K 0164:2010
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 量記号及び略語 ················································································································ 1
4 原理······························································································································· 2
5 標準物質(標準試料) ······································································································· 2
5.1 相対感度係数を決めるための標準物質(標準試料) ······························································ 2
5.2 深さ軸を校正するための標準物質(標準試料) ···································································· 2
6 装置······························································································································· 2
7 試料······························································································································· 3
8 手順······························································································································· 3
8.1 二次イオン質量分析計の調整···························································································· 3
8.2 二次イオン質量分析計の設定条件の最適化 ·········································································· 3
8.3 試料導入 ······················································································································ 4
8.4 検出イオン ··················································································································· 4
8.5 分析対象試料の測定 ······································································································· 4
8.6 校正 ···························································································································· 4
9 結果の表現 ······················································································································ 5
9.1 シリコンに対するボロンのイオン強度比 ············································································· 5
9.2 分析対象試料のボロンの原子濃度······················································································ 6
9.3 バックグラウンド強度 ···································································································· 6
9.4 測定サイクルiにおける深さ ···························································································· 6
9.5 測定サイクル数が大きい場合の深さ ··················································································· 6
9.6 結果の図式化 ················································································································ 6
10 報告 ····························································································································· 6
附属書A(参考)触針式表面粗さ測定機による測定結果の統計解析 ················································ 8
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 10
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標
準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業
大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
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日本工業規格 JIS
K 0164:2010
表面化学分析−二次イオン質量分析法−
シリコン内のボロンの深さ方向分布測定方法
Surface chemical analysis-Secondary-ion mass spectrometry-
Method for depth profiling of boron in silicon
序文
この規格は,2002年に第1版として発行されたISO 17560を基とし,技術的内容を変更して作成した日
本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,二次イオン質量分析法(以下,SIMSという。)を用いた,シリコン内のボロンの深さ方向
分布測定の方法について規定する。この規格は,原子濃度範囲として1×1016原子数/cm3〜1×1020原子数
/cm3のボロンを含む単結晶・多結晶・アモルファスのシリコン試料,測定時のクレータ深さが50 nm以上
の場合に適用する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 17560:2002,Surface chemical analysis−Secondary-ion mass spectrometry−Method for depth
profiling of boron in silicon(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
JIS K 0143:2000 表面化学分析−二次イオン質量分析法−シリコン中に均一に添加されたボロンの原
子濃度の定量方法
注記 対応国際規格:ISO 14237:2000,Surface chemical analysis−Secondary-ion mass spectrometry−
Determination of boron atomic concentration in silicon using uniformly doped materials(IDT)
3
量記号及び略語
この規格で用いる主な記号及び略語は,次による。
Ci
Ci10
:測定サイクルi番目の全ボロン原子濃度(原子数/cm3)
:測定サイクルi番目のボロン同位体10Bの原子濃度(原子数/cm3)
2
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Ci11
di
dt
Ii10
Ii11
IiSi
Ji10
Ji11
10
BG
J
11
BG
J
N
T
tiB
ΔtB
δ
λ
RSFwork
SIMS
:測定サイクルi番目のボロン同位体11Bの原子濃度(原子数/cm3)
:測定サイクルi番目の深さ(μm又はnm)
:クレータ深さ(μm又はnm)
:測定サイクルi番目のボロン同位体10Bのイオン強度(カウント/s)
:測定サイクルi番目のボロン同位体11Bのイオン強度(カウント/s)
:測定サイクルi番目のシリコンマトリックスのイオン強度(カウント/s)
:測定サイクルi番目のシリコンイオン強度に対するボロン同位体10Bのイオン強度の比
:測定サイクルi番目のシリコンイオン強度に対するボロン同位体11Bのイオン強度の比
:測定サイクルi番目のシリコンイオン強度に対するボロン同位体10Bの平均バックグラウ
ンド強度の比
:測定サイクルi番目のシリコンイオン強度に対するボロン同位体11Bの平均バックグラウ
ンド強度の比
:測定サイクル数
:測定時間(s)
:測定サイクルi番目のボロンイオン測定開始時間(s)
:各測定サイクルにおけるボロンイオンの測定時間間隔(s)
:マスディスクリミネーション補正係数
:光干渉計の光の波長(μm又はnm)
:作業用相対感度係数
:二次イオン質量分析法
4
原理
試料表面に酸素イオンビーム又はセシウムイオンビームを走査させ,イオンビームが走査した領域の中
央部(ゲート領域)から発生したボロン及びシリコンの二次イオンを質量分離し,検出する。 質量分離さ
れた各イオンの強度はスパッタリング(JIS K 0147参照)時間に対して連続的に測定する。深さ校正のた
めに,イオンビームによって形成されたクレータの深さを触針式表面粗さ測定機(TS K 0012参照)又は
光干渉計(TS K 0012参照)によって測定する。
注記 光干渉計は,一般に0.5 μm〜5 μmのクレータ深さの測定に用いられる。
5
標準物質(標準試料)
5.1
相対感度係数を決めるための標準物質(標準試料)
標準物質は,JIS K 0143の4.(標準試料)による。
5.2
深さ軸を校正するための標準物質(標準試料)
触針式段差計による深さ校正では,認証標準物質(標準試料)又は認証標準物質(標準試料)にトレー
サブルな標準物質(標準試料)を用いるものとする。
6
装置
6.1
二次イオン質量分析計 二次イオン質量分析計は,JIS K 0143の5.(装置)による。
6.2
触針式段差計 段差計は,測定対象のクレータ形状に適した測定感度及び針形状をもつ,触針式段
