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K 0450-20-10:2006  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本工業

用水協会(JIWA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの

申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 0450-20-10:2002は改正され,この規格に置き換えられる。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS K 0450-20-10には,次に示す附属書がある。 

附属書1(規定)試験に使用する水の質の確認方法 

附属書2(規定)シリカゲルを用いるカラムクロマトグラフ分離法 

附属書3(規定)アセチル誘導体化法による定量 

附属書4(規定)トリメチルシリル(TMS)誘導体化法による定量 

附属書5(参考)装置の定量範囲の下限値を確認する場合の方法 

JIS K 0450の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 0450-10-10 工業用水・工場排水中のビスフェノールA試験方法 

JIS K 0450-20-10 工業用水・工場排水中のアルキルフェノール類試験方法 

JIS K 0450-30-10 工業用水・工場排水中のフタル酸エステル類試験方法 

JIS K 0450-40-10 用水・排水中のアジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)試験方法 

JIS K 0450-50-10 用水・排水中のベンゾフェノン試験方法 

K 0450-20-10:2006  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 共通事項 ························································································································ 1 

4. 試料 ······························································································································ 2 

4.1 試料の採取 ··················································································································· 2 

4.2 試料の取扱い ················································································································ 3 

5. 試料の前処理 ·················································································································· 3 

5.1 溶媒抽出法 ··················································································································· 3 

5.2 固相抽出法 ··················································································································· 5 

6. ガスクロマトグラフ質量分析法 ·························································································· 7 

6.1 試薬 ···························································································································· 7 

6.2 器具及び装置 ················································································································ 8 

6.3 操作 ···························································································································· 9 

6.4 検量線 ························································································································ 10 

7. 結果の表示 ···················································································································· 10 

附属書1(規定)試験に使用する水の質の確認方法 ···································································· 12 

附属書2(規定)シリカゲルを用いるカラムクロマトグラフ分離法 ··············································· 13 

附属書3(規定)アセチル誘導体化法による定量 ······································································· 15 

附属書4(規定)トリメチルシリル(TMS)誘導体化法による定量 ··················································· 17 

附属書5(参考)装置の定量範囲の下限値を確認する場合の方法 ·················································· 20 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格         JIS 

K 0450-20-10:2006 

工業用水・工場排水中の 

アルキルフェノール類試験方法 

Testing method for alkyl phenols in industrial water and wastewater 

1. 適用範囲 この規格は,工業用水及び工場排水中のアルキルフェノール類のうち,表1の物質の試験

方法について規定する。 

表 1 対象物質一覧 

Chemical Abstracts name 

慣用名 

CAS No. 

分子式 

4-(1,1-ジメチルエチル)フェノール 
4- (1,1-dimethylethyl) phenol 

4-t-ブチルフェノール 

98-54-4 

C10H14O 

4-ペンチルフェノール 
4-pentylphenol 

4-n-ペンチルフェノール 

14938-35-3 

C11H16O 

4-ヘキシルフェノール 
4-hexylphenol 

4-n-ヘキシルフェノール 

2446-69-7 

C12H18O 

4-ヘプチルフェノール 
4-heptylphenol 

4-n-ヘプチルフェノール 

1987-50-4 

C13H20O 

4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール 
4- (1,1,3,3-tetramethylbutyl) phenol 

4-t-オクチルフェノール 

140-66-9 

C14H22O 

4-オクチルフェノール 
4-octylphenol 

4-n-オクチルフェノール 

1806-26-4 

C14H22O 

ノニルフェノール* 
nonylphenol 

ノニルフェノール 

104-40-5 

25154-52-3 

C15H24O 

注* 

ここでいうノニルフェノールは,ノナン [CH3 (CH2) 7CH3] がフェノールの4-位(p-位)に置換
したもの(4-ノニルフェノール)が大部分であるが,これ以外に2-位(o-位)又は3-位(m-位)に置
換にしたもののほか,炭素数が9(直鎖と側鎖の炭素数の和)の異性体を含んだもの。 

2. 引用規格 付表1に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成

する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

3. 共通事項 共通事項は,次による。 

a) 通則 化学分析に共通する一般事項は,JIS K 0050による。 

b) 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0101,JIS K 0102,JIS K 0211又はJIS K 0215に

よる。 

c) ガスクロマトグラフ質量分析法 ガスクロマトグラフ質量分析法に共通する一般事項は,JIS K 0123

による。 

d) 化合物の名称 化合物の名称は,社団法人日本化学会が定めた化合物命名法[国際純正及び応用化学

連合(IUPAC)の有機化学命名法に基づく。]によるものを用い,その末尾に慣用名を括弧で記載してあ

K 0450-20-10:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。 

e) 水 この規格で用いる水は,JIS K 0557に規定するA1〜A4の水とする。 

f) 

試薬  

1) 試薬は,日本工業規格(以下,JISという。)に規定されているもので試験に支障のないものを用い

る。JISに規定されていないものは,試験に支障のないものを用いる。 

2) 標準液の濃度は,mg/ml,μg/ml又はng/mlで表す。 

3) AとBの混合溶液濃度は,C(a+b)で表す。この表し方は,AとBをa mlとb mlの割合で混合した

ことを示す。 

4) 標準液の名称の後に括弧で示されている濃度は,正確な濃度であることを意味する。 

5) 試薬類の名称は,国際純正及び応用化学連合(IUPAC)の無機化学命名法及び有機化学命名法を基に

して社団法人日本化学会が定めた化合物命名法及びJIS試薬の名称とできるだけ整合させている。 

6) 標準液の調製に使用する試薬は,可能な限りトレーサビリティが確保された標準物質又は認証標準

物質を使用する。入手できない場合は,純度と不確かさが明らかなものを用いる(1)。この規格では,

“標準品”と記述してある。それらの中には類似した化合物が不純物として含まれることがあるの

で,試験に支障のないものを使用する。 

注(1) ノニルフェノールについては,4-ノニルフェノールのほかに炭素数9の異性体の含量によって

純度が異なる。 

7) 試薬類及び廃液類などによる室内汚染,人体への吸入及び付着に注意する。また,その取扱いにつ

いては,関係法令,規則などに従い,十分に注意する。 

g) ガラス器具類 ガラス器具類についての共通事項は,次による。 

1) ガラス器具類は,特に断らない限りJIS R 3503及びJIS R 3505に規定するものを使用する。ただし,

分液漏斗などのコック部には四ふっ化エチレン樹脂製のものを用いてもよい。また,加熱操作を伴

う場合には,JIS R 3503に規定するほうけい酸ガラス-1を用いる。 

デシケーターに用いる乾燥剤は,特に断らない限りシリカゲル(2)とする。 

注(2) JIS Z 0701に規定する包装用シリカゲル乾燥剤A形1種を用いる。 

2) 試験に用いるガラス器具類は,使用前に5.1.1 a)の水で洗浄した後,更に,アセトン(JIS K 8040に

規定する濃縮300以上の品質のもの。)で洗浄後,放置してアセトンを揮散させた後,約200 ℃で

約2時間加熱し,汚染のないところで放冷する。 

h) 検量線 検量線の作成に当たっては,試験方法に示される定量範囲内を4〜6段階に分け,ガスクロマ

トグラフ質量分析計へ導入するアルキルフェノール類の量がその量に一致するように標準液をとり,

定量範囲内について作成する。 

4. 試料 

4.1 

試料の採取  

4.1.1 

試料容器 試料容器は,共栓ガラス瓶1 000 ml(3)を用いる。 

注(3) 共栓の代わりにねじぶた(四ふっ化エチレン樹脂製のパッキン付き)を用いたものでもよい。 

4.1.2 

採取操作 採取操作は,次による。 

a) 表層水の採取 JIS K 0094の4.1.1(試料容器による採取)又は4.1.2(バケツ類による採取)による。 

b) 各深度の水の採取 JIS K 0094の4.1.4(バンドーン採水器による採取)による。 

c) 配管装置からの採取 JIS K 0094の4.3(採取弁を用いる採取)による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.2 

