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K 0068 : 2001  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本化学

工業協会 (JCIA) /財団法人日本規格協会 (JSA) から工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべき

と申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これに

よって,JIS K 0068 : 1992は改正され,この規格に置き換えられる。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0068 : 2001 

化学製品の水分測定方法 

Test methods for water content of chemical products 

序文 この規格は,1978年に第1版として発行されたISO 760,Determination of water−Karl Fischer method 

(General method) を元に作成した日本工業規格であるが,国際規格では古典的な容量滴定によるカールフ

ィッシャー法のみを規定し,市場の実態にあわないため,日本工業規格として必要な方法(電量滴定法に

よるカールフィッシャー法,乾燥減量法,蒸留法など)を追加し,及び試薬などについて国際規格の技術

的内容を変更して作成している。 

1. 適用範囲 この規格は,固体又は液体の化学製品の水分を測定するための一般的な方法について規定

する。 

備考1. 化学製品は,化学反応によって生成する物質全般を指すが,個別の製品又は製品群について

の規格において,この規格と異なる試験方法が規定されている場合には,その規格に規定す

る方法による。 

2. 化学製品には,揮発性,爆発性,放射性などが強いために,この規格を用いるとき試験の安

全を確保できないものもある。この規格に規定する方法は一般的な方法であり,あらかじめ

安全性を十分に確認できるものに適用する。 

3. この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を示す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 760 : 1978 Determination of water−Karl Fischer method (General method) (NEQ) 

2. 引用規格 付表1に示す規格は,この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成

する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0211及びJIS K 0213によるほか,次による。 

a) 力価 カールフィッシャー試薬を用いて水を滴定するとき,カールフィッシャー試薬の単位体積当た

りの水の当量。mg/mlで表す。 

4. 共通事項 測定に共通する事項は,JIS K 0050とし,数値の丸め方はJIS Z 8401による。カールフィ

ッシャー滴定法に共通する事項は,JIS K 0113による。 

5. 測定方法の種類 測定方法の種類は,次による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) カールフィッシャー滴定法 

1) 容量滴定法 

2) 電量滴定法 

3) 水分気化−容量滴定法,又は水分気化−電量滴定法 

b) 乾燥減量法 

c) 蒸留法 

6. カールフィッシャー滴定法 

6.1 

要旨 カールフィッシャー滴定法は,カールフィッシャー試薬を用いて水を滴定し,その滴定量か

ら水分量を求める方法であり,試料の性質及び水分量に応じて,容量滴定法,電量滴定法又はそれらと水

分気化法を組み合わせた方法のいずれかを用いる。 

備考1. 水以外でカールフィッシャー試薬と反応する物質(以下,妨害物質という。)を含む試料には

適用できない。ただし,妨害を除去できるように調製された滴定溶媒や電解液,又は水分気

化法を用いるなどによって適用できる場合がある。代表的な妨害物質には,次のようなもの

がある。 

a) よう素と反応するもの:強塩基性物質,酸化性物質,還元性物質など。 

b) その他の成分と反応するもの:メタノールと反応して水を生成するケトン類など。 

2. 電量滴定法は,通常低水分の場合に適用し,2%以上の水分を含む試料には,容量滴定法を用

いる方がよい。 

6.2 

試料の採取 試料の採取は,次による。 

a) 試料容器は,密栓できる構造のもので,使用前に約105℃で乾燥し,デシケータで放冷する。デシケ

ータから取り出したときは,直ちに密栓する。 

b) 試料の採取は,試料容器の容量の80%以上となる量を速やかに採取し,直ちに密栓する。 

c) 試料容器に採取した試料は,よく振り混ぜて均一にする。 

d) 固体の試料が塊状又は粒状のときは,適切な粒度に粉砕して粉状とする。この場合,水分の揮散,吸

湿などに注意する。 

e) 試料の温度が室温と異なる場合の試料の採取は,試料を室内に放置して試料の温度が室温になった後,

行う。 

f) 

