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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0070-1992 

化学製品の酸価,けん化価, 

エステル価,よう素価,水酸基価 

及び不けん化物の試験方法 

Test methods for acid value, saponification value,  

ester value, iodine value, hydroxyl value and  

unsaponifiable matter of chemical products 

1. 適用範囲 この規格は,主として油脂製品,その誘導体及びこれらを含有する化学製品の酸価,けん

化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物を試験する場合の一般的な方法について規定する。 

備考1. 化学製品は,化学反応によって生成する物質全般を指すが,個別の製品又は製品群の規格に

おいて,この規格と異なる試験方法を規定している場合は,その規格に規定する方法による。 

2. この規格の引用規格を,付表1に示す。 

2. 一般事項 

2.1 

用語の定義 この規格で用いる用語の定義は,JIS K 0050及びJIS K 0211によるほか,次のとおり

とする。 

(1) 酸価 試料1g中に含有する遊離脂肪酸,樹脂酸などを中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg

数。 

(2) けん化価 試料1gを完全にけん化するのに必要とする水酸化カリウムのmg数。 

(3) エステル価 試料1g中に含まれるエステルを完全にけん化するのに必要とする水酸化カリウムのmg

数。 

(4) よう素価 試料100gにハロゲンを反応させたとき,結合するハロゲンの量をよう素のg数に換算した

値。 

(5) 水酸基価 試料1gをアセチル化させたとき,水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化

カリウムのmg数。 

また,水酸基価は,ヒドロキシル価ともいう。 

(6) 不けん化物 試料をけん化した後,ジエチルエーテルによって抽出される物質の試料に対する百分率。 

2.2 

共通事項 試験に共通する一般事項は,JIS K 0050及びJIS K 0113によって,ガラス器具は,JIS R 

3503による。数値の丸め方はJIS Z 8401による。 

3. 酸価 測定方法には,中和滴定法と電位差滴定法とがある。 

備考 電位差滴定法で測定値に差がある場合は,中和滴定法を採用する。 

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K 0070-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.1 

中和滴定法 

(1) 要旨 試料を溶剤に溶かし,指示薬としてフェノールフタレインを加え,水酸化カリウムエタノール

溶液で滴定して酸価を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 0.1mol/l塩酸 JIS K 8001の4.5(5.5)[0.1mol/l塩酸 (3.646gHCl/l)]による。 

(b) 0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液 JIS K 8574に規定する水酸化カリウム7gを5mlの水に溶

かし,JIS K 8102に規定するエタノール (95) を加えて1lとし,二酸化炭素をさえぎって,2〜3日

間放置した後,上澄みを取るか又はろ過して耐アルカリ性の瓶に保存する。 

標定は,0.1mol/l塩酸25mlを全量ピペットを用いて三角フラスコに取り,フェノールフタレイン

溶液を加え,0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し,中和に要した量からファクターを

求める。 

(c) フェノールフタレイン溶液 JIS K 8001の4.3(指示薬)による。 

(d) 溶剤 JIS K 8103に規定するジエチルエーテルとJIS K 8101に規定するエタノール (99.5) を体積

比で1 : 1又は2 : 1で混合したもの(1)。 

これらは,使用直前にフェノールフタレイン溶液を指示薬として数滴加え,0.1mol/l水酸化カリ

ウムエタノール溶液で中和する。 

注(1) 溶剤に溶解しにくい試料の場合には,ジエチルエーテルの配合比の多いものを用いる。溶剤の

エタノールをJIS K 8839に規定する2-プロパノールなどに代替することができる。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 三角フラスコ 300ml 

(b) ビュレット 25ml 

(c) 水浴又は熱板 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料を表1によって三角フラスコに量り取る。 

(b) 溶剤100ml及び指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴加え,水浴上で試料が完全に溶けるま

で十分に振り混ぜる。 

(c) 0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定(2)し,指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを終

