040に規

定する濃縮300以上の品質のもの。)で洗浄し,放置してアセトンを揮散させた後,約200 ℃以上

で約2時間加熱し,汚染のないところで放冷する。 

h) 検量線 検量線の作成に当たっては,試験方法に示される定量範囲内を4〜6段階に分け,ガスクロマ

トグラフ質量分析計へ導入するフタル酸エステル類の量がその量に一致するように標準液をとり,定

量範囲内について作成する。 

4. 試料 

4.1 

試料の採取 

4.1.1 

試料容器 試料容器は,共栓ガラス瓶1 000ml(2)を用いる。 

注(2) 共栓の代わりにねじぶた(四ふっ化エチレン樹脂製のパッキン付き)を用いたものでもよい。 

4.1.2 

採取操作 採取操作は,次による。 

a) 表層水の採取 JIS K 0094の4.1.1(試料容器による採取)又は4.1.2(バケツ類による採取)による。 

b) 各深度の水の採取 JIS K 0094の4.1.4(バンドーン採水器による採取)による。 

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c) 配管装置からの採取 JIS K 0094の4.3(採取弁を用いる採取)による。 

4.2 

試料の取扱い 試験は試料採取後,直ちに行う。直ちに行えない場合には,0〜10 ℃の暗所に保存

し,できるだけ早く試験する。冷所に保存する場合には,凍結させないようにする。 

5. 試料の前処理 試料の前処理には,溶媒抽出法又は固相抽出法を適用する。固相抽出法は,懸濁物を

含む試料では,抽出に影響を及ぼすことがあるので注意する。 

5.1 

溶媒抽出法 試料に内標準物質として表2に示す重水素化物及び塩化ナトリウムを加え,ヘキサン

を加えてかき混ぜ抽出した後,濃縮し,一定量として脱水する。 

表2 対象重水素化物一覧 

番号 

対象重水素化物 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジエチルエステル[フタル酸ジエチル]-d4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジプロピルエステル[フタル酸ジプロピル]-d4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジブチルエステル[フタル酸ジブチル]-d4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジペンチルエステル[フタル酸ジペンチル]-d4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジヘキシルエステル[フタル酸ジヘキシル]-d4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)エステル[フタル酸ジ-2-エチルヘキシル]-d4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジシクロヘキシルエステル[フタル酸ジシクロヘキシル]-d4 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ブチルフェニルメチルエステル[フタル酸ブチルベンジル]-d4 

5.1.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 水 3.e)のA4(又はA3)を用いる(3)。試薬の調製,操作,空試験にはこの溶液を用いる。 

注(3) 精製直後のものを用いる。必要な場合には,使用前に附属書1の操作を行い,フタル酸エステ

ル類の保持時間に相当する位置にピークのないこと又は試験に影響のないことを確認する。精

製が必要な場合には,JIS K 0557の4.の備考6.による。又はA4(又はA3)の水を活性炭など

で処理する。 

活性炭カートリッジを用いる場合は,ステンレス鋼製又は四ふっ化エチレン樹脂製のものを

用いる。 

貯蔵する場合は,貯蔵タンクの材質は四ふっ化エチレン樹脂製のもので,空気との接触口に

は活性炭カートリッジを付ける。 

b) 塩化ナトリウム JIS K 8150に規定する塩化ナトリウムを約600 ℃で約60分間加熱した後,デシケ

ーター中で放冷する。 

c) 硫酸ナトリウム JIS K 8987に規定する硫酸ナトリウムを約600 ℃で約60分間加熱した後,デシケ

ーター中で放冷する。 

参考 硫酸ナトリウムは,フタル酸エステル試験用が市販されている。 

d) アセトン JIS K 8040に規定する濃縮300以上の品質のもの(4)。 

注(4) 使用前に,10 mlを用いて5.1.3 c)の操作を行い,この溶液を用いて6.3 c)の操作を行い,フタル

酸エステル類の保持時間に相当する位置にピークのないこと又は試験に影響のないことを確認

する。測定に支障のないことを確認した同じロットのものを使用直前に開封し,使用する。開

封後,24時間以上経過したら,新たに未開封のものを使用する。 

e) ヘキサン JIS K 8825に規定する濃縮300以上のもの(5)。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注(5) 使用前に,2.5 mlを用いて5.1.3 c)に準じた操作を行い,この溶液を用いて6.3 c)の操作を行い,

フタル酸エステル類の保持時間に相当する位置にピークのないこと又は試験に影響のないこと

を確認する。測定に支障のないことを確認した同じロットのものを使用直前に開封し,使用す

る。開封後,一昼夜以上経過したら,新たに未開封のものを使用する。 

f) 

