K 0098:2016
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 一般事項························································································································· 1
5 分析方法の種類及び概要 ···································································································· 2
6 試料ガス採取方法 ············································································································· 2
6.1 試料ガスの採取位置 ······································································································· 2
6.2 試料ガスの採取方法の種類 ······························································································ 2
6.3 試料ガス採取装置及び器具 ······························································································ 2
6.4 試料ガス採取装置の構成及び採取操作················································································ 3
7 定量方法························································································································· 7
7.1 ガスクロマトグラフ法 ···································································································· 7
7.2 検知管法 ····················································································································· 11
8 自動計測法 ····················································································································· 12
9 分析結果の記録 ··············································································································· 12
9.1 分析結果の表示及びデータの質の管理··············································································· 12
9.2 記録項目 ····················································································································· 12
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
環境測定分析協会(JEMCA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工
業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工
業規格である。
これによって,JIS K 0098:1998は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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排ガス中の一酸化炭素分析方法
Methods for determination of carbon monoxide in flue gas
1
適用範囲
この規格は,燃料及び廃棄物の燃焼,金属精錬,化学反応工程などに伴って,煙道,煙突,ダクトなど
(以下,ダクトという。)に排出される排ガス中の一酸化炭素を分析する方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7987 排ガス中の一酸化炭素自動計測器
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0055 ガス分析装置校正方法通則
JIS K 0095 排ガス試料採取方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS K 0214 分析化学用語(クロマトグラフィー部門)
JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門)
JIS K 0216 分析化学用語(環境部門)
JIS K 0512 水素
JIS K 0804 検知管式ガス測定器(測長形)
JIS K 1101 酸素
JIS K 1107 窒素
JIS Z 8401 数値の丸め方
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0211,JIS K 0214,JIS K 0215及びJIS K 0216による。
4
一般事項
一般事項は,次による。
a) 化学分析に共通する一般事項は,JIS K 0050による。
b) 排ガス試料採取に共通する一般事項は,JIS K 0095による。
c) ガスクロマトグラフィーに共通する一般事項は,JIS K 0114による。
d) 検知管法に共通する一般事項は,JIS K 0804による。
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e) 標準ガスは,国際単位系(SI)に対するトレーサビリティが確保されたものを用いる。
注記 トレーサビリティが確保された標準ガスには,国家計量標準(計量法第136条若しくは第144
条の規定に基づくjcss又はJCSS校正証明書が添付されたものがある。
f)
装置及び器具は,規定した機能を満足するものを用いる。
g) 一酸化炭素の分析に用いた排ガスなどは適切に処理する。
注記 ガスクロマトグラフ法とは,ガスクロマトグラフィーを示す。
5
分析方法の種類及び概要
分析方法の種類及び概要は,表1による。
表1−分析方法の種類及び概要
分析方法
の種類
分析方法の概要
適用条件
要旨
試料採取
定量範囲
ガスクロマ
トグラフ法
a) 熱伝導度検出器(TCD)
b) 光イオン化検出器(PID)a)
c) メタン化反応装置及び水素
炎イオン化検出器(FID)
上記のいずれかの検出器を備え
たガスクロマトグラフを用い,
絶対検量線法によって一酸化炭
素濃度を求める。
注射筒法,捕集バッグ
法又は捕集瓶法によ
る。
試料ガス採取量:
100 mL〜10 L程度
a) TCD:0.05 vol %以上
b) PID:1〜1 000 vol ppm b)
c) FID:1〜2 000 vol ppm
7.1参照
検知管法
a) パラジウム塩が還元され,金
属パラジウムを析出し,黄色
から黒褐色に変色する。
b) 五酸化二よう素が還元され,
よう素を遊離し,白から褐色
に変色する。
いずれも変色の長さを基に一酸
化炭素濃度を求める。
捕集バッグ法又は直接
採取法による。
試料ガス採取量(捕集
バッグ法):
5〜10 L程度
a) 1〜50 vol ppm
2.5〜2 000 vol ppm
b) 0.1〜40 vol %
7.2参照
自動計測法 a) 赤外線吸収方式
b) 定電位電解方式
捕集バッグ法又は連続
測定
a) 0〜50 vol ppmから
0〜5 000 vol ppmまで
b) 0〜200 vol ppmから
0〜2 000 vol ppmまで
箇条8
参照
注a) 放電型の光イオン化検出器には,ヘリウムプラズマ光イオン化検出器(HPID),バリア光放電イオン化検出
器(BID)などの種類がある。ランプ式光イオン化検出器は使用できない。
b) 濃度が高い場合,気体試料の導入量を減らす,試料の希釈を行うなどの手段を講じる。
6
試料ガス採取方法
6.1
試料ガスの採取位置
試料ガスの採取位置は,代表的なガスが採取できる点,例えばガスの流速の分布が均一な位置を選ぶ。
6.2
試料ガスの採取方法の種類
試料ガスの採取方法は,表1による。ただし,検知管法の場合は,それらに加えてガス採取器を使用す
る。
6.3
試料ガス採取装置及び器具
試料ガスの採取装置及び器具は,次の機能及び条件を備えなければならない。
3
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a) 試料ガス採取管は,排ガス中の共存成分によって腐食されないような管,例えばほうけい酸ガラス管,
