K 0099:2020
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目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 一般事項························································································································· 2
5 分析方法の種類及び概要 ···································································································· 2
6 試料ガス採取方法 ············································································································· 3
6.1 試料ガス採取 ················································································································ 3
6.2 試薬及び吸収液の調製 ···································································································· 3
6.3 器具及び装置 ················································································································ 3
6.4 採取操作 ······················································································································ 5
6.5 試料ガス採取量 ············································································································· 6
7 分析用試料溶液の調製 ······································································································· 6
7.1 インドフェノール青吸光光度法 ························································································ 6
7.2 イオンクロマトグラフ法 ································································································· 7
8 定量方法························································································································· 7
8.1 インドフェノール青吸光光度法 ························································································ 7
8.2 イオンクロマトグラフ法 ································································································ 10
9 分析結果の記録 ··············································································································· 12
9.1 分析結果の表示及びデータの質の管理··············································································· 12
9.2 記録項目 ····················································································································· 12
附属書A(規定)インドフェノール青吸光光度法における
共存する硫黄酸化物などが妨害する場合の分析方法 ····························································· 16
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本環境測定分析協会(JEMCA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日
本産業規格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日
本産業規格である。これによって,JIS K 0099:2004は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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排ガス中のアンモニア分析方法
Methods for determination of ammonia in flue gas
1
適用範囲
この規格は,燃焼,化学反応,脱硝工程,金属表面処理工程などにおいて,煙道,煙突,ダクトなど(以
下,ダクトという。)から排出される排ガス中のアンモニアの分析方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0095 排ガス試料採取方法
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0127 イオンクロマトグラフィー通則
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS K 0214 分析化学用語(クロマトグラフィー部門)
JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門)
JIS K 0216 分析化学用語(環境部門)
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8228 過塩素酸マグネシウム(試薬)
JIS K 8230 過酸化水素(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8519 しゅう酸二水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8722 ぺンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8863 ほう酸(試薬)
2
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JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8960 硫酸アンモニウム(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8808 排ガス中のダスト濃度の測定方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0211,JIS K 0214,JIS K 0215及びJIS K 0216による。
