1
K 0095
: 19
999
解
説
解説付表
1
JIS
と対応する国際規格との対比表
JIS K 0095
: 1999
排ガス試料採取方法
IEC 10396
: 1993
固定発生源−ガス濃度自動分析のためのサンプリング
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国際規格項目番
号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合が困
難な理由及び今後の対策
(1)
適用範囲
○ 煙道,煙突,ダクト内に排出
される排ガス中の特定ガス
成分を分析するための試料
ガス吸引採取方式及び試料
ガス非吸引採取方式につい
て規定。
(
1
)
○ 排ガス中の
O
2
,
CO
,
CO
2
,
SO
2
,
NO
,
NO
2
の温度を自
動計測器で測定するとき
の試料ガス採取方法
(
抽出
法と非抽出法
)
と装置を規
定。
=
JIS
は排ガス中の特定成分
を対象とし,化学分析法及
び連続分析法に適用する
が,
ISO
は
6
成分に限定し
た自動計測法
(
連続分析法
)
を規定している。
この
JIS
は,排ガス中の特定成
分を分析するための試料ガス
採取の基本規格である。排ガス
中の特定ガス成分の分析方法
及び自動計測器などの多くの
JIS
に引用されている
(38
件
)
。
これらの
JIS
を通じて,大気汚
染防止法を始めとする法令に,
この規格が間接的に活用され,
我が国の環境基準の維持管理
に寄与している。
今回,可能な限り
ISO
規格と
の整合を図ったが,大気汚染防
止法の規制・基準に影響を及ぼ
すおそれのある部分について
は,従来
JlS
の規定内容を踏襲
した。
今後,国際規格との更なる整合
の推進については,
ISO
,
JlS
(
引
用先の
JIS
を含む。
)
及び法令
と一体となって取り組む必要
がある。
法令との整合が大きな要因な
ので省庁間の調整を待ちたい。
(2)
引用規格
○
JIS B 2210
,
JIS G 3452
,
JIS G 3459
,
JIS G 4303
,
JIS K 0050
,
JIS K 0211
,
(
2
)
○
ISO 7934
(
トリン
)
ISO 9096
(
ダスト
)
≠
ISO
には
ISO 7934
は引用
されていない
(
ISO
の記述
の誤り
)
。
JIS Z 8808
の整合化を待つ。
2
K 0095
: 19
99
解
説
解説付表
1
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国際規格番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合が困
難な理由及び今後の対策
(2)
引用規格
JIS Z 8808
JIS Z 8808
: 1995
≠
ISO
9096
: 1992
である。
JIS
原
案では
JIS
を引用。
代表性に関する事項は参
考事項であり,規定項目で
はない。
(3)
定義
○ 排ガス,試料ガス,採取点,
採取口,採取管,ろ過材,導
管,捕集部,前処理部,凝縮
可能成分,腐食性,反応性ガ
ス発生源,ガス濃度,湿りガ
ス,化学分析,連続分析,試
料の完全性を規定。
(
3
)
○ 凝縮成分,腐食性,気体濃
度
(O
2
換算
)
,反応性ガス発
生源,湿り排ガス,標準状
態,試料の完全性を規定。
=
ISO
の定義をすべて採用。
JIS
として必要な定義を追
加。
なお,標準状態は
JIS K
0211
の
1045
を引用済。
(4)
原理
○ 試料ガス吸引採取方式及び
試料ガス非吸引採取方式を
規定。
(
4
)
○ 抽出法
(
試料ガス吸引採取
方式
)
非抽出法
(
試料ガス非吸引
採取方式
)
=
非吸引方式に二つの方法
を追加。
JIS
には,非吸引方式の計測器
は規定されていない。この項は
ISO
との整合化のため
ISO
の
規定を採用。
(5)
試 料 ガ ス の 採
取 位 置 , 採 取
点,採取口
○
(
5
)
5.1.1
