K 0212:2016
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 分類······························································································································· 1
3 用語及び定義··················································································································· 1
3.1 一般 ···························································································································· 1
3.2 波長 ··························································································································· 12
3.3 光源,分光器,検出器及びセル ······················································································· 13
3.4 原子スペクトル分析法 ··································································································· 16
3.5 吸光光度分析法・蛍光分光分析法 ···················································································· 21
3.6 バイオ関連光分析法 ······································································································ 23
3.7 非線形分光分析法 ········································································································· 24
3.8 顕微分光分析法・近接場分光分析法・イメージング ···························································· 25
3.9 赤外吸収分光法・ラマン散乱分光法 ················································································· 29
3.10 X線分析法 ················································································································· 31
参考文献 ···························································································································· 37
K 0212:2016
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本
分析化学会(JSAC)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を
改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で
ある。
これによって,JIS K 0212:2007は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 0212:2016
分析化学用語(光学部門)
Technical terms for analytical chemistry (optical part)
1
適用範囲
この規格は,分析化学における光学部門で用いる主な用語及びその定義について規定する。この規格に
取り上げる用語は,X線からテラヘルツ光までの波長領域のものとする。
2
分類
用語の分類は,次による。
a) 一般
b) 波長
c) 光源,分光器,検出器及びセル
d) 原子スペクトル分析法
e) 吸光光度分析法・蛍光分光分析法
f)
バイオ関連光分析法
g) 非線形分光分析法
h) 顕微分光分析法・近接場分光分析法・イメージング
i)
赤外吸収分光法・ラマン散乱分光法
j)
X線分析法
3
用語及び定義
用語及び定義は,次による。
a) 二つ以上の用語を並べた場合には,その順位に従って優先使用する。
b) 誤解のおそれのある用語には,用語の後の丸括弧内に使用分野を示す。
c) 用語のアルファベットの略語のうち,汎用のものには参考としてその“よみ”を入れる。
d) 対応英語(参考)でコンマ“,”を挟んで二つ以上併記してあるものは,それぞれ同義語又は略語であ
る。
3.1
一般
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
1001
アクチノメー
ター
あくちのめーたー
光反応を利用して,放射線,紫外線などの光量
を測定する機器。
actinometer
2
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
1002
位相コントラ
スト
いそうこんとらす
と
光が屈折率の違う物体を通過するときの直接光
と回折光との位相のずれを利用して得られるコ
ントラスト。
注記 物体近縁での屈折率の違いによって近縁
が強調された画像が得られる。吸収コン
トラストに対比して用いる。
phase contrast
1003
色ガラスフィ
ルター
いろがらすふぃる
たー
着色したガラスによって,必要とする波長の光
を取り出す光学フィルター。
optical colored filter
1004
SN比
えすえぬひ
分析目的に由来する信号(応答値)Sと,主と
して偶然誤差に基づく信号の偏差(ノイズ)N
との強度比。
signal-to-noise ratio,
SN ratio
1005
SB比
えすびーひ
分析目的に由来する信号(応答値)Sと,バッ
クグラウンドに由来する信号Bとの強度比。
signal-to-background
ratio,
SB ratio
1006
エッジフィル
ター
えっじふぃるたー
試料からの蛍光又はラマン散乱光を透過し,試
料からの光の中に含まれる励起光成分を遮断す
るための立ち上がりが急しゅん(峻)な透過特
性をもつフィルター。
edge filter
1007
エリプソメト
リー
えりぷそめとりー
試料に偏光を照射し,試料からの反射によって
生じるだ円偏光から,位相差及び振幅比を測定
する方法。
注記 主に薄膜試料の膜厚,屈折率などを測定
するために利用する。
ellipsometry
1008
円二色性,
円偏光二色性,
CD
えんにしょくせい,
えんへんこうにし
ょくせい
物質が同一波長の左円偏光と右円偏光とに対し
て異なる吸光度を示す現象。
注記 不斉分子の立体構造又は立体配座を決定
するために利用する。
circular dichroism,
CD
1009
回折
かいせつ
a) 光が直進しないで,物体の影の部分に回り
こむ現象。
b) 強度が断面内で一様でない光束において,
光線が直進しないで広がって進む現象。
注記 回折格子などの分散素子を用い,主に分
光目的に用いられる。
diffraction
1010
回折角
かいせつかく
回折光線が回折格子の面の法線となす角(鋭
角)。
diffraction angle
1011
回折効率
かいせつこうりつ
回折格子に入射した光のうち,回折光として取
り出す割合。
diffraction efficiency
1012
化学発光
かがくはっこう
化学反応によって生成した励起化学種が,より
低いエネルギー準位に遷移するとき放出する
光。
chemiluminescence
1013
化学発光法
かがくはっこうほ
う
化学反応によって生成した励起化学種からの発
光を,化学分析に利用する方法。
chemiluminescence
method
1014
拡散反射法
かくさんはんしゃ
ほう
拡散された反射光から反射率を求める方法。
diffused reflection
method
1015
可視スペクト
ル
かしすぺくとる
可視光の波長領域のスペクトル。
visible spectrum
1016
過渡回折格子
法
かとかいせつこう
しほう
試料中で同一波長の二つの励起レーザー光を微
小角度で交差させて干渉しま(縞)を生成し,
試料の光吸収による屈折率の変化を回折光強度
の変化として検出する方法。
transient grating
method
3
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
1017
干渉
かんしょう
a) 原子スペクトル分析などにおいて,共存物
の影響などによって分析値に誤差を生じる
現象。
注記 分光干渉,物理干渉,化学干渉,
イオン化干渉などがある。
b) 二つ以上の光が空間的に重なり合ったと
き,それらの相対的な位相差によって互い
に強め合う,又は弱め合う現象。
interference
1018
干渉計
かんしょうけい
光の干渉を利用して光路差などを測定する機
器。
注記 マイケルソン干渉計,マッハ・ツェンダ
ー干渉計,フィゾー干渉計などがある。
interferometer
1019
干渉図形,
インターフェ
ログラム
かんしょうずけい,
いんたーふぇろぐ
らむ
干渉計などからの信号を,光路差を横軸に,光
の強度を縦軸にとって示す図形。
interferogram
1020
干渉性(光の) かんしょうせい
互いに干渉することができる光の性質。
coherence (of light)
1021
干渉フィルタ
ー
かんしょうふぃる
たー
薄膜又はその多重層膜の光の干渉作用を利用
し,必要とする波長の光を取り出す光学フィル
ター。
interference filter
1022
干渉分光法
かんしょうぶんこ
うほう
干渉計によって得られた信号にフーリエ変換な
どを行ってスペクトルを得る方法。
interferometry
1023
輝線
きせん
励起された原子,イオンなどが基底状態に遷移
するときに放射するエネルギーの明るいスペク
トル線。
注記 原子,イオンなどの種類によって固有の
単色光として現れる。
emission line,
bright line
1024
吸光光度分析
法
きゅうこうこうど
ぶんせきほう
特定の波長における光の吸収を測定して定性・
定量を行う方法。
absorption
spectrometry
1025
吸光度
きゅうこうど
試料を透過した光の強度(I)と,透過前の光の
強度(I0)との比を常用対数で表した数値。
注記 吸光度(Abs)は次による。
吸光度(Abs)=−log10(I/I0)
absorbance
1026
吸収(光の) きゅうしゅう
光が試料物質を通過するとき,反射又は散乱に
よらずその物質とのエネルギー授受によって,
その強度が減少する現象。
absorption (of light)
1027
吸収極大
きゅうしゅうきょ
くだい
吸収バンドの波長領域内で極大の吸収を示す箇
所。
absorption maximum
1028
吸収コントラ
スト
きゅうしゅうこん
とらすと
光が透過率の違う物体を通過するときの透過光
強度の差を利用して得られるコントラスト。
注記 位相コントラストに対比して用いる。
absorption contrast
1029
吸収スペクト
ル
きゅうしゅうすぺ
くとる
光が試料によって吸収されて得られるスペクト
ル。
absorption spectrum
1030
吸収バンド
きゅうしゅうばん
ど
吸収スペクトルのうち,ある広がりをもつ吸収
を示す波長帯。
absorption band
1031
共鳴線
きょうめいせん
原子・イオン・分子に固有の基底状態と励起状
態との間の遷移に由来する光吸収又は放射によ
って観測される線スペクトル。
注記 原子スペクトル分析では,原子の基底状
態と励起状態との間の電子遷移に由来す
る共鳴線を測定する。
resonance line
4
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
1032
キラリティー,
掌性,
対掌性
きらりてぃー,
しょうせい,
たいしょうせい
ある分子構造が,その鏡像と重ね合わせること
ができない性質。
chirality
1033
近接線
きんせつせん
分析線に近接する線スペクトル。
neighboring line
1034
逆線分散
ぎゃくせんぶんさ
ん
分光器の分散度の表し方の一つであり,分光器
の焦点面上でdλの波長差の光が,距離dx 離れ
て検出されるとき,dλ/dxで示すもの。
reciprocal linear
dispersion
1035
屈折
くっせつ
光がその単色光成分の周波数を変えずに光学的
に不均質な媒質中を進むとき,又は異種の媒質
間の境界に入射するとき,位相速度の変化に応
じて伝搬方向が変わる現象。
refraction
1036
屈折計
くっせつけい
物質の屈折率を測定する機器。
refractometer
1037
屈折率
くっせつりつ
真空中の光の位相速度と媒質中の光の位相速度
との比。
注記 量記号はnで表す。
refractive index
1038
傾斜比法(吸
光光度分析
法の)
けいしゃひほう
成分M及び成分Aによって化合物MmAnを生成
するとき,過剰のMの存在下で,Aの濃度を変
化させて得られる吸光度とAの濃度との関係線
の傾き,及び過剰のAの存在下で,Mの濃度を
変化させて得られる吸光度とMの濃度との関
係線の傾斜の比から組成比(m:n)を求める方
法。
slope ratio method (for
absorption
spectrometry)
1039
光学異性
こうがくいせい
一般の物理的性質及び化学的性質は同じである
が,旋光性が逆向きを示す特性。
optical isomerism
1040
光学活性
こうがくかっせい
キラリティーをもつ分子が,入射光の偏光面を
回転させる性質。
optical activity
1041
光学純度
こうがくじゅんど
一対の光学対掌体からなる混合物中における,
一方の光学異性体の過剰な割合を純度として表
した数値。
注記 通常,一方の光学異性体の過剰量を全量
で除した百分率の鏡像体過剰率で表す。
optical purity
1042
光学対掌体,
キラル化合物
こうがくたいしょ
うたい,
きらるかごうぶつ
鏡像関係の化学構造をもつ一対のそれぞれの立
体異性体。
注記 一対の立体異性体のそれぞれは光学活性
である。
enantiomer,
chiral compound
1043
光学的零位法 こうがくてきれい
いほう
複光束方式の分光分析機器において,試料側の
光量と対照側の光量とが等しくなるように,対
照側に設置した光減衰器を調整し,その変位か
ら透過率を求める方法。
optical null method
1044
光学フィルタ
ー
こうがくふぃるた
ー
特定波長域の光を取り出すために用いる光学素
子。
optical filter
1045
光学分割
こうがくぶんかつ
ラセミ体をそれぞれの光学対掌体に分離する操
作。
optical resolution
1046
光源
こうげん
光分析において,測定に用いる光の放射体。
light source
5
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
1047
高周波
こうしゅうは
a) 周波数の高い電磁波。
注記 場合によって範囲は異なるが,交
流では数百 Hz以上をいう。
b) 工業用途に使用が許可されたラジオ波領域
の電磁波。
注記 分光分析用のプラズマ生成には,
13.56 MHz,27.12 MHz及び40.68
MHzが主に使用される。
a) high frequency
b) radio frequency,
RF
1048
光電子放出
こうでんしほうし
ゅつ
物質に光を当てたとき,光励起された物質内電
子が表面から外に放出される現象。
photoemission
1049
光電測光法
こうでんそっこう
ほう
光電子増倍管,半導体検出器などを用いて,ス
ペクトル線強度の測定を行う方法。
photoelectric detection
method
1050
光電池
こうでんち
金属,半導体などの内部光電効果を利用する測
定素子。
photovoltaic cell
1051
光電流
こうでんりゅう
電極などに光照射するとき,
a) 光によって誘起される電流。
b) 光照射下での全電流と非照射下での暗電流
との差。
