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K 0165:2011  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 記号及び略語 ··················································································································· 2 

5 校正方法の概要 ················································································································ 2 

6 エネルギー軸の目盛の校正手順 ··························································································· 3 

6.1 標準物質の入手 ············································································································· 3 

6.2 標準試料の取付け ·········································································································· 4 

6.3 標準試料の清浄化 ·········································································································· 4 

6.4 エネルギー軸の校正をする分光器の設定条件の選択 ······························································ 6 

6.5 分光器の操作 ················································································································ 6 

6.6 参照ピークの測定 ·········································································································· 7 

6.7 参照スペクトルのピークの運動エネルギー値の決定 ······························································ 8 

6.8 分光器のエネルギー軸の補正値の決定················································································ 9 

6.9 次回の校正 ·················································································································· 10 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 13 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標

準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業

大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

JIS 

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表面化学分析−汎用オージェ電子分光器による 

元素分析のためのエネルギー軸の校正方法 

Surface chemical analysis-Medium-resolution Auger electron 

spectrometers-Calibration of energy scales for elemental analysis 

序文 

この規格は,2002年に第1版として発行されたISO 17973を基とし,技術的内容を変更して作成した日

本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,表面の元素の同定において使用する一般的な分析として,3 eVの不確かさをもったオージ

ェ電子分光器(以下,分光器という。)のエネルギー軸を校正する方法について規定する。また,この規格

は,校正のスケジュールを設定する方法についても規定する。 

この規格は,相対エネルギー分解能が0.5 %以下である場合のダイレクトモード又は微分モードのいず

れか,及びその分光器でエネルギー掃引に重畳する変調幅を2 eVと設定する場合に適用できる。この規格

は,希ガスイオン銃又は表面清浄のための他の方法を備える分光器,及び4 kV以上の加速電圧で動作でき

る電子銃を備える分光器に適用できる。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 17973:2002,Surface chemical analysis−Medium-resolution Auger electron spectrometers−

Calibration of energy scales for elemental analysis(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0147 表面化学分析−用語 

注記 対応国際規格:ISO 18115:2001,Surface chemical analysis−Vocabulary(IDT) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0147による。 

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記号及び略語 

この規格で用いる主な記号及び略語は,次による。 

AES(Auger electron spectroscopy):オージェ電子分光法 

a:エネルギー軸の測定誤差 

b:ゼロオフセットの測定値(eV) 

Ecorr 

:あるEmeasに対応した正しい運動エネルギーの値(eV) 

Emeas 

:運動エネルギーの測定値(eV) 

Emeas, n :ピークn(表1参照)の運動エネルギーの測定値(eV) 

Eref, n 

:ピークn(表1参照)の運動エネルギーの基準値(eV) 

FWHM(full width at half maximum):半値幅(eV) 

R(relative energy resolution):相対エネルギー分解能 ΔE/E(百分率で表記),ここでEは,電子の運動

エネルギー(eV) 

W:ピークのFWHM 

Δn:校正対象ピークの基準運動エネルギーに対する平均測定値のオフセット(n=1,2,3,4)(eV) 

ΔEcorr:正しい運動エネルギーを与えるための校正後にEmeasに加えられる補正値 

β:アナログシステムの場合のエネルギー掃引速度(eV/s) 

τ(the detecting amplifier time constant):検出増幅時間定数(s) 

