K 0303:2012
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 一般事項 ························································································································· 2
5 分析方法の種類及び概要 ···································································································· 3
6 排ガスから試料ガスの採取 ································································································· 4
6.1 排ガスの採取位置 ·········································································································· 4
6.2 装置及び器具 ················································································································ 4
6.3 試料ガスの採取操作 ······································································································· 6
6.4 試料ガス採取量 ············································································································· 7
7 各分析方法に対応した試料ガスの採取方法 ············································································ 8
7.1 ほう酸吸収瓶捕集−(AHMT吸光光度法)········································································· 8
7.2 DNPH吸収瓶捕集−(GC法又はHPLC法) ······································································ 8
7.3 DNPH試料採取用カートリッジ捕集−(GC法又はHPLC法) ·············································· 9
7.4 CEBHA試料採取用カートリッジ捕集−(HPLC法) ·························································· 10
8 定量方法 ························································································································ 12
8.1 (ほう酸吸収瓶捕集)−AHMT吸光光度法········································································ 12
8.2 (DNPH吸収瓶捕集)−GC法 ························································································ 14
8.3 (DNPH試料採取用カートリッジ捕集)−GC法 ································································ 19
8.4 (DNPH吸収瓶捕集)−HPLC法 ···················································································· 20
8.5 (DNPH試料採取用カートリッジ捕集)−HPLC法 ···························································· 22
8.6 (CEBHA試料採取用カートリッジ捕集)−HPLC法 ·························································· 23
8.7 AHMT吸光光度法−自動分析法 ······················································································ 24
9 分析結果の記録 ··············································································································· 28
9.1 分析値のまとめ方 ········································································································· 28
9.2 記録項目 ····················································································································· 28
附属書A(規定)イオンクロマトグラフ法 ··············································································· 32
附属書B(規定)クロモトロープ酸吸光光度法 ·········································································· 36
附属書C(参考)検知管法 ···································································································· 39
K 0303:2012
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本分析
化学会(JSAC)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 0303:2004は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格に従うことは,次の者の有する特許権等の使用に該当するおそれがあるので,留意する。
氏名:北坂和也,島尻はつみ,杉原輝一
住所:大阪府大阪市此花区春日出中3丁目1−135
株式会社住化分析センター 大阪事業所内
特許権等の名称:カルボニル化合物捕集材及び該材を用いるカルボニル化合物の定量方法
登録番号:3873058(平成18年10月27日)
上記の,特許権等の権利者は,非差別的かつ合理的な条件でいかなる者に対しても当該特許権等の実施
の許諾等をする意思のあることを表明している。ただし,この規格に関連する他の特許権等の権利者に対
しては,同様の条件でその実施が許諾されることを条件としている。
この規格に従うことが,必ずしも,特許権の無償公開を意味するものではないことに注意する必要があ
る。
この規格の一部が,上記に示す以外の特許権等に抵触する可能性がある。経済産業大臣及び日本工業標
準調査会は,このような特許権等に関わる確認について,責任はもたない。
なお,ここで“特許権等”とは,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権をいう。
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日本工業規格
JIS
K 0303:2012
排ガス中のホルムアルデヒド分析方法
Methods for determination of formaldehyde in flue gas
1
適用範囲
この規格は,合成樹脂などの製造工程,メタノールなどの燃焼,その他の化学反応,又はホルムアルデ
ヒドを使用若しくは発生する作業工程などにおいて,煙道,煙突,ダクトなどに排出する排ガス中のホル
ムアルデヒドを分析する方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0095 排ガス試料採取方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0124 高速液体クロマトグラフィー通則
JIS K 0127 イオンクロマトグラフ分析通則
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS K 0212 分析化学用語(光学部門)
JIS K 0214 分析化学用語(クロマトグラフィー部門)
JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門)
JIS K 0512 水素
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8032 アセトニトリル(試薬)
JIS K 8059 亜硫酸水素ナトリウム(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8230 過酸化水素(試薬)
JIS K 8249 過よう素酸カリウム(試薬)
2
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JIS K 8267 ぎ酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8316 クロモトロープ酸二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8322 クロロホルム(試薬)
JIS K 8361 酢酸エチル(試薬)
JIS K 8480 2, 4-ジニトロフェニルヒドラジン(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8848 ヘキサン(試薬)
JIS K 8863 ほう酸(試薬)
JIS K 8872 ホルムアルデヒド液(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8920 よう素(試薬)
JIS K 8922 よう素酸カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 9005 りん酸(試薬)
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8808:1995 排ガス中のダスト濃度の測定方法
3
用語及び定義
この規格で用いる用語及び定義は,JIS K 0211,JIS K 0212,JIS K 0214及びJIS K 0215による。
4
一般事項
一般事項は,次による。
a) 化学分析に共通する一般事項は,JIS K 0050による。
b) 排ガスの試料採取に共通する一般事項は,JIS K 0095による。また,試料ガスの採取位置は,代表的
なガスが採取できる点を選び,同一採取位置において,できるだけ時間間隔をあけずに,通常,2回
以上試料を採取し,それぞれ分析に用いる。
c) ガスクロマトグラフ(GC)法に共通する一般事項は,JIS K 0114による。
d) 高速液体クロマトグラフ(HPLC)法に共通する一般事項は,JIS K 0124に,また,イオンクロマト
グラフ(IC)法に共通する一般事項は,JIS K 0127による。
e) 吸光光度法に共通する一般事項は,JIS K 0115による。
f)
分析に用いる水は,JIS K 0557の4.(種別及び質)又はJIS K 0050の附属書D(化学分析に用いる水)
に既定する種別及び質のA2又はA3のもの,又はこれらと同等のものを用いる。
g) 試薬は,該当する日本工業規格(以下,JISという。)がある場合には,その種類の最上級又は適切な
品質のものを用いる。ただし,該当するJISがない場合には,分析に支障のない品質のものを用いる。
また,試薬に共通する一般事項は,JIS K 8005による。
h) 標準液は,各試験項目で調製方法を規定するもののほか,国家計量基準(計量法第134条)に規定す
るトレーサビリティが確保されたもの,又はそれを一定濃度に薄めたものを用いる。
3
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i)
用いる試薬の名称及びその略称は,次による。
1) 4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール(以下,AHMTという。)
2) 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(以下,DNPHという。)
3) O -(4-シアノ-2-エトキシベンジル)ヒドロキシルアミン(以下,CEBHAという。)
5
分析方法の種類及び概要
分析方法の種類及び概要を,表1に示す。
表1−分析方法の種類及び概要
分析方法の種類
(ガス捕集法)
分析方法の概要
適用上
の留意
点
試料ガス中のホルムアルデヒド
とガス捕集剤との反応及びその
反応生成物の溶離法並びに検出
法
対応箇条: 試料ガス採取
定量範囲a)
vol ppm
(mg/m3)
AHMT吸光光度法
(ほう酸吸収瓶捕
集)
ほう酸溶液に捕集した後,塩基性
としAHMTを加えて発色させ,吸
光光度を測定し定量する。
7.1:ほう酸吸収瓶捕集
吸収液:ほう酸溶液(5 g/L)
液量:40 mL×2 本
標準採取量:2〜20 L
0.4〜75
(0.5〜100)
8.1.2に
よる。
ガスクロマトグラフ
(GC)法
(DNPH捕集剤の吸
収瓶捕集法又はカー
トリッジ捕集法)
DNPH溶液に捕集した後,クロロ
ホルムなどによって抽出し,ガス
クロマトグラフで分離定量する。
7.2:DNPH吸収瓶捕集
吸収液:DNPH塩酸溶液
(2 g/L)
液量:40 mL×2 本
標準採取量:2〜10 L
0.4〜56
(0.5〜75)
8.2.2に
よる。
DNPHの含浸捕集剤を詰めたカー
トリッジに捕集した後,アセトニ
トリルで溶離し,クロロホルムな
どに再溶解してガスクロマトグ
ラフで分離定量する。
7.3:DNPH試料採取用カ
ートリッジ捕集
標準採取量:2〜10 L
0.4〜45
(0.5〜60)
8.3.2に
よる。
高速液体クロマトグ
ラフ(HPLC)法
(DNPH捕集剤の吸
収瓶捕集法又はカー
トリッジ捕集法)
DNPH溶液に捕集した後,クロロ
ホルムなどに抽出し,アセトニト
リルに再溶解後高速液体クロマ
トグラフで分離定量する。
7.2:DNPH吸収瓶捕集
吸収液:DNPH塩酸溶液
(2 g/L)
液量:40 mL×2 本
標準採取量:2〜10 L
0.2〜56
(0.3〜75)
8.4.2に
よる。
DNPHの含浸捕集剤を詰めたカー
トリッジに捕集した後,アセトニ
トリルで溶離し,高速液体クロマ
トグラフで定量する。
7.3:DNPH試料採取用カ
ートリッジ捕集
標準採取量:2〜10 L
0.2〜45
(0.3〜60)
8.5.2に
よる。
高速液体クロマトグ
ラフ(HPLC)法
(CEBHA捕集剤の
カートリッジ捕集
法)
CEBHAの含浸捕集剤を詰めたカ
ートリッジに捕集した後,アセト
ニトリルで溶離し,高速液体クロ
マトグラフで分離定量する。
7.4:CEBHA試料採取用カ
ートリッジ捕集
標準採取量:2〜10 L
0.2〜45
(0.3〜60)
8.6.2に
よる。
AHMT吸光光度:自
動分析法
(水酸化カリウム吸
収瓶法)
AHMT吸光光度法の自動計測器
によって,周期的に自動分析す
る。
8.7.4.1:試料採取部
吸収液:水酸化カリウム溶
液(0.12 mol/L)
0〜20
(0〜27)
8.7.2に
よる。
4
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表1−分析方法の種類及び概要(続き)
この表の方法のほかに, 附属書Aにイオンクロマトグラフ法,附属書Bにクロモトロープ酸吸光光度法があ
る。
注記1 この表の方法のほかに,附属書Cに検知管法がある。
注記2 この規格に示すvol ppm及びmg/m3は,標準状態[273.15 K (0 ℃),101.32 kPa]における体積分率及
び質量濃度である。
注a) 定量範囲は,吸光光度法の場合,低濃度側では試料ガス20 L,高濃度側では試料ガス2 Lを採取したと
き,また,ガスクロマトグラフ法及び高速液体クロマトグラフ法の場合,低濃度側では試料ガス10 L,
高濃度側では試料ガス2 Lを採取したときについて示す。
6
排ガスから試料ガスの採取
6.1
排ガスの採取位置
排ガスの採取位置は,次による。
a) 代表的なガスを採取できる点として,空気の漏込み及びダストの堆積が少なく,また,流路の屈曲部
分,断面形状の急激に変化する部分などを避けて,排ガスの流れが比較的均一に整流となる位置を選
定する。
b) 試料ガスの採取作業を安全かつ容易に実施できる場所を選定し,必要に応じて採取位置の周辺に適切
な広さと高さの足場を設ける。
c) 採取位置には,排ガスの流れ方向に対してほぼ直角にガス採取管を挿入できる採取口を設ける。
d) 採取口は,ガス採取管を挿入して固定できる強度をもち,約120 ℃の耐熱性をもつ材質及び構造とす
る。
e) 採取口には蓋を設け,ガス採取管を挿入していないときの排ガスの噴出(正圧の場合)及び空気の漏
込み(負圧の場合)を避ける。また,採取口の蓋を開くときには,やけど及び排ガスの噴出による危
険性に十分配慮する。
6.2
装置及び器具
6.2.1
試料ガス採取装置
試料採取装置として,次の条件を備えたものを用いる。
a) 試料ガス採取管(B)は,排ガス中の腐食性ガスに耐性があり,かつ,ホルムアルデヒドなどを吸着
しないガラス管,石英ガラス管,四ふっ化エチレン樹脂管などを用いる。
b) 試料ガス中にダストなどが混入することを防ぐため,試料ガス採取管(B)の先端又は後段に,適切
なろ過材を装着する。ろ過材として,排ガス中の成分と化学反応を生じない材質のもの,例えば,シ
リカウール,無アルカリガラスウールを用いる。
c) 配管はできるだけ短くし,試料ガス採取管からガス捕集器具(吸収瓶又は試料採取用カートリッジ)
の(F1)までの間を加熱できる構造とする。水分が凝縮するおそれがある場合には,試料ガス採取管
(B)からガス捕集器具(F1)の間を120 ℃程度に加熱する。
d) ホルムアルデヒドの捕集に先立って配管内のガスを置換するため,腐食性ガスなどを除去するガス洗
浄瓶(H)を備えたバイパス(R)を流路切替三方コックP1及びP2の間に設ける。ガス洗浄瓶には洗
浄液として,一般に吸収液40 mLを入れる。試料ガス採取管(B)からガス捕集器具までの距離が短
い場合,図1のP1からP2間のバイパス(R)を付けなくてもよい。
e) 装置各部の接続は,すり合わせ継手管,シリコーンゴム管,四ふっ化エチレン樹脂管などを用いる。
接続のときにガス漏れが生じないように組み立てる。
5
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f)
採取装置内に漏れがないことを他の手法で確認できる場合には,図1の水銀マノメーター(Q)を付
けなくてもよい。
g) 採取するガスが比較的高温で吸収液が温まる可能性がある場合は,吸収瓶を冷却槽に入れておく。
排ガスから分析用の試料ガスを採取する装置の例を,図1に示す。
A: ろ過材
K1,K2: 流量調節コック
B: 試料ガス採取管
L: 吸引ポンプ
C: 採取口
M: 湿式ガスメーター
D: 温度計
N: 温度計
E1,E2: ヒーター又はリボンヒーター
O: マノメーター
F1,F2: ガス捕集器具(吸収瓶又は試料採取用カートリッジ) P1,P2: 流路切替三方コック
G: フランジ
Q: 水銀マノメーター
H: ガス洗浄瓶(吸収液40 mLを入れる。)
R: バイパス
J: 乾燥管
図1−試料ガス採取装置の例(吸収瓶捕集法の場合)
6.2.2
ガス捕集器具
試料ガス採取装置において,捕集器具として吸収瓶又は試料採取用カートリッジを用いる。
a) 吸収瓶 吸収液でホルムアルデヒドを捕集するための内容積100 mL程度の瓶であり,気液接触をよ
くするガラスボールフィルター(細孔の大きさ40〜120 μm),又はガラスフィルター(細孔の大きさ
40〜50 μm)を備えたもので,その吸収瓶の例を図2に示す。ガスを捕集する吸収液として,ほう酸
溶液,DNPH塩酸溶液,水,亜硫酸水素ナトリウム溶液などがある。定量方法によってこれらの吸収
液を使い分ける。
6
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単位 mm
図2−吸収瓶(100 mL)の例
b) 試料採取用カートリッジ 捕集剤でホルムアルデヒドを捕集するためのカートリッジであり,シリカ
ゲルの細粒に捕集剤を含浸させたものを充塡して用いる。試料採取用カートリッジの例を図3に示す。
ホルムアルデヒドの捕集剤として,DNPH又はCEBHAのものがある。
A: カートリッジホルダ
D: 試料ガス導入口
B: DNPH又はCEBHAを含浸させた捕集部
E: 試料ガス排出口(ポンプ差込側)
C: ポリプロピレン製フィルター
図3−試料採取用カートリッジの例
6.3
試料ガスの採取操作
排ガスから試料ガスを採取する操作は,次による。ここに示す装置の記号は図1に示すものであり,吸
収瓶及び試料採取用カートリッジのいずれかのガス捕集器具の場合でも,操作は同一である。
a) 流路切替三方コック(P1,P2)をバイパス(R)側に回した後,あらかじめ流量を1〜2 L/minに調節
した吸引ポンプ(L)を作動させて,試料ガス採取管(B)から流路切替三方コック(P1)までの配管
7
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内を試料ガスで置換する。
b) 吸引ポンプ(L)を停止した後,流路切替三方コック(P1,P2)をガス捕集器具(F1,F2)側に回す。
次に,ガスメーター(M)の指示値(V1)を0.01 Lの桁まで読み取る。
c) 吸引ポンプ(L)を作動させ,試料ガスをガス捕集器具(F1,F2)に通す。このとき流量調節コック(K1,
K2)を調節して,流量を1 L/min程度にする。ホルムアルデヒドの標準ガスなどを用いた予備測定に
よって,ホルムアルデヒドが吸収液に完全に捕集されることが確認された場合は,流量を1.5 L/min ま
で上げてもよい。
d) ガスメーター(M)の温度計(N)及びマノメーター(O)によってガスの温度及びゲージ圧力を測定
する。また,大気圧を測定する。
e) 試料ガス2〜10 L程度を採取した後,吸引ポンプ(L)を停止し,流路切替三方コック(P1,P2)を
P1,P2の順に閉じる。ガスメーターの指示値(V2)を0.01 Lの桁まで読み取る。試料ガスの採取量は,
ホルムアルデヒドの濃度に応じて,適宜,増減してもよい。ただし,上限を90 L程度までとする。
f)
必要に応じて,試料ガス中の水分をJIS Z 8808:1995の6.(排ガス中の水分量の測定)によって測定す
る。
g) 試料ガスの採取は,同一採取位置においてできるだけ時間間隔をあけずに,一般に2回以上試料を採
取し,それぞれ分析に用いる。
6.4
試料ガス採取量
標準状態[273.15 K(0 ℃),101.32 kPa]における試料ガス採取量を,乾きガス量(VSD)又は湿りガス量
(VSW)とする場合,次の式によって算出する。
a) 乾きガス量で求める場合
1) 湿式ガスメーターを用いた場合
)
(
41
.