○ 発生源のガスをサンプリ
ングする場合の代表性に
ついて,考慮すべき要因を
記述。要員の安全性,乱流
域の位置,採取点への出入
り,測定場所のスペース,
ユーティリティの確認及
び調査,ガスの爆発性,危
険性等の安全性に関する
注意事項。
=
5.1
試 料 ガ ス 採 取
位置
○ 安全な足場の設置
5.2
5.2.1
=
3
K 0095
: 19
999
解
説
解説付表
1
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国際規格番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合が困
難な理由及び今後の対策
5.2
採取点
○
JIS Z 8808
の
5.3
に従う。濃
度変動が採取位置断面にお
いて±
15%
以下なら一点採
取でよい。
採取管は排ガス流に対して
直角に挿入。
5.2.2
○ ±
15%
を 超 える 濃 度変 動
のない点又は多点測定。
ISO 9096
に従う。一点測
定も可。
≠
JIS Z 8808
≠
ISO 9096
JIS Z 8808
の整合化を待つ。
5.3
採取口
○ 採取口の材質は,ステンレス
鋼,炭素鋼を用い,化学分析
用は
25A
,連続分析は
100A
程度の管を溶接する。連続分
析では近接した位置に化学
分析用採取口を設置。
−
−
ISO
に規定なし。
5.4
その他の要因
○ 一点採取法では採取位置・採
取点の選定,保温・加熱,除
湿,漏れ試験などを適切に行
い,試料の完全性を保持す
る。
5.4
○ 試料採取場所の選定,採取
装置の材質による吸着・吸
収反応,腐食に注意。
=
(6)
試料採取装置
○
6.
○
6.1
装置の構成
6.1.1
吸 引 採 取 方
式
○ 化学分析法,連続分析法
(
単
一成分・多成分同時測定
)
6.1
○ 一次ろ過材
(10
μ
m
以上の
粒子を捕集
)
,採取管,加
熱試料導管,二次ろ過材
(1
μ
m
以上の粒子を捕集
)
,
採取ポンプ,除湿器,試料
ガス分岐管,真空計及び試
料希釈方法の概要。
≠
JIS
ではろ過材の捕集粒子
径は規定していない。
JIS
は化学分析法,連続分析法
の採取管導管,前処理部,分析
計などの構成を規定し,詳細は
6.3
〜
6.9
で規定。
4
K 0095
: 19
99
解
説
解説付表
1
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国際規格番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合が困
難な理由及び今後の対策
6.1.2
非 吸 引 採 取
方式
○ 定点測定,パスモニター
6.2
○ 発信器,採取管,測定セル,
ろ適材,採取管マウンティ
ング,校正ガス配管。
発信装置,受信装置,パー
ジガスブロアー,校正用ガ
ス配管,内部ガス校正セル
など。
=
構成部品は個別規格によ
る。
採取法の規格に構成部品を規
定するのは不合理であるので,
国際規格として提案。
6.2
材質
○ 採取管,導管,接手管,ろ過
材,試料ガス分岐管。
−
−
ISO
に規定なし。
6.3
採取管
○ 内径
3
〜
25mm
で採取点まで
挿入できるもの,化学分析
用,連続分析用について装置
の例を図示。
6.1.2
○ 通常,ガラス質けい素,磁
器,多結晶又は再結晶アル
ミナ製を用いる。ほうけい
酸ガラス製は
775K
,ステ
ンレス用は
1175K
,シリカ
ガラス製は
1300K
に耐え
る。
≠
JIS
は寸法及び材質の規定
内容
(
6.2
)
を追加。
ステンレス鋼及びほうけ
い酸ガラスの耐熱温度は,
安全上の見地から
ISO
よ
り
100
℃低くした。
寸法及び材質を追加する必要
がある。ステンレス鋼は
900
℃
から高温ぜい化が生じ,硬質ガ
ラスは,
450
℃で破壊されない
との
JIS
規定
(
JIS G 4303
,
JIS R
3503
)
に基づいた。国際規格に
提案する。
6.4
一次ろ過材
○ ろ過材はダストの除去率が
よく,圧力損失が少ないも
