K 0430-72-40 : 2000
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
JIS K 0430-72-40
には,次に示す附属書がある。
附属書 A(参考) 通常の水の大腸菌群試験に関する補足説明
附属書 B(規定) 培地,試薬及び希釈水
JIS K 0430
シリーズは,次に示す各部からなる。
K0430-72-10
水質−生菌数の計数−栄養寒天培地中(上)への接種による集落数の計数
K0430-72-20
水質−培養による微生物計数の一般的指針
K0430-72-30
水質−大腸菌群,耐高温性大腸菌群及び推定大腸菌 (Escherichia coli) の検出・計数−第
1
部:メンブレンろ過法
K0430-72-40
水質−大腸菌群,耐高温性大腸菌群及び推定大腸菌
(Escherichia coli)
の検出・計数−第
2
部:最確数
(MPN)
法
K 0430-72-40 : 2000
(1)
目次
ページ
序文
1
1.
適用範囲
1
2.
引用規格
2
3.
定義
3
4.
原理
3
5.
希釈水,培地及び試薬
3
6.
装置
4
7.
サンプリング方法
4
8.
手順
4
8.1
試料の調製と培地への接種
4
8.2
培養
4
8.3
試験
4
8.4
確認試験
4
8.5
オキシダーゼ試験
5
9.
試験結果の表現
5
10.
試験報告
5
附属書 A(参考) 通常の水の大腸菌群試験に関する補足説明
6
附属書 B(規定) 培地,試薬及び希釈水
7
日本工業規格
JIS
K
0430-72-40
: 2000
水質−大腸菌群,耐高温性
大腸菌群及び推定大腸菌 (Escherichia coli) の
検出・計数−第 2 部:最確数 (MPN) 法
Water quality
−Detection and enumeration of coliform organisms,
thermotolerant coliform organisms and presumptive Escherichia coli
−
Part 2 : Multiple tube (most probable number) method
序文 この規格は,1990 年に第 1 版として発行された ISO 9308-2, Water quality−Detection and enumeration
of coliform organisms, thermotolerant coliform organisms and presumptive Escherichia coli
−Part 2 : Multiple tube
(most probable number) method
を元に,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対
応国際規格で規定していない規定内容(
附属書 B の試薬の調製)を追加している。
ふん(糞)便汚染の有無及びその程度を知ることは水質を評価する上で非常に重要である。
大腸菌群(
1
)
は,
ひと及び温血動物の腸管に常在しているため,試料水中に大腸菌群が確認された場合には,
ひとなどのふん便汚染があったことの指標となる。また,大腸菌群の中に水中では比較的生存期間が短い
一群の細菌が存在するので,その菌数濃度を測定すれば最近に起こったふん便汚染の程度を知ることもで
きる。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。
注(
1
)
附属書 A の通常の水の大腸菌群試験に関する補足説明参照。
1.
適用範囲 この規格は,複数の試験管中の液体培地中で培養し,最確数 (MPN) 法によって大腸菌群,
耐高温性大腸菌群及び推定大腸菌 (Escherichia coli) (以下,推定 E. coli という。
)の検出試験方法と菌数
の計数方法について規定する。
この方法は,濁度が高い場合をはじめすべての試料に適用できる。
大腸菌 (E. coli) を含む大腸菌群の検出と確認のための試験は,一連の連続試験の一部とみなすことがで
きる。個々の試料の確認試験をどこまで実施するかは試料の性質によって異なり,また,試験の目的に応
じて判断すべきである。実際,3.3 に規定する推定 E. coli の検出は,通常,最近に起こったふん便汚染を
示唆するものである。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 9308-2 : 1990, Water quality
−Detection and enumeration of coliform organisms, thermotolerant
coliform organisms and presumptive Escherichia coli
−Part 2 : Multiple tube (most probable
number) method.
2
K 0430-72-40 : 2000
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その
最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS K 0400-3-1
水質−サンプリング−第 1 部 サンプリング計画策定の指針
備考 1.
ISO 5667-1 : 1980, Water quality
−Sampling−Part 1 : Guidance on the design of sampling
programmes
からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS K 0430-72-20
水質−培養による微生物計数の一般的指針
備考 2.