ステンレス鋼管,石英ガラス管,四ふっ化エチレン樹脂製管などを用いる。
b) 試料ガス中にダストが混入することを防ぐため,試料ガス採取管の先端にろ過材を詰める。ただし,
詰められない場合は適切な位置にろ過材を詰める。
c) 配管中に水分が凝縮するおそれがある場合は,試料ガス採取管を120 ℃以上に加熱し,導管の途中に
凝縮液トラップを設ける。この場合,た(溜)まった凝縮液中に試料ガスがバブリングしないように,
トラップは容量の大きなものを用いる。
d) 加熱部分における配管の接続には,すり合わせ接手管,シリコーンゴム管又は四ふっ化エチレン樹脂
製管を用いる。
6.4
試料ガス採取装置の構成及び採取操作
6.4.1
ガスクロマトグラフ法の場合
6.4.1.1
試料ガス採取装置及び器具
試料ガス採取装置の例を図1,図2及び図3に示す。
6.4.1.2
試料ガスの捕集容器
試料ガスの捕集容器として次のものがある。
a) 注射筒 図1のHに例を示す注射筒形試料採取器を用い,内筒を引くことによって,これに試料ガス
を導入して採取する。注射筒のすり合わせ根部には,必要に応じグリースを少量塗布しておく。
b) 捕集バッグ 四ふっ化エチレン樹脂製,ポリプロピレン製など,ガスの透過性の小さいガス採取用の
もので内容積1 L以上の袋。使用前に破れなどによる漏れがないことを確認しておく。
c) 捕集瓶 試料ガスをガスの状態で捕集するガラス製の容器で,コックが二つ付いた流通採取用捕集瓶
(300〜500 mL)又はコックが一つ付いた真空採取用捕集瓶(100〜1 000 mL)とする。
6.4.1.3
試料ガスの採取操作
試料ガスの採取操作は,次のいずれかによる。
a) 注射筒法 注射筒法の試料ガスの採取操作は,次による。
なお,ここに示す装置の記号は,図1による。
1) 流路切替三方コック(G)を水平方向に開き,ポンプをつなぐ。
2) 針を外した注射筒(H)を流路切替三方コック(G)部にゴム管でつなぐ。
3) 流路切替三方コック(G)を全方向(水平方向及び上方向)に開く。
4) 注射筒(H)について吸引,押出しを数回繰り返して,導管内,トラップ(F)内及び注射筒(H)
内を試料ガスで十分に置換する。
5) 注射筒(H)に試料ガスを採取する1)。このとき,ガスメーター(K)の指針又はカウンターが作動
している状態であることを確認しながら採取する。
6) 流路切替三方コック(G)を閉じ,注射筒(H)を外し,手早く注射針を注射筒(H)に取り付け,
針先にゴム片を刺しておく。
7) 試料ガス中の一酸化炭素が高濃度である可能性が高い場合には,排気管を用いて排気ガスを外気に
排出するなど,作業者に対する安全面の配慮が必要である。
注1) 煙道内が負圧の場合,注射筒に試料ガスを採取できていない場合があるので注意する。
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A 試料ガス採取管
B 保温材
C ろ過材
D ヒーター
E
シリコーン
F
トラップ
G 流路切替三方コック
H 注射筒
I
乾燥剤
J
吸引ポンプ又はゴム球
K ガスメーター
図1−試料ガス採取装置(注射筒法)の例
b) 捕集バッグ法 捕集バッグ法の試料ガスの採取操作は,次による。
なお,ここに示す装置の記号は,図2による。
1) 捕集バッグ(H)と吸引ポンプ(I)とをつないで,捕集バッグ(H)内を脱気し,栓をする。
2) 試料ガス採取管(A)からコック(J)までの導管を図2のようにつなぎ,吸引ポンプ(I)とをつな
いで,採取管内を試料ガスに置換し,コック(J)を閉じる。
3) 捕集バッグ(H)を気密容器(G)に入れてコック(J)につなぎ,蓋をして気密容器を密閉する。
吸引ポンプ(I)を図2のようにつなぎ換えてコック(J,K)を開いて吸引ポンプ(I)を作動させ,
気密容器(G)内を減圧にして捕集バッグ(H)に試料ガスを採取する。
4) コック(J)を閉じ,吸引ポンプ(I)を止めて,捕集バッグ(H)を気密容器(G)から取り出し,
シリコーンゴム栓をしておく。
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気密容器の接続方法
A 試料ガス採取管
B 保温材
C ろ過材
D ヒーター
E
シリコーン
F
ゴムパッキン
G メタクリル樹脂製気密容器
H 捕集バッグ
I
吸引ポンプ
J
四ふっ化エチレン樹脂製コック
K コック
L
スクリューコック
図2−試料ガス採取装置(捕集バッグ法)の例
c) 捕集瓶法 図3に例を示すガス捕集瓶に,その容量の10倍以上のガスを通過させた後に採取するか,
又はガス捕集瓶をあらかじめ真空ポンプを用いて真空にしておき,これに試料ガスを導入して採取す
る。このとき,試料ガス採取管は,採取前に試料ガスで十分に置換しておく。
単位 mm
図3−試料ガス採取装置(捕集瓶法)の例
6.4.2
検知管法の場合
6.4.2.1
試料ガス採取装置及び器具