各重水素化物標準液(1 mg/ml-アセトン) 表2に示す各重水素化物の標準品0.100 gを,それぞれの

全量フラスコ100 mlにとり,アセトンを標線まで加える(6)(7)(8)。 

注(6) これらの標準液は,5 ℃以下の暗所で保存する。 

(7) これらの標準液の汚染が認められたときは調製し直す。 

(8) 検量線を作成する場合は,各重水素化物標準液は,ヘキサンを用いて調製する。 

g) 重水素化物混合内標準液(各10 μg/ml-アセトン) f)で個別に調製した各重水素化物標準液(1 mg/ml-

アセトン)1 mlを,全量フラスコ100 mlにとり,アセトンを標線まで加える(6)(7)(8)。 

h) 窒素 JIS K 1107に規定する高純度窒素2級。 

5.1.2 

器具 器具は,次による。 

a) 目盛付き共栓試験管 10〜20 ml,透明すり合わせのもの。1 mlに目盛のあるもの。 

b) マイクロシリンジ 10〜200 μl。又は自動注入装置。 

c) 全量フラスコ 100 ml。透明すり合わせのもの。 

d) 振とう器  

5.1.3 

操作 操作は,次による。 

a) 4.1.2で採取した試料95 mlを全量フラスコ100 mlにとり,重水素化物混合内標準液(各10 μg/ml-アセ

トン)10 μlをマイクロシリンジを用いて添加し,更に塩化ナトリウム15 g(9)を加える。続いてヘキサ

ン2.5 ml(10)を加え,密栓した後,試料とヘキサンとを混合する。この全量フラスコを横にして振とう

器に保持し,約10分間水平に振り混ぜ(11)(12)た後,放置する。全量フラスコを2回又は3回転倒した

後,再び振とう器を用いて約10分間水平に振り混ぜ(11)(12)た後,静置する。 

注(9) 全量フラスコのすり合わせ部分に付着させないよう注意する。漏斗を用いるとよい。 

(10) 試料に縣濁物が多量に含まれる場合には,アセトン0.1〜0.5 mlを添加するとよい。 

(11) 抽出に要する振とう時間は,全量フラスコの形状と振とう速度に大きく影響されるので,あら

かじめ回収試験などで最適の条件を確認しておく。 

(12) マグネチックスターラを用いて回転子によってかき混ぜ抽出を行ってもよい。 

かき混ぜ時間は,全量フラスコの形状とマグネチックスターラの回転速度に大きく影響され,

1時間以上かき混ぜが必要なこともある。あらかじめ回収試験などで最適の条件を確認してお

く。 

かき混ぜ時間が長くなると,マグネチックスターラが加熱し,対象物質の抽出に影響を受け

ることがあるので,マグネチックスターラの熱が全量フラスコに伝わらないようにする。 

b) 分離したヘキサン層(13)をパスツールピペット又はガラスキャピラリー管を用いて,できるだけ水を入

れないように注意して,目盛付き共栓試験管に移す(14)。 

注(13) ヘキサン層がエマルションを呈したときは,遠心力20 000〜30 000 m/s2{2 000〜3 000 g}で約

10分間遠心分離を行い,ヘキサン層を分離する。 

(14) 試料に妨害物質が多量に含まれる場合は,引き続いて附属書2のカラムクロマトグラフ分離操

作を行う。 

c) これを室温で窒素を緩やかに吹き付け,約1 mlになるまで濃縮する(15)。 

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注(15) 窒素を吹き付ける操作では,濃縮液が飛散しないように注意する。濃縮液の表面が動いている

のがようやく見える程度に窒素の流量を調節する。また,乾固させると窒素の吹きつけによっ

て対象物質が揮散することがあるので注意する。 

d) この濃縮液に硫酸ナトリウム約0.3 gを加え,測定用溶液とする。 

e) 空試験として試料に代え,水95 mlを全量フラスコ100 mlにとり,a)〜d)の操作を行い,空試験用溶

液とする。 

5.2 

固相抽出法 試料に内標準物質として表2に示す重水素化物を加え,固相カラム又は固相ディスク

を用い,加圧法(16)又は減圧法(17)で試料を通して対象物質を固相に吸着させ,固相から酢酸エチルで溶出

し,約40 ℃で濃縮する。 

注(16) 固相カラムに試料を加圧状態で送り込む方法をいう。 

装置は,調節部及びポンプ部からなり,調節部は,試料を通す時間及び通水流量を制御する。

ポンプ部は,シリンジを用いる方式とペリスタルティックポンプを用いる方式がある。 

シリンジの場合は,チューブは四ふっ化エチレン樹脂製のものを使用する。ペリスタルティ

ックポンプの場合は,使用する溶媒に適したポンプ用チューブを用いる。 

(17) 固相カラムの底部側を減圧状態として試料を送り込む方法をいう。 

装置は,吸引用配管部と真空ポンプ又はアスピレーターからなる。 

減圧法は,固相の通液抵抗のばらつき,試料中の懸濁物などによって流量を一定に保つこと

が困難であるが,簡易な装置で一度に多数の試料を処理できるなど有効な場合もある。この方

法を用いる場合,空気中の汚染を受けないように注意する。 

5.2.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 水 5.1.1 a)による。 

b) 硫酸ナトリウム 5.1.1 c)による。 

c) 酢酸エチル JIS K 8110に規定する濃縮300以上のもの(18)。 

注(18) 使用前に,5 mlを用いて5.2.3 d)に準じた操作を行い,この溶液を用いて6.3 c)の操作を行い,

フタル酸エステル類の保持時間に相当する位置にピークのないこと又は試験に影響のないこと

を確認する。測定に支障のないことを確認した同じロットのものを使用直前に開封し,使用す

る。開封後,24時間以上経過したら,新たに未開封のものを使用する。 

d) メタノール JIS K 8891に規定するもの。 

e) 重水素化物混合標準液(各10 μg/ml-アセトン) 5.1.1g)による。 

f) 