ISO 8199 : 1988, Water quality
−General guide to the enumeration of micro-organisms by
culture
が,この規格と一致している。
JIS K 8116
塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8122
塩化カルシウム二水和物(試薬)
JIS K 8150
塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8159
塩化マグネシウム六水和物(試薬)
JIS K 8180
塩酸(試薬)
JIS K 8263
寒天(試薬)
JIS K 8267
ぎ酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8496
ρ
−ジメチルアミノベンズアルデヒト(試薬)
JIS K 8576
水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8676
L−トリプトファン(試薬)
JIS K 8841
ブロモクレゾールパープル(試薬)
JIS K 8842
ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 8889
メタクレゾールパープル(試薬)
JIS K 8995
硫酸マグネシウム七水和物(試薬)
JIS K 9007
りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS K 9017
りん酸水素二カリウム(試薬)
JIS K 9045
L−アスパラギン酸(試薬)
JIS K 9048
L (−) −シスチン(試薬)
ISO 5667-2 : 1982, Water quality
−Sampling−Part 2 : Guidance on sampling techniques
参考1. 対応国際規格制定時点では案の段階。現在は ISO 5667-2 : 1991が発行されている。
JIS K 0410-3-2
,水質−サンプリング−第 2 部:サンプリング技術の指針が,ISO 5667-2 : 1991,
Water quality
−Sampling−Part 2 : Guidance on sampling techniques からの引用事項は,こ
の規格の該当事項と同等である。
ISO 5667-3 : 1985, Water quality
−Sampling−Part 3 : Guidance on the preservation and handling of samples
参考2. 対応国際規格制定時点では案の段階。現在は ISO 5667-3 : 1994が発行されている。
JIS K 0410-3-3
,水質−サンプリング−第 3 部:試料の保存及び取扱いの指針が,ISO 5667-3 :
1994, Water quality
−Sampling−Part 3 : Guidance on the preservation and handling of
samples
と一致している。
ISO 3696 : 1987, Water for analytical laboratory use
−Specification and test methods
ISO 6887 : 1983, Microbiology
−General guidance for the preparation of dilutions for microbiological
3
K 0430-72-40 : 2000
examination
3.
定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
3.1
大腸菌群 (coliform organisms) 35±0.5℃又は 37±0.5℃で培養したときに,好気的に生育可能で
48
時間以内に所定のラクトース添加液体培地で酸と気体を産生するもの。
3.2
耐高温性大腸菌群 (thermotolerant coliform oranisms) 44±0.25℃又は 44.5±0.25℃で培養したと
きに,24 時間以内に 3.1 の大腸菌群と同じ性状を示すもの。
3.3
推定大腸菌 (Escherichia coli) [presumptive Escherichia coli (presumptive E. coli)] 44±0.25℃又は
44.5
±0.25℃で培養したときに,
3.2
の耐高温性大腸菌群の中で 24 時間以内にトリプトファンからインドー
ルを産生するもの。
4.
原理 試料又は希釈試料を数個のラクトース添加液体培地に接種する。35℃又は 37℃で 24 時間及び
48
時間培養後,気体が産生されて培地に濁りがみられたら確認培養を行う。推定 E. coli を求める場合はイ
ンドロールを生成する培地に接種する。
確認培養は,大腸菌群の試験では 35℃又は 37℃で 48 時間まで,耐高温性大腸菌群及び推定 E. coli の試
験では 44℃で 24 時間まで行う。
最確数表を用いて,陽性試験管の数から試料 100ml 当たりの大腸菌群,耐高温性大腸菌群及び推定 E. coli
の最確数 (MPN) を求める。
5.