試料ガス採取装置の例を図4に示す。検知管法で用いる器具及び装置は,次による。
a) 検知管 JIS K 0804の箇条4(種類)及び5.2(検知管の品質及び性能)に規定するもので,測定範囲
が適切な範囲にあるもの。
b) ガス採取器 JIS K 0804の4.1(ガス採取器の種類)に規定するシリンダー形真空方式のもので,JIS K
0804の5.1(ガス採取器の品質及び性能)に適合するもの。
c) 試料ガス採取装置 図4に例示する構成で行うことが望ましい。ただし,試料ガスの吸引流量は,0.5
〜1 L/minとする1)。
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A 試料ガス採取管
B 保温材
C ろ過材
D ヒーター
E
シリコーン
F
トラップ
G 流路切替三方コック
H ガス検知管
I
試料ガス採取器
J
乾燥剤
K 吸引ポンプ
L
ガスメーター
煙道内が負圧の場合,検知管に規定量の試料ガスを採取できず,検知管指示値は低めの値を示
すので注意する。
検知管での試料ガス採取時に,ガスメーターの指針又はカウンターが作動している状態である
ことを確認しながら採取する。
負圧の大きい場合は注射筒法,又は捕集バック法を参照して適用する。
a) 試料ガス採取装置(燃焼排ガスなど)の例
I
試料ガス採取器
M 四ふっ化エチレン樹脂製管
N シリコーン
四ふっ化エチレン樹脂製管(M)が長い場合は,デッドスペースが誤差要因になることがある
ため,四ふっ化エチレン樹脂製管内を十分置換してから測定を行う。また,水分の凝縮がない排
ガスが,採取する試料ガスであることが条件となる。
b) 試料ガス採取装置の例
図4−試料ガス採取装置
6.4.2.2
試料ガスの採取操作
検知管法の試料ガスの採取操作は,次による。
a) 測定点における温度を測定し,検知管の仕様書に示されている使用範囲内であることを確認する。
b) 使用する検知管の温度を測定場所の温度になるようにする。冷蔵庫などで冷暗所保管していた検知管
などを使用する場合は,外気温と同温になってから使用する。また,このときに直射日光に当たらな
いように注意する。
c) 取扱説明書に従ってガス採取器の漏れ試験を行う。
d) 検知管の両端をチップカッターなどで折り取り,検知管表面に印刷されている矢印の向きに試料ガス
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が流れるようにガス採取器の検知管取付口へ接続する。
e) ガス採取器のハンドルを一気に引いてロックさせ,その検知管について規定された時間放置する。
7
定量方法
7.1
ガスクロマトグラフ法
7.1.1
概要
熱伝導度検出器,光イオン化検出器又はメタン化反応装置及び水素炎イオン化検出器を備えたガスクロ
マトグラフを用い,試料ガス中の一酸化炭素をカラムによって分離する。記録されたクロマトグラムのそ
れぞれのピーク面積を,同一装置及び同一条件下で得られた標準ガスのピーク面積又はピーク高さと比較
して定量する。
7.1.2
ガス類
ガス類は,次による。
a) ヘリウム 純度99.99 vol %以上又は99.999 9 vol %以上のもの。
b) 窒素 JIS K 1107に規定する1級又は2級のもの。
c) 水素 JIS K 0512に規定する1級〜3級のもの。
d) 酸素 JIS K 1101に規定する純度99.5 vol %以上のもの。
e) 高純度空気 清浄にして,かつ,乾燥したもの。
7.1.3
装置及び器具
7.1.3.1
ガスクロマトグラフへの試料導入器具及び装置
ガスクロマトグラフへの試料導入器具及び装置は,次による。
a) ガスタイトシリンジ 容量0.1〜5 mLのガラス製のもので,あらかじめ水洗,乾燥したもの。
b) 気体試料導入装置 容量0.1〜5 mLの試料計量管を取り付けることができるもので,用いるカラムに
よって,次に示す充塡カラム用とキャピラリーカラム用とに大別する。試料計量管の容量及び導入装
置は,分析対象成分の濃度,検出器の感度及び用いるカラムによって適切なものを選択し,試料ガス
をガスクロマトグラフに導入するときは,試料ガスの温度及び圧力を一定にしてから導入しなければ
ならない。図5に気体試料導入装置の例を示す。気体試料導入部は,試料計量管,試料流路及びキャ
リヤーガス流路の切換可能なバルブから構成される。
1) 充塡カラム用試料導入部は,全量導入方式が可能な導入部を選ぶ。そのため,図5中の4と記載さ
れた接続口はカラム又は全量導入方式が可能な注入口と接続する。
2) キャピラリーカラム用試料導入部は,スプリット注入又は全量導入が可能な方式を選ぶ。一般的に
は,スプリット注入方式のほうがピークがシャープになり,分離が良くなる。スプリット注入方式
を選ぶ場合は,図5中の4と記載された接続口はスプリット注入方式が可能な注入口と接続する。
一方,全量導入方式を選ぶ場合は,カラム又は全量導入方式が可能な注入口と接続する。