窒素 5.1.1 h)による。 

5.2.2 

器具 器具は,次による。使用するガラス器具類の洗浄は,3.g) 2)による。 

a) 目盛付き共栓試験管 5.1.2 a)による。 

b) マイクロシリンジ 5.1.2 b)による。 

c) 固相カラム 内径10 mm,長さ30〜50 mmのカートリッジ形カラム。カラム充てん剤は,シリカゲル

に逆相系を化学結合したもの又は合成吸着剤を充てんしたもの。合成吸着剤は,多孔性のスチレンジ

ビニルベンゼン共重合体又はこれと同等の性能をもつもの。使用前に酢酸エチル約5 ml,メタノール

約5 ml及び水約10 mlを通して洗浄する。 

備考 カートリッジ形カラムは,市販品にはガラス製及び合成樹脂製のものがあり,合成樹脂からの

フタル酸エステル類の溶出がある場合は,ガラス製を用いる。また,固相は,市販品にはディ

スク形のものもあり,これを用いてもよい。その場合,試料の流量及び溶出溶媒の必要量につ

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いては,あらかじめ確認しておく。 

参考 固相カラム又は固相ディスクには,次のようなものがある。 

Sep-Pak PS-2, OasisTMHLB,ガラスSPE PLS-3,abselut NEXUS カートリッジ形,エムポアデ

ィスクSDB-RPSなど。 

5.2.3 

操作 操作は,次による。 

a) 4.1.2で採取した試料の適量(例えば,100 ml)(19)に,重水素化物混合内標準液(各10 μg/ml-アセト

ン)10 μlをマイクロシリンジを用いて添加し,固相カラム(20)に加圧法又は減圧法によって,試料を

20 ml/min以下の一定の流量(21)で通す。 

注(19) 懸濁物の多い試料は,5.2.3の備考の操作を行う。 

(20) 処理した固相カラムについて回収率などをあらかじめ確認してから使用することが望ましい。 

(21) 固相カラムへの対象物質の吸着帯の幅は,試料流量1 ml/min程度で最小であるが,有機物を多

く含まない試料では10〜20 ml/minで十分な再現性と回収率が得られ,処理時間も短縮できる。

しかし,有機物の濃度が高い試料の場合は,流量を小さく(5 ml/min以下)しないと,再現性

と回収率が低下することがある。また,再現性と回収率を向上させるために,流量は一定に保

つ。 

b) 固相カラムに水10 mlを流して固相カラムを洗浄した後,不活性ガスを固相カラムに30分間以上通し,

水分をできるだけ除去する(22)。 

注(22) 吸引による脱水の場合は,空気からの汚染を受けないように注意する。 

c) 固相カラムの上端から酢酸エチル5 ml(23)を緩やかに通し(24)てフタル酸エステル類を溶出させ,目盛

付き共栓試験管に受ける(14)。 

注(23) 使用する量は,あらかじめフタル酸エステル類を溶出するのに十分な量であることを確認して

おく。また,溶出溶媒として,ジクロロメタンも使用できる。 

(24) 溶出流量は,カラムからの溶出液の液滴が連続しない程度とする。 

d) 目盛付き共栓試験管を,約40 ℃の水浴中で加熱しながら,溶出液に窒素を緩やかに吹き付け,酢酸

エチルが約1 mlになるまで濃縮する(14)(15)。 

e) この濃縮液に硫酸ナトリウム約0.3 gを加え,測定用溶液とする。 

f) 

空試験として試料に代え,水100 mlについて,重水素化物混合内標準液(各10 μg/ml-アセトン)10 μl

をマイクロシリンジを用いて添加し,a)〜e)の操作を行い,空試験用溶液とする。 

備考 試料中に懸濁物の量が多い場合は,次の操作を行う。 

1) 4.1.2で採取した試料をよく振り混ぜ,懸濁物を均一に分散させた後,その適量をとり,酢

酸エチル約5 ml,メタノール約5 ml及び水約10 mlを通して洗浄した孔径1 μmのガラス

繊維ろ紙を用いて吸引ろ過[JIS K 0102の14.1(懸濁物質)のろ過器(分離形)を用いる。]

する。 

2) ろ液について5.2.3 a)以降の操作を行う。 

3) ろ紙上の懸濁物に付着している対象物質を酢酸エチルで溶出し,この溶液は5.2.3 c)の溶出

液に合わせる。 

6. ガスクロマトグラフ質量分析法 測定用溶液の一定量をガスクロマトグラフ質量分析計に導入し,選

択イオン検出法(SIM法)又は全イオン検出法(TIM法)によってフタル酸エステル類を定量する。 

対象物質とその定量範囲及び繰返し分析精度(変動係数)は,表3のとおりである(いずれも装置,測

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

定条件によって定量範囲は異なる。)(25)。 

注(25) 繰返し分析精度は,標準液を用い,繰返し試験で求めた変動係数(%)の概略値。 

表3 対象物質とその定量範囲及び分析精度 

番号 

対象物質 

定量範囲 

(pg) 