希釈水,培地及び試薬
5.1
材料
− 培地の調製には一定の品質の材料と分析用の試薬を使用し,その調製は
附属書 B に従う。
− 貯蔵は JIS K 0430-72-20 (ISO 8199)による。
− 粉末培地を使用する場合は,製造業者の取扱説明書に従う。
− 培地の調製には,ガラス器による蒸留水又はイオン交換水を用い,試験条件で細菌の発育に支障があ
る物質を含まないものとし,ISO 3696 に従う。
5.2
希釈水 試料の希釈には附属書 B のいずれかの希釈水を使用する。希釈水の調製は附属書 B の指示
に従う。
5.3
分離用培地 以下の培地のいずれかを使用する。培地の調製は附属書 B に示す。
5.3.1
ラクトースブロス培地
5.3.2
マッコンキーブロス培地
5.3.3
改良グルタミン酸培地(
2
)
注(
2
)
“ミネラル添加グルタミン酸培地 (Minerals modified glutamate medium) ”として粉末培地が市
販され利用可能であるが,これはこの規格の使用者の利便のために示すもので,これらの製品
の保証をするものではない。
5.3.4
ドデシル硫酸−トリプトース(ラクトース)−ブロス培地
5.4
確認試験用培地 次の−ないし数種の培地を使用する。
5.4.1
気体産生用培地
5.4.1.1
ブリリアントグリーン−ラクトース(胆汁)ブロス培地
5.4.1.2
EC
培地
4
K 0430-72-40 : 2000
5.4.2
インドール産生用培地 トリプトン培地
5.4.3
気体及びインドール産生用試験管培地 トリプトファン添加ドデシル硫酸−トリプトースマンニ
トール−ブロス培地
5.5
試薬
5.5.1
インドール試験用コバック (Kovacs) 試薬
5.5.2
オキシダーゼ試験用オキシダーゼ試薬
6.
装置 次の装置のほか,通常の微生物試験に使用する装置。
6.1
乾熱滅菌器及び高圧蒸気滅菌器 滅菌済み製品以外のガラス器具及びその他の装置は JIS K
0430-72-20 (ISO 8199)
に従って滅菌を行わなければならない。
6.2
恒温器又は恒温水槽 35±0.5℃又は 37±0.5℃に温度調節できるもの。
6.3
恒温器又は恒温水槽 44±0.25℃又は 44.5±0.25℃に温度調節できるもの。
6.4
pH
計
7.
サンプリング方法 試料は採取後,JIS K 0430-72-20 (ISO 8199), JIS K 0410-3-1 (ISO 5667-1), ISO
5667-2
及び ISO 5667-3 に従って試験室に運搬する。
8.
手順
8.1
試料の調製と培地への接種
− 試験試料の調製,希釈及び培地への接種は JIS K 0430-72-20 (ISO 8199) の指示に従う。
− 測定試料が 5ml より多い場合は,2 倍濃度培地を使用する。
8.2
培養 培養は 35±0.5℃又は 37±0.5℃で 48 時間行う。
8.3
試験 18∼24 時間培養後,培地に細菌の生長による濁りが認められ,気体の産生(ダーラム管中に)
と pH 指示薬を加えた培地に酸の産生があれば陽性とする。このような変化が幾分か又はまったく認めら
れない場合は培養を続け,48 時間後に再度判定する。
8.4
確認試験 分離用培地試験管内の陽性反応は推定大腸菌群であることに注意すべきである。そのた
め陽性の結果が大腸菌群によるものであることを確認するために,望ましくは純培養菌を用いて確認試験
を行うことが重要である。
8.4.1
確認培養 陽性試験管のそれぞれを気体及びインドール産生試験用確認培地(5.4)1 本以上に接種す
る。
備考1. 分離培養に選択性の弱い培地(ラクトースブロス培地)を使用した場合,確認培養はより選
択性の強いブリリアントグリーン−ラクトース(胆汁)ブロス培地又は EC 培地のいずれか
で行うことが望ましい。
8.4.1.1
大腸菌群 ブリリアントグリーン−ラクトース(胆汁)ブロス(5.4.1)で 35℃又は 37℃で培養し,
48
時間以内に気体の産生がみられれば大腸菌群陽性である。
8.4.1.2
耐高温性大腸菌群及び推定 E. coli
− EC 培地(5.4.1)で 44℃,24 時間培養後,気体産生が認められれば耐高温性大腸菌群陽性である。
− トリプトン培地(5.4.2)で,44℃,24 時間インドール発生のため培養し,次いでコバック試薬(5.5.1)0.2
∼0.3ml を加え,ゆるやかに混ぜ合わせた後,培地の表層部が赤となればインドールが存在し,推定
E. coli
陽性である。
5
K 0430-72-40 : 2000
備考2. トリプトファン添加ドデシル硫酸−トリプトース−マンニトール−ブロス培地を使用すれば,
推定 E. coli による気体産生とインドールの産生の両方が1本の試験管で検査可能となる。
3.
