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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

JIS K 0410-3-12には,次に示す附属書がある。 

附属書A(参考) はさみ−グラブシステムの説明(ヴァンヴィーンハッパ形) 

附属書B(参考) ピストンドリルシステムの説明 

附属書C(参考) ダイバー併用コアラーシステムの説明 

附属書D(参考) ビーカー (Beeker) サンプラーシステムの説明 

附属書E(参考) 密閉コアサンプラーシステムの説明 

附属書F(参考) くさびコア又はヴリウイットドリルシステムの説明 

附属書G(参考) 落下ボムシステムの説明 

附属書H(参考) ジェンキンス泥サンプラーシステムの説明 

附属書J(参考) クレイブコアラーシステムの説明 

附属書K(参考) ピストンコアラーの説明 

附属書L(参考) 泥炭ボーラーの説明 

附属書M(参考) 参考文献 

JIS K 0410シリーズは,次に示す各部からなる。 

JIS K 0410-1 水質−サンプリング−第1部:サンプリング計画策定の指針 

JIS K 0410-2 水質−サンプリング−第2部:サンプリング技術の指針 

JIS K 0410-3 水質−サンプリング−第3部:試料の保存及び取扱いの指針 

JIS K 0410-4 水質−サンプリング−第4部:天然及び人造湖からのサンプリングの指針 

JIS K 0410-6 水質−サンプリング−第6部:河川水のサンプリングの指針 

JIS K 0410-7 水質−サンプリング−第7部:ボイラ施設の水及び蒸気のサンプリングの指針 

JIS K 0410-8 水質−サンプリング−第8部:湿性沈着のサンプリングの指針 

JIS K 0410-9 水質−サンプリング−第9部:海水のサンプリングの指針 

JIS K 0410-10 水質−サンプリング−第10部:廃水のサンプリングの指針 

JIS K 0410-11 水質−サンプリング−第11部:地下水のサンプリングの指針 

JIS K 0410-12 水質−サンプリング−第12部:底質のサンプリングの指針 

原国際規格のISO 5667シリーズには,第1部〜第12部連続で各部が規定されているが,この中のISO 

5667-5 : 1991は,飲料水及び食品,清涼飲料水加工処理用水のサンプリングの指針となっており,日本工

業規格の制定は行っていない。 

K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 2 

4. サンプリング設備 ············································································································ 2 

4.1 サンプリング容器の材料及び種類 ······················································································ 2 

4.2 装置の選択に関する基準·································································································· 3 

4.3 装置の種類 ··················································································································· 3 

5. サンプリング手順 ············································································································ 6 

5.1 サンプリング現場の選択·································································································· 6 

5.2 サンプリング地点の選択·································································································· 7 

5.3 サンプリング方法の選択·································································································· 7 

5.4 サンプリングの頻度及び時期 ···························································································· 8 

5.5 現場条件 ······················································································································ 8 

6. 混合試料 ························································································································ 9 

7. 試料の貯蔵,輸送及び安定化 ···························································································· 10 

8. 安全 ····························································································································· 11 

9. サンプリングの統計的考察 ······························································································· 12 

10. 試料の確認及び試験報告································································································· 12 

附属書A(参考) はさみ−グラブシステムの説明(ヴァンヴィーンハッパー形) ························· 13 

附属書B(参考) ピストンドリルシステムの説明 序文 TC ······················································· 15 

附属書C(参考) ダイバー併用コアラーシステムの説明 序文 TC ·············································· 16 

附属書D(参考) ビーカー (Beeker) サンプラーシステムの説明 ················································ 17 

附属書E(参考) 密閉コアサンプラーシステムの説明 ······························································ 20 

附属書F(参考) くさびコア又はヴリウイットドリルシステムの説明 ········································· 22 

附属書G(参考) 落下ボムシステムの説明············································································· 23 

附属書H(参考) ジェンキンス泥サンプラーシステムの説明 ····················································· 25 

附属書J(参考) クレイブコアラーシステムの説明 ·································································· 27 

附属書K(参考) ピストンコアラーの説明············································································· 29 

附属書L(参考) 泥炭ボーラーの説明 ··················································································· 31 

附属書M(参考) 参考文献 ································································································· 33 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格         JIS 

K 0410-3-12 : 2000 

(ISO 5667-12 : 1995) 

水質−サンプリング− 

第12部:底質のサンプリングの指針 

Water quality−Sampling− 

Part 12:Guidance on sampling of bottom sediments 

序文 この規格は,1995年に第1版として発行されたISO 5667-12, Water quality−Sampling−Part 12:

Guidance on sampling of bottom sedimentsを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成

した日本工業規格である。 

この規格は,JIS K 0410-3-1 (ISO 5667-1),JIS K 0410-3-2 (ISO 5667-2) 及びJIS K 0410-3-3 (ISO 5667-3) と

併せて読むことが望ましい。 

使用する一般用語は,ISO 6107の各部,特にISO 6107-2に示すサンプリング用語と整合している。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。 

1. 適用範囲 

− この規格は,次の各所からの沈降物質のサンプリングについての指針を示す。 

− 内陸河川 

− 湖及び同様の静止水域 

− 沿岸 (estuary) 及び港湾水域 

− 工場及び下水処理場スラッジ,古陸水学サンプリング及び外洋沈降物は,幾つかの技術がこれらにも

適用できるが,本質的には除外される。沈降速度測定,その他輸送基準及び詳細な層図作成 (strata 

delineration) のためのサンプリングは,この規格の適用範囲ではない。 

− 研究の目的には,次のものも含まれる。 

− 水域の説明図の作成 

− ブイなどの固定標識物の一定間隔におけるモニタリング 

− しゅんせつ(浚渫)土 (dredger spoil) の質の調査 

− 基礎的研究 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO 5667-12 : 1995, Water quality−Sampling−Part 12:Guidance on sampling of bottom sediments 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。)を適用する。 

K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

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JIS K 0410-3-1 水質−サンプリング−第1部:サンプリング計画策定の指針 

備考 ISO 5667-1 : 1980, Water quality−Sampling−Part 1:Guidance on the design of sampling 

programmesからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS K 0410-3-3 水質−サンプリング−第3部:試料の保存及び取扱いの指針 

備考 ISO 5667-3 : 1994, Water quality−Sampling−Part 3 Guidance on the preservation and handling of 

samplesが,この規格と一致している。 

ISO 2602 : 1980 Statistical interpretation of test results−Estimation of the mean−Confidence interval 

ISO 2854 : 1976 Statistical interpretation of data−Techniques of estimation and test relating to means and 

variances 

ISO 6107-2 : 1989 Water quality−Vocabulary−Part 2 

ISO 9391 : 1993 Water quality−Sampling in deep waters for macro-invertebrates−Guidance on the use of 

colonization, qualitative and quantitative samplers 

ISO 10381-6 : 1993 Soil quality−Sampling−Part 6:Guidance on the collection, handling and storage of soil 

for the assessment of aerobic microbial processes in the laboratory 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

3.1 

混合試料 (composite sample) 適当な既知の割合に混合した二つ以上の試料又はサブ試料。これから

目的とする特性の平均的結果が得られる。各部分は同一の層から,又は沈降物の同じ厚さで得られる。試

料構成分 (sample components)  は同一器具を用いて同一条件で採取し,前処理する。 

3.2 

パイル作用 (pile-working) ピストンコアラーの内部を上昇する試料が,それ自身の摩擦,大きな石

の破片による閉そく,又は管が満たされたことによる抵抗によって生じる現象。 

3.3 

説明図 (descriptive mapping) 性質,変化,及び規模に関する沈降物の現況の説明。これは,試料

の正確な位置の確定及び現場の条件の記録によって行われる。あらかじめ設定した条件も実施の必要条件

である。 

3.4 モニタリング (monitoring) 沈降物の物理化学的及び記述的 (descriptive) 特性の経時的変化の確定。 

3.5 

しゅんせつ(浚渫)土の質 (quality of dredger spoil) しゅんせつ過程で除去され,場外に捨てられ

た沈降層の化学的性質,及び特に砂洲しゅんせつでは,物理化学的性質の確定。 

4. サンプリング設備 

4.1 

サンプリング容器の材料及び種類 

− ガラス広口瓶は,その内面の様子がよく観察でき,微生物のサンプリングに先だってはプラスチック

容器よりも容易に滅菌できる点で優れているが,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリカーボネート

及びガラス容器はほとんどのサンプリングに勧められる。 

− ガラス容器は,有機成分を定量する場合にも用いるとよく,ポリエチレン容器はガラスの主成分(例

えば,ナトリウム,カリウム,ほう素及びけい素)及びこん(痕)跡量の金属類(例えば,水銀)の

サンプリングに適している。これらの容器は予備試験の結果,汚染が容認レベルである場合にだけ使

用する。 

− ガラス容器を弱く緩衝された間げき水を伴う沈降物の貯蔵に用いる場合は,ソーダ石灰ガラスよりほ

うけい酸ガラス容器を用いるとよい。 

− 使用する試料容器の詳細な指針については,標準分析手順及び受け入れ試験室の両方と常時相談する

K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

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とよい。試料容器の清浄については,JIS K 0410-3-3 (ISO 5667-3) を参照。いかなる場合も,受け入