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図5−気体試料導入装置の例
7.1.3.2
ガスクロマトグラフの構成
ガスクロマトグラフの構成は,次による。
a) カラム カラムは,次による。
1) カラム用管 内面をよく洗浄したステンレス鋼管,ほうけい酸ガラス管などとし,表2に示す内径
及び長さをもつもの。
2) カラム充塡剤 カラム充塡剤は,分析対象成分に対して必要かつ十分な分離機能をもつものを用い
る。例を表2に示す。
3) 充塡方法(充塡カラムの場合) カラム用管の一端にガラスウール又はシリカ綿を軽く詰める。管に
振動を与えるか,又は吸引しながら,他端からカラム充塡剤を少量ずつ流入させ,内部に隙間がで
きないように均一かつ密に充塡する。充塡後,充塡剤が漏れないように,両端にガラスウール又は
シリカ綿を詰める。
4) カラムのコンディショニング カラムをガスクロマトグラフに接続し,キャリヤーガスを通しなが
らカラム槽の温度を分析に使用される温度より高く(ただし,最高使用温度以下)調整する。調整
後,残存溶媒などが除去されるまで空焼きを行う。このとき,カラムの検出器側の一端は,検出器
に接続しないでおく。また,検出器への接続口は密栓しておく。
表2−カラムの例
カラムの種類
カラム充塡剤a)
管
固定相
担体の粒径
µm
内径
mm
長さ
m
充塡カラム
合成ゼオライト13X形(Na塩)又は
合成ゼオライト5A形(Ca塩)
150〜500
1〜5
0.5〜6
カーボンモレキュラシーブ
吸着形キャピラリー
カラム
合成ゼオライト5A形(Ca塩)
0.32〜0.53
30〜50
カーボンモレキュラシーブ
注a) 合成ゼオライトには,モレキュラシーブ13X及びモレキュラシーブ5Aがある。また,そのほかに
活性炭,ポリマー系等の充塡剤も用いてもよい。
b) 検出器 熱伝導度検出器,光イオン化検出器又はメタン化反応装置及び水素炎イオン化検出器を用い
る。
c) キャリヤーガス 熱伝導度検出器の場合は,7.1.2 a)のヘリウム,7.1.2 b)の窒素又は7.1.2 c)の水素を,
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光イオン化検出器の場合は,7.1.2 a)の純度99.999 9 vol %以上のヘリウムを,メタン化反応装置及び水
素炎イオン化検出器の場合は,7.1.2 a)のヘリウム,7.1.2 b)の窒素又は7.1.2 c)の水素を用いる。特にメ
タン化反応装置及び水素炎イオン化検出器を用いて高感度の測定を行う際には純度99.999 9 %以上の
キャリヤーガスを使用する。
d) 検出器用ガス 各検出器に用いるガスは,次による。
1) 熱伝導度検出器用付加ガス キャリヤーガスと同種のものを用いる。
2) 光イオン化検出器用ガス キャリヤーガスと同種のものを用いる。
3) メタン化反応装置及び水素炎イオン化検出器用ガス
3.1) 付加ガス 7.1.2 a)のヘリウム又は7.1.2 b)の窒素を用いる2)。
3.2) 水素ガス 7.1.2 c)の水素を用いる。
3.3) 助燃ガス 7.1.2 d)の酸素又は7.1.2 e)の高純度空気を用いる。
注2) 一般的に,窒素を用いた方が感度がよい。
e) データ処理装置 データ処理装置は,クロマトグラム,保持時間,ピーク面積,ピーク高さなどを測
定及び表示できなければならない。データ処理ソフトによる場合は,処理が正しい結果を与えること
が検証されたものを用いる。
f)
記録装置 記録装置は,クロマトグラムを記録するものであり,必要に応じて取り付ける。
7.1.4
ガスクロマトグラフの操作条件
7.1.4.1
試料導入部の条件
試料導入部の条件は,用いるカラムの種類及び機器によって最適条件が異なる場合があるので,各機器
の操作手引書を参考に最適化する。設定条件の例を次に示す。
a) 充塡カラム
1) ガスタイトシリンジによる場合 試料導入部温度は,50〜200 ℃程度に設定する。試料注入量は,
0.1〜3 mL程度とする。
2) 気体試料導入装置による場合 気体試料導入装置の設定温度は,室温程度に設定する。カラム温度
が気体試料導入装置の温度に影響を与える場合は,200 ℃程度まで設定してもよい。試料注入量は,
0.1〜3 mL程度とする。
b) キャピラリーカラム
1) ガスタイトシリンジによる場合 試料導入部温度は,50〜200 ℃程度に設定する。試料注入量は,
0.1〜3 mL程度とする。カラムの内径に応じて適宜スプリット注入を行う。
2) 気体試料導入装置による場合 試料導入部温度及び気体試料導入装置の設定温度は,室温程度に設
定する。カラム温度が試料導入部及び気体試料導入装置の温度に影響を与える場合は,200 ℃程度
まで設定してもよい。試料注入量は,0.1〜3 mL程度とする。カラムの内径に応じて適宜スプリッ
