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K 0130:2008  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 一般事項························································································································· 3 

5 電気伝導率計 ··················································································································· 3 

5.1 測定方式の種類 ············································································································· 3 

5.2 形態 ···························································································································· 3 

5.3 構成 ···························································································································· 3 

6 試薬······························································································································· 5 

7 準備······························································································································· 5 

7.1 塩化カリウム標準液の調製 ······························································································ 5 

7.2 セル定数の測定方法 ······································································································· 6 

8 電気伝導率の測定 ············································································································· 7 

8.1 電気伝導率計の準備 ······································································································· 7 

8.2 静止試料の測定 ············································································································· 7 

8.3 流動試料の測定 ············································································································· 8 

9 測定上の注意 ··················································································································· 9 

10 データの質の管理 ··········································································································· 9 

10.1 測定装置の性能確認 ······································································································ 9 

10.2 適切な試料の採取方法及び取扱方法 ················································································ 10 

11 個別規格に記載すべき事項 ······························································································ 10 

附属書A(参考)白金黒めっき ······························································································ 11 

K 0130:2008  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本分析

機器工業会(JAIMA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ

きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS K 0130:1995は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格           JIS 

K 0130:2008 

電気伝導率測定方法通則 

General rules for electrical conductivity measuring method 

適用範囲 

この規格は,電解質水溶液及び水(河川水,海水,雨水,蒸留水,脱イオン水など)の5 µS/m〜200 S/m 

(25 ℃) の範囲の電気伝導率の測定方法について規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0213 分析化学用語(電気化学部門) 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS K 1107 窒素 

JIS K 8121 塩化カリウム(試薬) 

JIS Z 8710 温度測定方法通則 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0213によるほか,次による。 

なお,括弧内の対応英語は,参考のために示す。 

3.1 

電気伝導度 (conductance) 

電解質水溶液を満たした電極間の溶液の電気抵抗 (R) の逆数。 

注記 記号はG,単位はS(ジーメンス)。 

3.2 

電気伝導率 (electrical conductivity, electric conductivity, electrolytic conductivity) 

面積1 m2の2個の平面電極が,距離1 mで対向している容器に電解質水溶液を満たして測定した電気抵

抗の逆数。 

注記 導電率ともいう。記号はκ,単位はS/mであるが,電気伝導率の数値によって,mS/m,μS/m な

どを用いる。 

3.3 

セル (cell) 

電気伝導率測定用電極を,電気絶縁体で作った容器に固定したもの。 

3.4 

塩化カリウム標準液 (potassium chloride standard solution) 

セル定数の測定用に調製した,既知の濃度の塩化カリウム水溶液。 

K 0130:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.5 

セル定数 (cell constant) 

塩化カリウム標準液を満たしたセルの電極間で測定した電気伝導度で,その標準液の電気伝導率を除し

たもの (κ/G )。 

注記 単位はm−1。電磁誘導方式では,上記のように定義されるセル定数はないが,それと等価なも

のをセル定数とする。 

3.6 

電気伝導率の温度係数 (temperature coefficient of electrical conductivity) 

電気伝導率の1 ℃当たりの変化率。 

注記 通常は百分率で表示する。本来は,電気伝導率の温度依存性に関する微分係数であるが,実用

的には次の式のように,ある温度 (θ ℃) と基準温度 (25 ℃) との間での電気伝導率の平均的

な変化率として求め,利用することが多い。 

100

25

1

25

25

25

,

×

=

θ

κ

κ

κ

α

θ

θ

ここに, 

25

,

θ

α

: 25 ℃を基準とした,θ ℃における温度係数 

25

κ: 25 ℃における電気伝導率 

θ

κ: θ ℃における電気伝導率 

3.7 

温度補正係数 (temperature correction factor) 

水の電気伝導率θ

κをθ ℃から25.0 ℃における電気伝導率

25

κへ変換するための係数

25

,θf

。 

注記 温度係数

25

,

θ

α

と次の式の関係にある。 

(

)

100

25

1

1

25

,

25

,

+

=

θ

αθ

θf

3.8 

温度補償方式 (temperature-compensation technique) 