推定 E. coli の検出はふん便汚染の証明となる。ただし,推定 E. coli の確認のためには必要が
あれば,追加試験を行う(8.5 参照)
。
4.
メンブレンフィルター上の集落を確認試験用培地に接種する場合,オキシダーゼ試験用に普
通寒天平板培地にも培養するとよい。
8.5
オキシダーゼ試験
− 水中に生息する細菌の中には,37℃以下でしかラクトースからの気体産生がみられないことを除けば,
多くの点で大腸菌群の定義に一致するものが存在する。しかし,これらの菌は大腸菌群試験で行われ
る通常の確認試験では大腸菌群陰性となり,
また,
水中における存在も通常はそれほど重要ではない。
− 水中の常在菌であるアエロモナス (Aeromonas) 属は,37℃及びそれ以下の温度では大腸菌群の同定を
妨げることがある。大腸菌群を決定するときはオキシダーゼ試験による確認が必要である。
8.5.1
オキシダーゼ試験は,普通寒天培地で純粋培養したラクトース発酵菌を用いて次のように行う。
− ペトリ皿にろ紙を置き,新たに調製したオキシダーゼ試薬(5.5.2)2, 3 滴を滴加する。
− ガラス棒,綿棒又は白金線(ニクロム線は不可)でろ紙に菌を塗り付ける(
備考 4.参照)。
− 10 秒間以内に濃い青紫になったものを陽性とする。
備考5. オキシダーゼ陽性菌(緑膿菌)及び陰性菌(大腸菌)によるオキシダーゼ試薬の管理試験を
ときどき行うことが望ましい。
9.
試験結果の表現 分離用培地及び確認試験の陽性試験管数から,JIS K 0430-72-20 (ISO 8199) の最確
数表を参照し,試料 100ml 当たりの大腸菌群,耐高温性大腸菌群及び推定 E. coli の数を算出する。
10.
試験報告 報告書には,次の事項を含めなければならない。
a)
この規格の引用
b)
試料の確認についての詳細な情報
c)
試験の方法と使用した分離用培地
d)
使用した確認試験用培地と確認の方法
e)
培養の時間,温度及び培養条件
f)
9.
によって算出した結果
g)
他に必要と思われる情報
6
K 0430-72-40 : 2000
附属書 A(参考) 通常の水の大腸菌群試験に関する補足説明
序文
この附属書は,通常の水の大腸菌群試験に関する補足説明について参考として記述するものであ
り,規定の一部ではない。
− 水の日常的な大腸菌群試験では,大腸菌群は細菌分類学上の定義と異なり,次のように微生物学的に
記述する。
− 大腸菌群は,グラム陰性,無芽胞,オキシダーゼ陰性のかん(桿)菌で,胆汁酸塩類 (bile-salts) (又
は同様な発育阻止能力を持つ界面活性剤)の存在下でも生育可能な好気性及び通性嫌気性菌である。
35
∼37℃で培養したときに,48 時間以内にラクトース(及びマンニトール)を発酵し,酸と気体及
びアルデヒドを産生する。
− 耐高温性大腸菌群は,44∼44.5℃で培養したとき,大腸菌群と同じ性状を示す。
− 推定 E. coli は,耐高温性大腸菌群の中でトリプトファンからインドールを産生するものである。
− 細菌分類学でいう大腸菌は,水の大腸菌群試験における(推定)E. coli の中でメチルレッド試験及
び L−グルタミン酸の脱カルボン酸試験陽性,アセチルメチルカルビノール(アセトン)産生能(VP
試験)
,唯一の炭素源としてのくえん酸塩利用能,又はシアン化カリウム−ブロス培地での発育陰性
の菌ということができる。
7
K 0430-72-40 : 2000
附属書 B(規定) 培地,試薬及び希釈水
分離用培地
ラクトースブロス培地
2
倍濃度培地
ペプトン
10g
ラクトース(JIS K 8728)
10g
牛肉エキス
6g
蒸留水 1
000ml
各成分を沸騰して溶かした後,必要があれば滅菌後の pH が 6.9±0.2 になるように調節する。普通濃度
培地は 2 倍濃度培地に等量の蒸留水を加えて調製する。
マッコンキーブロス培地
2
倍濃度培地
胆汁酸塩
10g
ペプトン