れ試験室との相談は義務条項と考えた方がよい。 

4.2 

装置の選択に関する基準 

4.2.1 

研究の種類 

− 研究の種類は,次の三つに区分される。 

a) 化学的研究 

b) 物理的研究 

c) 集落形成サンプラー,トラップ及びネットを除く生物学的研究 

− グラブシステム(4.3.1)を用いないときは,サンプリング装置の選択基準は次の条件に合致することも

必要である。 

− 層位 (stratigraphy) を変化することなく沈降物を貯蔵 

− 層の選択が可能 

− 所要水深からのサンプリングが可能 

4.2.1.1 

化学的研究 この種の研究では,沈降物と結びついている物質の性質及び量が測られる。ある化

学種は,小さい鉱物粒子及び有機物と優先的に結合し,また,あるものは残留間げき水に含まれる。サン

プリング装置が金属製の場合,摩耗及び化学反応,例えば,硫化物及びりん酸塩との,が特定の汚染を招

くことに留意することが望ましい。この種の効果が調査結果に及ぼす影響の程度を推定するために,適切

な品質管理対策を受け入れ試験室とよく相談するとよい。ある研究項目は,酸素のない雰囲気中におくこ

とを要し(例えば,硫化物),不活性ガス下で貯蔵し,取扱う必要がある。いずれの場合も,分析はできる

だけ早く行うことが望ましい。 

4.2.1.2 

物理的研究 この種の研究では,水底の構造,組織及び層構成が決定される。これら詳細は,砂,

粘土及び貝殻の生産に対して,また,地理学的,形態学的,ときには地球工学的 (geotechnical) 研究に特

に重要である。 

4.2.1.3 

生物学的研究 生物学的研究には,通常,底質表面又は内部に存在する植物,動物の種の分類,

計数が含まれる。ほとんどすべての場合,サンプリングは生物層で行われる。プローブの深さは,一般に

最大50 cmである。詳細は,集落形成トラップ又はネットサンプリングを含めた方法の詳細についてはISO 

9391を参照するとよい。ある場合には,脱窒,りん酸塩放出,水銀又はすずなどの金属のメチル化反応な

どの微生物活動が対象になる。 

4.3 

装置の種類 

備考1. この規格に述べる装置の利点と競合し,又はそれを補完する付加装置が市販されているかも

しれない。将来の改訂の内容の展望は適切な時期に考えるとよい。 

4.3.1 

グラブシステム 

4.3.1.1 

一般 多くの試料が水底グラバー (bed grabber) で捕集される。最も著名なのは,はさみ−グラ

ブ (scissor-grab) であり,ヴァンヴィーンハッパー (van Veenhapper) 形として知られている。しかし,こ

れには多数の種類がある。一般に,グラブシステムは一つ以上のちょうつがい(蝶番)のあるバケツで構

成され,これは引き上げる時に閉じる。閉じるとき,沈降物はバケツの中に取り込まれ,じょう(擾)乱

試料が得られる。プローブ深度はサンプラーの大きさと質量及び水底物質の構造によって5〜50 cmと変化

する。グラブの構造によっては,微細部分及び/又は上層が失われる可能性が大きい。いろいろな形のグ

ラブが入手できる。すべてのグラブシステムは,同様のサンプリング特性をもっているので,ヴァンヴィ

ーンハッパー形だけを附属書Aに詳述する。一般に,詳細な操作説明書は製造業者が提供している。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.3.1.2 

はさみ−グラブ又は貝殻バケツ (clam-shell buckets)  

4.3.1.2.1 

適用 このシステムは物理,化学及び生物学的研究用に推奨される。 

4.3.1.2.2 

水底の種類 このシステムは,シルト及び/又は砂若しくは砂利で構成される水底のサンプリ

ングに最も適している。泥炭,粘土又は浅瀬 (riffle areas) の砂利床のサンプリングには適さない。 

4.3.1.2.3 

試料の正確さ はさみ−グラブで採取した試料は,常に乱されている。微細な部分の流失によ

る不正確さが伴う。各装置について侵入深度は不明であり,水底の性質によって異なる。例えば,グラブ

は薄いシルト層を通って沈下できるので,底質内のどの深度から試料が採取されたかは分からない。 

4.3.1.2.4 

海の状態 はさみ−グラブは,浅い又は深い水域,また,流れの速い又は遅い水域の両方で使

用できる。しかし,条件に合うように構造及び質量を適応させなければならない。同じような質量の物体

を用いて試行することを勧める。これによって,強い流れが試料の位置に影響するかどうかが分かる。必

要があれば,おもりを追加できる。安全上の理由からやむを得ず主ラインを放棄する場合の保障対策とし

て標識フロートを付けた第2ラインを付けることを勧める。これは回収に役立つ。 

4.3.2 

コアラーシステム コアラーシステムを用いるサンプリングは,沈降物がその中に押し上げられる

ように水底中に中空管を押し込む原理によっている。試料は,管を水底から引き上げると得られる。この

サンプリング原理は,いろいろな形で用いられる。システムは管(必要に応じてロッドで延長した)を手

動で,又は自重,振動機構で水底に押し込むシステムによって区分することができる。 

4.3.2.1 

適用 このシステムは,物理,化学及び限られた生物学的研究に推奨される。 

4.3.2.2 

水底の種類 ある種の砂床に適しているが,最初に試験してみることが必要である。粘土タイプ

及び軟らかい泥炭質もコアラに適している。泥炭ボーラー (peat borer) には特定の用途がある。 

4.3.2.3 

試料の正確さ 多くのコアラー試料は,比較的乱されず,層の確定に使用できよう。 

4.3.2.4 

海の状態 

− 手動形は,小さいボートで速い流れ及び強風などの海洋制限下で扱うのに適している。これらは,ダ

イバーを用いない限り,一般に浅海での使用に限られる。 

− ボートから機械装置を遠隔使用することもでき,これは悪天候下の使用に適している。海岸又は橋か

らの使用は勧められない。 

4.3.2.5 

その他の情報 

− コアラーシステムではいわゆる“パイル作用”(3.2)が生じる。パイル作用の程度は,管の直径,水底

の組成及び侵入速度などの変数によって異なる。この現象がいつ起きるかを予見することは,各場所

が多様なので困難であり,解釈は注意深く行うことが望ましい。 

− 証拠は,コアの中心の圧縮を示す層のねじれ,サンプリング中のコア周辺の動きの少なさを観察する

ことによって発見できる。一般に,試料の底から上に凹状の外見が目立つ。この現象の重要性は,出

現の理由及び試料の最終用途によって異なる。成層の研究はこの現象によって著しく阻害される。こ

の現象を克服する唯一の方法は,別の技術,例えば,より大口径のコア管の使用であろう。試料管の

内面の潤滑は,引き続きの試験を行う試験室の同意が得られたときにだけ使用する。 

− 沈降物試料のコアは,引き続いての試験室分析及び解釈に便利なように,寸法的に正確なサブサンプ

リングがしばしば必要になる。押し出し装置には,簡単なピストン又はコア管を載せたいろいろな固

定垂直ピストンを用いた各種の装置 (fixture) がある。押し出された物質は,サンプリング管の頂部に

取り付けた装置で切断できる。試料は,スプーンで又は沈降物が十分硬いときはスパチュラで簡単に

取り出せる。コアラー及び切断装置の材料は,どのような化学分析でも問題を生じないものを選ぶこ

とが望ましい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.3.2.6 

手動サンプリング装置 

− この装置では,管をロッドで水底に押し込む。侵入は水底の性質によるが,通常,最大2 mまでであ

る。砂利は,このサンプリング方法に適さない。継ぎ足しロッドを用いるので,4 mを超える距離を

ロッドで架橋しなければならない岸からの作業では,試料を得るのに問題を生じることがある。舟が

動くので,ボートからよい試料を得るのは困難なことが多い。しかし,水深約2 mから信頼できる試

料を得ることができる。これを超えるときはダイバーを用いる必要がある。 

− 同じ原理に基づいたいろいろな種類の手動コアラーが使用されている。幾つかの種類のコアラーシス

テムの特徴及び推奨する代表的な適用を4.3.2.6.1〜4.3.2.6.5に示す。 

4.3.2.6.1 

ピストンドリル このピストンドリルは物理,化学及び生物学的研究に勧められる。これは,

硬いシルトからなる水底のサンプリング及び/又は泥炭への使用に適している。底部が閉じていないので,

試料がコア管の底から失われる可能性があり,細かい砂状又はシルト状物質の底質には不適切である。 

4.3.2.6.2 

ダイバーを併用するコアラーシステム 

− このシステムでは,ダイバーがコア管を沈降物に押し込む。必要があれば,試料をより容易に管中に

取り込むために真空ポンプを併用する。最大侵入は2 mである。 

− このダイバコア管は,化学,物理及び限られた生物学的研究に適用できる。 

4.3.2.6.3 

ビーカー (Beeker) コアサンプラー(附属書D参照) 管は,沈降物から引き上げるとき,試

料が管から落下するのを防ぐための膨らますことのできるじゃばら(蛇腹)を備えたカッターヘッドに載

っている。 

4.3.2.6.4 

密閉コアサンプラー(附属書E参照) 

− プラスチック内部スリーブを備えたステンレス鋼管は,沈降物から管を取り出すとき試料が落下しな

いように膨らんだ二つの小さいじゃばら(一つは管の頂部に,一つはカッターヘッド内にある)で密

閉されている。 

− その限界を考慮すると,密閉コアサンプラーは化学,物理及び限られた生物学的研究に使用できる。

これは,シルト状及びかなり軟らかい水底に適しており,(小さい)舟,又は岸[例えば,桟橋,ふ(埠)