校正方法の概要 

この規格に従って分光器を校正するためには,銅及び金の組合せ,又はその代わりに銅及びアルミニウ

ムの組合せからなる標準物質薄片を用いて選択したオージェ電子ピークの測定を行うので,あらかじめこ

れらを入手しておく。これらの標準物質は,運動エネルギーの高い領域,中間の領域及び低い領域にある

オージェ電子ピークを得るために選ばれたものである。 

試料は清浄化し,スペクトルはダイレクトスペクトル形式で,それが不可能な場合は微分スペクトル形

式で記録する。ピークのエネルギー値を基準値と比較して,エネルギー軸を校正する。この校正をどのよ

うに実行するかは,分光器及び設備の状況に依存する。この校正作業の内容は,時間とともに変わるので,

校正が一定の間隔で行えるように操作手順を規定するようにする。 

作業の構成及び操作手順を,図1に示す。 

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図1−校正方法の操作手順 

エネルギー軸の目盛の校正手順 

6.1 

標準物質の入手 

次に定義するような高い信号対ノイズ比をもち,運動エネルギー範囲を2 100 eVまで掃引できる分光器

の校正には,銅及び金の試料を使う。もっと低い信号対ノイズ比,又は2 000 eVまでしかエネルギー掃引

できない分光器には,銅及びアルミニウムの試料を使う。 

使用する分光器のCu L3VVピーク強度がダイレクトモードで400 000 cpsより低い場合,微分スペクト

ルにおけるノイズの二乗平均平方根がCu L3VVピークツーピーク(peak-to-peak)強度の0.3 %を超える場

合,又は電子線の加速電圧の最大値が5 kVより低い場合には,銅及び金の組合せの代わりに銅及びアルミ

ニウムの組合せを使ってもよい。これは,十分な金強度の測定に時間がかかり過ぎるかもしれないからで

ある。 

さらに,高い信号強度を得られる分光器又は2 100 eVまでエネルギー掃引できる分光器のためには,金

の使用は適切であり,より広いエネルギー範囲の校正ができる。9点以上の点数(6.7参照)でサビツキー・

ゴーレイ法(Savitzky and Golay smoothing)で平滑化をする場合には,Cu L3VVピークで400 000 cpsある

6.1 標準物質の入手 

6.2 標準試料の取付け 

6.3 標準試料の清浄化 

サーベイスペクトルの記録 

6.4 エネルギー軸の校正をする分光器の設定条件の選択 

6.5 分光器の操作 

6.6 参照ピークの測定 

6.7 参照スペクトルのピークの運動エネルギー値の決定 

6.8 分光器のエネルギー軸の補正値の決定 

6.9 次回の校正又は異状発生まで待機 

次回の校正を実行 

スタート 

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必要はなく100 000 cpsでも差し支えない[2]。 

全ての試料は,少なくとも99.8 %以上の純度の多結晶体金属で,大きさ10 mm×10 mm,厚さ0.1 mm〜

0.2 mmの薄片状のものが使いやすい。 

試料の清浄化が必要なときは,銅は1 %硝酸に少し浸した後に蒸留水ですすぐとよい。銅試料を2,3日

以上空気中に放置したときは,上記の硝酸に浸すことによって簡単に6.3に規定する試料の清浄化ができ

る。 

注記 電子線の加速電圧が10〜20 kVのとき,それより低い加速電圧での測定のときよりも,よりよ

い信号対ノイズ比を得られることが多い。 

6.2 

標準試料の取付け 

銅,金又はアルミニウム試料を同一のホルダ又は別のホルダに,止めねじ又は他の金属のジグで導通を

確保して固定する。両面粘着テープを用いてはならない。 

注記 試料を取り付けるホルダの材料としては,非磁性材料で,かつ,放出ガスの少ない材料を用い

る必要がある。磁性の強い材料を用いると一次電子線の照射位置が移動したり,検出信号が減

少する場合がある。亜鉛を含む合金,黄銅などのホルダ,ビス,ワッシャーなどを用いて,更

に加熱した場合,黄銅などから亜鉛が蒸発して分析室などを汚すため,特に注意が必要である。

測定試料として,これらの材料を分析する場合にも,同様の注意が必要である。 

6.3 

標準試料の清浄化 

超高真空に到達後,イオンスパッタリングによって表面汚染を取り除き,試料を清浄化する。目安は,

サーベイスペクトル(ワイドスキャン)で酸素及び炭素のオージェ電子ピークが,最も強い金属ピークの

高さの2 %以下になるようにする。それぞれの試料についてサーベイスペクトルをとり,存在すべき純元

素のピークだけであることを確かめる。6.6が終了するまで又は一日の終わりまでのどちらか早い方で,試

料表面の酸素及び炭素のピーク高さが,金属の最も強いピークの3 %を超えない方がよい。 

この規格に関係する全ての測定は,一日のうちに終わらせるのがよい。一日以上かかる場合には,その

日の始めに試料の清浄さを確認しなければならない。 

注記 試料清浄化に適切な希ガスイオンスパッタリング条件は,5 keV,30 μAのアルゴンイオンで 

1 cm2の範囲を1分間行う。 

サーベイ及び微分スペクトルの例を,図2に示す。 

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a) 銅 

b) 金 

サーベイスペクトル 

微分スペクトル 

図2−清浄化された銅,金及びアルミニウムのサーベイスペクトル 

運動エネルギー(eV)