点とする。 

注(2) 酸価が100以上の場合は,4.1(2)(b)に規定する0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定す

る。 

表1 試料量 

酸価 

試料量 

  5 未満 

20 

5以上  15未満 

10.0 

15以上  30未満 

5.00 

30以上 100未満 

2.00 

100以上 

1.000 

(5) 計算 酸価は,次の式によって算出する。 

S

f

B

A

611

.5

×

×

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K 0070-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

A: 酸価 

B: 滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量 

(ml)  

f:  0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクター 

S: 試料の質量 (g)  

5.611: 水酸化カリウムの式量56.11×101 

備考1. 試料が強く着色している場合には,次の方法のいずれかを用いる。 

(a) 指示薬としてアルカリブルー6B,チモールフタレインなどを用いる。 

(b) フェノールフタレイン試験紙を液外指示薬として用いる。 

(c) 側管のある三角フラスコを用い,側管内の色の変化で終点を決定する。 

(d) 高濃度のアルカリ溶液を用いて滴定する。 

(e) 試料採取量を少量とし,溶剤を多量に用いる。 

(f) 試料を溶剤50mlに溶かし,塩化ナトリウム飽和溶液10〜20mlを加えた後,フェノールフタ

レイン溶液を指示薬として加えて滴定し,十分振り混ぜ,塩化ナトリウム溶液層の着色が30

秒間消えないときを終点とする。 

2. 試料中に無機酸が混入している場合には,水浴上で加熱しながら試料の2倍量の水を加えて

振り混ぜ,水にぬらしたろ紙でろ過して無機酸を除去して試料とする。ただし,水に可溶な

脂肪酸,ナフテン酸なども除去されるので,注意が必要である。 

3. 油脂中の遊離脂肪酸の含有量を求める場合には,一般にオレイン酸として表すが,やし油,

パーム核油の場合はラウリン酸,パーム油の場合はパルミチン酸,ヒマシ油の場合はリシノ

ール酸,なたね油の場合はエルカ酸として表すことが多い。 

遊離脂肪酸の含有量は,次の式によって算出する。 

C=A×Fa 

ここに, 

C: 遊離脂肪酸の含有量 (%)  

A: 酸価 

Fa: 酸価1に相当する遊離脂肪酸の換算係数(表2による。) 

表2 遊離脂肪酸の換算係数 

表示遊離脂肪酸 

Fa 

ラウリン酸として 

0.356 

パルミチン酸として 

0.456 

オレイン酸として 

0.503 

リシノール酸として 

0.530 

エルカ酸として 

0.602 

3.2 

電位差滴定法 

(1) 要旨 試料を溶剤に溶かし,電位差滴定装置を用い,水酸化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を

行って酸価を求める。 

(2) 試薬 3.1 (2) による。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 電位差滴定装置 指示電極にガラス電極,参照電極にカロメル電極を使用する。 

(b) ビーカー 300ml 

(c) メスシリンダー 100ml 

(d) 水浴又は熱板 

K 0070-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(4) 操作 操作は,次のとおりに行う。 

(a) 試料を表1によってビーカーに量り取る。 

(b) 溶剤100mlを加えて,水浴上で試料が完全に溶けるまで振り混ぜる。 

(c) 電位差滴定装置を用いて,0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を行い,得られた

滴定曲線の変曲点を終点とする。 

(5) 計算 3.1(5)による。 

4. けん化価 測定方法には,中和滴定法と電位差滴定法とがある。 

4.1 

中和滴定法 

備考 電位差滴定法と中和滴定法で測定値に差がある場合には,中和滴定法を採用する。 

(1) 要旨 試料に水酸化カリウムエタノール溶液を加え,加熱して,冷却後,指示薬としてフェノールフ

タレイン溶液を加え,塩酸で滴定してけん価を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 0.5mol/l塩酸 JIS K 8001の4.5(5.3)[0.5mol/l塩酸 (18.23gHCl/l) ]による。 