40g
ラクトース(JIS K 8728)
20g
塩化ナトリウム(JIS K 8150)
10g
ブロモクレゾールパープル(JIS K 8841)[又はメタクレゾールパープル(JIS K 8889)
{エタノール(JIS K 8102)溶液 [1% (V/V)]}
2ml
蒸留水 1
000ml
ペプトン,塩化ナトリウム及び胆汁酸塩を蒸留水に加熱して溶かし,一夜 4℃に静置する。冷たいまま
ろ過し,ラクトースを加えて溶かす。pH を 7.4±0.2 に調節後,ブロムクレゾールパープルを加える。
普通濃度培地
− 普通濃度培地は 2 倍濃度培地に等量の蒸留水を加えて調製するか,各成分を 2 倍濃度培地の半分の量
にして調製する。
− ダーラム発酵管に普通濃度培地は 5ml, 2 倍濃度培地は 10ml 及び 50ml ずつ分注する。115℃,10 分間
高圧蒸気滅菌をする。
8
K 0430-72-40 : 2000
改良グルタミン酸塩培地
1)
2
倍濃度培地
ラクトース(JIS K 8728)
20g
L (
+) グルタミン酸ナトリウム
12.7g
L (
+) アルギニン−塩酸塩
0.048g
L
−アスパラギン酸(JIS K 9045)
0.04g
L
−シスチン(JIS K 9048)
0.04g
ぎ酸ナトリウム(JIS K 8267)
0.5g
りん酸水素二カリウム(JIS K 9017)
1.8g
塩化アンモニウム(JIS K 8116)
5g
硫酸マグネシウム (MgSO
4
・7H
2
O) (JIS K 8995)
0.02g
塩化カルシウム (CaCl
2
.2H
2
O) (JIS K 8122)
0.02g
くえん酸鉄 (III)
0.02g
塩酸チアミン
0.002g
ニコチン酸
0.002g
パントテン酸
0.002g
ブロモクレゾールパープル(JIS K 8841) {メタノール(JIS K 8891)溶液 [1% (m/m)]}
2ml
蒸留水 1
000ml
とする
この培地は 10L,又はそれ以上の量を調製するとよい。直ぐに試験管に分注しない場合は,ラクトースと
塩酸チアミンを加えずにおき,分注直前に添加する。培地を調製する際,幾つかの成分を別々の溶液とし
て加えるとよい。これらの溶液は次のように調製する。
溶液 1
L (
+) アルギニン−塩酸塩 0.4g
L
−アスパラギン酸(JIS K 9045) 0.48g
蒸留水 50ml
加熱して溶かす。
溶液 2
L
−シスチン(JIS K 9048) 0.4g
水酸化ナトリウム(JIS K 8576)溶液 (5mol/L)
10ml
蒸留水 90ml
加熱して溶かす。
溶液 3
ニコチン酸 0.02g
パントテン酸 0.02g
蒸留水 5ml
加熱しないで溶かす。
溶液 4
くえん酸鉄 (III)
0.2g
蒸留水 10ml
1)
ミネラル添加グルタミン酸塩培地として粉末培地が市販されている。pH 調節が必要である。
9
K 0430-72-40 : 2000
加熱して溶かす。
溶液 5
塩化カルシウム (CaCl
2
・2H
2
O) (JIS K 8122) 5g
蒸留水 100ml
塩酸(JIS K 8180) 0.1ml
加熱せずに溶かした後,121℃,20 分間高圧蒸気滅菌し,貯蔵液として保存する。
溶液 6
滅菌チアミン水溶液 (1%)
− この溶液は,滅菌蒸留水 99ml に無菌的にアンプルチアミン (100mg) を加えて調製する。
4
℃で保存し,
6
週間を過ぎたものは処分する。
− 10L の 2 倍濃度培地の調製は,L (+) グルタミン酸,ぎ酸ナトリウム,りん酸水素二カリウム,塩化
アンモニウム及び硫酸マグネシウムを熱水 9L に溶かす。次いで,
溶液 1, 2, 3, 4 の全量及び溶液 5 の
4ml
を加える。滅菌後の pH が 6.7 になるように,必要があれば pH を 6.8 かそれよりやや高い程度に
調節する。この培地は装置,滅菌などの条件が変わらなければ,滅菌後の pH の変化はほぼ一定であ