1

0

C

P

S

運動エネルギー(eV)

1

0

C

P

S

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c) アルミニウム 

サーベイスペクトル 

微分スペクトル 

図2−清浄化された銅,金及びアルミニウムのサーベイスペクトル(続き) 

6.4 

エネルギー軸の校正をする分光器の設定条件の選択 

ダイレクトモードでスペクトル測定するよう分光器を設定する。微分モードでしか操作できない分光器

では,微分変調振幅を2 eVピークツーピークに設定する。エネルギー軸の校正をする分光器のその他の操

作設定を選択する。パスエネルギー,減速比,スリット,レンズ調整など,校正が必要なアナライザー設

定のそれぞれの組合せごとに6.4〜6.6に示す校正手順を繰り返す。これらの設定値は,分光器校正の日誌

に記録する。 

注記 分光器及びその回路デザインには,様々な種類がある。ある一つの組合せで校正したレンズの

調整,スリット及びパスエネルギーの値は,それ以外の組合せに対しては必ずしも有効ではな

い。大多数の測定者は,ある一つの最適な組合せの条件で正確な測定を行う。したがって,こ

の条件での校正が必要とされる。どのような校正も実際に設定した組合せに対してだけ有効で

ある。 

6.5 

分光器の操作 

重要−高い計数率[3]又は不適切な検出器の電圧[3], [4]は,ピークのひずみ(歪)を引き起こし,誤ったピー

クエネルギーの値を与える原因になる。 

分光器製造業者の取扱説明書又は試験機関で決めた手順書に従って分光器を操作する。分光器は,ベー

キングの後で十分に冷えた状態にする。計数率,分光器の掃引速度及びその他の分光器製造業者が規定し

たパラメータについて,分光器製造業者が推奨する範囲内で操作していることを確認する。検出器の電子

増倍管の設定が正しく調整されていることを点検する。多重検出器をもつ分光器については,分光器製造

業者が記述している必要な最適化又は点検を,この校正に先立って確実に行わなければならない。 

運動エネルギー(eV)

1

0

C

P

S

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6.6 

参照ピークの測定 

6.6.1 

通常使う場合と同じ放出角の分析位置に,銅試料をセットする。試料の位置決めの順序は,分光器

製造業者が推奨する手順書に従う。6.4によって選択した設定を利用して,ダイレクトモード又は微分モー

ドでCu M2, 3VV及びCu L3VVのピークエネルギーを記録する[図3のa) 及びb) を参照]。記録は,次に

よる。 

a) エネルギー軸をデジタル掃引する場合は,エネルギーステップを0.1 eV程度に設定する。 

b) アナログシステムでは,掃引速度βは0.07 Wτ−1 eV/s未満とする。 

表1によって,適切に選択した全チャネルの積算時間又はτ/βにおける信号強度を記録する。サビツキ

ー・ゴーレイ法で9点又はそれ以上の点で平滑化を行った場合,最小信号強度は低くなる(表1参照)。 

6.6.2 

Au M5N6, 7N6, 7ピークは,Cu L3VVピークの約10倍長い測定時間がかかる。この時間が受け入れに

くい場合,分光器が2 000 eVまでしかエネルギー掃引できない場合,又は電子線の加速電圧が5 kV未満

の場合には,銅及び金の組合せの代わりに銅及びアルミニウムの組合せを使う。分析位置から銅試料を外

し,金又はアルミニウム試料に取り替える。図3のc)及びd)に示すAu M5N6, 7N6, 7又はAl KL2, 3L2, 3のピー

クを記録するために必要な条件の全チャネルの積算時間又はτ/β以外は,検出器の設定を6.6.1と同じ組合

せにする。 

表1−記録する信号強度 

ピーク 

番号 

帰属 

ダイレクトモードにおける 

チャネル当たりの計数の最小値a) 