(b) 0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液(3) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム35gを20mlの水

に溶かし,JIS K 8102に規定するエタノール (95) を加えて1lとする。二酸化炭素をさえぎって,2

〜3日放置した後,上澄み液を取るか又はろ過して耐アルカリ性の瓶に保存する。 

注(3) JIS K 8001の4.5 (18.2) [0.5mol/l水酸化カリウム・エタノール溶液 (28.05gKOH/l) ]に規定す

るものを使用してもよい。 

(c) フェノールフタレイン溶液 3.1(2)(c)による。 

(3) 器具 器具は,次のとおりとする。 

(a) 三角フラスコ 200〜300ml 

(b) 空気冷却器 外径6〜8mm,長さ100cmのガラス管又は還流冷却器で,いずれも三角フラスコの口

にすり合わせ接続できるもの。 

(c) 水浴,砂浴又は熱板 約80℃の温度に調節できるもの。 

(d) ビュレット 50ml 

(e) 全量ピペット 25m1 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料1.5〜2.0g(4)を三角フラスコに1mgのけたまで量り取る。 

注(4) 試料の採取量は,試料の滴定に必要な0.5mol/l塩酸の容量が空試験に必要な容量の半分に近い量

とする。 

(b) 0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液25mlを全量ピペットを用いて加える。 

(c) 三角フラスコに空気冷却器を取り付け,ときどき内容物を振り混ぜながら30分間水浴,砂浴又は熱

板上で穏やかに加熱して反応させる。加熱するときは,還流するエタノールの環が空気冷却器の上

端に達しないように加熱温度を調節する。 

(d) 反応が終わった後,直ちに冷却し,内容物が寒天状に固まらないうちに空気冷却器の上から少量の

水を吹き付けてその内壁を洗浄した後,空気冷却器を外す。 

(e) 指示薬としてフェノールフタレイン溶液1mlを加えて,0.5mol/l塩酸で滴定し,指示薬のうすい紅

色が約1分間現れなくなったときを終点とする。 

(f) 空試験は,試料を入れないで(a)〜(e)を行う。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(5) 計算 けん化価は,次の式によって算出する。 

S

f

C

B

A

05

.

28

)

(

×

×

ここに, 

A: けん化価 

B: 空試験に用いた0.5mol/l塩酸の量 (ml)  

C: 滴定に用いた0.5mol/l塩酸の量 (ml)  

f: 0.5mol/l塩酸のファクター 

S: 試料の質量 (g)  

28.05: 水酸化カリウムの式量56.11×21 

4.2 

電位差滴定法 

(1) 要旨 試料に水酸化カリウムエタノール溶液を加え,加熱して,冷却後,電位差滴定装置を用い,塩

酸で電位差滴定を行ってけん化価を求める。 

(2) 試薬 4.1(2)による。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 電位差滴定装置 3.2(3)(a)による。 

(b) 平底フラスコ 250ml広口円すい(錐)型,フラスコの口ですり合わせ接合できる長さ1mの空気

冷却管付のもの。 

(c) 水浴,砂浴又は熱板及び全量ピペット 4.1(3)による。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料1.5〜2.0g(4)を平底フラスコに1mgのけたまで量り取る。 

(b) 0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液25mlを全量ピペットを用いて加える。 

(c) 平底フラスコに空気冷却器を取り付け,ときどき内容物を振り混ぜながら30分間穏やかに加熱して

反応させる。この場合は,還流するエタノールの環が空気冷却器の上端に達しないように加熱温度

を調節する。 

(d) 反応が終わった後,内容物が寒天状に固まらないうちに空気冷却器の上から少量の水を吹き付けて

その内壁を洗浄し,空気冷却器を外す。 

(e) 平底フラスコにエタノール (95) 25mlを加える。 

(f) 電位差滴定装置を用い,0.5mol/l塩酸で電位差滴定を行い,得られた滴定曲線の変曲点を終点とす

る。 

(g) 空試験は,試料を入れないで(b)〜(f)を行う。 

(5) 計算 4.1(5)による。 

5. エステル価 3.及び4.から,次の式によって算出する。 

A=B−C 

ここに, A: エステル価 
 

B: けん化価 

C: 酸価 

6. よう素価 次によって試験を行う。 

(1) 要旨 試料を四塩化炭素又はシクロヘキサンに溶かした後,一塩化よう素溶液を加え,暗所に放置後,

よう化カリウム及び水を加え,チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,溶液の色がうすい黄色になったと