22
32
.
101
15
.
273
15
.
273
V
m
a
SD
b
a
P
P
P
t
V
V
+
+
−
+
+
=
×
×
2) 乾式ガスメーターを用いた場合
)
(
41
.
22
32
.
101
15
.
273
15
.
273
m
a
SD
b
a
P
P
t
V
V
+
+
+
+
=
×
×
b) 湿りガス量で求める場合
1) 湿式ガスメーターを用いた場合
)
(
41
.
22
32
.
101
15
.
273
15
.
273
V
m
a
SW
c
b
a
P
P
P
t
V
V
+
+
+
−
+
+
=
×
×
2) 乾式ガスメーターを用いた場合
)
(
41
.
22
32
.
101
15
.
273
15
.
273
m
a
SW
c
b
a
P
P
t
V
V
+
+
+
+
+
=
×
×
ここに,
VSD: 乾きガス量(L)
VSW: 湿りガス量(L)
V: ガスメーターで測定したガス量(L)
[6.3のb)〜e)の操作におけるV2−V1]
t: ガスメーターにおける温度(℃)
Pa: 大気圧(kPa)
Pm: ガスメーターにおけるゲージ圧(kPa)1)
PV: t ℃における飽和水蒸気圧(kPa)(表2から換算する。)
a: 吸収液又は試料採取用カートリッジに捕集された分析
8
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対象ガス(mol)1)
b: 吸収液又は試料採取用カートリッジに捕集された分析
対象以外のガス(mol)1)
c: JIS Z 8808: 1995の6.によって求めた水分の量(mol)1)
273.15: 標準状態の0 ℃に対応する絶対温度(K)
101.32: 1気圧に対応する圧力(kPa)
22.41: 標準状態における気体1 molの体積(L)
注1) 無視して差し支えない場合が多い。
7
各分析方法に対応した試料ガスの採取方法
試料ガスの採取方法は,それぞれの分析方法に対応した次の手順による。
7.1
ほう酸吸収瓶捕集−(AHMT吸光光度法)
7.1.1
一般
この試料ガス採取方法は,ホルムアルデヒドをほう酸溶液の吸収瓶によって捕集するもので,AHMT吸
光光度法によって定量する場合に適用する。
7.1.2
試薬
a) ほう酸 JIS K 8863に規定するもの。
7.1.3
吸収液の調製
a) ほう酸吸収液(5 g/L) JIS K 8863に規定するほう酸5 gを水に溶かして1 Lとする。この溶液は,
使用する直前に調製する。
7.1.4
試料ガス採取装置
図1におけるガス捕集器具として,図2による吸収瓶(容量100 mL)に,7.1.3 a)のほう酸吸収液40 mL
を入れたもの2個を連結(F1,F2)する。
7.1.5
採取操作
ガス採取操作は,6.3による。
7.2
DNPH吸収瓶捕集−(GC法又はHPLC法)
7.2.1
一般
この試料ガス採取方法は,ホルムアルデヒドを吸収瓶中のDNPH溶液と反応させて,ホルムアルデヒド・
2, 4-ジニトロフェニルヒドラゾン(以下,ホルムアルデヒド−DNPHという。)として捕集するもので,ガ
スクロマトグラフ(GC)法又は高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を用いて定量する場合に適用する。
7.2.2
試薬及びガス
DNPH吸収液の調製に用いる試薬及びガスは,次による。
a) ヘキサン JIS K 8848に規定するもので,10 mLを約1 mLに濃縮し,GC法の場合は8.2.3.4のa)〜c)
又は8.2.4.4のa)〜c)の操作でガスクロマトグラフに導入したとき,HPLC法の場合は8.4.6のa)〜c)
の操作で高速液体クロマトグラフに導入したとき,ホルムアルデヒド−DNPH及びアントラセン(8.2.4
及び8.3.4の内標準法を用いるときに限る。)の保持時間にピークを生じないもの。
b) DNPH JIS K 8480に規定する2, 4-ジニトロフェニルヒドラジン(試薬)によるもの。この試薬は,
安全のためにほぼ等量の水が含ませてあるが,開封後は乾燥しないように注意して保管する。
警告:DNPHは変異原性があり,また,乾燥すると爆発性のある危険な物質である。取扱いには十
分注意する。
c) 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。
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K 0303:2012
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d) 窒素 JIS K 1107に規定する窒素2級。
7.2.3
DNPH吸収液の調製
吸収液(DNPH 2 g/L)の調製は,次による。
a) DNPHの適量をろ紙上にとり,水分をろ紙によって除いた後,シリカゲル入りデシケーター中で乾燥
し,使用時まで保管する。
b) 別に,密閉できる容器に塩酸(2 mol/L)1 Lを入れ,容器内の空気をJIS K 1107に規定する窒素2級
で置換する。乾燥した後,DNPH 2 gを先の塩酸に加えて,溶かす。
c) 密閉して半日程度放置し,ガラスろ過器(G3)でろ過する。
d) ろ液200 mLを分液漏斗1 000 mLにとり,ヘキサン200 mLを加えて5分間激しく振り混ぜ,静置す
る。水相を別の分液漏斗に入れ,再びヘキサン200 mLを加えて同様の洗浄操作を行った後,水相を
分離し,有機相は捨てる。この溶液40 mLについて,空試験を行い,ホルムアルデヒド−DNPH含有
量が0.4 µgを超えるときは,更にヘキサンによる洗浄操作を繰り返し,この値以下であることを確認
しておく。
e) 残りのろ液についても同様の洗浄操作を行う。
f)
洗浄後の溶液は,塩酸及びヘキサンで洗浄したほうけい酸ガラスの着色瓶に速やかに移し,密栓して
冷暗所に保存する。以上の操作は,カルボニル化合物が共存しない条件下,例えば,窒素置換したグ
ローブボックス内で行う必要がある。
7.2.4
試料ガス採取装置
試料ガス採取装置は,図1のガス捕集器具として,図2の吸収瓶(容量100 mL)に,7.2.3のDNPH吸
収液40 mLを入れたもの2個(F1,F2)を連結して,用いる。
7.2.5
採取操作
ガス採取操作は,6.3による。ただし,ガス採取量は2〜10 L程度とする。
7.3
DNPH試料採取用カートリッジ捕集−(GC法又はHPLC法)
7.3.1
一般
この試料ガス採取方法は,ホルムアルデヒドをDNPH試料採取用カートリッジによって,“ホルムアル
デヒド−DNPH”として捕集するもので,ガスクロマトグラフ(GC)法又は高速液体クロマトグラフ(HPLC)
法によって定量する場合に適用する。
7.3.2
試薬及びガス
DNPH試料採取用カートリッジの調製に用いる試薬及びガスは,次による。
a) アセトニトリル JIS K 8032に規定するもので,10 mLを約1 mLに濃縮し,GC法の場合は8.2.3.4の
a)〜c)又は8.2.4.4のa)〜c)の操作でガスクロマトグラフに導入したとき,HPLC法の場合は8.4.6のa)
〜c)の操作で高速液体クロマトグラフに導入したとき,ホルムアルデヒド−DNPH及びアントラセン
(8.2.4及び8.3.4の内標準法を用いるときに限る。)の保持時間にピークを生じないもの。
b) DNPH 7.2.2 b)による。
c) 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。
d) 窒素 JIS K 1107に規定する窒素2級。
7.3.3
DNPH試料採取用カートリッジの調製
DNPH試料採取用カートリッジの調製は,次による。
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a) DNPHアセトニトリル溶液 DNPHをろ紙上にとり,水分をろ紙によって除いたもの約5 gを60 ℃
のアセトニトリルに溶かし,保温ろ過後,窒素を流しながら徐々に冷却して再結晶を行う。この再結
晶したDNPH 1 gをアセトニトリル100 mLに溶かす。この溶液を原液とし,着色瓶に入れて,密栓を
して冷暗所に保存する。約2週間は使用できる。使用の直前に,この原液25 mLをアセトニトリルで
1 Lに希釈し,塩酸1 mLを加えてDNPHアセトニトリル溶液を調製する。
注記 再結晶したDNPHが残った場合は,シリカゲルデシケーターに入れ,冷暗所に保存するとよ
い。
b) DNPH試料採取用カートリッジの調製 市販のHPLC前処理用シリカゲルカートリッジ[内径約
10 mm,長さ約30 mmの円筒にシリカゲル(粒径約150 μm)0.7 gを充塡したもの]に,次の処理を
して用いる。アセトニトリル約10 mLを流して洗浄し,窒素を通して乾かす。a)で調製したDNPHア
セトニトリル溶液10 mLを流して含浸させた後,窒素を通して過剰のアセトニトリルを除去し,カー
トリッジを上口デシケーター中で1時間程度乾燥する。調製後は密栓して冷蔵庫中に保存する。
注記 市販のホルムアルデヒド捕集用DNPH試料採取用カートリッジを用いてもよい。試料採取用
カートリッジは,通常,使い捨てとし,再生は行わず,また,試料採取用カートリッジの空
試験はロットごとに行うとよい。
7.3.4
試料ガス採取装置
試料ガス採取装置は,6.2.1による。ただし,図1のガス捕集器具の吸収瓶(F1,F2)の代わりに,7.3.3
b)のDNPH試料採取用カートリッジを装着する。捕集時にカートリッジ中のホルムアルデヒドが破過容量
を超えないようにするため,ホルムアルデヒドの濃度が高い場合には,試料採取用カートリッジを2個連
結して用いるか,又は試料ガス採取量及び採取時の吸引流量を調節する。捕集後のカートリッジが破過を
起こしていないことを,捕集前のカートリッジの淡黄色が後端から10 %以上残っていることによって確認
する。
なお,水分の凝縮,試薬の変性及びカートリッジの材質が変形しない程度(70〜80 ℃)に加熱する。
7.3.5
採取操作
ガス採取操作は,6.3による。ただし,試料ガス流量は,0.5〜1 L/min,試料ガス採取量は,2〜10 L程
度とする。
7.4
CEBHA試料採取用カートリッジ捕集−(HPLC法)
7.4.1
一般
この試料ガス採取方法は,ホルムアルデヒドをCEBHAカートリッジによって,“CEBHA・ホルムアル
デヒド誘導体”として捕集するもので,高速液体クロマトグラフ法によって定量する場合に適用する。
7.4.2
試薬及びガス
CEBHA試料採取用カートリッジの調製に用いる試薬及びガスは,次による。
a) CEBHA O -(4-シアノ-2-エトキシベンジル)ヒドロキシルアミンによる。
b) アンモニア水(6 mol/L) JIS K 8085に規定するアンモニア水40 mLをとり,水を加えて100 mLとす
る。
c) 酢酸エチル JIS K 8361に規定するもの。
d) 硫酸マグネシウム 乾燥剤用のものを用いる。
e) アセトニトリル 7.3.2 a)による。
f)
りん酸 JIS K 9005による。
g) 窒素 JIS K 1107に規定する窒素2級。
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7.4.3
CEBHA試料採取用カートリッジの調製
CEBHA試料採取用カートリッジの調製は,次による。
a) コーティング用CEBHAの調製 アンモニア水(6 mol/L)300 mL 及びCEBHAの塩酸塩 20 gを反応
器に入れ,更に酢酸エチル 200 mLを加えて,10時間かき混ぜた後,分液漏斗に移し入れ,振り混ぜ
た後,放置する。分離した酢酸エチル層を分液し,塩化ナトリウム溶液(飽和)100 mLによって,次
いで水100 mLを用いて洗浄する。得られた酢酸エチル層は,無水硫酸マグネシウムによって脱水乾
燥する。ろ過して硫酸マグネシウムを除去し,温浴30〜35 ℃のロータリーエバポレーターを用いて
ろ液の溶媒を気化する。さらに,真空ポンプを用いて十分に乾燥させて白色の固形物のCEBHAを得
る。得られたCEBHAは,窒素シールで密栓して直射日光を避けた室温(冷暗所)に保存する。約1
か月間は使用できる。
b) シリカゲルの調製 反応器に,シリカゲル(中性で,直径63〜210 µmの球状のもの)100 g及びアセ
トニトリル 300 mLを入れ,シリカゲルが破壊されないようにして十分かき混ぜた後,ろ紙を用いて
ろ過し,アセトニトリルを除き,ろ紙上のシリカゲルを回収し,真空ポンプを用いて十分に乾燥する。
c) CEBHAコーティングシリカゲルの調製 b)で得た乾燥したシリカゲル及びアセトニトリル 430 mL
を反応器に入れ,a)で調製したコーティング用CEBHAの1.9 g をアセトニトリル20 mLに溶解した
ものを滴下し,次に,7.4.2のりん酸1.3 mLをアセトニトリル 20 mLに溶かしたものを滴下する。穏
やかに還流するまで昇温し,1分間かき混ぜた後に徐々に室温まで冷却する。室温にまで冷却した後,
更に,5 ℃以下に氷浴しながら1時間かき混ぜる。次に,ろ過してアセトニトリルを除き,得られた
CEBHAでコーティングしたシリカゲルをアセトニトリル430 mLで3回洗浄し,更に真空ポンプを用
いて十分にアセトニトリルを気化し乾燥する。
d) CEBHA試料採取用カートリッジの組立 HPLC前処理用の空カートリッジ(内径約10 mm,長さ約
30 mmの円筒形)にc)で得たCEBHAコーティングシリカゲル0.5 gを充塡したものを,窒素気流下の
グローブボックス内においてアセトニトリル5 mLによって洗浄した後,真空ポンプで十分に乾燥す
る。試料採取用カートリッジ上下の吸引口に栓を施し,更にアルミニウムラミネート袋に収めて密封
し冷暗所に保存する。約1年間は使用できる。