頭及び橋]から操作できる。 

備考2. ソフト及びハード用語(この規格で使用する)は多分に任意的なもので,特定の物理的沈降

物特性へのサンプラーの適応性の評価では,ある種の試行錯誤を用いなければならない。 

− 管の頂部及び底部を遮断できるので,試料は乱れずに採取できる。密閉コーンサンプラーによく取り

付けられている試料離脱装置を使用するといろいろな層を正確に採取できる。 

注意事項 固化したシルト (consolidated silt) では“パイル作用”を生じやすい。この場合,侵入深

度はコア管中の試料の圧縮層の深さより大きい。このことは,サンプリング操作及びコ

アの解釈において心にとめておくことが望ましい。 

ボートを使用する場合,コア管を水底に押し込んだとき,舟が押し退けられないように

定位置にとどまることが重要である。舟が風又は流れによってロッドに対して移動する可

能性がある。これはサンプリング装置及びボートの破損を避けるために防止することが望

ましい。 

− 主に水底の硬さ (consistency) によってサンプリング結果が決まる。その構造上(空気及び圧力ホース),

装置は水深約3 mまでのシルト状のかなり軟らかい水底にだけ使用できる。 

K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.3.2.6.5 

ヴリウイット (Vrijwit) ドリル又はくさびコアラー(附属書F参照) くさびコア管は最大侵入

深度1.50 mである。くさびの一つの側面は,開いたままで沈降物中に押し込む。コア管の開いた側面をス

ライダーで閉じ,試料を沈降物から取り出す。 

4.3.3 

機械操作のサンプリング装置 多くの種類及び改良形が用いられている。4.3.3.1〜4.3.3.8には幾つ

かの普及形の特徴及び推奨される代表的適用,併せて各種沈降物への適性について述べる。 

4.3.3.1 

落下ボムコアサンプラー(附属書G参照) コア管は,おもりを付けたホルダーに取り付けてあ

り,ホルダーは船から自由に落下して沈降物中に侵入する。この方法は,船を係留する必要がないので,

迅速,かつ,効率的である。この方法は,固化していない沈降物には適さない。 

4.3.3.2 

ジェンキンス (Jenkins) 泥サンプラーコアサンプラー(附属書H参照) 

− コアラーはフレームに取り付けられ,その大きな質量によって水底に侵入する。つり下げケーブルを

十分に緩めると閉鎖機構が働いてちょうつがいのついたアームで試料を閉じ込める。 

− ジェンキンス泥サンプラーは,極めて軟らかい水底の表層の物理,化学及び限られた生物学的研究に

適している。硬い底質には不適切である。油圧装置を用いてバルブを静かに閉じることによって沈降

物の軟らかい表層の非じょう乱試料を得ることができる。 

− 水底は,硬いと抵抗によってバルブがよく閉じず,また,コア管が侵入しないので,軟らかいことが

必要である。試料は深い水底からも採取できる。 

4.3.3.3 

クレイブ (Craib) コアラーサンプラー(附属書J参照) クレイブコアラーは,フレームに取り

付けたコア管で構成される。コア管を沈降層から引き上げるとき,まず,コア管の頂部をバルブで閉じる。

底部が水底から離れると直ちにボールによって閉じる。 

4.3.3.4 

簡易形 (Easy All) コアサンプラー 簡易形は,その質量を約110 kgまで増加できるコアラーであ

る。試料採取後,コア管はバルブでその頂部及び底部を閉じる。充てんしたコア管は積み込んだ後,ホル

ダーから完全に取り外すことができる。また,管壁の小さな側口に電極を差し込んで,コア物質から直接

に読取りを行うこともできる。温度及び酸化還元電位などの測定項目は容易に調べることができる。 

4.3.3.5 

振動コアラーサンプラー ポリ塩化ビニル管を入れたケーシングを,おもり及び振動機構によっ

て水底に押し込む。ピストンが試料を管中へ容易に移動させる。コア管が所定深度に達したら,水底から

取り出す。コアキャッチャー及びピストンがコア管からの試料の脱落を防止する。各種の振動コアラの侵

入深度は1.2〜6 mである。全質量は約850 kg。振動コアラーを使用する場合は少なくとも1 000 kgのつり

上げ能力がある船を用いる必要がある。この種類のサンプラーは,極めて特殊な装置が必要であり,その

使用はこの規格の適用範囲を越えるものと考えられる。 

4.3.3.6 

ピストンコアラーサンプラー(附属書K参照) ピストンコアラーは,その頂部におもりを付け,

安定性を増すための羽根を備えたコア管で構成される。作動は自由落下の原理による。 

4.3.3.7 

泥炭ボーラー この装置は,通常,飽和又は部分脱水された泥炭沈降物からコアを切り出すよう

に特別に設計されたハンドオーガーから成っている。ポーランド泥炭協会 (Polish Peat Institute) の二,三

の例を附属書Lに示す。 

4.3.3.8 

冷却指 (cold finger) 技術 これは冷凍した装置を沈降物中に挿入してその周辺の一部を凍結さ

せ,層位抽出及び分離を可能にするものである。詳細を知るには附属書Mに引用した文献を参照するとよ

い。 

5. サンプリング手順 

5.1 

サンプリング現場の選択 

K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 必要な試料を採取する正確な地点を選ぶには,次の二つの視点が通常必要である。 

a) サンプリング現場(すなわち,水塊の底におけるサンプリング断面の場所)の選定 

b) サンプリング現場における正確な地点の確認 

− サンプリングの目的によっては,正確なサンプリング現場の確定が必要である(特定の放流点からの

たい積の研究の場合のように)が,場合によっては河川デルタの物質の質と種類の特性調査のように

サンプリング場所の大体の確定でよいこともある。 

− 一つのサンプリング局用のサンプリング現場の選択は,比較的容易である。例えば,沈降物の質のベ

ースライン記録のためのモニタリング局には適切な橋でも,上流の排水放流点でも,又はステーショ

ン前の横方向によく混合した支流でもよい。 

− サンプリング前に,適切な質の水底地域の探査を助けるために低周波の音響測深機を考慮するとよい。 

− 選択基準には次も含まれる。 

− その場所への繰返し接近の容易さ。例えば,潮せき(汐)の影響。 

− 例えば,はん(氾)濫の問題のように,安全に関係する季節的利用性 (availability)。 

− 海上交通の影響,例えば,サンプリング地点は交通のあるところは避ける必要がある。 

5.2 

サンプリング地点の選択 

− これは,ボートの大きさ,水深などの物理的制約に影響されるが,正確な地点は主に研究目的によっ

て決まる。例えば,地球物理的地図作成だけが目的の場合,選択は流れの条件だけが問題であろう。

一方,化学組成/汚染の研究ではサンプリング地点は水底地域の地球物理的条件に主に依存するであ

ろう。例えば,多量の金属による汚染は,流れのある浅瀬ではふち(淵)よりも発見しにくい。サン

プリング地点の選択には計画の事前検討によるのが望ましいが,正確な場所は現地で必ず修正される

ことになろう。 

− 場所は水の出口付近,流れの混合の影響及び植物の生育のようなその他の要因を反映させる必要があ

る。 

5.3 

サンプリング方法の選択 

− サンプリング方法の選択は,次の二つの要因によって大きく制限される。 

a) 層位図形 (stratigraphical delineration) 用の大きくは乱されていない試料の要求。 

b) 一般地形学 (general morphology) 的又は化学的調査用として水底表面付近から採取されたじょう乱

試料の容認。 

− これらの要因は,計画策定段階で決定されよう。幾つかの種類の化学的パラメーターに対してはピス

トン又はチューブタイプの採取装置に不活性な内張りを使用する必要がある。例えば,低レベルの殺

虫剤の調査における四ふっ化エチレン樹脂の内張りである。 

− サンプリング方法の選択に関するその他の要因としては,沈降物の状態に対する当該装置の適用性が

ある。様式を表1に要約する。 

K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.4 

サンプリングの頻度及び時期 サンプリング計画の分析結果は,計画の目的に規定された許容範囲

内で必要な情報の見積もりを提示することを要する。目的が許容誤差の限界を含んでいないときは,統計

学に基づいたサンプリング計画は不可能である。沈降物組成の経時変化は,水における変化の検出よりも

はるかに長い観測時間を要することを覚えておいた方がよい。例えば,沿岸水では金属濃度の日間 (diurnal) 