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

き,でんぷん溶液を加え,青が消えるまで滴定してよう素価を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(2.1) 四塩化炭素 JIS K 8459に規定するもの。 

(2.2) シクロヘキサン JIS K 8464に規定するもの。 

(2.3) 一塩化よう素溶液(ウィイス液) 一塩化よう素溶液は,次のいずれかによって調製する。 

(a) JIS K 8403に規定する三塩化よう素7.9gとJIS K 8920に規定するよう素8.9gを別々のフラスコに

取り,それぞれにJIS K 8355に規定する酢酸を加えて溶解した後,両液を混合して,酢酸で全量を

1lとする。 

(b) よう素13gを酢酸1lに溶解し,その20mlを取り0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定して滴定

量を求めておく。よう素溶液に乾燥した塩素を通じた後,その20mlを取り,よう化カリウム溶液

約15ml及び水約100mlを加え0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合滴定量が最初

の滴定量の2倍になるようにする。 

(2.4) よう化カリウム溶液 (100g/l)  JIS K 8913に規定するよう化カリウムを用いて調製する。 

(2.5) 0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液 JIS K 8001の4.5 (21.2) [0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液 

(2.482gNa2S2O3・5H2O/l) ]による。 

(2.6) でんぷん溶液 (10g/l)  JIS K 8659に規定するでんぷん1gを少量の水に混合し,沸騰水100mlに加

え,数分間煮沸して透明にした後,冷却する。 

(3) 器具 共栓付三角フラスコ 容量200〜500ml(頸部のやや長いもの。) 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料を,表3によって共栓付三角フラスコに有効数値3けたまで量り取る。 

(b) 四塩化炭素又はシクロヘキサン約10mlを加え,試料を溶解する。 

(c) 一塩化よう素溶液25mlを全長ピペットを用いて加え,振り混ぜる。 

(d) 栓をして,常温で表3に規定する作用時間暗所に置く。 

(e) よう化カリウム溶液 (100g/l) 約20ml及び水約100mlを加える。 

(f) 0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,溶液がうすい黄色になったとき,でんぷん溶液 (10g/l) 

数滴を加え,青が消えるまで滴定する(5)。 

注(5) 電位差滴定で終点を測定してもよい。 

(g) 空試験は,試料を入れないで(b)〜(f)を行う。 

表3 試料量及び作用時間 

よう素価 

3未満 

3〜10未満 10〜30未満 30〜50未満 50〜100未満 100〜150未満 150〜200未満 200以上 

試料量 

5〜3 

3.0〜2.5 

2.5〜0.6 

0.60〜0.40 

0.30〜0.20 

0.20〜0.12 

0.15〜0.10 

0.12〜0.10 

作用時間

min 

30 

30 

30 

30 

30 

60 

60 

60 

(5) 計算 よう素価は,次の式によって算出する。 

S

f

C

B

A

269

.1

)

(

×

×

ここに, 

A: よう素価 

B: 空試験に用いた0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の量 (ml) 

C: 滴定に用いた0.1mo1/lチオ硫酸ナトリウム溶液の量 (ml) 

f: 0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター 

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S: 試料の質量 (g) 