なお,市販のホルムアルデヒド用のCEBHA試料採取用カートリッジを用いてもよい。このカート
リッジは,通常,使い捨てとし,再生は行わず,また,CEBHA試料採取用カートリッジの空試験は
ロットごとに行う。
7.4.4
試料ガス採取装置
試料ガス採取装置は,6.2.1による。ただし,図1のガス捕集器具(F1,F2)として,7.4.3で調製した
CEBHA試料採取用カートリッジを装着する。捕集時にカートリッジ中のホルムアルデヒドが破過容量を
超えないようにするため,ホルムアルデヒドの濃度が高い場合には,試料採取用カートリッジを2個連結
して用いるか,又は試料ガス採取量及び採取時の吸引流量を調節する。捕集後のカートリッジが破過を起
こしていないことを確認する。
なお,水分の凝縮,試薬の変性及びカートリッジの材質が変形しない程度(70 〜80 ℃)に加熱する。
7.4.5
採取操作
ガス採取操作は,6.3による。ただし,試料ガス流量は,0.5〜1 L/min,試料ガス採取量は,2〜10 L程
度とする。
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8
定量方法
8.1
(ほう酸吸収瓶捕集)−AHMT吸光光度法
8.1.1
一般
この方法は,ほう酸吸収瓶捕集によるAHMT吸光光度法に適用する。
8.1.2
適用上の留意点
この方法は,試料ガス中に二酸化硫黄,二酸化窒素,硫化水素,アンモニアなどが共存しても影響しな
い。また,ホルムアルデヒド以外のアルデヒド類,例えば,アセトアルデヒド,プロパナール,ブタナー
ル,ベンズアルデヒドなどは2倍量程度共存しても影響しないが,塩素は同量でも影響する。
8.1.3
試薬及び試薬溶液の調製
8.1.3.1
試薬
試薬は,次による。
a) 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。
b) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
c) 水酸化カリウム JIS K 8574に規定するもの。
d) AHMT 4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール(試薬)による。
e) 過よう素酸カリウム JIS K 8249に規定するもの。
f)
ホルムアルデヒド液(ホルマリン) JIS K 8872に規定するもの。
g) よう素 JIS K 8920に規定するもの。
h) チオ硫酸ナトリウム五水和物 JIS K 8637に規定するもの。
i)
でんぷん(溶性) JIS K 8659に規定するもの。
j)
よう化カリウム JIS K 8913に規定するもの。
k) 炭酸ナトリウム JIS K 8625に規定するもの。
l)
よう素酸カリウム JIS K 8922に規定するもの。
8.1.3.2
試薬溶液の調製
試薬溶液の調製は,次による。
a) 水酸化カリウム溶液 水酸化カリウム28 gをポリエチレン瓶にとり,水約50 mLを徐々に加え,流水
で冷却しながら振り混ぜて溶かした後,水を加えて100 mLとする。
b) AHMT溶液 AHMT 0.5 gを塩酸(5+95)100 mLに溶かす。この溶液は着色瓶に入れて冷暗所に保
存する。1週間以上経過したものは使用しない。
c) 過よう素酸カリウム溶液 過よう素酸カリウム0.75 gをビーカー200 mLに入れ,a)の水酸化カリウム
溶液100 mLを加え,水浴上で加熱して溶かした後,冷却する。この溶液は着色瓶に入れて冷暗所に
保存する。1週間以上経過したものは使用しない。
d) ホルムアルデヒド標準液(HCHO 1 mg/mL) ホルムアルデヒド液(ホルマリン)約3 mLを水1 L
に溶かす。このホルムアルデヒド標準液の濃度は,次の方法によって求める。
ホルムアルデヒド標準液(1 mg/mL)10 mLを共通すり合わせ三角フラスコ200 mLにとり,0.05 mol/L
よう素溶液10 mL及び水酸化カリウム溶液(1 mol/L)5 mLを加え,15分間室温に放置する。硫酸
(1 mol/L)8 mLを加え,残留しているよう素を直ちに0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,
溶液が淡黄色になってから,でんぷん溶液(5 g/L)1 mLを指示薬として加え,更に滴定する。別に
水10 mLを用いて空試験を行う。ホルムアルデヒドの濃度の求め方は,次の式による。
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10
1
)
(
501
.1
0
×
×
×
f
V
V
C
−
=
ここに,
C: ホルムアルデヒド標準原液中のホルムアルデヒドの濃度
(mg/mL)
V: 滴定に要した0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(mL)
V0: 空試験の滴定に要した0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液
の体積(mL)
f: 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
1.501: 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するホルム
アルデヒドの質量(mg)
なお,この標準液は冷蔵庫内に保存すれば約1か月間安定である。
e) ホルムアルデヒド標準液(HCHO 2 μg/mL) ホルムアルデヒド標準液(HCHO 1 mg/mL)10 mLを
全量フラスコ500 mLにとり,吸収液を標線まで加える。この溶液10 mLを全量フラスコ100 mLにと
り,吸収液を標線まで加える。使用時に調製する。この溶液の濃度は,ホルムアルデヒド標準液(HCHO
1 mg/mL)の濃度から算出する。
f)
0.05 mol/Lよう素溶液 よう化カリウム40 gを水約25 mLに溶かし,これによう素13 gを溶かした後,
塩酸3滴を加え,水で1 Lとする。
g) 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液 チオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及び炭酸ナトリウム0.2 gを,
溶存酸素を含まない水[JIS K 0050の附属書E(特殊用途の水の調製方法及び保存方法)による。]
1 000 mLに溶かし,2日間放置した後,よう素酸カリウムを用いて,JIS K 8001のJA.5.2(滴定用溶
液の調製,標定及び計算)のt) 2)によって標定する。
h) でんぷん溶液(5 g/L) でんぷん(溶性)1 gを水約10 mLとよく混和し,熱水200 mL中にかき混ぜ
ながら加える。約1分間煮沸し,放冷する。使用時に調製する。
8.1.4
装置
装置は,分光光度計又は光電光度計による。
8.1.5
分析用試料溶液の調製
分析用試料溶液の調製は,次による。
a) 7.1.5の操作を行った後,吸収瓶(F1)の内容液を全量フラスコ100 mLに移し入れる。吸収瓶(F1)
に吸収瓶(F2)の内容液を移して洗った後,洗液は先の全量フラスコ100 mLに移し入れる。
b) さらに,新しい吸収液約15 mLを用いて吸収瓶(F2),(F1)の順に洗い,洗液をa)の全量フラスコ
100 mLに移した後,吸収液を標線まで加える。これを分析用試料溶液とする。
8.1.6
定量操作
定量操作は,次による。
a) 8.1.5で調製した分析用試料溶液2 mLを全量フラスコ10 mLにとる。
b) 水酸化カリウム溶液2 mL及びAHMT溶液2 mLを加え,栓をして静かに振り混ぜる。
c) 室温で20分間放置した後,栓をとり,過よう素酸カリウム溶液2 mLを加える。軽く栓をして気泡の
発生がなくなるまで,静かに振り混ぜた後,水を標線まで加える。
d) 溶液の一部を吸収セルにとり,波長550 nm付近における吸光度を測定する。ただし,対照液は,吸
収液2 mLだけを加えてb)及びc)の操作を行った液を用いる。
e) 8.1.7によって作成した検量線から,ホルムアルデヒドの質量(µg)を求める。
8.1.7
検量線の作成
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検量線の作成は,次による。
a) ホルムアルデヒド標準液(HCHO 2 µg/mL)の0.1〜2.0 mLを段階的に数個の全量フラスコ10 mLにと
り,吸収液を標線まで加える。
b) 8.1.6のb)〜d)の操作を行う。ただし,吸光度の測定には,吸収液2 mLだけを加えて8.1.6のb)及び
c)の操作を行った液を対照液に用いる。
c) ホルムアルデヒドの質量(µg)と吸光度との関係線を作成する。
8.1.8
計算
試料ガス中のホルムアルデヒドの濃度の求め方は,次の式による。
2
100
746
.0
S
V
×
×
V
a
C=
CW=CV×1.34
ここに,
CV: 試料ガス中のホルムアルデヒドの体積分率(vol ppm)
CW: 試料ガス中のホルムアルデヒドの質量濃度(mg/m3)
a: 8.1.6で求めた試料溶液2 mL中のホルムアルデヒドの質
量(µg)
VS: 6.4によって算出した標準状態の試料ガス採取量(L)
(乾きガス量の場合はVSD,湿りガス量の場合はVSW)
0.746: ホルムアルデヒド(HCHO)1 µgに相当する体積(µL)(標
準状態)
1.34: ホルムアルデヒド(HCHO)1 vol ppmに相当する質量濃
度(mg/m3)
8.2
(DNPH吸収瓶捕集)−GC法
8.2.1
一般
この方法は,DNPH吸収瓶捕集によるガスクロマトグラフ法に適用する。
8.2.2
適用上の留意点
この方法によって,キャピラリーカラムを用いて適切な温度条件で操作すれば,アセトアルデヒド,プ
ロパナールなどを同時に定量することができる。
8.2.3
絶対検量線法
8.2.3.1
試薬及び試薬溶液の調製
試薬及び試薬溶液の調製は,次による。
a) 試薬 試薬は,次による。
1) クロロホルム JIS K 8322に規定するもので,その10 mLを約1 mLに濃縮し,8.2.3.4のa)〜c)又
は8.2.4.4のa)〜c)の操作でガスクロマトグラフに導入したとき,ホルムアルデヒド−DNPH及びア
ントラセン(8.2.4及び8.3.4の内標準法を用いるときに限る。)の保持時間にピークを生じないもの。
2) DNPH 7.2.2 b)による。
3) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
4) エタノール(99.5) JIS K 8101に規定するもの。
5) ホルムアルデヒド液 JIS K 8872に規定するもの。
b) 試薬溶液の調製 試薬溶液の調製は,次による。
15
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1) ホルムアルデヒド−DNPH DNPH 1 gを硫酸2 mLとエタノール(99.5)15 mLとを混合した溶液
に溶かし,これにホルムアルデヒド液(ホルマリン)2.5 mLをエタノール(99.5)5 mLに溶かした
溶液を加える。生成した沈殿をガラスろ過器(G4)で吸引ろ過し,水及びエタノール(99.5)で十
分洗浄した後,1時間程度,上口デシケーター内で減圧乾燥する。このDNPHの融点が166〜168 ℃
であることを確認し,乾燥剤としてシリカゲルを入れたデシケーター中に保存する。
2) ホルムアルデヒド−DNPH標準液(HCHO 30 µg/mL) ホルムアルデヒド−DNPH 105 mgをクロ
ロホルムに溶かし,全量フラスコ50 mLに移し入れ,クロロホルムを標線まで加える。さらに,こ
の溶液5 mLを全量フラスコ50 mLにとり,クロロホルムを標線まで加える。この溶液1 mLは,ホ
ルムアルデヒド30 µgに相当する。
8.2.3.2
装置,ガス類及び器具
装置,ガス類及び器具は,次による。
a) ガスクロマトグラフ(水素炎イオン化検出器付) カラムは,充塡カラム又はキャピラリーカラムを
用いる。充塡カラムに用いる管は,ガラス製で内径2〜3 mm程度,長さ2〜3 m,内面をヘキサンで
洗い,水洗,乾燥したものとし,充塡剤には,125〜250 µmの白色けい藻土系たん体を酸で洗った後,
ジメチルジクロロシラン処理し,50 %フェニルメチルシリコンを1〜4 %被覆したもの,又はこれと同
等の性能をもつものを用いる。また,キャピラリーカラムは,内径0.2〜1 mm,長さ10〜60 m,膜厚
0.1〜3 µmで,液相には50 %フェニルメチルシリコン又はこれと同等の性能をもつものを用いる。
b) キャリヤーガス JIS K 1107に規定する1級若しくは2級の窒素,又はヘリウム(純度99.995 %以上)。
c) 燃料ガス JIS K 0512に規定する水素1級又は2級。
d) 助燃ガス 清浄な空気。
e) 濃縮器 クデルナダニッシュ濃縮器又はエバポレーター。
8.2.3.3
分析用試料溶液の調製
分析用試料溶液の調製は,次による。
a) 7.2.5の操作を行った後,吸収瓶(F1,F2)の内容液をビーカー200 mLに移し,更に吸収瓶内を少量の
水で洗浄する。洗液は,先のビーカー200 mLに移し入れる。
b) 分液漏斗100 mLに,ビーカーの内容液を少量の水で洗い移す。
c) この分液漏斗にクロロホルム9 mLを加え,5分間以上振り混ぜた後,静置する。
d) クロロホルム層を全量フラスコ10 mLに移し入れ,クロロホルムを標線まで加え,密栓する。これを,
分析用試料溶液とする。分析用試料溶液の保存は,冷暗所において1週間を限度とする。
8.2.3.4
定量操作
定量操作は,次による。
a) ガスクロマトグラフの主な操作条件は,次による。
