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K 0400-30-20 : 1999 (ISO 7875-2 : 1986) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

JIS K 0400-30-20には,次に示す附属書がある。 

附属書(規定) ビスマスの定量 

JIS K 0400-30は,次に示す各部からなる。 

JIS K 0400-30-10 水質−界面活性剤の定量−第1部:メチレンブルー吸光光度法による陰イオン界面

活性剤の定量 

JIS K 0400-30-20 水質−界面活性剤の定量−第2部:ドラゲンドルフ試薬による非イオン界面活性剤

の定量 

K 0400-30-20 : 1999 (ISO 7875-2 : 1986) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 適用分野 ························································································································ 1 

3. 引用規格 ························································································································ 1 

4. 原理 ······························································································································ 2 

5. 試薬 ······························································································································ 2 

6. 装置 ······························································································································ 3 

7. サンプリング方法及び試料 ································································································ 3 

8. 手順 ······························································································································ 4 

8.1 界面活性剤の濃縮及び分離······························································································· 4 

8.2 空試験 ························································································································· 4 

8.3 沈殿生成及びろ過 ·········································································································· 4 

8.4 沈殿の溶解 ··················································································································· 4 

8.5 ピロリジン−1−イル−ジチオカルボン酸ナトリウム溶液の標定 ············································· 5 

8.6 滴定 ···························································································································· 5 

9. 試験結果の表現 ··············································································································· 5 

9.1 計算 ···························································································································· 5 

9.2 再現性 ························································································································· 5 

10. 妨害物質 ······················································································································ 6 

11. 試験報告 ······················································································································ 6 

附属書(規定) ビスマスの定量 ···························································································· 8 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格         JIS 

K 0400-30-20 : 1999 

(ISO 7875-2 : 1986) 

水質−界面活性剤の定量− 

第2部:ドラゲンドルフ試薬による 

非イオン界面活性剤の定量 

Water quality−Determination of surfactants− 

Part 2 : Determination of non-ionic surfactants using Dragendorff reagent 

序文 この規格は,1986年に第1版として発行されたISO 7875-2, Water quality−Determination of surfactants

−Part 2 : Determination of non-ionic surfactants using Dragendorff reagentを翻訳し,技術的内容及び規格票の

様式を変更することなく作成した日本工業規格である。 

陰イオン性及び非イオン性表面活性物質は,一般に界面活性剤と呼ばれ,合成製品が広く洗浄剤として用

いられている。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,水中の非イオン界面活性剤のドラゲンドルフ試薬による定量について規定す

る。 

2. 適用分野 この規格は,低濃度のビスマス活性物質 (BiAS),すなわち,アルキルフェノール−アルキ

レンオキシド及びアルコール−アルキレンオキシド付加物の非イオン界面活性剤で,(空気で)ストリッピ

ングされ,ドラゲンドルフ試薬で沈殿するもの(例えば,分子当たり5〜30程度のエチレンオキシドを含

むエトキシラート)の定量に適用する。この方法は,下水処理場の流入水及び排出水並びに一般廃水に適

している。表層水を対象とするときは,大量の試料(5 000mlまで)を用いる必要がある。 

検出限界は試料1lを用いたとき0.05mg/lで,最適範囲は250〜800μgである。 

3. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用することによって,この規格の規定の一部を構成する。

これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成す

るものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最新

版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

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K 0400-30-20 : 1999 (ISO 7875-2 : 1986) 

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JIS K 8361 酢酸エチル(試薬) 

JIS K 8534 (+)−酒石酸アンモニウム(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8622 炭酸水素ナトリウム(試薬) 

JIS K 8841 ブロモクレゾールパープル(試薬) 

JIS K 8872 ホルムアルデヒド(試薬) 

JIS K 8891 メタノール(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬) 

ISO 5667-2 : 1991, Water quality−Sampling−Part 2 : Guidance on sampling techniques.  

参考 現在は,ISO 5667-2 : 1991が発行されている。 

ISO 5667-3 : 1994, Water quality−Sampling−Part 3 : Guidance on the preservation and handling of 

samples.  