1.269: よう素の原子量 126.9×100

7. 水酸基価 試験方法には中和滴定法,電位差滴定法,ピリジン-塩化アセチル法がある。 

7.1 

中和滴定法 

(1) 要旨 試料にアセチル化試薬を加え,グリセリン浴中で加熱し,放冷後,指示薬として,フェノール

フタレイン溶液を加え,水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して水酸基価を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) アセチル化試薬 JIS K 8886に規定する無水酢酸25gを全量フラスコ100mlに取り,JIS K 8777に

規定するピリジンを加えて全量を100mlにし,十分に振り混ぜる。アセチル化試薬は,湿気,二酸

化炭素及び酸の蒸気に触れないようにし,褐色瓶に保存する。 

(b) フェノールフタレイン溶液 3.1(2)(c)による。 

(c) 0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液 4.1(2)(b)による。 

(3) 器具 器具は,次のとおりとする。 

(a) メスシリンダー 100ml 

(b) 全量ピペット 5ml 

(c) 平底フラスコ 図1に示すもの。 

(d) 全量フラスコ 100ml 

(e) グリセリン浴 95〜100℃の加熱に適するもの。 

図1 平底フラスコ 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料を表4によって平底フラスコに量り取り,これにアセチル化試薬5mlを全量ビペットを用いて

加える。 

(b) フラスコの口に小さな漏斗を置き,温度95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱す

る。フラスコの首がグリセリン浴の熱をうけて温度が上がるのを防ぐために,中に丸い穴をあけた

厚紙の円板をフラスコの首の付け根にかぶせる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(c) 1時間後フラスコをグリセリン浴から取り出し,放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水

酢酸を分解する。 

(d) さらに,分解を完全にするため,再び,フラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し,放冷後エタノ

ール (95) 5mlで漏斗及びフラスコの壁を洗う。 

(e) フェノールフタレイン溶液数滴を指示薬として加え,0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴

定し,指示薬のうすい紅色が約30秒間続いたときを終点とする。 

(f) 空試験は,試料を入れないで,(a)〜(e)を行う。 

表4 試料量 

水酸基価 

試料量g 

 10以上 100未満 

2.00 

100以上 150未満 

1.50 

150以上 200未満 

1.00 

200以上 250未満 

0.75 

250以上 350未満 

0.70 

350以上 500未満 

0.50 

水酸基価が10以下の場合は,試料採取量を増やす。ただし,試料がアセチル化試薬に溶けない場

合には,なるべく少量のピリジンを追加して溶かす。水酸基価が500以上の場合は,表4に準じて

試料量を減らす。 

(5) 計算 水酸基価は,次の式によって算出する。 

D

S

f

C

B

A

05

.

28

)

(

×

×

ここに, 

A: 水酸基価 

B: 空試験に用いた0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液

の量 (ml)  

C: 滴定に用いた0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の

量 (ml)  

f: 0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクター 

S: 試料の質量 (g)  

D: 酸価 

28.05: 水酸化カリウムの式量56.11×21 

備考1. この方法は,第三アルコールの場合には,低い分析値を与えるから適用できない。 

2. 試料中にアルデヒドが存在する場合は,分析値にばらつきが多い。 

3. 滴定のとき溶液の着色が著しい場合は,アルカリブルー6Bの溶液を指示薬として用いる。 

7.2 

電位差滴定法 

(1) 要旨 試料にアセチル化試薬を加え,グリセリン浴中で加熱し,放冷後,水を加えて無水酢酸を分解

する。この溶液を再びグリセリン浴中で加熱し,放冷後,エタノールを加え,電位差滴定装置を用い,

水酸化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を行って水酸基価を求める。 

(2) 試薬 7.1(2)による。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 電位差滴定装置 3.2(3)(a)による。 

(b) 全量ピペット 5ml 

(c) メスシリンダー 100ml 

(d) 平底フラスコ 200ml広口電極が挿入できる口径でフラスコの口にすり合わせ接続できる外径6〜

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8mm,長さ600mmの空気冷却管付のもの。 

(e) グリセリン浴 90〜100℃の加熱に適するもの。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料を表4によって平底フラスコ200mlに量り取り,アセチル化試薬5mlを全量ピペットを用いて