1) 充塡カラムの場合
カラム槽温度
:180〜250 ℃
試料導入部及び検出器温度 :240〜280 ℃
キャリヤーガス流量
:20〜60 mL/min
2) キャピラリーカラムの場合
カラム槽温度
: 100〜250 ℃の間の適切な温度での恒温,又は40〜280 ℃の適切な
範囲内での昇温2)。
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K 0303:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
試料導入部温度
: スプリット法,スプリットレス法及び直接導入法では,240〜280 ℃,
コールドオンカラム法では,40〜280 ℃の適切な範囲内で昇温,PTV
法では0〜300 ℃ の適切な範囲内で昇温。
キャリヤーガス流量
: 0.5〜10 mL/min
注2) 試料の導入方法がスプリット法及び直接導入法の場合は,恒温又は昇温のいずれでもよい。
スプリットレス法,コールドオンカラム法,又はPTV法では,昇温とする。
b) 8.2.3.3で調製した分析用試料溶液1〜5 µLの一定量を正確にマイクロシリンジにとり,ガスクロマト
グラフに導入する。試料導入量は,導入方法によって調節する。また,クロマトグラムのピークが小
さく定量が困難な場合には,濃縮を行ってもよい。その場合に,器壁に結晶が析出することがあるの
で注意する。
c) ホルムアルデヒド−DNPHの保持時間前後のクロマトグラムを記録する。
d) c)で得られたクロマトグラムのピーク面積を求める。
e) 8.2.3.5で作成した検量線からホルムアルデヒドの質量(µg)を求める。
f)
分液漏斗100 mLに7.2.3の吸収液80 mLをとり,クロロホルム10 mLを加え,5分間以上ふり混ぜた
後,静置し,クロロホルム層を全量フラスコ10 mL に移し入れ,必要な場合クロロホルムを標線まで
加える。このクロロホルム抽出液をa)〜e)に準じて操作して空試験値を求める。
8.2.3.5
検量線の作成
検量線の作成は,次による。
a) 数個の全量フラスコ10 mLにホルムアルデヒド−DNPH 標準液(HCHO 30 µg/mL)0.2〜5.0 mLを数
個の全量フラスコ10 mLにとり,それぞれとり,クロロホルムを標線まで加える。
b) これらの溶液について,それぞれ8.2.3.4の a)〜d)に準じて操作を行い,ホルムアルデヒド(HCHO)
の質量(µg)とそのクロマトグラムのピーク面積との関係線を作成する。ガスクロマトグラフへの導
入量は,8.2.3.4 b)と同一量とする。
8.2.3.6
計算
試料ガス中のホルムアルデヒドの濃度の求め方は,次の式による。
S
V
1
)
(
746
.0
V
n
b
a
C
×
×−
=
CW=CV×1.34
ここに,
CV: 試料ガス中のホルムアルデヒドの体積分率(vol ppm)
CW: 試料ガス中のホルムアルデヒドの質量濃度(mg/m3)
a: 検量線から求めたホルムアルデヒドの質量(µg)
b: 空試験で得られたホルムアルデヒドの質量(µg)
n: 8.2.3.4 b)によって濃縮した場合の濃縮倍率。濃縮しない
場合は1
VS: 6.4によって算出した標準状態の試料ガス採取量(L)(乾
きガス量の場合はVSD,湿りガス量の場合はVSW)
0.746: ホルムアルデヒド(HCHO)1 µgに相当する体積(µL)
(標準状態)
1.34: ホルムアルデヒド(HCHO)1 vol ppmに相当する質量濃
度(mg/m3)
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K 0303:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8.2.4
内標準法
8.2.4.1
試薬及び試薬溶液の調製
a) 試薬 試薬は,次による。
1) クロロホルム 8.2.3.1 a) 1)による。
2) DNPH 7.2.2 b)による。
3) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
4) エタノール(99.5) JIS K 8101に規定するもの。
5) ホルムアルデヒド液 JIS K 8872に規定するもの。
6) アントラセン 次のb) 3)のアントラセン標準液を8.2.4.4のa)〜c)の操作でガスクロマトグラフに導
入したとき,ホルムアルデヒド−DNPHの保持時間にピークを生じないもの。
b) 試薬溶液の調製 試薬溶液の調製は,次による。
1) ホルムアルデヒド−DNPH 8.2.3.1 b) 1)による。
2) ホルムアルデヒド−DNPH標準液(HCHO 30 µg/mL) 8.2.3.1 b) 2)による。
3) アントラセン標準液(1 000 µg/mL) アントラセン100 mgをクロロホルムに溶かして正しく100 mL
にする。この溶液は,密栓して冷蔵庫に保存し,内標準として使用する。
8.2.4.2
装置,ガス類及び器具
装置,ガス類及び器具は,次による。
a) ガスクロマトグラフ(水素炎イオン化検出器付) 8.2.3.2 a)による。
b) キャリヤーガス 8.2.3.2 b)による。
c) 燃料ガス 8.2.3.2 c)による。
d) 助燃ガス 8.2.3.2 d)による。
e) 濃縮器 8.2.3.2 e)による。
8.2.4.3
分析用試料溶液の調製
分析用試料溶液の調製は,次による。
a) 7.2.5の操作を行った後,吸収瓶(F1,F2)の内容液をビーカー200 mLに移し,更に吸収瓶内を少量の
水で洗浄し,洗液は先のビーカー200 mLに移し入れる。
b) ビーカーの内容液を少量の水とともに分液漏斗100 mLに移し入れる。
c) 分液漏斗にクロロホルム9 mLを加え,5分間以上振り混ぜた後,静置する。
d) クロロホルム層を全量フラスコ10 mLに移し入れる。8.2.4.1 b) 3)のアントラセン標準液(1 000 µg/mL)
1 mLを加えた後,クロロホルムを標線まで加え,分析用試料溶液とする。
8.2.4.4
定量操作
定量操作は,次による。
a) ガスクロマトグラフの主な操作条件は,8.2.3.4 a)による。
b) 8.2.4.3で調製した分析用試料溶液1〜5 µLの一定量を正確にマイクロシリンジにとり,ガスクロマト
グラフに導入する。試料導入量は,導入方法によって調節する。また,クロマトグラムのピークが小
さく定量が困難な場合には,濃縮を行ってもよい。その場合に,器壁に結晶が析出することがあるの
で注意する。
c) ホルムアルデヒド−DNPH及び内標準のアントラセンのクロマトグラムを記録し,それぞれのピーク
面積を求める。
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d) 7.2.3のDNPH吸収液80 mLを分液漏斗100 mLにとり,8.2.4.3のc)及びd)並びに8.2.4.4のa)〜c)に
準じて操作して空試験を行う。
e) c)で得られたホルムアルデヒド−DNPH及びアントラセンのピーク面積から,d)で得られた空試験の
それぞれのピーク面積を差し引いた後,そのピーク面積比(AS´/AIS´)を求める。
f)
8.2.4.5によって作成した検量線から,ピーク面積比(AS´/AIS´)に対応するホルムアルデヒドとアント
ラセンとの質量比(MS´/MIS´)を求める。
8.2.4.5
検量線の作成
検量線の作成は,次による。
a) 8.2.3.1 b) 2)で調製したホルムアルデヒド−DNPH標準液(HCHO 30 µg/mL)の0.2〜5.0 mLを段階的
に数個の全量フラスコ10 mLにとり,アントラセン標準液(1 000 µg/mL)の1 mLをそれぞれ加えた
後,クロロホルムを標線まで加える。
b) これらの溶液について,それぞれ8.2.4.4のa)〜e)に準じて操作を行い,ホルムアルデヒド及びアント
ラセンのピーク面積比(AS´/AIS´)と,それらの質量比(MS´/MIS´)との関係線を作成する。
8.2.4.6
計算
試料ガス中のホルムアルデヒドの濃度の求め方は,次の式による。
S
m
V
000
1
746
.0
V
R
C
×
×
=
CW=CV×1.34
ここに,
CV: 試料ガス中のホルムアルデヒドの体積分率(vol ppm)
CW: 試料ガス中のホルムアルデヒドの質量濃度(mg/m3)
Rm: 検量線から求めたホルムアルデヒドと内標準アントラセ
ンとの質量比(=MS´/MIS´)
VS: 6.4によって算出した標準状態の試料ガス採取量(L)
(乾きガス量の場合はVSD,湿りガス量の場合はVSW)
1 000: 8.2.4.3で調製した分析用試料溶液中のアントラセンの質
量(µg)
0.746: ホルムアルデヒド(HCHO)1 µgに相当する体積(µL)
(標準状態)
1.34: ホルムアルデヒド(HCHO)1 vol ppmに相当する質量濃
度(mg/m3)
なお,検量線を作成せずに,あらかじめホルムアルデヒド−DNPHとアントラセンとの応答比(F)を
求めておけば,次の式によってホルムアルデヒドの濃度を算出することができる。
S
a
V
000
1
/
746
.0
V
F
R
C
×
×
=
CW=CV×1.34
ここに,
CV: 試料ガス中のホルムアルデヒドの体積分率(vol ppm)
CW: 試料ガス中のホルムアルデヒドの質量濃度(mg/m3)
F: ホルムアルデヒド−DNPHと内標準アントラセンとの応
答比[両物質の同量(例えば,1 µg)に対するピーク面
積の比]3)
Ra: 8.2.4.4 f)で得られたホルムアルデヒド−DNPHとアント
ラセンとのピーク面積比(AS´/AIS´)
VS: 6.4によって算出した標準状態の試料ガス採取量(L)
(乾きガス量の場合はVSD,湿りガス量の場合はVSW)
1 000: 8.2.4.3で調製した分析用試料溶液中のアントラセンの質
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量(µg)
0.746: ホルムアルデヒド1 µgに相当するホルムアルデヒド
(HCHO)の体積(µL)(標準状態)
1.34: ホルムアルデヒド1 ppm (体積分率)に相当するホルムア
ルデヒド(HCHO)の質量濃度(mg/m3)
注3)
数点測定し,その平均から求める。
8.3
(DNPH試料採取用カートリッジ捕集)−GC法
8.3.1
一般
この定量方法は,DNPH試料採取用カートリッジ捕集によるガスクロマトグラフ法に適用する。
8.3.2
適用上の留意点
排ガス採取時の水分濃度が25 %以下の場合,及び二酸化窒素の体積分率が10 vol ppm以下の場合に,適
用する。
8.3.3
絶対検量線法
8.3.3.1
試薬及び試薬溶液の調製
試薬及び試薬溶液の調製は,8.2.3.1による。
8.3.3.2
装置,ガス類及び器具
装置,ガス類及び器具は,次による。
a) 装置及びガス類 8.2.3.2による。
b) 試料採取用カートリッジの調製 7.3.3による。
c) 強酸性陽イオン交換樹脂管 試料採取用カートリッジと接続し,強酸性陽イオン交換樹脂を0.1 g程度
充塡したもの。カートリッジ式の市販品を使用してもよい。
8.3.3.3
分析用試料溶液の調製
分析用試料溶液の調製は,次による。
a) 7.3.4 以降の操作を行った後,試料採取用カートリッジの下に強酸性陽イオン交換樹脂管を接続し,注
射器によってアセトニトリル約7 mLを通して,遠心管10 mLにホルムアルデヒド−DNPHを溶離す
る。
b) 遠沈管内のアセトニトリルに窒素を静かに吹き付けて,数10 µLまで揮散する。
なお,気化に伴い試料溶液が冷却するとアセトニトリルが揮発しにくくなるので,水浴などで35〜
40 ℃程度に保温すると効率的である。また,溶媒を揮散するための市販装置を用いてもよい。
c) クロロホルムを数mLずつ用いて全量フラスコ10 mLに洗い移し,クロロホルムを標線まで加える。
8.3.3.4
定量操作
定量操作は,次による。
a) 8.3.3.3で得られた溶液について,8.2.3.4のa)〜d)の操作を行い,8.3.3.5で作成した検量線からホルム
アルデヒドの質量(µg)を求める。
b) 試料の捕集に用いたときと同じロットの捕集用カートリッジについて,8.3.3.3に準じて操作し,得ら
れた溶液について8.3.3.4 a)の操作を行い,空試験値を求める。
8.3.3.5
検量線の作成
検量線の作成は,8.2.3.5に準じた操作による。
8.3.3.6
計算
試料ガス中のホルムアルデヒドの濃度の求め方は,8.2.3.6による。
8.3.4
内標準法
20
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8.3.4.1
試薬及び試薬溶液の調製
試薬及び試薬溶液の調製は,8.2.4.1による。
8.3.4.2
装置,ガス類及び器具
装置,ガス類及び器具は,8.2.4.2による。
8.3.4.3
分析用試料溶液の調製
分析用試料溶液の調製は,次による。
a) 8.3.3.3のa)及びb)に準じた操作を行う。
b) 遠沈管内の溶液をクロロホルム2〜3 mLずつを用いて全量フラスコ10 mLに洗い移し,アントラセン
標準液(1 000 mg/L)1 mLを添加した後,クロロホルムを標線まで加える。
8.3.4.4
定量操作
定量操作は,次による。
a) 8.3.4.3で得た溶液について,8.2.4.4のa)〜c)に準じた操作を行う。
b) 試料の捕集に用いたときと同じロットの捕集用カートリッジについて,8.3.3.3のa)〜c)及び8.3.4.4 a)
に準じて操作し,空試験を行う。
c) a)で得たホルムアルデヒド−DNPH及びアントラセンのピーク面積から,b)で得た空試験のそれぞれ
の面積値を差し引いた後,そのピーク面積比(AS´/AIS´)を求める。