試料の取扱い 試験は試料採取後,直ちに行う。直ちに行えない場合には,0〜10 ℃の暗所に保存

し,できるだけ早く試験する。冷所に保存する場合には,凍結させないようにする。 

5. 試料の前処理 試料の前処理には,溶媒抽出法又は固相抽出法を適用する。固相抽出法は,懸濁物を

含む試料では,抽出に影響を及ぼすことがあるので注意する。 

なお,試料中に懸濁物が多量に含まれる場合には,5.1.3の備考の操作を行う。 

5.1 

溶媒抽出法 試料に塩酸を加えてpHを約3に調節し,塩化ナトリウムを添加後,内標準物質として

表2に示す重水素化物を加え,ジクロロメタンで対象物質を抽出した後,脱水,濃縮し,フェナントレン

-d10を加えて一定量とする(4)。 

注(4) 3. f) 7)による。 

表 2 対象重水素化物一覧 

番号 

対象重水素化物 

4-(1,1-ジメチルエチル)フェノール[4-t-ブチルフェノール]-d4 

4-ペンチルフェノール[4-n-ペンチルフェノール]-d4 

4-ヘキシルフェノール[4-n-ヘキシルフェノール]-d4 

4-ヘプチルフェノール[4-n-ヘプチルフェノール]-d4 

4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール[4-t-オクチルフェノール]-d4 

4-オクチルフェノール[4-n-オクチルフェノール]-d4 

4-ノニルフェノール[4-n-ノニルフェノール]-d4 

5.1.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 水 3.e)のA4(又はA3)を用いる(5)。試薬の調製,操作,空試験に用いる。 

注(5) 精製直後のものを用いる。必要な場合には,使用前に附属書1の操作を行い,アルキルフェノ

ール類の保持時間に相当する位置にピークのないことを確認する。さらに,精製が必要な場合

には,JIS K 0557の4.の備考6.による。又はA4又はA3の水を活性炭などで処理する。 

b) 塩酸(1 mol/L) JIS K 8180に規定する塩酸を用いて調製する。 

c) 塩化ナトリウム JIS K 8150に規定する塩化ナトリウムを約600 ℃で約60分間加熱した後,デシケ

ーター中で放冷する。 

d) 硫酸ナトリウム JIS K 8987に規定する硫酸ナトリウムを約600 ℃で約60分間加熱した後,デシケ

ーター中で放冷する。 

e) アセトン JIS K 8040に規定する濃縮300以上のもの(6)。 

注(6) 使用前に,10 mlを用いて5.1.3のd)及びe)に準じた操作[ただし,フェナントレン-d10内標準

液(1 μg/ml)の添加は行わない。]を行い,この溶液を用いて6.3 c)の操作を行い,各対象物質の

保持時間に相当する位置にピークのないことを確認する。 

 開封後は,汚染のない場所に保存しておく。 

f) 

ジクロロメタン JIS K 8117に規定する濃縮300以上のもの(7)。 

注(7) 使用前に,100 mlを用いて5.1.3のd)及びe)に準じた操作[ただし,フェナントレン-d10内標準

液(1 μg/ml)の添加は行わない。]を行い,この溶液を用いて6.3 c)の操作を行い,各対象物質の

保持時間に相当する位置にピークのないことを確認する。 

g) 各重水素化物内標準液(1 mg/ml-アセトン) 表2に示す各重水素化物の標準品0.100 gをとり,あらか

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じめアセトン5〜10 mlを入れたそれぞれの全量フラスコ100 mlに移し,アセトンを標線まで加える(8)。 

注(8) 5 ℃以下の暗所に保存する。 

h) 重水素化物混合内標準液(各10 μg/ml-アセトン) g)で個別に調製した各重水素化物内標準液(1 mg/ml-

アセトン) 1 mlをそれぞれとり,あらかじめアセトン5〜10 mlを入れた全量フラスコ100 mlに移し,

アセトンを標線まで加える(8)。 

i) 

重水素化物混合内標準液(各1 μg/ml-アセトン) 重水素化物混合内標準液(各10 μg/ml-アセトン)1 ml

をとり,あらかじめアセトン約2 mlを入れた全量フラスコ10 mlに移し,アセトンを標線まで加える

(8)。 

j) 

フェナントレン-d10内標準液(10 μg/ml) フェンナントレン-d10(C14H10-d10)の標準品0.100 gをとり,あ

らかじめジクロロメタン5〜10 mlを入れた全量フラスコ100 mlに移し,ジクロロメタンを標線まで

加える。この溶液1 mlを全量フラスコ100 mlにとり,ジクロロメタンを標線まで加える(8)。 

k) フェナントレン-d10内標準液(1 μg/ml) フェンナントレン-d10内標準液(10 μg/ml)1 mlを全量フラスコ

10 mlにとり,ジクロロメタンを標線まで加える(8)。 

l) 

窒素 JIS K 1107に規定する高純度窒素2級。 

5.1.2 

器具 器具は,次による。 

a) 分液漏斗 2 000 ml。 

b) 目盛付き共栓試験管 10〜20 mlのもの。0.5 ml及び1 mlに目盛を付けたもの。 

c) 共通すり合わせ三角フラスコ 100〜500 mlのもの。 

d) 濃縮器 ロータリーエバポレーター又はクデルナ−ダニッシュ濃縮器(9)。 

注(9) 毛細管を付けないもの。 

e) 濃縮器用フラスコ ロータリーエバポレーターを用いる場合は,なす形フラスコ。クデルナ−ダニッ

シュ濃縮器を用いる場合は,濃縮管付き濃縮フラスコ。200〜300 mlの共通すり合わせで濃縮器に接

続できるもの。 

f) 