試料容器を開栓した後,直ちに試料を採取し,速やかに密栓する。 

g) 試料量は,水分の量に応じて,表1及び表2によって決める。 

表1 容量適定法の場合の試料量 

予想水分 % 

試料量(1) ml又はg 

 0.1以下 

10 

〜20 

 0.1〜 0.5 

 0.5〜 1 

1〜 5 

0.5  

5〜10 

0.3  

10〜50 

0.1  

50以上 

0.03  

注(1) 表1の試料量は,カールフィッシャー試薬力価を3mgH2O/mlとして計算したものである。力価がこの値と大きく

異なる場合は,試料量を調節する必要がある。 

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表2 電量滴定法の場合の試料量 

予想水分 % 

試料量 ml又はg 

0.05以下 

〜10 

0.05〜 0.1 

0.1 〜 0.2 

0.2 〜 0.5 

0.5  

0.5 〜 2.0 

0.1  

6.3 

容量滴定法 

6.3.1 

要旨 滴定槽に滴定溶媒を入れ,カールフィッシャー試薬を滴加して無水状態とし,これに試料を

加えて溶解又は水分を抽出する。次に,カールフィッシャー試薬を用いて滴定し,その滴定量から水分を

求める。 

6.3.2 

装置及び器具 装置及び器具は,次による。 

a) 容量滴定装置 滴定部,制御部及び表示・記録部で構成する装置(2)。その構成の一例を図1に示す。

容量滴定装置は,JIS K 0113によるほか,次による。 

注(2) ガラス器具の連結部は,すべてすり合わせとし,カールフィッシャー試薬と反応又は溶解しな

いグリースを塗って大気からの吸湿を防ぐ。 

備考 容量滴定装置は,終点検出にマジックアイ又は電流計を用いた電圧制御電流検出方式を用いて

もよい。この場合は,手動によって滴定を行う。 

1) 滴定槽 試料注入口,検出器(一対の白金電極),滴定ノズル,シリカゲルなどの乾燥剤を入れた乾

燥管を備えた容量100〜250mlのガラス製平底フラスコとし,回転子を入れた後,かき混ぜ速度を

適切に調節できるマグネチックスターラの上に置く。試料注入口はガラス栓で密栓するが,試料採

取にマイクロシリンジ又は注射器を用いる場合は,この代わりにパッキン付ステンレス鋼製又は四

ふっ化エチレン樹脂製のストッパを装着する。ストッパの一例を図2に示す。 

2) ビュレット ビュレットは,容量10ml又は20mlのパルスモータ駆動によるピストンビュレットと

し,最少排出量が0.01〜0.02mlのもの。 

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図1 容量滴定法自動滴定装置の構成の一例 

図2 ストッパの一例 

b) 試料採取器 試料採取器は,次のいずれかを用いる。 

1) 液体試料採取器 

1.1) マイクロシリンジ マイクロシリンジは,容量10μl,25μl,50μl又は100μlで,針の長さは50mm

以上のもの。 

1.2) 注射器 注射器は,容量1〜20ml,注射針は,外径1〜2mmで長さ50〜100mmのもの。シール用

として注射針の先端にゴム栓を付けるが,ゴム栓には,直径13〜15mm,厚み5〜7mmの丸形の

シリコーンゴム製のものなどがある。 

1.3) 全量ピペット 5〜20mlのもの。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1.4) 滴瓶 1滴が約0.03mlのスポイト付のもの。一例を図3に示す。 

2) 固体試料採取器 

2.1) 直管形固体試料採取器 一例を図4に示す。この採取器は,流動性のある粉末,粒状及び塊状の

試料に用いる。 

2.2) 少量用固体試料採取器 一例を図5に示す。この採取器は,約0.4g以下の試料の採取に用いる。 

2.3) 高粘度半固体試料採取器 一例を図6に示す。この採取器は,高粘度の半固体試料に用いる。 

2.4) 注射筒形固体試料採取器 一例を図7に示す。この採取器は,固結性粉末又は粘性のある試料に

用いる。 

図3 滴瓶の一例 

図4 直管形固体試料採取器の一例 

図5 少量用固体試料採取器の一例 

図6 高粘度半固体試料採取器の一例 

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図7 注射筒形固体試料採取器の一例 

c) はかり(天びん) 化学はかり又は電子はかり。 

備考 電子はかりは,適切なインターフェースによって自動滴定装置と接続できるものを用いると便

利である。 

d) デシケータ JIS R 3503に規定するもので,乾燥剤としてシリカゲル(3)を入れたもの。 

注(3) シリカゲルは,約150℃で加熱したものを用い,再生する場合も同じ処理を行う。 

e) フラスコ 共通すり合わせ三角フラスコ2L。 

6.3.3 

試薬 試薬は,次による。 

a) メタノール JIS K 8891に規定するメタノール1 000mlを共通すり合わせ三角フラスコ2Lに取り,JIS 

K 8876に規定するマグネシウム粉末5gを加え,必要に応じて反応促進用にJIS K 8920に規定するよ

う素0.5gを加える。ガスの発生が終わった後,湿気を遮ってメタノールを蒸留し,密栓をして保存す

る。水分は0.05%以下とする。 

b) クロロホルム JIS K 8322に規定するクロロホルム1 000mlを共通すり合わせ三角フラスコ2Lに取り,

乾燥用合成ゼオライト30gを加えて密栓して,約8時間放置する。その間,ときどき軽く振り混ぜる。

さらに,約16時間放置した後,クロロホルムを分取し,密栓して保存する。水分は0.01%以下とする。 

c) 2−メトキシエタノール JIS K 8895に規定する2−メトキシエタノールを湿気を遮って蒸留し,初留

分を捨て,中間流出物を集め,密栓して保存する。水分は0.05%以下とする。 

d) ジエチレングリコールモノエチルエーテル ジエチレングリコールモノエチルエーテルの純度98%以

上で,水分0.05%以下のものを用いる。水分がこれを超える場合はジエチレングリコールモノエチル

エーテル1 000mlに乾燥用合成ゼオライト30gを加えて密栓し,ときどき緩やかに振り混ぜ約8時間

放置し,更に16時間静置後,透明な上澄みのジエチレングリコールモノエチルエーテルを用いる。湿

気を遮って保存する。 

e) プロピレンカーボネート プロピレンカーボネートの純度98%以上で,水分0.3%以下のものを用いる。 

f) 

ピリジン JIS K 8777に規定するピリジン1 000mlを,共通すり合わせ三角フラスコ2Lに取り,JIS K 

8574に規定する水酸化カリウム約10g又は,酸化バリウム約10gを加え,数日間密栓して放置後,湿

気を遮って蒸留し,密栓して保存する。水分は0.05%以下とする。 

g) イミダゾール イミダゾールの純度99%以上で,水分0.3%以下のものを用いる。 

h) 2−(メチルアミノ)ピリジン 2−(メチルアミノ)ピリジンの純度98%以上で,水分0.3%以下のも

のを用いる。 

i) 

(+) −酒石酸ナトリウム二水和物 JIS K 8540に規定する (+) −酒石酸ナトリウム二水和物を水溶

液から再結晶させ,よく付着水分を除いてから,室温,相対湿度約50%で含水量を一定としたものを

用いる(4)。 

注(4) 水分調整用デシケータに入れ,10〜30℃において48時間以上保ったもの。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

j) 