4
一般事項
一般事項は,次による。
a) 化学分析に共通する一般事項は,JIS K 0050による。
b) 排ガス試料採取に共通する一般事項は,JIS K 0095による。
c) イオンクロマトグラフ法に共通する一般事項は,JIS K 0127による。
注記1 この規格で用いている“イオンクロマトグラフ法”とJIS K 0127で用いられている“イオ
ンクロマトグラフィー”とは同義語である。
d) 吸光光度法に共通する一般事項は,JIS K 0115による。
e) 分析用に用いる水は,JIS K 0557の4.(種別及び質)に規定するA2〜A4のいずれか,又はこれらと
同等のものを用いる。溶存酸素を含まない水は,JIS K 0557の4.の備考3.(溶存酸素を含まない水)
を用いる。
f)
試薬に共通する一般事項は,JIS K 8001及びJIS K 8005による。試薬は,該当する日本産業規格があ
る場合には,その種類の最上級又は適切な品質のものを用いる。ただし,該当する日本産業規格がな
い場合には,分析に支障のない品質のものを用いる。
g) 標準液は,トレーサビリティが確保されたもの又はそれを一定濃度に薄めたもののほか,各試験項目
で調製方法を規定するものを用いる。
注記2 トレーサビリティが確保された標準液には,国立研究開発法人産業技術総合研究所認証標
準物質(NMIJ CRM)及び国家計量標準(計量法第136条及び第144条)の規定に基づく
もの(校正証明書添付)がある。
h) 装置及び器具は,指定した機能を満足するものを用いる。
i)
アンモニアの分析に用いた排ガス,排ガスの吸収液などを適切に処理する。
注記3 この規格で用いているmg/m3及びppmは標準状態(273.15 K,101.32 kPa)における質量
濃度及び体積百万分率である。
5
分析方法の種類及び概要
分析方法の種類及び概要は,表1による。
3
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表1−分析方法の種類及び概要
分析方法の種類
分析方法の概要
対応
箇条
要旨
試料採取
定量範囲
mg/m3
(ppm)
インドフェノー
ル青吸光光度法
試料ガス中のアンモニアをほう酸溶液
に吸収させた後,フェノールペンタシ
アノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム
溶液及び次亜塩素酸ナトリウム溶液を
加えて,インドフェノール青を生成さ
せ,吸光度(640 nm)を測定する。
吸収瓶法
吸収液:ほう酸溶液(5 g/L)
液量:50 mL×2本
標準採取量:20 L
1.2〜11.8
(1.6〜15.5)
8.1
イオンクロマト
グラフ法
試料ガス中のアンモニアをほう酸溶液
に吸収させた後,イオンクロマトグラ
フに導入し,アンモニウムイオンのク
ロマトグラムを得る。
吸収瓶法
吸収液:ほう酸溶液(5 g/L)
液量:25 mL a)×2本又は50 mL
b)×2本
標準採取量:20 L
0.5〜11.8
(0.6〜15.5)c)
4.7〜236
(6.2〜310)d)
8.2
インドフェノール青吸光光度法で硫黄酸化物などが妨害するときは,附属書Aに規定する分析方法を用いる。
注記 排ガスに含まれるアンモニア濃度の概略値を知ることで,アンモニア分析をより効率的に行うことが可能で
ある。その測定方法としては,JIS K 0804 [1]に規定する検知管を用いた方法などがある。
注a) 容量100 mLの吸収瓶を用いたときの吸収液量。
b) 容量250 mLの吸収瓶を用いたときの吸収液量。
c) この定量範囲は,試料ガスを通した吸収液50 mLを100 mLに希釈して分析用試料溶液とした場合の試料ガ
スの標準採取量,分析用試料液量,アンモニウムイオン標準液(0.01 mg/mL)及び検量線の最適範囲から求
めたものである。
d) この定量範囲は,試料ガスを通した吸収液100 mLを250 mLに希釈して分析用試料溶液とした場合の試料ガ
スの標準採取量,分析用試料液量,アンモニウムイオン標準液(0.1 mg/mL)及び検量線の最適範囲から求め
たものである。ここに示した定量範囲を超える濃度を測定する場合は,分析用試料溶液を定量範囲内に入る
よう希釈して測定する。
6
試料ガス採取方法
6.1
試料ガス採取
試料ガスの採取位置は,代表的なガスが採取できる点を選び,同一採取位置において時間間隔を空けず
に,通常2回以上試料ガスを採取し,それぞれ分析に用いる。
6.2
試薬及び吸収液の調製
試薬及び吸収液の調製は,次による。
a) 水 箇条4のe)に規定するもの。
b) ほう酸 JIS K 8863に規定するもの。
c) 吸収液[ほう酸溶液(5 g/L)] ほう酸5.0 gを,水に溶かして全量1 Lとしたもの。
d) ガス洗浄液 水酸化ナトリウム40 gを,水に溶かして全量1 Lとしたもの。
6.3
器具及び装置
器具及び装置は,次による。
a) 吸収瓶 吸収瓶は,次による。
なお,吸収瓶に用いるガラスろ過板,ガラスボールフィルター及びガラスフィルターの細孔の大き
さは,JIS R 3503に規定するろ過板の細孔記号の1又は2とする。
1) インドフェノール青吸光光度法の場合 容量250 mLの吸収瓶(図1参照)を2個連結して用いる。
4
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2) イオンクロマトグラフ法の場合 容量100 mL又は250 mLの吸収瓶(図1参照)を2個連結して用
いる。
単位 mm
a) ガラスろ過板形
b) ガラスボールフィルター形
c) 枝管付ガラスフィルター形
括弧内の数字は,100 mL吸収瓶の寸法を,及び括弧のない数字は,共通寸法を示す。
図1−吸収瓶(100 mL及び250 mL)の例
b) 試料ガス採取装置 試料ガス採取装置(図2参照)は,次の条件を備えていなければならない。
1) 試料ガス採取管Bの材質は,排ガス中のアンモニア及び共存成分によって腐食されにくく,これを
吸着しないガラス,石英ガラス,ステンレス鋼,四ふっ化エチレン樹脂などを用いる。ただし,ス
テンレス鋼のうちSUS 316及びSUS 316 Lは,アンモニア測定において窒素酸化物が存在すると負
の誤差を生じるため用いてはならない。
2) 試料ガス中にダストが混入することを防ぐため,採取管の先端又は適切な位置に,ろ過材Aを詰め
る。
注記 ろ過材には,排ガス中の成分と化学反応を生じない材質として,シリカウール,無アルカ
リガラスウールなどがある。
3) 試料ガス中の水分が凝縮することを防ぐため,試料ガス採取管Bから流路切替三方コックP1までの
間は,できるだけ短くし120 ℃程度に加熱できる構造とする。
なお,試料ガス採取管Bから流路切替三方コックP1までの加熱される部分の接続には,すり合わ
せ継ぎ手管,ふっ素ゴム管,シリコーンゴム管,四ふっ化エチレン樹脂管などを用いる。
4) 装置の各接続部からガスが漏れてはならない。装置組立後の測定前に,ノズルを塞ぎ吸引ポンプを
稼働させ,ガスメーターの指針が停止することを確認するとよい。
5
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A:
B:
C:
D:
E1,E2:
F1,F2:
G:
H:
J:
ろ過材
試料ガス採取管
試料ガス採取口
温度計
ヒーター
吸収瓶(100 mL又は250 mL)
フランジ
ガス洗浄瓶(ガス洗浄液50 mLを入れる)
乾燥管
K1,K2:
L:
M:
N:
O:
P1,P2:
Q:
R:
流量調節コック
吸引ポンプ
ガスメーター
温度計(ガスメーターMの温度計)
マノメーター
流路切替え三方コック
マノメーター
バイパス