振とう器 

5.1.3 

操作 操作は,次による。 

a) 4.1.2で採取した試料(10)の適量(例えば,1 L)を分液漏斗にとり,塩酸(1 mol/L)を加えてpHを約3に調

節し,液量1 Lについて塩化ナトリウム30 gを加える(11)。続いて重水素化物混合内標準液(各1 μg/ml-

アセトン)1 ml,ジクロロメタン50 mlを加え,振とう器を用いて約10分間振り混ぜ,放置する。 

注(10) 試料中に懸濁物の量が多い場合は,5.1.3の備考の操作を行う。 

(11) 海水の場合は,塩化ナトリウムの添加は行わない。 

b) ジクロロメタン層を共通すり合わせ三角フラスコに移し入れる。分液漏斗の水層に液量1 Lについて

ジクロロメタン50 mlを加え,振とう器を用いて約10分間振り混ぜ,放置する。ジクロロメタン層を

先の共通すり合わせ三角フラスコに合わせる。 

c) 共通すり合わせ三角フラスコ中のジクロロメタン溶液100 mlについて硫酸ナトリウム20〜30 g(12)を

加え,軽く振り混ぜ,約10分間放置して脱水(13)する。ろ紙5種A(又は5種B)(14)を用いてろ過し,

ろ液を濃縮器用フラスコに受ける。ジクロロメタン溶液を入れた共通すり合わせ三角フラスコは,少

量のジクロロメタンで2回又は3回洗浄する。さらに,その洗液で,先のろ紙及びろ紙上の硫酸ナト

リウムも洗浄し,洗液を濃縮器用フラスコに合わせる。 

注(12) エマルションが生じた場合には,更に過剰に加える必要がある。 

(13) このほかに,ジクロロメタン溶液を−20 ℃の暗所に保存し,水分を凍結させて分離する方法も

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ある。濃縮操作を当日行わない場合に用いるとよい。 

(14) ろ紙は,使用前にジクロロメタンで洗浄する。 

d) 濃縮器を用いて,約40 ℃の水浴中で加熱(15)しながら,ジクロロメタン溶液を約5 mlになるまで濃縮

する。 

注(15) ロータリーエバポレーターを用いた場合は,約40 ℃の水浴中で加熱しながら減圧濃縮する。

乾固しないように注意する。クデルナ−ダニッシュ濃縮器を用いる場合は,減圧方式ではなく,

大気圧下で75 ℃以下で加熱して濃縮する。濃縮終了後,スニーダーカラムを濃縮部に付けた

まま装置から取り外し,スニーダーカラムの上部から少量のジクロロメタンを加えて洗浄し,

スニーダーカラムを付けたまま放冷する。 

e) この濃縮液を目盛付き共栓試験管に移す。濃縮に用いた濃縮器用フラスコをジクロロメタン2〜3 ml

で洗浄し,その洗液も目盛付き共栓試験管に合わせる。続いてフェナントレン-d10内標準液(1 μg/ml)1 

mlを加えた後,約40 ℃の水浴中で加熱しながら,溶液に窒素を緩やかに吹き付け,約1 mlになるま

で濃縮し(16)(17)(18),測定用溶液とする。 

注(16) 直ちに6.3の操作を行わない場合は,この濃縮液を−20 ℃の暗所に保存する。 

(17) 妨害物質が共存する場合は,附属書2の操作を行う。 

(18) 窒素を吹き付ける操作では,濃縮液が飛散しないように注意する。濃縮液の表面が動いている

のがようやく見える程度に窒素の流量を調節する。また,乾固させると窒素の吹き付けによっ

て対象物質が揮散することがあるので注意する。 

f) 

空試験用として試料に代え,試料と同量の水を分液漏斗にとり,a)〜e)の操作を行い,空試験用溶液

とする。 

備考 試料中に懸濁物が多量に含まれる場合には,次の操作を行い,続いて5.1.3 a)の塩化ナトリウム

を添加する以降の操作を行う。 

1) 4.1.2で採取した試料をよく振り混ぜ,懸濁物を均一に分散させた後,その適量をとり,ア

セトンで洗浄した孔径1 μmのガラス繊維ろ紙を用いて吸引ろ過[JIS K 0102の14.1(懸濁

物質)のろ過器(分離形)を用いる。]する。 

2) ガラス繊維ろ紙上の懸濁物は,ガラス繊維ろ紙ごとビーカーに移し,アセトン約10 mlを

加え,溶出操作を超音波洗浄器を用いて2回又は3回行う。溶出液を合わせ,濃縮器を用

いて減圧濃縮を行い,約5 mlになるまで濃縮する。 

3) 1)のろ液及び2)の濃縮液を分液漏斗にとり,塩酸(1 mol/L)を加えて,pHを約3に調節する。

続いて,5.1.3 a)の塩化ナトリウムを添加する以降の操作を行う。 

5.2 

固相抽出法 試料に塩酸を加えてpHを約3.5に調節し,内標準物質として表2に示す重水素化物を

加え,固相カラム又は固相ディスクを用い,加圧法(19)又は減圧法(20)で通水して対象物質を吸着させた後,

ジクロロメタンで溶出し,約40 ℃で,濃縮し,フェナントレン-d10を加えて一定量とする(4)。 

注(19) 固相カラムに試料を加圧状態で送り込む方法をいう。 

装置は,調節部及びポンプ部から成り,調節部は,試料を通す時間及び通水流量を制御する。 

ポンプ部は,シリンジを用いる方式とペリスタルティックポンプを用いる方式がある。シリ

ンジの場合は,チューブは四ふっ化エチレン樹脂製のものを使用する。ペリスタルティックポ

ンプの場合は,使用する溶媒に適したポンプ用チューブを用いる。 

(20) 固相カラムの底部側を減圧状態として試料を送り込む方法をいう。 

装置は,吸引用配管部と真空ポンプ又はアスピレーターからなる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

減圧法は,固相の通液抵抗のばらつき及び試料中の懸濁物などによって流量を一定に保つこ

とが困難であるが,簡易な装置で一度に多数の試料を処理できるなど有効な場合もある。 

5.2.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 水 5.1.1 a)による。 

b) 塩酸(1 mol/L) 5.1.1 b)による。 

c) アセトン 5.1.1 e)による。 

d) ジクロロメタン 5.1.1 f)による(21)。 

注(21) JIS K 8382に規定する酢酸メチルを用いてもよい。この場合は,使用前に10 mlを濃縮器[5.1.2 

d)による。]を用いて,5.1.3 e)に準じた濃縮操作[ただし,フェナントレン-d10内標準液(1 μg/ml)

の添加は行わない。]によって約1 mlになるまで濃縮する。この濃縮液を用いて6.3 c)の操作を

行い,各対象物質の保持時間に相当する位置にピークのないことを確認する。 

 開封後は,汚染のない場所に保存する。 

e) 重水素化物混合内標準液(各1 μg/ml-アセトン) 5.1.1 i)による。 

f) 

フェナントレン-d10内標準液(1 μg/ml) 5.1.1 k)による。 

g) 窒素 5.1.1 l)による。 

5.2.2 

器具 器具は,次による。 

a) 目盛付き共栓試験管 5.1.2 b)による。 

b) 固相カラム 内径10 mm,長さ30〜50 mmのカートリッジ。カラム充てん剤は,シリカゲルに逆相系

を化学結合したもの又は合成吸着剤を充てんしたもの。合成吸着剤は,多孔性のスチレンジビニルベ

ンゼン共重合体又はこれと同じ性能をもつもの。使用前にアセトン約10 ml及び水約10 mlを通して

洗浄する。 

備考 固相は,市販品にはディスク形のものもあり,これを用いてもよい。その場合,試料の流量及

び溶出溶媒の必要量については,あらかじめ確認しておく。 

参考 固相カラム又は固相ディスクには,次のようなものがある。 

Sep-Pak PS-2,OasisTMHLB,InertSep RP-1,Aqusis PLS-3,Excelpak SPE-ENV/124カートリッ

ジ形,エムポアディスクSDB-RPSなど。 

5.2.3 

操作 操作は,次による。 

a) 4.1.2で採取した試料の適量(例えば,1 L)(22)をとり,塩酸(1 mol/L)を加えてpHを約3.5に調節し,重

水素化物混合内標準液(各1 μg/ml-アセトン)1 mlを加えた後,固相カラム(24)に加圧法又は減圧法によ

って,試料を10〜20 ml/min(24)で通す。 

注(22) 試料中に縣濁物が多量に含まれる場合には,5.1.3の備考の1)及び2)の操作を行い,これら溶液

をあわせて,a)の塩酸(1 mol/L)を加える以降の操作を行う。 

使用するガラス繊維ろ紙は,ジクロロメタン約5 ml,メタノール約5 ml及び水約10 mlを通

して洗浄しておく。 

(23) 処理した固相カラムについて回収率などをあらかじめ確認してから使用することが望ましい。 

(24) 試料の流量が大きいと保持率が小さくなることがある。流量は,20 ml/min以上にはしない。固

相カラムへの対象物質の吸着帯の幅は,1 ml/min程度で最小となるが,10〜20 ml/minでも十分

な再現性と回収率が得られ,処理時間の短縮といった利点もある。しかし,有機物の濃度が高

い試料の場合は,流量を小さく(5 ml/min以下)すると,再現性と回収率の向上につながる。ま

た,流量は一定に保つことが望ましい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 固相カラムに水10 mlを流して固相カラムを洗浄した後,約30分間吸引し,水分を分離除去する。 