分析精度 
変動係数 

(%) 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジエチルエステル[フタル酸ジエチル] 

50〜1 500 

20〜30 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジプロピルエステル[フタル酸ジプロピル] 

20〜600 

10〜20 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジブチルエステル[フタル酸ジブチル] 

50〜1 500 

20〜30 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジペンチルエステル[フタル酸ジペンチル] 

20〜600 

10〜20 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジヘキシルエステル[フタル酸ジヘキシル] 

20〜600 

10〜20 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)エステル[フタル酸ジ-2-エチル
ヘキシル] 

50〜1 500 

20〜30 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジシクロヘキシルエステル[フタル酸ジシクロヘキシル] 20〜600 

10〜20 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ブチルフェニルメチルエステル[フタル酸ブチルベンジ
ル] 

20〜600 

10〜20 

参考 使用する装置の定量下限値を確認する場合は,附属書によるとよい。 

6.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) ヘキサン 5.1.1 e)による。 

b) 各対象物質の標準液(2,5 mg/ml-ヘキサン) 1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジプロピルエステル[フタル

酸ジプロピル],1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジペンチルエステル[フタル酸ジペンチル],1, 2-ベンゼ

ン二カルボン酸ジヘキシルエステル[フタル酸ジヘキシル],1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジシクロヘキ

シルエステル[フタル酸ジシクロヘキシル]及び1, 2-ベンゼン二カルボン酸ブチルフェニルメチルエ

ステル[フタル酸ブチルベンジル]の各標準品0.200g, 1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジエチルエステル[フ

タル酸ジエチル],1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジブチルエステル[フタル酸ジブチル]及び1, 2-ベンゼ

ン二カルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)エステル[フタル酸ジ-2-エチルヘキシル]の各標準品0.500 

gを,あらかじめヘキサン5〜10 mlを入れた全量フラスコ100 mlにそれぞれとり,ヘキサンを標線ま

で加える(6)(7)(26)。 

注(26) 前処理で固相抽出法を用いた場合は,酢酸エチル[5.2.1 c)による。]を用いる。 

c) 各対象物質の混合標準液(20,50 μg/ml-ヘキサン) b)で個別に調製した各対象物質の標準液(2, 5 

mg/ml-ヘキサン)のそれぞれ1 mlを,全量フラスコ100 mlにとり,ヘキサンを標線まで加える(6)(7)(26)。 

d) 各対象物質の混合標準液(2,5 μg/ml-ヘキサン) c)で個別に調製した各対象物質の標準液(20, 50 

μg/ml-ヘキサン)のそれぞれ10 mlを,全量フラスコ100 mlにとり,ヘキサンを標線まで加える(6)(7)(26)。 

e) 重水素化物混合内標準液(各10 μg/ml-ヘキサン) 5.1.1のf)及びg)と同じ操作によってヘキサンを

用いて調製する(6)(7)(26)。 

f) 

窒素 5.1.1h)による。 

参考 各対象物質の標準液及び混合標準液の各段階における採取量などを参考表1に示す。 

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参考表1 各対象物質の標準液及び混合標準液の採取量* 

番号 

対象物質 

b) 標準液 (A) 

(2, 5mg/ml) 

各対象物質の混合標準液 

c) 標準液 (B) 

(20, 50μg/ml) 

d) 標準液 (C) 

(2, 5μg/ml) 

(標準品採取 

量 g/100ml) 

[(A) からの採取

量 ml/100ml] 

[(B) からの採取 

量 ml/100ml] 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジエチルエステル[フタル
酸ジエチル] 

0.500 

1.0 

10 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジプロピルエステル[フタ
ル酸ジプロピル] 

0.200 

1.0 

10 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジブチルエステル[フタル
酸ジブチル] 

0.500 

1.0 

10 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジペンチルエステル[フタ
ル酸ジペンチル] 

0.200 

1.0 

10 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジヘキシルエステル[フタ
ル酸ジヘキシル] 

0.200 

1.0 

10 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)
エステル[フタル酸ジ-2-エチルヘキシル] 

0.500 

1.0 

10 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジシクロヘキシルエステル
[フタル酸ジシクロヘキシル] 

0.200 

1.0 

10 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ブチルフェニルメチルエス
テル[フタル酸ブチルベンジル] 