滴定溶媒 滴定溶媒は,試料の性質及び試験の目的に応じ,次のいずれかを用いる。そのいずれも水

分は0.05%以下とする。 

備考 滴定溶媒は,市販品を用いてもよい。 

1) メタノール a)による 

2) メタノール−クロロホルム混合溶媒 メタノールとクロロホルムとを体積比1 : 3又は1 : 4に混合

したもの。 

この溶媒は石油,油脂類などに用いる。 

備考 メタノールとクロロホルムとの混合比は,試料の溶解性に応じていずれかを選ぶ。微量水分の

ため試料量を多く採取する場合は,クロロホルムの混合比が大きいものを用いる。 

3) メタノール−ホルムアミド混合溶媒 メタノールとJIS K 8873に規定するホルムアミドとを体積比

1 : 2に混合したもの。この溶媒は糖類,たん白質類などに用いる。 

4) クロロホルム−プロピレンカーボネート混合溶媒 クロロホルムとプロピレンカーボネートとを体

積比7 : 1に混合したもの。この溶媒はケトン類,有機酸,アミノベンゼン類などに用いる。 

5) ピリジン−エチレングリコール混合溶媒 ピリジンとJIS K 8105に規定するエチレングリコールと

を体積比5 : 1に混合したもの。この溶媒はカルボニル化合物などに用いる。 

6) ピリジン−プロピレングリコール混合溶媒 ピリジンとJIS K 8837に規定するプロピレングリコー

ルとを体積比3 : 1に混合したもの。この溶媒はアルデヒド類などに用いる。 

7) サリチル酸−メタノール溶液 JIS K 8392に規定するサリチル酸150gをメタノール1 000mlに溶か

す。この溶媒は,pKa値9以上のアミン類に用いる。 

k) カールフィッシャー試薬 

1) 調製方法 JIS K 8920に規定するよう素85gをメタノール670mlに溶かし,ピリジン270mlを加え

てよく混合してから氷冷する。これに20℃を超えないように注意しながら乾燥二酸化硫黄を通じ,

その増量が65gに達するまで行う(5)。 

この場合,メタノールの代わりに2−メトキシエタノール,クロロホルム,ジエチレングリコー

ルモノエチルエーテル,プロピレンカーボネート又はそれらの混合物を用いてもよい。また,ピリ

ジンの代わりにイミダゾール又は2−(メチルアミノ)ピリジンを用いてもよい。カールフィッシ

ャー試薬の力価を,希釈によって調整する場合は,溶液の調製に使用した溶剤を用いて行う。この

試薬は,光を遮り湿気を避けて冷所に密栓して保存し,標定は,24時間以後に行う。力価は日時の

経過とともに低下するので,使用の都度標定しなければならない。 

注(5) この調製方法によって調製されたカールフィッシャー試薬の体積は,約1 000mlとなり,その初

期力価は3.5〜4.5H2Omg/mlである。 

備考 カールフィッシャー試薬は,市販品を用いてもよい。 

2) 標定 標定は,次のとおり行う。 

2.1) 滴定槽にメタノール25〜50mlを入れる。 

2.2) カールフィッシャー試薬で終点まで滴定し,滴定槽内を無水状態にする。この時の滴定量は,読

み取る必要はない。 

2.3) この溶液をかき混ぜながら,0.1mgのけたまで量り取った水30〜50mg又は酒石酸ナトリウム二水

和物150mgを直ちに加える(6)。 

注(6) 水の場合は,滴瓶を用い,酒石酸ナトリウム二水和物の場合は,少量粉体試料採取器を用いる。 

2.4) この溶液をかき混ぜながら,カールフィッシャー試薬で終点まで滴定する。 

K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3) 計算 力価は,次の式によって算出し,小数点以下2けたに丸める。 

水を用いた場合 

F=m1/Va 

酒石酸ナトリウムを用いた場合 

F=m2×0.156 6/Va 

ここに, 

F: 力価 (mg/ml)  

m1: 量り取った水の質量 (mg)  

m2: 量り取った酒石酸ナトリウム二水和物の質量 (mg)  

Va: 滴定に用いたカールフィッシャー試薬の量 (ml)  

0.156 6: 酒石酸ナトリウム二水和物の水分の含有量 

備考 標定には,水の濃度が既知である水−メタノール溶液を用いてもよい。 

1) 水−メタノール溶液 

1) 調製方法 メタノール約500mlを乾燥した全量フラスコ1 000mlに取り,水約2gを0.1mgのけたま

で量って加え,更にメタノールを標線まで加える。この溶液は,湿気及び光を遮り温度変化の小さ

い場所に保存し,標定は測定の前に行う。 

備考 水−メタノール溶液は,市販品を用いてもよい。 

2) 標定 標定は,次のとおり行う。 

2.1) 滴定槽にメタノールを25〜50ml入れる。 

2.2) メタノールをかき混ぜながら,カールフィッシャー試薬で終点まで滴定し,滴定槽内を無水状態

にする。この時の滴定量は,読み取る必要はない。 

2.3) この溶液をかき混ぜながら,全量ピペット又はビュレットを用いて量り取った水−メタノール溶

液10.0mlを直ちに加える。 

2.4) この溶液をかき混ぜながら,カールフィッシャー試薬で終点まで滴定する。 

3) 計算 水−メタノール溶液の水の濃度は,次の式によって算出し,小数点以下2けたに丸める。 

f=Vb×F/10 

ここに, 

f: 水−メタノール溶液中の水の濃度 (mg/ml)  

Vb: 滴定に用いたカールフィッシャー試薬の量 (ml) 

F: カールフィッシャー試薬の力価 (mg/ml)  

6.3.4 

試料採取操作試 料採取操作は,用いる器具によって次のとおり行う。 

a) マイクロシリンジを用いる場合 

1) マイクロシリンジはあらかじめ洗浄し,空気又は窒素で乾燥する。 

2) 試料で共洗いを2回以上行う。 

3) 全容量の1/2以下になるように試料を採取する。 

4) 針を上にして,空気を抜き,目盛を合わせる。 

5) 針にゴム栓を刺し,試料を採取したマイクロシリンジの質量を,0.1mgのけたまで量る。 

6) 針からゴム栓を外し,ストッパに刺し,プランジャを押して滴定槽内に試料を注入する。 

7) 針に再び同じゴム栓を付け,マイクロシリンジの質量を,0.1mgのけたまで量る。 

b) 注射器を用いる場合 

1) 注射器はあらかじめ洗浄し,乾燥した後,デシケータ内に保存する。 

2) デシケータから注射器を取り出して,ゴム栓を注射針の先端に付ける。 

3) ゴム栓を外し,試料容器中の試料の液面からできる限り深く注射針を入れて,注射器の内筒を静か

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に引き,注射器の容積の容量の約1/10まで試料を採取する。 