の。
6.1.1
○
10
μ
m
以上の微粒子を通過
しないろ過材が望ましい。
≠
JIS
には
10
μ
m
以上の粒子
を捕集する規定はない。材
質及び使用温度を
表
1
に
示す。
シリカウールをろ過材とする
場合には捕集粒子径を正確に
規定できないので,国際規格に
提案する。
6.5
取付具
○ 採取管を採取口に固定する。
材質は採取管及び採取口に
適合したもの。
−
−
ISO
には規定なし。
5
K 0095
: 19
999
解
説
解説付表
1
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国際規格番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合が困
難な理由及び今後の対策
6.6
導管
○
4
〜
25mm
のもの。
○
SUS
又は
PTFE
で試料ガス
の量に応じた太さ。
ADP
JIS
及び
ISO
の規定は実際
上同等の規定である。
連続分析での導管を常設する
場合は,
25mm
以下のステンレ
ス鋼管で配管する場合が多く,
それ以上のガス量の吸引を必
要とするケースは考えられな
いので,国際規格に提案する。
6.7
保温又は加熱
○ ガス成分の凝縮又は凍結を
防止する。空冷除湿を兼ねる
導管には行わない。
6.1.3
6.1.6
○ 試料ガスの水分及び酸露
点より
15K
高い温度に加
熱し,温度をモニターす
る。
=
加熱導管を用いる点は同
じであるが,
ISO
には空冷
除湿を兼ねる導管の規定
はない。
分析計を格納しているきょう
(
筐
)
体までは加熱導管を用い,
きょう体内を空冷
(
予冷
)
し,一
次冷却とし溶解損失を最小限
におさえている。
6.8
捕集部
○ 吸収瓶,捕集容器,水銀マノ
メーター
(200mm)
,乾燥管,
吸引ポンプ,ガスメーター。
−
−
ISO
には規定なし。
6.9
前処理部
○ 除湿器,気液分離器,安全ト
ラップ,二次ろ適材,吸引ポ
ンプ,真空計,試料ガス分岐
管。
6.1.4
〜
6.1.9
○ 二次ろ過材,試料採取ポン
プ,水蒸気除去,試料ガス
分岐管,配管,真空計。
≠
JIS
には,二次ろ過材の捕
集粒径及び吸引ポンプの
運転温度は規定なし。
水分の除去
(
ISO
6.1.6
)
につ
いては除湿器を含めて詳
細な規定を追加。試料ガス
配管
(
ISO
6.1.7
)
は削除。凝
縮水トラップを追加。
ISO
はポンプと分析計の保護
のため
1
μ
m
以上捕集する二次
ろ過材が必要としているが,
JIS
は,空冷による一次除湿,
2
℃冷却による除湿及び気液分
離などをポンプの前段に設置
しているため,水分,硫酸ミス
トは除去されている。このた
め,二次ろ過材の孔径及びポン
プの酸露点以上の加熱は不要。
国際規格として提案。
6
K 0095
: 19
99
解
説
解説付表
1
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国際規格番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合が困
難な理由及び今後の対策
6.10
希釈
希釈の目的,希釈方法及び装
置
6.1.10
○ 希釈の目的,希釈方法及び
装置。
≡
我が国の排ガス濃度は低下し
ており,希釈の必要はない。整
合化のため規定した。
(7)
化 学 分 析 用 の
試 料 ガ ス 採 取
操作
○ 採取管・導管の取付け,試料
採取装置の組立,漏れ試験,
ガス採取操作,採取ガス量の
計 算 式 : 標 準 状 態
(0
℃ ,
101.32kPa)
の乾きガス又は湿
りガス。
−
ISO
は自動計測器のため
の試料ガス採取法のため,
化学分析法の試料採取方
法の規定なし。
7.1
吸収瓶法
(
ガス
メ ー タ ー で 計
測する方法
)
7.2
吸収瓶法
(
注射
筒 で 計 測 す る
方法
)
7.3
真 空 フ ラ ス コ
法
7.4
真空捕集瓶法
7.5
注射筒法
7.6
捕集バッグ法
(8)
自 動 計 測 器 の
取扱い
○
7.
