K 0400-33-10 : 1999 (ISO 7393-1 : 1985)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
JIS K 0400-33-10には,次の附属書がある。
附属書A(規定) モノクロロアミン体結合塩素,ジクロロアミン体結合塩素及び三塩化窒素の形の
結合塩素の分別定量
附属書B(規定) 酸化性及び還元性物質を含まない水の調製
JIS K 0400-33は,次に示す各部からなる。
JIS K 0400-33-10 水質−遊離塩素及び全塩素の定量−第1部:N, N−ジエチル−1, 4−フェニレンジア
ミンを用いる滴定法
JIS K 0400-33-20 水質−遊離塩素及び全塩素の定量−第2部:日常管理のためのN, N−ジエチル−1, 4
−フェニレンジアミン比色法
JIS K 0400-33-30 水質−遊離塩素及び全塩素の定量−第3部:全塩素定量のためのよう素滴定法
K 0400-33-10 : 1999 (ISO 7393-1 : 1985)
(1)
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目次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
1A. 引用規格 ······················································································································ 1
2. 定義(表1を参照) ········································································································· 2
3. 原理 ······························································································································ 2
4. 試薬 ······························································································································ 2
5. 装置 ······························································································································ 4
6. 手順 ······························································································································ 4
6.1 試験試料 ······················································································································ 4
6.2 測定試料 ······················································································································ 4
6.3 遊離塩素の定量 ············································································································· 4
6.4 全塩素の定量 ················································································································ 5
7. マンガン酸化物の存在による妨害の補正 ·············································································· 5
8. 試験結果の表現 ··············································································································· 5
9. 妨害物質 ························································································································ 6
9.1 他の塩素化合物による妨害······························································································· 6
9.2 塩素化合物以外の化合物による妨害 ··················································································· 6
10. 試験報告 ······················································································································ 7
11. 参考文献 ······················································································································ 7
附属書A(規定) モノクロロアミン体結合塩素, ジクロロアミン体結合塩素及び 三塩化窒素の形の結
合塩素の分別定量 ················································································································· 8
附属書B(規定) 酸化性及び還元性物質を含まない水の調製 ····················································· 10
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 0400-33-10 : 1999
(ISO 7393-1 : 1985)
水質−
遊離塩素及び全塩素の定量−
第1部:N, N−ジエチル−1, 4−
フェニレンジアミンを用いる滴定法
Water quality−Determination of free chlorine and total chlorine−
Part 1 : Titrimetric method using N, N-diethyl-1, 4-phenylenediamine
序文 この規格は,1985年に第1版として発行されたISO 7393-1, Water quality−Determination of free
chlorine and total chlorine−Part 1 : Titrimetric method using N, N-diethyl-1, 4-phenylenediamineを翻訳し,技術
的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,水中の遊離塩素及び全塩素の滴定法について規定する。
海水及び臭化物,よう化物を含む水については特別な手順が必要である。[2]
この方法は,塩素 (Cl2) として,0.000 4〜0.07mmol/l (0.03〜5mg/l) の全塩素濃度及び試料の希釈によっ
てより高濃度のものに適用できる。0.07mmol/lを超える高濃度に対してはJIS K 0400-33-30 (ISO 7393-3) も
用いることができる。
附属書Aに,モノクロロアミン体結合塩素,ジクロロアミン体結合塩素及び三塩化窒素の形で含まれる
結合塩素の識別のための手順が示されている。
数種の化合物は,この規格で規定された定量に影響を与える。妨害については8.及び10.に示す。
1A. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用することによって,この規格の規定の一部を構成する。
これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成す
るものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最新
版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0400-33-30 水質−遊離塩素及び全塩素の定量−第3部:全塩素定量のためのよう素滴定法
備考 ISO 7393-3 : 1990 Water quality−Determination of free chlorine and total chlorine−Part 3 :
Iodometric titration method for the determination of total chlorineが,この規格と一致してい
る。
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8046 メタ亜ひ酸ナトリウム(試薬)
2
K 0400-33-10 : 1999 (ISO 7393-1 : 1985)
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JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8139 塩化水銀 (II) (試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8979 硫酸アンモニウム鉄 (II) 六水和物(試薬)
JIS K 9005 りん酸(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS K 9019 りん酸水素二ナトリウム・12水(試薬)
JIS K 9020 りん酸水素二ナトリウム(試薬)
ISO 5790 : 1979, Inorganic chemical products for industrial use−General method for determination of chloride
content−Mercurimetric method.