加える。 

(b) 平底フラスコの口に空気冷却管を装着し,95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱

する。1時間後平底フラスコを浴から取り出し,放冷後空気冷却管の上部から水1mlを加えて振り

動かし,無水酢酸を分解する。さらに,分解を完全にするため,再びグリセリン浴中で10分間加熱

し,放冷後エタノール5mlで空気冷却管を洗う。 

(c) 平底フラスコに溶剤としてエタノール (95) 100mlを加える。電位差滴定装置を用いて0.5mol/l水酸

化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を行い,得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。 

(d) 空試験は,試料を入れないで(a)〜(c)を行う。 

(5) 計算 7.1(5)による。 

備考1. この方法は,第三アルコールの場合には低い分析値を与えるから適用できない。 

2. 試料中にアルデヒド類が存在する場合は,分析値にばらつきが多い。 

7.3 

ピリジン-塩化アセチル法 

(1) 要旨 試料をピリジンに溶かし,塩化アセチル-トルエン溶液を加えて加熱し,冷却後,さらに煮沸し,

放冷後,指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加え,水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して

水酸基価を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 塩化アセチル-トルエン溶液 (100g/l)  市販の塩化アセチル100gをJIS K 8680に規定するトルエン

1lに混合したもの。使用時に調製する。 

(b) フェノールフタレイン溶液 3.1(2)(c)による。 

(c) 0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液 4.1(2)(b)による。 

(d) ピリジン JIS K 8777に規定するピリジン 

(3) 器具 器具は,次のとおりとする。 

(a) 平底フラスコ 200mlフラスコ口にすり合わせ接続できる外径6〜8mm,長さ600mmの空気冷却管

付のもの。 

(b) 全量ピペット 5ml 

(c) 水浴 65〜75℃に調節できるもの 

(d) 砂浴又は熱板 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料を表5に従って平底フラスコ200mlに有効数字3けたまで量り取り,ピリジン5mlを加えて溶

かす。これに塩化アセチル-トルエン溶液5mlを全量ピペットを用いて加える。 

(b) 直ちに平底フラスコに空気冷却管を付けて5分間水浴で65〜70℃に加熱する。 

(c) 空気冷却管の上部から約10mlの水を加えて冷却し,空気冷却管を外した後,平底フラスコに栓を

して激しくふる。さらに,栓を外した後,空気冷却管を付けて5分間砂浴又は熱板上で煮沸し,過

剰の塩化アセチルを加水分解させる。 

(d) 放冷した後,約5mlの水で数回空気冷却管を洗う。 

(e) フェノールフタレイン溶液を指示薬として数滴を加え,0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で

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K 0070-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

滴定し,指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを終点とする。 

(f) 空試験は,試料を入れないで(a)〜(e)を行う。 

表5 試料量 

水酸基価 

1〜50 

50〜100 

100〜150 

150〜200 

試料量g 

3.6以下 

1.8以下 

1.2以下 

0.9以下 

(5) 計算 7.1(5)による。 

備考 試料は,予想される水酸基価に対し,塩化アセチルの量が当量の約2倍になるようにする。 

8. 不けん化物 次によって試験を行う。 

(1) 要旨 試料に水酸化カリウムエタノール溶液を加え,加熱してけん化反応を進め,溶液を分液漏斗に

移して放冷後,ジエチルエーテルを加えて振り混ぜた後,静置し,分層後ジエチルエーテル層がフェ

ノールフタレイン溶液によって,着色しなくなるまで水洗いする。ジエチルエーテル層を蒸留し,残

液をジエチルエーテルに溶かし,ジエチルエーテル層を蒸留除去する。残液を加熱して得た残分をジ

エチルエーテルとエタノールに溶かし,指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加え,水酸化カリ

ウムエタノール溶液で滴定して不けん化物を求める。 

(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。 

(a) 1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液 JIS K 8574に規定する水酸化カリウム3.5gをできるだけ少