c) 固相カラムの上端からジクロロメタン5 ml(25)を緩やかに通し(26)てアルキルフェノール類を溶出させ,

目盛付き共栓試験管に受ける。 

注(25) 使用する量は,あらかじめアルキルフェノール類を溶出するのに十分な量であることを確認し

ておく。 

(26) 溶出流量は,カラムからの溶出液の液滴が連続しない程度とする。 

d) この目盛付き共栓試験管にフェナントレン-d10内標準液(1 μg/ml)1 mlを加えた後,約40 ℃の水浴中で

加熱しながら,溶出液に窒素を緩やかに吹き付け,ジクロロメタンが約1 mlになるまで濃縮する。続

いて,硫酸ナトリウム約0.3 gを加えて脱水する(16)(17)(18)。ただし,硫酸ナトリウムはろ別しない。こ

の溶液を測定用溶液とする。 

e) 空試験用として試料に代え,試料と同量の水をとり,a)〜d)の操作を行い,空試験用溶液とする。 

6. ガスクロマトグラフ質量分析法 測定用溶液の一定量をガスクロマトグラフ質量分析計に導入し,選

択イオン検出法(SIM法)又は全イオン検出法(TIM法)によってアルキルフェノール類を定量する。 

対象物質とその定量範囲及び繰返し分析精度(変動係数)は,表3のとおりである(いずれも装置,測定条

件によって定量範囲は異なる。)(27)。 

注(27) 繰返し分析精度は,標準液を用い,繰返し試験で求めた変動係数(%)の概略値。 

備考 定量は,附属書3及び附属書4によってもよい。 

表 3 対象物質とその定量範囲及び分析精度 

番号 

対象物質 

定量範囲 

(pg) 

分析精度 

変動係数(%) 

4-(1,1-ジメチルエチル)フェノール[4-t-ブチルフェノール] 

10〜300 

10〜20 

4-ペンチルフェノール[4-n-ペンチルフェノール] 

10〜300 

10〜20 

4-ヘキシルフェノール[4-n-ヘキシルフェノール] 

10〜300 

10〜20 

4-ヘプチルフェノール[4-n-ヘプチルフェノール] 

10〜300 

10〜20 

4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール[4-t-オクチルフェノール] 

10〜300 

10〜20 

4-オクチルフェノール[4-n-オクチルフェノール] 

10〜300 

10〜20 

ノニルフェノール(1) 

100〜3 000 

20〜30 

参考 使用する装置の定量範囲の下限値を確認する場合は,附属書5によるとよい。 

6.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) ジクロロメタン 5.1.1 f)による。 

b) 各対象物質の標準液(1 mg/ml) 各対象物質の標準品0.100 gを,あらかじめジクロロメタン5〜10 ml

を入れてある全量フラスコ100 mlにとり,ジクロロメタンを標線まで加える(8)。 

c) 各対象物質の標準液(100 μg/ml) b)で個別に調製したノニルフェノールを除いた各対象物質の標準液

(1 mg/ml) 1 mlを,対象物質別にジクロロメタン約2 mlを入れた全量フラスコ10 mlにそれぞれとり,

ジクロロメタンを標線まで加える(8)。 

d) 各対象物質の混合標準液(1,10 μg/ml) c)で調製した各対象物質の標準液(100 μg/ml) 1ml及びb)で調製

したノニルフェノール標準液(1 mg/ml) 1mlを,あらかじめジクロロメタン5〜10 mlを入れた全量フラ

スコ100 mlにそれぞれとり,ジクロロメタンを標線まで加える(8)。 

e) 各対象物質の混合標準液(10,100 ng/ml) 各対象物質の混合標準液(1,10 μg/ml) 1 mlを,あらかじめジク

ロロメタン10 mlを入れた全量フラスコ100 mlにとり,ジクロロメタンを標線まで加える(8)。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

f) 

重水素化物混合内標準液(各1 μg/ml-ジクロロメタン) 5.1.1h)及びi)と同じ操作によってジクロロメタ

ンを用いて調製する(8) (28)。 

注(28) 内標準物質として4-ノニルフェノール(環-13C6)[C9H19-(13C6)H4-OH][選択イオン(m/z):113]を

用いてもよい。調製方法は5.1.1 j)及びk)に準じる。 

g) フェナントレン-d10内標準液(1 μg/ml) 5.1.1 k)による。 

h) 窒素 5.1.1 l)による。 

参考 各対象物質の標準液及び混合標準液の各段階における採取量などを参考表1に示す。 

参考表 1 各対象物質の標準液及び混合標準液の採取量*  

番号 

対象物質 

b)の標準液 

(A) (1 mg/ml) 

c)の標準液 

(B) (100 μg/ml) 

各対象物質の混合標準液 

d)の標準液 (C) 

(1,10 μg/ml) 

e)の標準液(D) 

(10,100 ng/ml) 

(標準品採取 

量 g/100 ml) 

[(A) からの採

取量 ml/10ml] 

[(B) からの採

取量 ml/100 ml] 

[(A) からの採

取量 ml/100 ml] 

[(C) からの採

取量 ml/100 ml] 

4-(1,1-ジメチルエチル)フ
ェノール 

0.100 

− 

4-ペンチルフェノール 

0.100 

− 

4-ヘキシルフェノール 

0.100 

− 

4-ヘプチルフェノール 

0.100 

− 

4-(1,1,3,3-テトラメチルブ
チル)フェノール 

0.100 

− 

4-オクチルフェノール 

0.100 

− 

ノニルフェノール(1) 

0.100 

− 

− 

注* 

全量フラスコ10 ml又は100 mlに採取する量を示す。 

6.2 

器具及び装置 器具及び装置は,次による。 

a) 目盛付き共栓試験管 5.1.2 b)による。 

b) マイクロシリンジ 1〜5 μlの適切なもの。又は自動注入装置。 

c) ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS) 次の条件を満たすもの(29)。 

注(29) これらの条件は,装置,測定条件によって異なる。 

a) キャピラリーカラム用管 内径0.1〜0.5 mm,長さ5〜100 mのステンレス鋼,石英ガラス又はほう

けい酸ガラス製のもの。 

b) キャピラリーカラム キャピラリーカラム用管の内壁にメチルシリコーン系固定相液体(30)を厚さ

0.05〜10 μmに被覆したもの,又は同等の分離性能をもつもの。 

注(30) メチルシリコーン系固定相液体としては,100 %メチルシリコーン,5 %フェニル-95 %メチ

ルシリコーンなど,又はこれと同等の分離性能をもつものを用いる。 

参考1. この試験に用いるキャピラリーカラムで,メチルシリコーン系固定相液体として100 %メチ 

ルシリコーンを用いたものが,DB-1,CBP-1,CP-SIL5CB,InertCap 1,SPB-1,Ultra-1など 

の名称で市販されている。 

参考2. 市販品には,内径0.53 mmのものもある。 

c) 検出器 選択イオン検出法(SIM法)又は全イオン検出法(TIM法)が行えるもの。 

d) キャリヤーガス ヘリウム[99.999 9 %(体積百分率)以上]で,線速度は20〜40 cm/sに調節して

用いる。 

e) 試料導入方法及び試料導入部温度 試料導入方法は,スプリットレス注入法(非分割導入方式)によ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。試料導入部温度は,220〜280 ℃。 

f) 

GC/MS接続部温度 250〜280 ℃。 

g) イオン源温度 250〜280 ℃。 

h) 電子加速電圧 70 V。 

i) 

昇温プログラム 50〜240 ℃(2〜30 ℃/minの昇温) 

6.3 

操作 操作は,次による。 

a) あらかじめガスクロマトグラフ質量分析計に,各対象物質及び重水素化物内標準物質の選択イオン

(m/z)(31)を設定しておく。 

注(31) 対象物質及び重水素化物内標準物質の選択した特定の質量電荷比をもつイオン(選択イオン)の

一例を表4に示す。 

表 4 対象物質及び重水素化物内標準物質の選択イオンの一例 

対象物質 

選択イオン(m/z) 