2. 定義(表1を参照) この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
2.1
遊離塩素 (free chlorine) 次亜塩素酸,次亜塩素酸イオン又は溶存塩素の形で存在する塩素。
2.2
結合塩素 (combined chlorine) クロロアミン及び有機クロロアミンの形で存在する全塩素。
2.3
全塩素 (total chlorine) “遊離塩素”,“結合塩素”又は両者の形で存在する塩素。
2.4
クロロアミン (chloramines) 1,2又は3個の水素原子を塩素原子で置換したアンモニアの塩素誘
導体(モノクロロアミンNH2Cl,ジクロロアミンNHCl2,三塩化窒素NCl3)及びこの規格に規定する方法
によって定量されるすべての有機窒素化合物の塩素誘導体。
表1 溶液中の実在する化合物に関連する用語及び同義語
用語
同義語
化合物
遊離塩素
遊離塩素
活性遊離塩素 元素状塩素
次亜塩素酸
潜在遊離塩素 次亜塩素酸塩
全塩素
全残留塩素
元素状塩素
次亜塩素酸
次亜塩素酸塩
クロロアミン
3. 原理
3.1
遊離塩素の定量 N, N−ジエチル−1, 4−フェニレンジアミン (DPD) との直接反応,pH6.2〜6.5に
おける赤い化合物の生成。その赤い色の消えるまでの硫酸鉄 (II) アンモニウム標準液による滴定。
3.2
全塩素の定量 過剰のよう化カリウムの存在の下でのDPDとの反応,次いで3.1と同様な滴定。
4. 試薬 分析には,分析用と認められる試薬だけを,及び4.1に規定する水だけを用いる。
4.1
水 酸化性及び還元性物質を含まないもの。次によってその品質を検査したイオン交換水又は蒸留
水。
− 塩素を消費しない2個のコニカルフラスコ250ml(5.)の中に次の順に加える。
a) 第1のコニカルフラスコ:検査する水100ml及びよう化カリウム(4.4)約1g:混合し,1分間後,緩衝
液(4.2)5ml及びDPD試薬(4.3)5.0ml。
b) 第2のコニカルフラスコ:検査する水100ml及び次亜塩素酸ナトリウム溶液(4.8)を2滴:次いで,2
3
K 0400-33-10 : 1999 (ISO 7393-1 : 1985)
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分間後,緩衝液(4.2)5.0ml及びDPD試薬(4.3)5ml。
− 第1のフラスコ内は着色してはならないが第2のフラスコ内は薄いピンク色の着色が現れることが重
要である。
− イオン交換水又は蒸留水が,望ましい品質をもっていない場合は,塩素化しなければならない。接触
処理,次いで脱塩素化した後,品質は最終的に再確認をしなければならない。
− 酸化性及び還元性物質を含まない水の調製のための手順を附属書Bに示す。
4.2
緩衝液,pH6.5 次の順序で水(4.1)に溶かす。JIS K 9020に規定するりん酸水素二ナトリウム
(Na2HPO4) 24g又はJIS K 9019に規定するりん酸水素二ナトリウム・12水 (Na2HPO4・12H2O) 60.5g及びJIS
K 9007に規定するりん酸二水素カリウム (KH2PO4) 46g。エチレンジニトリロ四酢酸二水素二ナトリウム
二水和物(EDTA二ナトリウム二水和物8g/l,C10H14N2O8Na2・2H2O)溶液 (8g/l) 100ml(JIS K 8107に規定
するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用いて調製する。)(又は固体で0.8g)を加え
る。
必要ならば,かびの成育及び試薬中の微量のよう素による遊離有効塩素試験への妨害を防ぐために,塩
化水銀 (II) (HgCl2) [JIS K 8139に規定する塩化水銀 (II)。]0.020gを加える。1 000mlに薄め,混合する。
備考 水銀を含む溶液は適切に処分する(例えば,ISO 5790で規定する方法,工業用無機化学製品−
塩素含量定量のための一般的方法−水銀滴定法)。
4.3