4) 注射器を試料容器から引き出し,針を上向きにし空気を除いた後,注射針の先端にゴム栓を付け,

軽く圧力を加えて注射器のすり合わせ部分に試料を行きわたらせた後,試料を排出する。この共洗

い操作を2,3回行う。 

5) 試料を採取量の目盛以上に徐々に取り,注射針を目盛まで静かに試料を排出し,注射器の内部の空

気を追い出す。直ちに注射針の先端にゴム栓を付ける。 

6) 試料を採取した注射器の質量を,0.1mgのけたまで量る。 

7) 注射針に装着したゴム栓を外し,ストッパに刺し,内筒を押して滴定槽内に試料を注入する。 

8) 注射針の先端に再び同じゴム栓を付け,その質量を0.1mgのけたまで量る。 

c) 全量ピペットを用いる場合 

1) 全量ピペットは,あらかじめ洗浄し乾燥する。 

2) 試料で共洗い(7)を2回以上行う。 

注(7) 試料の吸引は,安全スポイト又はゴムスポイトを用いて行い,口で吸引してはならない。 

3) 試料を素早く採取し(7),標線に合わせる。 

4) 滴定槽の試料注入口の栓を開けて,試料を槽内に注入し,直ちに栓をする。このとき,試料注入の

ため栓が開いていた時間を測定し,記録しておく。 

5) 体積から試料の質量を求めるときは,次の式によって算出する。 

S=D×VS 

ここに, 

S: 試料の質量 (g)  

D: 試料採取時の温度で測定した密度 (g/ml)  

VS: 試料の体積 (ml)  

d) 滴瓶を用いる場合 

1) スポイトと滴瓶はあらかじめ洗浄し,約105℃で1時間以上乾燥した後,デシケータ中で放冷し保

管する。 

2) スポイトに試料を吸い上げ,2回以上共洗いする。 

3) スポイトに内容積の約6割の試料を取る。 

4) 外筒に装着して,質量を0.1mgのけたまで量る。 

5) 滴定槽の試料注入口の栓を開いて,スポイトから試料を滴加し(8),直ちに栓をする。このとき,試

料注入のため栓を開いていた時間を測定し,記録しておく。 

注(8) 滴加する滴数は,あらかじめ予想水分から決めておく。 

6) スポイトを再び外筒に装着し,質量を0.1mgのけたまで量る。 

e) 固体試料採取器を用いる場合 

1) 固体試料採取器はあらかじめ洗浄し,約105℃で1時間以上乾燥してデシケータ中で放冷し,保管

しておく。 

2) 試料を採取器に採取し,質量を0.1mgのけたまで量る。高粘度半固体試料採取器を用いる場合は,

さじに試料を取り,外筒に装着後,質量を0.1mgのけたまで量る。 

3) 滴定槽の試料注入口の栓を開いて,試料を投入し,直ちに栓をする。このとき,試料投入のため栓

が開いていた時間を測定し,記録しておく。 

なお,高粘度半固体試料採取器を用いる場合は,採取した試料が付着した状態のさじを,滴定溶

媒に浸し試料を溶かす。 

10 

K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4) 試料投入後の固体試料採取器の質量を0.1mgのけたまで量る。 

6.3.5 

操作 操作は,直接滴定又は逆滴定によって行う。 

a) 直接滴定 

1) 試料の滴定 

1.1) 滴定溶媒20〜50mlを滴定槽に入れ,かき混ぜながらカールフィッシャー試薬で終点まで滴定し,

滴定槽内を無水状態にする。この時の滴定量は,読み取る必要はない。 

1.2) この滴定溶媒をかき混ぜながら,6.3.4によって,滴定槽内に試料を注入又は投入する。 

1.3) 滴定槽内の溶液をかき混ぜて,試料を溶解する。溶解しない試料の場合は,一定時間かき混ぜて

水分を滴定溶媒に抽出する。 

1.4) この溶液をよくかき混ぜながら,カールフィッシャー試薬で終点まで滴定する。 

2) 空試験 試料採取に全量ピペット,滴瓶,固体試料採取器を用いた場合は,次によって空試験を行

う。 

2.1) 試料滴定後の滴定槽内の溶液を,かき混ぜながらカールフィッシャー試薬で終点まで滴定し,滴

定槽内の溶液を無水状態にする。この時の滴定量は,読み取る必要はない。 

2.2) この溶液をかき混ぜながら,試料採取のため滴定槽の試料注入口の栓を開いた時間だけ開き,再

び閉じる。 

2.3) これをかき混ぜながら,カールフィッシャー試薬で終点まで滴定する。 

b) 逆滴定 

1) 試料の滴定 

1.1) 滴定溶媒20〜50mlを滴定槽に入れ,かき混ぜながらカールフィッシャー試薬で終点まで滴定し,

滴定槽内を無水状態にする。この時の滴定量は,読み取る必要はない。 

1.2) この滴定溶媒をかき混ぜながら,6.3.4によって,滴定槽内に試料を注入又は投入する。 

1.3) 滴定槽内の溶液をかき混ぜて,試料を溶解する。溶解しない試料の場合は,一定時間かき混ぜて

水分を滴定溶媒に抽出する。 

1.4) この溶液をかき混ぜながら,カールフィッシャー試薬を必要な体積より更に数ml過剰に加え,加

えたカールフィッシャー試薬の体積を読み取る。 

1.5) この溶液をかき混ぜながら,水−メタノール溶液で過剰のカールフィッシャー試薬を終点まで逆

滴定する。 

2) 空試験 試料採取に全量ピペット,滴瓶及び体採取器を用いた場合は,次によって空試験を行う。 

2.1) 試料滴定後の滴定槽内の溶液を,かき混ぜながらカールフィッシャー試薬で終点まで滴定し,滴

定槽内の溶液を無水状態にする。この時の滴定量は,読み取る必要はない。 

2.2) この溶液をかき混ぜながら,試料採取のため滴定槽の試料注入口の栓を開いた時間だけ開き,再

び閉じる。 

2.3) これをかき混ぜながら,カールフィッシャー試薬で終点まで滴定する。 

6.3.6 

計算 水分は,用いた方法に応じて次のいずれかによって算出する。 

a) 直接滴定 

1) 空試験をしない方法 

W=F×V×100/ (S×103)  