8.1
採取管,導管の
取付け
試料ガス吸引採取方式では
7.1
に準じる。
−
−
ISO
は規定なし。
8.2
前 処 理 部 の 組
立 て 及 び 取 付
け
○ 気液分離器,除湿器,二次ろ
過材,吸引ポンプ,ガス分岐
管を順次接続する。
−
−
ISO
は規定なし。
7
K 0095
: 19
999
解
説
解説付表
1
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国際規格番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合が困
難な理由及び今後の対策
8.3
漏れ試験
○ 通常の使用条件の
2
倍程度
の加圧又は減圧で行う。
7.1
○
50kPa(375mmHg)
に減圧し
て行う。
=
ISO
の
50kPa
は過大。
JIS
は負圧のほかに漏れの状
態を容易に判別できる加
圧を追加規定。
ISO
の規定は極端に大きいの
で照会中。技術的根拠も含めて
確認後必要があれば整合化を
図るか提案する。
8.4
分 析 計 の 取 付
け
○ 適当なきょう
(
筐
)
体内に取り
付け,きょう体を固定する。
−
−
ISO
は規定なし。
8.5
自 動 計 測 器 な
どの組立て例
○ 吸引方式
(
単一成分計測器及
び多成分同時測定
)
,非吸引
方式計測器の構成例。
○ 図
1
抽出法による試料採
取と条件調整システム
図示だけ
ISO
に規定された
3
図及び単一
成分計測器の例を追加。
図
2
非抽出法による定点
モニター
図示だけ
図
3
非抽出法パス・モニタ
ー
図示だけ
8.6
操作
○ 製造業者の取扱説明書に従
う。
7.2
−
ISO
は規定なし。
8.7
校 正 目 的 と 校
正方法
○ 校正ガス導入口は試料ガス
採取管及び計測器ガス導入
口の
2
か所に設ける。目盛り
校正は個別規格による。
7.3
7.4
○ 目盛り校正:校正用ガス導
入口は,採取管の先端及び
測定器入口の
2
か所及び
分析計の機能校正。
−
JIS
では,目盛り校正・機
能校正は個別規格による。
JIS
は,自動計測器ごとに校正
方法を規定。
8.8
保守・点検
○ 安全規則の尊守,操業状態の
確認,消耗品等の補充,給水,
給電,校正用ガス,試料ガス
採取管の清掃。
5.1.3
5.2.1
○ 加熱,乾燥,テストなどに
よって試料の完全性の保
持,安全規則の遵守,運転
状況の確認,消耗品の取り
替え,操業パラメーターの
調整,ユーリティリティの
点検等。
=
製造業者の取扱説明書
による
を追加。
自動計測器は測定対象成分に
よって測定原理も構造も異な
るので,保守・点検は取扱説明
書によった方がよい。
8
K 0095
: 19
99
解
説
解説付表
1
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国際規格番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合が困
難な理由及び今後の対策
(9)
安 全 に 関 す る
注意事項
○ 発生源の形態,原料・副原料
の組成及び使用量,排ガスの
温度,圧力,排出量,公害除
去施設の事前調査,調査要員
の安全確保。
○ 要員の安全,乱流域の位
置,採取場所への出入り,
測定場所及び足場の確保。
=
(9.1.1)
発 生 源 に 関
する項目
(9.12)
採 取 位 置 に
関する項目
試料採取に関する項目
(10)
その他
附属書
1(
参考
)
○ 試料ガス採取の制約
1.2
○
≠
JIS
では附属書
(
参考
)
とし
た。
単なる参考事項であり,本体に
規定するものではない
(
国際提
案
)
。
附属書
2(
参考
)
○ ガス発生源の性質
5.1
○ 適用範囲の留意事項
≠
内容が参考事項なので
JIS
は附属書
(
参考
)
とした。
本体に規定するものではない
(
国際提案
)
。
附属書
3(
参考
)
○ ガス濃度,流速及び温度分
布。
5.3
○ ガス濃度,流速及び温度分
布の測定。
≠
ISO
は規定,
JIS
は附属書
(
参考
)
とした。
JIS
では
JIS Z 8808
ダスト濃度
の測定法に従って測定する。
JIS Z 8808
は
ISO 9096
を附属
書とした。
附属書
A(
参考
)
装画に用いる材質
Annex A