測定された電気伝導率と温度とから,指定された温度における電気伝導率を求める方法。 

注記 手動温度補償方式と自動温度補償方式とがある。電解質水溶液の溶質イオンの温度係数と,水

の解離によるイオンの温度係数との両者を補償する方式を二重温度補償方式という。 

3.9 

交流2電極方式電気伝導率計 (AC two−terminal electric conductivity meter) 

2個の電極間に正弦波,方形波などの交流を印加し,電極間を流れる電流を測定して電気伝導率を求め

る計測器。 

3.10 

交流4電極方式電気伝導率計 (AC four−terminal electric conductivity meter) 

4個の電極を適切な間隔で配置し,外側の2個の電極間に電流を流して,内側の2個の電極間の電位差

を測定し,電気伝導率を求める計測器。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.11 

電磁誘導方式電気伝導率計 (inductive conductivity meter, electromagnetic conductivity meter) 

電磁誘導作用を利用して電気伝導率を求める計測器。 

一般事項 

一般事項は,次による。 

a) 電気伝導率の単位として,従来は,μS/cmが用いられていたが,この規格では,主に,mS/mを用い

る。 

注記1 電気伝導率としては,μS/mの単位で表した数値を0.01 倍するか,又はmS/mの単位で表

した数値を10 倍すると,μS/cmの単位で表した数値となる。 

b) セル定数の単位として,従来はcm−1が用いられていたが,この規格では,主に,m−1を用いる。 

注記2 m−1で表した数値を0.01倍すると,cm−1の単位で表した数値となる。 

c) この規格における電気伝導率の標準の温度は,25 ℃とする。 

電気伝導率計 

5.1 

測定方式の種類 

電気伝導率計は,次の測定方式のものを使用する。 

a) 交流2電極方式 

b) 交流4電極方式 

c) 電磁誘導方式 

5.2 

形態 

電気伝導率計の形態は,その使用目的によって,次の3種類とする。 

a) 携帯用 持ち運び可能な重さ及び形状をしている電気伝導率計。 

b) 卓上用 実験室などの台の上で使用する電気伝導率計。 

c) 定置用 現場に設置し,自動連続測定が可能な電気伝導率計。屋外で使用するものは,防滴構造のも

のとする。 

5.3 

構成 

電気伝導率計は,図1に例を示すように,検出部,増幅部及び指示部から構成する。 

図1−電気伝導率計の構成例 

5.3.1 

検出部 

検出部は,セル,温度補償用測温体1) 及びこれらを保持するホルダから構成する。 

注1) 温度補償用測温体を含まないものもある。 

5.3.1.1 

材質 

セルの電極の材質は,白金,白金黒,チタン,ステンレス鋼,ニッケル,黒鉛などで,試料に侵されな

いものとする。 

容器の材質は,ガラス,合成樹脂などで,試料に侵されないものとする。試料の圧力,流量及び温度に

対して変形することなく耐えるものであり,試料の置換がよく,容易に洗浄できるものとする。 

検出部 

増幅部 

指示部 

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5.3.1.2 

セル定数及び測定範囲 

測定に用いるセルのセル定数は,電気伝導率の測定範囲に応じた適切な値でなければならない。表1に

その例を示す。 

表1−セル定数及び測定範囲の例 

単位 mS/m 

区分 

セル定数 

m−1 

測定範囲 

検出部材質 
(白金黒) 

検出部材質 

(SUS,チタンなど) 

検出部材質 
(その他) 