微分モードにおける許容される 

2乗平均値の最大値 

平滑化なし 9点以上の点でサビツキー・ 

ゴーレイ法で平滑化 

平滑化なし 9点以上の点でサビツキー・ 

ゴーレイ法で平滑化 

Cu M2, 3VV 

400 000 

100 000 

1 % 

2 % 

Cu L3VV 

400 000 

100 000 

1 % 

2 % 

Al KL2, 3L2,3 

400 000 

100 000 

1 % 

2 % 

Au M5N6, 7N6, 7 

4000 000 

1000 000 

1 % 

2 % 

注a) バックグラウンドは,差し引かない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) Cu M2,3VV 

b) Cu L3VV 

c) Au M5N6,7N6,7 

d) Al KL2,3L2,3 

 a 

ダイレクトモード 

微分モード 

校正用のピーク 

注記 分かりやすくするため,微分スペクトルは垂直方向にずらした。図の主軸のエネルギー軸は真空準位を基準と

しており,第二軸のエネルギー軸はフェルミ準位を基準としている。 

図3−相対エネルギー分解能0.3 %でのナロースキャンスペクトルの例 

6.7 

参照スペクトルのピークの運動エネルギー値の決定 

図3に示すような適度なエネルギースキャン幅で測定されたピークに対して,ダイレクトスペクトルに

おけるピーク最大値,又は微分スペクトルにおける負のピーク最小値の運動エネルギーの絶対値を求める。

ただし,図3のa)に示すCu M2, 3VVスペクトルは例外である。図に示すように,2本のピークの間に接線

を引き,その接点間の中点をスペクトルの運動エネルギー値とする。スペクトルが平滑化処理を必要とし

ないほど十分な強度をもつ場合には(表1参照),この運動エネルギー値決定の操作を実スペクトルに直

接行ってもよい場合がある。しかし,スペクトルの強度が十分でない場合には,少なくとも表1にある“サ

運動エネルギー(eV)

1

0

C

P

S

運動エネルギー(eV)

1

0

C

P

S

運動エネルギー(eV)

1

0

C

P

S

運動エネルギー(eV)

1

0

C

P

S

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ビツキー・ゴーレイ法の9点以上”の条件に相当する信号強度のスペクトルに対しては,三次又は二次の

サビツキー・ゴーレイ法で,9点以上の平滑化処理を一回だけ行う。ただし,表2に記載する点の数を超

えないように平滑化処理を行うよう注意する。 

注記1 表2に基づく平滑化処理は,表1に記載されている信号強度以上のスペクトルに対しても有

効である。 

注記2 微分モードでのAu M5N6, 7N6, 7のピークは,3本のスペクトルからなるが,0.15 %よりも低い

分解能で測定するとこのスペクトル構造がつぶれてしまう。例えば,約0.3 %よりも低い分

解能で測定すると3本のピークが2本のピークになってしまい,その結果二つの極小値が一

つの極小値[図3 c)のcピーク]として観察される。 

表2−分光器の(最大)相対分解能に対応したサビツキー・ゴーレイ法の式に基づく 

平滑化処理における最大点数。データ点の間隔は,0.1 eVとする 

ピーク番号 

帰属 

分光器の(最大)相対分解能 

0.1 % 

0.2 % 

0.3 % 

0.4 % 

0.5 % 

Cu M2, 3VV 

Cu L3VV 

15 

19 

25 

29 

Al KL2, 3L2, 3 

19 

29 

39 

49 

Au M5N6, 7N6, 7 

19 

29 

39 

55 

69 

6.8 

分光器のエネルギー軸の補正値の決定 

6.8.1 

測定された分光器オフセットエラーのΔnを,次の式で求める。 

Δn=Emeas, n−Eref, n ······································································· (1) 