定量用 

確認用 



4-(1,1-ジメチルエチル)フェノール 

135 

107 

4-ペンチルフェノール 

107 

164 

4-ヘキシルフェノール 

107 

178 

4-ヘプチルフェノール 

107 

192 

4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール 

135 

107 

4-オクチルフェノール 

107 

206 

ノニルフェノール(1) 

135 

107 



4-(1,1-ジメチルエチル)フェノール-d4 

139 

― 

4-ペンチルフェノール-d4 

111 

― 

4-ヘキシルフェノール-d4 

111 

― 

4-ヘプチルフェノール-d4 

111 

― 

4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール-d4 

139 

― 

4-オクチルフェノール-d4 

111 

― 

4-ノニルフェノール-d4 

139 

― 

フェナントレン-d10 

188 

― 

b) 各対象物質の混合標準液(10,100 ng/ml)1 mlを目盛付き共栓試験管にとり,重水素化物混合内標準液(各

1 μg/ml-ジクロロメタン)1 ml,フェナントレン-d10内標準液(1 μg/ml)1mlを添加して,室温で窒素を緩

やかに吹き付け,1 mlになるまで濃縮する(18)。 

c) この濃縮液の1 μlをマイクロシリンジ(32)でとり,ガスクロマトグラフ質量分析計(31)に導入し,選択

イオン検出法(SIM法)又は全イオン検出法(TIM法)によって測定してそのクロマトグラムを記録し,

各対象物質の保持時間に相当するピークの位置を確認しておく。 

注(32) 6.4の検量線作成時と同じものを用いる。 

d) 5.1.3 e)又は5.2.3 d)で得た測定用溶液1 μlをマイクロシリンジ(32)でとり,c)と同じ操作を行ってクロ

マトグラムを記録し,c)の保持時間と一致していることを確認(33)し,保持時間に相当する位置のピー

クについて,指示値(34)を読み取る。 

注(33) 試料中の各対象物質の確認イオンと定量イオンのピーク強度比が標準液中の各対象物質のピー

クの±20 %以内にあれば,同じ物質が存在しているものとみなす。 

(34) ピーク高さ又はピーク面積。ノニルフェノールは複数のピークが得られることから,選択イオ

ン(m/z)135で測定した際に得られる主要なピーク(4〜6本)のピーク高さ又はピーク面積。 

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e) これら各対象物質の指示値と各重水素化物の指示値との比を求める。また,これとは別に,各重水素

化物の指示値とフェナントレン-d10の指示値との比を求める。 

f) 

空試験として,5.1.3 f)又は5.2.3 e)で得た空試験溶液を用いて,d)の操作を行い,対象物質の保持時間

に相当する位置にピーク(33)が検出された場合は,各対象物質の指示値と各重水素化物の指示値との比

を求める。 

g) 検量線から各対象物質の質量と各重水素化物の質量との比(試料中の比a及び空試験の比b)を求め,

次の式によって試料中の各対象物質の濃度(μg/L)を算出する。 

(

)

V

n

b

a

X

000

1

×

×

ここに, 

X: 試料中の対象物質の濃度 (μg/L)  

a: 検量線から求めた対象物質と各重水素化物との質量比 

b: 空試験から求めた対象物質と各重水素化物との質量比 

n: 重水素化物の質量 (μg)  

V: 試料 (ml)  

1 000: 試料1 Lに換算する係数 

h) 試料中のアルキルフェノール類の濃度を算出するに当たり,試料に添加した各重水素化物の回収率が

50〜120 %にあることを確認しておく。確認操作は,次による。 

1) 検量線の作成において段階的にとった検量線作成用標準液中の各重水素化物の選択イオンによる指

示値とフェンナントレン-d10の選択イオンによる指示値とのそれぞれの比を求め,その平均値を算

出する。 

2) e)で求めた試料中の各重水素化物とフェナントレン-d10との指示値の比及び1)で求めた比の平均値

との比を求め,その百分率を回収率とする。 

6.4 

検量線 検量線は,次による。 

a) 各対象物質の混合標準液(1,10 μg/ml) 0.1〜3 mlを全量フラスコ10 mlに段階的にとり,重水素化物混合

内標準液(各1μg/ml-ジクロロメタン)1 mlを加えて,ジクロロメタンを標線まで加える。これを検量線

作成用標準液とする。 

b) それぞれの一定量[試料と同量(例えば,1 μl)]をマイクロシリンジでとり,6.3 d)の操作を行う。 

c) 検量線作成用標準液各対象物質の質量(Ms)と各重水素化物の質量(Mi)との比  を横軸にとり,各対象

物質の選択イオン(31)における指示値(As)(34)と各重水素化物の選択イオン(31)における指示値(Ai)(34)と

の比を  縦軸にとって,関係線を作成する。検量線の作成は,試料測定時に行う。 

7. 結果の表示 結果の表示には,用いた試験方法,試料量,濃縮条件(例えば,濃縮量,カラムクロマト

グラフ分離の有無など),ガスクロマトグラフ質量分析計の測定条件[例えば,6.2 c)に掲げる条件におい

て,いずれかを選択した事項など。],ガスクロマトグラフへの導入量,各対象物質の測定結果,6.3 h)で確

認した回収率などを明記する。 

i

s

M

M

i

s

A

A

11 

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付表 1 引用規格 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0094 工業用水・工場排水の試料採取方法 

JIS K 0101 工業用水試験方法 

JIS K 0102 工場排水試験方法 

JIS K 0123 ガスクロマトグラフ質量分析通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門) 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 1107 高純度窒素 

JIS K 8040 アセトン(残留農薬・PCB試験用)(試薬) 

JIS K 8117 ジクロロメタン(残留農薬・PCB試験用)(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8251 ガラスウール(試薬) 

JIS K 8382 酢酸メチル(試薬) 

JIS K 8615 炭酸カリウム(試薬) 

JIS K 8825 ヘキサン(残留農薬・PCB試験用)(試薬) 

JIS K 8886 無水酢酸(試薬) 

JIS K 8987 硫酸ナトリウム(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 3505 ガラス製体積計 

JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤 

関連規格 ISO 18857-1 Water quality−Determination of selected alkylphenols−Part 1:Method for non-filtered 

samples using liquid-liquid extraction and gas chromatography with mass selective detection 

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附属書1(規定)試験に使用する水の質の確認方法 

序文 この附属書は,この規格の試料の前処理,試薬の調製,空試験などに使用する水が,アルキルフェ

ノール類に相当する位置にピークのないことを確認する方法について規定する。 

1. 水の質の確認方法 この方法は,試料の前処理,試薬の調製,空試験などに使用する水について,本

体の5.1の溶媒抽出法に準じた操作を行った後,試料の測定に用いるガスクロマトグラフ質量分析計に導

入し,アルキルフェノール類に相当する位置にピークがないことを確認するものである。 

1.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸(1 mol/L) 本体の5.1.1 b)による。 

b) 硫酸ナトリウム 本体の5.1.1 d)による。 

c) ジクロロメタン 本体の5.1.1 f)による。 

1.2 

器具及び装置 器具及び装置は,次による。 

a) 分液漏斗 本体の5.1.2 a)による。 

b) 目盛付き共栓試験管 本体の5.1.2 b)による。 

c) マイクロシリンジ 本体の6.2 b)による。 

d) ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS) 本体の6.2 c)による。 

e) 濃縮器 本体の5.1.2 d)による。 

f) 