図2−試料ガス採取装置の例
6.4
採取操作
採取操作は,次による。ここで記載している装置の記号は,図2を参照する。
a) 吸収瓶及び吸収液量は,次のいずれかによる。
1) インドフェノール青吸光光度法の場合は,容量250 mLの吸収瓶F1及びF2に6.2 c)の吸収液50 mL
をそれぞれ入れる。
2) イオンクロマトグラフ法の場合は,容量100 mLの吸収瓶F1及びF2に6.2 c)の吸収液25 mLをそれ
ぞれ入れる。ただし,アンモニアの濃度が15.5 ppmを超えると予想される場合は,容量250 mLの
吸収瓶F1及びF2に6.2 c)の吸収液50 mLをそれぞれ入れたものを用いる。
b) 流路切替え三方コックP1及びP2をバイパスR側に回した後,流量を1 L/min〜2 L/minに調節し,吸
引ポンプLを作動させて,試料ガス採取管Bから流路切替え三方コックP1までを試料ガスで置換す
る。
なお,試料ガス採取管Bから吸収瓶F1までの距離が短く,採取装置内に漏れがなく,一定流量に調
節が可能な場合は,流路切替え三方コックP1とP2との間のバイパスRを付けなくてもよい。また,
採取装置に漏れがないことを6.3 b) 4)で確認できる場合は,マノメーターQを付けなくてもよい。
c) 吸引ポンプLを停止した後,流路切替え三方コックP1及びP2を吸収瓶F1及びF2側に回す。次にガス
メーターMの指示値V1を0.01 Lの桁まで読み取る。
d) 吸引ポンプLを作動させ,試料ガスを吸収瓶F1及びF2に通す。このとき流量調節コックK1及びK2
を調節して,流量を1 L/min〜2 L/min程度にする。
なお,採取するガスが比較的高温で吸収液が温まる可能性がある場合は,吸収瓶を冷却水槽に入れ
6
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ておくとよい。この場合には,ガラスろ過板の吸収瓶[図1 a)参照]を用いるとよい。
e) 大気圧Pa,ガスメーターMの温度計Nの温度t及びマノメーターOのゲージ圧Pmを測定し記録する。
f)
試料ガスを約20 L採取した後,吸引ポンプLを停止し,流路切替え三方コックP1及びP2を閉じ,ガ
スメーターMの指示値V2を0.01 Lの桁まで読み取る。
なお,試料ガス採取量は,アンモニア濃度に応じて適宜増減してもよい。
g) 必要に応じて,試料ガス中の水分をJIS Z 8808の箇条7(排ガス中の水分量の測定)によって測定す
る。
6.5
試料ガス採取量
試料ガス採取量は,標準状態(273.15 K,101.32 kPa)における乾きガス量VSD又は湿りガス量VSWとし
て,次のいずれかによって算出する。
a) 乾きガス量で求める場合 湿式ガスメーターを用いる場合は式(1)に,乾式ガスメーターを用いる場合
は式(2)によって求める。
)
22.41(
101.32
273.15
273.15
v
m
a
SD
b
a
P
P
P
t
V
V
+
+
−
+
×
+
×
=
································ (1)
)
22.41(
101.32
273.15
273.15
m
a
SD
b
a
P
P
t
V
V
+
+
+
×
+
×
=
······································ (2)
b) 湿りガス量で求める場合 湿式ガスメーターを用いる場合は式(3)に,乾式ガスメーターを用いる場合
は式(4)によって求める。
)
22.41(
101.32
273.15
273.15
v
m
a
SW
c
b
a
P
P
P
t
V
V
+
+
+
−
+
×
+
×
=
···························· (3)
)
22.41(
101.32
273.15
273.15
m
a
SW
c
b
a
P
P
t
V
V
+
+
+
+
×
+
×
=
································· (4)
ここに,
VSD: 乾きガス量(L)
VSW: 湿りガス量(L)
V: ガスメーターで測定したガス量(L)
6.4で求めた値のV2からV1を差し引いた値
t: ガスメーターにおける温度(℃)
Pa: 大気圧(kPa)
Pm: ガスメーターにおけるゲージ圧(kPa)
Pv: t ℃における飽和水蒸気圧(kPa)(表2参照)
a: 吸収液に捕集された分析対象ガス(mol)
b: 吸収液に捕集された分析対象ガス以外のガス(mol)
c: JIS Z 8808の箇条7(排ガス中の水分量の測定)で求めた水
分の量(mol)
273.15: 0 ℃に対応する絶対温度(K)
101.32: 1気圧に対応する圧力(kPa)
22.41: 標準状態における気体1 molの体積(L)
注記 式(1)〜式(4)で用いているa,b,c及びPmは,無視しても差し支えない場合が多い。
7
分析用試料溶液の調製
7.1
インドフェノール青吸光光度法
インドフェノール青吸光光度法の分析用試料溶液の調製は,6.4の操作を終えた後,全量フラスコ250 mL
の標線まで,吸収瓶F1及びF2内の溶液を6.2 c)の吸収液[ほう酸溶液(5 g/L)]で洗い移す。これを分析
7
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用試料溶液とする。硫黄酸化物などが妨害するときは,附属書Aによる。
7.2
イオンクロマトグラフ法
イオンクロマトグラフ法の分析用試料溶液の調製は,6.4の操作を終えた後,容量100 mLの吸収瓶を用
いたときは,全量フラスコ100 mLに,容量250 mLの吸収瓶を用いたときは,全量フラスコ250 mLに,
吸収瓶F1及びF2内の溶液を水で洗い移し,水を標線まで加える。このいずれかを分析用試料溶液とする。
なお,分析用試料溶液中に固形物が認められる場合には,試料導入部又は分離カラムを閉塞するので,
あらかじめ孔径0.45 μm以下のろ過材でろ過して除去する。
8
定量方法
8.1
インドフェノール青吸光光度法
8.1.1
適用条件
この方法は,二酸化窒素がアンモニアの100倍以上,アミン類が数十倍以上,二酸化硫黄が10倍以上,
硫化水素が等量以上のいずれかが共存すると影響を受けるので,その影響を無視又は除去できる場合に適
用する。
8.1.2
試薬及び試薬溶液の調製
試薬及び試薬溶液の調製は,次による。
a) 試薬 試薬は,次による。
1) 水 箇条4のe)に規定するもの
2) チオ硫酸ナトリウム五水和物 JIS K 8637に規定するもの
3) 水酸化ナトリウム JIS K 8576に規定するもの
4) 塩化アンモニウム JIS K 8116に規定するもの
5) 硫酸アンモニウム JIS K 8960に規定するもの
6) フェノール JIS K 8798に規定するもの
7) ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物 JIS K 8722に規定するもの
8) アンモニウムイオン標準液(1 000 mg/L) 国家計量標準に規定するトレーサビリティが確保された
アンモニウムイオン標準液(1 000 mg/L)
9) ほう酸 JIS K 8863に規定するもの
10) でんぷん(溶性) JIS K 8659に規定するもの
11) 酢酸 JIS K 8355に規定するもの
12) よう化カリウム JIS K 8913に規定するもの
13) よう素酸カリウム JIS K 8005に規定するもの
14) 過塩素酸マグネシウム JIS K 8228に規定する乾燥用のもの
15) 炭酸ナトリウム JIS K 8625に規定する特級のもの
b) 試薬溶液の調製 試薬溶液の調製は,次による。
1) でんぷん溶液(10 g/L) JIS K 8659に規定している,でんぷん(溶性)1 gと水約10 mLとを混ぜ,
次に,熱水100 mL中によくかき混ぜながら加え,約1分間煮沸した後,放冷する。使用時に調製
する。