photoelectric current
1052
光度滴定
こうどてきてい
試料溶液の吸光度の変化を追跡して終点を検知
する滴定。
注記 通常,指示薬を加え,その吸光度の変化
を測定する。
photometric titration
1053
光熱偏向分光
法,
PDS
こうねつへんこう
ぶんこうほう
励起光を吸収した試料から発生した熱によって
試料近傍の媒質に生じる屈折率の変化を,そこ
を通過するプローブ光が偏向することを利用し
て検出する測定法。
photothermal deflection
spectroscopy,
PDS
1054
コットン効果 こっとんこうか
旋光分散スペクトルにおいて,光学活性吸収帯
付近に正及び負の極大値をもつ曲線が現れる現
象。
注記 旋光異常分散ともいう。
cotton effect
1055
コヒーレンス
度
こひーれんすど
光波の干渉性の度合いを表す量。
degree of coherence,
coherence factor
1056
コヒーレント
光
こひーれんとこう
位相のそろった波形が空間的又は時間的に長く
保たれ干渉性をもつ光波。
coherent light
1057
散乱,
拡散(光分析
の)
さんらん,
かくさん
光が極めて小さい凹凸のある反射面に入射する
場合,又は極めて小さい粒子を含む媒質の中を
通過する場合に,光の進行方向が空間的に多く
の方向に変わる現象。
scattering,
diffusion (in
photometric analysis)
1058
紫外スペクト
ル
しがいすぺくとる
紫外線の波長領域で測定される吸収又は発光ス
ペクトル。
ultraviolet spectrum
1059
色度
しきど
色度座標によって定められる色刺激の性質。
chromaticity
1060
色度座標
しきどざひょう
3個で一組をなす三刺激値それぞれの,それら
の和に対する比。
注記 3個の色度座標の和は1になるので,それ
らのうちの2個で色度が定められる。
chromaticity
coordinates
1061
視斜角
ししゃかく
試料表面と入射光のなす角。
glancing angle
1062
自然光
しぜんこう
偏光特性をもたない光。
natural light
1063
深色効果
しんしょくこうか
吸収スペクトルにおいて,分子の化学構造の変
化によって長波長側に吸収極大が移動する現
象。
bathochromic effect
6
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
1064
時間分解分光
法
じかんぶんかいぶ
んこうほう
短時間の光のスペクトルをとる方法,及びそれ
を時系列的に観察する方法。
time resolved
spectroscopy
1065
自己吸収
じこきゅうしゅう
1本の輝線において,その輝線を放射している
物質と同一で,低エネルギー状態にある物質が
放射エネルギーを吸収する現象。
self absorption
1066
助色団
じょしょくだん
発色団と同一分子に存在し,可視吸収を起こさ
せる上において,発色団の作用を助ける原子団。
auxochrome
1067
スペクトル
すぺくとる
光を単色光成分に分解して波長若しくは光量子
のエネルギーの大きさの順に並べたもの,又は
一つの放射源から発生する電磁波の放射をプリ
ズム,回折格子などの分散体によって分散した
もの。
spectrum
1068
スペクトル純
度(光束の)
すぺくとるじゅん
ど
一つの光束の中に含まれている光の波長幅。
注記 光束のスペクトルの半値全幅,又はスペ
クトル中の95 %のエネルギーが集中して
いる幅などで定義される。
spectral purity (of light
beam)
1069
スペクトル線
幅
すぺくとるせんは
ば
スペクトル線の光強度の波長分布又はエネルギ
ー分布の幅。
spectral line width
1070
スペクトル幅 すぺくとるはば
光学系の出口スリットを出た光束のスペクトル
線幅を波長,エネルギーなどで表した値。
spectral band width
1071
スペクトル分
布曲線
すぺくとるぶんぷ
きょくせん
光源からの放射の強さを,波長,エネルギーな
どの関数として表す図。
spectral distribution
curve
1072
旋光計
せんこうけい
旋光性物質の旋光度を測る機器。
polarimeter
1073
旋光度
せんこうど
光学活性物質が偏光面を回転させる度合い。
注記 右旋の場合は+の,左旋の場合は−の角
度を表す。
angle of optical
rotation
1074
旋光分散,
ORD
せんこうぶんさん
光学異性体における旋光度が波長によって変化
する現象。
注記 特にコットン効果を解析対象とする。
optical rotatory
dispersion,
ORD
1075
旋光分散計
せんこうぶんさん
けい
試料の旋光分散を測定する機器。
spectropolarimeter
1076
浅色効果
せんしょくこうか
吸収スペクトルにおいて,分子の化学構造の変
化などによって短波長側に吸収極大が移動する
現象。
hypsochromic effect
1077
ゼラチンフィ
ルター
ぜらちんふぃるた
ー
着色したゼラチン膜をガラス板などで挟み込む
ことで,必要とする波長の光を取り出す光学フ
ィルター。
gelatin filter
1078
ゼロ合わせ
(透過パー
セントの)
ぜろあわせ
透過パーセントをゼロに合わせる操作。
zero adjustment (of
percent transmission)
1079
全反射,
内部全反射
ぜんはんしゃ,
ないぶぜんはんし
ゃ
屈折率の大きい媒質から小さい媒質に光が入射
するとき,特定の角(臨界角)以上の入射角で,
入射光のエネルギーが全て反射される現象。
total reflection,
total internal reflection
1080
全反射減衰法,
ATR
ぜんはんしゃげん
すいほう
屈折率の高いプリズムなどを介して,試料界面
に分析波長の光を全反射条件で入射させ,反射
光を測定することで,試料界面に存在する物質
の吸収スペクトルを得る方法。
attenuated total
reflection method,
ATR
7
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
1081
相関光音響分
光法,
c-PAS
そうかんひかりお
んきょうぶんこ
うほう,
しーぱす
励起光の周波数を変調させ,得られた信号を解
析して深さ方向の情報を得る光音響分光法。
correlational
photoacoustic
spectrometry,
c-PAS
1082
大気圧光イオ
ン化法,
APPI(液体ク
ロマトグラ
フィー質量
分析法の)
たいきあつひかり
いおんかほう
液体クロマトグラフィー質量分析法において,
光のエネルギーを用いてカラムからの溶出物を
イオン化する大気圧イオン化法。
atmospheric pressure
photo ionization,
APPI (for liquid
chromatography/
mass spectrometry)
1083
退色
たいしょく
化学反応,吸着,吸収などの結果,物質の示し
た色がうすくなる現象。
color fading
1084
対比法
たいひほう
測定精度を高めるため,濃度既知の外標準物質
についての信号強度と目的物質についての信号
強度との比を用いて検量線を作成し,分析する
方法。
ratio method
1085
濁度計
だくどけい
液体中に懸濁する粒子の程度を表す濁度を,光
学的に測定する機器。
turbidity meter
1086
濁度滴定
だくどてきてい
終点の検知に濁りを利用する滴定。
turbidimetric titration
1087
超音速ジェッ
ト分光法,
SSJS
ちょうおんそくじ
ぇっとぶんこう
ほう
微小ノズルから真空系内へ試料ガスを噴出拡散
させることによって得られる試料ビームを用い
る分光法。
注記 分子を瞬時に極低温に冷却して,分解能
のよいスペクトルを得る目的に用いる。
supersonic jet
spectroscopy,
SSJS
1088
テラヘルツ分
光法,
THz分光法
てらへるつぶんこ
うほう
テラヘルツ波の波長領域の光を用いた分光法。 terahertz spectroscopy,
THz spectroscopy
1089
デンシトメー
ター
でんしとめーたー
薄層クロマトグラフィー又は電気泳動法で展開
したバンドを走査しながら光学的に濃度を測定
する機器。
注記 光の反射又は吸収のいずれでも測定でき
る。
densitometer
1090
電磁波
でんじは
電界及び磁界が互いに直交して周期的に時間変
化しながら空間を伝っていく波。
electromagnetic wave
1091
透過
とうか
光がその単色光成分の波長を変えずに媒質を通
過する現象。
transmission
1092
透過パーセン
ト
とうかぱーせんと
透過率を百分率で表した値。
percent transmission
1093
透過率
とうかりつ
光が物質を透過する割合を,透過後の光強度と
透過前の光強度との比で表したもの。
transmittance
1094
等吸収点
とうきゅうしゅう
てん
2種類の化学種が共存する場合,両者が等しい
モル吸光係数を示す波長。
isosbestic point
1095
内標準線
ないひょうじゅん
せん
発光分光分析において,内標準法に用いる特定
の線スペクトル。
internal standard line
1096
内標準物質
ないひょうじゅん
ぶっしつ
内標準法において,標準として用いる物質。
internal standard
substance
1097
内標準法
ないひょうじゅん
ほう
特性の正確に知られている物質を試料に加える
か又は試料中の濃度既知の物質を標準として目
的の物質を定量する方法。
internal standard
method
8
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
1098
二波長測光方
式
にはちょうそっこ
うほうしき
測定試料に波長の異なる二つの単色光束を透
過,反射又は吸収させ,それらの光強度を測定
する方式。
double wavelength
spectrometry
1099
ニュートラル
デンシティ
フィルター,
NDフィルタ
ー
にゅーとらるでん
してぃふぃるた
ー
特定の波長領域内でほぼ一定の透過率を示すフ
ィルター。
neutral density filter
1100
熱レンズ分光
法
ねつれんずぶんこ
うほう
光熱偏向分光法の一種であり,熱レンズ効果を
利用する分光法。
thermal lens
spectrometry
1101
濃色効果
のうしょくこうか
吸収スペクトルにおいて,分子構造の変化など
によって,吸収バンドのモル吸光係数が増大す
る現象。
hyperchromic effect
1102
波数
はすう
単位長さ中にある波の数。
注記 赤外吸収分光法及びラマン散乱分光法で
は波数の単位としてcm−1をよく用いる。
wavenumber
1103
波長
はちょう
光波の隣り合う同位相の2点間を伝搬方向には
かった距離。
wavelength
1104
波長感度補正 はちょうかんどほ
せい
標準光源を用いて測定される,光スペクトルの
各波長の光出力補正係数を用いて行う波長感度
補正。
spectrum sensitivity
correction
1105
波長校正
はちょうこうせい
分光光度計の波長目盛を,既知波長の放射を与
える光源又は吸収を与える物質を用いて適切な
状態に補正する操作。
wavelength calibration
1106
波長シフト
はちょうしふと
吸収又は発光スペクトルの極大波長が移動する
現象。
注記 レッドシフトとブルーシフトとがある。
wavelength shift
1107
波長走査
はちょうそうさ
スペクトル測定のため波長を連続的に変化させ
る操作。
wavelength scanning
1108
波長分散
はちょうぶんさん
種々の波長成分を含む光が,プリズム,回折格
子などによって,波長ごとに空間的に分解され
る現象。
dispersion
1109
発光スペクト
ル
はっこうすぺくと
る
原子,分子などが励起状態から,エネルギーの
より低い状態へ遷移することによって放出され
る光のスペクトル。
emission spectrum
1110
発光分光分析
法,
AES,
OES
はっこうぶんこう
ぶんせきほう
光,熱,電気などのエネルギーを試料に与え,
試料を励起したときに放出される光のスペクト
ルを分光光度計で観測する定性・定量分析法。
atomic emission
spectrometry,
AES,
optical emission
spectrometry,
OES
1111
発色
はっしょく
化学反応,吸着,吸収などの結果,反応物質又
は生成物質に特有な色が現れる現象。
color development,
coloring
1112
発色試薬
はっしょくしやく
発色を行わせるために用いる試薬。
coloring reagent
1113
発色団
はっしょくだん
分子内にあって,吸収バンドの主要因となって
いる原子又は原子団。
chromophore
1114
発色反応
はっしょくはんの
う
試料物質又は分析種に特有な色を生じさせる反
応。
color (ing) reaction
1115
反射率
はんしゃりつ
光が物質,媒体の表面・界面などで反射される
ときの入射光強度に対する反射光強度の比。
reflectance,
reflectivity
9
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
1116
半値幅,
半値全幅,
FWHM
はんちはば,
はんちぜんはば
山形の分布曲線において,ピーク高さの1/2に
対応する分布の幅。
full width at half
maximum,
FWHM
1117
バックグラウ
ンド相当濃
度,
バックグラウ
ンド等価濃
度,
BEC
ばっくぐらうんど
そうとうのうど,
ばっくぐらうんど
とうかのうど
バックグラウンド強度に等しい信号強度を与え
る分析種の濃度。
background equivalent
concentration,
BEC
1118
バンドスペク
トル
ばんどすぺくとる
ある波長領域内において,帯状に現れるスペク
トル。
band spectrum
1119
バンドパスフ
ィルター
ばんどぱすふぃる
たー
特定の波長範囲の光だけを透過させることがで
きるフィルター。
band pass filter
1120
光音響分光法,
PAS
ひかりおんきょう
ぶんこうほう,
ぱす
断続的な照射光を吸収した試料が発生する熱
を,周期的な圧力変化(音響)として検出する
ことによってスペクトルを得る分光法。
photoacoustic
spectrometry,
PAS
1121
光分析
ひかりぶんせき
光の放射,吸収,散乱などを利用する分析。
photometric analysis
1122
光分析装置
ひかりぶんせきそ
うち
光の放射,吸収,散乱などを利用して分析する
装置。
optical and
spectrophotometric
analyzer
1123
非干渉性(光
の)
ひかんしょうせい
空間的又は時間的に離れた2点からの光波の間
に固定した位相関係がなく,干渉性をもたない
特性。
incoherence (of light)
1124
比色分析
ひしょくぶんせき
試料中の物質の濃度を色調変化から決定する化
学分析。
colorimetric analysis
1125
比濁分析,
比濁法
ひだくぶんせき,
ひだくほう
微小粒子を含む試料溶液について,透過光強度
から吸光度を測定すること,又は入射光と直交
する方向への散乱光強度を測定することによっ
て,試料溶液中の微小粒子の濃度を求める方法。
turbidimetry
1126
非分散
ひぶんさん
測定に用いる特定の波長帯の光を,分散素子を
用いることなく,光学フィルター,選択性検出
器などによって取り出して,分散素子を用いる
場合と同様な効果を得ること。
non-dispersion
1127
100合わせ
(透過パー
セントの)
ひゃくあわせ
機器の感度を調整して,試料ブランク又は参照
試料の測定時の分光透過パーセント目盛の指示
計の指示を100目盛に合わせる操作。
100 adjustment (for
percent
transmittance)
1128
標準添加法
ひょうじゅんてん
かほう
分取した試料溶液のそれぞれに異なる量の標準
溶液を加えて測定を行い,加えた標準溶液の量
と測定結果の指示値との関係線を作成し,濃度
軸の切片から試料溶液の濃度を求める方法。
standard addition
method
1129
比ろう法,
ネフェロ分析
ひろうほう,
ねふぇろぶんせき
比濁分析において,特に入射光と直交する方向
への散乱光強度を測定することによって,試料
溶液中の微小粒子の濃度を求める方法。
nephelometry
1130
微分分光法
びぶんぶんこうほ
う
スペクトルの微分曲線を求め,そのバックグラ
ウンドの除去又は微小変化の観測を行う方法。