ここに, W: 水分 (%)  
 

F: カールフィッシャー試薬の力価 (mg/ml)  

11 

K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

V: 滴定に用いたカールフィッシャー試薬の量 (ml)  

S: 試料の質量 (g)  

2) 空試験をした場合 

W=F (V−B) ×100/ (S×103)  

ここに, W: 水分 (%)  
 

F: カールフィッシャー試薬の力価 (mg/ml)  

V: 滴定に用いたカールフィッシャー試薬の量 (ml)  

B: 空試験に用いたカールフィッシャー試薬の量 (ml)  

S: 試料の質量 (g)  

b) 逆滴定 

1) 空試験をしない場合 

W=〔(F×Va) − (f×Vm)〕×100 / (S×103)  

ここに, 

W: 水分 (%)  

F: カールフィッシャー試薬の力価 (mg/ml)  

Va: 加えたカールフィッシャー試薬の量 (ml)  

Vm: 滴定に用いたカールフィッシャー試薬の量 (ml)  

f: 水−メタノール溶液の水の濃度 (mg/ml)  

S: 試料の質量 (g)  

2) 空試験をした場合 

W= {[F(Va−B)] − (f×Vm) ×100} / (S×103)  

ここに, 

W: 水分 (%)  

F: カールフィッシャー試薬の力価 (mg/ml) 

Va: 加えたカールフィッシャー試薬の量 (ml)  

B: 空試験に用いたカールフィッシャー試薬の量 (ml)  

Vm: 滴定に用いた水−メタノール溶液の量 (ml)  

S: 試料の質量 (g)  

6.4 

電量滴定法 

6.4.1 

要旨 電解セルに電解液と試料を入れ,電解電流を流して電解を行い,生成したよう素と試料中の

水をカールフィッシャー反応させ,滴定の終点までに要した電気量から水分量を求める。終点は,電流制

御電圧検出方法によって検出する。 

備考 電量滴定法は,それ自身電極反応をするアニリン,フェノールなどを含む試料,不溶物などに

よって隔膜を閉塞又は電流効率に影響を与える試料には適用できない。特に,固定試料の場合

は完全に溶解していることを確認しなければならない。 

6.4.2 

装置及び器具 装置及び器具は,次による。 

a) 電量滴定装置 電量滴定装置は,滴定部,制御部及び表示・記録部で構成する自動滴定装置とし,構

成の一例を図8に示す。滴定装置は,JIS K 0113によるほか,次による。 

1) 電解セル 電解セルは,容量約200mlのガラス製容器であって,それぞれ白金網電極を備えた陽極

室,陰極室の2室から構成され,両室はセラミックス,イオン交換膜などの隔膜で仕切られている。

試料採取にマイクロシリンジ又は注射器を用いる場合は,試料注入口にはパッキン付ステンレス鋼

製又は四ふっ化エチレン樹脂製のストッパを装着する。電解セルには,検出器,シリカゲルなどの

乾燥剤を入れた乾燥管を取り付ける。一例を図9に示す。回転子は,滴定時に電解セルに入れる。 

備考 滴定装置の校正 電解セル内の陽極液をかき混ぜながら終点まで電量滴定して電解セル内を無

水状態とした後,マイクロシリンジを用いて水5μlを取り,陽極液に注入し,終点まで電量滴

定を行って水分を求める。この操作を2回以上繰り返して行い,求めた水分量が5 000±250μg

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K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の範囲内にあることを確認する。この範囲にないときは,電解液の入れ替え又は電極及び隔膜

の洗浄などを行った後,校正を行う。 

b) 試料採取器 6.3.2b)に規定するマイクロシリンジ,注射器又は固体試料採取器。 

c) はかり(天びん) 6.3.2c)による。 

図8 電量滴定装置の構成の一例 

図9 電解セルの一例 

6.4.3 

試薬 試薬は,次による。 

a) 電解液 電解液は,次の陽極液と陰極液を組み合わせて用いる。 

13 

K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) 陽極液 よう化物イオン,二酸化硫黄,ピリジン又はそれに代わる塩基,メタノールなどの有機溶

媒との混合溶液(9)。 

注(9) アルデヒド類,ケトン類などメタノールと反応する化合物を含む試料に対しては,メタノール

の代わりにクロロホルム,2−メトキシエタノール,プロピレンカーボネートなどを用いる。 

2) 陰極液 無機塩,第四級アンモニウム塩,アミン塩酸塩などの有機塩とメタノールなどの有機溶媒

の混合溶液。 

b) 水−アルコール溶液,又は水−プロピレンカーボネート溶液 2−メトキシエタノール,又はプロピ

レンカーボネートに水を加えて,その1mlが水約4mgを含むように調製したもの。微量の水の添加に

用いる。 

備考 電解液及び水−アルコール溶液,又は水−プロピレンカーボネート溶液は,市販品を用いても

よい。 

6.4.4 

操作 操作は,次のとおり行う。 

電解セルの陽極室に陽極液を約100ml,陰極室に陰極液を約5ml入れる。電解セルを密閉し,組み立て

てから滴定装置に取り付ける。 

電解セル内の陽極液をかき混ぜながら終点まで電量滴定し(10),電解セル内を無水状態にする。この時の

滴定量は,読み取る必要はない。 

注(10) 陽極液に遊離よう素が存在している場合には,電解電流が流れないので,水又は水−アルコー

ル溶液,若しくは水−プロピレンカーボネート溶液を加えて,水が2 000〜3 000μg程度過剰に

なるようにするとよい。 

6.3.4によって採取した試料をストッパを通して又は注入口の栓を開けて,電解セル中の陽極液に注入又

は投入する。 

陽極液をよくかき混ぜて試料を溶解する。 

陽極液をかき混ぜながら終点まで電量滴定し,水分の表示値を読み取る。 

6.4.5 

計算 水分は,次の式によって算出する。 

W=G×100/ (S×106)  