 
交流2電極方式 

0.1〜1 

0.005〜100 

0.005〜2 

− 

1〜10 

0.005〜1 000 

0〜20 

− 

10〜100 

0〜10 000 

0〜200 

− 

100〜1 000 

0〜100 000 

0〜2 000 

− 

1 000〜5 000 

0〜500 000 

0〜10 000 

− 

交流4電極方式 

100〜1 000 

0〜100 000 

− 

電磁誘導方式 

100〜1 000 

− 

20〜200 000 

5.3.1.3 

検出部の種類 

検出部の種類は,次のものとする。 

a) 浸せき形(潜せき形) 試料に直接,検出部を浸して測定するもの。 

b) 流液形(流通形) 試料を検出部に導入して,流しながら測定するもの。 

c) 配管挿入形 試料が流れている配管に,検出部を直接挿入して測定するもの。 

d) ピペット形 試料を検出部に吸引して測定するもの。 

5.3.2 

増幅部 

増幅部は,次の機能を備えなければならない。 

a) セルに交流電圧又は交流電流を与えて,試料の電気伝導度に比例する信号電流又は信号電圧を増幅す

る機能。 

b) セル定数設定機能2) 又はスパン調整機能3) のいずれか又は両方の機能。 

c) 温度補償4) は,手動温度補償演算又は自動温度補償演算のいずれか又は両方を行う機能。 

d) 指示部に必要な,電気信号に変換する機能。 

e) 測定範囲に対して,検出部リード線の抵抗5) 及び並列容量6),電極の分極抵抗・分極容量5) 及び並列

容量6) の影響を少なくする機能。 

注2) 設定したセル定数と電気伝導度とから,電気伝導率を演算する機能。 

3) 電気伝導率既知の標準液を測定し,指示値を標準液値に合わせる機能。 

4) 温度補償演算には,塩化ナトリウム溶液の電気伝導率の温度係数を用いるものと,温度係数

を任意に設定するものとがある。また,換算する指定温度を,25 ℃に固定したものと,任意

に設定できるものとがある。 

なお,電気伝導率計には,温度補償演算を行わないもの又は二重温度補償演算を行うもの

もある。 

5) 電気伝導率の大きい試料の測定では,検出部リード線の抵抗及び電極の分極抵抗・分極容量

が,測定する溶液の電気抵抗の値に影響を与える場合があるので,測定方式,電極,セル定

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数,測定周波数などに注意する。 

6) 電気伝導率の小さい試料の測定では,検出部リード線の並列容量及び電極の並列容量が,測

定する溶液の電気抵抗の値に影響を与える場合があるので,測定方式,セル定数,測定周波

数などに注意する。 

5.3.3 

指示部 

指示部7) は,測定値を表示する指示計又は記録計のいずれか,若しくは両方を備え,指示方式にはアナ

ログ式又はデジタル式のいずれか若しくは両方を備えたものがある。 

なお,指示部の目盛特性の点検は,セル定数及び電気伝導率から,測定範囲に対応する溶液の電気抵抗

を求め,溶液電気抵抗に相当する抵抗器を接続して行う。 

注7) 指示機構がなく,増幅部から記録計などへの出力信号だけを備えたものもある。 

試薬 

試薬は,次のものを用いる。 

6.1 水 JIS K 0557に規定する水A2,A3又はA4。試薬の調製には,電気伝導率0.2 mS/m (25 ℃) 以下の 

ものを用いる。 

6.2 塩化カリウム JIS K 8121に規定する塩化カリウム(電気伝導率測定用)を,めのう乳鉢で粉末にし, 

500 ℃で4時間加熱し,デシケーター中で放冷したもの。 

準備 

7.1 

塩化カリウム標準液の調製 

塩化カリウム標準液の調製は,次による。 

なお,塩化カリウムの質量の測定は,空気の浮力補正を行う。 

a) 1 mol/kg塩化カリウム標準液 JIS K 8121に規定する塩化カリウム(電気伝導率測定用)74.552 gを

正確にはかりとり,水1 000.00 gに溶かす。 

b) 0.1 mol/kg塩化カリウム標準液 JIS K 8121に規定する塩化カリウム(電気伝導率測定用)7.455 2 g

を正確にはかりとり,水1 000.00 gに溶かす。 

c) 0.01 mol/kg塩化カリウム標準液 JIS K 8121に規定する塩化カリウム(電気伝導率測定用)0.745 52 g

を正確にはかりとり,水1 000.00 gに溶かす。 

1 mol/kg〜0.01 mol/kgの塩化カリウム標準液は,ポリエチレン瓶又はほうけい酸ガラス瓶に密栓をして

保存する。ただし,長期間の保存は好ましくない。塩化カリウム標準液の電気伝導率を,表2に示す。 

表2の電気伝導率値は塩化カリウム標準液を上記のように厳密に調製し,かつ,測定全般に細心の注意

を払って初めて有効になる。実際には,塩化カリウムのひょう量に当たって,上記の規定どおりに採取す

ることはかなり難しい。塩化カリウムの採取量が規定の±1 %以内の場合,塩化カリウム濃度が同じにな

るように水の採取量を調整してもよい。さらに,水の採取量をそのように調整することができずに,結果

として濃度が±0.02 %以内で異なった場合は,表2の標準値を濃度との比例関係を仮定して補正する。た

だし,このような方法を実施した場合は,表2の標準値がそのまま有効である保証はなくなるので,測定

者の測定目的に応じた適切な精度管理が特に必要である。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−塩化カリウム標準液の電気伝導率8)  