derivative spectrometry
1131
フォトニック
結晶
ふぉとにっくけっ
しょう
屈折率が周期的に変化するナノ構造体で,光の
伝わり方が制御された材料。
photonic crystal
10
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
1132
ブーゲの法則,
ランバートの
法則
ぶーげのほうそく,
らんばーとのほう
そく
単色光が厚さをもった濃度一定の試料を透過す
るときに,透過光強度Iが試料の厚さxに対し
て指数関数的に減少する法則。
注記 透過光強度Iは次による。
I=I0×10−kx
ここに,I0:入射光強度
k:比例定数
Bouguerʼs law,
Lambertʼs law
1133
部分偏光
ぶぶんへんこう
電場の振動方向が不均一な光。
partially polarized light
1134
ブルーシフト ぶるーしふと
吸収極大波長の短波長側への移動。
blue shift
1135
分解能
ぶんかいのう
a) スペクトル上で近接する二つの輝線を分解
する能力。
注記 通常,逆線分散によってその性能
を表す。
b) 空間的に近接した二つの物体を個別に分解
する能力。
注記 通常,分解可能な二点間の最短距
離で表す。
a) resolution,
b) resolution,
resolving power
1136
分光器
ぶんこうき
a) 一つの光源からの光を分散させて一つの焦
点面上に波長順にスリット像を結像させる
機器。
b) a)の結像面に光検出器を装備した機器。
c) a)の機器でスペクトルを目視観察可能な機
器。
a) spectrometer,
b) spectrometer,
c) spectroscope
1137
分光光度計
ぶんこうこうどけ
い
分光器によって波長分散されたスペクトルを測
定する機器。
spectrometer,
spectrophotometer
1138
分光分析
ぶんこうぶんせき
物質が放射,散乱又は吸収する光のスペクトル
を利用して行う定性・定量分析。
spectrometry
1139
分散
ぶんさん
a) 種々の波長成分を含む光が,プリズム又は
回折格子によって波長に応じて空間的に分
かれる現象。
b) 光が物質の中を伝搬する場合,光学的性質
(屈折率など)が波長によって異なる現象。
dispersion
1140
分散素子
ぶんさんそし
種々の波長成分の光を含む光を波長ごとに分け
るための光学素子。
dispersive device
1141
分析線
ぶんせきせん
分光分析において,元素の定量に利用される特
定波長の線スペクトル。
analytical line
1142
プラズモン
ぷらずもん
金属中の自由電子の集団的振動の量子。
plasmon
1143
プラズモン励
起
ぷらずもんれいき
外部電場などによって引き起こされる金属表面
又はバルク中におけるプラズモン生成。
plasmon excitation
1144
プリズム
ぷりずむ
光を分散,屈折又は全反射させるために用いる
素子。
prism
1145
偏光
へんこう
電場及び磁場ベクトルの振動方向が規則的な
光。
注記 直線偏光,円偏光,だ円偏光などがある。
polarized light
1146
変色点(指示
薬の)
へんしょくてん
指示薬の色調が変化する点。
point of color change
(of indicator)
1147
放射
ほうしゃ
a) 電磁波(又は光子)によるエネルギーの放
出又はそれが伝搬する現象。
b) 放出又は伝搬する電磁波(又は光子)。
radiation
11
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
1148
マイケルソン
干渉計
まいけるそんかん
しょうけい
入射光をビームスプリッタで分け,それぞれを
固定鏡及び可動鏡によって反射させた後,再び
合成するもので,可動鏡を動かすことによって
光路差を変化させ干渉図形(インターフェログ
ラム)を得る光学系をもつ装置。
Michelson
interferometer
1149
ミクロフォト
メーター
みくろふぉとめー
たー
微小部分の透過率又は反射率を測定する機器。 microphotometer
1150
迷光
めいこう
分光器などで設計された光路を通らずに検出器
に検出される光。
stray light
1151
モル吸光係数 もるきゅうこうけ
いすう
物質の吸光度Aを,濃度1 mol L−1,光路長1 cm
当たりに換算した値で,物質の種類,波長,温
度などによって決まる定数ε(単位はcm−1
mol−1 L)。
注記 目的物質の濃度をc(mol L−1),光路長を
l(cm)として,ε=A/(cl)で表す。
molar absorptivity
1152
モル比法
もるひほう
成分M及び成分Aによって化合物MAnが生成
するとき,Mの濃度を一定にしてAの濃度を変
えた数種類の溶液について吸光度を測定し,そ
の湾曲点から組成比nを求める方法。
mole ratio method
1153
融球反応
ゆうきゅうはんの
う
金属などの化合物をほう砂,りん塩などととも
に熱するとき,ほう酸塩,りん酸塩などを生成
して,その金属特有の色をもったガラス状の融
球になる反応。
注記 ほう砂球反応,りん塩球反応などがある。
溶球反応ともいう。
bead reaction
1154
溶媒効果(ス
ペクトル分
析における)
ようばいこうか
溶液中の溶質の吸収又は発光などのスペクトル
に観測されるバンドが,溶媒の種類によって波
長シフト,形状又は強度の変化,出現・消滅な
どを起こす現象。
solvent effect (for
spectroscopic
analysis)
1155
ランバート-
ベールの法
則,
ランバート-
ベアーの法
則
らんばーと-べー
るのほうそく,
らんばーと-べあ
ーのほうそく
媒質に光束を透過させたとき,入射光束の強度
と透過光束の強度との関係を示す法則。
注記 強度I0の単色の入射光束が,媒質を通過
したとき,光の強度がIに減少する。こ
のときI0とIとの間に成り立つ,次の関
係式で表される法則をいう。
I=I0×10−εcl
ε:モル吸光係数(cm−1 mol−1 L)
c:濃度(mol L−1)
l:光路長(cm)
Lambert-Beerʼs law
1156
臨界角
りんかいかく
光が屈折率が大きい媒体から小さい媒体に入射
するとき,全反射が起きる最も小さな入射角。
注記 臨界角θcは次による。
θc=arcsin (n2/n1)
n1:入射元の媒体の屈折率
n2:進行先の媒体の屈折率
critical angle
1157
りん光
りんこう
電子励起状態の分子又は原子が多重度の異な
る,より低いエネルギーの準位に遷移する際に
放出する光。
phosphorescence
1158
ルミネセンス るみねせんす
物質が光,熱,化学反応などのエネルギーによ
って励起されて起こる発光現象。
luminescence
12
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
1159
レーザーアブ
レーション
れーざーあぶれー
しょん
レーザー光を試料表面に照射して構成物質を蒸
発させる操作。
laser ablation
1160
レーザー回折
(粒度分布
測定の)
れーざーかいせつ
レーザー光が粒子群によって回折・散乱される
現象。
注記 粒子径分布測定に用いる。
laser diffraction (for
particle size analysis)
1161
レーザー散乱
法
れーざーさんらん
ほう
レーザー光を試料に照射したとき発生する散乱
光を利用した分析法。
laser scattering method
1162
励起エネルギ
ー
れいきえねるぎー
原子・分子・イオンなどを励起状態に遷移させ
るために必要なエネルギー。
excitation energy
1163
励起スペクト
ル
れいきすぺくとる
特定波長の蛍光又はりん光強度を,励起光波長
の関数として図示するもの。
excitation spectrum
1164
レイリー散乱 れいりーさんらん
光を物質に照射したときに生じる散乱現象のう
ち,振動数変化を伴わない干渉性散乱。
注記 光の波長よりも十分小さいサイズの粒子
による光の散乱。
Rayleigh scattering
1165
レッドシフト れっどしふと
吸収極大波長の長波長側への移動。
red shift
1166
連続スペクト
ル
れんぞくすぺくと
る
エネルギーの放射が,ある波長領域にわたって
連続している場合のスペクトル。
continuous spectrum
1167
連続変化法
れんぞくへんかほ
う
成分M及び成分Aによって化合物MAnを生成
するとき,M及びAの総濃度を一定に保ち,そ
れぞれの混合比を変えた数種類の溶液について
吸光度を測定し,その極大を示す点から組成比
nを求める方法。
continuous variation
method
3.2
波長
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
2001
X線
えっくすせん
エネルギーが約10 eVから約100 keVまでの電
磁波。
注記 内殻電子の遷移によって放出される特性
X線(固有X線),運動している電子がエ
ネルギーを失うときに放出する連続X線
及びシンクロトロン放射がある。
X-ray
2002
遠赤外線
えんせきがいせん
波長が約25 μmより長い赤外線。
far infrared radiation,
far infrared light
2003
可視光
かしこう
目に入って,視感覚を起こすことができる光。
注記 光源という概念で用いる場合は,可視光
線という。一般に可視光の波長範囲の短
波長限界は360 nm〜400 nm,長波長限界
は760 nm〜830 nmにある。
visible light
2004
近赤外線
きんせきがいせん
波長が約2 500 nmより短い赤外線。
near infrared radiation,
near infrared light
2005
紫外光,
紫外線
しがいこう,
しがいせん
波長が,約10 nmより長く,約400 nmより短い
光。
注記 1 nm〜10 nmの光を極端紫外光というこ
ともある。
ultraviolet light,
ultraviolet radiation
2006
真空紫外線
しんくうしがいせ
ん
波長が約190 nmよりも短い紫外線。
vacuum ultraviolet
radiation,
vacuum ultraviolet light
13
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
2007
赤外光,
赤外線
せきがいこう,
せきがいせん
波長が約800 nmより長く,約1 mmより短い光。
注記 近赤外線及び遠赤外線を除いた赤外線
を,狭義の赤外線又は中赤外線ともいう。
infrared light,
infrared radiation
2008
テラヘルツ光,
テラヘルツ波
てらへるつこう,
てらへるつは
波長が約30 μmから3 mm(周波数が0.1 THz〜
10 THz)の領域の光。
注記 短波長側は遠赤外線と重なる。
terahertz radiation,
terahertz wave
2009
マイクロ波
まいくろは
a) おおむねGHz以上の振動数をもつ電磁波。
b) 工業用途に使用が許可されたGHz領域の電
磁波。
注記 分光分析用のプラズマ生成には,2.45
GHzのマイクロ波が主に使用される。
microwave
3.3
光源,分光器,検出器及びセル
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
3001
アーク光源
あーくこうげん
分光学的測定のために,電極間にアーク放電を
行わせる光源。
arc source
3002
EMCCD,
EM-CCD
いーえむしーしー
でぃー,
いーえむ-しーし
ーでぃー
CCDの読み出し信号を,電子増倍レジスタを用
いて大きな倍率で電流を増幅し,微弱光の画像
化を実現するイメージセンサー。
EMCCD,
EM-CCD
3003
イメージセン
サー
いめーじせんさー
光学画像を検出してディスプレイに表示した
り,コンピュータに記録したりする信号を発生
する装置。
image sensor
3004
InGaAsフォ
トダイオー
ドアレイ検
出器
いんじうむがりう
むひそふぉとだ
いおーどあれい
けんしゅつき
一次元又は二次元に多数並べた小さなInGaAs
フォトダイオード検出器を用いて,それぞれの
位置に入射した赤外光の強さを測定できるよう
にした検出器。
注記 主に分光器と組み合わせることで,赤外
領域におけるスペクトル測定に利用され
る。
InGaAs photodiode
array detector
3005
エシェル格子,
エシェル回折
格子
えしぇるこうし,
えしぇるかいせつ
こうし
きょ(鋸)歯状の直線溝を刻み,溝の急傾斜面
側に光を入射させ,高次の回折線が得られるよ
うにした回折格子。
echelette grating
3006
炎光光度検出
器,
FPD(ガスク
ロマトグラ
フィーの)
えんこうこうどけ
んしゅつき
カラムからの溶出成分を還元性の連続水素炎又
は断続的水素炎中で分解して発光させ,硫黄,
りん及びすずを含む有機化合物を高感度で選択
的に検出するガスクロマトグラフ用検出器。
flame photometric
detector,
FPD (for gas
chromatography)
3007
円二色性検出
器
えんにしょくせい
けんしゅつき
円二色性を利用して,光学活性成分を検出する
機器。
circular dichroism
detector
3008
回折格子
かいせつこうし
平面又は曲面に格子状の溝を刻み,光の回折現
象を利用する分散素子。
diffraction grating
3009
化学発光検出
器
かがくはっこうけ
んしゅつき
化学発光又は生物発光を利用する検出器。
chemiluminescence
detector
3010
加分散型トリ
プルモノク
ロメーター
かぶんさんがたと
りぷるものくろ
めーたー
加分散型分光器の後段に,波長分散機能をもつ
分光器を配置し,高分解能となる三段構成の分
光器。
additive triple
monochromator
3011
加分散型分光
器
かぶんさんがたぶ
んこうき
初段及び二段目とも波長分散機能をもつ高分解
能の分光器。
additive
monochromator
14
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
3012
ガス吸収セル,
ガスセル,
気体吸収セル
がすきゅうしゅう
せる,
がすせる,
きたいきゅうしゅ
うせる
光吸収を測定するために,気体試料を入れる容
器。
gas absorption cell,
gas cell
3013
キセノンラン
プ
きせのんらんぷ
高圧で封入したキセノン中でのアーク放電を用
いた放電管。
注記 紫外領域から近赤外領域までの強い連続
スペクトルを与える。
xenon lamp
3014
吸光光度検出
器
きゅうこうこうど
けんしゅつき
吸光度変化を検出する機器。
absorption detector
3015
吸収セル
きゅうしゅうせる
光の吸収を測定するために試料,対照物質など
を入れる容器。
absorption cell
3016
原子発光検出
器(ガスク
ロマトグラ
フィーの)
げんしはっこうけ
んしゅつき
ガスクロマトグラフィーにおいて,カラムから
の溶出物をプラズマ化し,原子固有の発光スペ
クトル線を検出する機器。
atomic emission
detector (for gas
chromatography)
3017
光電管
こうでんかん
光の照射によって電子を放出する陰極及び電子
を受けとる陽極をガラス管内に封入したもの
で,管内に中間電極を備えていない光検出素子。
phototube
3018
光電子増倍管,
PMT
こうでんしぞうば
いかん
光電効果を利用して光エネルギーを電気エネル
ギーに変換する光電管と,これによって得られ
た微弱な光電子(微弱電流)を増幅する二次電
子増倍管を組み合わせた光検出器。
photomultiplier tube,
PMT
3019
光電面
こうでんめん
光検出器において,光電効果を生じる面。
photoelectric surface
3020
光度計
こうどけい
光の強度を測定する機器。
photometer
3021
コリメーター こりめーたー
平行光束を作るための光学素子又は機器。
collimator
3022
差分散型トリ
プルモノク
ロメーター
さぶんさんがたと
りぷるものくろ
めーたー
差分散型分光器の後段に,波長分散機能をもつ
分光器を配置する,三段構成の分光器。
subtractive triple
monochromator
3023
差分散型分光
器
さぶんさんがたぶ
んこうき
初段の分光器で波長分散されたスペクトルの波
長λ1からλ2の光をスリットで選択し,その光を
二段目の分光器で波長λ1からλ2が混ざった光束
として取り出す分光器。
subtractive
monochromator
3024
シーケンシャ
ル型分光器