ここに, W: 水分 (%)  
 

G: 水分の表示値 (μg)  

S: 試料の質量 (g)  

6.5 

水分気化−容量滴定法,又は水分気化−電量滴定法 

6.5.1 

要旨 試料を,乾燥した窒素又は空気の気流中で加熱して気化させ,滴定溶媒又は電解液に捕集し

てカールフィッシャー滴定を行う。カールフィッシャー滴定法は,水分量に応じて容量滴定法又は電量滴

定法のいずれかを用いる。 

備考1. 加熱によって妨害物質が揮散する試料には適用しない。ただし,加熱温度,滴定溶媒,電解

液などの試験条件を選ぶことによって適用可能となる場合がある。 

2. 適切な加熱温度を設定することによって,付着水(遊離水)と化合水(結晶水)の分別定量

が可能である。 

6.5.2 

装置及び器具 

a) 水分気化装置(2) 気化部,乾燥部及びキャリヤガス供給部から構成するもの。構成の一例を図10に示

す。 

b) 気化部 気化部は加熱管,加熱炉,温度制御装置などで構成する。 

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K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) 加熱炉 加熱炉は,試験温度に保持できるもの。あらかじめ加熱炉内の温度は,試料ボートに近接

した場所の温度分布を熱電対などを用いて測り,加熱帯の温度が均一になっていることを確認して

おく。 

参考 市販の水分気化用加熱炉には,最高使用温度が300℃までのものと,1 000℃までのものがある。

また,両方式を一つの炉に直列に組み合わせたものがあり,300℃までの加熱炉で付着水の測定

又は除去を行い,1 000℃までの加熱炉で化合水の測定を行うなどの使い方ができる。 

2) 加熱管 両端が開放され,内径約20〜30mm,長さ約400〜1 000mmのガラス(11)又は石英ガラス製

の直管で,試料注入口,キャリヤガス供給口,吹込管との接続口及び試料ボートの出入り口を備え

たもので,石英ガラス製などの押し出し棒(12)を内部に挿入できるようにする。 

注(11) 300℃までの加熱炉だけに用いる。 

(12) 押し出し棒の先は,かぎ形にして試料ボートをひっかけ,接続できるようにしておき,更に,

マグネットを用いて駆動し,押し出し棒全体を加熱管の中に入れておく仕様にしておくと,押

し出し棒に吸着した水分による誤差をなくすことができる。 

3) 試料ボート ガラス又は石英ガラス製の平底ボートで,試料を入れたとき約半量の容積を占める大

きさのもの。試料ボートの一端には押し出し棒とつなぐことのできる取っ手を付ける。一例を図11

に示す。 

c) キャリヤガス供給部 キャリヤガス供給部は,キャリヤガス源,乾燥筒,流量計などで構成する。 

1) キャリヤガス源 ボンベ又はコンプレッサ。 

2) 乾燥筒 乾燥筒には乾燥剤を入れ,1個又は2個を直列に接続したもの。 

3) 流量計 500ml/minまで測定できるもの。 

d) 滴定装置 6.3.2a)又は6.4.2a)による。ただし,滴定槽又は電解セルに吹込管を付け,加熱管と接続す

る。吹込管の露出部にはリボンヒータなどを巻き,加熱できるようにする。 

e) 試料採取器具 6.3.2b)による。 

f) 

はかり(天びん) 6.3.2c)による。 

6.5.3 

試薬 試薬は,次による。 

a) キャリヤガス 窒素又は空気(13)。 

注(13) 空気によって変質しない試料の場合に用いる。 

b) 乾燥剤 キャリヤガスを十分に乾燥し,気化装置内の無水状態を維持できる性能をもつもので,シリ

カゲル,合成ゼオライト,五酸化りんなどを用いる。 

c) 滴定溶媒 滴定溶媒は,次のいずれかを用い,いずれも水分は,0.05%以下とする。 

備考 滴定溶媒は,市販品を用いてもよい。 

1) メタノール 6.3.3j)による 

2) メタノール−エチレングリコール混合溶媒 メタノールとJIS K 8105に規定するエチレングリコー

ルとを体積比1 : 1に混合したもの。 

3) メタノール−プロプレングリコール混合溶媒 メタノールとJIS K 8837に規定するプロピレングリ

コールとを体積比3 : 1に混合したもの。 

d) カールフィッシャー試薬 6.3.3k)による。 

e) 電解液 6.4.3a)による。 

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K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図10 水分気化装置の構成の一例 

図11 試料ボートの一例 

6.5.4 

操作 操作は,次による。 

a) 装置の準備 

1) 容量滴定装置の場合は,滴定槽へ滴定溶媒を約150ml入れる。電量滴定装置の場合は,電解セルの

陽極室に陽極液を約150ml,陰極室に陰極液を約10ml入れる。 

2) 滴定装置に吹込管を付けて,加熱管と接続する。 

3) キャリヤガスの流量を100〜300ml/minに設定して系内に流す。 

4) 温度制御装置を試験温度に設定し,加熱炉を昇温する。 

5) 試料ボートを加熱管の中に入れて加熱炉の中央部にくるように置き,規定の温度で空焼きする。 

6) 加熱管内及び滴定系内を無水状態(14)にする。 

注(14) 容量滴定法の場合には6.3.5,電量滴定法の場合には6.4.4による。 

7) 空焼きした試料ボートを試料投入口の真下に置き室温まで放冷する。 

b) 試料の投入 

1) 試料を固体採取器に採取し,0.1mgのけたまで量る。 

2) 試料投入口を開けて,試料を試料ボートに投入する。 

3) 直ちに試料投入口を閉じる。 

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K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4) 固体採取器の質量を0.1mgのけたまで量る。 