単位 mS/m 

温度 

℃ 

電気伝導率の値及びその不確かさ 

0.01 mol/kg 

塩化カリウム標準液 

0.1 mol/kg 

塩化カリウム標準液 

1 mol/kg 

塩化カリウム標準液 

CO2 

飽和水 

電気伝導率 

2uc 

電気伝導率 

2uc 

電気伝導率 

2uc 

電気伝導率 

 0 

 77.292 

0.023 

  711.685 

 0.285 

 6 348.8 

2.5 

0.058 

 5 

 89.096 

0.027 

  818.370 

 0.327 

 7 203.0 

2.9 

0.068 

10 

101.395 

0.030 

  929.172 

 0.372 

 8 084.4 

3.2 

0.079 

15 

114.145 

0.034 

1 043.71 

0.42 

 8 990.0 

3.6 

0.089 

18 

121.993 

0.037 

1 114.06 

0.45 

− 

− 

0.095 

20 

127.303 

0.038 

1 161.59 

0.46 

 9 917.0 

4.0 

0.099 

25 

140.823 

0.042 

1 282.46 

0.51 

10 862.0 

4.3 

0.110 

30 

154.663 

0.046 

1 405.92 

0.56 

11 824.0 

4.7 

0.120 

35 

168.779 

0.051 

1 531.60 

0.61 

12 797.0 

5.1 

0.130 

40 

183.127 

0.055 

1 659.10 

0.66 

13 781.0 

5.5 

0.140 

45 

197.662 

0.059 

1 788.06 

0.72 

14 772.0 

5.9 

0.151 

50 

212.343 

0.064 

1 918.09 

0.77 

15 767.0 

6.3 

0.161 

注8) NISTのデータ[Pure Appl.Chem., vol.73, pp.1783 (2001) 2ucは拡張不確かさ] 

d) 0.001 mol/kg塩化カリウム標準液 JIS K 8121に規定する塩化カリウム(電気伝導率測定用)0.074 55 

gを正確にはかりとり,水1 000.00 gに溶かす。この標準液は,使用の都度,調製し,できる限り速や

かに使用する(表3)。 

表3−0.001 mol/kg塩化カリウム標準液の電気伝導率9) 