0.200 

1.0 

10 

注* 

全量フラスコ100 mlに採取する量を示す。 

6.2 

器具及び装置 器具及び装置は,次による。 

a) 目盛付き共栓試験管 5.1.2 a)による。 

b) マイクロシリンジ 1〜200 μl。又は自動注入装置。 

c) ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS) 次の条件を満たすもの(27)。 

注(27) これらの条件は,装置,測定条件によって異なる。 

1) キャピラリーカラム用管 内径0.1〜0.5 mm, 長さ5〜100 mのステンレス鋼,石英ガラス又はほう

けい酸ガラス製のもの。 

2) キャピラリーカラム キャピラリーカラム用管の内壁にメチルシリコーン系固定相液体(28)を厚さ

0.05〜10 μmに被覆したもの又は同等の分離性能をもつもの。 

注(28) メチルシリコーン系固定相液体としては,100 %メチルシリコーン,5 %フェニル-95 %メチルシ

リコーンなど,又はこれと同等の分離性能をもつものを用いる。 

参考1. この試験に用いるキャピラリーカラムで,メチルシリコーン系固定相液体として100 %メチ

ルシリコーンを用いたものが,DB-1, CBP-1, CP-SIL-5CB, Inert Capl, SPB-1, Ultra-1などの名称

で市販されている。 

2. 市販品には,内径0.53 mmのものもある。 

3) 検出器 選択イオン検出法(SIM法)又は全イオン検出法(TIM法)が行えるもの。 

4) キャリヤーガス ヘリウム[99.999 9 %(体積百分率)以上]で,線速度は20〜40 cm/sの範囲に

調節して用いる。 

5) 試料導入方法及び試料導入部温度 試料導入方法は,スプリットレス注入法(非分割導入方式)に

よる。試料導入部温度は,220〜280 ℃。 

6) GC/MS接続部温度 250〜280 ℃ 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7) イオン源温度 200〜280 ℃(29) 

注(29) 装置によっては,200 ℃以下でも使用が可能なものもある。 

8) 電子加速電圧 70 V 

9) 昇温プログラム 50〜270 ℃(2〜10 ℃/minの昇温) 

6.3 

操作 操作は,次による。 

a) あらかじめガスクロマトグラフ質量分析計に,各対象物質及び重水素化物内標準物質の選択イオン

(m/z)(30)を設定しておく。 

注(30) 対象物質及び重水素化物内標準物質の選択した特定の質量電荷比をもつイオン(選択イオン)

の一例を表4に示す。 

表4 対象物質及び重水素化物内標準物質の選択イオンの一例 

対象物質 

選択イオン (m/z) 

定量用 

確認用 



1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジエチルエステル 

149 

177 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジプロピルエステル 

149 

209 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジブチルエステル 

149 

223 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジペンチルエステル 

149 

237 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジヘキシルエステル 

149 

251 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)エステル 

149 

167 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジシクロヘキシルエステル 

149 

167 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ブチルフェニルメチルエステル 

149 

206 



1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジエチルエステル-d4 

153 

− 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジプロピルエステル-d4 

153 

− 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジブチルエステル-d4 

153 

− 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジペンチルエステル-d4 

153 

− 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジヘキシルエステル-d4 

153 

− 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)エステル-d4 

153 

− 

1, 2-ベンゼン二カルボン酸ジシクロヘキシルエステル-d4 

153 

− 

1,2-ベンゼン二カルボン酸ブチルフェニルメチルエステル-d4 

153 

− 

b) 各対象物質の混合標準液(2,5 μg/ml-ヘキサン)(26)1ml,重水素化物混合内標準液(各10 μg/ml-ヘキサ

ン)(26)100 μlとを全量フラスコ10 mlにとり,ヘキサンを標線まで加える。 

c) この溶液の1 μlをマイクロシリンジ(31)でとり,ガスクロマトグラフ質量分析計(30)に導入し,選択イ

オン検出法(SIM法)又は全イオン検出法(TIM法)によって測定してそのクロマトグラムを記録し,

各対象物質の保持時間に相当するピークの位置を確認しておく。 

注(31) 6.4の検量線作成時と同じものを用いる。 

d) 5.1.3 d)又は5.2.3 e)で得た測定用溶液1 μlをマイクロシリンジ(31)でとり,c)と同じ操作を行ってクロ

マトグラムを記録し,c)の保持時間と一致していることを確認(32)し,保持時間に相当する位置のピー

クについて,指示値(33)を読み取る。 

注(32) 試料中の各対象物質の確認イオンと定量イオンのピーク強度比が標準液中の各対象物質のピー

クの±20 %以内にあれば,同じ物質が存在しているものとみなす。 

(33) ピーク高さ又はピーク面積 

e) これらの各対象物質の指示値と各重水素化物の指示値との比を求める。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

f) 

空試験として,5.1.3 e)又は5.2.3 f)で得た空試験用溶液について,d)の操作を行い,対象物質の保持時

間に相当する位置にピーク(32)が検出された場合は,各対象物質の指示値と各重水素化物の指示値との

比を求める。 

g) 検量線から各対象物質の質量と各重水素化物の質量との比(試料中の比a及び空試験の比b)を求め,

次の式によって試料中の各対象物質の濃度(μg/L)を算出する。 

(

)

V

n

b

a

X

000

1

×

×

ここに, 

X: 試料中の対象物質の濃度 (μg/L)  

a: 検量線から求めた各対象物質と各重水素化物との質量比 

b: 空試験から求めた各対象物質と各重水素化物との質量比 

n: 重水素化物の質量 (μg)  

V: 試料 (ml)  