ト注入を行う。
7.1.4.2
カラム条件の例
カラム条件は,7.1.3.2 a)のカラムの分離性能が十分発揮できるカラム温度及びキャリヤーガス流量とす
る。特に光イオン化検出器を使用する場合は共存物質の影響を受けやすいため,窒素などと一酸化炭素と
の間で十分なピークの分離を確保しておく必要がある。カラム条件の例を,表3に示す。
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表3−カラム条件の例
カラムの種類
分析条件
カラム温度 ℃ b)
キャリヤーガスc)
流量 mL/min
充塡カラムa)
30〜300
ヘリウム,窒素又は水素
5〜60
吸着形キャピラリーカラム
30〜300
ヘリウム,窒素又は水素
2〜10
注a) 流量5〜15 mL/min,内径2 mm以下のものはマイクロパックドカラムとも呼ばれている。
b) PIDで低濃度を分析する場合,昇温分析が望ましい。
c) 検出器がPIDの場合,キャリヤーガスはヘリウムを使用する。
7.1.4.3
検出器の操作条件
各機器の温度及びガス流量を最適な条件に設定する。用いるカラムの種類及び機器によって最適条件が
異なる場合があるので,各機器の操作手引書を参考に最適化する。操作条件の例を,次に示す。
a) 充塡カラム
1) 熱伝導度検出器による場合 条件例 検出器温度:100〜200 ℃
2) 光イオン化検出器による場合 条件例 検出器温度:100〜350 ℃,検出器ガス流量:20〜100 mL/min
3) メタン化反応装置及び水素炎イオン化検出器による場合 条件例 検出器温度:100〜250 ℃,助燃
ガス流量:200〜400 mL/min
メタン化反応装置 温度:350〜450 ℃,水素ガス流量:30〜50 mL/min
b) キャピラリーカラム
1) 熱伝導度検出器による場合 条件例 検出器温度:100〜200 ℃,付加ガス流量:8〜45 mL/min
2) 光イオン化検出器による場合 条件例 検出器温度:100〜350 ℃,検出器ガス流量:20〜100 mL/min
3) メタン化反応装置及び水素炎イオン化検出器による場合 条件例 検出器温度:100〜250 ℃,付加
ガス流量:30〜45 mL/min,助燃ガス流量:200〜400 mL/min
メタン化反応装置 温度:350〜450 ℃,水素ガス流量:30〜50 mL/min
7.1.5
定量操作
定量操作は,次による。
a) ガスクロマトグラフを測定可能な状態にし,7.1.4の分析条件に合わせてカラム温度を設定し,カラム
にキャリヤーガスを一定の流量で流しておく。
b) ガスクロマトグラフへの分析試料ガスの導入は,次のいずれかによる。
1) ガスタイトシリンジによる場合 注射筒又は捕集バッグの開口部を,例えば,シリコーンゴムで密
栓をし,ガスタイトシリンジに取り付けたニードル(針)を栓に貫通させ,試料ガスの採取及び大
気中放出を何回か繰り返した後(共洗い),分析用試料ガスを採取し,ガスクロマトグラフに直接導
入する。
2) 気体試料導入装置による場合 図5の試料導入の状態で,注射筒又は捕集バッグの開口部を図5の
気体試料導入装置の試料採取部(試料IN)に接続する。気体試料導入装置のバルブを切り替えると
ともに,計量管容量の5倍以上の試料ガスの量を計量管に通過させて,計量管を試料ガスで満たし
た後,気体試料導入装置のバルブを切り替えて,計量管中の分析用試料ガスをガスクロマトグラフ
に導入する。
c) 試料ガスを導入後,適切な時間のクロマトグラムを記録する。
d) クロマトグラム上の一酸化炭素に相当するピークについて,ピーク面積又はピーク高さを求める。
e) 7.1.6の検量線から,試料ガス中の一酸化炭素の質量(ng)を求める。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7.1.6
検量線の作成
検量線の作成は,次による。
a) 検量線の作成は,試料ガスの測定時と同じ室温及び気圧下で行う。
b) ガスクロマトグラフの分析条件及び検出器の操作条件に従って装置を設定する。
c) 捕集バッグ,真空捕集瓶などに適切な濃度の検量線用ガスを調製したもの,又は市販の標準ガスを
7.1.5 b)と同様の操作によって導入し,クロマトグラムを記録する。この操作は,1日の分析の始め又
は分析条件が変わったときには,少なくとも1回行うことが望ましい。
d) 検量線用ガス中の一酸化炭素のピーク面積又はピーク高さを測定し,一酸化炭素の質量(ng)とピー
ク面積又はピーク高さとの検量線を作成する。
7.1.7
一酸化炭素濃度の算出
試料ガス中の一酸化炭素の濃度算出は,次の式による。
32
.
101
15
.
273
15
.
273
10
10
800
.0
6
6
v
P
t
V
A
C
×
+
×
×
×
×
=
−
v
w
25
.1
32
.
101
15
.
273
15
.