d) 8.3.4.5によって作成した検量線から,ピーク面積比(AS´/AIS´)に対応するホルムアルデヒドとアント
ラセンとの質量比(MS´/MIS´)を求める。
8.3.4.5
検量線の作成
検量線の作成は,8.2.4.5に準じて行う。
8.3.4.6
計算
計算は,8.2.4.6による。
8.4
(DNPH吸収瓶捕集)−HPLC法
8.4.1
一般
この方法は,DNPH吸収瓶捕集による高速液体クロマトグラフ法に適用する。
8.4.2
適用上の留意点
排ガス採取時の水分濃度が25 %以下,二酸化窒素の体積分率が10 vol ppm以下の場合に適用する。この
方法で,グラジエント溶離法を用いれば,アセトアルデヒド,プロパナール,ベンズアルデヒドなどを同
時に定量することができる。
8.4.3
試薬及び試薬溶液の調製
8.4.3.1
試薬
試薬は,次による。
a) アセトニトリル 7.3.2 a)による。
b) DNPH 7.2.2 b)による。
c) クロロホルム 8.2.3.1 a) 1)による。
d) ホルムアルデヒド液 JIS K 8872に規定するもの。
8.4.3.2
試薬溶液の調製
試薬溶液の調製は,次による。
a) 移動相(溶離液) アセトニトリルと水との体積比が65:35(アセトニトリル650 mL及び水350 mL
を混合)から50:50(アセトニトリル500 mL及び水500 mLを混合)程度のものを,カラムの分離
21
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
特性に合わせて調製する。調製した移動相は,脱気して使用する。
b) ホルムアルデヒド−DNPH 8.2.3.1 b) 1)による。
c) ホルムアルデヒド−DNPH標準液(HCHO 30 µg/mL) 8.2.3.1 b) 2)による。
8.4.4
装置
恒温槽付きの高速液体クロマトグラフ(紫外吸光光度検出器付)を用い,カラムには,内径4〜6 mm,
長さ150〜300 mmのオクタデシル基を化学結合させたシリカゲルを充塡したものを用いる。カラムについ
ては,これと同等の分離性能をもつものを用いてもよい。
8.4.5
分析用試料溶液の調製
分析用試料溶液の調製は,次による。
a) 7.2.5の操作を行った後,吸収瓶(F1,F2)の内容液をビーカー200 mLに移し,更に吸収瓶内を少量の
水で洗浄する。洗液は,先のビーカー200 mLに移し入れる。
b) ビーカーの内容液を少量の水で分液漏斗100 mLに洗い移す。
c) この分液漏斗にクロロホルム10 mLを加え,5分間以上振り混ぜた後,静置する。
d) クロロホルム層を分離し,これをロータリーエバポレーターで減圧濃縮する。溶液が少量残っている
ときにアセトニトリル5 mLを加えた後,再度,減圧濃縮によって溶媒交換を行う。
e) その後,再び少量のアセトニトリルに溶かして全量フラスコ5 mLに洗い移し,アセトニトリルを標
線まで加える。これを分析用試料溶液とする。
8.4.6
定量操作
定量操作は,次による。
a) 高速液体クロマトグラフの主な操作条件は,次による。
カラム槽温度 :40〜50 ℃
移動相流量 :0.7〜1.2 mL/min
検出器波長 :350〜360 nm
b) 8.4.5で調製した分析用試料溶液の2〜20 µLを正確にマイクロシリンジにとり,高速液体クロマトグ
ラフに導入する。試料導入量は,カラムサイズ及び導入方法によって調節する。
c) ホルムアルデヒド−DNPHのクロマトグラムを記録する。
d) c)で得られたクロマトグラムのピーク面積を求める。
e) 8.4.7で作成した検量線を用いてホルムアルデヒドの質量(µg)を求める。
f)
分液漏斗100 mLに吸収液80 mLをとり,8.4.5のc)〜e)に準じて操作し,得られたアセトニトリル溶
液を8.4.6のa)〜e)と同様に操作して空試験値を求める。
8.4.7
検量線の作成
検量線の作成は,次による。
a) 8.2.3.1 b) 2)のホルムアルデヒド−DNPH標準液(HCHO 30 µg/mL)の0.1〜5.0 mLを数個の全量フラ
スコ5 mLに段階的にとり,アセトニトリルを標線まで加える。
b) これらの溶液について,それぞれ8.4.6のa)〜d)の操作を行い,ホルムアルデヒド(HCHO)の質量(µg)
とそのクロマトグラムのピーク面積との関係線を作成する。高速液体クロマトグラフへの導入量は
8.4.6 b)と同量とする。
8.4.8
計算
試料ガス中のホルムアルデヒドの濃度の求め方は,次の式による。
22
K 0303:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
S
V
1
)
(
746
.0
V
n
b
a
C
×
×−
=
CW=CV×1.34
ここに,
CV: 試料ガス中のホルムアルデヒドの体積分率(vol ppm)
CW: 試料ガス中のホルムアルデヒドの質量濃度(mg/m3)
a: 検量線から得られたホルムアルデヒドの質量(µg)
b: 空試験で得られたホルムアルデヒドの質量(µg)
n: クロマトグラムのピークが小さく定量が困難なときに,
濃縮した場合の濃縮倍率。濃縮しない場合は1
VS: 6.4によって算出した標準状態の試料ガス採取量(L)
(乾きガス量の場合はVSD,湿りガス量の場合はVSW)
0.746: ホルムアルデヒド(HCHO)1 µgに相当する体積(µL)
(標準状態)
1.34: ホルムアルデヒド(HCHO)1 ppm(体積分率)に相当す
る質量濃度(mg/m3)
8.5
(DNPH試料採取用カートリッジ捕集)−HPLC法
8.5.1
一般
この定量方法は,DNPH試料採取用カートリッジ捕集による高速液体クロマトグラフ法に適用する。
8.5.2
適用上の留意点
適用上の留意点は,8.4.2による。
8.5.3
試薬及び試薬溶液の調製
試薬及び試薬溶液の調製は,8.4.3による。
8.5.4
装置及び器具
装置及び器具は,次による。
a) 装置 8.4.4による。
b) DNPH試料採取用カートリッジの調製 7.3.3 b)による。
8.5.5
分析用試料溶液の調製
分析用試料溶液の調製は,次による。
a) 試料ガス採取の7.3.5の操作を行った後,試料採取用カートリッジにアセトニトリル約7 mLを通して,
ホルムアルデヒド−DNPHを溶離し,流出液を全量フラスコ5 mLに受ける。
b) 標線まで流出液の採取を続ける。
8.5.6
定量操作
定量操作は,次による。
a) 高速液体クロマトグラフの主な操作条件は,8.4.6 a)による。
b) 8.5.5で調製した分析用試料溶液2〜20 µLの一定量を正確にマイクロシリンジにとり,高速液体クロ
マトグラフに導入する。試料導入量は,カラムサイズ及び導入方法によって調節する。
c) ホルムアルデヒド−DNPHのクロマトグラムを記録する。
d) c)で得られたクロマトグラムのピーク面積を求める。
e) 8.5.7で作成した検量線からホルムアルデヒドの質量(µg)を求める。
f)
試料の捕集に用いたときと同じロットの捕集用カートリッジについて,8.5.5に準じて操作し,得られ
たアセトニトリル溶液を8.5.6のa)〜e)と同様に操作して空試験値を求める。
23
K 0303:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8.5.7
検量線の作成
検量線の作成は,次による。
a) 8.4.3.2 c)のホルムアルデヒド−DNPH標準液(HCHO 30 µg/mL)0.1〜4.0 mLを数個の全量フラスコ5
mLに段階的にとり,アセトニトリルを標線まで加える。
b) これらの溶液について,それぞれ8.5.6のa)〜d)の操作を行い,ホルムアルデヒド(HCHO)の質量(µg)
とそのクロマトグラムのピーク面積との関係線を作成する。
8.5.8
計算
試料ガス中のホルムアルデヒドの濃度の求め方は,8.4.8の式による。
8.6
(CEBHA試料採取用カートリッジ捕集)−HPLC法
8.6.1
一般
この方法は,CEBHA試料採取用カートリッジ捕集による高速液体クロマトグラフ法に適用する。
8.6.2
適用上の留意点
この方法に用いるカートリッジは,CEBHAを酸の共在下でシリカゲル粒体にコーティングしたもので
ある。ホルムアルデヒド,アセトアルデヒドなどのカルボニル化合物と接触すると,O -(4-シアノ-2-エト
キシベンジル)ヒドロキシルアルド(ケト)オキシム誘導体(以下,CEBHA−アルデヒド誘導体という。)
が生成し,カルボニル化合物を濃縮・捕集する。この生成したアルデヒド誘導体をアセトニトリルで溶出
し,この溶液を高速液体クロマトグラフで定量分析する。
8.6.3
試薬及び試薬溶液の調製
試薬は,次による。
a) アセトニトリル JIS K 8032に規定するもので,その10 mLを約1 mLに濃縮し,その2〜20 µLを8.4.6
の操作で高速液体クロマトグラフに導入したとき,ホルムアルデヒド誘導体の保持時間にピークを生
じないもの。
b) 移動相 アセトニトリルと水との体積比が80:20(アセトニトリル800 mL及び水200 mLを混合)
から40:60(アセトニトリル400 mL及び水600 mLを混合)程度までの混合溶液を,カラムの分離
特性に合わせて調製する。調製した移動相は,脱気して使用する。
8.6.4
装置及び器具
装置及び器具は,次による。
a) 装置 8.4.4による。
b) CEBHA試料採取用カートリッジ 7.4.3によって作製したものを用いる。又は,市販品を用いてもよ
い。
8.6.5
捕集後の分析用試料の取扱い
捕集後の分析試料の取扱いの操作は,次による。
a) 7.4.5の操作で捕集したCEBHA試料採取用カートリッジは,上下にキャップを施し,保管容器及びア
ルミニウム袋に収納する。
b) 輸送時及び保管時の温度は,25 ℃以下に保ち,高温環境(40 ℃以上)の場合は,冷蔵輸送及び冷蔵
保存する。
c) ガスを捕集したカートリッジの上下のキャップを外す。
d) 注射器(5〜10 mL)を用いて,アセトニトリル5 mLをカートリッジの上部からゆっくり注入し,CEBHA
−アルデヒド誘導体を流出させ,流出液を全量フラスコ5 mLに移す。
e) アセトニトリルを標線まで加える。
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f)
この溶液を分析用試料溶液として,高速液体クロマトグラフで測定する。
8.6.6
定量操作
定量操作は,次による。
a) 高速液体クロマトグラフの主な操作条件は,次による。
カラム槽温度 :40〜50 ℃
移動相流量 :0.7〜1.2 mL/min
検出器波長 :240 nm
b) 8.6.5で調製した分析用試料溶液2〜20 µLの一定量を正確にマイクロシリンジにとり,高速液体クロ
マトグラフに導入する。試料導入量は,カラムサイズ及び導入方法によって調節する。
c) CEBHA−アルデヒド誘導体のクロマトグラムを記録する。
d) c)で得られたクロマトグラムのピーク面積を求める。
e) 8.5.7で作成した検量線からホルムアルデヒドの質量(µg)を求める。
8.7
AHMT吸光光度法−自動分析法
8.7.1
一般
この定量方法は,ホルムアルデヒドを水酸化カリウム溶液に吸収した後,AHMT吸光光度法の自動分析
法に適用する。
8.7.2
適用上の留意点
この方法の適用上の留意点は,通常の排ガスの場合には,共存する二酸化炭素の影響を無視できる。そ
の他の共存物質の影響については,8.1.2による。
8.7.3
試薬及び試薬溶液の調製
8.7.3.1
試薬
試薬は,次による。
a) 水酸化カリウム JIS K 8574に規定するもの。
b) AHMT 4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1, 2, 4-トリアゾール(試薬)による。
c) 過よう素酸カリウム JIS K 8249に規定するもの。
d) ホルムアルデヒド液(ホルマリン) JIS K 8872に規定するもの。
8.7.3.2
試薬溶液の調製
試薬溶液の調製は,次による。
a) 吸収液 水酸化カリウム132 gをポリエチレンビーカーにとり,水を加え,かき混ぜて溶かした後,
ポリエチレン瓶に入れ,水を加えて20 Lとする。
b) 水酸化カリウム溶液 水酸化カリウム660 gをポリエチレン瓶にとり,水500 mLを徐々に加え,流水
で冷却しながら振り混ぜて溶かした後,水を加えて1 Lにする。
c) AHMT溶液 AHMT 10 gを塩酸(5+95)1 Lに溶かす。この溶液は,遮光したポリエチレン瓶に入
れて保存し,1週間以上経過したものは用いない。
d) 過よう素酸カリウム溶液 過よう素酸カリウム15 gをビーカー2 000 mLにとり,水酸化カリウム溶液
(10 g/L)を加え,水浴上で加熱して溶かした後,冷却する。この溶液は,遮光したポリエチレン瓶
に入れて保存し,1週間以上経過したものは用いない。
e) ホルムアルデヒド標準液(HCHO 100 µL/mL) 8.1.3.2 d)の標準液(HCHO 1mg/mL)6.70 mLを全量
フラスコ1 000 mLにとり,水を標線まで加える。
なお,ホルムアルデヒド標準液中のホルムアルデヒドガスの換算濃度は,標準状態で表示してある
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が,校正のときには,分析計の入り口付近の導管内の試料ガス温度に換算する。
f)
目盛校正用等価液 e)のホルムアルデヒド標準液(HCHO 100 µL/mL)V mLをとり,吸収液で正しく
1 000 mLに希釈する。
なお,ホルムアルデヒド標準液の採取量V(mL)は,試料ガス採取条件などによって変わるので,
次の式によって求める。
10
15
.
273
15
.