1 000: 試料1 Lに換算する係数 

6.4 

検量線 検量線は,次による。 

a) 各対象物質の混合標準液(20,50 μg/ml-ヘキサン)(26)0.1〜3 mlを全量フラスコ10 mlに段階的にとり,

それぞれに重水素化物混合標準液(各10 μg/ml-ヘキサン)(26)100 μlを加え,ヘキサンを標線まで加え

る。これを検量線作成用標準液とする。 

b) 検量線作成用標準液のそれぞれの一定量[試料と同量(例えば,1 μl)]をマイクロシリンジでとり,6.3 

d)の操作を行う。 

c) 検量線作成用標準液中の各対象物質の質量(Ms)と各重水素化物の質量(Mi)との比()

i

s

M

Mを横軸にとり,各

対象物質の選択イオン(30)における指示値(As)(33)と各重水素化物の選択イオン(30)における指示値(Ai) 

(33)との比()

i

s

A

Aを縦軸にとって,関係線を作成する。検量線の作成は,試料測定時に行う。 

備考 検量線に代え,検量線が直線性を示す場合に感度係数(RF)を求め,これによって検出量を求め

る方法を附属書3に示す。 

7. 結果の表示 結果の表示には,試料量,濃縮条件(例えば,濃縮量,カラムクロマトグラフ分離の有無

など),ガスクロマトグラフ質量分析計の測定条件[例えば,6.2 c)に掲げる条件において,いずれかを選

択した事項など。],ガスクロマトグラフへの導入量,対象物質の測定結果などを明記する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付表 1 引用規格 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0094 工業用水・工場排水の試料採取方法 

JIS K 0101 工業用水試験方法 

JIS K 0102 工場排水試験方法 

JIS K 0123 ガスクロマトグラフ質量分析通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門) 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 1107 高純度窒素 

JIS K 8039 アセトニトリル(残留農薬・PCB試験用)(試薬) 

JIS K 8040 アセトン(残留農薬・PCB試験用)(試薬) 

JIS K 8110 酢酸エチル(残留農薬・PCB試験用)(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8251 ガラスウール(試薬) 

JIS K 8825 ヘキサン(残留農薬・PCB試験用)(試薬) 

JIS K 8891 メタノール(試薬) 

JIS K 8987 硫酸ナトリウム(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤 

関連規格 ISO 18856 Water quality−Determination of selected phthalates using gas chromatography/mass 

spectrometry 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(規定)試験に使用する水の質の確認方法 

序文 この附属書は,この規格の試料の前処理,試薬の調製,空試験などに使用する水が,フタル酸エス

テル類に相当する位置にピークのないこと又は試験に影響のないことを確認する方法について規定する。 

1. 水の質の確認方法 この方法は,試料の前処理,試薬の調製,空試験などに使用する水について,本

体の5.1の溶媒抽出法に準じた操作を行った後,試料の測定に用いるガスクロマトグラフ質量分析計に導

入し,フタル酸エステル類に相当する位置にピークのないこと又は試験に影響のないことを確認するもの

である。 

1.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 硫酸ナトリウム 本体の5.1.1 c)による。 

b) ヘキサン 本体の5.1.1 e)による。 

1.2 器具及び装置 器具及び装置は,次による。 

a) 目盛付き共栓試験管 本体の5.1.2 a)による。 

b) マイクロシリンジ 本体の6.2 b)による。 

c) 全量フラスコ 本体の5.1.2 c)による。 

d) ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS) 本体の6.2 c)による。 

e) 振とう器 本体の5.1.2 d)による。 

1.3 

操作 操作は,次による。 

a) 試験に使用する水[3.e)のA4(又はA3)の水]95 mlを全量フラスコ100 mlにとり,ヘキサン2.5 ml

を加え,密栓した後,水とヘキサンとを混合する。この全量フラスコを横にして振とう器に保持し,

約10分間水平に振り混ぜ(1)(2)た後,放置する。全量フラスコを2回又は3回転倒した後,再び振とう

器を用いて約10分間水平に振り混ぜ(1)(2)た後,静置する。 

注(1) 本体の注(11)による。 

(2) 本体の注(12)による。 

b) 分離したヘキサン層をパスツールピペット又はガラスキャピラリー管を用いて,できるだけ水を入れ

ないように注意して,目盛付き共栓試験管に移す。 

c) 本体の5.1.3のc)及びd)の操作を行う。 

d) この溶液1 μlをマイクロシリンジでとり,本体の6.3のa)及びc)の操作を行い,フタル酸エステル類

の保持時間に相当する位置にピークがないか,ピークが検出されたとしても,試験に影響のないこと

を確認する。 

14 

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附属書2(規定)活性けい酸マグネシウムを用いるカラムクロマトグラフ 