ここに, Emeas, n: ピークnの運動エネルギーの測定値 
 

Eref, n: 表3で与えられるピークnの運動エネルギーの基準値 

運動エネルギーの基準値は,ダイレクトモード又は微分モードを選択して,適した値を使用する。 

注記 参照値は,分光器の校正に真空準位又はフェルミ準位を基準としたエネルギーで与えられる。

従来は,真空準位が使われ,この方法で参照されたスペクトルの例が,参考文献[5]〜[8]に示さ

れている。X線光電子分光も行うのであれば,参考文献[9]及び[10]にあるように,フェルミ準

位を基準とした方がより便利である。 

6.8.2 

オフセットエネルギーΔ1,Δ2及びΔ3の三つの値,又はΔ1,Δ2及びΔ4の三つの値を調べ,これら

の絶対値が全て2 eV以下ならば,分光器は校正されている。三つのうち一つでも,絶対値が2 eVより大

きい場合は,分光器製造業者の推奨する方法で再校正するか,又は6.8.3で規定するエネルギー軸の校正

法を用いる必要がある。分光器が,初めて再校正された後,6.6で規定する測定を繰り返し,Δ1,Δ2及びΔ3,

又はΔ1,Δ2及びΔ4の絶対値を再決定し,それらの値が全て2 eV以下となっていることを確認する。オフ

セットエネルギーΔ1,Δ2及びΔ3,又はΔ1,Δ2及びΔ4の三つの値を調べる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表3−真空準位基準及びフェルミ準位基準の参照運動エネルギー 

単位 eV 

ピーク番号 

 
 

帰属 

運動エネルギー 

Eref, n 

ダイレクトスペクトル 

微分スペクトル 

真空準位 

フェルミ準位 

真空準位 

フェルミ準位 

Cu M2, 3VV 

58 

62 

60 

64 

Cu L3VV 

914 

919 

915 b) 

920 b) 

Al KL2, 3L2, 3 

1388 

1393 

1390 b) 

1395 b) 

Au M5N6, 7N6, 7 

2011 a) 

2016 a) 

2021 

2026 

注記 この表は,参考文献[11]〜[13]を引用している 
注a) 電子線エネルギーが6 keV以下で,かつ,0.3 %<R≦0.5 %のときには,この値に1 eVを加え

る。 

b) 0.27 %<R≦0.5 %のときには,この値に1 eVを加える。 

6.8.3 

分光器の調整がなされていない場合,校正した運動エネルギーEcorrと運動エネルギーの測定値Emeas

とは,次に示す線形関係があると仮定する。 

Ecorr=Emeas+ΔEcorr ······································································ (2) 

ここに, 

ΔEcorrは,式(3)によって与えられる。 

ΔEcorr=aEmeas+b ········································································ (3) 

エネルギー軸の目盛に比例する誤差a及びエネルギーが0のときのオフセット値bは,負の三つのΔn

値,−Δ1,−Δ2及び−Δ3,又は−Δ1,−Δ2及び−Δ4から最小二乗法によって求められる。これは,コンピ

ュータで処理するか,又は式(4)及び式(5)から求められる。bは,それぞれのEref, nの値に対する測定値のず

れ,ΔEcorrとして扱われる。 

+

=

n

n

n

n

n

n

n

n

n

n

n

n

E

E

E

E

a

2

,

meas

2

,

meas

,

meas

,

meas

3

1

3

1

 ··········································· (4) 

=

n

n

n

n

E

a

b

,

meas

3

1

3

1

·························································· (5) 