参考 現在は,ISO 5667-3 : 1994が発行されている。 

4. 原理 試料中の界面活性剤を空気でストリッピングし酢酸エチルに捕集する。酢酸エチルを除去し,

非イオン界面活性剤をドラゲンドルフ試薬(KBiI4−BaCl2+酢酸)で沈殿させる。 

沈殿を分離,溶解し,非イオン界面活性剤と当量のビスマス濃度をピロリジン−1−イル−ジチオカルボ

ン酸ナトリウム溶液で電位差滴定する。 

別の,ビスマスの定量法としては,原子吸光法又は紫外吸光光度法(附属書参照)がある。 

5. 試薬 分析には特に断わらない限り,分析用と認められた試薬だけを,また,蒸留水又はこれと同等

の純度の水だけを用いる。 

5.1 

塩化ナトリウム (NaCl)  JIS K 8150に規定するもの。 

5.2 

炭酸水素ナトリウム (NaHCO3)  JIS K 8622に規定するもの。 

5.3 

酢酸エチル (C4H6O2)  JIS K 8361に規定する酢酸エチルを新たに蒸留したもの。 

注意 酢酸エチルは可燃性で有毒である。 

5.4 

メタノール (CH3OH)  JIS K 8891に規定するメタノールを新たに蒸留したもの。ガラス瓶に貯蔵

する。 

5.5 

氷酢酸 (CH3COOH),ρ=1.05g/ml JIS K 8355に規定するもの。低濃度のものは適当ではない。 

5.6 

塩酸 (HCl), c≈0.1mol/l JIS K 8180に規定する塩酸 (ρ=1.12g/ml) 1mlを水100mlに加える。 

5.7 

メタノール性塩酸 塩酸(5.6)10mlをメタノール (5.4) で100mlに薄める。 

5.8 

硫酸 (H2SO4),0.5mol/l JIS K 8951に規定する硫酸を用いて調製する。 

5.9 

アンモニア水 (NH4OH), c≈0.6mol/l JIS K 8085に規定するアンモニア水 (ρ=0.91g/ml) 10.0mlを水

250mlに加える。 

5.10 酒石酸アンモニウム,溶液 JIS K 8354に規定するL (+)−酒石酸 (C4H6O6) 12.40gをアンモニア水 

(5.9) 12.40gに加え,水で1 000mlに薄める。 

5.11 溶液A 

K 0400-30-20 : 1999 (ISO 7875-2 : 1986) 

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− ビスマス(III)オキシニトラート一水和物[硝酸酸化ビスマス(III)一水和物] (BiONO3・H2O) 1.70gを氷

酢酸 (5.5) 20mlに溶かし,水で100mlに薄める。 

− JIS K 8913に規定するよう化カリウム (KI) 65.0gを水約200mlに溶かす。 

− 二つの溶液を全量フラスコ1 000ml中で混合し,氷酢酸 (5.5) 200mlを加え,水で標線まで薄める。 

この溶液は暗所で貯蔵すれば,約1週間は安定である。 

5.12 溶液B JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物 (BaCl2・2H2O) 290.0gを水1000mlに溶かす。 

5.13 沈殿試薬 溶液A (5.11) 2容と溶液B (5.12) 1容を混合する。 

この溶液は褐色ガラス瓶に貯蔵すれば約1週間は安定である。 

5.14 標準酢酸塩緩衝液 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム40.0gを水約500mlに溶かす。氷酢酸 

(5.5) 120mlを加える。よく混合し,冷却し,全量フラスコ中で1 000mlに薄める。 

5.15 ピロリジン−1−イル−ジチオカルボン酸ナトリウム,0.5mmol/l溶液 ピロリジン−1−イル−ジチ

オカルボン酸ナトリウム (C5H8NS2Na・2H2O) 103.0mgを水約500mlに溶かす。アミルアルコール(1−ペン

タノール) (C5H11OH) 10.0ml及び炭酸水素ナトリウム (5.2) 0.50gを加え,水で1 000mlに薄める。 

5.16 硫酸銅 (II),貯蔵液 JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物 (CuSO4・5H2O) 1.249gを,硫酸

(5.8)50ml及び水200mlに溶かし,水で1 000mlに薄める。 

硫酸銅は結晶が壊れたもの,柔らかいものは用いない。 

5.17 硫酸銅 (II),標準液 硫酸銅(II)貯蔵液 (5.16) 50.0ml及び硫酸 (5.8) 10mlを水で1 000mlに薄める。 

5.18 ブロモクレゾールパープル.溶液 色素(JIS K 8841に規定するもの。)0.10gをメタノール (5.4) 