塩化カリウム標準液の濃度 

mol/kg 

温度 

℃ 

電気伝導率 

mS/m 

0.001 mol/kg 

25 

14.65 

注9) Shedlovskyのデータ及び密度データから計算で求め,4けた

表示した[J.Am.Chem.Soc., 54, 1411 (1932)]。 

7.2 

セル定数の測定方法 

セル定数の測定は,試料を試験するごとに行う必要はないが,定期的に表2の塩化カリウム標準液を用

いて行う。 

a) 塩化カリウム標準液 塩化カリウム標準液は,7.1によって調製する。 

b) 操作 操作は,いずれの種類のセルについても,次のとおり行う。 

1) セル定数を測定しようとする場合には,セル定数に応じ,表1の測定範囲に対応する塩化カリウム

標準液を用いる。 

2) セルを水で3回以上洗い,次に,使用する塩化カリウム標準液で3回以上洗った後,その塩化カリ

ウム標準液を満たす。 

3) このセルを25℃±0.1 ℃に保ち,電気伝導度を測定する。同じ塩化カリウム標準液を入れ替えて測

定を行い,測定値が±3.0 %で一致するまでこれを繰り返す。温度計は,JIS Z 8710の精密級の温

度計を使用する。また,温度測定の精度は,測定目的による。 

なお,塩化カリウム標準液の調製に用いた水の電気伝導率は,別に,セル定数既知のセルを用い

K 0130:2008  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

て測定する。セル定数既知のセルがないときは,同じセルで塩化カリウム標準液と水との両者の電

気伝導度を測定し,その差を塩化カリウムによる電気伝導度としてセル定数の算出に使う。 

4) 測定値が±3.0 %で一致しない場合の処理は,次による。 

4.1) 電極の材料が白金黒の場合には,JIS K 0557に規定するA1の水又は薄い中性洗剤を用いて表面の

汚れを取り除き,再び測定する。 

4.2) 電極の材質が白金黒以外の場合には,中性洗剤,研磨剤などを用いて表面の汚れを取り除き,再

び測定する。 

なお,測定値が±3.0 %で一致しない場合は,装置の取扱説明書に従って対処する。 

5) 測定された値から,次の式によってセル定数を算出する。 

1

1

KC

0

O

H

1

KC

2

G

J

G

J

κ

κ

κ

=

+

=

 ,又は 

ここに, 

J: セル定数 (m−1) 

G0: 測定した電気伝導度 (mS) 

G1: G0から調製に用いた水の電気伝導度を引いた値 (mS) 

1

KC

κ

: 使用した塩化カリウム標準液の電気伝導率 (mS/m)  

O

H2

κ

: 塩化カリウム標準液の調製に用いた水の電気伝導率 (mS/m) 