しーけんしゃるが
たぶんこうき
分散素子を制御することによって,一連のスペ
クトル線の強度を順次測定する分光器。
注記 1本のスペクトル線だけを測定すること
もある。
sequential scanning
spectrometer
3025
CMOSイメ
ージセンサ
ー,
CMOS
しーもすいめーじ
せんさー
受光素子にたまる電荷から画像信号を得るイメ
ージセンサー。
注記 露光・信号増幅・読み出しをピクセルご
とに行う方式であり,動作電力が比較的
小さい。
CMOS image sensor,
CMOS
3026
紫外・可視吸
光検出器
しがい・かしきゅ
うこうけんしゅ
つき
紫外・可視領域での光の吸収を利用して分析種
を検出する機器。
ultraviolet-visible
absorption detector
3027
示差屈折率検
出器,
RID
しさくっせつりつ
けんしゅつき
溶離液と分析種との屈折率の差を用いて測定す
る液体クロマトグラフ用検出器。
refractive index
detector,
RID
15
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
3028
シングルモノ
クロメータ
ー
しんぐるものくろ
めーたー
一つの回折格子又はプリズムなど,単一の分散
素子を用いるモノクロメーター。
single monochromator
3029
重水素放電管,
重水素ランプ
じゅうすいそほう
でんかん,
じゅうすいそらん
ぷ
真空中にごく低圧で封入した重水素中でのアー
ク放電を利用する放電管。
注記 紫外部の連続スペクトル光源として用い
る。
deuterium lamp
3030
蒸発光散乱検
出器(液体
クロマトグ
ラフィーの)
じょうはつひかり
さんらんけんし
ゅつき
液体クロマトグラフィーにおいて,溶離液(移
動相)を蒸発させたあとに残る分析種からの散
乱光を検出する機器。
evaporative light
scattering detector
(for liquid
chromatography)
3031
水素放電管
すいそほうでんか
ん
真空管中にごく低圧で封入した水素の中でのア
ーク放電を利用する放電管。
注記 紫外部の線スペクトル光源として用い
る。
hydrogen lamp
3032
スリット
すりっと
光学系において,光束を規制するための狭い隙
間。
slit
3033
スリット幅
すりっとはば
平行に開いているスリットの間隔。
注記 ミリメートル(mm)又はマイクロメート
ル(μm)単位で表す。
slit width
3034
石英ガラス
せきえいがらす
二酸化けい素製のガラス。
注記 紫外,可視及び近赤外の領域にわたって
透過率が高い。
quartz glass
3035
赤外分光検出
器(クロマ
トグラフィ
ーの)
せきがいぶんこう
けんしゅつき
赤外波長領域の光吸収を利用して分析種を検
出・同定する機器。
infrared
spectro-detector (for
chromatography)
3036
積分球
せきぶんきゅう
散乱性の高い試料に光を照射した際の透過,反
射,吸収,及び試料からの発光を測定する目的
で,試料からの光を定めた立体角内全体にわた
って集光するための機器。
integrating sphere
3037
旋光度検出器 せんこうどけんし
ゅつき
旋光度を利用して光学活性成分を検出する機
器。
optical rotation
detector
3038
タングステン
ランプ
たんぐすてんらん
ぷ
タングステンフィラメントによるふく(輻)射
を利用する光源用ランプ。
注記 320 nm以上の長波長域の連続スペクトル
光源として用いる。
tungsten lamp
3039
単光束方式
たんこうそくほう
しき
光度計及び分光光度計において,光源から検出
部までの間で,光路が分岐しない光学系の方式。
single beam
3040
ダブルモノク
ロメーター
だぶるものくろめ
ーたー
二つのシングルモノクロメーターを光学的に直
列に配置したモノクロメーター。
注記 加分散型と差分散型とがある。
double monochromator
3041
低圧水銀ラン
プ
ていあつすいぎん
らんぷ
真空管中に0.1 Paから1.0 Pa程度封入した水銀
のアーク放電を利用する放電管。
注記 干渉フィルターと組み合わせ,光電光度
計の線スペクトル光源,又は水銀測定用
線スペクトル光源として用いる。
low pressure mercury
lamp
3042
電荷結合素子,
CCD
でんかけつごうそ
し
金属酸化膜半導体技術を活用し,表面蓄積又は
情報伝達を行う自走査の半導体撮像素子。
charge-coupled device,
CCD
16
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
3043
同時測定型分
光器
どうじそくていが
たぶんこうき
複数のスペクトル線の強度を同時測定する分光
器。
simultaneous
spectrometer
3044
発光ダイオー
ド,
LED
はっこうだいおー
ど
二つの半導体の接触面(pn接合)付近において,
順方向にバイアス電圧を印加したとき,p領域
には電子が,n領域には正孔が注入され,これ
らの再結合によって発生する光を利用した発光
素子。
light emitting diode,
LED
3045
ハロゲンラン
プ
はろげんらんぷ
タングステンランプに微量のハロゲン元素を封
入した光源用ランプ。
halogen lamp
3046
光イオン化検
出器,
PID(ガスク
ロマトグラ
フィーの)
ひかりいおんかけ
んしゅつき
紫外線を照射して分析種をイオン化し,そのイ
オン電流変化を測定するガスクロマトグラフ用
検出器。
photo ionization
detector,
PID (for gas
chromatography)
3047
光伝導セル
ひかりでんどうせ
る
光の照射によって抵抗が変化する現象を利用し
た光検出素子。
photoconductive cell
3048
光半導体検出
器,
フォトダイオ
ード検出器
ひかりはんどうた
いけんしゅつき,
ふぉとだいおーど
けんしゅつき
化合物結晶又は混晶からなる半導体の光検出素
子。
photodiode detector
3049
フォトダイオ
ードアレイ
検出器,
PAD,
PDA
ふぉとだいおーど
あれいけんしゅ
つき
一次元又は二次元に多数並べた小さなフォトダ
イオード検出器を用いて,それぞれの位置に入
射した光の強さを測定できるようにした検出
器。
注記 主に分光器と組み合わせることで,スペ
クトル測定に利用される。
photodiode array
detector,
PAD,
PDA
3050
複光束方式
ふくこうそくほう
しき
光度計及び分光光度計において,光源からの光
束を二つに分け,一方を試料に,他方を対照物
質に照射する光学系の方式。
注記 両者の信号強度(通常は吸収強度)の差
(又は比など)を試料の信号強度とする。
double beam
3051
フラットフィ
ールド凹面
回折格子
ふらっとふぃーる
どおうめんかい
せつこうし
分光された光がフォトダイオードアレイ又は
CCDアレイ素子面に,できるだけ平たん(坦)
に照射されるように設計された凹面の回折格
子。
flat field concave
grating
3052
ポリクロメー
ター
ぽりくろめーたー
入射光を分散素子によって波長ごとに分け,波
長ごとの光強度を同時に取り出す機器。
polychromator
3053
モノクロメー
ター
ものくろめーたー
分散素子によって特定の波長の単色光を取り出
す機器。
monochromator
3054
レーザーダイ
オード,
LD
れーざーだいおー
ど
レーザー発振に用いる半導体。
laser diode,
LD
3.4
原子スペクトル分析法
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
4001
アーク線
あーくせん
アーク又はフレームによって励起された原子・
イオンなどから放射される線スペクトル。
arc line
17
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
4002
アーク放電
あーくほうでん
主として陰極からの熱電子放出によって電子が
供給され,陰極電位降下が気体の電離電圧程度
に近く,陰極面における電流密度が高いことを
特徴とする放電。
arc discharge
4003
アーク放電発
光分光分析
法
あーくほうでんは
っこうぶんこう
ぶんせきほう
電極間のアーク放電によって,試料中の原子・
イオンなどを励起する発光分析法。
arc discharge atomic
emission
spectrometry,
arc discharge optical
emission
spectrometry
4004
イオン線
いおんせん
あるイオンに固有の基底状態と励起状態との間
の遷移に由来する光吸収又は放射によって観測
される線スペクトル。
ionic line
4005
炎光光度計
えんこうこうどけ
い
励起源に炎を用いて,分析種の発光スペクトル
強度を測定する機器。
flame photometer
4006
炎光光度分析
法,
フレーム分析
法
えんこうこうどぶ
んせきほう,
ふれーむぶんせき
ほう
励起源に炎を用いて,分析種の発光スペクトル
強度を測定し,分析する方法。
flame photometry
4007
炎色反応
えんしょくはんの
う
試料を炎に入れたとき,含有する成分によって
炎が特有の色を発する反応。
flame reaction
4008
還元炎
かんげんえん
過剰の可燃性の気体が存在し,未反応の炭素に
よって還元性雰囲気となっている化学炎。
reducing flame
4009
還元気化法
かんげんきかほう
試料溶液中の分析種を還元して気体状にする方
法。
vapor generation by
reduction
4010
キャリヤーガ
ス(原子ス
ペクトル分
析法の)
きゃりやーがす
分析種を含む粒子,試料溶液又は分析種の蒸気
を原子化部・プラズマなどに搬送するためのガ
ス。
carrier gas (for atomic
spectrometry)
4011
グロー放電
ぐろーほうでん
13.3 Pa〜133.3 Pa(0.1 Torr〜1.0 Torr)程度の圧
力の放電ガスの中で,陰極と陽極との間に1 kV
程度の電圧を印加して生成させる放電。
glow discharge
4012
グロー放電発
光分光分析
法
ぐろーほうでんは
っこうぶんこう
ぶんせきほう
グロー放電プラズマによって,分析種を励起す
る発光分析法。
glow discharge atomic
emission
spectrometry,
glow discharge optical
emission
spectrometry
4013
原子吸光光度
計
げんしきゅうこう
こうどけい
分析種を原子化し,その原子蒸気層による光の
吸収を測定する機器。
atomic absorption
spectrometer
4014
原子吸光分光
光度計
げんしきゅうこう
ぶんこうこうど
けい
波長選択部にモノクロメーターを用いた原子吸
光光度計。
atomic absorption
spectrophotometer
4015
原子吸光分析
法,
原子吸光分光
分析法
げんしきゅうこう
ぶんせきほう,
げんしきゅうこう
ぶんこうぶんせ
きほう
試料中に含まれる分析対象元素を,フレーム
(flame),電気加熱,又は化学反応によって原
子化し,その原子蒸気層の吸光度を測定するこ
とによって,分析対象元素の濃度を求める方法。
注記 フレーム原子吸光分析,電気加熱方式原
子吸光分析及び冷蒸気方式原子吸光分析
がある。
atomic absorption
spectrometry
18
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
4016
原子蛍光分光
法
げんしけいこうぶ
んこうほう
励起された原子・イオンが低いエネルギー準位
に遷移するとき,放出される二次光(原子蛍光)
を検出する分光法。
atomic fluorescence
spectrometry
4017
原子スペクト
ル
げんしすぺくとる
原子・イオンが放射又は吸収する光のスペクト
ル。
atomic spectrum
4018
原子スペクト
ル分析法
げんしすぺくとる
ぶんせきほう
原子・イオン種に特有な吸収又は発光の測定に
よって,元素の定性・定量を行う方法。
analytical atomic
spectrometry
4019
黒鉛炉原子吸
光分析法
こくえんろげんし
きゅうこうぶん
せきほう
試料の原子化に,電気加熱の黒鉛炉を用いる原
子吸光分析法。
graphite furnace
atomic absorption
spectrometry
4020
酸化炎
さんかえん
過剰の酸化性気体が存在し,酸化性雰囲気とな
っている化学炎。
oxidative flame
4021
試料電極(発
光分光分析
法の)
しりょうでんきょ
く
分析試料そのもので調製した放電電極。
注記 グラファイト,銀,タングステン製対電
極などと組み合わせて用いることが多
い。
sample electrode (of
atomic emission
spectrometry, of
optical emission
spectrometry)
4022
自己反転
じこはんてん
輝線の自己吸収が強くなって,その中心部の光
の強さがゼロ又はそれに近い状態。
self reversal
4023
自己反転方式
(バックグ
ラウンド補
正の)
じこはんてんほう
しき
中空陰極ランプに通常電流と高電流とを交互に
流し,高電流による放電によって生じる自己反
転したスペクトル線を,バックグラウンド補正
に用いる光学系の一方式。
self reversal spectrum
(for background
correction)
4024
水素化物発生
法
すいそかぶつはっ
せいほう
試料溶液中の特定の分析種(例えば,ひ素,セ
レン,アンチモンなどの化合物)を分析するた
めに,分析種を還元して水素化合物とする方法。
hydride generation
method
4025
スパーク線
すぱーくせん
スパーク放電によって励起された原子・イオン
などが放射する線スペクトル。
spark line
4026
スパーク放電
(発光分光
分析の)
すぱーくほうでん
点火回路によって10 kV程度の高電圧を対電極
と試料電極との間に印加して絶縁破壊を生じさ
せることによって,主放電回路のコンデンサー
に蓄えられた電荷を電極間に瞬時に流して起こ
す放電。
spark discharge
4027
スパーク放電
発光分光分
析法
すぱーくほうでん
はっこうぶんこ
うぶんせきほう
スパーク放電プラズマによって,試料中の原
子・イオンなどを励起する発光分析法。
spark source atomic
emission
spectrometry,
spark source optical
emission
spectrometry
4028
中空陰極ラン
プ,
ホローカソー
ドランプ
ちゅうくういんき
ょくらんぷ,
ほろーかそーどら
んぷ
陽極及び分析種を含む中空円筒状の陰極を,低
圧のネオンなどとともに封入した放電管。
注記 主として原子吸光分析法の光源として用
いる。
hollow cathode lamp
4029
中性線
ちゅうせいせん
ある中性原子に固有の基底状態と励起状態との
間の遷移に由来する,光吸収又は放射によって
観測される線スペクトル。
neutral line
19
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
4030
直流プラズマ
発光分光分
析法
ちょくりゅうぷら
ずまはっこうぶ
んこうぶんせき
ほう
直流放電プラズマによって,試料中の原子など
を励起する発光分析法。
direct current plasma
atomic emission
spectrometry,
direct current plasma
optical emission
spectrometry
4031
対電極(発光
分光分析法
の)
ついでんきょく
発光分光分析において,放電を形成する一対の
電極のうち,試料電極又は補助電極ではない側
の電極。
counter electrode (of
atomic emission
spectrometry, of
optical emission
spectrometry)
4032
電気加熱原子
吸光分析法
でんきかねつげん
しきゅうこうぶ
んせきほう
黒鉛,耐熱金属などを発熱体とする炉を通電加
熱して,分析種を原子化する原子吸光分析法。
electrothermal type
atomic absorption
spectrometry
4033
電気加熱方式
(原子吸光
分析の)
でんきかねつほう
しき
黒鉛,耐熱金属などを発熱体とする炉を通電加
熱して,試料を原子化する方式。
electrothermal
atomization/
vaporization (of
atomic absorption
spectrometry)
4034
ネブライザー ねぶらいざー