量の水に溶かし,JIS K 8102に規定するエタノールを加えて50mlとする。 

(b) フェノールフタレイン溶液 3.1(2)(c)による。 

(c) 0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液 3.1(2)(b)による。 

(d) ジエチルエーテル JIS K 8103に規定するもの。 

(e) アセトン JIS K 8034に規定するもの。 

(f) エタノール (99.5)  JIS K 8101に規定するもの。 

(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(a) 三角フラスコ 200ml 

(b) 空気冷却器 外径6〜8mm,長さ100cmのガラス管又は還流冷却器で,いずれも三角フラスコの口

にすり合わせ接続できるもの。 

(c) 水浴,砂浴又は熱板 約80℃の温度に調節できるもの。 

(d) 分液漏斗 500ml 

(e) ビュレット 50ml 

(f) 全量ピペット 50ml 

(g) 蒸留装置 蒸留フラスコ500ml及び100ml,凝縮管及び受器を備え,ジエチルエーテルを回収でき

るもの。 

(4) 操作 操作は,次のとおり行う。 

(a) 試料約5gを三角フラスコに1mgのけたまで量り取る(6)。 

注(6) 不けん化物の量が多い試料は,残分の質量が0.3〜0.5gになるように試料量を減らす。 

(b) 1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液50mlを全量ピペットを用いて加える。 

(c) 三角フラスコに空気冷却器を取り付け,ときどき内容物を振り混ぜながら1時間,わずかに沸騰す

る程度に加熱を続け,けん化反応を進める。加熱するときは,還流するアルコールの環が空気冷却

器の上端に達しないように加熱温度を調節する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(d) けん化が終わった後,生成した石けん溶液を温水100mlで分液漏斗に洗い入れ,さらに,水50ml

でフラスコを洗って分液漏斗に移し,室温になるまで放冷する。 

(e) ジエチルエーテル100mlで,けん化に用いたフラスコを洗い,洗液を分液漏斗に加え,密栓して1

分間激しく振り混ぜ,明らかに2層に別れるまで静置する。 

(f) 下層を第2の分液漏斗に移し,これにジエチルエーテル50mlを加えて同様に振り混ぜ,静置する。

分離後,下層をさらに第3の分液漏斗に移し同じ抽出操作を行う。 

(g) 第2,第3の分液漏斗のジエチルエーテル層を第1の分液漏斗のエーテル溶液に合わせ,洗液がフ

ェノールフタレイン溶液で着色しなくなるまで水を50mlずつ用いて洗浄を繰り返す。 

(h) ジエチルエーテル溶液を乾燥ろ紙でろ過し,蒸留フラスコ500mlに移し,少量のジエチルエーテル

で分液漏斗及びろ紙を洗い,洗液を蒸留フラスコに加える。 

(i) その残液が50ml以下になるまで蒸留を行い乾燥し,あらかじめ質量を量った蒸留フラスコ100ml

に内容物を移し,少量のジエチルエーテルで,蒸留フラスコ500mlを洗い,洗液を蒸留フラスコ100ml

に加え,前と同様にしてジエチルエーテルを蒸留除去する。 

(j) 残液にアセトン3mlを加えて加熱し,大部分の溶剤を除去した後,30kPa程度の減圧下で,温度70

〜80℃,30分間加熱した後,デシケーター中で放冷し,残分の質量を量る。 

(k) 残分を再びジエチルエーテル2mlに溶かし,さらに,エタノール (99.5) 10mlを加え,フェノールフ

タレイン溶液を数滴指示薬として加え,0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液を用いて滴定し,

指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを終点とし,脂肪酸の量を量る。 

脂肪酸の量は,一般にオレイン酸として算出する。 

(5) 計算 不けん化物は,次の式によって算出する。 

[

]