c) 滴定 

1) 試料を入れた試料ボートを加熱炉の均一加熱帯のほぼ中央に置く。 

2) 3〜5分後(15)に6.3.5又は6.4.4によって滴定を始め,試料の加熱及びキャリヤガスの送入を続けな

がら終点まで滴定する。 

注(15) 滴定は,水分が一部又は全部気化し,滴定溶媒に捕集された後開始する。通常この程度の時間

でよいが,あらかじめ最適時間を測定しておくとよい。 

6.5.5 

計算 計算は,容量滴定法を用いる場合は6.3.6によって,電量滴定法を用いる場合は6.4.5による。 

7. 乾燥減量法 

7.1 

要旨 試料を約105℃で恒量になるまで加熱乾燥し,乾燥後の減量を量り,その量を水分とする。こ

の方法は加熱に安定な固体試料に適用する。 

備考 乾燥減量法による水分試験は,水以外の揮発性物質又は加熱による化学変化で生成した揮散す

る物質も水分として定量されるので,注意が必要である。 

7.2 

装置及び器具 装置及び器具は,次による。 

a) はかり瓶 JIS R 3503に規定する平形はかり瓶。容量は,試料を入れたとき,その厚さが5mm以下に

なるもの。 

b) 乾燥器 105±2℃に保持できるもの。 

c) デシケータ 6.3.2d)による。 

d) はかり(天びん) 化学はかり又は電子はかり。 

7.3 

試料 大きな結晶又は塊の場合は,粉砕して粒径2mm以下にして試料とする。このとき,大気中か

ら吸湿し又は水分の損失がないように注意する。 

7.4 

操作 操作は,次のとおり行う。 

はかり瓶を,105±2℃に調節した乾燥器で乾燥し,デシケータ中で放冷後,質量を0.1mgのけたまで量

る。恒量(16)になるまでこの操作を繰り返す。 

注(16) はかり瓶を乾燥し,放冷後,質量を測定する操作を2回繰り返したとき,1回目と2回目の質量の

差が0.3mg以下のとき恒量とする。 

試料約10gをはかり瓶に取り,試料の表面を平らにならしてから,0.1mgのけたまで量る。 

試料を入れたはかり瓶を,105±2℃に調節した乾燥器に入れる(17)。 

注(17) 試料が,約105℃より低い温度で融解する場合は,その温度より約10℃低い温度で1〜2時間加熱

後,約105℃で加熱する。 

2〜4時間乾燥後,はかり瓶とふたとを速やかにデシケータに移し,放冷する。放冷後,はかり瓶にふた

をして質量を0.1mgのけたまで量る。 

恒量(18)になるまで繰り返す。この場合,乾燥時間は約1時間とする。 

注(18) 試料を乾燥し,放冷後,質量を測定する操作を2回繰り返したとき,1回目と2回目の質量の差が,

1回目の質量に対して1/1 000以下になったとき,恒量とする。ただし,試料の質量が0.3g以下の

場合は,1回目と2回目の質量の差が0.3mg以下のとき,恒量とする。 

7.5 

計算 水分は,次の式によって算出する。 

W= (S1−S2) / (S1−S3) ×100 

ここに, W: 水分 (%)  

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17 

K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

S1: 乾燥前の試料とはかり瓶の質量 (g)  

S2: 乾燥後の試料とはかり瓶の質量(g) 

S3: はかり瓶の質量 (g)  

8. 蒸留法 

8.1 

要旨 試料を蒸留フラスコに取り,水分蒸留用溶媒を加えた後,加熱し環流させ,冷却によって凝

縮した溶媒及び水を受器に受け,分離した水の量を読み取る。 

備考1. 水分0.05%以上含む試料に適用する。 

2. 揮発性で水に溶解するアルコールなどには,適用しない。 

8.2 

装置及び器具 装置及び器具は,次による。 

a) 水分試験器 水分試験器は,次の器具を用いて組み立てる。一例を図12に示す。 

図12 蒸留法水分試験器の一例 

1) 蒸留フラスコ JIS K 2839の図83に規定するもの。テーパすり合わせは24/40のものでもよい。 

2) 加熱器 加熱の強さを変えられるマントルヒータ,ガスバーナなど。 

3) 環流冷却器 JIS K 2839の図84に規定するもの。テーパすり合わせは,24/40のものでもよい。 

4) 水分定量用受器 予想される水分量に応じて次のいずれかを用いる。 

4.1) 2ml受器 硬質1級ガラス製で,受器の最小目量0.05mlのもの。形状及び寸法を図13に示す。 

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18 

K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図13 2ml水分定量用受器 

4.2) 10m受器 図14に示すもの又はJIS K 2839の図85及び図87に規定するもの。 

4.3) 25ml受器 図15に示すもの又はJIS K 2839の図86及び図88に規定するもの。 

b) メスシリンダー 100ml又は250ml 

c) 全量ピペット 1ml又は5ml 

d) はかり(天びん) 上皿はかり(上皿天びん) 