試料溶液を霧状にする機器。
注記 原子吸光分析法,ICP発光分析法などに
用いられる。
nebulizer
4035
発光分光分析
装置(原子
スペクトル
測定用の)
はっこうぶんこう
ぶんせきそうち
光,熱,電気などのエネルギーを試料に与え,
試料を励起して放射される発光スペクトルを測
定する装置。
atomic emission
spectrometer,
optical emission
spectrometer (for
atomic spectrometry)
4036
バックグラウ
ンド吸収
(原子吸光
分析法の)
ばっくぐらうんど
きゅうしゅう
光路中の分析種以外の成分による,光吸収及び
光散乱に起因した分析する光線の減少。
background absorption
(of atomic absorption
spectrometry)
4037
バックグラウ
ンド発光
(発光分光
分析法の)
ばっくぐらうんど
はっこう
試料中に高濃度で含まれる分析種以外の成分に
よる発光。
background emission
(of atomic emission
spectrometry, of
optical emission
spectrometry)
4038
バックグラウ
ンド補正
(原子吸光
分析法の)
ばっくぐらうんど
ほせい
分析の対象とする原子蒸気層だけによる吸光度
を得るために,バックグラウンド吸収を補正す
る方式。
注記 この方式として連続スペクトル光源法,
偏光ゼーマン法,非共鳴近接線法,自己
反転法などがある。
background correction
(of atomic
absorption
spectrometry)
4039
バックグラウ
ンド補正
(発光分光
分析法の)
ばっくぐらうんど
ほせい
分析種の発光への干渉を除去するために,バッ
クグラウンド発光を補正する方式。
background correction
(of atomic emission
spectrometry, of
optical emission
spectrometry)
20
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
4040
パルス分布解
析法(発光
分光分析法
の)
ぱるすぶんぷかい
せきほう
スパーク放電において,パルスごとのスペクト
ル強度を測定し,その分布を解析して,状態分
析を行う発光分光分析法。
pulse distribution
analysis (of atomic
emission
spectrometry, of
optical emission
spectrometry)
4041
非共鳴近接線
方式(バッ
クグラウン
ド補正の)
ひきょうめいきん
せつせんほうし
き
中空陰極ランプから発生する,分析対象元素の
共鳴線に近接するスペクトル線を,バックグラ
ウンド補正に用いる光学系の一方式。
nonresonance spectrum
system (for
background
correction)
4042
標準化試料
(発光分光
分析法の)
ひょうじゅんかし
りょう
一定時間又は一定数の試料ごとに,検量線の校
正などを行うために使用する試料。
sample for
standardization (of
atomic emission
spectrometry, of
optical emission
spectrometry)
4043
フレーム原子
吸光分析法
ふれーむげんしき
ゅうこうぶんせ
きほう
試料の原子化に,化学炎を用いる原子吸光分析
法。
flame atomic
absorption
spectrometry
4044
偏光ゼーマン
原子吸光分
析計
へんこうぜーまん
げんしきゅうこ
うぶんせきけい
偏光ゼーマン方式を用いた原子吸光分析計。
polarized Zeeman
atomic absorption
spectrometer
4045
偏光ゼーマン
方式(バッ
クグラウン
ド補正の)
へんこうぜーまん
ほうしき
ゼーマン効果と偏光とを組み合わせたバックグ
ラウンド補正方式。
polarized Zeeman
splitted spectrum
system (for
background
correction)
4046
補助電極(発
光分光分析
の)
ほじょでんきょく
試料電極の一種で,試料だけで電極を形成でき
ない場合に,試料を放電場内に保持するための
電極。
注記 試料の性状によって適した形状のものを
用いる。
auxiliary electrode (of
atomic emission
spectrometry, of
optical emission
spectrometry)
4047
マイクロ波誘
導プラズマ,
MIP
まいくろはゆうど
うぷらずま
工業用周波数のマイクロ波を用いて,空洞共振
などの方法で電気エネルギーを伝搬し,ガスを
電離させて得られる高温のプラズマ。
microwave induced
plasma,
MIP
4048
マイクロ波誘
導プラズマ
発光分光分
析法
まいくろはゆうど
うぷらずまはっ
こうぶんこうぶ
んせきほう
マイクロ波誘導プラズマによって,分析種を励
起する発光分析法。
microwave induced
plasma atomic
emission
spectrometry,
microwave induced
plasma optical
emission
spectrometry
4049
無電極放電ラ
ンプ
むでんきょくほう
でんらんぷ
金属ハロゲン化物などを希ガスとともに封入
し,高周波電場によって点灯する放電管。
electrodeless discharge
lamp
4050
誘導結合プラ
ズマ,
高周波誘導結
合プラズマ
ゆうどうけつごう
ぷらずま,
こうしゅうはゆう
どうけつごうぷ
らずま
ラジオ波領域における高周波の電磁誘導によっ
て発生する変動磁場で,プラズマ内に渦電流ガ
スを発生させて得られる高温のプラズマ。
inductively coupled
plasma,
radio-frequency
inductively coupled
plasma
21
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
4051
誘導結合プラ
ズマ発光分
光分析法,
ICP-AES,
ICP-OES
ゆうどうけつごう
ぷらずまはっこ
うぶんこうぶん
せきほう
(高周波)誘導結合プラズマによって,分析種
を励起する発光分析法。
注記 高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法
(radio-frequency inductively coupled
plasma atomic emission spectrometry)とも
いう。
inductively coupled
plasma atomic
emission
spectrometry,
inductively coupled
plasma optical
emission
spectrometry
4052
予備放電時間
(発光分光
分析の)
よびほうでんじか
ん
放電初期のスペクトル強度が安定するまで行う
放電時間。
predischarge time,
preburn time (of
atomic emission
spectrometry, of
optical emission
spectrophotometer)
4053
レーザー誘起
プラズマ発
光分析法,
レーザー誘起
プラズマ分
光法,
レーザー誘起
ブレークダ
ウン分光法,
LIPS,
LIBS
れーざーゆうきぷ
らずまはっこう
ぶんせきほう,
れーざーゆうきぷ
らずまぶんこう
ほう,
れーざーゆうきぶ
れーくだうんぶ
んこうほう
レーザー光の試料への照射によって発生するプ
ラズマを用いて,分析種を励起する発光分光分
析法。
laser induced plasma
atomic emission
spectrometry,
laser induced plasma
optical emission
spectrometry,
laser induced plasma
spectroscopy,
laser induced
breakdown
spectroscopy,
LIPS,
LIBS
4054
冷蒸気方式原
子吸光分析
法
れいじょうきほう
しきげんしきゅ
うこうぶんせき
ほう
試料溶液を還元気化又は加熱気化して,水銀を
原子化する原子吸光分析法。
cold vapor type atomic
absorption
spectrometry
4055
連続スペクト
ル光源方式
(バックグ
ラウンド補
正の)
れんぞくすぺくと
るこうげんほう
しき
連続スペクトルを用いる原子吸光分析のバック
グラウンド補正法の一方式。
注記 重水素ランプ,タングステンランプなど
が用いられる。
continuous spectrum
source system (for
background
correction)
3.5
吸光光度分析法・蛍光分光分析法
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
5001
円二色性分光
光度計
えんにしょくせい
ぶんこうこうど
けい
紫外線から赤外線領域における,試料の円二色
性スペクトルを測定する機器。
注記 主に紫外線から可視光線領域の円二色性
を測定する機器を円二色性分光光度計
(CD),赤外線領域の円二色性を測定す
る機器を振動円二色性分光光度計(VCD)
と区別することもある。
circular dichroism
spectrometer
22
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
5002
オパールガラ
ス法
おぱーるがらすほ
う
散乱性の高い試料のスペクトルを精度よく得る
ために,試料と検出器との間に高散乱性のオパ
ールガラス製の板を置いて測定する方法。
注記 オパールガラスとは光を拡散透過する乳
白色のガラス。
opal glass method
5003
近赤外分光光
度計
きんせきがいぶん
こうこうどけい
近赤外領域の波長を測定対象とする分光光度
計。
near-infrared
spectrometer
5004
近赤外分光分
析法
きんせきがいぶん
こうぶんせきほ
う
近赤外領域のスペクトルを測定し,物質の定
性・定量を行う方法。
near-infrared
spectrometry
5005
蛍光
けいこう
分子が光によって励起一重項状態に励起され,
それが基底状態に遷移する際に放出される光。
fluorescence
5006
蛍光共鳴エネ
ルギー移動,
FRET
けいこうきょうめ
いえねるぎーい
どう,
ふれっと
2種類の蛍光物質が近接している場合,光励起
された物質(ドナー)から他方の物質(アクセ
プター)に励起エネルギーが移動する現象。
注記 アクセプターからの蛍光がバイオ分析,
イメージングなどで多用される。
fluorescence resonance
energy transfer,
FRET
5007
蛍光光度計
けいこうこうどけ
い
励起光及び蛍光の波長選択に,光学フィルター
を用いて,蛍光強度を測定する機器。
fluorometer
5008
蛍光色素
けいこうしきそ
光を吸収して蛍光を発する色素。
fluorescent dye
5009
蛍光寿命
けいこうじゅみょ
う
光励起直後の蛍光強度に対して,蛍光強度が1/e
になる時間。ここでeは自然対数の底であるネ
イピア数(2.718)。
fluorescence life time
5010
蛍光スペクト
ル
けいこうすぺくと
る
励起光側波長を固定し,観測される蛍光強度を
波長に対してプロットしたスペクトル。
fluorescence spectrum
5011
蛍光相関分光
法,
FCS
けいこうそうかん
ぶんこうほう
蛍光分子又は蛍光標識した分子から放射される
蛍光強度の経時変化を測定し,時間相関関数に
よって解析することで,測定領域に存在する蛍
光分子又は蛍光標識した分子の数,拡散係数な
どを測定する方法。
fluorescence
correlation
spectroscopy,
FCS
5012
蛍光標識法
けいこうひょうし
きほう
分析種に蛍光性の物質を結合させて,その蛍光
強度から分析種の計測を行う方法。
fluorescence labeling
method
5013
蛍光分光光度
計
けいこうぶんこう
こうどけい
励起光側又は蛍光側波長選択部のいずれかにモ
ノクロメーターを,他方に光学フィルターを用
いて,蛍光強度を測定する機器。
fluorescence
spectrometer,
fluorescence
spectrophotometer
5014
蛍光分光分析
法
けいこうぶんこう
ぶんせきほう
蛍光スペクトル又は励起スペクトルを測定し,
物質の定性・定量を行う方法。
fluorescence
spectrometry
5015
蛍光量子収率 けいこうりょうし
しゅうりつ
分子が吸収する光子数と蛍光として放出する光
子数について,吸収光子数を分母とした比。
fluorescence quantum
yield
5016
紫外・可視・
近赤外分光
光度計
しがい・かし・き
んせきがいぶん
こうこうどけい
紫外・可視・近赤外領域で,分光器によって分
散した光を測定する機器。
ultraviolet-visible-near
infrared spectrometer
5017
紫外・可視分
光光度計
しがい・かしぶん
こうこうどけい
紫外・可視領域で,分光器によって分散した光
を測定する機器。
ultraviolet-visible
spectrometer
5018
示差測定法
(吸光光度
分析法の)
しさそくていほう
非常に小さいか又は大きい吸光度を精密に測定
するため,試料溶液の吸光度より僅かに大きい
か又は小さい吸光度を示す既知濃度の溶液を,
100合わせ用の対照液として用いる測定方法。
differential
measurement (for
absorption
spectrometry)
23
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
5019
消光
しょうこう
物質からの発光が,化学的作用又は物理的作用
によって減少する現象。
quenching
5020
試料セル(吸
光光度分析
法の)
しりょうせる
試料を入れる吸収セル。
sample cell (for
absorption
spectrometry)
5021
時間分解蛍光
測定法
じかんぶんかいけ
いこうそくてい
ほう
特定の波長における蛍光寿命,又は蛍光スペク
トルの経時変化を測定する方法。
time-resolved
fluorescence
spectroscopy
5022
全反射蛍光,
TIRF
ぜんはんしゃけい
こう,
たーふ
全反射で生じるエバネッセント光によって光励
起された分析種などからの蛍光。
total internal reflection
fluorescence,
TIRF
5023
対照液(吸光
光度分析法
の)
たいしょうえき
試料液の色調又は吸収の度合いを比較するため
に用いる,標準的な色調又は吸収を示す溶液。
reference solution (of
absorption
spectrometry)
5024
対照セル(吸
光光度分析
法の)
たいしょうせる
光学特性が等価な2個以上の吸収セルを用いて
吸光度を測定するとき,対照物質を入れる吸収
セル。
reference cell (of
absorption
spectrometry)
5025
分光蛍光光度
計
ぶんこうけいこう
こうどけい
励起光側及び蛍光側波長選択部の両者にモノク
ロメーターを用いて,蛍光強度を測定する機器。
spectrofluorometer
5026
偏光解消法
(蛍光分光
分析法の)
へんこうかいしょ
うほう
直線偏光で試料媒体中の分子を光励起し,放出
される蛍光の偏光の度合いを計測することで,
光励起された分子の運動性若しくは大きさ,又
は試料媒体の粘度などに関する情報を得る方
法。
depolarization method
(for fluorescence
spectrometry)
5027
量子ドット
(蛍光分析
の)
りょうしどっと
量子効果によって蛍光を発する微粒子。
注記 生体関連物質の蛍光イメージングにおけ
る標識物質などとして利用される。
quantum dot (for
fluorescence
analysis)
5028
レーザー誘起
蛍光,
LIF
れーざーゆうきけ
いこう
レーザー光を励起光として得られる蛍光。
laser induced
fluorescence,
LIF
5029
励起蛍光マト
リックス,
EEM
れいきけいこうま
とりっくす
励起波長を一定波長間隔で走査し,各励起波長
で蛍光波長を走査することによって得られる,
蛍光強度との三次元図。
excitation-emission
matrix,
EEM
5030
励起波長(蛍
光の)
れいきはちょう
蛍光物質を光励起するために用いる光の波長。 excitation wavelength
(of fluorescence)
3.6
バイオ関連光分析法
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