100mlに溶かす。 

5.19 陽イオン交換樹脂 SO3H+形,(50〜100メッシュ=0.15〜0.30mm),耐アルコール性 

6. 装置 通常の試験室用の設備,及び 

6.1 

ガスストリッピング装置(図1参照,市販品がある。) ガラスろ過板の直径は,シリンダの内径と

同じでなければならない。 

備考 洗いやすいように,装置のストリッピング漏斗の下部に球面連結部を取り付けるとよい。支持

棒も分離できるものがよい。 

6.2 

イオン交換カラム 直径16mm,高さ200mm 

6.3 

記録電位差計 白金|カロメル又は白金|塩化銀電極,レンジ250mV,自動ビュレット容量20〜

25ml,又は適当な手動装置付き。 

ガラス器具の予備清浄に関する備考 すべてのガラス器具は,水,エタノール性塩酸 [10% (m/m)] 

で十分に洗い,水ですすぐことが望ましい。 

7. サンプリング方法及び試料 サンプリング方法に関する注意は,ISO 5667-2及びISO 5667-3に示され

ている。 

試料は泡の層から採取してはならない。試料の採取,貯蔵には,あらかじめメタノール (5.4) で洗った

清浄なガラス瓶を用いる。短期間を超える保存には,4℃の冷却を勧める。試料を24時間以上保管すると

きは保存剤の添加を考慮するとよい。4日間までの保管にはホルムアルデヒド溶液[40% (v/v) JIS K 8872

に規定するホルムアルデヒドを用いて調製する。]を1% (v/v) 加えるのが,8日間までの保管にはクロロ

ホルムを飽和させるのが適している。試料は通常,懸濁物を含まないことが望ましいが,存在するときは

遠心分離で除去する。しかし,その結果,懸濁物に吸着された界面活性剤は定量されないことに注意する。 

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8. 手順 

8.1 

界面活性剤の濃縮及び分離 

− 酢酸エチルの蒸気を除去するために,通気のよいドラフト内に装置 (6.1) を設置する。 

− 試験室試料にかなりの量,0.3g/lを超える,の懸濁物があるときは,遠心分離するとよい。 

− 界面活性剤200〜1000μgを含む既知量の試験室試料(試験試料)をストリッピング装置にとる。塩化

ナトリウム (5.1) 100g及び炭酸水素ナトリウム (5.2) 5gをはかりとる。試験試料が500mlを超えると

きは,これらの塩類を固体で加え,窒素及び空気をその中を通すことによって溶かす。試験試料の量

が少ないときは塩類を水400mlに溶かし,溶液として加える。 

− 必要があれば,水を上部のコックの位置まで加える。酢酸エチル (5.3) 100mlを加える。ガス配管(窒

素又は空気)の洗浄瓶に2/3量だけ酢酸エチルを満たす。20〜50l/hでガスを流す。面積流量計(1)の使

用を勧める。ガス流量は相が分離していて,界面に乱流を生じない程度に調節する。これによって目

立った相の混合,水への酢酸エチルの溶解は避けられる。5分間後にガスを止める。 

参考 “ロータメーター”は面積流量計の商品名である。 

− 水相への溶解によって有機相の損失が20% (V/V) を超えたときは,試験試料を廃棄する。 

− 有機相を完全に分液漏斗に流し込む。分液漏斗内の水(わずか数mlであるが)は,すべてストリッ

ピング装置に返す。 

− 酢酸エチル溶液を乾いた定性ろ紙でろ過してフラスコ (250ml) に入れる。ストリッピング装置に更に

酢酸エチル100mlを入れ,再び空気又は窒素を5分間通じる。同じ分液漏斗,ろ紙を用い,先と同様

にして有機層を分離し,先の有機相と合わせる。ろ紙及び漏斗を酢酸エチル25mlで洗う。酢酸エチ

ル溶液をすべてフード下の水浴上に移す。操作を速めるために,溶液の表面に静かに空気流を吹き付

ける。 

8.2 

空試験 

− 試料の各シリーズについて,定量と並行して空試験を行う。ただし,測定試料の代わりにメタノール

(5.4)5ml及び水40mlを用いる。 

− ピロリジン−1−イル−ジチオカルボン酸ナトリウム溶液の使用量は,1ml未満であることが望ましい。

それ以上の場合は試薬の重金属含量を検討することが望ましい。 

8.3 

沈殿生成及びろ過 