N, N−ジエチル1, 4−フェニレンジアミン硫酸塩 (DPD) [NH2-C6H4-N (C2H5)2・H2SO4],溶液,1.1g/l
水(4.1)250ml,JIS K 8951に規定する硫酸 (ρ=1.84g/ml) 2ml及びEDTA二ナトリウム二水和物溶液 (8g/l)
(JIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用いて調製する。)(又は
固体で0.2g)25mlを混合する。この混合物に無水のDPD1.1g又は五水和物1.5gを溶かす。1 000mlに薄め,
混合する。
この試薬は暗色の瓶で,熱を避けて貯蔵する。この溶液は1か月後又は変色したら新しくする。
4.4
よう化カリウム,結晶 JIS K 8913に規定するよう化カリウム。
備考 試薬4.2,4.3及び4.4は安定な粉末又は錠剤の形で市販されている混合試薬を代用するのも便
利である。
4.5
硫酸アンモニウム鉄 (II),貯蔵液c [(NH4)2Fe (SO4) 2・6H2O] =0.056mol/l
4.5.1
溶液の調製
− 全量フラスコ1 000ml中で,JIS K 8979に規定する硫酸アンモニウム鉄 (II) 六水和物22gをJIS K 8951
に規定する硫酸 (ρ=1.84g/ml) 5mlを含む水約250mlに溶かす。水を標線まで加え,混合する。
− 暗色の瓶に貯蔵する。
− 使用するとき又は多数の測定を行わなければならないときは,毎日4.5.2に示した手順でこの溶液の標
定を行う。
4.5.2
溶液の標定 貯蔵液(4.5.1)50ml,水(4.1)約50ml,JIS K 9005に規定するオルトりん酸 (ρ=1.71g/ml)
5ml及びジフェニルアミンスルホン酸バリウム指示薬(4.9)4滴をコニカルフラスコ250mlにとる。二クロ
ム酸カリウム溶液(4.10)で滴定する。一滴で濃い紫の着色が現れ,二クロム酸カリウム溶液を更に加えても
その色が変化しないときが終点である。
この溶液のCl2の濃度,c1, mmol/lは,次の式によって与えられる。
4
K 0400-33-10 : 1999 (ISO 7393-1 : 1985)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1
2
2
1
V
V
c
c
×
=
ここに, c2: 二クロム酸カリウム標準液(4.10)濃度,c (1/6K2Cr2O7) =
100mmol/l
V1: 硫酸鉄 (II) アンモニウム貯蔵液(4.5)の体積 (ml),50.0ml
V2: 滴定に要した二クロム酸カリウム標準液(4.10)の体積 (ml)
備考 V2が22ml未満になれば,新しい貯蔵液(4.5.1参照)を調製する。
4.6
硫酸鉄 (II) アンモニウム滴定用標準液,c [(NH4)2Fe (SO4)2・6H2O] =2.8mol/l
− 全量フラスコ1 000mlに新しく標定した貯蔵液(4.5.1)50.0mlを加える。水(4.1)を標線まで加え,混合す
る。
− 暗色の瓶に移す。
− この溶液は,使用するとき又は多数の測定を行わなければならないときは,毎日調製する。
− 溶液のCl2の濃度,c3, mmol/lは,次の式によって与えられる。
20
1
3
c
c=
ここに,
c1:4.5.2に定義されている。
4.7
亜ひ酸ナトリウム (NaAsO2),溶液,2g/l又はチオアセトアミド (CH3CSNH2),溶液,2.5g/l JIS K
8046に規定するメタ亜ひ酸ナトリウム又はチオアセトアミドを用いて調製する。
4.8
次亜塩素酸ナトリウム,溶液 [ρ (Cl2)] 約0.1g/l 市販の濃い次亜塩素酸ナトリウム溶液を薄めて調
製する。
4.9
ジフェニルアミンスルホン酸バリウム,指示薬溶液,3g/l ジフェニルアミンスルホン酸バリウム
[(C6H5-NH-C6H4SO3) 2Ba]0.3gを水100mlに溶かす。
4.10 二クロム酸カリウム,標準液,c (1/6K2Cr2O7) =100mmol/l JIS K 8005に規定する容量分析用標準