6001
一滴分析
いってきぶんせき
試料溶液の一滴だけで吸光,蛍光,化学発光な
どを測定する方法。
single droplet
measurement
6002
インターカレ
ーター(核
酸塩基の)
いんたーかれーた
ー
DNA又はRNAの二重鎖に入り込み蛍光を発す
る分子。
intercalator (for
nucleotides)
6003
蛍光イムノア
ッセイ
けいこういむのあ
っせい
蛍光性の標識物質を用いるイムノアッセイ(免
疫検定法)。
fluorescence
immunoassay
6004
蛍光インサイ
チュハイブ
リダイゼー
ション,
FISH
けいこういんさい
ちゅはいぶりだ
いぜーしょん,
ふぃっしゅ
蛍光標識されたDNAプローブを,細胞又は染
色体の形態を保ったままの試料とハイブリダイ
ズ(hybridize)させ,標的遺伝子若しくはその
転写物の存在位置,又は分布状況を蛍光顕微鏡
下で観測する手法。
fluorescence in situ
hybridization,
FISH
24
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
6005
蛍光抗体法
けいこうこうたい
ほう
蛍光物質によって標識した抗体を用いる分析方
法又は染色方法。
fluorescent antibody
method
6006
蛍光たんぱく
質
けいこうたんぱく
しつ
蛍光を発するたんぱく質。
fluorescent protein
6007
時間分解蛍光
イムノアッ
セイ
じかんぶんかいけ
いこういむのあ
っせい
試料溶液中の特定物質を定量するために抗原抗
体反応を利用し,検出試薬として長寿命の蛍光
標識を用いて,寿命の短いバックグラウンド蛍
光を時間分解法で除去する分析法。
time-resolved
fluoroimmunoassay
6008
生物発光
せいぶつはっこう
生物化学反応に伴って起こる発光。
bioluminescence
6009
生物発光たん
ぱく質
せいぶつはっこう
たんぱくしつ
生物発光を発するたんぱく質。
bioluminescent protein
6010
生物発光法
せいぶつはっこう
ほう
試料に生物発光性の酵素,微生物などを作用さ
せ,放出した光量の測定から分析種の濃度又は
量を求める方法。
bioluminescence
method
6011
セルソーティ
ング
せるそーてぃんぐ
フローサイトメトリーを利用して,蛍光標識等
を施した細胞を個々に分離・収集する方法。
cell sorting
6012
DNAシーケ
ンサー
でぃーえぬえーし
ーけんさー
DNAの塩基配列を決定するための分析装置。
注記 検出のために蛍光が利用される場合が多
い。
DNA sequencer
6013
発光イムノア
ッセイ
はっこういむのあ
っせい
標識物質として化学発光性又は生物発光性のも
のを用いるイムノアッセイ(免疫検定法)。
luminescence
immunoassay
6014
発色合成基質
法(比色法
の)
はっしょくごうせ
いきしつほう
酵素反応によって合成基質から生じる着色生成
物を,吸光度変化などから測定し,分析種を定
量する分析法。
chromogenic method
(for colorimetry)
6015
フローサイト
メトリー
ふろーさいとめと
りー
細管中を流れている細胞からの光散乱・蛍光な
どを測定し,細胞の定性・定量を行う方法。
flow cytometry
6016
マイクロプレ
ートリーダ
ー
まいくろぷれーと
りーだー
マイクロプレートに入っている複数の試料につ
いて,それらの吸光,蛍光,化学発光などを測
定する機器。
microplate reader
6017
リアルタイム
PCR
りあるたいむぴー
しーあーる
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNA増幅
の経時変化を,蛍光色素を標識として定性・定
量する方法。
real-time polymerase
chain reaction,
real-time PCR
6018
レポーター遺
伝子
れぽーたーいでん
し
遺伝子発現をモニターするのに利用される遺伝
子。
注記 その遺伝子産物はレポーターとよばれ,
蛍光たんぱく質,生物発光たんぱく質,β
ガラクトシダーゼなど,光シグナルに関
係したたんぱく質が利用されることが多
い。
reporter gene
3.7
非線形分光分析法
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
7001
コヒーレント
アンチスト
ークスラマ
ン分光法,
CARS
こひーれんとあん
ちすとーくすら
まんぶんこうほ
う,
かーす
振動数がν1とν2とのレーザー光(ν1>ν2)を物
質に入射したとき,ν1−ν2と物質のラマン許容
遷移の振動数とが一致したとき発生するν3=
2ν1−ν2のレーザー状放出光を用いて,ラマンス
ペクトルと同等のスペクトルを得る分光法。
注記 レーザー状放出光ν3の方向は位相整合条
件k3=2k1−k2を満たし,かつν3はν1,ν2
よりも高いため,蛍光による妨害に強い。
coherent anti-stokes
Raman spectrometry,
CARS
25
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
7002
差周波発生,
DFG
さしゅうははっせ
い
二つ以上の異なった周波数の光波が混合された
ときに,差の周波数の光波が発生する現象。
difference frequency
generation,
DFG
7003
差周波レーザ
ー分光法
さしゅうはれーざ
ーぶんこうほう
非線形光学結晶での差周波発生を利用して,周
波数が変調されたレーザー光を光源とする分光
法。
difference-frequency
laser spectroscopy
7004
多光子イオン
化
たこうしいおんか
多光子遷移の一つであって,2個以上の光子を
同時に吸収することによるイオン化。
ionization with multiple
photon absorption
7005
多光子吸収
たこうしきゅうし
ゅう
複数個の光子をほぼ同時に吸収して,分子が励
起状態になる現象。
multi-photon
absorption
7006
ハイパーラマ
ン散乱分光
法
はいぱーらまんさ
んらんぶんこう
ほう
非線形ラマン散乱の1種であるハイパーラマン
散乱光を測定する分光法。
hyper-Raman scattering
spectroscopy
7007
光高調波
ひかりこうちょう
は
入射レーザー光の整数倍の周波数をもつ光。
注記 例えば,第二高調波,第三高調波など。
optical harmonics
7008
光高調波発生 ひかりこうちょう
ははっせい
強い光を物質に照射した際に,非線形光学効果
によって,その周波数が整数倍に変換された光
が出射する現象。
注記 周波数が2倍になる場合を第二高調波発
生,3倍になる場合を第三高調波発生とい
う。
optical harmonic
generation
7009
光パラメトリ
ック増幅器,
OPA
ひかりぱらめとり
っくぞうふくき
非線形光学結晶中で異なる波長の光を用いて,
光波を増幅する装置。
optical parametric
amplifier,
OPA
7010
光パラメトリ
ック発振,
OPO
ひかりぱらめとり
っくはっしん
非線形光学結晶を内部に配置した共振器にレー
ザー光を入射した際に,差周波発生に基づき周
波数が変調されたコヒーレント光が発生する現
象。
optical parametric
oscillation,
OPO
7011
非線形光学結
晶
ひせんけいこうが
くけっしょう
大きな非線形光学定数をもつ光学結晶。
注記 光高調波発生,光混合,光パラメトリッ
ク発振などに用いる。
nonlinear optical
crystal
7012
非線形分光法 ひせんけいぶんこ
うほう
レーザー光のような強い光を物質に照射し,物
質からの非線形光学応答を測定する分光法。
non-linear
spectroscopy
7013
非線形ラマン
分光法
ひせんけいらまん
ぶんこうほう
光と物質との高次の相互作用を利用して,ラマ
ン散乱光の選択的な増強又は,自発ラマン過程
では不活性な振動モードの測定を実現する分光
法。
nonlinear Raman
spectroscopy
7014
和周波発生,
SFG
わしゅうははっせ
い
二つ以上の異なった周波数の光波が混合された
ときに,和の周波数の光波が発生する現象。
sum-frequency
generation,
SFG
7015
和周波発生分
光法
わしゅうははっせ
いぶんこうほう
周波数の異なる二つのレーザー光を試料物質表
面に入射したときに,表面で発生する和周波を
計測する分光法。
sum-frequency
generation
spectroscopy
3.8
顕微分光分析法・近接場分光分析法・イメージング
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
8001
暗視野顕微鏡 あんしやけんびき
ょう
対物レンズの開口数(NA)より大きなNAの照
明光を試料に照射して,試料からの散乱光だけ
を観察する顕微鏡。
dark-field microscope
26
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
8002
位相差顕微鏡 いそうさけんびき
ょう
物体によって生じる微小な位相差を明暗の差に
変えて見るために,コンデンサーの絞りと位相
板とを共役な位置に配置する顕微鏡。
phase contrast
microscope
8003
ATR対物レ
ンズ
えーてぃーあーる
たいぶつれんず
全反射条件で光を試料に照射するための対物レ
ンズ,又は鏡の組合せ。
attenuated total
reflection objective
8004
エバネッセン
ト光,
エバネッセン
ト波
えばねっせんとこ
う,
えばねっせんとは
a) 光が全反射するとき,光の伝搬しない低屈
折率媒質側において,界面法線方向にその
エネルギーが境界面からの距離に対して指
数関数的に減衰する光波。
b) 波長より小さな開口から開口程度の距離だ
けしみ出して局在する光波。
evanescent light,
evanescent wave
8005
カセグレン鏡 かせぐれんきょう
対物鏡の一つで微弱な光を集光するために,凹
面鏡で作られた主鏡と双曲面からなる副鏡との
二つの鏡で焦点を結ぶ方式の集光鏡。
Cassegrainian reflector
8006
干渉顕微鏡
かんしょうけんび
きょう
干渉を利用して,物体表面の微細な凹凸,内部
の位相差などを観察する顕微鏡。
interference
microscope
8007
輝度重心
きどじゅうしん
輝点の強度分布である点像分布関数から,計算
によって決定する発光物質の精密な位置。
注記 注目する発光物質が,他の発光物質から
回折限界より十分離れていれば,位置精
度は数ナノメートルまで向上させること
ができ,超解像顕微鏡の原理に用いられ
る。
center of brightness
8008
共焦点顕微鏡 きょうしょうてん
けんびきょう
光源側のピンホール,試料,検出側のピンホー
ルを共役位置に配置することで,高いコントラ
スト及び空間分解能で観察が可能な顕微鏡。
confocal microscope
8009
局在表面プラ
ズモン共鳴,
LSPR
きょくざいひょう
めんぷらずもん
きょうめい
ナノメートルサイズの構造体で誘起される自由
電子の集団振動と入射光のエネルギーとが共鳴
した状態。
localized surface
plasmon resonance,
LSPR
8010
近接場光
きんせつばこう
先端をせん(尖)鋭加工した光ファイバー開口
部,ナノ粒子などのような,光の波長より小さ
な屈折率の空間分布をもつナノ構造体周辺に局
在する光。
near-field light
8011
近接場分光分
析法
きんせつばぶんこ
うぶんせきほう
近接場光又はエバネッセント光を用いて,表面
近傍又は微小領域の物質の定性・定量を行う方
法。
near-field spectrometry
8012
蛍光顕微鏡
けいこうけんびき
ょう
励起光を照射し,試料から生じる蛍光によって
試料を観察する顕微鏡。
fluorescence
microscope
8013
蛍光退色回復
法,
FRAP
けいこうたいしょ
くかいふくほう
蛍光色素で標識した試料の一部を集光レーザー
照射によって退色させ,退色部位における蛍光
強度の回復過程を観察する手法。
fluorescence recovery
after photobleaching,
FRAP
8014
顕微蛍光法
けんびけいこうほ
う
顕微鏡視野で行う蛍光観察・分析方法。
microscopic
fluorometry
8015
原子間力顕微
鏡−赤外分
光法,
AFM-IR
げんしかんりょく
けんびきょう−
せきがいぶんこ
うほう
試料にパルス赤外光を照射し,吸収に伴う熱膨
張を原子間力顕微鏡のカンチレバーによって検
出し,試料の局所的な赤外吸収スペクトルを得
る方法。
atomic force
microscope−
infrared
spectrometry,
AFM-IR
27
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
8016
構造化照明顕
微鏡,
SIM
こうぞうかしょう
めいけんびきょ
う,
しむ
レーザーの集光スポットよりも小さな繰り返し
幅をもつレーザー干渉しま(縞)を励起光とし
て蛍光像を得ることで,高解像度なイメージン
グを達成する顕微鏡。
structured illumination
microscope,
SIM
8017
全反射蛍光顕
微鏡
ぜんはんしゃけい
こうけんびきょ
う
照明に全反射を利用して,スライドガラス面近
傍の試料だけを選択的に観察する蛍光顕微鏡。
total internal reflection
fluorescence
microscopy
8018
走査近接場光
学顕微鏡,
NSOM,
SNOM
そうさきんせつば
こうがくけんび
きょう,
えぬそむ,
すのむ
近接場光又はエバネッセント光を用いて,光の
回折限界より小さな空間分解能で物質を観察す
る光学顕微鏡の総称。
near-field scanning
optical microscope,
scanning near-field
optical microscope,
NSOM,
SNOM
8019
多光子励起顕
微鏡
たこうしれいきけ
んびきょう
光子密度の高いレーザー光を試料に照射した際
に,2個以上の光子を同時に吸収した物質から
発生する蛍光を観察する顕微鏡。
multiphoton excitation
microscope
8020
単一分子イメ
ージング,
一分子イメー
ジング
たんいつぶんしい
めーじんぐ,
いちぶんしいめー
じんぐ
単一分子から発生する蛍光を用いて行うイメー
ジング。
注記 超解像顕微鏡の原理としても用いられ
る。
single molecule
imaging
8021
単一分子蛍光,
一分子蛍光
たんいつぶんしけ
いこう,
いちぶんしけいこ
う
光を照射している中に存在する単一の蛍光分子
から発する蛍光。
single molecule
fluorescence
8022
チップ増強ラ
マン散乱,
TERS
ちっぷぞうきょう
らまんさんらん,
たーす
先鋭な金属チップの先端に局在した近接場光に
よって,チップ先端近傍の分析種のラマン散乱
が著しく増強される現象。
tip-enhanced Raman
scattering,
TERS
8023
チップ増強ラ
マン散乱分
光法
ちっぷぞうきょう
らまんさんらん
ぶんこうほう
先鋭な金属チップを探針として,局所領域の構
造とラマンスペクトルとを同時測定する方法。
tip-enhanced Raman
scattering
spectroscopy
8024
超解像顕微鏡 ちょうかいぞうけ
んびきょう
回折限界よりも小さな光学解像度でイメージン
グを行う顕微鏡の総称。
super-resolution
microscope
8025
点像分布関数 てんぞうぶんぷか
んすう
1点から発光する物質を顕微鏡で観察したとき
の輝度の空間分布。
注記 原理的にはガウス分布に従うことを利用
して,輝度重心を求めることができる。
point spread function
8026
内視鏡
ないしきょう
ファイバースコープ,カプセル型デバイスなど
を用いて,ヒトの内部を可視化する(顕微)装
置。
endoscope
8027
反射対物鏡
はんしゃたいぶつ
きょう
主鏡と副鏡との組み合わせによって,倍率及び
入射角を変え微小物に集光する光学系。
grazing angle objective
8028
光音響顕微鏡 ひかりおんきょう
けんびきょう
照射位置を試料面上で二次元的に走査すること
によって,光音響信号の平面像を得る顕微鏡。
photoacoustic
microscope
8029
光音響トモグ
ラフィー,
PAT
ひかりおんきょう
ともぐらふぃー
光の照射位置を試料内部で三次元的に走査する