差計を使用する。
3
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6.3
光干渉計 干渉計は,測定対象のクレータ形状に適した測定感度及び機能をもつ,光干渉計を使用
する。
7
試料
試料を分析するのに適切な大きさに切断し,必要に応じて脱脂及び洗浄を行う。
注記 クレータ深さ測定の正確さは,試料表面の荒れの程度に強く依存する。正確な深さ校正が必要
な場合には鏡面研磨試料を用いることが望ましい。
8
手順
8.1
二次イオン質量分析計の調整
8.1.1
酸素イオンビームを用いる場合の測定条件は,表1による。セシウムイオンビームを用いる場合の
測定条件は,表2による。ここで規定していない条件については,装置製造業者の作業手順書又は装置担
当者が作成した手順書によって調整を行う。
表1−酸素イオンビームを用いる場合の測定条件
項目
測定条件
一次イオン種
二次イオン極性
一次イオンの走査範囲
分析領域
O2+
正
すべての方向に分析領域幅の3倍を超えた幅
一次イオンの走査範囲の中心
表2−セシウムイオンビームを用いる場合の測定条件
項目
測定条件
一次イオン種
二次イオン極性
一次イオンの走査範囲
分析領域
Cs+
負
すべての方向に分析領域幅の3倍を超えた幅
一次イオンの走査範囲の中心
注記 表1及び表2に記載の“すべての方向に分析領域幅の3倍を超えた幅”とは,“電気的ゲートの
場合には分析領域幅の縦方向及び横方向で3倍を超える幅”を意味する。
8.1.2 一次イオンのビーム電流及び走査範囲は,試料ごとに変えることができる(8.5.2参照)。ただし,
酸素ビーム照射時の試料チャンバーへの酸素ガス導入時には,酸素ガス圧及びすべての一次イオンビーム
照射条件はすべての試料において同一にする。
8.2
二次イオン質量分析計の設定条件の最適化
8.2.1
必要な装置条件を設定し,装置製造業者の作業手順書又は装置担当者が作成した手順書によってイ
オン光学系の調整を行う。
8.2.2
一次イオン電流及び質量分析計の安定性を,装置製造業者の作業手順書又は装置担当者が作成した
手順書によって確認する。
8.2.3 二次イオン質量分析計の透過率が変えられる場合には,標準物質及び分析対象試料の測定時の透過
率を同一にする。
4
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8.3
試料導入
二次イオン質量分析計に試料を導入する直前に,試料表面のちり微粒子をダストブロワを利用して除去
する。分析室に試料を導入した後,装置製造業者の作業手順書又は装置担当者が作成した作業手順書の推
奨する真空度に回復するまで測定を開始してはならない。
注記1 分析室の残留ガスによって11B28Si−信号のバックグラウンドとなる10B28Si1H−が発生する。こ
のバックグラウンドは,分析室の真空度を改善することによって低減することができる。
注記2 アモルファスシリコンの場合,試料中に水素が存在するために,注記1に記載したバックグ
ラウンドに注意が必要である。
8.4
検出イオン
8.4.1 酸素イオンビームを用いる場合は,10B+及び11B+の両方をボロンの二次イオン種として検出する。
セシウムイオンビームを用いる場合は,10B28Si−及び11B28Si−の両方をボロンの二次イオン種として検出す
る。
8.4.2
装置製造業者の作業手順書又は装置担当者が作成した作業手順書によって,適切なイオン強度をも
つシリコンの二次イオン種を検出し,シリコンイオン強度として用いる。
8.4.3 装置が電流を検出するモードの場合は,B+イオンの参照元素イオンとして電流計を用いて28Si+を
検出する。BSi−を検出する場合は,Si2−を参照元素イオンとして検出する。装置がパルスカウンティング
モードの場合は,瞬間的なシリコンイオンのカウント率を5×105 カウント/s以下に設定することが望まし
い。
8.4.4
アモルファスシリコンを分析する場合は,29Siイオン,30Siイオン及びその分子イオン信号にSiH
クラスターイオンが干渉する。そのため,28Siイオン又はその分子イオン(例えば,28Si+,28Si2+)を参照
元素イオンとして検出する。
8.5
分析対象試料の測定
8.5.1 測定は,試料ホルダーの窓の中央の領域を用いて行う。
8.5.2
一次イオン電流及びビーム走査領域は,深さ方向分布の詳細が分かるよう,十分なデータポイント
が得られるように選ばなければならない。深さ方向分布の予備測定は,これらの条件を決定するために有
用である。試料のボロンイオン強度が高い場合(≧1×105カウント/s)は,検出器が飽和しないように注
意する。もし,分析領域(すなわちゲート領域)でのボロンイオン強度が5×105 カウント/s以上である場
合には,一次イオン電流量を下げるか,又は質量分析計の透過率を下げる(8.2.3参照)。
注記1 投影形の装置の場合は,小さな制限視野絞りを使ってイオン強度を下げることができる。し
かし,これは分析領域における瞬間的なカウント率を低下させているものではない。小さな
制限視野絞りを使わずに,全体の透過率を変えなければならない。
注記2 電子増倍管のカウンティングシステムの線形性については,参考文献[1]及び[2]を参照
する。
8.5.3 ボロン及びシリコンの二次イオン強度は,交互かつ周期的に測定しなければならない。
8.5.4
一つの深さ方向分布測定内におけるシリコンイオン強度の変動が,装置製造業者の作業手順書又は
装置担当者が作成した作業手順書の示す許容範囲内であれば一定とみなす。この場合,シリコン強度はサ
イクルごとに測定する必要はなく,それぞれの測定領域の任意の1サイクルで測定してもよい。
8.6
校正
8.6.1
相対感度係数の決定は,JIS K 0143の7.6.2(作業用相対感度係数の決定)の手順によって,RSFwork
及びδを分析対象試料測定と同じ測定条件を用いて求める。校正及び分析対象試料測定は,同一日に行う
5