る。予備試験を行い,滅菌前の pH を決定しておくとよい。
− pH 調節後,ブロムクレゾールパープルのエタノール溶液 (1%) 20ml 及び蒸留水約 810ml を加え,全
量を 10L とする。培地を一度に使いきらないときは,500ml ずつ瓶に入れ,115℃,10 分間高圧蒸気
滅菌する。
− 使用時に必要量のラクトース及びチアミン水溶液(
溶液 6)を加え溶かした後,ダーラム発酵管に 10ml
又は 50ml ずつ分注する。
− 高圧蒸気滅菌後及び使用前にダーラム発酵管内が培地で満たされていることを確認する。これを怠る
と,気体産生を誤って判定しかねない。
− 115℃で 10 分間高圧蒸気滅菌するか,又は 100℃で 30 分間ずつ 3 日間,
(間欠)蒸気滅菌を行う。
普通濃度培地
− 普通濃度培地は 2 倍濃度培地に等量の蒸留水を加えて作成し,ダーラム発酵管に 5ml ずつ分注する。
滅菌は,115℃で 10 分間高圧蒸気滅菌するか,又は,100℃で 30 分間ずつ 3 日間,
(間欠)蒸気滅菌を
行う。
備考1. 加水分解カゼイン [0.1% (m/m)] (ビタミンの入っていない)を添加すると結果を早く得るこ
とができる。
ドデシル硫酸−トリプトース(ラクトース)−ブロス培地
2
倍濃度培地
トリプトース
40g
ラクトース(JIS K 8728)
10g
塩化ナトリウム(JIS K 8150)
10g
りん酸水素二カリウム(JIS K 9017)
5.5g
りん酸二水素カリウム(JIS K 9007)
5.5g
高純度のドデシル硫酸ナトリウム
0.2g
蒸留水 1
000ml
10
K 0430-72-40 : 2000
トリプトース,ラクトース,塩化ナトリウム,りん酸水素二カリウム及びりん酸二水素カリウムを蒸留
水に加熱して溶かす。次いで,ドデシル硫酸ナトリウムを加え泡立たないように静かに混合する。pH を
6.8
±0.2 に調節する。
普通濃度培地は 2 倍濃度培地に等量の蒸留水を加えて調製する。
ダーラム発酵管に普通濃度培地は 5ml, 2 倍濃度培地は 10ml 及び 50ml ずつ分注する。115℃,10 分間高
圧蒸気滅菌をする。
確認試験用培地
ブリリアントグリーン−ラクトース(胆汁)ブロス培地
2)
(気体産生試験用)
ペプトン
10g
ラクトース(JIS K 8728)
10g
乾燥牛胆汁粉末
20g
ブリリアントグリーン(0.1wt. %水溶液)
13ml
蒸留水 1
000ml
ペプトンを蒸留水 500ml に溶かす。
別に,
乾燥牛胆汁粉末 20g を蒸留水 200ml に溶かしたものを加える。
このときの pH は 7.0∼7.5 である。次いで,蒸留水を加えて約 975ml とした後,ラクトースを加えて pH
を 7.4 に調節する。ブリリアントグリーン溶液を加え,蒸留水で全量を 1 000ml とする。
ダーラム発酵管に 5ml ずつ分注し,115℃,10 分間高圧蒸気滅菌する。
EC
培地(気体産生試験用)
トリプトース又はトリプチケース
20g
ラクトース(JIS K 8728)
5g
胆汁酸塩混合物又は胆汁酸塩 No.3
1.5g
りん酸水素二カリウム(JIS K 9017)
4g
りん酸二水素カリウム(JIS K 9007)
1.5g
塩化ナトリウム(JIS K 8150)
5g
蒸留水 1
000ml
滅菌後の pH が 6.9 になるように調節し,ダーラム発酵管に分注後,滅菌する。
トリプトン培地(インドール産生試験用)
インドール試験を行う場合,ペプトンによって 35℃又は 37℃では良好な成績が得られても,44℃のイン
ドール試験で良好な結果が得られないことがあるので,トリプトンを使用するのがよい。
L
−トリプトン(JIS K 8676)
20g
塩化ナトリウム(JIS K 8150)
5g
蒸留水 1
000ml