ことによって,光音響信号の断層像を得る画像
化法。
photoacoustic
tomography,
PAT
28
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
8030
光活性化局在
顕微鏡,
PALM,
確率論的光学
再構成顕微
鏡,
STORM
ひかりかっせいか
きょくざいけん
びきょう,
ぱるむ,
かくりつろんてき
こうがくさいこ
うせいけんびき
ょう,
すとーむ
孤立した発光点の輝度中心精度が数ナノメート
ルであること,及び光による発光物質の発光可
/不可の状態切替を利用した超解像顕微鏡。
photoactivated
localization
microscope,
PALM,
stochastic optical
reconstruction
microscope,
STORM
8031
光コヒーレン
ストモグラ
フィー,
OCT
ひかりこひーれん
すともぐらふぃ
ー
生体組織などにレーザー光を照射し,その表面
及び内部から戻ってくる光をレーザー干渉計に
よって検出することで,生体内部組織の構造を
非破壊に画像化する顕微装置。
optical coherence
tomography,
OCT
8032
非線形光学顕
微鏡
ひせんけいこうが
くけんびきょう
エネルギー密度の大きなレーザー光を光源とし
て用いて,試料からの非線形光学応答を観察す
る顕微鏡。
注記 第二高調波を利用したものを第二高調波
発生顕微鏡,和周波を利用したものを和
周波発生顕微鏡という。
nonlinear optical
microscope
8033
表面プラズモ
ン共鳴,
SPR
ひょうめんぷらず
もんきょうめい
光波が金属表面の自由電子とカップリングし
て,集団的な自由電子の振動を誘起している状
態。
surface plasmon
resonance,
SPR
8034
表面プラズモ
ン共鳴顕微
鏡
ひょうめんぷらず
もんきょうめい
けんびきょう
主に金薄膜表面における表面プラズモン共鳴を
利用して,表面近傍の物質の定性・定量,及び
局所構造の観察を行う顕微鏡。
surface plasmon
resonance
microscope
8035
表面プラズモ
ン共鳴増強
蛍光分光法
ひょうめんぷらず
もんきょうめい
ぞうきょうけい
こうぶんこうほ
う
表面プラズモン共鳴を利用して,金属表面近傍
に存在する蛍光物質からの蛍光を測定する方
法。
surface plasmon
field-enhanced
fluorescence
spectroscopy
8036
表面プラズモ
ン共鳴分光
法
ひょうめんぷらず
もんきょうめい
ぶんこうほう
主に金薄膜表面における表面プラズモン共鳴を
利用して,表面近傍の物質の定性・定量を行う
方法。
surface plasmon
resonance
spectroscopy
8037
微分干渉顕微
鏡
びぶんかんしょう
けんびきょう
特殊なプリズムを用いて照明光を二つの光線に
分け,これらの光線の干渉を利用して,物体表
面の微細な傾斜をもつ部分及び物体内部の位相
差の変化を,明るさ又は色の差に変えて観察す
る顕微鏡。
differential
interference contrast
microscope
8038
ファイバース
コープ
ふぁいばーすこー
ぷ
柔軟性のある光ファイバーを束ね,その一端に
レンズを,他端にアイピース・イメージング素
子などを付けた顕微鏡。
fiber scope
8039
ブリュースタ
ー角顕微鏡,
BAM
ぶりゅーすたーか
くけんびきょう
表面・界面に対してブリュースター角で偏光し
た光を照射し,反射光強度の変化をイメージン
グすることで,表面・界面近傍に存在する物質
の局所構造を観察する顕微鏡。
Brewster angle
microscope,
BAM
8040
プラズモニッ
ク結晶
ぷらずもにっくけ
っしょう
微細加工技術などによって作製した,周期的な
金属ナノ構造体。
注記 表面プラズモンの閉じ込め,励起子との
結合などに利用される。
plasmonic crystal
29
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
8041
偏光顕微鏡
へんこうけんびき
ょう
偏光を利用して物質を調べるために,偏光子,
検光子などをもつ顕微鏡。
polarized-light
microscope
8042
飽和励起,
SAX
ほうわれいき,
さっくす
蛍光分子を励起する光強度を十分強くしていく
と,光強度上昇に比べて蛍光強度上昇が飽和す
る現象。
saturated excitation,
SAX
8043
飽和励起顕微
鏡,
SAX顕微鏡
ほうわれいきけん
びきょう,
さっくすけんびき
ょう
高強度光を集光して,光の強い中心部分だけで
飽和励起が起こる現象を利用した超解像顕微
鏡。
saturated excitation
microscope
8044
誘導放出制御
顕微鏡,
STED顕微鏡
ゆうどうほうしゅ
つせいぎょけん
びきょう,
すてっどけんびき
ょう
観察用の励起レーザー光及び誘導放出用の短パ
ルスレーザー光を試料に対してほぼ同時に照射
して,自然放出光だけを観察することで,高い
空間分解能での観察が可能な顕微鏡。
stimulated emission
depletion microscope
8045
ライトシート
顕微鏡,
光シート顕微
鏡
らいとしーとけん
びきょう,
ひかりしーとけん
びきょう
シリンドリカルレンズなどを用いて照明光をシ
ート状にして,観察用対物レンズの軸外から試
料の焦点面だけに照射することによって,光学
切片画像を得る顕微鏡。
light sheet fluorescent
microscope,
light sheet fluorescence
microscope
8046
レーザー走査
型顕微鏡,
LSM
れーざーそうさが
たけんびきょう
共焦点光学系を利用してレーザー光をスポット
集光して,集光位置を走査することで,高い空
間分解能で定性・定量を行う顕微鏡。
laser scanning
microscope,
LSM
8047
レイリーの解
像限界
れいりーのかいぞ
うげんかい
光学系において,二つの点像が2点として識別
可能な最短距離。
注記 0.61 λ/NAで表される。
λ:光の波長
NA:レンズの開口数
Rayleigh resolution
limit
3.9
赤外吸収分光法・ラマン散乱分光法
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
9001
外部反射法
がいぶはんしゃほ
う
非金属表面に平行偏光を入射し,その反射光を
測定することによって,非金属表面に存在する
分析種のスペクトルを測定する方法。
external reflection
spectroscopy
9002
共鳴ラマン散
乱
きょうめいらまん
さんらん
励起光のエネルギー近傍で物質の電子遷移状態
を誘起できる場合に,ラマン散乱光強度が著し
く増大される現象。
resonant Raman
scattering
9003
顕微赤外分光
法
けんびせきがいぶ
んこうほう
微小領域の赤外分光測定を行う方法。
infrared
microspectrometry
9004
顕微ラマン分
光法,
顕微レーザー
ラマン分光
法
けんびらまんぶん
こうほう,
けんびれーざーら
まんぶんこうほ
う
ラマン散乱分光において,励起光学系と散乱光
検出系とに顕微光学系を組み込み,微小部分の
スペクトル観測を行う方法。
Raman microscopy,
laser Raman
microscopy
9005
コーンズの優
位性
こーんずのゆうい
せい
干渉分光法ではレーザー波長を基準にして干渉
図形(インターフェログラム)の計測をするた
め,スペクトルの波数精度が高いという利点。
Conneʼs advantage
9006
錠剤法
じょうざいほう
測定波長範囲における光の吸収が少ない微粉状
の媒体中に,微粉化した試料を均一に混合し,
錠剤に成形する試料調製方法。
注記 媒体としてKBrが広く用いられる。
disk method,
tablet method,
pellet method
30
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
9007
HgCdTe検出
器,
MCT検出器
すいぎんかどみう
むてるるけんし
ゅつき,
えむしーてぃーけ
んしゅつき
赤外波長領域の光に感度をもつ光伝導体
HgCdTeを用いる検出器。
注記 FT-IRなどに利用される。
HgCdTe detector,
MCT detector
9008
赤外吸収スペ
クトル
せきがいきゅうし
ゅうすぺくとる
赤外波長領域で測定した吸収スペクトル。
infrared absorption
spectrum
9009
赤外分光光度
計
せきがいぶんこう
こうどけい
赤外波長領域における試料の吸収,反射特性を
測定する機器。
infrared spectrometer
9010
赤外分光分析
法
せきがいぶんこう
ぶんせきほう
赤外吸収スペクトルを測定して定性・定量を行
う分析方法。
infrared spectrometry
9011
ノッチフィル
ター
のっちふぃるたー
ラマン散乱分光測定において,散乱光から励起
光の波長成分を除去し,ラマン散乱光だけを測
定するために用いる,特定の波長範囲の光を急
しゅん(峻)に遮断できるフィルター。
notch filter
9012
反射吸収法,
高感度反射法,
RAS
はんしゃきゅうし
ゅうほう,
こうかんどはんし
ゃほう,
らす
金属表面に大きな入射角で平行偏光を入射し,
その反射光を測定することによって,金属表面
に存在する分析種のスペクトルを高感度で測定
する方法。
注記 非金属表面での反射吸収法は外部反射法
として区別する。
reflection absorption
spectroscopy,
RAS
9013
比較ガス(赤
外ガス分析
計の)
ひかくがす
赤外線吸収によって試料の濃度を測定する機器
において,対照として用いる赤外線を吸収しな
いガス。
reference gas (of
infrared gas
analyzer)
9014
表面増強ラマ
ン散乱,
SERS
ひょうめんぞうき
ょうらまんさん
らん,
さーす(さーず)
金属表面に吸着した分子に対して観測される著
しく増強されたラマン散乱。
surface enhanced
Raman scattering,
SERS
9015
フーリエ変換
赤外分光光
度計,
FT-IR
ふーりえへんかん
せきがいぶんこ
うこうどけい
試料を透過又は反射した後に測定した干渉図形
(インターフェログラム)をフーリエ変換する
ことによって,赤外波長領域のスペクトルを得
る分光装置。
Fourier transform
infrared
spectrometer,
FT-IR
9016
フーリエ変換
赤外分析法,
FT-IR分析法
ふーりえへんかん
せきがいぶんせ
きほう,
えふてぃーあいあ
ーるぶんせきほ
う
フーリエ変換赤外分光光度計を用いて,得られ
た赤外波長領域のスペクトルから,試料の分子
構造などを分析する方法。
Fourier transform
infrared
spectrometry,
FT-IR spectrometry
9017
フェルゲット
の利得
ふぇるげっとのり
とく
測定に時間をかけたときのSN比向上の程度が,
波長掃引による観測手法に比べて,干渉分光法
など全波長領域の信号を同時に観測する手法で
有利になること。
Fellgetteʼs advantage
9018
ペースト法
ぺーすとほう
細かくすりつぶした固体試料を,流動パラフィ
ンなどに分散させる,分光測定のための試料調
製方法。
paste method
9019
ラマン散乱
らまんさんらん
物質に光を照射したときに,照射光と振動数の
異なった散乱光とが生じる現象。
Raman scattering
31
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
9020
ラマン散乱分
光法,
ラマン分光法
らまんさんらんぶ
んこうほう,
らまんぶんこうほ
う
ラマン散乱光を分光測定する方法。
Raman scattering
spectroscopy,
Raman spectroscopy
3.10 X線分析法
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
10001
アンジュレー
ター
あんじゅれーたー
周期的な磁場により電子を小さく蛇行運動させ
ることによって,光源サイズ及び角度発散の小
さい準単色光を得るための,シンクロトロンの
挿入光源。
undulator
10002
一次フィルタ
ー(X線分
析法の)
いちじふぃるたー
励起X線のスペクトル分布を変えるために,励
起X線源と試料との間に入れるX線フィルタ
ー。
primary beam filter
(for X-ray analysis)
10003
イメージング
プレート,
IP
いめーじんぐぷれ
ーと
輝尽性蛍光体の微結晶をフィルムに塗布した蓄
積型2次元分布計測媒体。
注記 X線,電子線,紫外線などの検出に用い
られる。
imaging plate,
IP
10004
ウィグラー
うぃぐらー
周期的な磁場を用いて電子を大きく蛇行運動さ
せることによって,高エネルギーかつ高強度の
白色光を得るための,シンクロトロンの挿入光
源。
wiggler
10005
エスケープピ
ーク
えすけーぷぴーく
入射X線のエネルギーよりも半導体検出器に固
有なエネルギー分だけ低く現れるピーク。
escape peak
10006
X線回折法,
X線回折,
XRD
えっくすせんかい
せつほう,
えっくすせんかい
せつ
X線が結晶格子で回折を示す現象を利用して,
物質の結晶構造を決定する方法。
X-ray diffractometry,
XRD
10007
X線管球
えっくすせんかん
きゅう
X線を発生させるための真空管。
注記 熱電子二極管の一種で,封入式及び開放
式がある。
X-ray tube
10008
X線吸収端近
傍構造,
XANES
えっくすせんきゅ
うしゅうたんき
んぼうこうぞう,
ぜーんず
X線吸収スペクトルで,吸収端近傍の低エネル
ギー側約10 eVから高エネルギー側約30 eVに
わたる領域にみられる微細構造。
X-ray absorption near
edge structure,
XANES
10009
X線吸収分光
法,
XAS
えっくすせんきゅ
うしゅうぶんこ
うほう
物質にX線を照射したときの内殻電子の励起に
伴うX線吸収の変化を捉える分光法。
X-ray absorption
spectroscopy,
XAS
10010
X線光電子分
光法,
XPS
えっくすせんこう
でんしぶんこう
ほう
試料に単色X線を照射したときに放出される光
電子の運動エネルギー分布を測定することによ
って,試料中の内殻電子のエネルギー状態を観
測する分光法。
注記 光電子ピークの化学シフトから元素の化
学結合状態に関する情報が得られる。
X-ray photoemission
spectroscopy,
XPS
10011
X線CT
えっくすせんしー
てぃー
試料に多方向からX線を照射し,検出した透過
X線強度分布のデータを用いて計算することに
よって,試料内部のX線の透しやすさの分布を
三次元的に再構成する方法。
X-ray computed
tomography
32
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
10012
X線自由電子
レーザー,
XFEL
えっくすせんじゆ
うでんしれーざ
ー
アンジュレーターを利用した,ピーク輝度が高
くかつパルス幅が短いコヒーレントなX線光
源。
X-ray free electron
laser,
XFEL
10013
X線発光分光
法,
XES
えっくすせんはっ
こうぶんこうほ
う
電子線又はX線の照射によって,生成した物質
構成原子の内殻空孔の放射緩和過程で放出され
るX線のエネルギー分布を測定する方法。
X-ray emission
spectroscopy,
XES
10014
X線反射率法 えっくすせんはん
しゃりつほう
X線を試料表面に極浅い角度で入射させ,反射
X線の強度プロファイルを測定し,試料の膜
厚・密度を決定する方法。
X-ray reflectometry
10015
X線フィルタ
ー
えっくすせんふぃ
るたー
材料の吸収端を利用して,必要とするエネルギ
ー領域のX線を取り出すための薄膜フィルタ
ー。
注記 Kβフィルター,バランスドフィルターな
どがある。
X-ray filter
10016
X線マイクロ
アナリシス,
XMA
えっくすせんまい
くろあなりしす
試料面に照射した電子ビームによって発生する
特性X線(固有X線)の分光測定から,微小領
域の組成を分析する方法。
X-ray micro analysis,
XMA
10017
エネルギー分
散方式(X
線分析法の)
えねるぎーぶんさ
んほうしき
X線のエネルギーを直接電気信号に変換して選
別し,分光する方式。
energy dispersive
method (for X-ray
analysis)
10018
L系列X線
えるけいれつえっ
くすせん
原子に固有なX線のうち,原子に属する電子が