分離法 

序文 この附属書は,試料の前処理[本体の5.1.3 b)又は5.2.3 c)]において,試料中に妨害物質が多量に

含まれる場合の前処理として活性けい酸マグネシウムを用いるカラムクロマトグラフ分離法について規定

する。 

1. 活性けい酸マグネシウムを用いるカラムクロマトグラフ分離法 本体の5.1.3 b)又は5.2.3 c)の操作を

行った後,この方法を適用する。 

1.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 水 本体の5.1.1 a)による。 

b) 硫酸ナトリウム 本体の5.1.1 b)による。 

c) アセトニトリル JIS K 8039に規定する濃縮300以上の品質のもの(1)。 

注(1) 本体の注(5)による。ただし,ヘキサンに代え,アセトニトリルを用いる。 

d) ヘキサン 本体の5.1.1e)による。使用前に100 mlを用いて,1.3のd)及びe)の操作を行い,この溶液

を用いて,本体の6.3 c)の操作を行い,フタル酸エステル類の保持時間に相当する位置にピークのな

いこと又は試験に影響のないことを確認する。 

e) アセトニトリル-ヘキサン溶離液(0.5+100)  

f) 

各対象物質の混合標準液(20,50 μg/ml-ヘキサン) 本体の6.1 c)による。 

g) 重水素化物混合内標準液(各10 μg/ml-ヘキサン) 本体の6.1 e)による。 

h) 窒素 本体の5.1.1 h)による。 

1.2 

器具 器具は,次による。使用するガラス器具類の洗浄は,本体の3.g) 2)による。 

a) 目盛付き共栓試験管 本体の5.1.2 a)による。 

b) 共通すり合わせ三角フラスコ 100〜500 ml 

c) 濃縮器 ロータリーエバポレーター又はクデルナ−ダニッシュ濃縮器(2) 

注(2) 毛細管を付けないもの。 

d) 濃縮器用フラスコ ロータリーエバポレーターを用いる場合は,なす形フラスコ。クデルナ−ダニッ

シュ濃縮器を用いる場合は,濃縮管付き濃縮フラスコ。100〜500 mlの共通すり合わせで濃縮器に接

続できるもの。 

e) カラムクロマトグラフ管 カラムクロマトグラフ管は,次による。 

1) カラム用管 内径10 mm,長さ300 mmのコック付きガラス管 

2) カラム充てん剤 カラムクロマトグラフ用の活性けい酸マグネシウム(粒径150〜250 μm)を約

130 ℃で15時間以上加熱した後,デシケーター中で放冷する。その95 gを共通すり合わせ三角フ

ラスコにとり,かき混ぜながら,水5 mlを滴加する。軽く密栓をし,発熱が終了するまで静かに混

合する。さらに,振とう器で約30分間振り混ぜる。3)でカラムクロマトグラフ管として調製したも

のについて,対象物質の保持時間にピークの生じないことを確認する(3)。 

注(3) 処理した活性けい酸マグネシウム15 gを,3)でカラムクロマトグラフ管とし,1.3のb)〜e)の操

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

作を行い,この濃縮液1 μlを本体の6.3 c)によって各対象物質の保持時間に相当する位置にピー

クのないことを確認する。 

参考 活性けい酸マグネシウムは,フロリジルPRなどが市販されている。 

3) クロマトグラフ管の作り方 カラム用管の底部にJIS K 8251に規定するガラスウール(あらかじめ

ヘキサンで洗浄したもの。)を詰め,少量のヘキサンを加えて,ガラスウール間の気泡を除去する。

続いて,カラム充てん剤約2 gをビーカーにとり,ヘキサンを加えてスラリー状にし,これを気泡

が入らないようにカラム用管に流し込み(4),その上部に硫酸ナトリウムを約2 cmになるように積層

した後,コックを操作し,ヘキサンが硫酸ナトリウム層よりわずかに上部になるようにヘキサンを

流し出す。 

注(4) カラム用管にカラム充てん剤を均一に充てんするために,充てん剤を流し込んだ後,カラム用

管に縦横の振動を与えるとよい。 

f) 