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ことが望ましい。
8.6.2
触針式表面粗さ測定機による深さの校正は,次による。
8.6.2.1
装置製造業者の作業手順書又は装置担当者が作成した作業手順書によって,5.2で規定した標準
物質を用いて,クレータ深さ測定のために触針式表面粗さ測定機を校正する。
注記 触針式表面粗さ測定機による測定の精度を,機関間テストプログラムで評価した。その機関間
テストに関する統計結果報告を,附属書Aに示す。
8.6.2.2
装置製造業者の作業手順書又は装置担当者が作成した作業手順書によって,校正した触針式段差
計を用いてクレータ深さdtを測定する。触針はクレータの上を走査しなければならないので,スパッタリ
ングを無視してよい領域から始め,クレータの中央を通過し,もう一方のスパッタリングを無視してよい
領域で止める。
8.6.3
光干渉計による深さの校正は,次による。
8.6.3.1
装置製造業者の作業手順書又は装置担当者が作成した作業手順書によって,校正した光干渉計を
用いてクレータ深さdtを測定する。測定に使用する干渉じま(縞)は,クレータの中央及びクレータ両端
のスパッタリングを無視してよい領域を通らなければならない。
8.6.3.2
干渉じまの測定のための詳細手順書は,装置製造業者の作業手順書又は装置担当者が作成した作
業手順書とする。
なお,一般的な手順は,隣り合う2本の干渉じまの中心を通るように2本の線を書く(図1参照)。その
線のうちの1本はクレータの中央を横切っていなければならない(線Rとして,それを基準線とする。)。
この2本の線の間隔x(任意単位)を測定する。次に,線Rの,それに対応するクレータ下部における干
渉じまの中心線とのシフト量y(xと同じ単位)を測定する。クレータエッジにおいて線Rと交差した干
渉じまの数nを数える。
図1−クレータにおける干渉じまの模式図(n=0の場合)
8.6.3.3
クレータ深さは,式 (1) によって計算する。
+
=
x
y
n
d
2
λ
t
··········································································· (1)
ここに,
λ: トレーサブルな方法で決定された波長の値
9
結果の表現
9.1
シリコンに対するボロンのイオン強度比
イオン強度比は,それぞれの測定サイクルに対して,式 (2) 及び式 (3) によって計算する。
Si
11
11
i
i
i
I
I
J=
·················································································· (2)
6
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Si
10
10
i
i
i
I
I
J =
················································································· (3)
9.2
分析対象試料のボロンの原子濃度
ボロンの原子濃度は,RSFworkを用いて,式 (4) 〜式 (6) によって計算する。
11
work
11
RSF
i
i
J
C =
······································································· (4)
δ
J
C
i
i
10
work
10
RSF
=
······································································ (5)
10
11
i
i
i
C
C
C
+
=
············································································ (6)
9.3
バックグラウンド強度
必要に応じて,ボロンのバックグラウンド強度を差し引かなければならない。バックグラウンド強度は,
ボロンを添加していない試料を用いて,式 (7) 及び式 (8) によって計算する(JIS K 0143の7.5.2.6参照)。
)
(
RSF
11
BG
11
work
11
J
J
C
i
i
−
=
····························································· (7)
δ
)
(
RSF
10
BG
10
work
10
J
J
C
i
i
−
=
···························································· (8)
9.4
測定サイクルiにおける深さ
測定サイクルiにおける深さは,8.6で測定したクレータ深さdtを用いて,スパッタリング率を一定と仮
定して,式 (9) によって計算する。
T
d
t
t
d
i
i
t
B
B
2
∆
+
=
······································································ (9)
9.5
測定サイクル数が大きい場合の深さ
全測定サイクル数Nが大きく,∆tB/Tが0.1 %又はそれ以下である場合,diは式 (10) によって計算する。
(
)Nd
i
di
t
1
−
=
··········································································· (10)
9.6
結果の図式化
結果の図式化が必要である場合は,Ci (必要ならCi10及び/又はCi11) を縦軸とし,測定サイクルに対
するdiを横軸としてプロットする。
10 報告
次の情報を報告する。
a) 試料,装置,測定機関及び測定日を特定するために必要なすべての情報
b) 使用した標準物質(標準試料)(箇条5参照)
c) 同位体比補正についての情報(8.6.1参照)