物質の二クロム酸カリウム4.904gをmgまではかる。全量フラスコ1 000ml中で水に溶かす。水を標線ま
で加え,混合する。
5. 装置 通常の試験室用の装置,及び
− ミクロビュレット 5mlまではかることができ,0.02mlの目盛が刻んであるもの。
ガラス器具の準備についての備考 塩素要求量のないガラス器具は,次亜塩素酸ナトリウム溶液
(4.8)で満たし,次いで,一時間後,多量の水(4.1)ですすぐことによって得られる。分析時には,遊離
塩素のセットの汚染を避けるため,一組のセットのガラス器具は遊離塩素の定量用として,別のセッ
トは全塩素の定量用として,保管しておく。
6. 手順
6.1
試験試料 測定は試料採取後直ちに始める。常に,明るい光,かき混ぜ及び熱を避ける。
6.2
測定試料 各々100.0mlの2個の測定試料をとる。全塩素の濃度が70μmol/l (5mg/l) を超える場合に
は,少ない量の試験試料をとり,水(4.1)で100.0mlに薄める必要がある。
6.3
遊離塩素の定量
− コニカルフラスコ250mlに,次の手順で手早く加える:緩衝液(4.2)5.0ml,DPD試薬(4.3)5.0ml及び最
初の測定試料(6.2)。混合し,直ちに,硫酸鉄 (II) アンモニウム溶液(4.6)で無色の終点まで滴定する。
滴定に要した体積,V3, mlを書き留める。
5
K 0400-33-10 : 1999 (ISO 7393-1 : 1985)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− 強い酸又はアルカリ,又は塩濃度の高いと思われるような未知の水の場合,緩衝液(4.2)の添加量がそ
の水をpH6.2〜6.5とするのに十分であることを確かめることが望ましい。もしそうでなければ,より
多量の緩衝液(4.2)を用いる。
6.4
全塩素の定量
− コニカルフラスコ250mlに,次の手順で手早く加える:緩衝液(4.2)5.0ml,DPD試薬(4.3)5.0ml,第二
の測定試料(6.2)及びよう化カリウム(4.4)約1g。混合し,約2分間後,硫酸鉄 (II) アンモニウム溶液(4.6)
で無色の終点まで滴定する。もし,2分間以内に色が戻ることがあれば,無色の終点まで滴定を続け
る。滴定に要した体積,V4, ml,を書き留める。
− 強い酸又はアルカリ,若しくは塩濃度の高いと思われるような未知の水の場合は,緩衝液(4.2)の添加
量がその水をpH6.2〜6.5とするのに十分であることを確かめることが望ましい。もしそうでなければ,
より多量の緩衝液(4.2)を用いる。
7. マンガン酸化物の存在による妨害の補正
− マンガン酸化物以外のすべての酸化性化合物の効力を消すために,亜ひ酸塩又はチオアセトアミド溶
液(4.7)であらかじめ処理した別の測定試料(6.2)について追加測定を行うことによってマンガン酸化物
の影響を求める。
− この測定試料100mlをコニカルフラスコ250mlにとり,亜ひ酸ナトリウム溶液(4.7)又はチオアセトア
ミド溶液(4.7)を1ml加え,混合する。再び,緩衝液(4.2)5.0ml及びDPD試薬(4.3)5.0mlを加える。直ち
に,硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液(4.6)で無色の終点まで滴定する。マンガン酸化物の相当する体積,
V5, mlを書き留める。
8. 試験結果の表現
8.1
計算方法
8.1.1
遊離塩素の濃度の計算 遊離塩素濃度,c (Cl2) mmol/l,は,次の式で与えられる。
(
)
(
)
0
5
3
3
2
Cl
V
V
V
c
c
−
×
=
ここに, c3: 硫酸鉄 (II) アンモニウム溶液のCl2の濃度 (mmol/l)
V0: 測定試料(6.2)中の試験試料の体積 (ml)
V3: 滴定(6.3)に要した硫酸鉄 (II) アンモニウム溶液(4.6)の体積 (ml)
V5: 7.(マンガン酸化物が共存していないとき,V5=0ml)で要した
硫酸アンモニウム鉄 (II) 溶液(4.6)の体積 (ml) (マンガン酸化物