− 妨害物質(10.参照)をすべて除去した後,8.1の残留物をメタノール(5.4)5mlに溶かす。ビーカーに移

し,水40ml及び塩酸 (5.6) 0.5mlを加え,マグネチックスターラーでかき混ぜ,メスシリンダーで沈

殿剤 (5.13) 30mlを加える。かき混ぜ中に沈殿が生成する。10分後にかき混ぜを止め,少なくとも5

分間待つ。 

− ろ過瓶500mlに取り付けたアダプターにガラスろ過器(孔げき率4,容量40ml)を置く。ガラス繊維

ろ紙を併用してもよい。これによってろ過器の寿命が長くなる。吸引しながら氷酢酸 (5.5) 約2mlで

ろ紙を湿す。ろ過器で沈殿をろ別する[ゴムのチューブ (collars) を用いた場合は試薬と接触させない

ことが重要である]。酢酸用にはポリエチレン洗瓶 (squirt bottle) の使用を勧める。沈殿を溶かした溶

液(8.4参照)は滴定前に同じビーカーに戻すので,沈殿を完全に移す必要はない。ビーカーに残った

沈殿はすべて溶けることになる。 

8.4 

沈殿の溶解 

− ろ過用フラスコ250mlのアダプターにろ過器を取り付けておく。これに熱い(約80℃)酒石酸アンモ

ニウム溶液 (5.10) 10mlずつを3回注いで溶かす。 

K 0400-30-20 : 1999 (ISO 7875-2 : 1986) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− ろ過用フラスコの内容物をもとのビーカーに入れ,熱い酒石酸溶液20mlを加え,残っている沈殿を

溶かす。 

− ろ過器,アダプター及びろ過瓶を水100〜150mlでよく洗い,先に沈殿を溶かしたビーカーに合わせ

る。 

8.5 

ピロリジン−1−イル−ジチオカルボン酸ナトリウム溶液の標定 

− ピロリジン−1−イル−ジチオカルボン酸ナトリウム溶液 (5.15) の濃度は使用前,又は日常分析では

1日に1回確認する。これには,硫酸銅標準液 (5.17) 10.0ml,水100m1及び標準酢酸塩緩衝液 (5.14) 

10.0mlの混合液を滴定する。 

− ピロリジン−1−イル−ジチオカルボン酸ナトリウム溶液のファクターtは,次の式で与えられる。 

2

1

V

V

t=

ここに, V1: 標準液の体積 (ml) (ここでは10ml) 
 

V2: ピロリジン−1−イル−ジチオカルボン酸ナトリウム溶液の

消費量 (ml)  

8.6 

滴定 

− 溶液をマグネチックスターラーでかき混ぜ,ブロモクレゾールパープル溶液 (5.18) 数滴を加え,アン

モニア水 (5.9) で色が紫になるまで加える(溶液は,洗浄に用いた酢酸によって微酸性になっている)。 

− 標準酢酸塩緩衝液 (5.14) 10mlを加え,電極を浸し,ビュレットの先端を液中に入れ,ピロリジン−1

−イル−ジチオカルボン酸ナトリウム溶液 (5.15) で滴定する。滴定は明らかな電位降下の先まで行う。

滴定速度を2ml/min,紙送りは約4cm/minに調節する。 

− 終点は,電位曲線の二つの部分の接線の交点(変曲点)である。電位曲線の湾曲が平らになることが

あるが,この場合は白金電極を清浄にする(エメリー紙で研磨)とよい。 

9. 試験結果の表現 

9.1 

計算 非イオン界面活性剤は,それぞれのエチレンオキシド鎖の長さに応じて独自の換算係数をも

っているので,一般に計算は一つの標準物質として行われる。この目的にはエチレンオキシド単位10 

(NP10) のノニルフェノールが適しており,経験的ファクターとして54が与えられる。その意味は,ピロ

リジン−1−イル−ジチオカルボン酸ナトリウム溶液 (5.15) 1mlはNP10の54μgに相当するということで

ある。 

非イオン界面活性剤の質量濃度,ρx,NP10のmg/l,は,次の式で与えられる。 

(

)

0

4

3

V

f

t

V

V

x

×

×

=

ρ

ここに, V0: 試料の体積 (ml)  
 

V3: 試料によるピロリジン−1−イル−ジチオカルボン酸ナトリ

ウム溶液の消費量 (ml) 

V4: 空試験のピロリジン−1−イル−ジチオカルボン酸ナトリウ

ム溶液の消費量 (ml) 

t: ピロリジン−1−イル−ジチオカルボン酸ナトリウム溶液の

ファクター(8.5参照) 

f: 計算ファクター (54mg/l)  