8.3 

試薬 試薬は,次による。 

a) 水分蒸留用溶媒 水分蒸留用溶媒は,沸点が100〜200℃の範囲の水を含まない炭化水素系溶剤で,次

の1)〜3)のいずれかを用いる。 

1) トルエン JIS K 8680に規定するもの。 

2) キシレン JIS K 8271に規定するもの。 

3) ソルベントナフサ 市販のもの。 

8.4 

試料の準備 試料は,次のとおり準備する。 

a) 液体試料 液体試料は,よくふり混ぜて均質にする。 

b) 固体試料 固体試料が大きな結晶又は塊の場合は,粉砕して粒径を約2mm以下にする。このとき,

大気から吸湿又は水分の揮散がないように十分に注意する。 

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19 

K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図14 10ml水分定量受器 

図15 25ml水分定量用受器 

8.5 

水分試験器の校正 水分試験器の校正は,次のとおり行う。 

a) 溶媒100mlを蒸留フラスコに入れる。 

b) 表3に示す量の水を,全量ピペットで加えて混合する。 

c) 8.6b)〜h)によって,捕集水量を求める。 

d) 得られた捕集水の体積が表3に示す許容範囲を外れる場合は,誤差因子(19)を取り除き,操作をやり直

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20 

K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

す。 

注(19) 誤差因子としては,蒸気の漏れ,加熱速度の速すぎ,水分定量用受器の目盛の不正確,外部か

らの水分の侵入などが考えられる。 

表3 水分試験器の校正基準 

単位 ml 

蒸留フラスコへ添加する水の体

積 

捕集水の体積の許容範囲 

1.0 

1.0±0.1 

5.0 

5.0±0.2 

8.6 

操作 操作は,次のとおり行う。 

a) 液体試料100ml又は固体試料100g(20)を1gのけたまで量り,乾燥した清浄な蒸留フラスコに取る。 

固体試料又は高粘度試料の場合は,直接蒸留フラスコに試料を取る。 

注(20) 予想水分が0.1%以下の場合は,200ml又は200gを量り取る。 

b) 溶媒100mlを加え,数個のガラスビーズ又は沸石を入れる。 

c) 試料の予想水分に応じて水分定量用受器を選び,蒸留フラスコに水分定量用受器と環流冷却器を取り

付け,図12のとおり接続部から蒸気や液が漏れないように水分試験器を組み立てる。 

備考 水分定量用受器と環流冷却器は,あらかじめ乾燥し清浄にしておく。環流冷却器の内部で大気

中の水分が凝縮するのを避けるため,環流冷却器の頂部に脱脂綿を軽く詰める。 

d) 環流冷却器のジャケットに冷却水を流す。 

e) 蒸留フラスコを加熱し始める。環流冷却器の下端から,凝縮液が毎秒2〜5滴の割合で落下するように

加熱を調節する(21)。 

注(21) 環流冷却器の内管に凝縮水の消えない環ができるときは,注意しながら蒸留速度を上げるか又

は冷却水の通水を調節する。 

f) 

水分定量用受器以外の装置のどの部分にも凝縮水が認められなくなり,かつ,捕集した水の体積が5

分間変わらなくなるまで蒸留を続ける。 

g) 水の留出が終わった後,水分定量用受器と内容物を室温まで放冷する。水分定量用受器の側壁に水滴

が付着している場合は,ガラス棒などを用いて水層に移す。 

h) 捕集水の体積は,2mlの水分定量用受器を用いる場合は,0.05mlまで読み取る。10ml又は25mlの水

分定量用受器を用いる場合は,読みとり部分の最小目量の1/2まで読み取る。 

8.7 

計算 水分は,次の式によって算出し,水分が0.1%以上の場合は,小数点以下1けたに,0.1%以下

の場合は,0.05%ごとに丸め,質量百分率又は体積百分率で表す。 

a) 質量百分率の場合 

W=m1/m0×100 

ここに, 

W: 水分 (%)  

m0: 試料の質量 (g)  

m1: 捕集水の質量 (g) (22) 

注(22) 水1mlの質量は,1gとしてよい。 

b) 体積百分率の場合 

V=V1/V0×100 

ここに, 

V: 水分(体積%) 

V0: 試料の体積 (ml)  

V1: 捕集水の体積 (ml)  

21 

K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

9. 化学製品を取り扱うときの注意事項 化学製品を取り扱うときには,まず,その物質の名称を確認し,

その安全性について確認する。その物質の物性など情報が不十分で安全性の確認ができないときは、事前

に調査を行い,十分な安全性の対策を施したうえで取り扱う。危険性,有害性,放射性などに関し法規上

の規制があるものについては,十分な準備と対策を施した後,関連する法令・規則に従って取り扱わなけ

ればならない。 

付表1 引用規格 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門) 

JIS K 0213 分析化学用語(電気化学部門) 

JIS K 2839 石油類試験用ガラス器具 

JIS K 8105 エチレングリコール(試薬) 

JIS K 8271 キシレン(試薬) 

JIS K 8322 クロロホルム(試薬) 

JIS K 8392 サリチル酸(試薬) 

JIS K 8540 (+) −酒石酸ナトリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬) 

JIS K 8680 トルエン(試薬) 

JIS K 8777 ピリジン(試薬) 

JIS K 8837 プロピレングリコール(試薬) 

JIS K 8873 ホルムアミド(試薬) 

JIS K 8876 マグネシウム粉末(試薬) 

JIS K 8891 メタノール(試薬) 

JIS K 8895 2−メトキシエタノール(試薬) 

JIS K 8920 よう素(試薬) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

関連規格 JIS C 2101 電気絶縁油試験方法 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 2275 原油及び石油製品−水分試験方法 

JIS K 2437 フェノール類(フェノール・クレゾール及びクレゾール酸・キシレノール酸) 

JIS K 2438 ピリジン類(ピリジン・ピコリン・キノリン) 

JIS K 4101 有機中間物 一般試験方法 

JIS M 8211 鉄鉱石−化合水定量方法 

22 

K 0068 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS改正原案作成委員会・分科会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

川 瀬   晃 

セイコーインスツルメンツ株式会社 

(委員) 

西 出 徹 雄 

通商産業省基礎産業局化学課 

伊 藤   隆 

計量研究所熱物性部 

中 村   進 

物質工学工業技術研究所 

塚 田 裕 久 

製品評価技術研究所適合性評価部 

橋 本   進 

財団法人日本規格協会技術部 

柳 原 裕 三 

社団法人日本化学会 

○ 小 野   昭 

社団法人日本分析化学会 

○ 大 森 通 雄 

日本科学機器団体連合会 

○ 伊 藤 尚 美 

日本分析機器工業会 

○ 平 井 信 次 

日本試薬連合会 

吉 田 義 章 

化成品工業協会 

◎ 加 藤 弘 眞 

三菱化学株式会社 

○ 佐々木 正 夫 

株式会社住化分析センター 

○ 荒 井   誠 

株式会社エム・シー・リサーチセンター 

○ 高   竜 麿 

昭和電工株式会社 

横 田 賢次郎 

有限会社横田計器製作所 

宗 内 誠 人 

社団法人日本化学工業協会 

(事務局) 

谷 口 捷 生 

社団法人日本化学工業協会 

赤 沢 道 博 

社団法人日本化学工業協会 

備考 ◎分科会主査兼任 ○分科会委員兼任