変化が検出されるが,対応する沈降物は,もっと長いサンプリング期間にわたってばらつきを示すにすぎ

ない。系統サンプリングを用いる場合,サンプリング頻度が系に存在する自然のサイクルと同調していな

いことを確かめることが不可欠である。沈降物の場合,これは季節的変動であろう。ある場合,例えば,

間げき水の栄養塩の監視には,何らかの季節的変動を観察するためにサンプリング頻度を増す必要があろ

う。沈降物サンプリングの頻度は,大きな沈降速度が予期される場合だけ,結果の解釈に大きな影響を及

ぼしそうである。例えば,放流点の下流の河底の週ごとのサンプリングは,本質的な変動を除けば沈降物

の半年間隔のサンプリングからと異なったデータを示しそうもない。特別なプロジェクトの要求によるサ

ンプリングの理由では,それ自身によってサンプリング頻度が決まる。サンプリング頻度に対する統計学

の適用の詳細は,JIS K 0410-3-1 (ISO 5667-1) を参照。 

5.5 

現場条件 

− サンプリング位置の諸条件は,正確なサンプリングを実行するために極めて重要である。これらの条

件の多くはサンプリング開始前に分かっており,作業の準備を行い,また,使用する装置を選ぶとき

に考慮することが望ましい。 

− 次の条件が重要である。 

− 気候学的 

− 水文学的 

− 地質学的 

− 海運/航海 

5.5.1 

気候学的条件 

− 温度,風向及び風力は,サンプリングを行う場合の制限要因になる。例えば,サンプリング場所が極

めて波の影響の大きい地域にある場合,いつ実行を計画するか,いつ装置を使用するかを考慮してお

くことが望ましい。気候に関する制限は附属書に各種の装置について詳細に示してある。 

− 寒冷な気候の国々では湖の氷結面上の作業がよく行われる。しかしながら,安全は常に最優先であり,

地域規制に従うことが望ましい。装置は暖めたテントの中で凍結から守ることができる。 

− サンプリングへの要求は,気候条件によって左右される安全要因に対して判断されるべきである。さ

らに,あらしの条件が底質を乱し,物質が流失してしまえばサンプリングは実行不能又は無意味なも

のになる。 

5.5.2 

水文学的条件 

5.5.2.1 

感潮水域 

− 感潮水域では,水深,海流の速度及び方向の変化に注意することが望ましい。特に,海流が変化すれ

ば使用装置の選択は制限を受ける。速い流れの場所では大きな装置は使用できない。この種の装置を

用いるサンプリングは,サンプリング船への影響によって,低流速のときに限定するとよい。 

− 感潮水域では,水深が変化するので,サンプリングは低潮位のとき実施するとよい。例えば,乾き上

がった砂州で,ここでは手ごろなすき又は同様な道具による手動サンプリングができ,安全対策の見

地からも正当な評価を与えるものである。各サンプリングの時期は,地域的条件及び地域的潮せきの

経験によって判断するとよい。 

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 感潮河川の河床及び泥の干潟 (mud flats) のサンプリングは,土壌のサンプリングに用いたものと同様

な方法で実施できる。これは将来の国際規格に示されるであろう。 

5.5.2.2 

河川 河川の高流速については,注意が望ましい。計画が許すなら,サンプリングは装置への影

響の少ない低水位,低流速の時期に限ることを勧める。その他,地域水文学的条件も生じる。例えば,サ

ンプリング前に検討を要するこう(閘)門 (locks) の操作である。 

5.5.2.3 

静止水塊 湖,港湾水域及びある沈殿池では,流れは無視できることが多いので,水文学的条件

は使用する装置の種類に対してほとんど影響しない。使用する装置の選択では,サンプリング地点の水深

かここに述べた三つの水系すべてにおいて重要である。水深4 m未満では手動装置を勧めたい。4 mを超

える水深では,つり上げ又は誘導機構で操作されるサンプリングシステムがよい。グラブシステムの場合,

装置の大きさによって手動か否かが決まる。その他の指針を表1に示す。 

5.5.3 

沈降物の状態 使用装置の選定には,沈降層の一般的性質が重要である。事前情報がないときは,

地質図,沿岸図及び目視調査,又は潜水調査も用いて予備調査を実施することが望ましい。こうして実際

のサンプリング時に生じる多くの問題を防止する。サンプラーの種類と底質のいろいろな組合せについて

の勧告を表1に要約する。 

表1 沈降物の種類及び推奨されるサンプラー 

沈降物の種類 

サンプラー(1) 

砂利 

グラブシステム;大きい粒子サイズにはより重いグラブが必要。 

砂 

グラブ及びコアラーシステムが使用できる。砂床は極めて硬いこともあ
るので,この場合軽いグラブ及び手動コアラーシステムは使用困難。よ
り大きい質量のグラブ及び機械的コアラーが必要。 

粘土 

グラブシステムは容易に粘土に侵入しないことがあるので,コアラーの
使用が必要。 

泥炭 

試料採取が困難な対象。しかし,時には手動コアラーシステム又は特殊
な泥炭ボーラーが使用可能。 

固化した底質 

グラブ及びコアラーシステムが使用可能。グラブを用いる場合は,試料
侵入深度の決定は不可能。 

固化していな
い底質 

グラブシステムは軟層に沈みやすいので不適切。コアラーシステムがよ
い。しかし,大深度にフレームを使用するとき,フレームが軟層に沈下
しないように要注意。通常,フレームの脚部に大きな板をつけてこれを
防止する。この種の水底には自由落下の原理によるサンプラーは不適
切。 

注(1) 試料の種類対沈降物の種類は,実験によって決められるべきである。 

5.5.4 

海の状態 海の状態によって,港口又は航行の多い水路でいかりを下ろした舟からのサンプリング

は一般に不可能である。このような場合,サンプリング装置はこれらの事情に対処するため手軽に取り扱

えるものがよく,手動システムが好ましい。いずれの場合も,地域の安全規制への適合が重要である。 

5.5.5 

海藻の密生 (congestion)  

− あらゆる種類のサンプリング装置の使用は,著しい大形水生植物の生育によって大きな妨害を受ける

ことがある。その場の条件によって現場で決定が行われる。 

− 引き綱 (dragline) による水域の清掃は,サンプリング前に試みる価値がある。しかし,この方法がす

べての植物の生育に有効なわけではなく,化学,物理的調査の試料に限定される。沈降物/水の界面

がかなり乱されるのでデータの変質を生じることがある。 

6. 混合試料 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 研究目的によっては,結果の矛盾を避けて平均像を得るために,場所当たり一つの混合試料を作成す