が共存していないとき,V5=0ml)
8.1.2
全塩素の濃度の計算 全塩素濃度,c (Cl2), mmol/l,は,次の式で与えられる。
(
)
(
)
0
5
4
3
2
Cl
V
V
V
c
c
−
×
=
ここに, c3, V0及びV5:8.1.1で定義されている
V4:滴定(6.4)に要した硫酸鉄 (II) アンモニウム溶液(4.6)の
体積 (ml)
8.2
物質量濃度から質量濃度への変換 塩素濃度,mol/lは,変換係数70.91を乗じることによってg/l
で表すことができる。
8.3
繰返し性及び再現性
− 繰返し性及び再現性を表示するために,この規格に規定したものと原理的に同様な方法によって,得
6
K 0400-33-10 : 1999 (ISO 7393-1 : 1985)
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られた測定値から計算する。
− USA-EPA環境モニタリングアンドサポート研究所[1]は,この滴定法を次の結果のように評価している。
− 全塩素濃度c (Cl2) =4.79 : 9.17 : 及び48.6μmol/l[ρ (Cl2) =0.34 : 0.65 : 及び3.45mg/l]の蒸留水試料
について,相対標準偏差は,それぞれ,5.6%,0.5%及び0.5%であった。全塩素c (Cl2) =13.8μmol/l [ρ
(Cl2) =0.98mg/l] の飲料水を用いると,相対標準偏差は1.2%であった。より汚染された水については,
生下水を除いて,全塩素濃度c (Cl2) =11.1μmol/l [ρ (Cl2) =0.79mg/l] 相対標準偏差は3.3%であり,飲
料水とほとんど同様な精度が得られた。
− イギリス環境省[2]が発表した結果は,全塩素濃度c (Cl2) =14及び71μmol/l[ρ (Cl2) =1.0及び5.0mg/l]
について,相対標準偏差は,それぞれ,1.4%及び0.88%であることを示した。
− 上記段落に示された結果は,同一試験室における反復測定に関連しており,したがって,この方法の
繰返し性の一つの尺度を示すものである。異なった試験室への,試料の配付によって,方法の再現性
を測る過去の企ては,遊離塩素及び結合塩素を含む溶液の一般的な不安定さのために信頼できない結
果を生じることになった。最近,郵送用円筒 (mailing tube) 中で暗所に保存したとき,密閉容器に入
れた非常に純粋な水の中の次亜塩素酸ナトリウムが著しく安定であることをEMSL−シンシナチ品質
保証支部[5]が見いだしている。多くのアメリカ連邦及び州の研究所によるその後の評価は,現在用い
られている方法に対する表2に表示する分析パラメータを提示している。
表2 全残留塩素の室間試験からの分析パラメータ
真の値
c (Cl2) [ρ (Cl2)]
方法記号(1)
試験室数
(観測)
平均値
標準偏差
μmol/l (mg/l)
μmol/l (mg/l)
μmol/l (mg/l)
7 (0.5)
A
6
6.2 (0.44)
1.3 (0.09)
B
7
6.8 (0.48)
1.8 (0.13)
11.3 (0.80)
A
10
10.9 (0.77)
1.1 (0.08)
B
14
11.1 (0.79)
4.1 (0.29)
C
6
11.6 (0.82)
1.3 (0.09)
15.5 (1.10)
A
10
15.5 (1.10)
2.0 (0.14)
B
14
16.2 (1.15)
5.5 (0.39)
C
6
16.5 (1.17)
1.1 (0.08)
18.2 (1.29)
A
6
18.6 (1.32)
1.3 (0.09)
B
7
19.9 (1.41)
5.4 (0.38)
注(1) A:よう素電流滴定法
B:DPD比色法
C:DPD滴定法
9. 妨害物質 2種類の妨害に注意する。
9.1
他の塩素化合物による妨害 存在する可能性がある二酸化塩素は遊離塩素として測定される。この
妨害は水中の二酸化塩素の定量によって補正できる。[2, 3, 4]
9.2
