K 0071-2 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
今回の制定は,日本工業規格 (JIS) を国際規格への整合のために,ISO 4630 : 1996を基礎として用いた。
JIS K 0071 : 1998は一般名称を“化学製品の色試験方法”として,次の各部によって構成する。
第1部:ハーゼン単位色数(白金−コバルトスケール)
第2部:ガードナー色数
第3部:セーボルト色数
第4部: ASTM色数
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 0071-2 : 1998
化学製品の色試験方法−
第2部:ガードナー色数
Testing methods for colour of chemical products−
Part 2 : Gardner colour scale
序文 この規格は,1996年に発行されたISO/DIS 4630.2,Binders for paints and varnishes−Estimation of
colour of clear liquids by Gardner colour scaleを基礎としているが日本工業規格として必要な規定内容を追加
している。
1. 適用範囲 この規格は,常温で液体の化学製品,又は加熱して溶融状態になる化学製品の色を試験す
る方法について規定する。
備考1. 化学製品とは,化学反応によって生成する物質全般を指すが,個別の製品又は製品群の規格
において,この規格と異なる測定方法が規定されている場合には,その規格に規定する方法
による。
2. 化学製品には,揮発性,爆発性,放射性などが強いために,この規格を用いるとき試験の安
全を確保できないものもある。この規格に規定する方法は一般的な方法であり,あらかじめ
安全性を十分に確認できるものに適用する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS K 8129 塩化コバルト (II) 六水和物(試薬)
JIS K 8142 塩化鉄 (III) 六水和物(試薬)
JIS K 8163 ヘキサクロロ白金 (IV) 酸カリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8517 二クロム酸カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS R 3505 ガラス製体積計
JIS Z 8716 表面色の比較に用いる常用光源蛍光ランプD65−形式及び性能
JIS Z 8720 測色用の標準の光及び標準光源
JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色
ISO 842 Raw materials for paints and varnishes−Sampling(塗料及びワニス用原材料の採取方法)
2
K 0071-2 : 1998
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ISO 3696 Water for analytical laboratory use−Specifications and test methods(分析室で使用する水−その
規格と試験方法)
CIE Publication No. 15.2 Colorimetry(CIE刊行資料No. 15.2 測色)
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。
a) ガードナー色数 ヘキサクロロ白金 (IV) 酸カリウム,塩化鉄 (III),塩化コバルト (II) 及び塩酸を用
いて調製したガードナー色数標準液と試料の透過色を比較して定める色番号。1〜18の範囲の色数に
よって表す。また,ガードナー色数標準液の代わりに,それらと透過色が等しい標準色ガラスと比較
しても求められる。
4. 試験方法の原理
4.1
試験方法の原理 この試験方法は,規定の照明下で,比色試験器又は比色方法に基づいて,規定す
る処方で調製した標準比色液又は標準色ガラスと試料の透過色とを比較し,双方の色が一致したときの標
準比色液又は標準色ガラスに付けられた色番号,及び色数によって試料の色を表す。
5. ガードナー色数試験方法
5.1
要旨 この試験方法は,液体の化学製品及び加熱して溶融状態になる化学製品のうち,透明で黄褐
色の液体,例えば,ボイル油,油ワニスなどの,試料の色の濃さについて,標準色ガラス又はガードナー
色数標準液と目視によって比較して,ガードナー色数を求める方法である。
5.2
装置及び器具 装置及び器具は,次による。
5.2.1
比色計 試料と標準色ガラスとが目視によって比較できるもので,次のa)〜c)からなる。
a) 光源 JIS Z 8720に規定する標準の光D65及び標準の光C又はJIS Z 8716に規定した蛍光ランプのい
ずれかによる。拡散昼光を用いてもよい。
備考 拡散昼光とは日の出3時間後から日没3時間前までの間の,日光の直射を避けた北窓からの光
をいう。
b) 試料容器カバー 金属製とし,試験管を比色計に入れたとき外部からの光を遮断できるもので,内部
はつや消しの黒とする。
c) 視野 比色する試料と標準色ガラスとの二つの領域が同時に測定者の視野内に入るようにする。