るとよい。 

− 混合試料は,二つ以上の試料又はサブ試料から成り,次のようにして調製するとよい。 

a) 個々の単一試料を均質にする。 

b) 各試料の同体積をとり,混ぜ合わせ,均質にする。 

備考 対応する侵入深度からのサブ試料を用いるとよい。 

− 混合試料は,性質の異なる水底からの試料で作製してはならない。水底の性質は,沈降物床が地質学

的に矛盾がないことを確かめるためにまず肉眼で確認することが望ましい。 

− 試料をコア管で採取する場合,試料の長さが変わる。混合試料を作製するためには,試料が同じ長さ

である必要がある。したがって,最短の長さの試料を用いるとよい。 

− グラブシステムを用いる場合,試料ごとに侵入深度が変わる。この深度は決めにくいので,この種の

試料は一般に混合試料の作製には適さない。 

− 混合試料の作製には,高い汚染の危険が伴う。したがって,この作業は,条件を容易に制御できるよ

うに,例えば,小さなボートのデッキ上よりも試料を採取した地域から遠く離れた場所で行うことを

勧める。 

7. 試料の貯蔵,輸送及び安定化 

− 実際問題として,各プロジェクト又は研究が試料処理にそれぞれ独自の要求を設けていることは明ら

かである。野外サンプリングに対して作成された研究計画は,試料取扱いの部分を含むことが望まし

い。この計画には,プロジェクト独自の目的及び受け入れ分析者が指示する試料取扱いの要求事項が

考慮されていることが望ましい。 

− 試料を捕集装置から貯蔵容器に移す場合,予定した分析に適切であれば嫌気状態の維持を保証するた

めの注意が望ましい。嫌気状態の維持は,用いる装置に大きく依存している。実行 (practice run) は開

発された技術の改良に有効であることが分かろう。さらに,微量有機物の研究では,サブサンプリン

グに使用するプラスチック部品が妨害に寄与する。同様に,こん跡量の金属が対象の場合,金属スパ

チュラの使用は避けることが望ましい。試料移し換え器具の種類と組成は現地報告書に記入しておく

とよい。 

− 沈降物試料は,通常,ガラス容器に保管し,冷却(通常,4 ℃未満)して貯蔵し,輸送するとよい。

JIS K 0410-3-1 (ISO 5667-1) を参照。これらを1か月を超えて保管する必要があるときは,凍結がコ

ロイドに及ぼす物理−化学的変化に十分に配慮した上で急速冷凍冷蔵庫に入れておくとよい。例えば,

特別の試験室試料調製を行ったとき,脱水特性の変化が認められることがある。次のような場合,混

合試料サンプリングへの要求があろう。 

− しゅんせつ後のベースラインデータが必要なとき。 

− しゅんせつ後,沈降物を“廃棄物”として記述するために質の評価が必要なとき。 

− 凍結したコアを解凍する前に分割すれば,層理 (stratification) の変化は避けることができる。試料は

ガス交換,化学反応及び生物代謝によって急速に変化することがあるので,いずれの場合も,試料容

器は密閉し,光及び過度の熱から保護された状態で試験室に運ぶことが望ましい。嫌気的消化による

試料容器のガス圧の増加を見逃してはならない。したがって,時々容器から圧を逃がすことが必要で

ある。温暖地で温度調節を用意できないとき,これは必要となる。 

− サンプリング計画及び特定の分析方法の規定に従って,保存方法として試料の凍結を選ぶ場合は,次

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

のような注意が望ましい。 

a) 使用前に試料を完全に解凍することが不可欠である。これは凍結過程において,ある種の成分が実

質上最後に凍結する試料内部の間げき水中に濃縮される効果があるからである。試料の凍結では対

象成分が沈殿した化合物(例えば,りん酸カルシウム及び硫酸カルシウム)への吸収,吸着によっ

て間げき水から失われることになる。試料を解凍するとき,溶解が不完全であると,りん酸塩など

の孔内水の測定項目に対して誤った結果を生じることになる。 

b) 化学的保存方法は,プロジェクトの要求事項,分析方法の要望の慎重な評価を経て,かつ,試料と

保存剤の均一化に必要な技術についての受け入れ試験室の特別な指導のもとに用いることが望ま

しい。例えば,有機酸の研究では有機物の嫌気性消化を停止又は阻害するために鉱酸を加えること

がある。したがって,冷凍前に,別のサブ試料が必要になる。詳しい指針はJIS K 0410-3-3 (ISO

5667-3) にあり,また,特定のプロジェクトの要求による。 

− いくつかのサンプリング要求事項では,コアの薄切りによる分割は貯蔵前に現場で行うように指示し

ている。 

− 保存段階はすべて野外報告書に記入し,温度は現場で測定,記録するとよい。できれば,その他の物

理,化学的項目(例えば,外観,pH,酸化還元電位)は現場で,又は試料採取後,なるべく早く測定

する。 

− 好気性試料の取扱い及び貯蔵についてのより詳しい指針はISO 10381-6参照。 

8. 安全 

− 全体的な安全対策についてはJIS K 0410-3-1 (ISO 5667-1) を参照。しかし,次のような安全面につい

ても特に注意することが望ましい。 

− あらゆる天候下の日常のサンプリング現場への安全な立ち入りが特に重要である。この基準が満たさ

れないと,そこがサンプリング計画の技術的目的を達成の観点から好ましいとしても,与えられた現

場を除外することになろう。 

− 沼地及び浅い水域では,地面が凍っていると安全面で二,三の利点がある。しかし,常に注意が必要

であり,凍結面の強度を確かめることが望ましい。川,流れに立ち入って試料を採取する必要がある

ときは,軟泥,流砂,深い穴及び速い流れの存在の可能性に注意することが望ましい。安全な徒渉を

保証するためには徒渉棒又は同様な探査器具が不可欠である。前方を調べることによって,採取者は

流れの程度を知り,穴,段差 (bench),軟泥及び流砂の位置を知ることができる。疑わしいときは,

支持のために安全綱を河岸又は岸の固定物に取り付けておくとよい。胸までの長靴 (chest wader) のか

さ張った大きさ(ももまでの長靴に比べて)は,すっかり沈んだ場合,救助のじゃまになることがあ

る。 

注意事項 サンプリングを転落しそうな場所,水深の深い場所付近で行うことを余儀なくされた場

合,救命胴衣をつけ,中央監視所に定期的に報告する適切なシステムを採用することが

望ましい。ボート上で作業するときは常に救命胴衣を着用しなければならない。 

− 多くの水系のサンプリングでは,化学的,細菌学的,ウィルス学的及び動物学的障害が起こり得るこ

とを認識しておくとよい。 

− 安全に関する追加指針は土壌のサンプリングに関する将来の国際規格に示されるであろう。 

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

9. サンプリングの統計的考察 沈降物サンプリング計画の策定は特別なプロジェクトであり一般化はで

きない。しかし,得られたデータの統計的解釈はISO 2602及びISO 2854に詳述された原理を用いて扱う

ことができる。 

10. 試料の確認及び試験報告 試料を捕集したとき,できるだけよい分析結果の解釈に到達するために,

分析のため試験室に送る前に多くの段階をとることが望ましい。試料及びその場所は最初に記入し,この

報告書は試料採取後できるだけ早く作成する。推奨する用紙の形式の例を表2に示す。 

表2 試料報告書の例 

項目 

観察 

A 試料の場所の説明(地域名) 

B できれば地図で明示した水系のサンプリング位置  
C サンプリングの日時 

D 気象条件(風,波,水の動き) 

E 気温,試料深度における水温,及び沈降物の温度  

採取装置 

G 採取試料の種類:スポット又は混合 

H 混ぜ合わせた単一試料の数 

水面からの試料深度 

取決めによる試料の地質学的記述及び層の数量化  

K 取決めによる色(附属書Mの文献参照) 

L におい(例えば,油,硫化水素) 

M 存在する動物種 

N 沈降物の温度 

O サンプラー侵入深度及びコアの長さ 

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附属書A(参考) 

はさみ−グラブシステムの説明(ヴァンヴィーンハッパー形) 

序文 この附属書は,底質のサンプリングに用いる装置の種類のうち,参考としてはさみ−グラブシステ

ムの説明及び操作方法の紹介を行ったもので,規定の一部ではない。 

A.1 装置(附属書A図1参照) このシステムは互いにちょうつがいになった二つの口の開いたバケツ

から成り,試料が採取されるとこれが閉じる。開いたグラブは舟から水中に入れる。水底に達したとき,

止め金が外れ(通常,重力で)バケツが閉じる。このとき沈降物の表層試料が採取される。小形装置はウ

インチを用いず,手で操作できる。 

A.2 使用されている種類 数種のはさみ−グラブが用いられている。その主な違いは質量 (1〜100 kg) 

及びバケツの容量 (0.5〜25 L) である。グラブの多くは亜鉛めっき又はステンレス鋼製である。使用目的

によって次のような改良が行われる。 

a) 試料の表層を採取するため,頂部バルブを付加 

b) 表層の流失を防ぐための側壁 

c) 追加おもり 

A.3 操作方法 グラブは開いた位置に固定し,その規模に応じてダヴィット(つり柱)及びウインチ又

は手で水中に沈める。水底に触れると固定装置が外れる。グラブは引き上げられるとき自身で閉じ,試料

はバケツに取り込まれる。グラブをデッキ上の受け皿に入れ,試料は例えば,捕集瓶の中にあけるか又は

頂部バルブからサブ試料をとる。捕集した材料からの試料採取方法は研究目的によって異なり,サンプリ

ング報告書に記載することが望ましい。ブラシ又は高圧ホースによる清浄の後,グラブは次の試料に備え

る。 

A.4 遮へい(蔽)表層沈降物 (Screen top sediment) サンプラー このサンプラーは,沈降物が逃げないよ

うにちょうつがいバケツ間の開口部を閉じるために側面に二枚の板を備えている点が通常のグラブとは異

なっている(はさみ−グラブ形バケツが閉じるとき沈降物は側面から逃げる)。 

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附属書A図1 はさみ−グラブ 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B(参考) 

ピストンドリルシステムの説明 

序文 この附属書は,底質のサンプリングに用いる装置の種類のうち,参考としてピストンドリルシステ

ムの説明及び操作方法の紹介を行ったもので,規定の一部ではない。 

B.1 

装置(附属書B図1参照) ピストンを備えたステンレス鋼の,場合によっては(透明な)プラス

チックの管を水底に押し込む。管を水底に押し込みながら,ピストンを引くと沈降物はより容易に管の中

に入る。 

B.2 

試料の性質 一般に,すべての試料はパイル作用の影響で幾分圧縮されている。 

B.3 

場所の状態 継ぎ足し棒 (extension rods) を用いると水深3 mまで岸から正確な操作ができる。また,

試料は十分に固定された船上からは最大水深3 mまで採取できる。 

B.4 

海の状態 舟から作業するとき,風又は流れがピストンドリルロッドに対して船を上方に押しやる

可能性が常にある。これがサンプリングの正確さに影響し,作業者の安全を損なうことになる。 

B.5 

操作方法 サンプリング現場の水深を測定する。必要な数の継ぎ足し棒をコア管に固定する。コア

管を底質中に下ろし,ピストンに付いたロッドは締めるか又はしっかり固定する。コア管を所定深度まで

押し込む。ピストンの下の圧力は引き上げると減少し,これがある程度までパイル作用を減少させ,沈降

物は管中に容易に入る。コア管を引き上げるとき,試料を保持するためピストンは管中の同じ相対位置に

保たなければならない。ピストンは沈降物から内容物を押し出すのに使用でき,次いでサブ試料を採取する。 

附属書B図1 ピストンドリル 

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C(参考) 

ダイバー併用コアラーシステムの説明 

序文 この附属書は,底質のサンプリングに用いる装置の種類のうち,参考としてダイバー併用コアラー

システムの説明及び操作方法の紹介を行ったもので,規定の一部ではない。 

潜水設備及び経験を積んだダイバーが必要である。ダイバーがプラスチックのコア管を水底に押し込む。

必要があれば,ポンプを使用して管内の圧力を下げ,試料が管に入るときの抵抗を減少させる。 

C.1 装置 

C.1.1 コア管 透明プラスチック製,十進目盛付き。外径70 mm,内径66 mm。管の長さは1〜3 m。管の

材質も厚さ,組成はいろいろである。 

C.1.2 調節できるハンドル 急速閉鎖クランプ付き 

C.1.3 ゴム栓 コア管用 

C.1.4 ギヤ付きポンプ 電気又はガソリンモータ作動 

C.1.5 真空ポンプホース 

C.2 海の状態 周辺条件としては潜水できることが望ましい。制限条件としては,流速,波と舟の動き 

(shipping movement) 及び水の透明度がある。場所によっては,さめ(鮫)などの障害もある。 

注意事項 

装置を扱うためにダイバーを使用する必要があるときは常に潜水安全指針,特に減圧時

の要求事項に応えるよう配慮することが望ましい。 

C.3 操作方法 ダイバーがサンプリング現場でコア管(C.1.1)を底質中に押し込む。これに対して抵抗が

大きすぎるときは,ダイバーは真空ポンプホース(C.1.5)を用いるとよい。船上又は岸のポンプ(C.1.4)から

の減圧によってダイバーは容易にコア管を押し込むことができる。これを行うには,ダイバーはハンドル

(C.1.2)を使用して管を回転又は振動させる。所定深度に達したとき,ポンプへのバルブを閉じ,管を引き

上げ,栓(C.1.3)で下を閉じる。 

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D(参考) 