2) 0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液 0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液は,次による。
2.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物12.5 g及びJIS K 8625に規定する炭酸
ナトリウム0.2 gを溶存酸素を含まない水に溶かして1 Lとし,気密容器に入れて少なくとも2日
8
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間放置する。標定は使用時に行う。
2.2) 標定 よう素酸カリウムを130 ℃で約2時間乾燥し,過塩素酸マグネシウム(乾燥用)を入れた
デシケーター中で放冷した後,その0.35 g〜0.36 gを0.1 mgまではかる。水に溶かした後,全量フ
ラスコ250 mLに水で洗い移し,水を標線まで加える。共栓付き三角フラスコ300 mLに,この25
mLを分取し,水を加えて100 mLとし,よう化カリウム1 g〜2 g,酢酸(1+1)6 mLを加え,栓
をして静かに振り混ぜ,暗所に5分間放置する。遊離したよう素を0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウ
ム溶液で滴定し,溶液の黄色が薄くなってから指示薬としてでんぷん溶液1 mLを加えて滴定を続
け,よう素でんぷんの青が消えた点を終点とする。別に同一条件で空試験を行って滴定値を補正
する。次の式によってファクターを算出する。
783
0.001
25/250
×
×
=a'm
f
ここに,
f: 0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: よう素酸カリウム採取量(g)
a': 滴定に要した0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(mL)
0.001 783: 0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するよう
素酸カリウムの質量(g/mL)
3) 次亜塩素酸ナトリウム溶液 次亜塩素酸ナトリウム溶液は,次による。
3.1) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素5 %〜10 %)の有効塩素の定量 全量フラスコ200 mLに
次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素5 %〜10 %)v mL(通常10 mL)をとり,水を標線まで加
える。共栓付き三角フラスコ300 mLにこの10 mLを分取し,水を加えて約100 mLとする。よう
化カリウム1 g〜2 g及び酢酸(1+1)6 mLを加え,栓をして静かに振り混ぜ,暗所に5分間放置
する。遊離したよう素を0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,溶液の黄色が薄くなって
から指示薬としてでんぷん溶液1 mLを加えて滴定を続け,よう素でんぷんの青が消えた点を終点
とする。別に,同一条件で空試験を行って滴定値を補正する。次の式によって有効塩素量(g/L)
を算出する。調製時に定量する。
773
0.001
000
1
10
200
×
×
×
×
=
v
f
a'
N
ここに,
N: 有効塩素(g/L)
a': 滴定に要した0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(mL)
f: 0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
v: 次亜塩素酸ナトリウム溶液採取量(mL)
0.001 773: 0.05 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する塩素
の質量(g/mL)
3.2) 調製 3.1)で定量した有効塩素N g/Lの600/N mLの次亜塩素酸ナトリウム溶液に水酸化ナトリウ
ム15 gを水に溶かして加え全量を1 Lとする。使用時に調製する。この溶液の有効塩素は0.6 g/L
に相当する。
4) フェノール−ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム溶液 フェノール5 g及びペンタシア
ノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物25 mgを水に溶かして全量500 mLとしたもの。冷暗
所に保存し,調製後1か月以上経過したものは使用しない。
5) アンモニウムイオン標準液(0.1 mg/mL) 次のいずれかによる。
5.1) 8.1.2 a) 8)のアンモニウムイオン標準液(1 000 mg/L)を水で10倍に希釈したもの。
9
K 0099:2020
5.2) 塩化アンモニウムをあらかじめ過塩素酸マグネシウム(乾燥用)を入れたデシケーター中で16時
間以上放置した後,その0.296 5 gをとり,水に溶かして全量フラスコ1 000 mLに洗い移し,水を
標線まで加えたもの。
5.3) 硫酸アンモニウムをあらかじめ105 ℃±2 ℃で2時間加熱し,過塩素酸マグネシウムを入れたデ
シケーター中で放冷した後,その0.366 3 gをとり,水に溶かして全量フラスコ1 000 mLに洗い移
し,水を標線まで加えたもの。
6) アンモニウムイオン標準液(0.001 mg/mL) 全量フラスコ500 mLに5)で調製したアンモニウムイ
オン標準液(0.1 mg/mL)を正確に5.0 mLをとり,6.2 c)の吸収液を標線まで加えたもの。使用時に
調製する。
8.1.3
定量操作
定量操作は,次による。
a) 全量フラスコ25 mLに7.1で調製した,分析用試料溶液10 mLを分取する。
b) フェノール−ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム溶液5 mLを加え,よく振り混ぜた後,
次亜塩素酸ナトリウム溶液5 mLを加え,水を標線まで加える。栓をして静かに混和して,液温を25 ℃
〜30 ℃で1時間放置する。
c) 吸収セルにこの溶液の一部をとり,分析用試料溶液の代わりに吸収液についてa)及びb)の操作を行っ
た溶液(空試験液)を対象として波長640 nm付近の吸光度を測定する。
d) 8.1.4によって作成した検量線から分析用試料溶液中のアンモニウムイオン(NH4+)の質量a(mg)を
求める。
8.1.4
検量線の作成
検量線の作成は,次による。
a) 数個の全量フラスコ25 mLに,8.1.2 b) 6)のアンモニウムイオン標準液(0.001 mg/mL)1.0 mL〜10.0 mL
を段階的にとり,吸収液を加えて液量を10 mLにする。
b) 8.1.3 b)及び8.1.3 c)の操作を行い,アンモニウムイオンの質量(mg)と吸光度との関係から検量線を
作成する。
警告 ここで発生する廃液は,有害な物質を含んでいるので取扱いに注意する。
8.1.5
計算
試料ガス中のアンモニア(NH3)の質量濃度及び体積百万分率を,次の式(5)〜式(7)によって算出する。
000
1
250/10
0.944
s
w
×
×
×
=
V
a
C
······················································· (5)
000
1
250/10
1.24
s
v
×
×
×
=
V
a
C
························································· (6)
32
.1
w
v
×
=C
C
·········································································· (7)
ここに,
Cw: 試料ガス中のアンモニアの質量濃度(mg/m3)