L殻にある空位の軌道へ遷移することによって
発生する一群のX線。
L-series X-ray
10019
温度因子,
デバイ-ワラ
ー因子
おんどいんし,
でばい-わらーい
んし
結晶格子によるX線散乱の因子のうち,原子の
熱振動により生ずる格子不整によって,X線の
積分回折強度を減少させる因子。
temperature factor,
Debye-Waller factor
10020
数え落とし
かぞえおとし
高計数率のX線又はγ線の強度を測定する場合,
入射X線又はγ線の強度と測定された計数率と
の間の比例関係がなくなり,入射X線又はγ線
の強度よりも低く計数される現象。
counting loss
10021
ガイガー-ミ
ュラー計数
管,
GM計数管
がいがー-みゅらー
けいすうかん,
じーえむけいすう
かん
気体を入れた筒の電極間に高電圧を印加し,通
過した放射線をパルス電流として検知する構造
をもつ放射線検出器。
Geiger-Müller counter,
GM counter
10022
吸収効果(X
線分析法の)
きゅうしゅうこう
か
試料内でX線が吸収されて回折X線又は蛍光X
線強度が減少する現象。
absorption effect (in
X-ray analysis)
10023
吸収端(X線
分析法の)
きゅうしゅうたん
物質にX線を照射したときの内殻電子の励起に
伴い,X線の吸収が大きく上昇し,X線吸収ス
ペクトルの形状が急しゅん(峻)に変化するX
線のエネルギー。
absorption edge (in
X-ray analysis)
10024
クラツキーU
スリット
くらっきーゆーす
りっと
小角散乱強度測定の光学系において,低角度側
の測定を可能にするためのスリット。
Kratky U-slit
10025
K系列X線
けいけいれつえっ
くすせん
原子に固有なX線のうち,原子に属する電子が
K殻にある空位の軌道へ遷移することによって
発生する一群のX線。
K-series X-ray
10026
蛍光X線
けいこうえっくす
せん
X線,γ 線などを物質に照射することによって
放出される二次X線のうち,物質構成原子固有
の内部エネルギーを反映するX線。
fluorescent X-rays
33
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
10027
蛍光X線分析
法,
XRF
けいこうえっくす
せんぶんせきほ
う
試料にX線を照射したときに発生する蛍光X線
を測定し,物質の定性・定量を行う方法。
X-ray fluorescence
analysis,
XRF
10028
蛍光収量法,
FY(X線分析
法の)
けいこうしゅうり
ょうほう
X線の照射によって放射される蛍光X線の強度
から,物質による入射X線の吸収量を測定する
方法。
fluorescence yield
method,
FY (in X-ray analysis)
10029
広域X線吸収
微細構造,
EXAFS
こういきえっくす
せんきゅうしゅ
うびさいこうぞ
う,
えぐざふす
X線吸収スペクトルで吸収端より高エネルギー
側約30 eVから1 keVにわたる領域に観測され
る,減衰する波状の振動構造。
extended X-ray
absorption fine
structure,
EXAFS
10030
光電子分光法 こうでんしぶんこ
うほう
真空紫外光又は軟X線を試料に照射することに
よって得られる光電子を検出する分光法。
photoelectron
spectroscopy
10031
コンプトン散
乱
こんぷとんさんら
ん
X線及びγ線のような電磁波が物質中の電子に
衝突し,電磁波のエネルギーの一部を電子に与
えて,その波長が変化する散乱現象。
Compton scattering
10032
ゴニオメータ
ー
ごにおめーたー
物質によるX線の回折,散乱角度を測定する機
器。
goniometer
10033
最低励起電圧 さいていれいきで
んあつ
各原子における特定の特性X線(固有X線)を
励起するために必要な,最低限度の励起電圧。
lowest excitation
voltage
10034
サムピーク
(X線分析
法の)
さむぴーく
二つ以上のX線が半導体検出器に入射した場合
に,分離できずにX線エネルギーの和に相当す
る位置に検出されるピーク。
sum peaks (in X-ray
analysis)
10035
質量吸収係数 しつりょうきゅう
しゅうけいすう
X線の吸収する度合いを表す係数(吸収係数)
を,物質の密度で除した量。
mass absorption
coefficient
10036
集中法(X線
回折法の)
しゅうちゅうほう
X線源,試料の回折面及び検出器を集中円上で
走査することによって結晶構造情報を得る方
法。
θ-2θ method,
parafocusing method
(in X-ray
diffractmetry)
10037
小角X線散乱
法,
小角X線散乱,
SAXS
しょうかくえっく
すせんさんらん
ほう,
しょうかくえっく
すせんさんらん,
さっくす
X線を物質に照射して散乱する X線のうち,散
乱角が小さい(通常は10度以下)ものを測定す
ることによって,物質の構造情報を得る方法。
注記 数ナノメートルレベルの規則構造の分析
に用いる。
small angle X-ray
scattering,
SAXS
10038
シリコン−リ
チウム半導
体検出器
しりこん−りちう
むはんどうたい
けんしゅつき
けい素中にリチウムをドープして作った絶縁層
を挟んでP-I-N接合した素子を用い,入射X線
又はγ線のエネルギーに比例した電流パルスを
出力する検出器。
Si (Li) semiconductor
detector
10039
シンクロトロ
ン放射,
放射光,
SR
しんくろとろんほ
うしゃ,
ほうしゃこう
電子・陽電子加速器の一種であるシンクロトロ
ンからの連続光の放射。
注記 テラヘルツ領域からX線領域に及ぶ広範
囲の連続光が得られる。
synchrotron radiation,
SR
10040
シンチレーシ
ョン検出器
しんちれーしょん
けんしゅつき
NaI (Tl) などのシンチレーターによってX線及
びγ線を可視・紫外領域の蛍光パルスに変換し,
これを光電子増倍管を用いて計測する検出器。
scintillation detector
10041
線吸収係数
せんきゅうしゅう
けいすう
X線の吸収する度合いを表す係数(吸収係数)
を物質中のX線が通過する長さで除した量。
linear absorption
coefficient
34
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
10042
全反射X線回
折法,
TXRD
ぜんはんしゃえっ
くすせんかいせ
つほう
試料面にX線を全反射が起こる角度で照射する
ことによって,表面からの回折X線だけを検出
して,試料表面の結晶構造を解析する方法。
total reflection X-ray
diffractometry,
TXRD
10043
全反射キャピ
ラリー(X
線分析法の)
ぜんはんしゃきゃ
ぴらりー
キャピラリーの内壁面でX線を全反射させ,出
射端まで伝ぱ(播)する集光素子。
total reflection
capillary (for X-ray
analysis)
10044
全反射蛍光X
線分析法
ぜんはんしゃけい
こうえっくすせ
んぶんせきほう
半導体,ガラス基板など平たん(坦)な表面上
にX線を全反射条件で照射し,発生する蛍光X
線を分析する方法。
注記 基板からの散乱X線の影響を下げ,基板
表面の微量物質の評価に適する。
total reflection X-ray
fluorescence
spectroscopy
10045
ソーラースリ
ット
そーらーすりっと
薄い金属板を等間隔に積み重ねて,入射X線及
び回折線の垂直方向の発散を制限するためのス
リット。
soller slit
10046
挿入光源
そうにゅうこうげ
ん
シンクロトロンの光の輝度を更に高くしたり,
エネルギーを高くするために,偏向磁石の間の
直線部分に設置する光源。
注記 アンジュレーターとウィグラーとの2種
類がある。
insertion light source
10047
定計数法
ていけいすうほう
一定の計数値を設定して,計数がその設定値に
達するまでの時間を計測するX線強度の測定方
法。
fixed count method
10048
定時法
ていじほう
一定時間を設定して,その時間内における計数
値を計測するX線強度の測定方法。
fixed time method
10049
電子結合エネ
ルギー
でんしけつごうえ
ねるぎー
光電子の運動エネルギーから算出される,当該
電子の測定試料内における束縛の強さを表すエ
ネルギー。
注記 光電子分光スペクトルのエネルギー軸に
用いる量。電子ボルト単位(eV)で表す。
electron binding
energy
10050
電子収量法,
EY
でんししゅうりょ
うほう
X線の照射によって物質から放出される電子の
総量を計測し,X線の吸収測定を行う方法。
electron yield method,
EY
10051
電子線マイク
ロアナリシ
ス,
EPMA
でんしせんまいく
ろあなりしす
試料面に照射した電子ビームによって発生する
特性X線(固有X線)を分光することによって,
微小領域の組成を分析する方法。
注記 1990年頃まではX線マイクロアナリシス
(XMA)とも称していた。
electron probe
microanalysis,
EPMA
10052
特性X線,
固有X線
とくせいえっくす
せん,
こゆうえっくすせ
ん
X線スペクトルのうち,原子の内殻エネルギー
に固有なX線。
characteristic X-rays
10053
二次フィルタ
ー(X線分
析法の)
にじふぃるたー
X線分析において分析目的の元素以外に起因す
るX線を効果的に減衰させるために,試料と検
出器との間に入れるフィルター。
secondary beam filter
(for X-ray analysis)
10054
波長分散方式
(X線分析
法の)
はちょうぶんさん
ほうしき
X線を分光結晶,回折格子などの分光素子を用
いて分光する方式。
wavelength dispersive
method (for X-ray
analysis)
10055
半導体検出
器,
SSD(X線分
析の)
はんどうたいけん
しゅつき
半導体を利用してX線を電気的なパルス信号に
変換し,X線エネルギーと計数率(強度)とを
測定するための検出器。
solid state detector,
SSD (for X-ray
analysis)
35
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
10056
表面EXAFS
ひょうめんえぐざ
ふす
全反射法など表面に敏感な手法で測定された広
域X線吸収微細構造スペクトル。
surface EXAFS
10057
比例計数管
ひれいけいすうか
ん
X線又はγ線による気体のイオン化作用を利用
した比例領域で作動するX線又はγ線の検出器。
注記 光量子1個当たりのパルス電流が入射X
線のエネルギーに比例する。
proportional counter
10058
微小角入射X
線回折法,
GIXD
びしょうかくにゅ
うしゃえっくす
せんかいせつほ
う
X線を物質表面に全反射臨界角に近い角度で入
射し,その回折パターンから物質の表面近傍の
結晶構造などを得る方法。
grazing incidence X-ray
diffractometry,
GIXD
10059
ファンダメン
タルパラメ
ーター法,
FP法
ふぁんだめんたる
ぱらめーたーほ
う,
えふぴーほう
X線の吸収・励起などのX線強度に影響を与え
る物理定数(ファンダメンタルパラメーター)
を用いて,蛍光X線スペクトルから物質の組成,
膜厚などを計算で求める方法。
fundamental parameter
method,
FP method
10060
粉末X線回折
法,
粉末X線回折
ふんまつえっくす
せんかいせつほ
う,
ふんまつえっくす
せんかいせつ
粉末試料に対して行うX線回折法。
注記 主に試料の同定に用いられる。
powder X-ray
diffractometry
10061
ブラッグの式 ぶらっぐのしき
結晶によるX線の回折が起こるための条件を与
える式。
注記 式は次による。
2d sin θ=nλ
ここに,d:格子面間隔
θ:ブラッグ角
λ:X線の波長
n:整数
Braggʼs equation
10062
ブラッグ反射 ぶらっぐはんしゃ
結晶の格子面に入射し,反射したX線がブラッ
グの式の条件を満たすとき,回折波(反射線)
として強め合う現象。
Braggʼs reflection
10063
分光結晶
ぶんこうけっしょ
う
結晶によるX線の回折現象を利用して,X線の
波長分散を行うための素子。
analyzing crystal
10064
平行ビーム法
(X線回折
法の)
へいこうびーむほ
う
極細スリット,平行ソーラースリット,放物面
ミラー,コリメーターなどで得られる平行なX
線源を用い,試料の回折面に対しそのX線入射
方向を保持して回折X線強度を測定する方法。
parallel beam method
(in X-ray
diffractmetry)
10065
平面分光素子
(X線分析
法の)
へいめんぶんこう
そし
結晶のブラッグ反射を利用してX線を分光する
ために使用する,形状が平面の回折素子。
plane dispersive
element (for X-ray
analysis)
10066
偏向電磁石
(放射光の)
へんこうでんじし
ゃく
高速で入射する電子ビームを,磁場をかけて曲
げることによって放射光を発生させ,かつ円形
加速器内に電子ビームを閉じ込めるはたらきを
もつ磁石。
deflection
electromagnet (for
synchrotron
radiation)
10067
マルチチャン
ネル波高分
析器,
MCA
まるちちゃんねる
はこうぶんせき
き
多重波高分析器で,数千段階程度のエネルギー
帯にX線を分類し,エネルギー分布を表示する
機器。
multi-channel pulse
height analyzer,
MCA
10068
モズレーの法
則
もずれーのほうそ
く
原子の特性X線(固有X線)の波長と原子番号
との関係を表す法則。
Moseleyʼs law
36
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
よみ
定義
対応英語(参考)
10069
ヨハンソン型
分光器
よはんそんがたぶ
んこうき
分光結晶を半径2Rで湾曲させた後,半径Rの
ローランド円に沿って結晶表面を削ることによ
って,収差のない集光ができるX線分光器。
Johansson
spectrometer
10070
リートベルト
法
りーとべるとほう
広い回折角範囲の粉末回折パターンを直接解析
し,格子定数,構造パラメーターなどを精密化
する方法。
Rietveld method
10071
粒子線励起X
線分析法,
PIXE
りゅうしせんれい
きえっくすせん
ぶんせきほう,
ぴくしー
陽子,α粒子などの荷電粒子を加速して試料に
照射し,発生する特性X線(固有X線)を測定
して,元素分析する方法。
particle induced X-ray
emission,
PIXE
10072
励起X線
れいきえっくすせ
ん
蛍光X線又は光電子を発生させるために試料に
照射するX線。
excitation X-ray
10073
湾曲分光素子
(X線分析
法の)
わんきょくぶんこ
うそし
結晶のブラッグ反射を利用して,X線を分光す
ると同時に集束するための,湾曲した回折素子。
concave dispersive
element (for X-ray
analysis)
37
K 0212:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
JIS B 7079 光学及びフォトニクス−スペクトル帯域
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 0119 蛍光X線分析通則
JIS K 0120 蛍光光度分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0150 表面化学分析−亜鉛及び/又はアルミニウム基金属めっきのグロー放電発光分光分析方法
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS K 0214 分析化学用語(クロマトグラフィー部門)
JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門)
JIS K 3600 バイオテクノロジー用語
JIS Z 8117 遠赤外線用語
JIS Z 8120 光学用語
ISO 16962,Surface chemical analysis−Analysis of zinc- and/or aluminium-based metallic coatings by
glow-discharge optical-emission spectrometry