ビーカー (Beeker) サンプラーシステムの説明 

序文 この附属書は,底質のサンプリングに用いる装置の種類のうち,参考としてビーカー (Beeker) サン

プラーシステムの説明及び操作方法の紹介を行ったもので,規定の一部ではない。 

D.1 装置(附属書D図1参照) ビーカーサンプラーは透明な塩化ビニル (PVC) 管に取り付けたカッ

ターヘッドから構成され,管は継ぎ足しロッド又はフレームによって沈降物中に押し込まれる。コア管の

ピストンは管の圧力を減少させ,試料はプラスチック試料管中に,より容易に滑り込む。コア管が所定深

度に達したとき,カッターヘッドのゴムのグランド(パッキン押さえ)は膨らんで底部が閉鎖される。次

いで,試料管を引き抜き,管を外し,密閉する。試料はすぐに輸送でき,また,説明図及びサブ試料の作

成を行うことができる。これは継ぎ足しロッドとともに又はフレーム中で使用できる。試料管の長さは2 m

まで変えることができる。寸法を附属書D表1に示す。 

附属書D表1 ビーカーサンプラーの寸法 

種類 

寸法 

質量 

kg 

サンプリング深度 

継ぎ足しロッド付
きビーカーサンプ
ラー 

長さ:2〜6 m 
管の内径:63 mm 

5〜 15 

2まで 

フレーム中のビー
カーサンプラー 

高さ:1.80 m 
基部:2.00 m 
管の内径:63mm 

50〜100 

2まで 

D.2 適用 

− ビーカーサンプラーは物理,化学及び限られた生物学的研究に適している。透明管を使用するので限

定された形態学的研究において試料の描写ができる。化学的研究では,必要があれば,プラスチック

及び関連物質による妨害を避けるために塩化ビニル (PVC) 管を薄いステンレス鋼管に代えることが

できる。ビーカーサンプラーは岸又は舟から継ぎ足しロッドで使用できる。水深3 mを超えるときは

この方法によるサンプリングは困難である。 

− フレーム中のビーカーサンプラーでは持ち上げ能力150 kgのリフト又はつり柱が必要である。船から

操作する場合はデッキはフレームの操作に十分な広さ,辺が2 mの三角形相当,及び高さ1.8 mのフ

レームに対して十分な高さのリフトが必要である。 

D.3 水底の種類 このサンプラーは非固化及び固化したシルト質の水底に適している。 

D.4 試料の正確さ ピストン及び,深いときは,同様にフレームの使用によってほとんど乱されない試

料を得ることが可能である。 

D.5 海の状態 

− 継ぎ足しロッドを用いて作業するときは,舟は穏やかな状態で安定していなければならない。フレー

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ム中のビーカーサンプラーは軽いので,特に大深度の場合は流れに影響され,また,流速50 cm/sを

超えるときは使用できない。 

− リフトがサンプリング位置の上にあるように舟は静止していなければならない。そうでないと,コア

管は引き上げるときに壊れるかもしれない。波動が大きいと非じょうらん試料の捕集が困難になり,

舟からの作業は危険になる。したがって,ビーカーサンプラーは内海又はごく浅い水域に適している。 

D.6 沈降物の状態 継ぎ足しロッド付きビーカーサンプラーは軟らかい底質に適している。舟が動くの

で,水深3 mでは乱すことなく表層試料を採取するのは困難である。フレーム中のビーカーサンプラーは

より深い所で使用できる。ガイドボックスに取り付けた音響測深機を用いると,表層の制御された試料も

採取できる。大きな底板及びフレームが比較的軽量なために装置が軟らかい水底に沈み込むことはない。

フレームに取り付けたピストンは管が水底に侵入するとき管内の圧力を下げることができる。ビーカーサ

ンプラーは砂床にはあまり適していない。 

D.7 操作方法 

D.7.1 継ぎ足しロッド付きビーカーサンプラーの使用方法 

− 試料管は,試料管ホルダとカッターヘッドの間に固定されている。採取場所の深度を測定し,必要な

数の継ぎ足しロッドをコア管に取り付ける。カッターヘッドのゴムのグランドは空気を抜いてカッタ

ーヘッドの内側に納める。コア管を沈降物の真上まで下ろす。コア中のピストンは管が底質中に押し

込まれたとき管の圧力が減少するように配置されている。試料はこうして容易に管中にはいる。 

− 管が所定深度に到達したとき,カッターヘッドのゴムのグランドは膨張して試料が管から滑り落ちな

いようにする。次いで,ビーカーサンプラーを引き抜き,試料管を取り出し,底を栓で閉じる。頂部

はすでにピストンで閉じられている。こうして,試料は輸送又はその後の処理に供される。 

D.7.2 フレーム中のビーカーサンプラーの使用方法 

− フレームは,使用する試料管の長さに対して必要な高さに組み立てる。音響測深機(手に入れば)を

ガイドボックス上に載せる。試料管は,カッターヘッドと試料管ホルダの間に挟み,フレーム中のガ

イドボックスに固定する。管の底のピストンはスチールワイヤーでフレームに固定する。ポンプを用

いてゴムのグランドの空気を抜き,カッタヘッドの内側に納める。音響測深機を用いて,底のすぐ上

までフレームを水中に沈める。サンプラーを水底上に静かに置き,綱を繰り出し (let out) てコア管を

水底に侵入させる。 

− フレームに取り付けたピストンは管内圧力を下げ,試料が容易に管内に滑り込むようにする。ガイド

ボックスには侵入深度に合わせておもりを付けてあるので,管は水底に押し込まれる。振動によって

管への沈降物の付着傾向を減少させ,コア管に押込みやすくするため,ガイドボックスの内側に振動

モーターを取り付けることもできる。音響測深機は侵入深度を測るのに使用できる。 

− 管が所定深度に達したらカッタヘッドのゴムのグランドは膨らませて,試料が管から滑り落ちないよ

うにする。次いで,ビーカーサンプラーを引き上げる。コア管をガイドボックスから外す。試料管を

外し,底部を栓で閉じる。頂部はすでにピストンで密閉されている。試料は輸送又はその後の処理に

供される。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D図1 ビーカーサンプラー 

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E(参考) 

密閉コアサンプラーシステムの説明 

序文 この附属書は,底質のサンプリングに用いる装置の種類のうち,参考として密閉コアサンプラーシ

ステムの説明及び操作方法の紹介を行ったもので,規定の一部ではない。 

E.1 

装置(附属書E図1参照) 

− サンプラーは,パースペックス(透明アクリル樹脂,商品名)で内張りしたステンレス鋼管でできて

いる。コア管の頂部及び底部はゴムのじゃばらで閉じることができ,試料の落下及び頂部の乱れも防

止する。 

− コア管は,ロッドで水底中に押し込み,ゴムのじゃばらは手動のポンプで膨らませたり,しぼませた

りすることによって開閉できる。使用されている唯一のタイプの寸法は次のとおりである。 

長さ:700 mm 

直径:通常58 mm,変わることもある 

質量:約15 kg 

侵入:600 mm 

E.2 

操作方法 

− サンプリグ位置の水深を測定し,必要な数のロッドを取り付ける。頂部及び底部のじゃばらの空気を

抜き,管を水底まで沈める。所定の,又は最大可能の侵入に達した後,ゴムじゃばらを膨らませ,頂

部と底部でコア管を閉じる。次いで,引き抜く。ゴムじゃばらを含むカッターヘッドを取り去り,採

取する沈降物が入ったパースペックス内張りをコア管から取り出す。 

− 沈降物を頂部から押し出し,分析試料を頂部から層ごとに採取する。 

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E図1 密閉コアサンプラー 

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書F(参考) 

くさびコア又はヴリウイットドリルシステムの説明 

序文 この附属書は,底質のサンプリングに用いる装置の種類のうち,参考としてくさびコア又はヴリウ

イットドリルシステムの説明及び操作方法の紹介を行ったもので,規定の一部ではない。 

F.1 

装置(附属書F図1参照) ヴリウイットドリルは,くさび形のステンレス鋼のコア管である。管

はスライダーによって一面を開くことができる。開いたドリルは継ぎ足しロッドによって水底に押し込む。

沈降物中に押し込んだとき,くさびの一面は開いたままであるから,周辺の物質との摩擦は,少ししかな

く,試料捕集時の圧縮傾向は軽減される。所定の侵入深度に達したとき,ヴリウイットドリルをスライダ

ーで閉じる。管を引き上げた後,これを取り外し,試料を取り出す。いろいろな種類のものが用いられて

いるが,侵入深度は1.5 mまでである。 

F.2 

操作方法 サンプリング位置の水深を測定し,必要な数の継ぎ足しロッドをコア管に取り付ける。

管を所定深度まで押し込み,スライダーを継ぎ足しロッドで押し下げて試料をくさび中に閉じ込める。ド

リルを引き上げ,受け皿上に水平に置く。スライダーを取り去り,試料は必要に応じて,外観記述又はサ

ブサンプリングに供する。 

附属書F図1 ヴリウイットドリル 

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書G(参考) 