濃縮器用フラスコ 本体の5.1.2 e)による。 

g) 振とう器  

1.3 

操作 操作は,次による。 

a) 試験に使用する水[本体の3.e)のA4(又はA3)の水]1 Lを分液漏斗にとり,塩酸(1 mol/L)を加えて,

pHを約3に調節し,ジクロロメタン50 mlを加え,振とう器を用いて約10分間振り混ぜ,放置する。 

b) ジクロロメタン層を共通すり合わせ三角フラスコに移し,硫酸ナトリウム10〜15 gを加え,軽く振り

混ぜて脱水し,ろ紙5種A(又は5種B)(1)を用いてろ過し,ろ液を濃縮器用フラスコに受ける。 

注(1) 本体の注(14)による。 

c) 本体の5.1.3 d)の操作を行う。 

d) 濃縮液を目盛付き共栓試験管に移し,約40 ℃の水浴中で加熱しながら,約1 mlになるまで濃縮する

(2)。 

注(2) 窒素を緩やかに吹き付けて行うとよい。この操作を行った場合には,本体の注(18)による。 

e) この溶液1 μlをマイクロシリンジでとり,本体の6.3のa)及びc)の操作を行い,アルキルフェノール

類の保持時間に相当する位置にピークのないことを確認する。 

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附属書2(規定)シリカゲルを用いるカラムクロマトグラフ分離法 

序文 この附属書は,試料の前処理[本体の5.1.3 e)又は5.2.3 d)]において,試料中に妨害物質が共存す

る場合の前処理として,シリカゲルを用いるカラムクロマトグラフ分離法について規定する。 

1. シリカゲルを用いるカラムクロマトグラフ分離法 本体の5.1.3 e)又は5.2.3 d)の操作を行った後,こ

の方法を適用する。 

1.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 水 本体の5.1.1 a)による。 

b) 硫酸ナトリウム 本体の5.1.1 d)による。 

c) ジクロロメタン 本体の5.1.1 f)による。 

d) ヘキサン JIS K 8825に規定する濃縮300以上のもの(1)。 

注(1) 本体の注(7)による。 

a) ジクロロメタン-ヘキサン混合液(3+7)  

b) ジクロロメタン-ヘキサン溶離液(3+2)  

e) 各対象物質の混合標準液(10,100 μg/ml) 本体の6.1 c)で調製した各対象物質の標準液(100 μg/ml) 1 ml

及び本体の6.1 b)で調製したノニルフェノール標準液(1 mg/ml)1 mlを,あらかじめジクロロメタン5 ml

を入れた全量フラスコ10 mlにそれぞれとり,ジクロロメタンを標線まで加える(2)。 

注(2) 本体の注(8)による。 

f) 

窒素 本体の5.1.1 l)による。 

1.2 

器具 器具は,次による。 

a) 目盛付き共栓試験管 本体の5.1.2 b)による。 

b) 共通すり合わせ三角フラスコ 100〜500 ml 

c) 濃縮器 本体の5.1.2 d)による。 

d) 濃縮器用フラスコ 本体の5.1.2 e)による。 

e) カラムクロマトグラフ管 カラムクロマトグラフ管は,次による。 

1) カラム用管 内径約2 cm,長さ約20 cmのコック付きガラス管 

2) カラム充てん剤 カラムクロマトグラフ用のシリカゲル(粒径150〜250 μm)を約130 ℃で15時間

以上加熱した後,デシケーター中で放冷する。その95 gを共通すり合わせ三角フラスコにとり,か

き混ぜながら,水5 mlを滴加する。軽く密栓をし,発熱が終了するまで静かに混合する。さらに,

振とう器で約30分間振り混ぜる。3)でカラムクロマトグラフ管として調製したものについて,対象

物質の保持時間にピークの生じないことを確認する(3)。 

注(3) 処理したシリカゲルの15 gを,3)でカラムクロマトグラフ管とし,1.3のb)〜e)の操作を行い,

その濃縮液1 μlをとり,本体の6.3 c)によって各対象物質の保持時間に相当する位置にピークの

ないことを確認する。 

3) カラムクロマトグラフ管の作り方 カラム用管の底部にJIS K 8251に規定するガラスウール(あら

かじめヘキサンで洗浄したもの。)を詰め,少量のヘキサンを加えてガラスウール間の気泡を除去す

る。次いで,2)のカラム充てん剤約15 gをビーカーにとり,ヘキサンを加えてスラリー状にし,こ

れを気泡が入らないようにカラム用管に流し込み(4),その上部に硫酸ナトリウムを約2 cmになるよ

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K 0450-20-10:2006  

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うに積層した後,コックを操作し,ヘキサンが硫酸ナトリウム層よりわずかに上部になるようにす

る。 

注(4) カラム用管にカラム充てん剤を均一に充てんするために,充てん剤を流し込んだ後,カラム用

管に縦横の振動を与えるとよい。 

f) 

円筒形滴下漏斗 200 ml。カラムクロマトグラフ用。 

1.3 

操作 操作は,次による。 

a) 本体の5.1.3 e)又は5.2.3 d)で得た測定用溶液の全量をカラムクロマトグラフ管の上部から流し込み,

コックを操作して液面を硫酸ナトリウム層よりわずかに上部になるようにする。濃縮液が入っていた

目盛付き共栓試験管の内壁をジクロロメタン0.5〜1 mlで洗い,洗液はカラムクロマトグラフ管に流

し込む。 

b) カラムクロマトグラフ管の上部に円筒形滴下漏斗を装着し,ジクロロメタン-ヘキサン混合液(3+7)50 

mlを入れ,約1 ml/minで流下して対象物質を吸着させる。ジクロロメタン-ヘキサン混合液(3+7)が硫

酸ナトリウム層のわずか上部にある状態でコックを閉め,流出液は捨てる。 

c) 引き続いてカラムクロマトグラフ管の上部の円筒形滴下漏斗から,ジクロロメタン-ヘキサン溶離液(3

+2)100 mlを約1 ml/minで流下し,アルキルフェノール類を溶出させ(5),溶出液を濃縮器用フラスコ

に受ける。 

注(5) 1.3の備考の操作によってあらかじめ溶出パターン及び回収率を確認しておくとよい。 

d) 濃縮器を用いて,約40 ℃の水浴中で加熱(6)しながら,溶出液を約5 mlになるまで濃縮する。 

注(6) ロータリーエバポレーターを用いた場合は,約40 ℃の水浴中で加熱しながら減圧濃縮し,乾

固しないように注意する。クデルナ−ダニッシュ濃縮器を用いる場合は,減圧方式ではなく,

大気圧下で75 ℃以下で加熱して濃縮する。濃縮終了後,スニーダーカラムを濃縮部に付けた

まま装置からとり外し,スニーダーカラムの上部から少量のジクロロメタンを加えて洗浄し,

スニーダーカラムを付けたまま放冷する。 

e) 引き続き本体の5.1.3 e)の操作を行い,測定用溶液とする。 

f) 

空試験として,本体の5.1.3 f)で得た空試験用溶液の全量を,カラムクロマトグラフ管の上部から流し

込み,a)〜e)の操作を行い,空試験用溶液とする。 

備考 溶出パターン及び回収率の確認は,次の操作を行う。この操作によってカラムクロマトグラフ

操作に必要なジクロロメタン-ヘキサン混合液(3+7)及びジクロロメタン-ヘキサン溶離液(3+2)