塩素化合物以外の化合物による妨害 DPDの酸化は特に塩素化合物によるものだけではない。反応
は,濃度及び化学酸化電位によるが,他の酸化剤によって影響を受ける。
特に次の化合物を挙げることができる:臭素,よう素,ブロモアミン類,ヨードアミン類,オゾン,過
酸化水素,クロム酸塩,マンガン酸化物,亜硝酸塩,鉄 (III) イオン及び銅イオン。
銅 (II) イオン (<8mg/l) 及び鉄 (III) イオン (<20mg/l) の場合妨害は,試薬4.2及び4.3の中のEDTA二
ナトリウムによって抑制される。
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K 0400-33-10 : 1999 (ISO 7393-1 : 1985)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
クロム酸塩による妨害は塩化バリウムの添加によって除去できる。[6]
10. 試験報告 報告書には,次の事項を含めなければならない。
a) この規格の引用
b) 試料の完全な確認のために必要なすべての情報
c) 結果及び使用した表現の方法
d) 結果に影響を与えると考えられるすべての事柄と併せて,この規格に含まれないか,又は随意とみな
される手順の詳細
11. 参考文献 この規格で参考とした文献を記述したものである。
[1] Bender D.F.Comparison of methods for the determination of total available residual chlorine in various sample
matrices Report No.EPA-600/4-78-019. Cincinnati, Ohio 45268, USA, US Environmental Protection Agency,
1978.
[2] DoE. Chemical Disinfecting Agents in Waters. and Effluents. and Chlorine Demand. Methods for the
Examination of Waters and Associated Materials. London, UK, HMSO, 1980.
[3] Palin, A.T.Methods for the determination in water of free and combined available chlorine, chlorine dioxide and
chlorite, bromine, iodine and ozone, using diethyl-p-phenylenediamine. J. Inst. Water Eng. 21.1967 : 537.
[4] Palin, A.T.Analytical control of water disinfection with special reference to differential DPD methods for
chlorine, chlorine dioxide, bromine, iodine and ozone. J. Inst. Water Eng. 28.1974 : 139.
[5] Studies WS007 and WS008, Cincinnati, Ohio 45268, USA, Quality Assurance Branch, Environmental
Monitoring and Support Laboratory, Office of Research and Development, US Environmental Protection
Agency, 1980.
[6] Palin, A.T.New correction procedures for chromate interference on the DPD method for residual, free and
combined chlorine. J. Inst. Water Eng. Sci. 36.1982 : 351.