Cv: 試料ガス中のアンモニアの体積百万分率(ppm)
a: 8.1.3 d)で求めたアンモニウムイオン(NH4+)の質量(mg)
Vs: 6.5によって算出した標準状態の試料ガス採取量(L)
(乾きガス量の場合はVSD,湿りガス量の場合はVSW)
0.944: NH4+ 1 mgに相当するアンモニア(NH3)の質量(mg)
1.24: NH4+ 1 mgに相当するアンモニア(NH3)の体積(mL)(標準
状態)
1.32: アンモニア1 mg/m3に相当するアンモニア(NH3)としての
10
K 0099:2020
体積百万分率(ppm)
8.2
イオンクロマトグラフ法
8.2.1
試薬及び試薬溶液の調製
試薬及び試薬溶液の調製は,次による。
a) 試薬 試薬は,次による。
1) 水 箇条4のe)に規定するもの
2) 硝酸 JIS K 8541に規定するもの
3) アンモニウムイオン標準液 国家計量標準に規定するトレーサビリティが確保されたアンモニウム
イオン標準液(1 000 mg/L)
4) 塩化アンモニウム JIS K 8116に規定するもの
5) しゅう酸二水和物 JIS K 8519に規定するもの
6) メタンスルホン酸 イオンクロマトグラフ分析用(2 mol/L)
b) 試薬溶液の調製 試薬溶液の調製は,次による。
1) 溶離液 溶離液は,装置の種類及び使用する分離カラムの種類によって異なるので,装置及びカラ
ムの使用説明書を参考にして選ぶとよい。アンモニウムイオンが他のイオンと分離度(R)1.3以上
で分離できるもので,次のいずれかを用いるのがよい。ただし,アンモニウムイオンが定量的に測
定できることを確認した後,分離カラムの特性に応じて,ここに示した以外の溶離液を用いてもよい。
なお,分離度の確認は,JIS K 0127の箇条11(データの質の管理)による。
1.1) サプレッサーを備えた装置を用いる場合 メタンスルホン酸(2 mol/L)10 mLを水に溶かし,全
量フラスコ1 000 mLに水で洗い移し,水を標線まで加えたもの。
1.2) サプレッサーを備えていない装置を用いる場合 次のいずれかを用いる。
1.2.1) 硝酸溶液(1.6 mmol/L〜5.0 mmol/L) 硝酸7.2 mLを水に溶かし,全量を1 000 mLにした硝酸溶
液(0.1 mol/L)の一定量(16 mL〜50 mL)を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を標線ま
で加えたもの。
1.2.2) しゅう酸溶液(3.5 mmol/L) しゅう酸二水和物442 mgをはかりとり,少量の水に溶かして全量
フラスコ1 000 mLに移し入れ,水を標線まで加えたもの。孔径0.45 μmのメンブレンフィルタ
ーでろ過する。
1.2.3) メタンスルホン酸溶液(2 mmol/L〜10 mmol/L) メタンスルホン酸(2 mol/L)1 mL〜5 mLを水
に溶かし,全量フラスコ1 000 mLに水で洗い移し,水を標線まで加えたもの。
2) 再生液(除去液) 次のいずれかのもの。サプレッサーの機能を再生又は継続的に維持するために用
いる。装置,分離カラムの特性,溶離液の種類及びサプレッサーの種類に応じて,これ以外のもの
を用いてもよい。
なお,サプレッサーを備えていない装置では,再生液は不要。
2.1) 電気的に再生するサプレッサーの場合 水又は検出器を通過した溶離液を用いる。
2.2) 化学的に再生するサプレッサーの場合 水酸化テトラメチルアンモニウム溶液(15 %)24.2 mLを
水に溶かし,全量を1 000 mLに調製した,水酸化テトラメチルアンモニウム(40 mmol/L)溶液
を用いる。
3) アンモニウムイオン標準液(1 mg/mL) 次のいずれかによる。
3.1) 8.2.1 a) 3)のアンモニウムイオン標準液(1 000 mg/L)。
3.2) 塩化アンモニウムを過塩素酸マグネシウム(乾燥用)を入れたデシケーター中で16時間以上放置
11
K 0099:2020
し,その2.965 gをはかりとり,少量の水に溶かして全量フラスコ1 000 mLに移し入れ,水を標
線まで加えたもの。
4) アンモニウムイオン標準液(0.1 mg/mL) 全量フラスコ100 mLに3)で調製したアンモニウムイオ
ン標準液(1 mg/mL)10 mLを正しくとり,水を標線まで加えたもの。使用時に調製する。
5) アンモニウムイオン標準液(0.01 mg/mL) 全量フラスコ100 mLに4)で調製したアンモニウムイオ
ン標準液(0.1 mg/mL)10 mLを正しくとり,水を標線まで加えたもの。使用時に調製する。
8.2.2
イオンクロマトグラフ
イオンクロマトグラフは,次による。
なお,市販のイオンクロマトグラフには,分離カラムとサプレッサーとを備えた方式のもの及びサプレ
ッサーを備えていない分離カラム単独の方式のものがあるが,いずれを用いてもよい。
a) 試料導入器 分析用試料溶液の一定量を再現性よく装置内に注入できる自動のもの,又は装置内に組
み込まれた試料計量管(10 μL〜250 μL定量)に,1 mL〜10 mLのシリンジを用いて注入する手動式
のもの。
b) 分離カラム 内径2 mm〜8 mm,長さ30 mm〜300 mmの不活性な合成樹脂製又は金属製の管に,陽イ
オン交換体を充塡したもの。分析目的のイオンと隣接するイオンとを分離度(R)1.3以上で分離でき
るもの。
c) プレカラム 濃縮,予備分離及び異物除去のためのカラムで,必要に応じて分離カラムの前に装着す
る。内径2 mm〜6 mm,長さ5 mm〜50 mmの不活性な合成樹脂製又は金属製の管に,分離カラムと同
種類の陽イオン交換体を充塡したもの。
d) サプレッサー 溶離液中のイオン種を電気伝導度検出器で高感度測定するために,溶離液を電気的又
は化学的に変化させて電気伝導度を低減させるための器具。サプレッサーには,膜形,カラム形,ゲ
ル形,ファイバー形又はこれらを組み合わせたものがある。
e) 検出器 電気伝導度検出器。
8.2.3
定量操作
定量操作は,次による。
a) イオンクロマトグラフを測定可能な状態にし,分離カラムに溶離液を一定の流量(例えば,0.5 mL/min
〜2 mL/min)で流しておく。サプレッサー付きの装置の場合には,その方式に適した再生液(除去液)
を通液し,安定させておく。
b) 試料導入器を用いて7.2で調製した分析用試料溶液の一定量10 μL〜250 μLをイオンクロマトグラフ
に注入し,クロマトグラムを記録する。
なお,低濃度の試料を測定する場合には,装置内の試料計量管(10 μL〜250 μL一定量)の代わり
に分離カラムと同種類の陽イオン交換体を充塡した濃縮カラムを用いるとよい。
c) クロマトグラム上のアンモニウムイオンに相当するピークについて,ピーク面積又はピーク高さを求
める。
d) 8.2.4の検量線から,分析用試料溶液中のアンモニウムイオンの濃度(mg/mL)を求める。
e) 容量100 mLの吸収瓶を用いた場合は,全量フラスコ100 mLに6.2 c)で調製した吸収液50 mLをとり,
水を標線まで加えた後,b)の注入量と同じ量を用い,a)〜c)に準じて操作し,空試験液中のアンモニウ
ムイオンの濃度b(mg/mL)を求める。
なお,容量250 mLの吸収瓶を用いた場合は,全量フラスコ250 mLに6.2 c)の吸収液100 mLをはか
りとり,水を標線まで加えた後,同様の操作を行う。
12
K 0099:2020
8.2.4
検量線の作成
検量線の作成は,次による。
a) 容量100 mLの吸収瓶を用いた場合は,数個の全量フラスコ100 mLに,予想される試料濃度に応じ,
アンモニウムイオン標準液(0.01 mg/mL)又はアンモニウムイオン標準液(0.1 mg/mL)から1.0 mL
〜25.0 mLを段階的にとり,水を標線まで加え,その濃度(mg/mL)をそれぞれ求めておく。
なお,容量250 mLの吸収瓶を用いた場合は,数個の全量フラスコ250 mLにアンモニウムイオン標