各成分を蒸留水に溶かし,pH を 7.5 に調節する。試験管に 5ml ずつ分注し,115℃,10 分間高圧蒸気滅
菌する。
備考2. 培地に L−又は DL−トリプトファン [0.1% (m/m)] を加えると培地の性能が向上する。
2)
この培地は試験の再現性に欠けることがあるので,あらかじめ培地の抑制効果を確認しておくとよい。
11
K 0430-72-40 : 2000
トリプトファン添加ドデシル硫酸−トリプトース−マンニトール−ブロス培地
(気体及びインドール産生試験用)
トリプトース
20g
マンニトール[JIS K 8884 に規定する D (−) −マンニトール] 5g
塩化ナトリウム(JIS K 8150)
5g
りん酸水素二カリウム(JIS K 9017)
2.75g
りん酸二水素カリウム(JIS K 9007)
2.75g
ドデシル硫酸ナトリウム
0.1g
L
−トリプトファン(JIS K 8676)
0.2g
蒸留水
1 000ml
トリプトース,塩化ナトリウム,マンニトール,りん酸水素二カリウム,りん酸二水素カリウム及びト
リプトファンを蒸留水に加え,加熱して溶かす。ドデシル硫酸ナトリウムを加え泡立てないように静かに
混合する。pH を 6.8±0.2 に調節する。ダーラム発酵管に 5ml ずつ分注し,115℃,10 分間高圧蒸気滅菌す
る。
試薬
インドール試験用コバック試薬
p
−ジメチルアミノベンズアルデヒド(JIS K 8496) 5g
アミルアルコール(1−ペンタノール) 75ml
塩酸 (
ρ=1.18g/ml) (JIS K 8180) 25ml
p
−ジメチルアミノベンズアルデヒドをアミルアルコール(1−ペンタノール)に溶かした後,注意深く
塩酸を加える。光を避け 4℃に貯蔵する。
備考3. コバック試薬はうすい黄色からうすい褐色である。アミルアルコール(1−ペンタノール)に
よっては p−ジメチルアミノベンズアルデヒドを加えると褐色を呈することがある。
オキシダーゼ試薬
テトラメチル−p−フェニレンジアミン塩酸塩 0.1g
蒸留水 10ml
この試薬は貯蔵できない。必要なときに少量を新たに調製する。
希釈水
ペプトン水 (0.1%)
ペプトン
1.0g
蒸留水 1
000ml
ペプトンを蒸留水約 950ml に溶かし,滅菌後の pH が 7.0±0.1 となるように水酸化ナトリウム溶液
(1mol/L)
(JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウムを用いて調製する。
)
,又は塩酸(JIS K 8180 に規定す
るもの。
)で pH を調節する。
蒸留水で全量を 1 000ml としたのち,必要量に分注し,121±1℃で 15 分間高圧蒸気滅菌する。
ペプトン添加生理食塩水
ペプトン
1.0g
塩化ナトリウム(JIS K 8150)
8.5g
蒸留水 1
000ml
12
K 0430-72-40 : 2000
各成分を蒸留水約 950ml に煮沸して溶かし,滅菌後の pH が 7.0±0.1 となるように水酸化ナトリウム溶
液 (1mol/L) (JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウムを用いて調製する。
)
,又は塩酸(JIS K 8180 に規
定するもの。
)で pH を調節する。蒸留水で全量を 1 000ml とした後,必要量に分注し,121±1℃で 15 分
間高圧蒸気滅菌する。
リンゲル液
4
1
濃度
塩化ナトリウム(JIS K 8150)
2.25g
塩化カリウム(JIS K 8121)
0.105g
塩化カルシウム(JIS K 8123)
0.12g
炭酸水素ナトリウム(JIS K 8622)
0.05g
蒸留水 1
000ml
各成分を溶かした後,必要量に分注し,121±1℃,15 分間高圧蒸気滅菌する。滅菌後の pH は 7.0±0.1
でなければならない。
りん酸塩緩衝液
りん酸二水素カリウム(JIS K 9007)
42.5mg