5.2.2
標準色ガラス 標準色ガラスは表1に規定する18種類を一組とし,標準色ガラスの直径は14mm
以上とする。
3
K 0071-2 : 1998
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表1 ガードナー標準色ガラスの色度座標
ガードナー標準
色ガラス番号
色度座標
視感透過率
透過率許容差
x
y
Y %
Y % (±)
1
0.317 7
0.330 3
80
7
2
0.323 3
0.335 2
79
7
3
0.332 9
0.345 2
76
6
4
0.343 7
0.364 4
75
5
5
0.355 8
0.384 0
74
4
6
0.376 7
0.406 1
71
4
7
0.404 4
0.435 2
67
4
8
0.420 7
0.449 8
64
4
9
0.434 3
0.464 0
61
4
10
0.450 3
0.476 0
57
4
11
0.484 2
0.481 8
45
4
12
0.507 7
0.463 8
36
5
13
0.539 2
0.445 8
30
6
14
0.564 6
0.427 0
22
6
15
0.585 7
0.408 9
16
2
16
0.604 7
0.392 1
11
1
17
0.629 0
0.370 1
6
1
18
0.647 7
0.352 1
4
1
5.2.3
ガードナー色数標準液 ガードナー色数標準液は,透明のガラス管に1〜18までの番号を付けた
18本一組のもので,それぞれの色番号を付けた管の中に,表2及び表3に示す組成のガードナー色数標準
液を含むもの。
表2 ガードナー色数標準液(1番〜8番)
ガードナー色数
標準液の番号
塩酸1 000ml中のヘキ
サクロロ白金 (IV) 酸
カリウムのg数
ヘキサクロロ白金 (IV)
酸カリウム原液採取量
ml
全量フラスコ容量
ml
1
0.550
3.48
50
2
0.865
5.47
50
3
1.330
8.42
50
4
2.080
6.58
25
5
3.035
9.60
25
6
4.225
5.35
10
7
6.400
8.10
10
8
7.900
10.00
10
4
K 0071-2 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3 ガードナー色数標準液(9番〜18番)
ガードナー色数
標準液の番号
塩化鉄 (III) 溶液
[5.3.3]
ml
塩化コバルト (II) 溶液
[5.3.4]
ml
塩酸 (1+17)
[5.3.2]
ml
9
3.8
3.0
93.2
10
5.1
3.6
91.3
11
7.5
5.3
87.2
12
10.8
7.6
81.6
13
16.6
10.0
73.4
14
22.2
13.3
64.5
15
29.4
17.6
53.0
16
37.8
22.8
39.4
17
51.3
25.6
23.1
18
100.0
0.0
0.0
5.2.4
ガードナー・ホルト試験管 試験管は,内径10.650±0.025mm,外径12.5mm,長さ114mmの平底
ほうけい酸ガラス管で,2本の標線を管の口から5mm及び13mmの2か所に刻んだもの。
5.2.5
分光光度計 JIS K 0115に規定するもの。
5.2.6
吸収セル 光路長10mmの角形セル。
5.2.7
ビュレット JIS R 3505に規定するもの。
5.2.8
全量フラスコ JIS R 3505に規定するもの。
5.2.9
溶融装置 試料を短時間に溶融でき,試験温度を±3℃に調整できるもの。一例を図1に示す。
5.3
試薬 試薬は,次のとおりとする。
5.3.1
水 使用する水はJIS K 0557に示すA2又はA3の水を使う。
5.3.2
塩酸 (1+17) JIS K 8180に規定する特級を用い塩酸と水とを体積比1 : 17で混合したもの。
5.3.3
塩化鉄 (III) 溶液 JIS K 8142に規定する塩化鉄 (III) 六水和物1000gをはかりとり,塩酸 (1+17)
240gを加えて溶かしたもの。溶けにくい場合は穏やかに加熱し,室温まで放冷する。
この溶液は,JIS K 8951に規定する硫酸100mlとJIS K 8517に規定する二クロム酸カリウム3gとを用
いて新しく調製した溶液の色調と完全に一致するように,塩酸 (1+17) を用いて濃度を調整する。
5.3.4
塩化コバルト (II) 溶液 JIS K 8129に規定する塩化コバルト (II) 六水和物40gを量り採り,塩酸
(1+17) 120g加えて溶かしたもの。
5.3.5
ヘキサクロロ白金 (IV) 酸カリウム原液 JIS K 8163に規定するヘキサクロロ白金 (IV) 酸カリウ
ム790mgを量り採り,全量フラスコ100mlに入れ,適量の塩酸 (1+17) に溶かし,塩酸 (1+17) を標線
まで加えて振り混ぜたもの。
5.4
ガードナー色数標準液の調製(1) ガードナー色数標準液(2)は,表2及び表3によって調製し,ガー
ドナー・ホルト試験管に入れて密栓する。
注(1) ガードナー色数標準液は,標準色ガラスがない場合に試薬を用いて調製する。
(2) ガードナー色数標準液は暗所で保存すれば6か月間は安定であるが,使用直前に調製すること
が望ましい。
5.4.1