落下ボムシステムの説明 

序文 この附属書は,底質のサンプリングに用いる装置の種類のうち,参考として落下ボムシステムの説

明及び操作方法の紹介を行ったもので,規定の一部ではない。 

G.1 

装置(附属書G図1参照) 落下ボムは,おもり付きの管ホルダーに取り付けた目盛付きのパース

ペックス試料管で構成され,船上のつり柱から自由落下する。その自重及び速度によって試料管は水底に

侵入する。次いで,装置を引き抜き,ゴムボールで上から管を閉じる。引き上げ時の真空形成が物質の底

からの落下を防止する。管が水面上に達したとき,ゴムボールを少し上げて真空を解除し,まず沈降物上

の水をサイホンで除去した後,試料を適切な容器に集める。全質量と同様にコア管の長さ及び直径の異な

るいろいろな種類がある。 

附属書G図1 落下ボム 

G.2 

適用 落下ボムは,沈降物表層の物理,化学及び限られた生物学的研究に使用できる。 

G.3 

底質の種類 落下ボムに最も適しているのは,底質が砂とシルトの混合物,ときには少し有機物が

共存する場合である。侵入が限られているので,落下ボムは粗い砂状,砂利状の水底又は硬い砂状の水底

には適さない。底質が適切に固化していないときは,衝撃によって表層が乱されるので結果の解釈に問題

を生じることがある。 

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

G.4 

サンプリングの正確さ 極めて軟らかい水底は別として,層構造の乱れは最小でサンプリングが可

能である。圧縮及び侵入角度によって,水底への侵入は常にコア管の中の試料の長さと同じであるとは限

らないことに注意するとよい。 

G.5 

操作 船はつり柱及び望ましくは自由落下ウインチを備えていなければならない。これは手動で操

作することもできるが,引き上げ用の滑車システムは最低要求事項であろう。落下ボム及び試料管にはデ

ッキ上にわずかの作業空間があればよい。 

G.6 

海の状態 落下ボムは水深3 mの水域において,2 mまでの侵入深度で沈降物層のサンプリングに使

用できる。舟を安定に保つことが困難でほかのシステムの適用が難しい場合,この方法は有用な代替法で

ある。 

G.7 

操作方法 

− 落下ボムをつり柱に保持し,底質中に自由落下させる。次いで,直ちに引き上げ,デッキ上に回収す

る。これを行うとき,試料の落下を防止するために管の底部に手を添えることがときには必要かもし

れない。 

− 次いで,関連の安全対策に注意しながら,試料の上の水を小形ポンプ又はサイホンで除く。この作業

は特に水が著しく濁っているときは固形物の流失を防ぐために注意深く行わねばならない。このよう

な場合,固形物が沈降するまで待ち,適切な操作を適用するとよい。 

− パースペックスコア管の中の試料の層構造は,サブ試料の採取その他の処理の前に記述することがで

きる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書H(参考) 

ジェンキンス泥サンプラーシステムの説明 

序文 この附属書は,底質のサンプリングに用いる装置の種類のうち,参考としてジェンキンス泥サンプ

ラーシステムの説明及び操作方法の紹介を行ったもので,規定の一部ではない。 

H.1 装置(附属書H図1参照) ジェンキンス泥サンプラーは,試料管を支える金属スタンドで構成さ

れる。試料管は両端をバルブで閉鎖できる。バルブ及びその閉鎖機構はアルミニウム製であるがスタンド

は鋼製である。バルブはよく密閉できるようにゴムで覆われている。試料管は,長さ50 cmでパースペッ

クス製である。スタンドは,ピラミッド形で,底部は70 cm,高さ90 cmで,全質量は15 kgである。フレ

ーム及びコア管は自重によって沈降物中に侵入する。 

H.2 操作 比較的軽量であるから,装置は岸又は舟から手動又はつり柱で操作できる。この装置の操作

には,船上にわずかの作業空間があればよい。 

H.3 海の状態 船から作業するとき,試料が乱されず,作業が安全に実施できるように状態は静穏でな

ければならない。 

H.4 操作方法 管をバルブとともにフレームに載せる。バルブは機械的に開いたまま,スプリングで固

定する。水深を測定し,サンプラーを水底に注意して設置する。コア管は自重によって水底に侵入する。

綱を十分に緩めると,水力“ブレーキ”シリンダーで動く機械アームによってバルブは静かに閉じる。こ

のようにして採取された試料は,輸送又は処理に供する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書H図1 ジェンキンス泥サンプラー 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書J(参考) 

クレイブコアラーシステムの説明 

序文 この附属書は,底質のサンプリングに用いる装置の種類のうち,参考としてクレイブコアラーシス

テムの説明及び操作方法の紹介を行ったもので,規定の一部ではない。 

J.1 

装置(附属書J図1参照) クレイブコアラーは,フレーム内で自由に動くコアラ及び交換できる

プラスチックのコア管で構成される。コアラーは黄銅製でフレームは亜鉛めっきされている。 

J.2 

適用 クレイブコアラーは,物理,化学及び限られた生物学的研究に用いられる。唯一の制限は試

料の直径及び長さである。表層は乱されない。最低持ち上げ能力150 kgのつり柱は必要である。 

備考 黄銅の部品は,銅及び亜鉛による試料の汚染を生じることがある。 

J.3 

海の状態 揺れる舟のデッキからクレイブコアラーで作業することは勧められない。安全性に欠け

るだけでなく,底質上への装置を設置することも制御できない。流れが強いときは,クレイブコアラーは

曲がってつり下がる。したがって,底質への沈下は慎重に行い,代わりのサンプリング場所を探すことも

必要であろう。 

J.4 

底質の状態 クレイブコアラーは,極めて軟らかい水底ではフレームも侵入するのでうまく機能し

ない。フレームを改造するとある程度防止できる。硬い水底ではフレームの侵入は少ない。 

J.5 

操作方法 

− コアラーを用意したら,水圧ダンパーのピストンはそのストロークの最高点に置き,コア管はフレー

ムの基盤レベル上約15 cmに置く。底部閉鎖用のボールはコア管の側面,底から約5 cmの位置に自動

止め金で保持する。このボールは自由に動く垂直ロッドの端に載せる。球形の閉鎖バルブも自動止め

金によって開いたままにしておく。最初の試料をとる前にピストンに水を満たす必要がある。これに

は予備的に試験試料を採取するとよい。コアラーを引き上げるとピストンは水で満たされる。 

− 装置を沈めると,フレームは底質上に載る。引き上げケーブルは舟の動きがコアラーに影響を及ぼす

のを防ぐために少し緩みをもたせるとよい。 

− おもりを付けたコア管ホルダーは水圧ピストンで緩速されてゆっくり沈下し,沈降物中に押し込まれ

る。これには約30秒間を要する。管が5 cm侵入したとき,二つの止め金を外す。球状の頂部バルブ

はコア管の頂部を閉じるが,水は流出する。ボールはコア管の隣の水底上にある。コアラーを引き抜

くときロッドの重りがボールを水底上に保つ。コア管が出るにつれて,2本のゴムバンドがボールを

管の下に引き寄せ,これを閉じる。 

− コア管が沈降物から引き出されるとき,頂部バルブによってコア管中は減圧される。装置が引き上げ

られるとき,水圧ピストンは水で再び満たされる。 

− コア管をホルダーから外し,装置は舟のげん(舷)側でつり柱に下げる。このためには,ボールは一

方に押しやり,管の底は栓で閉じなければならない。水はコア管の頂部レベルにある給水栓を開いて

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ホルダーから流出させる。ホルダー中で管を支えているリングを緩め,試料及び上部に少量の水が入

っている管はホルダーから取り出すことができる。閉鎖用止め金は新しい試料を取るためにリセット

する。 

附属書J図1 クレイブコアラー 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書K(参考) 

ピストンコアラーの説明 

序文 この附属書は,底質のサンプリングに用いる装置の種類のうち,参考としてピストンコアラーの説

明及び操作方法の紹介を行ったもので,規定の一部ではない。 

K.1 装置(附属書K図1参照) ピストンコアラーは頂部におもり及び,ときには安定度を増すための

羽根を付けたコア管で構成される。方法は水底上のあらかじめ決められた高さからの自由落下による。コ

ア管中にはサンプリングの間水底上一定の高さに固定できるピストンがある。第二の管をコア管中に入れ,

管及び試料を同時に外すことができる。コア管は各種の金属で作られ,鉛のおもり付きで,内管は金属又

はプラスチック製でよい。 

K.2 使用されている種類 コア管の直径,質量及び長さは要求事項に従って変更できる。ピストンコア

ラーの自由落下機構は,通常引き金のおもりが水底に接触すると作動する。水底が極めて軟らかいか,又

は厚い漂積層 (drifting layer) があるときはこれは問題を生じる。自由落下機構を光電池で作動させる装置

もある。この機構は光電池が水から漂積層への変化を検知したとき作動する。 

K.3 適用 このピストンコアラーは底質の最上層の物理及び化学的研究に使用できる。 

K.4 底質の種類 ピストンコアラーは硬い砂又は石の水底には適さない。その他の種類の水底に効果的

に使用できる。 

K.5 試料の正確さ ピストンを用いるのでパイル作用の危険は限られている。側面は別にして,試料は

事実上非じょうらんである。 

K.6 操作 操作は簡単で,船から実施できる。より小形のものは橋又はふ(埠)頭からも使用できる。

コア管は舟のレール上に水平に引き上げられるので,つり柱の必要はない。 

K.7 海の状態 この装置を揺れる船上で使用するのは好ましくないが,コアラーをいったん水中に入れ,

自由落下が始まるとコアラーはそれ自身の道を進むので,舟の動きは試料の質にほとんど影響しない。コ

アラーに自動復元性があるので海流の影響はほとんどない。ピストンコアラーは,ほかのサンプリング方

法の使用に問題がある海域,すなわち,水深が大きすぎる及び/又は海流,風の影響で舟を安定に保つこ

とが困難な場合,水底のサンプリングに使用される。ピストンコアラーは砂又はシルトの水底に使用でき

る。 

K.8 操作方法 

− ピストンコアラーは三つの主要部分,コア管,コア管ホルダ及び“無負荷”機構で構成される。“無負

荷”機構は操作ケーブルに固定されている。コア管はこの一方に取付けされ,他方に釣合いおもりが

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ある。この釣合いおもりはレバーに取り付けた長さ可変の鎖でつり下げられている。この鎖の長さか