d) 結果及び図式
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e) 分析の際に認められた異常
f)
この規格に規定されていない操作及び結果に影響を与え得る付随的な操作
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附属書A
(参考)
触針式表面粗さ測定機による測定結果の統計解析
この附属書は,触針式表面粗さ測定機による測定結果の統計解析について記載するものであって,規定
の一部ではない。
A.1 評価の方法
触針式表面粗さ測定機による測定について,20機関による機関間テストプログラムによって評価を行っ
た。標準物質としては3種の溝がある,深さ校正用標準物質を用い,繰返し性及び再現性をJIS Z 8402-2
によって計算した。
A.2 試験計画
各参加機関は,3種の溝の深さについて,3回の独立した測定結果を報告する。
A.3 試験材
試験材としては,市販の深さ校正用標準物質を使用した。溝の深さの認証値は,それぞれ2.33 μm(レ
ベル1),0.27 μm(レベル2),及び0.029 μm(レベル3)であった。この標準物質を機関間で順に回送し,
同一試料での測定を行った。
A.4 触針測定手順
装置製造業者の作業手順書又は各機関作成の手順書によって,触針式段差計を用いて溝の深さをそれぞ
れ3回ずつ測定する。
A.5 統計的処理
A.5.1 妥当性の検討
JIS Z 8402-2によって,Cochran試験,Grubb試験及びgraphical consistency法を独立に適用した。全試験
で外れ値と判定されたレベル3の測定値は,解析から除外した。
A.5.2 繰返し性及び再現性の計算
この試験を実施した研究機関の数は,深さ2.33 μm及び0.27 μmの溝については20機関,深さ0.029 μm
の溝については15機関であった(外れ値は除外した。)。平均値,機関内ばらつき及び機関間ばらつきを求
めるために,それぞれの機関から得られた結果をJIS Z 8402-2によって取り扱った。相当する繰返し性及
び再現性を計算した。
この後に与えられる情報の意味は,次による。
Sr2 :繰返し性ばらつき
SL2 :機関間ばらつき
SR2 :再現性ばらつき(SR2=Sr2+SL2)
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A.6 統計分析結果
A.6.1 全機関の溝の深さの測定値から求めた平均値,繰返し性及び再現性を,表A.1に示す。
なお,レベル3の測定値では,A.5.1の解析によって外れ値と判定された1機関の値を除外してある。
表A.1−深さ測定の繰返し性及び再現性
レベル
機関数
件
平均値
μm
Sr
μm
SR
μm
1
20
2.32
4.98×10−3
1.99×10−2
2
20
0.27
2.26×10−3
3.94×10−3
3
14
0.029
7.76×10−4
7.98×10−4
参考文献
JIS K 0147 表面化学分析−用語
JIS Z 8402-2 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第2部:標準測定方法の併行精度及び再
現精度を求めるための基本的方法
注記 対応国際規格:ISO 5725-2:1994,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and
results−Part 2: Basic method for the determination of repeatability and reproducibility of a standard
measurement method(IDT)
TS K 0012 表面化学分析−深さ方向分布測定−スパッタ深さ測定方法
[1] SEAH, M. P.: Channel Electron Multipliers−Quantitative Intensity Measurement Efficiency, Gain, Linearity
and Bias Effects, J. Electron Spectrosco. Relat. Phenom., 50, pp.137-157 (1990)
[2] SEAH, M. P. and TOSA, M.: Linearity in Electron Counting and Detection Systems, Surf. Int. Anal., 18,
pp.240-246 (1992)
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 0164:2010 表面化学分析−二次イオン質量分析法−シリコン内のボロンの深
さ方向分布測定方法
ISO 17560:2002 Surface chemical analysis−Secondary-ion mass spectrometry
−Method for depth profiling of boron in silicon
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
8.4.3
細分箇条として規定
8.4.2
注記1
変更
規定とした。
技術的差異はない。
−
8.4.4
細分箇条として規定
8.4.2
注記2
変更
規定とした。
技術的差異はない。
−
8.5.4
細分箇条として規定
8.5.3
注記
変更
規定とした。
技術的差異はない。
−
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 17560:2002,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
2
K
0
1
6
4
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2
0
1
0