の量を確認しておく。 

1) 各対象物質の混合標準液(10,100 μg/ml) 1 mlをカラムクロマトグラフ管の上部から流し込

む。 

2) コックを操作して液面を硫酸ナトリウム層よりわずかに上部になるようにする。 

3) 続いてb)の操作を行い,流出する溶液約10 mlを1画分として別々の目盛付き共栓試験管

にとる。 

4) さらに,c)の操作を行い,最初から流出する溶液約10 mlを1画分として別々の目盛付き

共栓試験管にとる。 

5) それぞれの目盛付き共栓試験管を,約40 ℃の水浴中で加熱しながら,窒素を緩やかに吹

き付け,約1 mlになるまで濃縮する。 

6) 次いで,本体の6.3のc)〜e)及びg)によって溶出パターン及び回収率を求める。 

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附属書3(規定)アセチル誘導体化法による定量 

序文 この附属書は,本体の6.のほかに,アルキルフェノール類をアセチル誘導体化を行って定量する方

法について規定する。 

1. アセチル誘導体化法 

参考 この誘導体化法は,2,4-ジクロロフェノール,4-(1,1-ジメチルプロピル)フェノール(4-t-ペンチル

フェノール),ペンタクロロフェノールについても適用できる。 

1.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 水 本体の5.1.1 a)による(1)。 

注(1) 本体の注(5)による。ただし,附属書1による操作は,ジクロロメタンに代え,ヘキサンを用い

て行う。 

b) 無水酢酸 JIS K 8886に規定するもの。 

c) 塩化ナトリウム 本体の5.1.1 c)による。 

d) 炭酸カリウム JIS K 8615に規定する炭酸カリウム。600 ℃で約60分間加熱した後,デシケーター中

で放冷する。 

e) ヘキサン JIS K 8825に規定する濃縮300以上のもの(2)。 

注(2) 本体の注(7)による。ただし,ジクロロメタンに代え,ヘキサンを用いる。 

f) 

各対象物質の混合標準液(1,10 μg/ml-ヘキサン) 本体の6.1 d)と同じ操作によってヘキサンを用いて調

製する(3)。 

注(3) 本体の注(8)による。 

g) 各対象物質の混合標準液(10,100 ng/ml-ヘキサン) f)で調製した各対象物質の混合標準液(1,10 μg/ml) 1 

mlを,あらかじめヘキサン10mlを入れた全量フラスコ100 mlにとり,ヘキサンを標線まで加える(3)。 

h) フルオランテン-d10内標準液(1 mg/ml) フルオランテン0.100 g(C16H10-d10)を全量フラスコ100 mlにと

り,ヘキサンを標線まで加える(3)。 

i) 

フルオランテン-d10内標準液(10 μg/ml) フルオランテン内標準液(1 mg/ml)1 mlを全量フラスコ100 ml

にとり,ヘキサンを標線まで加える(3)。 

j) 

フルオランテン-d10内標準液(100 ng/ml) フルオランテン内標準液(10 μg/ml)1 mlを全量フラスコ100 

mlにとり,ヘキサンを標線まで加える(3)。 

k) フルオランテン-d10内標準液(1 ng/ml) フルオランテン内標準液(100 ng/ml)1 mlを全量フラスコ100 

mlにとり,ヘキサンを標線まで加える(3)。 

l) 

フルオランテン-d10内標準液(0.1 ng/ml) フルオランテン内標準液(100 ng/ml)1 mlを全量フラスコ10 

mlにとり,ヘキサンを標線まで加える(3)。 

1.2 

器具 器具は,次による。 

a) 分液漏斗 1 000 ml。 

b) 共通すり合わせ三角フラスコ 本体の5.1.2 c)による。 

1.3 

準備操作 準備操作は,次による。 

a) 本体の4.1.2で採取した試料500 mlを分液漏斗1 000 mlにとり,炭酸カリウム2 g,塩化ナトリウム

20 gを加え,振り混ぜて溶かす。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) この溶液に無水酢酸5 mlを添加し,振り混ぜた後,約15分間放置する。 

c) この溶液にヘキサン100 mlを加え,軽く振り混ぜ,気体の発生が認められなくなってから,振とう器

を用いて約10分間振り混ぜ,放置する。 

d) 水層を別の分液漏斗に移し入れる。分離したヘキサン層を共通すり合わせ三角フラスコに移し入れ,

分液漏斗の水層に液量500 mlにつきヘキサン50 mlを加え,再び振とう器を用いて約10分間振り混

ぜ,放置する。ヘキサン層を先の共通すり合わせ三角フラスコに合わせる。 

e) 本体の5.1.3 c)及びd)と同様の操作を行い,ヘキサン溶液を乾固近くまで濃縮する(4)。 

注(4) 乾固はさせない。 

f) 

この濃縮液に,フルオランテン-d10内標準液(0.1 ng/ml)1 mlを加え,振り混ぜて溶し,これを測定用溶

液とする。 

g) 空試験用として試料に代え,水500 mlを分液漏斗1 000 mlにとり,続いて,a)〜f)の操作を行い,こ

れを空試験用溶液とする。 

1.4 

操作 操作は,次による。 

a) あらかじめガスクロマトグラフ質量分析計に,各対象物質の選択イオン(m/z)(5)を設定しておく。 

注(5) 対象物質及び内標準物質の選択イオン,それぞれの保持時間の一例を附属書3表1に示す。 

附属書3表 1 対象物質及び内標準物質の選択イオンの一例 

対象物質 

保持時間 

(min) 

選択イオン (m/z) 

定量用 

確認用 

4-(1,1-ジメチルエチル)フェノール 

10.58 

135 

150 

4-ペンチルフェノール 

12.63 

107 

164 

4-ヘキシルフェノール 

13.82 

107 

178 

4-ヘプチルフェノール 

14.95 

107 

192 

4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール 

14.23 

135 

177 

4-オクチルフェノール 

16.02 

107 

206 

ノニルフェノール* 

15.27〜15.79 

135 

177 

フルオランテン-d10 

18.05 

212 

− 

注* 本体の注(1)による。 

b) 水500 mlを分液漏斗1 000 mlにとり,これに各対象物質の混合標準液(10,100 ng/ml)1 mlを加えてよく

振り混ぜた後,1.3 a)〜f)の操作を行う。 

c) 本体の6.3 c)の操作を行う(5)。 

d) 1.3 f)で得た測定用溶液について本体の6.3のd)及びe)の操作を行う。 

e) 空試験として1.3 g)で得た空試験用溶液について本体の6.3 f)の操作を行う。 

1.5 検量線 検量線は,次による。 

a) 各対象物質の混合標準液(1,10 μg/ml) 0.1〜3 mlを全量フラスコ10 mlに段階的にとり,ヘキサンを標線

まで加え,検量線作成用標準液とする。 

b) あらかじめ水500 mlを入れた分液漏斗1 000 mlに,検量線作成用標準液から1 mlを加えてよく振り

混ぜた後,1.3 a)〜f)の操作を行う。段階的に調製した検量線作成用標準液すべてについてこの操作を

行う。 

c) それぞれの濃縮液から一定量[試料と同量(例えば,1 μl)]をマイクロシリンジでとり,1.4のc)及び

d)の操作を行い,関係線を作成する。検量線の作成は,試料測定時に行う。 

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附属書4(規定)トリメチルシリル(TMS)誘導体化法による定量 

序文 この附属書は,本体の6.のほかに,アルキルフェノール類をトリメチルシリル(TMS)化した後,定

量する方法について規定する。 

1. トリメチルシリル(TMS)誘導体化法 アルキルフェノール類をN,O-ビス(トリメチルシリル)トリフル

オロアセトアミド(BSTFA)[トリメチルシリル(TMS)誘導体化試薬]を用いて誘導体化し,定量を行っても

よい。この場合のガスクロマトグラフ質量分析装置,操作などは,次による。 

1.1 

試薬 試薬は,次による。 

a) 水 本体の5.1.1a)による。 

b) ジクロロメタン 本体の5.1.1 f)による。 

c) N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)溶液 ガスクロマトグラフ用を用い

る。 

d) 各対象物質の混合標準液(1,10 μg/ml) 本体の6.1 d)による。 

e) 各対象物質の混合標準液(10,100 ng/ml) 本体の6.1 e)による。 

f) 