らコア管及びおもりの長さを引いたものが自由落下高さである。装置を沈め,釣合いおもりが底に触

れたときレバーは上がり,コア管は滑って水底に落下する。試料の長さは自由落下速度,沈降物の抵

抗及びコア管の直径によって異なる。 

− パイル作用を防ぐためにピストンをコア管の内部に取り付けることができる。これは管を通るケーブ

ルで“無負荷機構”に取り付ける。この綱は釣り合いおもりの鎖より少し短いとよい。このようにし

て,ピストンは水底レベルのわずか上にとどまる。 

− 試料の落下又は流出を防ぐために,部品を侵入ヘッドの内部に納めることもできるが,これは製造業

者次第である。 

附属書K図1 ピストンコアラー 

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書L(参考) 

泥炭ボーラーの説明 

序文 この附属書は,底質のサンプリングに用いる装置の種類のうち,参考として泥炭ボーラーの説明を

行ったもので,規定の一部ではない。 

L.1 

泥炭協会泥炭ドリル1形 

− 泥炭協会ドリル(以下,P.I.ドリルという。)の主要作動部分は切断エッジ“スコップ”,コア及び侵入

刃からできたコンテナーである。スコップは中空の半円筒形で両端にテーパーが付き,端を切った円

すい(錐)になっている。スコップの両端は鋭く,カッターの機能をもっている。コンテナーの容量

は150 cm3 (150 ml) である。 

− 使用するときは,P.I.ドリルをコンテナーを閉じて沈降物中に泥炭試料を採取する深度よりも30 cm浅

い深さに押し込む。ドリルが深く沈むにつれて,連続ロッド部を取り付ける。しかし,同時に二つを

超えては用いない。ドリルが沈降物の所定の深度(泥炭試料を採取する深度より30 cm浅い)に達し

た後,ハンドルを時計回りに180°回転させてコンテナーを開く。次いで,試料を採取する深度まで

深く押し込む。ハンドルを反時計回りに180°回転させるとコンテナーが閉じる。半円状の運動が終

わると,コアの上のくしに密着した“スコップ”は構造を乱すことなく沈積物から泥炭試料を切り出

す。泥炭を満たしたドリルを沈降物から引き出す。 

L.2 

泥炭協会ドリル(1939年形) 

− P.I.ドリルの新しい形のコンテナーもスコップ及びコアで構成されるが,相違点は沈降物中でコンテナ

ーコアの回転を防ぐために,コアには刃の代わりに側面に羽根が付けられていることである(附属書

L図1参照)。コンテナーの容量は76.5 cm3である。ドリルの操作はP.I.ドリル1形の場合と同じであ

る。 

− 泥炭試料の採取において,1939年形ドリルの容量が小さいことは不利である。多くの場合,多量の泥

炭試料が必要であり,ドリルを数回泥炭中に差し込まなければならない。 

L.3 

測量−ロッドドリル 

− コンテナーは二つの中空円筒でできている。約31(その幅)の円周をもつ内部の円筒は長さ方向に離

脱されるが,外部円筒中にピッタリ収まる。外部円筒の壁は長さ方向にスリットがあり,45°の角度

に曲げられている。この曲がった壁はナイフのように研いである。外部円筒は内部円筒の周りを一回

転未満回転する。コンテナーが開いているときは,二つの円筒の窓は揃っている。閉じているときは,

内部円筒の窓は外部円筒の壁で覆われる。コンテナーはその下端にドリルが取り付けてあり,上端は

ロッドに接続している。測深ロッドドリルのコンテナーは,P.I.ドリルのコンテナーと同様に,ロッド

部,ハンドル,かぎ及び予備の継ぎ手 (couplings) のセットで構成される。 

− 2種類の測量ロッドドリル,大形及び小形,がある。その寸法及び質量を比較のために附属書L表1

に示す。 

− 一日の就業時間内に作業員チームが長い距離にわたって泥炭沈降物の下検分の測量をするためには,

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

軽量,持ち運びが容易で小形の測量ロッドドリルの使用を勧める。この形のドリルのもう一つの利点

は,コンテナーの直径が小さいので泥炭沈降物の上の鉱物層を幾分容易に貫いて進入できることであ

る。 

− P.I.ドリルの利点は,これが構造を乱すことなく自然の湿分含有量で泥炭試料を採取できる唯一のドリ

ルであることである。そのようなわけで,湿分測定時に用いるとよい。その短所は,コンテナーの直

径が比較的大きいので沈積物中に押し込むとき(特に,沈積物が極度に固まっているとき)に幾らか

大きな力を要することである。このため,この物質から試料を採取する場合,これは常に使用される

わけではない。 

− 1939年以降の形のP.I.ドリルは成層学的研究には便利である。 

附属書L表1 大形,小形ドリルの寸法と質量 

ドリル 

各ロッドの長さ 

コンテナーの容量 

フルセットのロッ
ドこみのドリルの

質量 

cm3 

kg 

大形 

1.5 

140 

13.2 

小形 

1.0 

 90 

 4.2 

附属書L図1 泥炭協会ドリル 

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K 0410-3-12 : 2000 (ISO 5667-12 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書M(参考) 参考文献 

序文 この附属書は,参考とした文献を紹介したもので,規定の一部ではない。 

[1] LESHBER, R. and PERNAK, K. D. Behaviour and Fate of Pollutants in Rainwater Seepage. International 

Journal of Environmental Chemistry, (1994), Gordon and Beach Science Publications SA. 

[2] SAARNISTO, M., HUTTUNEN, P and TOLONEN, K. Annual lamination of sediments in Lake Lavojärvi, 

southern Finland, during the past 600 years, (1977). Ann. Bot. Fenn. 14, pp.35-45. 

[3] SHAPIRO, J. The core-freezer-a new sampler for lake sediments, (1958). Ecol. 39, p.748 

平成9年度 国際整合化調査研究委員会 構成表(平成10年3月現在) 

氏名 

所属 

(委員長) 

○ 並 木   博 

横浜国立大学名誉教授 

○ 宮 崎 正 浩1) 

工業技術院標準部消費生活規格課 

 谷   重 男2) 

通商産業省環境立地局産業施設課 

 林   明 夫3) 

通商産業省環境立地局環境指導課 

○ 畑 野   浩 

環境庁水質保全局水質規制課 

○ 佐 藤 寿 邦 

横浜国立大学工学部 

 中 村 和 憲 

工業技術院生命工学工業技術研究所 

○ 田 尾 博 明 

工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部 

 福 井   学 

工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部 

 田 中 宏 明 

建設省土木研究所下水道部 

 菅 谷 芳 雄 

国立環境研究所地域環境研究グループ 

 土 屋 悦 輝 

東京都立衛生研究所環境保健部 

 渡 辺 真利代 

東京都立衛生研究所環境保健部 

 竹 内 準 一 

東京都下水道局 

○ 日 野 隆 信 

千葉県衛生研究所 

○ 小 倉 光 夫 

神奈川県環境科学センター水質環境部 

○ 坂 本   勉 

財団法人日本規格協会技術部 

 橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会技術部 

 高 月 峰 夫 

財団法人化学品検査協会安全性評価技術研究所 

○ 梅 崎 芳 美 

社団法人産業環境管理協会名誉参与 

 横 倉 清 治 

社団法人日本環境測定分析協会(三菱マテリアル株式会社) 

 竹 島   正4) 

社団法人日本下水道協会(東京都下水道局) 

 狩 野 久 直 

日本錬水株式会社研究所 

 久 島 俊 和 

オルガノ株式会社総合研究所 

○ 川 瀬   晃 

セイコー電子工業株式会社科学機器事業部 

 米 倉 茂 男 

元東京都立工業技術センター(現東京都立産業技術研究所) 

 岩 﨑 岩 次 

社団法人日本工業用水協会 

(事務局) 

 宮 寺 秀 雄 

社団法人日本工業用水協会 

 本 郷 秀 昭 

社団法人日本工業用水協会 

 備考 

1):発足当初は,西出徹雄(工業技術院標準部消費生活規格課) 

  

2):発足当初は,乾 敏一(通商産業省環境立地局産業施設課) 

  

3):発足当初は,藤冨正晴(通商産業省環境立地局環境指導課) 

  

4):発足当初は,山田昭捷(東京都下水道局) 

  

○は試料採取関係の小委員会委員兼任 

 (文責 梅崎 芳美)