準液(0.1 mg/mL)1.0 mL〜50.0 mLを段階的にとり,水を標線まで加え,その濃度(mg/mL)を求め
ておく。
b) 8.2.3のa)〜c)の操作を行い,それぞれのアンモニウムイオンの濃度に相当するピーク面積又はピーク
高さを求める。
c) 別に,空試験として,水について8.2.3のa)〜c)の操作を行い,アンモニウムイオンに相当するピーク
面積又はピーク高さを求める。
d) 空試験値を補正したピーク面積又はピーク高さとアンモニウムイオンの濃度(mg/mL)との関係線を
作成する。検量線の作成は,試料の測定時ごとに行う。
8.2.5
計算
試料ガス中のアンモニア(NH3)の質量濃度及び体積百万分率を,次の式(8)〜式(10)によって算出する。
(
)
000
1
0.944
s
w
×
×
−
×
=
V
v
b
a
C
························································ (8)
(
)
000
1
1.24
s
v
×
×
−
×
=
V
v
b
a
C
·························································· (9)
32
.1
w
v
×
=C
C
········································································ (10)
ここに,
Cw: 試料ガス中のアンモニアの質量濃度(mg/m3)
Cv: 試料ガス中のアンモニアの体積百万分率(ppm)
a: 8.2.3 d)で求めた分析用試料溶液中のアンモニウムイオン
(NH4+)の濃度(mg/mL)
b: 8.2.3 e)の空試験で求めたアンモニウムイオンの濃度(mg/mL)
v: 定量に用いた全量フラスコの容量(mL)
Vs: 6.5によって算出した標準状態の試料ガス採取量(L)
(乾きガス量の場合はVSD,湿りガス量の場合はVSW)
0.944: NH4+ 1 mgに相当するアンモニア(NH3)の質量(mg)
1.24: NH4+ 1 mgに相当するアンモニア(NH3)の体積(mL)(標準
状態)
1.32: アンモニア1 mg/m3に相当するアンモニア(NH3)としての
体積百万分率(ppm)
9
分析結果の記録
9.1
分析結果の表示及びデータの質の管理
分析は,試料採取ごとに同一分析用試料溶液について2回以上行い,その平均値を求め,JIS Z 8401の
規則Bによって有効数字2桁に丸める。
9.2
記録項目
分析結果として記録する項目は次による。
a) 測定対象の設備及び試験目的
b) 試料採取及び分析の実施日,時刻,時間及び実施者
13
K 0099:2020
c) 設備又は工程の運転状況及び試料採取期間内に生じた設備又は工程の変動
d) 設備内の測定採取面の位置
e) 測定採取面上の試料採取点(ダクトの大きさ,測定断面における試料採取の位置など)
f)
試料採取方法(等速サンプリング又は非等速サンプリング,試料採取管の口径,ダスト除去用フィル
ター及び取付け位置,フィルター温度,試料採取の時間など)
g) 分析方法の種類
h) 測定結果(排ガス中の濃度及び標準状態への換算濃度のほかに,測定点のガス流量,排ガスの静圧,
温度,酸素濃度,水蒸気濃度,採取ガス量,分析用試料の体積,試料中のアンモニアの分析値,試料
採取時間内に生じた異常など)
i)
測定の品質(漏れ試験結果,試料採取と分析用の試薬との空試験値,ガスメーターの校正,測定結果
に影響した可能性のある周囲の特殊事情など)
j)
この規格の分析方法からの変更点
k) その他a)〜j)以外に有用な項目
表2−水の飽和水蒸気圧
単位 Pa
T
(℃)
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
0.
611.21
615.67
620.15
624.67
629.21
633.78
638.38
643.01
647.67
652.36
1.
657.08
661.83
666.61
671.42
676.26
681.14
686.04
690.98
695.94
700.94
2.
705.97
711.03
716.13
721.26
726.41
731.61
736.83
742.09
747.38
752.70
3.
758.06
763.45
768.88
774.34
779.83
785.36
790.92
796.52
802.15
807.82
4.
813.52
819.26
825.03
830.84
836.69
842.57
848.49
854.45
860.44
866.47
5.
872.54
878.64
884.79
890.97
897.19
903.44
909.74
916.07
922.45
928.86
6.
935.31
941.80
948.34
954.91
961.52
968.17
974.86
981.60
988.37
995.19
7.
1002.0
1008.9
1015.9
1022.9
1029.9
1037.0
1044.1
1051.2
1058.4
1065.7
8.
1072.9
1080.3
1087.6
1095.1
1102.5
1110.0
1117.6
1125.2
1132.8
1140.5
9.
1148.2
1156.0
1163.8
1171.7
1179.6
1187.6
1195.6
1203.7
1211.8
1219.9
10.
1228.1
1236.4
1244.7
1253.0
1261.4
1269.9
1278.4
1286.9
1295.5
1304.2
11.
1312.9
1321.7
1330.5
1339.3
1348.2
1357.2
1366.2
1375.3
1384.4
1393.5
12.
1402.8
1412.1
1421.4
1430.8
1440.2
1449.7
1459.3
1468.9
1478.5
1488.2
13.
1498.0
1507.8
1517.7
1527.7
1537.7
1547.7
1557.9
1568.0
1578.3
1588.6
14.
1598.9
1609.3
1619.8
1630.3
1640.9
1651.6
1662.3
1673.0
1683.9
1694.8
15.
1705.7
1716.7
1727.8
1739.0
1750.2
1761.4
1772.8
1784.2
1795.6
1807.1
16.
1818.7
1830.4
1842.1
1853.9
1865.8
1877.7
1889.7
1901.7
1913.8
1926.0
17.
1938.3
1950.6
1963.0
1975.5
1988.0
2000.6
2013.3
2026.0
2038.8
2051.7
18.
2064.7
2077.7
2090.8
2104.0
2117.2
2130.5
2143.9
2157.4
2170.9
2184.5
19.
2198.2
2212.0
2225.8
2239.7
2253.7
2267.8
2281.9
2296.1
2310.4
2324.8
20.
2339.2
2353.8
2368.4
2383.1
2397.8
2412.7
2427.6
2442.6
2457.7
2472.9
21.
2488.2
2503.5
2518.9
2534.4
2550.0
2565.7
2581.4
2597.3
2613.2
2629.2
22.
2645.3
2661.5
2677.7
2694.1
2710.5
2727.1
2743.7
2760.4
2777.2
2794.1
23.
2811.0
2828.1
2845.2
2862.5
2879.8
2897.2
2914.8
2932.4
2950.1
2967.9
24.
2985.8
3003.7
3021.8
3040.0
3058.3
3076.6
3095.1
3113.6
3132.3
3151.1
25.