ガードナー色数標準液の1番〜8番までの調製 表2によってヘキサクロロ白金 (IV) 酸カリウム
原液を全量フラスコにビュレットを用いて取り,塩酸 (1+17) を標線まで加え,振り混ぜる。
5
K 0071-2 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.4.2
ガードナー色数標準液の9番〜18番までの調製 ビュレットを用い,表3に記載された容量の塩
化鉄 (III) 溶液と塩化コバルト (II) 溶液を全量フラスコ100mlに取り,塩酸 (1+17) を標線まで加え,振
り混ぜる。
5.5
校正 標準色ガラス及びガードナー色数標準液の校正はJIS Z 8722によって行い,透過光を測定し
たときの色度座標はそれぞれの表1及び表4に規定する数値に適合しなければならない。溶液については
10mmの吸収セルを用いる。
表4 ガードナー色数標準液の色度座標
ガードナー色数
標準液の番号
色度座標
x
y
1
0.319 0
0.327 1
2
0.324 1
0.334 4
3
0.331 5
0.345 6
4
0.343 3
0.363 2
5
0.357 8
0.382 0
6
0.375 0
0.404 7
7
0.402 2
0.436 0
8
0.417 9
0.453 5
9
0.433 8
0.464 8
10
0.449 0
0.477 5
11
0.483 6
0.480 5
12
0.508 4
0.463 9
13
0.539 5
0.445 1
14
0.565 4
0.429 5
15
0.587 0
0.411 2
16
0.606 0
0.393 3
17
0.627 5
0.372 5
18
0.647 5
0.352 5
5.6
操作 操作は,次のとおり行う。
5.6.1
試料(3)をガードナー・ホルト試験管に,気泡の入らないように注意して入れる
注(3) 試料に水分,きょう雑物などが存在するため濁っているときは,乾燥ろ紙でろ過する。
5.6.2
比色計を用いる場合は,試験管を比色計の所定の場所に納め,光源を点灯し,標準色ガラスと試験
管の色を比較し,試験管の色と一致する標準色ガラスの番号を読み取る。正確に一致しない場合は,前後
の標準色ガラスの番号を読み取る。
5.6.3
ガードナー色数標準液を用いる場合は,試料とガードナー色数標準液とを接して並べ,拡散昼光の
下で側面から透かして見て色を比較する。
5.6.4
固体試料の場合は,必要量を試験管に入れ,ふたをして,試験温度に調節した溶融装置で溶融させ,
直ちに比色する。
5.7
結果の記録 結果の記録は,次による。
5.7.1
試料の色が一致した場合の標準色ガラス番号又はガードナー色数標準液の番号を記録する。
5.7.2
試料の色が二つの標準色ガラス又は二つのガードナー色数標準液の間にある場合は,試料に最も近
似したガードナー色数を決定し,その色数番号より“明るい”,“暗い”,という表現で記録する。
ガードナー色 数5〜6の場合には,次のように表示する。
記録例 ガードナー色数 5,5より暗い,6より明るい,6
6
K 0071-2 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.7.3
ガードナー色数で表示された結果(記録)と標準色ガラス又はガードナー色数標準液が用いられた
か否かを付記する。
記録例 ガードナー色数 5 標準色液体
5.7.4
試料をろ過した場合は“ろ過試料”と付記する。
記録例 ガードナー色数 5 ろ過試料
5.8
試験報告は下記の内容を含めること。
a) 試験した製品の確認に必要なすべての情報
b) 使用した規格名の明示
c) 標準色ガラス又は標準液のいずれを使用したか
d) ろ過した試料液を使った結果であるか否か
e) 5.7に示した結果
f)
指定した試験方法からの差の有無
g) 試験日
図1 溶融装置の一例
7
K 0071-2 : 1998
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化学製品の色及び硫酸着色試験方法 原案作成委員会・分科会 構成表
氏名
所属
委員会
分科会
(委員長)
荒 木 峻
東京都立大学名誉教授
◎
増 田 優
通商産業省基礎産業局
○
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
○
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
○
堀 本 能 之
工業技術院物質工学工業技術研究所
○
政 岡 進
製品評価技術センター
○
嶋 貫 孝
社団法人日本分析化学会
○
神 代 啓
社団法人日本化学工業協会
○
並 木 昭
財団法人化学品検査協会
○
平 井 敏 夫
財団法人日本色彩研究会
○
◎
竹 内 幸 夫
和光純薬工業株式会社大阪工場
○
○
大 森 道 昭
株式会社融合社浦和工場
○
○
檀 上 秀 夫
日本化薬株式会社化学品研究所
○
○
岡 田 憲 治
社団法人日本芳香族工業会
○
○
近 藤 暁 弘
株式会社村上色彩技術研究所
○
○
伊 藤 尚 美
社団法人日本分析機器工業会
○
○
(事務局)
三 須 武
社団法人日本化学工業協会
○
○
内 田 幹 雄
社団法人日本化学工業協会
○
○
備考 ◎委員長,分科会主査を示す。
○委員会,分科会委員を示す。