9.2 

再現性 濃度範囲が約0.5〜1.0mg/lのとき,相対標準偏差sは,s=±10%。 

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10. 妨害物質 

− 陰イオン界面活性剤は,10倍量までは妨害しない。陽イオン界面活性剤は同様に定量されるので,必

要があれば陽イオン交換樹脂で分離する。ポリエチレングリコール及び非界面活性物質の多くは妨害

の心配があるが,妨害物質及びその効果については二,三の詳細な報告しかない。高濃度の懸濁物を

含む試料では完全な回収率は得られない(8.1参照)。 

− 陽イオン界面活性剤は沈殿剤と反応し,非イオン界面活性剤量を増加させる。もし,存在するときは,

陽イオン界面活性剤を次のようにして除去する。 

− 抽出液から酢酸エチルを蒸発させた後,残留物をメタノール (5.4) 20mlに溶かす。陽イオン交換樹脂 

(5.19) 10mlを充てんしたカラム (6.2) を通す。流速は早い連続滴下の状態に調節する。カラムをメタ

ノール50〜60mlで洗い,メタノール溶液は合わせて水浴上で蒸発する。エトキシル化の高い界面活

性剤が予想されるとき(1分子につき25を超えるエチレンオキシド)は純メタノールに代えてメタノ

ール4容と四塩化メチレン1容の混合物を用いる。 

− 陽イオン交換樹は,使用のたびにメタノール性塩酸 (5.7) で再生する。カラムをメタノールで,メチ

ルレッドに対して酸性を示さなくなるまで洗う。陽イオン交換樹脂は,メタノールに浸して貯蔵する。 

11. 試験報告 報告書には,次の事項を含めなければならない。 

a) 試料の確認 

b) 用いた方法への言及 

c) 結果及び用いた表現方法 

d) 試験中に認めた異常な事柄 

e) この規格に規定されていない操作,又は随意とみなされる操作。 

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図1 ガスストリッピング装置(6.1の備考参照) 

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附属書(規定) ビスマスの定量 

序文 この附属書は,水中の非イオン界面活性剤と沈殿試薬の反応によって生成する錯体中のビスマスを

原子吸光法又は紫外吸光光度法によって定量する。間接的な非イオン界面活性剤の定量について規定する。 

A.1 原子吸光法 

− 本体8.3によって沈殿を生成させ,これを本体8.4によって適量の酒石酸アンモニウム溶液(本体5.10)

に溶かすか,又は次によって硝酸に溶かす。 

− 洗った沈殿にJIS K 8541に規定する硝酸 (ρ=1.420g/ml) 2mlを加え,ろ過器を渦巻くように動かして

溶かす。ただし,吸引は行わない。水2〜3mlを加え,渦巻かせながら吸引する。この操作を2回繰

り返してすべての沈殿を溶かす。 

− ろ過器とアダプターを水で洗い,溶液を完全にブフナーフラスコに移す。この溶液を全量フラスコ

100mlに移し,水を標線まで加える。 

− ビスマス標準液は次によって調製する。純ビスマス粉末0.500±0.005gをJIS K 8541に規定する硝酸 

(ρ=1.420g/ml) 数滴に溶かし,全量フラスコに入れ,水で500mlにする。この標準液を用い,ビスマ

ス1,2,3,4及び5mg/lを含む検量線用溶液を調製する。 

− 各検量線用溶液には上述の試料とほぼ同量の硝酸及び酒石酸アンモニウム(いずれも沈殿溶解用)(本

体5.10)が含まれるようにする。 

− 原子吸光分析装置を作動させ,製造業者の取扱説明書に従って操作する。試料及び検量線用溶液の吸

光度を測定する。試料溶液のビスマス濃度を計算し,原試料中の非イオン界面活性剤の濃度を求める。 

A.2 紫外吸光光度法 

− 本体8.3によって沈殿を生成させる。コニカルフラスコ150mlに酒石酸アンモニウム溶液(本体5.10)