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K 0400-33-10 : 1999 (ISO 7393-1 : 1985)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(規定) モノクロロアミン体結合塩素,
ジクロロアミン体結合塩素及び
三塩化窒素の形の結合塩素の分別定量
序文 この附属書は,モノクロロアミン体結合塩素,ジクロロアミン体結合塩素及び三塩化窒素の形の結
合塩素の分別定量について規定する。
A.1 適用性 この方法の適用分野は,遊離塩素及び全塩素の濃度(本体1.参照)に対すると同様である。
A.2 原理 遊離塩素及び全塩素の定量の後,更に二つの測定試料についての滴定。
a) 3番目の測定試料について:少量のよう化カリウムの添加による遊離塩素及びモノクロロアミン体結
合塩素に限定したDPDとの反応。
b) 4番目の測定試料について,緩衝液及びDPD試薬を添加する前に,少量のよう化カリウムを加えるこ
とによって:DPDと遊離塩素,モノクロロアミン体結合塩素及び三塩化窒素の半量との反応。
− ジクロロアミン体結合塩素は,これら二つの場合のどちらとも反応しない。モノクロロアミン及びジ
クロロアミン体の結合塩素並びに三塩化窒素の濃度の計算。
A.3 試薬 本体4.に示した試薬及び
− よう化カリウム 溶液,5g/l JIS K 8913に規定するよう化カリウムを用いて調製する。
この溶液は,使用する日に調製し褐色瓶に貯蔵する。
A.4 装置 本体5.を参照。
A.5 手順
A.5.1 試験試料 本体6.1を参照。
A.5.2 測定試料 二つの測定試料について本体6.2と同様な操作をする。
A.5.3 遊離塩素及びモノクロロアミン体結合塩素の定量 手早くコニカルフラスコ250mlに次の順序で入
れる。緩衝液(本体4.2)5ml,DPD試薬(本体4.3)5ml,3番目の測定試料及びよう化カリウム溶液(A.3)2
滴(約0.1ml)又は非常に小さなよう化カリウムの結晶(約0.5mg)を加えて混合する。直ちに硫酸アンモ
ニウム鉄 (II) 溶液(本体4.6)で無色の終点まで滴定する。滴定に要した体積,V6, mlを書き留める。
A.5.4 遊離塩素,モノクロロアミン体結合塩素及び三塩化窒素の半量の定量 ビーカー250mlに4番目の
試料及びよう化カリウム溶液(A.3)2滴(約0.1ml)又は非常に小さなよう化カリウムの結晶(約0.5mg)を
加えてかき混ぜる。ビーカーの内容物を1分間以内にコニカルフラスコ250mlに移し,緩衝液(本体4.2)
5ml及びDPD試薬(本体4.3)5.0mlを加えておく。直ちに硫酸鉄 (II) 溶液(本体4.6)で無色の終点まで
滴定する。滴定に要した,体積V7, ml,を書き留める。
A.6 試験結果の表現
A.6.1 計算方法
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A.6.1.1 モノクロロアミン体の結合塩素の濃度の計算 モノクロロアミン体結合塩素の濃度,c (Cl2), mmol/l
は,次の式で与えられる。
(
)
(
)
0
3
6
3
2
Cl
V
V
V
c
c
−
=
×
ここに, c3, V0及びV3: 本体8.で定義されている。
V6: 滴定に要した(A.5.3)硫酸鉄 (II) アンモニウム(本体
4.6)の体積 (ml)
A.6.1.2 ジクロロアミン体結合塩素の濃度の計算 ジクロロアミン体結合塩素の濃度,c (Cl2), mmol/lは,
次の式で与えられる。
(
)
(
)
0
6
7
4
3
2
2
Cl
V
V
V
V
c
c
+
×
−
=
ここに, c3, V0及びV4: 本体8.で定義されている。
V6: A.6.1.1で定義されている。
V7: 滴定に要した(A.5.4)硫酸鉄 (II) アンモニウム(本体
4.6)の体積 (ml)
A.6.1.3 三塩化窒素の形の結合塩素の濃度の計算 三塩化窒素の形の結合塩素の濃度,c (Cl2), mmol/lは,
次の式で与えられる。
(
)
(
)
0
6
7
3
2
2
Cl