273
×
×
×
×
T
v
t
f
c
V
+
=
ここに,
V: ホルムアルデヒド標準液の採取量(mL)
c: 目盛校正用等価液のホルムアルデヒドの体積分率(vol
ppm)
f: 試料ガス採取時の流量(L/min)
t: 試料ガスの採取時間(min)
v: 吸収液使用量(mL)
T: 校正の基準となる温度(通常20 ℃)
8.7.4
装置の構成
自動分析法の装置は,試料採取部,分析計,指示記録計などで構成する。
8.7.4.1
試料採取部
試料採取部は,ダスト及び水分を除去し,試料ガスの一定量を連続的に分析計に供給する機能をもつ,
採取管,フィルター,導管,除湿器,吸引ポンプ,流量計,切替弁,絞り弁,校正用ガス導入口などで構
成する。図4に試料採取部の構成例を示す。
A: 採取管
G: 除湿器
B: 一次フィルター
H: 二次フィルター
C: 加熱器
I: 吸引ポンプ
D: 導管
J: 流量計
E: 試料導入口
K1,K2: 切替弁
F1,F2: 試験用ガス導入口
L: 絞り弁
図4−試料採取部の構成例
a) 採取管 煙道壁などに取り付けて試料ガスを採取する管で,ステンレス鋼管,石英ガラス管,セラミ
ックス管などを用いる。
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b) 一次フィルター 試料ガス中のダストを除去するためのもので,水分が凝縮しない温度で用いる。材
質は,石英ガラス繊維,ステンレス鋼網,多孔質セラミックス,カーボランダムなどとする。
c) 導管 試料ガスを一次フィルターから分析計まで導くための管で,一般に,四ふっ化エチレン樹脂製
のものを用いる。
なお,一次フィルターから除湿器までの導管は,水分が凝縮しないように必要に応じて保温又は加
熱する。
d) 除湿器 試料ガス中の水分を除去する装置で,空冷,電子冷却などの方式又は水蒸気の選択的浸透に
よる半透膜気相除去方式などを用いる。
なお,水分中にホルムアルデヒドが溶解して誤差を生じるおそれがある場合には,半透膜気相除去
方式の除湿器を用いることが望ましい。
e) 二次フィルター 試料ガス中の微細ダストを除去するためのもので,材質は石英ガラス繊維,合成樹
脂などとする。
f)
吸引ポンプ 試料ガスなどを吸引するポンプで,一般にダイアフラムポンプを用いる。試料ガスが接
触する部分は,耐食材料,例えば,硬質塩化ビニル,ふっ素ゴム,四ふっ化エチレン樹脂などを用い
る。吸引圧力は,10 kPa以上,流量は採取管において0.5 L/min以上が得られるものを用いる。
g) 流量計 通常,フロート形面積流量計を用いる。
h) 切替弁 試料ガスなどと試験用ガスとの流路切替えなどの操作を行うための弁で,耐食性のある材質
でできた電磁切替弁などを用いる。
i)
絞り弁 分析計に導入する試料ガスの流量調節又は安定化のために用いる弁で,耐食性のある材質で
できたニードル弁などを用いる。
8.7.4.2
分析計
分析計は,発色液を吸光度測定のための吸収セルに間欠的に流す方式で,ガス吸収部,反応槽,吸光度
測定セル,送排液ポンプ,吸収液・試薬・排液タンク,増幅器などからなる。図5に分析計の構成例を示
す。
図5−分析計の構成(概念図)
a) ガス吸収部 試料ガスを一定流量で吸収液40 mLに導入し,試料ガス中のホルムアルデヒドを吸収液
中に捕集するためのもので,ほうけい酸ガラス製とする。
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b) 反応槽 ホルムアルデヒドを捕集した吸収液の一部に,水酸化カリウム溶液,AHMT溶液,過よう素
酸カリウム溶液などの試薬を添加して反応するための槽で,恒温水を循環できるように二重管とする。
c) 吸光度測定セル 空試験溶液及び発色液の吸光度を測定するためのもので,ガラス製のもの。
d) 送排液ポンプ 水酸化カリウム溶液,AHMT溶液,過よう素酸カリウム溶液などの試薬を反応槽に送
り,又は吸光度測定セル中の発色液を排出するためのポンプで,液に接触する部分は耐食性の材料を
用いたもの。
e) 吸収液・試薬・排液タンク 吸収液,試薬及び排液によって侵されず,変質されない材料,例えば,
ポリエチレン製などのタンクを用いる。
8.7.4.3
指示記録計
指示記録計は,ホルムアルデヒド濃度を等分目盛で指示・記録できるものを用いる。
8.7.5
装置の組立て及び取付け
自動分析装置の試料採取部の組立て及び取付け,分析計の取付け及び漏れ試験は,JIS K 0095の8.(自
動計測器の取扱い)の8.1〜8.5に準じて行う。
8.7.6
操作
8.7.6.1
装置の校正
装置の校正は,次による。ただし,装置の校正は,吸収液を調製するごとに行う。
a) ゼロ調整 吸収液2 mLを反応槽に入れ,水酸化カリウム溶液,AHMT溶液,過よう素酸カリウム溶
液の所定量をそれぞれ加え,得られた発色液を吸光度測定セルに入れて,指示記録計の指示値を濃度
目盛のゼロに合わせ,ゼロ調整を行う。
b) スパン調整 指示記録計の最大目盛に相当する校正用等価液2 mLを反応槽に入れ,a)と同様に操作し
て指示記録計の指示値を最大目盛に合わせ,スパン調整を行う。
c) 指示値の直線性確認 中間目盛付近の濃度の校正用等価液を用い,その濃度と指示値との偏差が,最
大目盛値の±4 %であることを確認する。
d) 濃度既知ガスによる目盛確認 8.1のAHMT吸光光度法で濃度を確定したホルムアルデヒドの濃度既
知のガスを図4の試験用ガス導入口(F2)から導入し,その濃度と指示値との偏差が±8 %であること
を確認する。もし,これを超えているときには,分析計の試料ガス採取流量,ホルムアルデヒドガス
吸収部などの点検を行う。
なお,ホルムアルデヒドの濃度既知ガスは,パラホルムアルデヒドに乾燥空気を通じて任意の濃度
のものを発生させて調製するか,又は市販のホルムアルデヒド標準ガスを用いてもよい。
8.7.6.2
試料ガスの測定
試料ガスの測定は,次による。
a) 自動分析装置の各部を作動させ,測定条件を設定する。
b) 分析計のプログラマーを作動させ,所定の時間間隔で試料ガスの自動測定を行う。
8.7.7
装置の保守・点検
装置の保守・点検は,次の事項について行う。
a) 吸収液,各試薬などの交換又は補給
b) 吸収液,各試薬の添加量の確認
c) ガス吸収部及び反応槽の洗浄
d) 試料ガス採取流量及び採取時間の点検
e) フィルターの交換
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f)
その他,必要な事項
9
分析結果の記録
9.1
分析値のまとめ方
分析は,試料採取ごとに同一分析試料溶液について2回以上行い,その平均値を求め,JIS Z 8401によ
って,有効数字2桁に丸める。ただし,連続して2回以上試料を採取した場合には,各測定値の全ての平
均値を求める。
9.2
記録項目
分析結果として記録する項目は,次による。
a) 測定対象の設備及び試験目的
b) 試料採取及び分析の実施日,時刻,時間,及び実施者
c) 設備又は工程の運転状況及び試料採取期間内に生じた設備又は工程の変動
d) 設備内の測定断面の位置
e) 測定断面上の試料採取点
例1 ダクトの大きさ,測定断面における試料採取の位置などを記入するとよい。
f)
試料採取方法
例2 試料ガス採取方法,等速サンプリングか又は非等速サンプリング,試料採取管の口径,ダス
ト除去用フィルター及び取付け位置,フィルター温度,試料採取の時間などを記入するとよ
い。
g) 分析方法の種類及び分析条件
h) 測定結果
例3 排ガス中の濃度及び標準状態への換算濃度のほかに,測定点のガス流速,排ガスの静圧,温
度,酸素濃度,水蒸気濃度,採取ガス量,分析用試料の体積,試料中のふっ素の分析値,試
料採取時間内に生じた異常などを記入するとよい。
i)
測定の品質
例4 漏れ試験結果,試料採取及び分析用の試薬の空試験値,現場測定における空試験値,測定結
果に影響した可能性のある周囲の特殊事情などを記入するとよい。
j)
この規格の分析方法からの変更点
k) その他,有用な項目
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表2−水の飽和蒸気圧
単位 Pa
t(℃)
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
0.
611.21
615.67
620.15
624.67
629.21
633.78
638.38
643.01
647.67
652.36
1.
657.08
661.83
666.61
671.42
676.26
681.14
686.04
690.98
695.94
700.94
2.
705.97
711.03
716.13
721.26
726.41
731.61
736.83
742.09
747.38
752.70
3.
758.06
763.45
768.88
774.34
779.83
785.36
790.92
796.52
802.15
807.82
4.
813.52
819.26
825.03
830.84
836.69
842.57
848.49
854.45
860.44
866.47
5.
872.54
878.64
884.79
890.97
897.19
903.44
909.74
916.07
922.45
928.86
6.
935.31
941.80
948.34
954.91
961.52
968.17
974.86
981.60
988.37
995.19
7.
1 002.0
1 008.9
1 015.9
1 022.9
1 029.9
1 037.0
1 044.1
1 051.2
1 058.4
1 065.7
8.
1 072.9
1 080.3
1 087.6
1 095.1
1 102.5
1 110.0
1 117.6
1 125.2
1 132.8
1 140.5
9.
1 148.2
1 156.0
1 163.8
1 171.7
1 179.6
1 187.6
1 195.6
1 203.7
1 211.8
1 219.9
10.
1 228.1
1 236.4
1 244.7
1 253.0
1 261.4
1 269.9
1 278.4
1 286.9
1 295.5
1 304.2
11.
1 312.9
1 321.7
1 330.5
1 339.3
1 348.2
1 357.2
1 366.2
1 375.3
1 384.4
1 393.5
12.
1 402.8
1 412.1
1 421.4
1 430.8
1 440.2
1 449.7
1 459.3
1 468.9
1 478.5
1 488.2
13.
1 498.0
1 507.8
1 517.7
1 527.7
1 537.7
1 547.7
1 557.9
1 568.0
1 578.3
1 588.6
14.
1 598.9
1 609.3
1 619.8
1 630.3
1 640.9
1 651.6
1 662.3
1 673.0
1 683.9
1 694.8
15.
1 705.7
1 716.7
1 727.8
1 739.0
1 750.2
1 761.4
1 772.8
1 784.2
1 795.6
1 807.1
16.
1 818.7
1 830.4
1 842.1
1 853.9
1 865.8
1 877.7
1 889.7
1 901.7
1 913.8
1 926.0
17.
1 938.3
1 950.6
1 963.0
1 975.5
1 988.0
2 000.6
2 013.3
2 026.0
2 038.8
2 051.7
18.
2 064.7
2 077.7
2 090.8
2 104.0
2 117.2
2 130.5
2 143.9
2 157.4
2 170.9
2 184.5
19.
2 198.2
2 212.0
2 225.8
2 239.7
2 253.7
2 267.8
2 281.9
2 296.1
2 310.4
2 324.8
20.
2 339.2
2 353.8
2 368.4
2 383.1
2 397.8
2 412.7
2 427.6
2 442.6
2 457.7
2 472.9
21.
2 488.2
2 503.5
2 518.9
2 534.4
2 550.0
2 565.7
2 581.4
2 597.3
2 613.2
2 629.2
22.
2 645.3
2 661.5
2 677.7
2 694.1
2 710.5
2 727.1
2 743.7
2 760.4
2 777.2
2 794.1
23.
2 811.0
2 828.1
2 845.2
2 862.5
2 879.8
2 897.2
2 914.8
2 932.4
2 950.1
2 967.9
24.
2 985.8
3 003.7
3 021.8
3 040.0
3 058.3
3 076.6
3 095.1
3 113.6
3 132.3
3 151.1
25.
3 169.9
3 188.9
3 207.9
3 227.0
3 246.3
3 265.6
3 285.1
3 304.6
3 324.3
3 344.0
26.
3 363.9
3 383.8
3 403.9
3 424.0
3 444.3
3 464.7
3 485.2
3 505.7
3 526.4
3 547.2
27.
3 568.1
3 589.1
3 610.2
3 631.5
3 652.8
3 674.2
3 695.8
3 717.4
3 739.2
3 761.1
28.
3 783.1
3 805.2
3 827.4
3 849.7
3 872.2
3 894.7
3 917.4
3 940.2
3 963.1
3 986.1
29.
4 009.2
4 032.5
4 055.8
4 079.3
4 102.9
4 126.6
4 150.5
4 174.4
4 198.5
4 222.7
30.
4 247.0
4 271.5
4 296.0
4 320.7
4 345.5
4 370.5
4 395.5
4 420.7
4 446.0
4 471.5
31.
4 497.0
4 522.7
4 648.5
4 574.5
4 600.5
4 626.7
4 653.1
4 679.5
4 706.1
4 732.8
32.
4 759.7
4 786.7
4 813.8
4 841.0
4 868.4
4 895.9
4 923.6
4 951.4
4 979.3
5 007.4
33.
5 035.6
5 063.9
5 092.4
5 121.0
5 149.7
5 178.6
5 207.7
5 236.8
5 266.2
5 295.6
34.
5 325.2
5 355.0
5 384.8
5 414.9
5 445.1
5 475.4
5 505.9
5 536.5
5 567.2
5 598.1
35.
5 629.2
5 660.4
5 691.8
5 723.3
5 754.9
5 786.8
5 818.7
5 850.8
5 883.1
5 915.5
36.
5 948.1
5 980.8
6 013.7
6 046.8
6 080.0
6 113.3
6 146.9
6 180.5
6 214.4
6 248.4
37.
6 282.5
6 316.9
6 351.3
6 386.0
6 420.8
6 455.8
6 490.9
6 526.2
6 561.7
6 597.3
38.
6 633.1
6 669.1
6 705.2
6 741.5
6 778.0
6 814.7
6 851.5
6 888.5
6 925.6
6 963.0
39.
7 000.5
7 038.2
7 076.0
7 114.1
7 152.3
7 190.7
7 229.2
7 268.0
7 306.9
7 346.0
40.
7 385.3
7 424.8
7 464.4
7 504.2
7 544.3
7 584.5
7 624.8
7 665.4
7 706.2
7 747.1
30
K 0303:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2−水の飽和蒸気圧(続き)
単位 Pa
t(℃)
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
41.
7 788.2
7 829.6
7 871.1
7 912.8
7 954.6
7 996.7
8 039.0
8 081.5
8 124.1
8 167.0
42.
8 210.0
8 253.2
8 296.7
8 340.3
8 384.1
8 428.2
8 472.4
8 516.8
8 561.5
8 606.3
43.
8 651.3
8 696.5
8 742.0
8 787.6
8 833.5
8 879.5
8 925.8
8 972.3
9 018.9
9 065.8
44.
9 112.9
9 160.2
9 207.7
9 255.5
9 303.4
9 351.6
9 399.9
9 448.5
9 497.3
9 546.3
45.
9 595.6
9 645.0
9 694.7
9 744.6
9 794.7
9 845.0
9 895.6
9 946.4
9 997.4
10 049.
46. 10 100.
10 152.
10 204.
10 256.
10 308.
10 361.
10 414.
10 467.
10 520.
10 573.
47. 10 627.
10 681.
10 735.
10 790.
10 845.
10 899.
10 955.
11 010.
11 066.
11 122.
48. 11 178.
11 234.