S

f

C

D

A

100

)2

028

.0

(

×

×

×

ここに, 

A: 不けん化物 (%)  

C: 滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量 

(ml)  

f: 0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクター 

D: 残分の質量 (g)  

S: 試料の質量 (g)  

0.028 2: オレイン酸(式量282)への換算係数 

9. 化学製品を取り扱うときの注意事項 化学製品を取り扱うときには,まずその物質の名称を確認し,

その安全性について確認する。その物質の物性など情報が不十分で安全性の確認ができないときは,事前

に調査を行い,十分な安全性の対策を施したうえで取り扱う。 

危険性,有害性,放射性などに関し法規上の規制があるものについては,十分な準備と対策を施した後,

関連する法令・規則によって取り扱わなければならない。 

付表1 引用規格 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8034 アセトン(試薬) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS K 8101 エタノール (99.5) [エチルアルコール (99.5)](試薬) 

JIS K 8102 エタノール (95) [エチルアルコール (95)](試薬) 

JIS K 8103 ジエチルエーテル(試薬) 

JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8403 三塩化よう素(試薬) 

JIS K 8459 四塩化炭素(試薬) 

JIS K 8464 シクロヘキサン(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬) 

JIS K 8680 トルエン(試薬) 

JIS K 8777 ピリジン(試薬) 

JIS K 8839 2-プロパノール(試薬) 

JIS K 8886 無水酢酸(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8920 よう素(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

関連規格 JIS K 1525 オクチルアルコール(オクタノール) 

JIS K 1557 ポリウレタン用ポリエーテル試験方法 

JIS K 3331 工業用硬化油・脂肪酸 

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K 0070-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

化学製品一般試験方法専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

JIS委員会 小委員会 第2分科会 

(委員長) 

荒 木   峻 

東京都立大学 

○ 

細 川 幹 夫 

工業技術院標準部 

○ 

寺 西 大三郎 

通商産業省基礎産業局 

○ 

三 井 清 人 

通商産業省計量研究所 

○ 

○ 

主査 

川 瀬   晃 

通商産業省化学技術研究所 

○ 

○ 

○ 

平 井 信 次 

通商産業省通商産業検査所 

○ 

○ 

武 田   寧 

厚生省国立衛生試験所 

○ 

栗 原   力 

財団法人化学品検査協会 

○ 

岩 見 妙 晴 

社団法人日本化学会(旭化成工業株式会社) 

○ 

大 森 道 昭 

日本科学機器団体連合会(株式会社離合社) 

○ 

○ 

○ 

加 藤 幸 雄 

日本理化学硝子機器工業会 

○ 

○ 

(柴田科学器械工業株式会社) 

坂 田   衞 

日本分析機器工業会(株式会社島津製作所) 

○ 

辻   洋 典 

石油化学工業協会 

○ 

猪 瀬 太 郎 

社団法人日本芳香族工業会 

○ 

○ 

○ 

竹 内 幸 夫 

日本試薬連合会(和光純薬工業株式会社) 

○ 

○ 

○ 

池 田 順 一 

財団法人日本規格協会 

○ 

西 川 光 一 

社団法人日本化学工業協会 

○ 

幹事 

桑 田 真 一 

三菱化成株式会社総合研究所 

○ 

○ 

幹事 

前 川 正 和 

株式会社住化分析センター 

○ 

○ 

○ 

鈴 木 正 儀 

昭和電工株式会社川崎工場 

○ 

○ 

三 浦 一 清 

三井東圧化学株式会社総合研究所 

○ 

○ 

鈴 木 作 世 

株式会社明峯社製作所 

○ 

松 隈 義 則 

日本石鹸洗剤工業会 

○ 

寺 本 芳 彦 

セイコー電子工業株式会社 

○ 

田 坂 勝 芳 

工業技術院標準部 

○ 

○ 

(事務局) 

吉 田 千 秋 

社団法人日本化学工業協会 

○ 

○