V
V
V
c
c
−
=
×
×
ここに,
c3及びV0: 本体8.で定義されている。
V6: A.6.1.1で定義されている。
V7: A.6.1.2で定義されている。
A.6.2 物質量濃度から質量濃度への変換 塩素濃度,mol/lは,70.91を乗じることによってg/lとして表す
ことができる。
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K 0400-33-10 : 1999 (ISO 7393-1 : 1985)
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附属書B(規定) 酸化性及び還元性物質を含まない水の調製
序文 この附属書は,酸化性及び還元性物質を含まない水の調製方法について規定する。
希望する品質の希釈水を得るために,脱塩水又は蒸留水を最初に約0.14mmol/l (10mg/l) の水準まで塩素化
し,そして少なくとも16時間よく密閉したかご入りのガラス瓶 (carboy) に貯蔵する。次いで,水は紫外
線を照射するか数時間太陽光にさらす。又は活性炭と接触させることによって脱塩素化する。最後に,本
体4.1の手順を用いて品質を検査する。
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K 0400-33-10 : 1999 (ISO 7393-1 : 1985)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
平成8年度 JIS K 0102改正原案作成委員会 構成表(平成9年3月現在)
氏名
所属
(委員長)
○ 並 木 博
工学院大学工学部
○ 佐 藤 寿 邦
横浜国立大学工学部
○ 西 出 徹 雄1)
工業技術院標準部消費生活規格課
乾 敏 一2)
通商産業省環境立地局産業施設課
○ 畑 野 浩3)
環境庁水質保全局水質規制課
中 村 進
工業技術院物質工学技術研究所計測化学部
中 村 和 憲
工業技術院生命工学工業技術研究所
○ 田 尾 博 明
工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部
田 中 宏 明
建設省土木研究所下水道部
柴 田 康 行
国立環境研究所化学環境部
○ 土 屋 悦 輝
東京都立衛生研究所環境保全部
渡 辺 真利代
東京都立衛生研究所環境保全部
○ 日 野 隆 信
千葉県衛生研究所
小 倉 光 夫
神奈川県環境科学センター水質環境部
西 尾 高 好
財団法人日本環境衛生センター東日本支局環境科学部
○ 坂 本 勉
財団法人日本規格協会技術部
山 村 修 蔵
財団法人日本規格協会技術部
浅 田 正 三
財団法人日本品質保証機構環境計画センター
○ 梅 崎 芳 美
社団法人産業環境管理協会名誉参与
横 倉 清 治
社団法人日本環境測定分析協会(三菱マテリアル株式会社
総合研究所)
神 代 啓
社団法人日本化学工業協会
池 田 久 幸
社団法人日本分析機器工業会(横河アナリティカルシステム
ズ株式会社)
長 澤 忠 彦
社団法人日本鉄鋼連盟(住友金属工業株式会社)
山 田 昭 捷
社団法人日本下水道協会(東京都下水道局流域下水道本部)
土 屋 徳 之
石油連盟(興亜石油株式会社)
松 谷 成 晃
日本石鹸洗剤工業会(ライオン株式会社研究開発本部)
波多江 正 和
日本製紙連合会技術環境部
佐 山 恭 正
日本鉱業協会(三菱マテリアル株式会社総合研究所)
狩 野 久 直
日本練水株式会社研究所
久 島 俊 和
オルガノ株式会社総合研究所
○ 川 瀬 晃
セイコー電子工業株式会社科学機器事業部
○ 米 倉 茂 男
元東京都立工業技術センター
岩 崎 岩 次
社団法人日本工業用水協会
(事務局)
秋 本 孝
社団法人日本工業用水協会
飛 渡 祥 弘
社団法人日本工業用水協会
本 郷 秀 昭
社団法人日本工業用水協会
備考 1):発足当初は岡林哲夫(工業技術院標準部繊維化学規格課)
2):発足当初は相澤徹(通商産業省環境立地局産業施設課)
3):発足当初は飯島孝(環境庁水質保全局水質規制課)
○は幹事兼任
(文責 梅崎 芳美)