11 291.
11 348.
11 405.
11 462.
11 520.
11 578.
11 636.
11 694.
49. 11 753.
11 812.
11 871.
11 930.
11 990.
12 049.
12 110.
12 170.
12 231.
12 292.
50. 12 353.
12 414.
12 476.
12 538.
12 600.
12 663.
12 725.
12 788.
12 852.
12 915.
51. 12 979.
13 043.
13 107.
13 172.
13 237.
13 302.
13 368.
13 433.
13 499.
13 566.
52. 13 632.
13 699.
13 766.
13 833.
13 901.
13 969.
14 037.
14 106.
14 175.
14 244.
53. 14 313.
14 383.
14 453.
14 523.
14 594.
14 665.
14 736.
14 807.
14 879.
14 951.
54. 15 023.
15 096.
15 169.
15 242.
15 316.
15 389.
15 464.
15 538.
15 613.
15 688.
55. 15 763.
15 839.
15 915.
15 991.
16 068.
16 145.
16 222.
16 299.
16 377.
16 455.
56. 16 534.
16 613.
16 692.
16 771.
16 851.
16 931.
17 012.
17 093.
17 174.
17 255.
57. 17 337.
17 419.
17 501.
17 584.
17 667.
17 750.
17 834.
17 918.
18 003.
18 087.
58. 18 173.
18 258.
18 344.
18 430.
18 516.
18 603.
18 690.
18 778.
18 866.
18 954.
59. 19 043.
19 131.
19 221.
19 310.
19 400.
19 491.
19 581.
19 672.
19 764.
19 856.
60. 19 948.
20 040.
20 133.
20 226.
20 320.
20 414.
20 508.
20 603.
20 698.
20 793.
61. 20 889.
20 985.
21 082.
21 179.
21 276.
21 374.
21 472.
21 571.
21 669.
21 769.
62. 21 868.
21 968.
22 069.
22 170.
22 271.
22 372.
22 474.
22 577.
22 679.
22 783.
63. 22 886.
22 990.
23 094.
23 199.
23 304.
23 410.
23 516.
23 622.
23 729.
23 836.
64. 23 944.
24 052.
24 160.
24 269.
24 379.
24 488.
24 598.
24 709.
24 820.
24 931.
65. 25 043.
25 155.
25 268.
25 381.
25 494.
25 608.
25 723.
25 837.
25 953.
26 068.
66. 26 184.
26 301.
26 418.
26 535.
26 653.
26 772.
26 890.
27 010.
27 129.
27 249.
67. 27 370.
27 491.
27 612.
27 734.
27 857.
27 979.
28 103.
28 226.
28 351.
28 475.
68. 28 600.
28 726.
28 852.
28 979.
29 106.
29 233.
29 361.
29 489.
29 618.
29 748.
69. 29 877.
30 008.
30 138.
30 270.
30 402.
30 534.
30 667.
30 800.
30 933.
31 068.
70. 31 202.
31 338.
31 473.
31 609.
31 746.
31 883.
32 021.
32 159.
32 298.
32 437.
71. 32 577.
32 717.
32 858.
32 999.
33 140.
33 283.
33 425.
33 569.
33 713.
33 857.
72. 34 002.
34 147.
34 293.
34 439.
34 586.
34 734.
34 882.
35 030.
35 179.
35 329.
73. 35 479.
35 630.
35 781.
35 933.
36 085.
36 238.
36 391.
36 545.
36 700.
36 855.
74. 37 010.
37 166.
37 323.
37 480.
37 638.
37 796.
37 955.
38 115.
38 275.
38 436.
75. 38 597.
38 758.
38 921.
39 084.
39 247.
39 411.
39 576.
39 741.
39 907.
40 073.
76. 40 240.
40 408.
40 576.
40 744.
40 914.
41 084.
41 254.
41 425.
41 597.
41 769.
77. 41 942.
42 116.
42 290.
42 464.
42 640.
42 815.
42 992.
43 169.
43 347.
43 525.
78. 43 704.
43 884.
44 064.
44 245.
44 426.
44 608.
44 791.
44 974.
45 158.
45 343.
79. 45 528.
45 714.
45 900.
46 088.
46 275.
46 464.
46 653.
46 843.
47 033.
47 224.
80. 47 416.
47 608.
47 801.
47 994.
48 189.
48 384.
48 579.
48 776.
48 972.
49 170.
31
K 0303:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2−水の飽和蒸気圧(続き)
単位 Pa
t(℃)
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
81. 49 368.
49 567.
49 767.
49 967.
50 168.
50 370.
50 572.
50 775.
50 979.
51 183.
82. 51 388.
51 594.
51 800.
52 007.
52 215.
52 424.
52 633.
52 843.
53 053.
53 265.
83. 53 477.
53 689.
53 903.
54 117.
54 332.
54 547.
54 764.
54 981.
55 198.
55 417.
84. 55 636.
55 856.
56 076.
56 298.
56 520.
56 743.
56 966.
57 190.
57 415.
57 641.
85. 57 868.
58 095.
58 323.
58 552.
58 781.
59 011.
59 242.
59 474.
59 707.
59 940.
86. 60 174.
60 409.
60 644.
60 881.
61 118.
61 356.
61 594.
61 834.
62 074.
62 315.
87. 62 557.
62 799.
63 042.
63 286.
63 531.
63 777.
64 024.
64 271.
64 519.
64 768.
88. 65 017.
65 268.
65 519.
65 771.
66 024.
66 278.
66 532.
66 788.
67 044.
67 301.
89. 67 559.
67 817.
68 077.
68 337.
68 598.
68 860.
69 123.
69 386.
69 651.
69 916.
90. 70 182.
70 449.
70 717.
70 986.
71 255.
71 526.
71 797.
72 069.
72 342.
72 616.
91. 72 890.
73 166.
73 442.
73 719.
73 998.
74 277.
74 556.
74 837.
75 119.
75 401.
92. 75 685.
75 969.
76 254.
76 540.
76 827.
77 115.
77 404.
77 693.
77 984.
78 276.
93. 78 568.
78 861.
79 155.
79 450.
79 746.
80 043.
80 341.
80 640.
80 940.
81 240.
94. 81 542.
81 844.
82 148.
82 452.
82 757.
83 064.
83 371.
83 679.
83 988.
84 298.
95. 84 609.
84 921.
85 234.
85 547.
85 862.
86 178.
86 495.
86 812.
87 131.
87 451.
96. 87 771.
88 093.
88 415.
88 739.
89 063.
89 389.
89 715.
90 043.
90 371.
90 701.
97. 91 031.
91 362.
91 695.
92 028.
92 363.
92 698.
93 035.
93 372.
93 711.
94 050.
98. 94 391.
94 732.
95 075.
95 418.
95 763.
96 109.
96 455.
96 803.
97 152.
97 502.
99. 97 853.
98 204.
98 557.
98 911.
99 266.
99 623.
99 980.
100 338.
100 697.
101 058.
100. 101 419.
101 782.
102 145.
102 510.
102 875.
103 242.
103 610.
103 979.
104 349.
104 720.
注記 SONNTAG (1990) による。温度目盛は,ITS-90。
32
K 0303:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(規定)
イオンクロマトグラフ法
A.1 適用上の留意点
この附属書は,イオンクロマトグラフ法によるホルムアルデヒドの分析方法について規定する。この方
法は,排ガス中に塩素などの酸化性物質又は硫化水素などの還元性物質が高濃度で共存すると測定を妨害
するため,その影響を無視又は除去できる場合に適用する。
A.2 分析方法の概要
分析方法の概要は,表A.1による。
表A.1−分析方法の概要
分析方法
試料採取
定量範囲
vol ppm
(mg/m3)
試料ガス中のホルムアルデヒドを水に吸収さ
せた後,過酸化水素水(1+9),水酸化カリウ
ム溶液(0.05 mol/L)を加えて室温で30分間静
置し,ぎ酸に酸化する。これをイオンクロマト
グラフに導入し,クロマトグラムを記録する。
吸収瓶法
吸収液:水
液 量:25 mL a)×2 本,又は
50 mL b)×2 本
標準採取量:20 L
0.3〜12.3c)
(0.4〜16.6)c)
2.6〜123d)
(3.4〜166)d)
注a) 吸収瓶(容量100 mL)を用いたときの吸収液量。
b) 吸収瓶(容量250 mL)を用いたときの吸収液量。
c) 試料ガスを通した吸収液50 mLを100 mLに希釈して分析用試料溶液とした場合。ここに示した定
量範囲は,試料ガスの標準採取量,分析用試料液量及び検量線の最適範囲から求めたものである。
d) 試料ガスを通した吸収液100 mLを250 mLに希釈して分析用試料溶液とした場合。ここに示した定
量範囲は,試料ガスの標準採取量,分析用試料液量及び検量線の最適範囲から求めたものである。
定量範囲を超える濃度を測定する場合には,分析用試料溶液を定量範囲内に希釈して測定する。
A.3 試料ガス採取方法
試料ガスの採取方法は,次による。
A.3.1 試料ガス採取
試料ガスの採取は,箇条6による。
A.3.2 試薬及び試薬溶液の調製
試薬及び試薬溶液の調製は,次による。
a) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。
b) 水酸化カリウム JIS K 8574に規定するもの。
c) 吸収液 箇条4 f) に規定する水を用いる。
d) 過酸化水素水(1 + 9) 過酸化水素100 mLをとり,水900 mLを加える。冷暗所に保存する。
e) 水酸化カリウム溶液(0.05 mol/L)水酸化カリウム2.0 gをとり,少量の水に溶かした後,水を加えて
1 Lとする。
33
K 0303:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A.3.3 試料ガス採取用器具及び装置
試料ガスの採取用器具及び装置は,6.2による。
A.3.4 採取操作
採取操作は,6.2及び6.3に準じて行う。
なお,図1の吸収瓶(容量100 mL)(F1,F2)に,A.3.2 c)の吸収液25 mLをそれぞれ入れる。ホルムア
ルデヒドの体積分率が12 vol ppmを超える場合は,吸収瓶(容量250 mL)(F1,F2)に,A.3.2 c)の吸収液
50 mLをそれぞれ入れる。
A.3.5 分析用試料溶液及び分析用空試験用溶液の調製
分析用試料溶液及び分析用空試験用溶液の調製は,次による。
a) A.3.4の操作を行った後,吸収瓶(F1,F2)の内容液をビーカー300 mLに移し,更に吸収瓶などを水
で洗浄し,洗液も先のビーカー300 mLに移し入れる。
b) 吸収瓶(容量100 mL)を用いたときは,ビーカーの内容液を全量フラスコ100 mLに水で洗い移し,
水を標線まで加える。
c) b)の試料5〜25 mLの一定量を全量フラスコ50 mLにとり,これに水酸化カリウム溶液(0.05 mol/L)
5 mLと過酸化水素水(1+9)5 mLを加え,更に水を標線まで加え,室温で30分間静置する。これを
分析用試料溶液とする。
d) 容量100 mLの吸収瓶を用いたときは,b)の試料の5〜25 mLの一定量を正確に全量フラスコ50 mLに
とり,水酸化カリウム溶液(0.05 mol/L)5 mLを加え,更に水を標線まで加える。これを分析用空試
験用溶液とする。
e) 吸収瓶(容量250 mL)を用いたときは,ビーカーの内容液を全量フラスコ250 mLに水で洗い移し,
水を標線まで加える。c)と同様に操作して,分析用試料溶液を調製する。
f)
容量250 mLの吸収瓶を用いたときは,d)と同様に操作して,分析用空試験用溶液を調製する。
g) c)〜e)の溶液中に固形物が認められる場合には,分離カラムを閉塞するので,あらかじめ孔径0.45 µm
以下のフィルターでろ過して除去する。
A.3.6 試料ガス採取量の算出
試料ガス採取量の算出は,6.4による。
A.4 定量方法
A.4.1 試薬
a) ぎ酸ナトリウム JIS K 8267に規定するもの。
A.4.2 試薬溶液の調製方法
a) 溶離液 装置の種類及び使用する分離カラムの種類によって異なるので,測定対象イオンのぎ酸イオ
ン(HCOO−)を分離度(R)1.3以上で分離できるものを用いる。分離度の確認は,JIS K 0127の10.