塩化マグネシウム(JIS K 8150)
190mg
蒸留水 1
000ml
各成分の調製
a)
りん酸塩溶液 JIS K 9017 に規定するりん酸二水素カリウム 34g を蒸留水 500ml に溶かし,水酸化ナト
リウム溶液 (1mol/L) (JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウムを用いて調製する。
)で pH を 7.2±0.5
に調節後,蒸留水を加えて全量を 1 000ml とする。
b)
塩化マグネシウム溶液 JIS K 8159 に規定する塩化マグネシウム六水和物 38g を蒸留水 1 000ml に溶か
す。
各成分の混合
使用時はりん酸塩溶液 a)1.25ml と塩化マグネシウム溶液 b)5.0ml を蒸留水 1 000ml に加える。使いやす
い容量に分注し,121±1℃,15 分間高圧蒸気滅菌する。滅菌後の pH は 7.0±0.1 でなければならない。
普通寒天培地
肉エキス 1.0g
ペプトン 1.0g
塩化ナトリウム(JIS K 8150) 5g
寒天(JIS K 8263) 15g
各成分を加熱して水に溶かした後,水酸化ナトリウム溶液 (1mol/L) (JIS K 8576 に規定する水酸化ナ
トリウムを用いて調製する。
)で pH を約 8.2 に調節し,さらに 10 分間煮沸する。ろ過後 pH を 7.2∼7.4 に
調節し,100ml ずつ分注して,121±1℃で 15 分間高圧蒸気滅菌する。
13
K 0430-72-40 : 2000
平成 9 年度 国際整合化調査研究委員会 構成表(平成 10 年 3 月現在)
氏名
所属
(委員長)
○
並 木 博
横浜国立大学名誉教授
○
宮 崎 正 浩
1)
工業技術院標準部消費生活規格課
谷 重 男
2)
通商産業省環境立地局産業施設課
林 明 夫
3)
通商産業省環境立地局環境指導課
畑 野 浩
環境庁水質保全局水質規制課
佐 藤 寿 邦
横浜国立大学工学部
中 村 和 憲
工業技術院生命工学工業技術研究所
田 尾 博 明
工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部
○
福 井 学
工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部
田 中 宏 明
建設省土木研究所下水道部
○
菅 谷 芳 雄
国立環境研究所地域環境研究グループ
○
土 橋 悦 輝
東京都立衛生研究所環境保健部
○
渡 辺 真利代
東京都立衛生研究所環境保健部
○
竹 内 準 一
東京都下水道局
日 野 隆 信
千葉県衛生研究所
小 倉 光 夫
神奈川県環境科学センター水質環境部
○
坂 本 勉
財団法人日本規格協会技術部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会技術部
○
高 月 峰 夫
財団法人化学品検査協会安全性評価技術研究所
○
梅 崎 芳 美
社団法人産業環境管理協会名誉参与
横 倉 清 治
社団法人日本環境測定分析協会(三菱マテリアル株式会社)
竹 島 正
4)
社団法人日本下水道協会(東京都下水道局)
狩 野 久 直
日本錬水株式会社研究所
久 島 俊 和
オルガノ株式会社総合研究所
○
川 瀬 晃
セイコー電子工業株式会社科学機器事業部
米 倉 茂 男
元東京都立工業技術センター(現東京都立産業技術研究所)
岩 崎 岩 次
社団法人日本工業用水協会
(事務局)
宮 寺 秀 雄
社団法人日本工業用水協会
本 郷 秀 昭
社団法人日本工業用水協会
備考
1)
:発足当初は,西出徹雄(工業技術院標準部消費生活規格課)
2)
:発足当初は,乾 敏一(通商産業省環境立地局産業施設課)
3)
:発足当初は,藤冨正晴(通商産業省環境立地局環境指導課)
4)
:発足当初は,山田昭捷(東京都下水道局)
○は微生物・細菌関係の小委員会委員兼任
(文責 渡辺 真利代)