フェナントレン-d10内標準液(10 μg/ml-ジクロロメタン) 本体の5.1.1 j)と同じ操作によってジクロロ

メタンを用いて調製する(1)。 

注(1) 本体の注(8)による。 

g) フェナントレン-d10内標準液(1 μg/ml-ジクロロメタン) 本体の5.1.1 k)と同じ操作によってジクロロ

メタンを用いて調製する(1)。 

1.2 

器具及び装置 器具及び装置は,次のもの以外は,本体の6.2 c)による。 

a) ガスクトマトグラフ質量分析計(GC/MS) 次の条件を満たすもの(2)。 

注(2) 本体の注(29)による。 

1) キャピラリーカラム用管 本体の6.2 c)1)による。 

2) キャピラリーカラム 本体の6.2 c)2)による。 

3) 検出器 本体の6.2 c)3)による。 

4) キャリヤーガス 本体の6.2 c)4)による。 

5) 試料導入方法及び試料導入部温度 試料導入方法は,スプリットレス注入法(非分割導入方式)によ

る。試料導入部温度は,220〜280 ℃。 

6) イオン化法 電子イオン化法(EI法)(3)。 

注(3) イオン化法において,化学イオン化法を用いてもよい。このガスクロマトグラフ質量分析計の

条件は,次による。 

1) ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS) 次のもの以外は,本体の6.2 c)による。 

1.1) 反応ガス 2-メチルプロパン(イソブタン)[99.999 %(体積百分率)]  

1.2) イオン化法 正イオン化学イオン化(PCI)法  

1.3) イオン源温度 150 ℃に設定できるもの。 

7) GC/MS接続部温度 本体の6.2 c) 6)による。 

8) イオン源温度 本体の6.2 c) 7)による。 

9) 電子加速電圧 本体の6.2 c) 8)による。 

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10) 昇温プログラム 60〜280 ℃(1〜30 ℃/minの昇温) 

1.3 

準備操作 準備操作は,次による。 

a) 本体の5.1.3 a)〜d)の操作を行う。ただし,抽出に用いるジクロロメタンは100 mlとする。 

b) この濃縮液を目盛付き共栓試験管に移す。濃縮器用フラスコをジクロロメタン2〜3 mlで洗浄し,そ

の洗液も目盛付き共栓試験管に合わせる。さらに,窒素を緩やかに吹き付け,約0.5 mlになるまで濃

縮する(4)。 

注(4) 本体の注(18)による。 

c) この濃縮液にN,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)200 μlを加え,直ちに栓

をして振り混ぜた後,室温で約1時間放置して誘導体化する。 

d) この溶液に,フェナントレン-d10内標準液(1 μg/ml-ジクロロメタン)100 μlを加え,振り混ぜた後,ジ

クロロメタンを加えて1 mlの一定量とし,これを測定用溶液とする。 

e) 空試験用として試料に代え,水1 Lを用いてa)〜d)の操作を行い,これを空試験用溶液とする。 

1.4 

操作 操作は,次による。 

a) あらかじめガスクロマトグラフ質量分析計に,各対象物質及び内標準物質の選択イオン(m/z)(5)を設定

しておく。 

注(5) 対象物質及び内標準物質の選択イオン,それぞれの保持時間の一例を附属書4表1(EI法を用い

た場合)及び附属書4表2(PCIを用いた場合)に示す。 

附属書4表 1 対象物質及び内標準物質の選択イオンの一例(EI法を用いた場合) 

対象物質 

保持時間 

(min) 

選択イオン (m/z) 

定量用 

確認用 

4-(1,1-ジメチルエチル)フェノール 

11.30 

207 

222 

4-ペンチルフェノール 

13.58 

179 

236 

4-ヘキシルフェノール 

14.84 

179 

250 

4-ヘプチルフェノール 

16.05 

179 

264 

4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール 

15.15 

207 

278 

4-オクチルフェノール 

17.23 

179 

278 

ノニルフェノール* 

16.07〜16.88 

207 

292 

フェナントレン-d10 

16.86 

188 

− 

注* 

本体の注(1)による。 

附属書4表 2 対象物質及び内標準物質の選択イオンの一例(PCIを用いた場合) 

対象物質 

保持時間 

(min) 

選択イオン (m/z) 

定量用 

確認用 

4-(1,1-ジメチルエチル)フェノール 

11.73 

223 

207 

4-ペンチルフェノール 

14.03 

237 

179(279) 

4-ヘキシルフェノール 

15.32 

251 

179(273) 

4-ヘプチルフェノール 

16.53 

265 

179(307) 

4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール 

15.63 

279 

207 

4-オクチルフェノール 

17.70 

279 

179(321) 

ノニルフェノール* 

16.56〜17.39 

293 

127 

フェナントレン-d10 

− 

189 

− 

注* 

本体の 注(1)による。 

19 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 各対象物質の混合標準液(10,100 ng/ml)1 mlを目盛付き共栓試験管にとり,窒素を緩やかに吹き付け約

0.5 mlになるまで濃縮する(4)。続いて1.3のc)及びd)の操作を行う(5)。 

c) この溶液について本体の6.3 c)の操作を行う。 

d) 1.3 d)で得た測定用溶液について本体の6.3のd)及びe)の操作を行う。 

e) 空試験として1.3 e)で得た空試験用溶液について本体の6.3 f)の操作を行う。 

1.5 

検量線 検量線は,次による。 

a) 各対象物質の混合標準液(1,10 μg/ml)0.1〜3 mlを全量フラスコ10 mlに段階的にとり,ジクロロメタン

を標線まで加え,検量線作成用標準液とする。 

b) 段階的に調製した検量線作成用標準液のそれぞれ1 mlを目盛付き共栓試験管に移し,窒素を緩やかに

吹き付け約0.5 mlになるまで濃縮する(4)。次いで1.3のc)及びd)の操作を行う(5)。それぞれの濃縮液

から一定量[試料と同量(例えば,1 μl)]をマイクロシリンジでとり,1.4のc)及びd)の操作を行い,

関係線を作成する。検量線の作成は,試料測定時に行う。 

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K 0450-20-10:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書5(参考)装置の定量範囲の下限値を確認する場合の方法 

序文 この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,装置の検出下限値から,定量範囲の下限値

を確認する方法を参考として示したものであり,規定の一部ではない。 

1. 定量範囲の下限値の算出方法 定量範囲の下限値の算出方法は,次による。 

a) 本体の6.1e)の各対象物質の混合標準液(10,100 ng/ml)1 mlを全量フラスコ10 mlにとり,ヘキサンを標

線まで加える。この溶液1 mlを目盛付き共栓試験管にとり,本体の6.1 g)のフェナントレン-d10内標

準液(1 μg/ml-ジクロロメタン)1 mlを加え,栓をして振り混ぜ,窒素を緩やかに吹き付け,1 mlになる

まで濃縮する(1)。 

注(1) 本体の注(18)による。 

b) この溶液の1 μlをマイクロシリンジでとり,ガスクロマトグラフ質量分析計(2)に導入し,本体の6.3

のd),e)及びg)によって定量する。 

注(2) 本体の6.3 a)で調整したガスクロマトグラフ質量分析計を用いる。 

c) a)及びb)の操作を5回以上繰り返す。 

d) 得られた測定値から,次の式によって標準偏差を求め,その3倍を装置の検出下限値(3)(4),10倍を装

置の定量下限値(4)とする。 

(

)

1

2

i

n

x

x

s

ここに, 

s: 標準偏差 

xi: 個々の測定値 

x: 測定値の平均値 

n: 測定回数 

注(3) ここで得られた装置の検出下限値が,対象物質の定量下限値より大きい場合には,器具,機器

などを確認して,これらの値以下になるように調整する。 

(4) この装置の検出下限値及び定量下限値は,使用する装置の状態などによって変動するため,あ

る一定周期で確認し,常に十分な値が得られるように管理する。また,使用する装置及び測定

条件を変更した場合などには必ず確認する。