電気伝導率の測定 

8.1 

電気伝導率計の準備 

電気伝導率計は,その形態及び検出部の種類を試料の状態に応じて適切に選択し,設置する。必要に応

じてセル定数を測定して確認し,試料の電気伝導率を測定する。セル定数を測定して,従来のセル定数と

大きく異なる(20 %以上)場合は,検出部の電極板の汚れの影響によることが多い。汚れに応じた適切な

洗浄方法で清浄にして再度セル定数を測定する。 

電気伝導率の小さい試料を測定する場合には,接触する配管の材質,空気などが試料へ溶解しないよう

に注意する。また,腐食性及びセルに汚れを生じるような物質がないことを確認する。 

卓上用及び定置用の電気伝導率計の設置場所は,一般に次の条件を備えていなければならない。ただし,

携帯用電気伝導率計を使用する場合は,計測器の取扱説明書による。 

a) 振動がなく,直射日光が当たらない。 

b) 腐食性ガス及びほこりが少なく,換気がよい。 

c) 大形変圧器,高周波加熱炉などからの電磁誘導を受けない。 

d) 指定された電圧,電気容量及び周波数で,電圧変動は定格の10 %以下であり,周波数変動がない。

また,接地抵抗100 Ω以下の接地点がある。バッテリー駆動形などの携帯用電気伝導率計は,接地端

子がない場合があるので,特に,低電気伝導率の場合などは,試料を電気的に接地するような工夫が

必要である。 

8.2 

静止試料の測定 

この方法は,屋外及び通常の実験室において,試料容器に採取した試料に浸せき形(潜せき形)又はピ

ペット形検出部を用いて測定する場合に適用できる。測定範囲は,1 mS/m (25 ℃) 以上に限定するのが妥

当である。測定範囲の下限に近い,電気伝導率が低い領域の場合,両電極間の残余起電力の影響によって,

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

測定値が安定しない場合がある。電気伝導率が低い領域ではある程度大きい電圧をかけることで,これを

防ぐことができるので,測定範囲に応じて印加電圧及び周波数が適正な条件に設定された装置を使用する

ことが望ましい。 

8.2.1 

温度補償を行わない場合の操作 

恒温槽などを用いて,試料温度を指定温度(通常は25 ℃±0.1 ℃)に調節して測定する方法である。温

度補償に伴う誤差がないので,指定温度における電気伝導率を最も正確に測定できる。 

a) 電気伝導率計のセル定数補正目盛,又は計器に表示されるセル定数の数値を,使用する検出部の正し

いセル定数に合わせる。 

b) 検出部及び試料容器を水で3回以上洗浄し,次いで試料で3回以上洗浄する。 

c) 試料を満たした試料容器に検出部を浸し,試料温度を指定温度(通常は25 ℃±0.1 ℃)に調節する。

温度計は,JIS Z 8710の精密級の温度計を使用する。また,温度測定の精度は,測定目的による。 

d) 温度補償を行わない状態に設定して,十分に恒温となった後,電気伝導率を測定する。 

8.2.2 

温度補償を行う場合の操作 

任意の試料温度で測定し,温度補償を行って指定温度(通常は25 ℃)における電気伝導率を求める方

法である。 

a) 電気伝導率計のセル定数補正目盛,又は計器に表示されるセル定数の数値を,使用する検出部の正し

いセル定数に合わせる。 

b) 検出部及び試料容器を水で3回以上洗浄し,次いで試料で3回以上洗浄する。 

c) 試料を満たした試料容器に検出部を浸し,試料温度が0.1 ℃以内で安定するまで待ち,温度を読み取

る。 

d) 温度補償方式に応じて電気伝導率計の温度補償の設定を行い,電気伝導率を測定する。 

1) 温度補償機能がない場合は, 測定温度において試料に応じた温度補正係数を求め,次の式によって,

試料の電気伝導率を算出する。ただし,この方法は,0.1 mS/m (25 ℃) 以下の試料には適用できな

い。 

25

,

25

θ

θ

κ

κ

f

×

=

ここに, 

25

κ: 試料の電気伝導率(指定温度) 

θ

κ: 測定した電気伝導率 (θ ℃) 

25

,

θf

: 温度補正係数 

2) 手動温度補償の場合は,温度補償の設定を測定温度に合わせる。 

3) 自動温度補償の場合は,測定温度を設定する必要はない。ただし,温度補償用測温体が試料温度に

等しくなっていることを確認する。 

4) 0.1 mS/m (25 ℃) 以下の試料を測定するときは,二重温度補償を行う必要がある。また,電気伝導

率の高い試料を測定するときは,特に,温度補正係数が試料と適合していることが大切である。 

8.3 

流動試料の測定 

この方法は,試料を流液形(流通形)検出部に連続的に導入するか,又は試料が流れる配管中に配管挿

入形検出部を直接取り付けて測定する場合に適用できる。 

8.3.1 

温度補償を行わない場合の操作 

熱交換器,恒温槽などを用いて,試料温度を指定温度(通常は25 ℃±0.5 ℃)に調節して測定する方法

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である。温度補償に伴う誤差がないので,指定温度における電気伝導率を最も正確に測定できる。 