6.8.4 

Δ1,Δ2及びΔ3,又はΔ1,Δ2及びΔ4,a及びbの値,並びに必要に応じて,行った校正手順につい

て分光器の報告書に記録する。 

6.9 

次回の校正 

6.9.1 

次回の校正は,設備に重要な変更又は修理を行った直後,6.9.2の方法でピークエネルギーが2 eV

以上変化したとき,又は3か月を超えないうちに行わなければならない。最初の再校正でΔ1,Δ2及びΔ3,

又はΔ1,Δ2及びΔ4のいずれかが2 eV以上であれば,校正の間隔を半分にしなければならない。2回目の

再校正でΔ1,Δ2及びΔ3,又はΔ1,Δ2及びΔ4のいずれかが,まだ2 eV以上であれば,更に間隔を半分に

しなければならない。校正を繰り返したときに,Δ1,Δ2及びΔ3,又はΔ1,Δ2及びΔ4の全てが2 eVより小

さくなるまで,校正の間隔を短くしなければならない。 

注記 一般的に最初は校正の間隔を短くして,オフセットのドリフトの程度を低く保つことが賢明で

ある[1]。この規格を使ってみると,3か月以内にはほとんどの分光器が校正を必要としないこと

11 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

が経験的に分かっている。したがって,分析者の仕事を低減するためにこれとは逆の手順が採

用されている。 

6.9.2 

分光器の電子部品は,予期しない使われ方によって,壊れたり又は変化したりすることがある。こ

の3か月という期間中で変化の兆候を捉えるためには,定期的に測定している試料の選択されたピークエ

ネルギーを確認し,以前の値,又はもし純物質なら利用可能な文献値などと比較することが有効である。2 

eVを超えた違いがあるかどうか確認し,必要であれば再校正する。 

注記 AESスペクトルのハンドブックは,ピークエネルギーが微分モード(参考文献[5]〜[9]参照),

ダイレクトモード(参考文献[8]参照)のどちらで記載されていても利用できる。微分モードの

最小値のエネルギーは,直接ピークのエネルギーより,通常は値が1 eV〜5 eV高くなる。ハン

ドブック間での更なる違いは,次のとおりである。 

− 参考文献[5]〜[8]は,全て真空準位を基準としたデータであるが,参考文献[9]ではフェルミ

準位が使われている。フェルミ準位を基準とした値は,真空準位を基準とした値より,通

常は4.5 eV大きくなるため,4 eV大きく表示されている値もあれば,5 eV大きく表示され

ているものもある。ピークエネルギーは,特に異なるモードでは分析器の分解能と微分変

調振幅の強度との両方に依存するため,これらのハンドブックにある値は,相互に,また

分析者が得た値と5 eV以上差があるかもしれない[14]。 

− 参考文献[6]〜[8]の分析器の分解能は,公称0.5 %であるが,参考文献[5]及び[9]の分解能は

0.6 %である。 

− 参考文献[6]での微分変調振幅は2 eVであるが,参考文献[5]及び[7]では,微分変調の強度

は1 000 eV以下のオージェ電子エネルギーでは2 eV,それより高エネルギーでは,それぞ

れ5 eV,6 eVである。参考文献[8]及び[9]では,微分関数の振幅はそれぞれ5 eV,4 eVで

ある。微分の振幅を高くする効果で,ピークは2 eV程度高エネルギー側にシフトしている。 

− X線光電子分光に関連した参考文献[10]に示されたデータは,化合物も含んでいるが,フ

ェルミ準位を参照した唯一のダイレクトモードの高分解能分光器によるものである。 

12 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1] 

JIS K 0166 表面化学分析−高エネルギー分解能をもつオージェ電子分光器による元素分析及び化

学結合状態分析のためのエネルギー軸の校正方法 

注記 対応国際規格:ISO 17974,Surface chemical analysis−High-resolution Auger electron 

spectrometers−Calibration of energy scales for elemental and chemical-state analysis(MOD) 

[2] 

SAVITZKY, A. and GOLAY, M.J.E., Smoothing and differentiation of data by simplified least squares 

procedures, Analytical Chemistry, July 1964, vol. 36, no. 8, pp. 1627 1639 with corrections by STEINER, J., 

TERMONIA, Y. and DELTOUR, J., Comments on smoothing and differentiation of data by simplified least 

square procedure, Analytical Chemistry, Sept 1972, vol. 44, no. 11, pp 1906-1909 

[3] 

SEAH, M.P. and TOSA, M., Linearity in electron counting and detection systems, Surface and Interface 

Analysis, Mar. 1992, vol. 18, no. 3, pp. 240-246 

[4] 

SEAH, M.P., LIM, C.S. and TONG, K.L., Channel electron multiplier efficiencies: The effect of the pulse 

height distribution on spectrum shape in Auger electron spectroscopy, Journal of Electron Spectroscopy, Mar. 