3169.9
3188.9
3207.9
3227.0
3246.3
3265.6
3285.1
3304.6
3324.3
3344.0
14
K 0099:2020
表2−水の飽和水蒸気圧(続き)
単位 Pa
T
(℃)
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
26.
3363.9
3383.8
3403.9
3424.0
3444.3
3464.7
3485.2
3505.7
3526.4
3547.2
27.
3568.1
3589.1
3610.2
3631.5
3652.8
3674.2
3695.8
3717.4
3739.2
3761.1
28.
3783.1
3805.2
3827.4
3849.7
3872.2
3894.7
3917.4
3940.2
3963.1
3986.1
29.
4009.2
4032.5
4055.8
4079.3
4102.9
4126.6
4150.5
4174.4
4198.5
4222.7
30.
4247.0
4271.5
4296.0
4320.7
4345.5
4370.5
4395.5
4420.7
4446.0
4471.5
31.
4497.0
4522.7
4648.5
4574.5
4600.5
4626.7
4653.1
4679.5
4706.1
4732.8
32.
4759.7
4786.7
4813.8
4841.0
4868.4
4895.9
4923.6
4951.4
4979.3
5007.4
33.
5035.6
5063.9
5092.4
5121.0
5149.7
5178.6
5207.7
5236.8
5266.2
5295.6
34.
5325.2
5355.0
5384.8
5414.9
5445.1
5475.4
5505.9
5536.5
5567.2
5598.1
35.
5629.2
5660.4
5691.8
5723.3
5754.9
5786.8
5818.7
5850.8
5883.1
5915.5
36.
5948.1
5980.8
6013.7
6046.8
6080.0
6113.3
6146.9
6180.5
6214.4
6248.4
37.
6282.5
6316.9
6351.3
6386.0
6420.8
6455.8
6490.9
6526.2
6561.7
6597.3
38.
6633.1
6669.1
6705.2
6741.5
6778.0
6814.7
6851.5
6888.5
6925.6
6963.0
39.
7000.5
7038.2
7076.0
7114.1
7152.3
7190.7
7229.2
7268.0
7306.9
7346.0
40.
7385.3
7424.8
7464.4
7504.2
7544.3
7584.5
7624.8
7665.4
7706.2
7747.1
41.
7788.2
7829.6
7871.1
7912.8
7954.6
7996.7
8039.0
8081.5
8124.1
8167.0
42.
8210.0
8253.2
8296.7
8340.3
8384.1
8428.2
8472.4
8516.8
8561.5
8606.3
43.
8651.3
8696.5
8742.0
8787.6
8833.5
8879.5
8925.8
8972.3
9018.9
9065.8
44.
9112.9
9160.2
9207.7
9255.5
9303.4
9351.6
9399.9
9448.5
9497.3
9546.3
45.
9595.6
9645.0
9694.7
9744.6
9794.7
9845.0
9895.6
9946.4
9997.4
10049.
46.
10100.
10152.
10204.
10256.
10308.
10361.
10414.
10467.
10520.
10573.
47.
10627.
10681.
10735.
10790.
10845.
10899.
10955.
11010.
11066.
11122.
48.
11178.
11234.
11291.
11348.
11405.
11462.
11520.
11578.
11636.
11694.
49.
11753.
11812.
11871.
11930.
11990.
12049.
12110.
12170.
12231.
12292.
50.
12353.
12414.
12476.
12538.
12600.
12663.
12725.
12788.
12852.
12915.
51.
12979.
13043.
13107.
13172.
13237.
13302.
13368.
13433.
13499.
13566.
52.
13632.
13699.
13766.
13833.
13901.
13969.
14037.
14106.
14175.
14244.
53.
14313.
14383.
14453.
14523.
14594.
14665.
14736.
14807.
14879.
14951.
54.
15023.
15096.
15169.
15242.
15316.
15389.
15464.
15538.
15613.
15688.
55.
15763.
15839.
15915.
15991.
16068.
16145.
16222.
16299.
16377.
16455.
56.
16534.
16613.
16692.
16771.
16851.
16931.
17012.
17093.
17174.
17255.
57.
17337.
17419.
17501.
17584.
17667.
17750.
17834.
17918.
18003.
18087.
58.
18173.
18258.
18344.
18430.
18516.
18603.
18690.
18778.
18866.
18954.
59.
19043.
19131.
19221.
19310.
19400.
19491.
19581.
19672.
19764.
19856.
60.
19948.
20040.
20133.
20226.
20320.
20414.
20508.
20603.
20698.
20793.
61.
20889.
20985.
21082.
21179.
21276.
21374.
21472.
21571.
21669.
21769.
62.
21868.
21968.
22069.
22170.
22271.
22372.
22474.
22577.
22679.
22783.
63.
22886.
22990.
23094.
23199.
23304.
23410.
23516.
23622.
23729.
23836.
64.
23944.
24052.
24160.
24269.
24379.
24488.
24598.
24709.
24820.
24931.
65.
25043.
25155.
25268.
25381.
25494.
25608.
25723.
25837.
25953.
26068.
15
K 0099:2020
表2−水の飽和水蒸気圧(続き)
単位 Pa
T
(℃)
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
66.
26184.
26301.
26418.
26535.
26653.
26772.
26890.
27010.
27129.
27249.
67.
27370.
27491.
27612.
27734.
27857.
27979.
28103.
28226.
28351.
28475.
68.
28600.
28726.
28852.
28979.
29106.
29233.
29361.
29489.
29618.
29748.
69.
29877.
30008.
30138.
30270.
30402.
30534.
30667.
30800.
30933.
31068.
70.
31202.
31338.
31473.
31609.
31746.
31883.
32021.
32159.
32298.
32437.
71.
32577.
32717.
32858.
32999.
33140.
33283.
33425.
33569.
33713.
33857.
72.
34002.
34147.
34293.
34439.
34586.
34734.
34882.
35030.
35179.
35329.
73.
35479.
35630.
35781.
35933.
36085.
36238.
36391.
36545.
36700.
36855.
74.
37010.
37166.
37323.
37480.
37638.
37796.
37955.
38115.
38275.
38436.
75.
38597.
38758.
38921.
39084.
39247.
39411.
39576.
39741.
39907.
40073.
76.
40240.
40408.
40576.
40744.
40914.
41084.
41254.
41425.
41597.
41769.
77.
41942.
42116.
42290.
42464.
42640.
42815.
42992.
43169.
43347.
43525.
78.
43704.
43884.
44064.
44245.
44426.
44608.
44791.
44974.
45158.