円筒形滴下漏斗 200 ml。カラムクロマトグラフ用。 

1.3 

分離操作 分離操作は,次による。 

a) 本体の5.1.3 b)又は5.2.3 d)で得た濃縮液の全量をカラムクロマトグラフ管の上部から流し込み,コッ

クを操作して液面を硫酸ナトリウムの層よりわずかに上部になるようにする。濃縮液が入っていた目

盛付き共栓試験管の内壁をヘキサン0.5〜1 mlで洗い,洗液はカラムクロマトグラフ管に流し込む。 

b) カラムクロマトグラフ管の上部に円筒形滴下漏斗を装着し,ヘキサン50 mlを入れ,約1 ml/minで流

下(5)して対象物質を吸着させる。ヘキサンが硫酸ナトリウム層のわずか上部にある状態でコックを閉

め,流出液は捨てる。 

注(5) 分画は,分子状硫黄が溶出してくる。含水活性けい酸マグネシウムを用いるカラムクロマトグ

ラフ法によるクリーンアップで単体硫黄を十分に除去できない場合には,測定用溶液を還元銅

カラムに通して,硫黄を除去する。 

c) 引き続きカラムクロマトグラフ管の上部の円筒形滴下漏斗から,アセトニトリル-ヘキサン溶離液(0.5

+100)100 mlを約1 ml/minで流下し,フタル酸エステル類を溶出させ(6),溶出液を濃縮器フラスコに受

ける。 

注(6) 備考の操作によってあらかじめ溶出パターン及び回収率を確認しておくとよい。 

d) 濃縮器を用いて,約40 ℃の水浴中で加熱(7)しながら,溶出液が約10 mlになるまで濃縮する。 

注(7) ロータリーエバポレーターを用いた場合は,約40℃の水浴中で加熱しながら減圧濃縮し,乾固

しないように注意する。クデルナ−ダニッシュ濃縮器を用いる場合は,減圧方式ではなく,大

気圧下で75 ℃以下で加熱して濃縮する。濃縮終了後,スニーダーカラムを濃縮部に付けたま

ま装置からとり外し,スニーダーカラムの上部から少量のヘキサンを加えて洗浄し,スニーダ

ーカラムを付けたまま放冷する。 

e) 濃縮液を目盛付き共栓試験管に移し,室温で窒素を緩やかに吹き付け,約1 mlになるまで濃縮(8)した

後,本体の5.1.3 d)以降の操作を行う。 

注(8) 本体の注(16)による。 

備考 溶出パターン及び回収率の確認は,次の操作を行う。この操作によってカラムクロマトグラフ

操作に必要なヘキサン及びアセトニトリル-ヘキサン溶離液(0.5+100)の量を確認しておく。 

1) 各対象物質の混合標準液(20,50 μg/ml-ヘキサン)100 μl,重水素化物混合内標準液(各10 

μg/ml-ヘキサン)1 mlをカラムクロマトグラフ管の上部から流し込む。 

2) コックを操作して液面を硫酸ナトリウム層よりわずかに上部になるようにする。 

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K 0450-30-10:2006  

   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3) 続いてb)の操作を行い,流出する溶液約10 mlを1画分として別々の目盛付き共栓試験管

にとる。 

4) さらに,c)の操作を行い,最初から流出する溶液約10 mlを1画分として別々の目盛付き

共栓試験管にとる。 

5) それぞれの目盛付き共栓試験管を,約40 ℃の水浴中で加熱しながら,窒素を緩やかに吹

き付け,約1 mlになるまで濃縮する。 

6) 続いて本体の6.3のc)〜e)及びg)によって溶出パターン及び回収率を求める。 

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K 0450-30-10:2006  

   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書3(規定)感度係数を用いる濃度の算出方法 

序文 この附属書は,本体の6.4の検量線に代え,検量線が直線性を示す場合に(1),平均感度係数(RF)を

求め,これによって試料中のフタル酸エステルの濃度を求める方法について規定する。 

注(1) 保持時間の遅いフタル酸エステル類の検量線は,直線にならないことがある。このような場合

には,この方法は適用できない。 

1. 濃度の算出法 濃度の算出は,次による。 

a) 本体の6.4 b)で得られた各標準物質及び各対象物質の重水素化物による指示値から,次の式によって

各感度係数(RF)を算出する。 

s

is

is

st

C

C

A

A

RF

×

ここに, 

Ast: 各標準物質による指示値 

Ais: 各対象物質の重水素化物による指示値 

Cis: 検量線作成用標準液中の各対象物質の重水素化物(μg)  

Cs: 検量線作成用標準液中の各標準(μg)  

b) 各感度係数の平均値を求め,平均感度係数(RF)とする。 

c) 次の式によって各物質の濃度(μg/L)を算出する。 

e

'is

s

s

V

RF

A

I

A

N

×

×

×

ここに, 

N: 試料中の各物質の濃度(μg/L)  

As: 試料中の各物質による指示値 

A'is: 各対象物質の重水素化物による指示値 

Is: 添加した重水素化物(μg)  

Ve: 試料(L)  

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書4(参考)装置の定量範囲の下限値を確認する場合の方法 

序文 この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,装置の検出下限値から,定量範囲の下限値

を確認する方法を参考として示したものであり,規定の一部ではない。 

1. 定量範囲の下限値の算出方法 定量範囲の下限値の算出方法は,次による。 

a) 本体の6.1 c)の各対象物質の混合標準液(20,50 μg/ml-ヘキサン)10 μL,本体の6.1 e)の重水素化物混合内

標準液(各10 μg/ml-ヘキサン)100 μlとを全量フラスコ10 mlにとり,ヘキサンを標線まで加える。 

b) この溶液の1 μlをマイクロシリンジでとり,ガスクロマトグラフ質量分析計(1)に導入し,本体の6.3

のd),e)及びg)によって定量する。 

注(1) 本体の6.3 a)で調整したガスクロマトグラフ質量分析計を用いる。 

c) a)及びb)の操作を5回以上繰り返す。 

d) 得られた測定値から,次の式によって標準偏差を求め,その3倍を装置の検出下限値(2)(3),10倍を装

置の定量下限値(3)とする。 

(

)

1

2

i

n

x

x

s∑

ここに, 

s: 標準偏差 

xi: 個々の測定値 

x: 測定値の平均値 

n: 測定回数 

注(2) ここで得られた装置の検出下限値が,対象物質の定量下限値より大きい場合には,器具,機器

などを確認して,これらの値以下になるように調整する。 

(3) この装置の検出下限値及び定量下限値は,使用する装置の状態などによって変動するため,あ

る一定周期で確認し,常に十分な値が得られるように管理する。また,使用する装置及び測定

条件を変更した場合などには必ず確認する。