1989, vol. 48, no. 3, pp. 209-218 

[5] 

DAVIS, L.E., MACDONALD, N.C., PALMBERG, P.W., RIACH, G.E. and WEBER, R.E., Handbook of 

Auger Electron Spectroscopy, Eden Prairie, MN: Physical Electronics Industries, 1976 

[6] 

MCGUIRE, G.E., Auger Electron Spectroscopy Reference Manual, New York: Plenum, 1979 

[7] 

SHIOKAWA, Y., ISIDA, T. and HAYASHI, Y., Auger Electron Spectra Catalogue: A Data Collection of 

Elements, Tokyo: Anelva, 1979 

[8] 

SEKINE, T., NAGASAWa, Y., KUDOH, M., SAKAI, Y., PARKES, A.S., GELLER, J.D., MOGAMI, A. and 

HIRATA, K., Handbook of Auger Electron Spectroscopy, Tokyo: JEOL, 1982 

[9] 

CHILDS, K.D., CARLSON, B.A., LAVANIER, L.A., MOULDER, J.F., PAUL, D.F., STICKLE, W.F. and 

WATSON, D.G., Handbook of Auger Electron Spectroscopy, Eden Prairie, MN: Physical Electronics Inc., 

1995 

[10] 

WAGNER, C.D., Photoelectron and Auger energies and the Auger parameter: A data set, in Practical Surface 

Analysis, Vol. 1, Auger and X-ray Photoelectron Spectroscopy, Chichester: Wiley, 1990, pp. 595-634 

[11] 

SEAH, M.P., AES: Energy calibration of electron spectrometers, IV−A re-evaluation of the reference 

energies, Journal of Electron Spectroscopy, Dec. 1998, vol. 97, no. 3, pp. 235 241 

[12] 

SEAH, M.P., SMITH, G.C. and ANTHONY, M.T., AES: Energy calibration of electron spectrometers I−An 

absolute, traceable energy calibration and the provision of atomic reference line energies, Surface and 

Interface Analysis, May 1990, vol. 15, no. 5, pp. 293 308 

[13] 

SEAH, M.P. and GILMORE, I., AES: Energy calibration of electron spectrometers III−General calibration 

rules, Journal of Electron Spectroscopy, Feb. 1997, vol. 83, nos. 2 and 3, pp. 197 208 

[14] 

ANTHONY, M.T. and SEAH, M.P., Intensity and energy calibration in AES: The effect of analyser 

modulation, Journal of Electron Spectroscopy, August 1983, vol. 32, no. 1, pp. 73 86 

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附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS K 0165:2011 表面化学分析−汎用オージェ電子分光器による元素分析のため
のエネルギー軸の校正方法 

ISO 17973:2002 Surface chemical analysis−Medium-resolution Auger electron 
spectrometers−Calibration of energy scales for elemental analysis 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
及びその内容 

(V)JISと国際規格との
技術的差異の理由及び
今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 汎用オージェ電子分光器に

よる元素分析のためのエネ
ルギー軸の校正方法につい
ての規定 

JISとほぼ同じ 

変更 

オージェ電子分光器でプローブとして使用
する電子線は,加速電圧(kV)で表記され
るのが普通であり,エネルギー単位では計測
は困難であるために4 keVから4 kVに変更
する。技術的内容に差異はない。 

ISO 17973の見直しの際
に変更を要請する。 

4 記号及び
略語 

記号及び略語についての規
定 

JISとほぼ同じ 

追加 

本体でR(相対エネルギー分解能)が使用さ
れているため追加したもので,技術的内容に
差異はない。 

ISO 17973の見直しの際
に変更を要請する。 

6.2 標準試
料の取付け 

試料の取付け方法について
の規定 

6.2 

JISとほぼ同じ 

追加 

本体の内容が,この規格利用者に理解しづら
いと考え,注記を追記したもので,内容の補
足説明であり,技術的内容に差異はない。 

− 

6.8.2 

分光器のエネルギー軸の補
正値の決定についての規定 

6.8.2 

JISとほぼ同じ 

削除 

本体に既に述べられている内容で重複し冗
長になるので注記を削除したもので,技術的
内容に差異はない。 

− 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 17973:2002,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 
 

− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 
 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

4

K

 0

1

6

5

2

0

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