45343.
79.
45528.
45714.
45900.
46088.
46275.
46464.
46653.
46843.
47033.
47224.
80.
47416.
47608.
47801.
47994.
48189.
48384.
48579.
48776.
48972.
49170.
81.
49368.
49567.
49767.
49967.
50168.
50370.
50572.
50775.
50979.
51183.
82.
51388.
51594.
51800.
52007.
52215.
52424.
52633.
52843.
53053.
53265.
83.
53477.
53689.
53903.
54117.
54332.
54547.
54764.
54981.
55198.
55417.
84.
55636.
55856.
56076.
56298.
56520.
56743.
56966.
57190.
57415.
57641.
85.
57868.
58095.
58323.
58552.
58781.
59011.
59242.
59474.
59707.
59940.
86.
60174.
60409.
60644.
60881.
61118.
61356.
61594.
61834.
62074.
62315.
87.
62557.
62799.
63042.
63286.
63531.
63777.
64024.
64271.
64519.
64768.
88.
65017.
65268.
65519.
65771.
66024.
66278.
66532.
66788.
67044.
67301.
89.
67559.
67817.
68077.
68337.
68598.
68860.
69123.
69386.
69651.
69916.
90.
70182.
70449.
70717.
70986.
71255.
71526.
71797.
72069.
72342.
72616.
91.
72890.
73166.
73442.
73719.
73998.
74277.
74556.
74837.
75119.
75401.
92.
75685.
75969.
76254.
76540.
76827.
77115.
77404.
77693.
77984.
78276.
93.
78568.
78861.
79155.
79450.
79746.
80043.
80341.
80640.
80940.
81240.
94.
81542.
81844.
82148.
82452.
82757.
83064.
83371.
83679.
83988.
84298.
95.
84609.
84921.
85234.
85547.
85862.
86178.
86495.
86812.
87131.
87451.
96.
87771.
88093.
88415.
88739.
89063.
89389.
89715.
90043.
90371.
90701.
97.
91031.
91362.
91695.
92028.
92363.
92698.
93035.
93372.
93711.
94050.
98.
94391.
94732.
95075.
95418.
95763.
96109.
96455.
96803.
97152.
97502.
99.
97853.
98204.
98557.
98911.
99266.
99623.
99980.
100338.
100697.
101058.
100. 101419.
101782.
102145.
102510.
102875.
103242.
103610.
103979.
104349.
104720.
注記 飽和水蒸気圧は,JIS Z 8806 [2]に規定するSON-NTAGの式によって与えられた値。温度目盛は,ITS-90。
16
K 0099:2020
附属書A
(規定)
インドフェノール青吸光光度法における
共存する硫黄酸化物などが妨害する場合の分析方法
A.1 分析方法の概要
分析方法の概要を,表A.1に示す。
表A.1−分析方法の概要
要旨
試料採取法
定量範囲
mg/m3
(ppm)
試料ガス中のアンモニアを過酸化水素水に吸収さ
せた後,アンモニア追出し装置で水酸化ナトリウ
ム溶液を加えアンモニアを追い出し,ほう酸溶液
に捕集した後,フェノール・ペンタシアノニトロ
シル鉄(III)酸ナトリウム溶液及び次亜塩素酸ナ
トリウム溶液を加えて,インドフェノール青を生
成させ,吸光度(640 nm)を測定する。
吸収瓶法
吸収液:過酸化水素水(1+9)
液量:50 mL×2本
標準採取量:20 L
1.2〜11.8
(1.6〜15.5)
A.2 試料ガス採取方法
A.2.1 試料ガス採取
試料ガス採取は,6.1による。
A.2.2 試薬及び吸収液の調製
試薬及び吸収液の調製は,次による。
a) 水 箇条4のe)に規定するもの。
b) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。
c) 水酸化ナトリウム JIS K 8576に規定するもの。
d) 吸収液[過酸化水素水(1+9)] 全量フラスコ500 mLに水400 mLをとり,これにb) の過酸化水素
50 mLを加えてかき混ぜた後,水を標線まで加えたもの。
e) 水酸化ナトリウム溶液(8 mol/L) 水酸化ナトリウム32 gを,水に溶かして100 mLとしたもの。
f)
ほう酸溶液(5 g/L) ほう酸5.0 gを,水に溶かして全量1 Lとしたもの。
A.2.3 器具及び装置
6.3による。ただし,吸収瓶は,容量250 mLのものを用いる(図1参照)。
A.2.4 採取操作
容量250 mLの吸収瓶F1及びF2(図2参照)に,A.2.2 d)の吸収液をそれぞれ50 mL入れ,6.4 b)〜6.4 g)
の採取操作で,試料ガスを採取する。
A.2.5 試料ガス採取量
6.5による。
A.2.6 アンモニアの追出し操作
アンモニアの追出し操作は,次による。
17
K 0099:2020
a) 試料ガス採取装置から吸収瓶F1及びF2(図2参照)を外して,吸収瓶F1に吸収瓶F2内の容液を水で
洗い移した後,吸収瓶F1をアンモニア追出し装置(図A.1参照)に接続する。
b) プラスチック製注射筒Aに水酸化ナトリウム溶液(8 mol/L)5 mLを吸い込んで取り付ける。
c) 注射筒A内の水酸化ナトリウム溶液を吸収瓶F1に導入し,アルカリ性(pH13以上)とする。
d) 窒素ボンベのバルブを開き,流量を2 L/min程度に調節し,発生するアンモニアを吸収瓶G内のほう
酸溶液に吸収させる。追い出し時間は100分間とする。
A: プラスチック製注射筒[水酸化ナトリウム
溶液(8 mol/L),5 mL]
B: プラスチック製二方コック
C: 窒素ボンベ
D: 流量調節弁
E: 流量計
F1: 吸収瓶(試料ガス吸収後の吸収液+洗浄液)
G: アンモニア吸収瓶[ほう酸(5 g/L),50 mL]
H: シリコーンゴム管
図A.1−アンモニア追出し装置の例
A.2.7 分析用試料溶液の調製
A.2.6の操作を行った後,全量フラスコ250 mLにアンモニア吸収瓶G内の溶液を吸収液[ほう酸溶液(5
g/L)]で洗い移し,[ほう酸溶液(5 g/L)]を標線まで加える。これを分析用試料溶液とする。
A.3 定量方法
8.1.3による。
参考文献
[1] JIS K 0804 検知管式ガス測定器(測長形)
[2] JIS Z 8806 湿度−測定方法