273
C
P
t
V
A
C
×
=
×
+
×
=
ここに,
Cv: 試料ガス中の一酸化炭素の体積分率(vol ppm)
Cw: 試料ガス中の一酸化炭素の濃度(mg/m3)
A: 検量線で求めた分析用試料ガス中の一酸化炭素の質量(ng)
V: 試料ガス注入量(mL)
t: 試料ガス測定時の温度(℃)
P: 試料ガス測定時の大気圧(kPa)
0.800: 一酸化炭素1 mgに相当する一酸化炭素の体積(mL)
1.25: 一酸化炭素1 vol ppmに相当する質量濃度(mg/m3)
10−6: 質量の単位をngからmgに変換する係数
106: mL/mLをvol ppmへ変換する係数
273.15: 0 ℃に対応する絶対温度(K)
101.32: 標準大気圧(kPa)
7.2
検知管法
7.2.1
適用条件
この方法は反応試薬の種類によって,妨害成分又は干渉成分が異なるので,用いる検知管に関する指示
事項に従って使用する3)。概略の分析値を得るときに適用する。
注3) 検知管の反応には大きく分けてパラジウム塩との反応と五酸化二よう素との反応の2種類があ
る。前者は感度が良いため低濃度領域で使用し,後者は高濃度領域又は水素との共存時に使用
する。
7.2.2
操作
a) 試料ガスの吸引終了後,速やかに検知管を取り外し,変色層先端の濃度目盛を読み取る。
なお,検知管によっては,通気終了後の時間経過によって変色した層が退色したり,変色層の長さ
が変化する場合があるので,通気終了後に変色層の先端に印を付け,速やかに読み取る。また,変色
層先端面が斜めの場合には,中間点を濃度として読み取る。濃度表式の場合は,検知管を添付の濃度
表上に合わせ,変色層の境界を読み取る。
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b) 濃度単位の換算が必要な場合は,次の式によって行う。
32
.
101
15
.
273
15
.
273
41
.
22
01
.
28
P
t
C'
C
×
+
×
×
=
ここに,
C: 一酸化炭素の濃度(mg/m3)
C': 検知管の読取値(vol ppm)
28.01: 一酸化炭素の分子量
t: 測定点の温度(℃)
P: 測定点の大気圧(kPa)
7.2.3
妨害物質
検知管の変色の原理は,多くの場合,分析対象物質だけの特異反応ではなく,化学的性質の似た物質に
共通する反応である。したがって,分析対象物質と同じ反応をする物質が共存する場合には,測定対象物
質の濃度より高い指示値(プラスの誤差)を与える。反対に共存物質が変色反応を妨害してマイナス誤差
を与える場合及び変色境界を不明瞭にする場合がある。測定するときは,共存する可能性のある物質につ
いて調査し,検知管の仕様書,技術資料などを参考にその影響について,あらかじめ検討する必要がある。
8
自動計測法
自動計測法による測定は,JIS B 7987に規定する自動計測器によって行う。校正については,JIS K 0055
によって行う。
9
分析結果の記録
9.1
分析結果の表示及びデータの質の管理
分析は,試料採取ごとに同一分析試料について2回以上行い,その平均値を求め,JIS Z 8401によって
有効数字2桁に丸める。ただし,連続して2回以上試料を採取した場合には,各測定値の全ての平均値を
求める。また,検知管法を用いる場合はこの限りではない。
測定値にばらつきが見られた場合は,装置,配管などの不備,操作の不具合などを確認し,必要な処置
を施す。また,JIS K 0114によって,標準試料,検量線用標準試料の有効性,検出限界の確認,ブランク
の確認,定期的な装置の性能の点検などを実施するとともに,内部精度管理の実施,外部精度管理への参
加などを行い必要な精度を確保する。
9.2
記録項目
分析結果として記録する項目は,次による。
a) 測定対象の設備及び試験目的
b) 試料採取及び分析の実施日,時刻,時間及び実施者
c) 設備又は工程の運転状況及び試料採取期間内に生じた設備又は工程の変動
d) 設備の測定採取面の位置
e) 測定採取面上の試料採取点
例1 ダクトの大きさ,測定断面における試料採取の位置など
f)
試料採取方法
例2 試料ガス採取方法,等速サンプリング又は非等速サンプリング,試料採取管の口径,ダスト
除去用フィルター及び取付位置,フィルター温度,試料採取の時間など
g) 分析方法の種類
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
h) 測定結果
例3 排ガス中の濃度及び標準状態への換算濃度のほかに,測定点のガス流量,排ガスの静圧,温
度,酸素濃度,水蒸気濃度,採取ガス量,分析用試料の体積,試料中の一酸化炭素の分析値,
試料採取時間内に生じた異常など
i)
測定の品質
例4 漏れ試験結果,現地測定における空試験値,測定結果に影響した可能性のある周囲の特殊事
情,標準ガスの品質記録などを記入するとよい。
j)
この規格の分析方法からの変更点
その他,a)〜j)以外に有用な項目がある場合には,追加するとよい。