[データの質の管理(精度管理)]による。
b) 再生液(除去液) サプレッサーの機能を再生又は連続的に維持するために用いる液体で,電気的又
は化学的に再生を行う場合に使用し,装置及びサプレッサーの種類に最適なものを用いる。
注記 再生液及び再生材の例を,次に示す。
1) 水 箇条4 f)の水を電気分解して再生液を生成する方式のサプレッサーに用いる。
2) 溶離液 検出器を通過した溶離液を電気分解して,再生液を生成する方式のサプレッサ
ーに用いる。
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K 0303:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3) 硫酸(12.5 mmol/L) JIS K 8951に規定する硫酸(1 mol/L)12.5 mLを水で1 Lとする。
これを再生液とする。
4) イオン交換樹脂 陽イオン交換体を溶出液に混合する。
c) ぎ酸イオン標準液(HCOO− 1 mg/mL) JIS K 8267に規定するぎ酸ナトリウムをあらかじめ105±
2 ℃で約2時間加熱し,デシケーター中で放冷する。その1.511 gをはかりとり,少量の水に溶かして
全量フラスコ1 000 mLに移し入れ,水を標線まで加える。
d) ぎ酸イオン標準液(HCOO− 0.1 mg/mL) ぎ酸イオン標準液(HCOO−:1 mg/mL)10 mLを全量フ
ラスコ100 mLにとり,水を標線まで加える。使用時に調製する。適宜,水で希釈して使用する。
A.4.3 器具及び装置
器具及び装置は,次による。
a) 試料導入器 分析用試料溶液の一定量を再現性よく装置に導入できる自動式のもの,又は装置内に組
み込まれた10〜250 µLの試料計量管の一定量を,シリンジ1〜10 mLを用いて導入する手動式のもの。
b) イオンクロマトグラフ イオンクロマトグラフには,サプレッサー方式とノンサプレッサー方式があ
り,いずれを用いてもよい。
1) 分離カラム 内径2〜8 mm,長さ30〜300 mmの不活性な合成樹脂製又は金属製の管に,陰イオン
交換体を充塡したもの。ぎ酸イオン(HCOO−)と隣接するイオンとが分離度1.3以上で分離できる
もの。
2) プレカラム 濃縮,予備分離及び異物除去のためのガードカラムで,必要に応じて分離カラムの前
に装着する。内径2〜6 mm,長さ5〜50 mmの不活性な合成樹脂製又は金属製の管に,分離カラム
と同種類の陰イオン交換体を充塡したもの。
3) サプレッサー 溶離液中のイオン種を電気伝導度検出器で高感度測定するために,溶離液を電気的
又は化学的に変化させて電気伝導率を低減するための器具。サプレッサーには,膜透析形,カラム
除去形及びサスペンジョン樹脂吸着形がある。
4) 検出器 電気伝導度検出器。
5) 記録部 JIS K 0127の4.2 f)(記録部)による。
A.4.4 定量操作
定量操作は,次による。
a) イオンクロマトグラフを測定可能な状態にし,分離カラムに溶離液を一定の流量(例えば,0.5〜
2 mL/min)で流しておく。サプレッサー付きの装置の場合には,分離カラムとサプレッサーの内側に
溶離液を流し,更にサプレッサーの外側には再生液を一定の流量で流しておく。
b) 試料導入器を用いて,A.3.5のc)又はe)で調製した分析用試料溶液10〜250 µLの一定量をイオンクロ
マトグラフに導入し,クロマトグラムを記録する。
c) クロマトグラム上のぎ酸イオン(HCOO−)に相当するピークについて,ピーク面積又はピーク高さを
求める。
d) A.5によって作成した検量線から,ぎ酸イオンの濃度(A)(mg/mL)を求める。
e) A.3.5のd)又はf)の分析用空試験用溶液について,b)の導入量と同じ量を用い,b)及びc)に準じて操作
し,ぎ酸イオンの空試験値(B)(mg/mL)を求める。
f)
(A)−(B)から試料溶液中のぎ酸イオンの濃度(mg/mL)を求める。
A.5 検量線の作成
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検量線の作成は,次による。
a) A.4.2d)に示したぎ酸イオン標準液(HCOO−:0.1 mg/mL)の1〜50 mLを全量フラスコ100 mLに段階
的にとり,水を標線まで加え,その濃度をそれぞれ求めておく。ぎ酸イオン標準液は,予測する試料
濃度に応じ,1〜10 mL,5〜50 mLのいずれかの範囲の数点をとる。
なお,吸収瓶(容量250 mL)を用いた場合には,ぎ酸イオン標準液(HCOO−:0.1 mg/mL)1.0〜
50.0 mLを全量フラスコ250 mLに段階的にとり,水を標線まで加えた後,同様の操作を行って検量線
を作成する。
b) A.4.4のb)及びc)の操作を行い,それぞれのぎ酸イオン濃度に相当するピーク面積又はピーク高さを
求める。
c) 別に空試験として,水についてA.4.4のb)及びc)の操作を行い,HCOO−イオンに相当するピーク面積
又はピーク高さを求める。
d) 空試験値を補正したピーク面積又はピーク高さとHCOO−イオン濃度との関係線を作成する。
e) 検量線の作成は,試料測定時に行う。
A.6 計算
試料ガス中のホルムアルデヒドの濃度算出は,次の式による。
000
1
)
(
498
.0
S
V
×
×
×
V
v
b
a
C
−
=
000
1
)
(
667
.0
S
W
×
×
×
V
v
b
a
C
−
=
CW=CV×1.34
ここに,
CV: 試料ガス中のホルムアルデヒドの体積分率(vol ppm)
CW: 試料ガス中のホルムアルデヒドの質量濃度(mg/m3)
a: A.4.4 d)で求めたぎ酸イオンの濃度(mg/mL)
b: A.4.4 e)の空試験で求めたぎ酸イオンの濃度(mg/mL)
v: 全量フラスコの容量[100 mLの場合は100,250 mLの場
合は250(mL)]
VS: 6.4によって算出した試料ガス採取量(L)
(乾きガス量の場合はVSD,湿りガス量の場合はVSW)
0.498: HCOO−イオン1 mgに相当するホルムアルデヒド
(HCHO)の体積(mL)(標準状態)
0.667: ぎ酸イオン1 mgに相当するホルムアルデヒド(HCHO)
の質量(mg)
1.34: ホルムアルデヒド体積分率1 ppmに相当するホルムアル
デヒドの質量濃度(mg/m3)(30.03/22.41による。)
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附属書B
(規定)
クロモトロープ酸吸光光度法
B.1
適用上の留意点
この附属書は,クロモトロープ酸吸光光度法によって,排ガス中のホルムアルデヒドを分析する方法に
ついて規定する。この方法は,試料ガス中に二酸化硫黄,二酸化窒素などが共存すると影響を受けるため,
その影響を無視又は除去できる場合に適用する。ホルムアルデヒド以外のアルデヒド類の共存によって僅
かに正の妨害が生じ,エタノール,高分子量のアルコール,オレフィン,芳香族炭化水素,シクロヘキサ
ンなどの共存によって,僅かに負の誤差を生じる。また,フェノールは,8倍量共存した場合,10〜20 %
の負の誤差を生じる。
B.2
分析方法の種類及びその概要
分析方法の概要は,表B.1による。
表B.1−分析方法の概要
分析方法
試料採取
定量範囲b)
vol ppm
(mg/m3)
試料ガス中のホルムアルデヒド
を亜硫酸水素ナトリウム溶液に
吸収させた後,酸性とし,クロモ
トロープ酸溶液を加えて発色さ
せ,吸光光度定量する。
[吸収瓶法]
吸収液:亜硫酸水素ナトリウム
溶液(10 g/L)
液量:40 mLa)×2 本
標準採取量:2〜20 L
0.4 〜 75
(0.5 〜100)
注a) 吸収瓶(容量100 mL)を用いたときの吸収液量。
b) 試料ガスを通した吸収液40 mL×2を100 mLに希釈して分析用試料溶液とした場合。
B.3
試料ガス採取方法
B.3.1 試料ガス採取装置
試料ガスの採取装置は,6.2.1及び6.2.2 a)に準じる。
B.3.2 試薬及び試薬溶液の調製
試薬及び試薬溶液の調製は,次による。
a) 亜硫酸水素ナトリウム JIS K 8059に規定するもの。
b) 吸収液[亜硫酸水素ナトリウム溶液(10 g/L)] 亜硫酸水素ナトリウム10 gをはかりとり,水に溶か
して1 000 mLとする。使用時に調製する。
B.3.3 採取操作
試料ガスの採取操作は,6.3による。ただし,吸収液は,B.3.2 b)の亜硫酸水素ナトリウム溶液を用いる。
B.3.4 分析用試料溶液の調製
分析分析用試料溶液の調製は,次による。
a) 6.3の操作を行った後,吸収瓶(F1,F2)の内容液をビーカー100 mLに移し,更に吸収瓶などを少量
の水で洗浄し,洗液をビーカー100 mLに合わせる。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) ビーカーの内容液を全量フラスコ100 mLに移し入れ,水を標線まで加える。これを分析用試料溶液
とする。
B.3.5 試料ガス採取量の算出
試料ガス採取量の算出は,6.4による。
B.4
定量方法
B.4.1 試薬及び試薬溶液の調製
B.4.1.1 試薬
試薬は,次による。
a) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
b) クロモトロープ酸二ナトリウム二水和物 JIS K 8316に規定するもの。
B.4.1.2 試薬溶液の調製
試薬溶液の調製は,次による。
a) クロモトロープ酸溶液 クロモトロープ酸二ナトリウム二水和物1 gを水100 mLに溶かす。この溶液
は着色瓶に入れて冷暗所に保存し,1週間以上経過したものは用いない。
b) ホルムアルデヒド標準液(HCHO 2 µg/mL) 8.1.3.2 e)による。
B.5
装置
装置は,分光光度計又は光電光度計による。
B.6
定量操作
定量操作は,次による。
a) B.3.4で調製した分析用試料溶液4 mLを全量フラスコ10 mLにとる。
b) クロモトロープ酸溶液0.1 mLを加え,栓をして振り混ぜる。
c) 全量フラスコ10 mLを水冷しながら,硫酸5 mLを少量ずつ注意して加え,軽く栓をしてから静かに
振り混ぜた後,水を標線まで加える。
d) 95 ℃の水浴上で15分間加熱する。
e) 室温まで冷却後,溶液の一部を吸収セル10 mmにとり,水を対照液として波長580 nm付近における
吸光度を測定する。
f)
B.7によって作成した検量線からホルムアルデヒドの質量(µg)を求める。
g) 全量フラスコ10 mLに吸収液4 mLをとり,b)〜e)に準じて操作し,空試験値を求める。
B.7
検量線の作成
検量線の作成は,次による。
a) ホルムアルデヒド標準液(HCHO 2 µg/mL)0.2〜4.0 mLを段階的に数個の全量フラスコ10 mLにと
り,吸収液を加えて4 mLとする。
b) B.6のb)〜e)の操作を行う。吸光度の測定は,吸収液4 mLだけを加えて操作した液を対照液とする。
c) ホルムアルデヒドの質量(µg)と吸光度との関係線を作成する。
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B.8
計算
試料ガス中のホルムアルデヒドの濃度算出は,次の式による。
4
100
)
(
746
.0
S
V
×
×
V
b
a
C
−
=
CW=CV×1.34
ここに,
CV: 試料ガス中のホルムアルデヒドの体積分率(vol ppm)
CW: 試料ガス中のホルムアルデヒドの質量濃度(mg/m3)
a: B.6 f)の操作で求めたホルムアルデヒドの質量(µg)
b: B.6 g)の操作の空試験で求めたホルムアルデヒドの質量
(µg)
VS: 6.4によって算出した標準状態の試料ガス採取量(L)
(乾きガス量の場合はVSD,湿りガス量の場合はVSW)
0.746: ホルムアルデヒド(HCHO)1 µgに相当する体積(L)
(標準状態)
1.34: ホルムアルデヒド(HCHO)1 ppm(体積分率)に相当
する質量濃度(mg/m3)
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附属書C
(参考)
検知管法
C.1 適用上の留意点
検知管法は,日常の環境管理,又はスクリーニングを目的として行うための簡易法であり,検知管法に
よって得られた測定結果をもって排出規制値と直接比較するものではない。
C.2 検知管法の概要
検知管法の概要は,表C.1による。検知管法は,ホルムアルデヒドと試薬との反応原理によって2種類
に大別できる。検知管の反応原理によって排ガスに共存する他のガス成分の影響(妨害物質)の程度が異
なるので,検知管の仕様書,技術資料などを調査して適用の可否を検討する必要がある。
表C.1−検知管法の概要
反応原理
試料採取
mL
定量範囲
vol ppm
主な妨害ガス
りん酸ヒドロキシルアミンと反応
して,りん酸が遊離し指示薬が変
色する。
検知管用真空法ガス採取器
50,100,200
8 〜 6 400
アルデヒド類
ケトン類
メタノール
芳香族炭化水素,発煙硫酸と反応
して脱水縮重合物を生成し,変色
する。
検知管用真空法ガス採取器
50,100,200,300
1 〜 100
スチレン
トリクロロエチレン
酢酸エチル
ジエチルエーテル
アセトアルデヒド
C.3 装置及び器具
検知管法に用いる装置及び器具は,次による。
C.3.1 検知管
JIS K 0804の5.2(検知管の品質及び性能)に規定した検知管でホルムアルデヒド用のもの。
C.3.2 ガス採取器
JIS K 0804の4.1(ガス採取器の種類)に規定するシリンダー形のもので,かつ,5.1(ガス採取器の品
質及び性能)の要件を満足するもの。
C.3.3 試料ガス採取
試料ガスの採取は,通常,ガス採取器への直接採取による。その際,図C.1に例示する構成で行うこと
が望ましい。ただし,試料ガスの吸引流量は,0.5〜1 L/minとする。煙道内が負圧の場合,検知管に規定
量の試料ガスが通気できず,検知管指示値は低めの値を示すので注意する。検知管での試料ガス採取時に,
湿式ガスメーターの指針又はカウンタが作動していることを確認しながら採取する。
なお,図C.1 b)の反応排ガスの採取用四ふっ化エチレン樹脂管(L)が長い場合は,デッドスペースが誤
差要因となることがあるため,樹脂管内を試料ガスで十分置換してから測定を行う。
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A:試料ガス採取管
B:検知管挿入口(シリコーンゴム)
C:検知管
D:ガス採取器
E:温度計
F:検知管取付け
G:ピストン
H:乾燥管
I1,I2:流量調節コック
J:吸引ポンプ
K:湿式ガスメーター
L:四ふっ化エチレン樹脂管
M:接続ゴム管(シリコーンゴム)
a) 排ガス温度が高い場合の試料採取例(燃焼排ガスなど)
b) 反応排ガスなどの試料採取例
図C.1−試料ガス採取装置の例
C.4 測定手順
C.4.1 測定準備
測定準備は,次による。
a) 測定点における温度を測定し,検知管の仕様書に示されている使用範囲内であることを確認する。
b) 使用する検知管の温度を測定場所の温度になるようにする。また,このときに直射日光に当たらない
ように注意する。
なお,冷蔵庫などで冷暗所に保管していた検知管などを使用する場合は,外気温と同温になってか
ら使用する。
c) 取扱説明書に従ってガス採取器の漏れ試験を行う。
C.4.2 測定
測定は,次による。
a) 検知管の両端をチップカッタなどで折り取り,検知管表面に印刷されている矢印の向きに試料ガスが
流れるように,検知管の試料ガス入口側を,試料ガス採取装置が図C.1 a)の場合は検知管挿入口(シ
リコーンゴム)(B)の位置に,図C.1 b)の場合は接続ゴム管(M)の位置に接続し,検知管の出口側
をガス採取器の検知管取付口へ接続する。
b) ガス採取器のハンドルを一気に引いてシャフトをロックし,その検知管について規定された時間放置
する。
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c) 吸引終了後,速やかに検知管を取り外し,変色層の先端の濃度目盛を読み取る。
検知管によっては,通気終了後の時間の経過によって変色した色が退色又は変色層の長さが変化す
る場合があるので,通気終了後に変色層の先端に印を付け,速やかに読み取り,変色層の先端面が斜
めの場合には,中間点を濃度として読み取る。また,必要に応じて取扱説明書に従い温度補正を行う。
d) 濃度単位の換算が必要な場合は,次の式によって行う。
Cw=Cv×1.34
ここに,
Cw: ホルムアルデヒドの質量濃度(mg/m3)
Cv: 検知管で読み取った体積分率(vol ppm)
C.5 検知管の廃棄
産業廃棄物として廃棄するが,各検知管の取扱説明書に従って処理する。不明な場合には製造元に問い
合わせる。
参考文献 JIS K 0804 検知管式ガス測定器(測長形)