a) 電気伝導率計のセル定数補正目盛,又は計器に表示されるセル定数の数値を,使用する検出部の正し

いセル定数に合わせる。 

b) 試料の流量を,計測器の取扱説明書を参考に,適切に調節した後,試料温度を指定温度(通常は25 ℃

±0.5 ℃)に調節する。 

c) 温度補償を行わない状態に設定して,十分に恒温となった後,電気伝導率を測定する。 

8.3.2 

温度補償を行う場合の操作 

任意の試料温度で測定し,温度補償を行って25 ℃における電気伝導率を求める方法である。 

a) 電気伝導率計のセル定数補正目盛,又は計器に表示されるセル定数の数値を,使用する検出部の正し

いセル定数に合わせる。 

b) 試料の流量を,計測器の取扱説明書を参考に,適切に調節した後,測定温度が0.5 ℃以内で安定する

まで待ち,温度を読み取る。 

c) 温度補償方式に応じて電気伝導率計の温度補償の設定を行い,電気伝導率を測定する。 

1) 温度補償機能がない場合は,8.2.2 d) 1)と同様に操作する。 

2) 手動温度補償の場合は,温度補償の設定を測定温度に合わせる。 

3) 自動温度補償の場合は,測定温度を設定する必要はない。ただし,温度補償用測温体が試料温度と

等しくなっていなければならない。 

4) 0.1 mS/m (25 ℃) 以下の試料を測定するときは,二重温度補償を行う必要がある。また,高い電気

伝導率の試料を測定するときは,特に,温度補正係数が試料に適合していることが大切である。 

測定上の注意 

電気伝導率の測定における妨害要因として,次のようなものがある。 

a) 溶存気体 試料が大気と接触すると,気体の溶解によって溶存気体の量が変わるために,試料の電気

伝導率が変化する。特に,1 mS/m以下の水は,大気中の二酸化炭素の溶解によって電気伝導率が増加

する。 

このような場合,流液形(流通形)若しくは配管挿入形検出部を用いることによって,又は試料の

表面をJIS K 1107に規定する窒素,ヘリウムなどの不活性気体で覆うことによって,大気との接触を

避けることができる。 

b) セルの汚れ 試料中にグリース,油,微生物などの不溶性又は粘着性物質があると,セルが汚れ,正

しい測定ができないので,適切な溶剤又は洗剤でセルを洗浄する必要がある。 

c) 試料中の異物 電解質水溶液の電気伝導率を測定する場合,試料中に懸濁物,気泡などがあるときは,

測定値に影響を及ぼすことがあるので注意する。 

10 データの質の管理 

10.1 測定装置の性能確認 

10.1.1 電気伝導率計の性能確認 

次に示す項目から必要なものについて確認するとともに,点検・保守の項目,内容,期間などに関する

基準を製造業者の提供する取扱説明書などを参考にして作成し,電気伝導率計の定期的な点検を行う。 

なお,必要に応じてこれら以外の項目を追加してもよい。 

a) 温度表示 JIS Z 8710に規定する精密級の温度計を使用し,電気伝導率計の温度表示との誤差を確認

10 

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する。誤差が測定目的の精度を満足しない場合は,製造業者の提供する取扱説明書などに従って温度

校正を行う。 

b) セル定数 塩化カリウム標準液を7.1によって調製し,7.2によってセル定数の確認を行う。セル定数

が大きく変化した場合は,電極の洗浄を行った後に,7.2又は製造業者の提供する取扱説明書などによ

ってセル定数の再測定を行う。 

c) 繰返し性及び再現性 測定目的に応じた繰返し性及び再現性を得るには,定期的な精度管理が重要で

ある。必要に応じて使用者が精度の管理基準を設け,これに適合する装置を使用し,箇条8の方法に

よって測定を行うことが望ましい。繰返し性及び再現性が測定目的の精度を満足しない場合は,製造

業者の提供する取扱説明書などによって適切に保守・点検を行う。また,測定値の報告書には,測定

結果に加えて精度管理にかかわるデータを付記することが望ましい。 

10.1.2 温度制御装置の性能確認 

熱交換器,恒温槽などを用いて,試料温度を指定温度に調整して測定する場合は,試料温度の再現性及

び温度分布を確認する。 

10.2 適切な試料の採取方法及び取扱方法 

試料の採取方法及び取扱方法は,個別規格に規定する方法によって行うが,試料と大気との接触,異物

の混入などによって測定値に影響を及ぼすことがあるので,必要に応じて適切な処置を行う。 

11 個別規格に記載すべき事項 

電気伝導率計を用いて電気伝導率を測定する方法を規定するに当たっては,次の各項目を記載しなけれ

ばならない。ただし,必要がなければ,その一部を省略してもよい。 

a) 規格番号 

b) 試料の名称 

c) 電気伝導率計の方式 

d) 温度補償がある場合は,その方式 

e) セル(特に電極)の材質及び形状並びにセル定数及びその測定方法 

f) 

試料採取方法 

g) 測定試料の状態(静止状態又は流動状態) 

h) 測定温度又は指定温度 

i) 

測定方法 

j) 

測定値の不確かさ 

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附属書A 

(参考) 

白金黒めっき 

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。 

A.1 一般事項 

電極の白金黒めっきが必要な場合は,次のとおり行う。 

a) 白金黒の除去方法 白金黒は,JIS K 8180に規定する塩酸中で白金(黒)電極を陽極として電解する

と,容易に取り除くことができる。 

b) 白金黒めっき方法 白金黒めっき方法は,次による。 

1) JIS K 8153に規定するヘキサクロロ白金 (Ⅳ) 酸六水和物を30 g及びJIS K 8374に規定する酢酸鉛 

(Ⅱ) 三水和物を0.25 gひょう量し,JIS K 0557に規定する水A2,A3又はA4を用いて全量1 Lと

なるように調製された電解液に,白金電極を入れ,直流約6 Vの電源を用いて,電解液をかき混ぜ

ながら,一定電流密度 (100〜400 A/m2) で数回極性を切り替え,約10分間通電する[35〜140 kC

(クーロン)/ m2]。 

2) 次に,硫酸 (1+360) 中で約30分間,ときどき電流の方向を変えて通電し,付着又は吸蔵されたヘ

キサクロロ白金 (Ⅳ) 酸及び塩素を除く。