50±1mlを入れて加熱板上で80℃に加熱する。ろ過器を適当なアダプター付きろ過瓶に取り付け,沈

殿を熱酒石酸アンモニウム溶液15〜20mlに溶かす。さらに,酒石酸塩溶液15ml及び水10mlを用い

てビーカー(本体8.3で用いた)を洗い,残っている沈殿を溶かす。 

− ビーカーの内容物をろ過し,残った酒石酸塩溶液,次いで水10mlでろ過器を洗う。ろ過瓶の内容物

をビーカーに移し,ろ過瓶を水10ml,次いで5mlで洗い,洗液をビーカーに移す。 

− 0.02mol/lEDTA溶液4mlを加え,混合した後,全量フラスコ100mlに移す。ビーカーを水で洗い,洗

液で溶液を100mlにする(備考1.参照)。 

− 紫外分光光度計を製造業者の取扱説明書に従って作動させる。吸収セル20mmを用い,水を対照に全

量フラスコの溶液の波長263.5nmの吸光度を測定する。 

− メタノール5ml及び水40ml中に標準非イオン界面活性剤0,200,400,600及び1000μgを含む検量

線用溶液を調製し,本体8.3によって沈殿を作る。 

− 前述と同様にして,沈殿を溶かし,試料の場合と同様に吸収セル20mmを用いて吸光度を測定する。 

− 263.5nmの吸光度と標準非イオン界面活性剤の濃度をプロットして検量線を作成する。検量線を用い

て試料の非イオン界面活性剤の質量を計算する(備考2.参照)。 

備考1. ビスマス−EDTA錯体の263.5nmの吸光度はpH2〜9で一定であるから,特にpH調節の必要

はない。通常,最終溶液のpHは4〜5である。 

K 0400-30-20 : 1999 (ISO 7875-2 : 1986) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2. 酒石酸イオン及びEDTAは263.5nmで若干の吸収を示し,空試験の吸光度の読みに寄与する

−通常,0.03〜0.04程度の吸光度である。 

平成8年度 JIS K 0102改正原案作成委員会 構成表(平成9年3月現在) 

氏名 

所属 

(委員長)   ○ 並 木   博 

工学院大学工学部 

○ 佐 藤 寿 邦 

横浜国立大学工学部 

○ 西 出 徹 雄1) 

工業技術院標準部消費生活規格課 

乾   敏 一2) 

通商産業省環境立地局産業施設課 

○ 畑 野   浩3) 

環境庁水質保全局水質規制課 

中 村   進 

工業技術院物質工学技術研究所計測化学部 

中 村 和 憲 

工業技術院生命工学工業技術研究所 

○ 田 尾 博 明 

工業技術院資源環境技術総合研究所水圏環境保全部 

田 中 宏 明 

建設省土木研究所下水道部 

柴 田 康 行 

国立環境研究所化学環境部 

○ 土 屋 悦 輝 

東京都立衛生研究所環境保全部 

渡 辺 真利代 

東京都立衛生研究所環境保全部 

○ 日 野 隆 信 

千葉県衛生研究所 

小 倉 光 夫 

神奈川県環境科学センター水質環境部 

西 尾 高 好 

財団法人日本環境衛生センター東日本支局環境科学部 

○ 坂 本   勉 

財団法人日本規格協会技術部 

山 村 修 蔵 

財団法人日本規格協会技術部 

浅 田 正 三 

財団法人日本品質保証機構環境計画センター 

○ 梅 崎 芳 美 

社団法人産業環境管理協会名誉参与 

横 倉 清 治 

社団法人日本環境測定分析協会(三菱マテリアル株式会社総合

研究所) 

神 代   啓 

社団法人日本化学工業協会 

池 田 久 幸 

社団法人日本分析機器工業会(横河アナリティカルシステムズ

株式会社) 

長 澤 忠 彦 

社団法人日本鉄鋼連盟(住友金属工業株式会社) 

山 田 昭 捷 

社団法人日本下水道協会(東京都下水道局流域下水道本部) 

土 屋 徳 之 

石油連盟(興亜石油株式会社) 

松 谷 成 晃 

日本石鹸洗剤工業会(ライオン株式会社研究開発本部) 

波多江 正 和 

日本製紙連合会技術環境部 

佐 山 恭 正 

日本鉱業協会(三菱マテリアル株式会社総合研究所) 

狩 野 久 直 

日本練水株式会社研究所 

久 島 俊 和 

オルガノ株式会社総合研究所 

○ 川 瀬   晃 

セイコー電子工業株式会社科学機器事業部 

○ 米 倉 茂 男 

元 東京都立工業技術センター 

岩 崎 岩 次 

社団法人日本工業用水協会 

(事務局) 

秋 本   孝 

社団法人日本工業用水協会 

飛 渡 祥 弘 

社団法人日本工業用水協会 

本 郷 秀 昭 

社団法人日本工業用水協会 

備考 1):発足当初は岡林哲夫(工業技術院標準部繊維化学規格課) 
 

2):発足当初は相澤徹(通商産業省環境立地局産業施設課) 

3):発足当初は飯島孝(環境庁水質保全局水質規制課) 

○は幹事兼任 

(文責 梅崎 芳美)