K 0058-2:2005
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日
本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登
録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS K 0058の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS K 0058-1第1部:溶出量試験方法
JIS K 0058-2第2部:含有量試験方法
K 0058-2:2005
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 試験方法の概要 ··············································································································· 2
5. 試薬及び器具 ·················································································································· 2
6. 試料 ······························································································································ 5
6.1 試料の採取 ··················································································································· 5
6.2 試料の調製 ··················································································································· 5
7. 検液の調製 ····················································································································· 5
7.1 検液調製法1 ················································································································· 5
7.2 検液調製法2 ················································································································· 5
7.3 検液調製法3 ················································································································· 6
8. 検液の分析 ····················································································································· 6
9. 結果の報告 ····················································································································· 6
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日本工業規格 JIS
K 0058-2:2005
スラグ類の化学物質試験方法
ー第2部:含有量試験方法
Test methods for chemicals in slags
−Part 2 : Test method for acid extractable contents of chemicals
序文 この規格は,鉄鋼スラグ,非鉄スラグ,廃棄物溶融スラグなどのスラグの有効利用に際して,人及
び環境への安全性の確認のために適用できる統一的な試験方法を規定したものである。
1. 適用範囲 この規格は,鉄鋼スラグ,非鉄スラグ,廃棄物溶融スラグなどのスラグ材料,及びそれら
のスラグを用いた路盤材,アスファルト製品,コンクリート製品など製品(スラグ類)が人への直接摂取
の可能性のある場合に,その安全性を評価するために行う化学物質の含有量試験方法について規定する。
ここでの含有量とは,1mol/Lの塩酸などで抽出可能な量を示すもので,この含有量試験が対象とする化学
物質は,鉛,カドミウム,水銀,ふっ素,ほう素などの無機物質である。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 1132 コンクリートの強度試験用供試体の作り方
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0102 工場排水試験方法
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS K 8085 アンモニア水
JIS K 8102 エタノール(95)
JIS K 8180 塩酸
JIS K 8355 酢酸
JIS K 8356 酢酸亜鉛二水和物
JIS K 8576 水酸化ナトリウム
JIS K 8622 炭酸水素ナトリウム
JIS K 8625 炭酸ナトリウム
JIS K 8799 フェノールフタレイン
JIS K 8951 硫酸
JIS M 8100 粉塊混合物−サンプリング方法通則
JIS K 0058-1 スラグ類の化学物質試験方法−第1部:溶出量試験方法
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3. 定義 この規格で用いる用語の定義は,含有量以外JIS K 0058-1による。
a) 含有量 試料中に含まれている成分量のうち,1mol/L塩酸で抽出可能な量。
4. 試験方法の概要 利用有姿の状態で採取した試料(1)を粗砕し,溶媒に対する試料の質量体積比が3%
となるように1mol/L塩酸などの溶媒を加えて,毎分約200回で2時間振とうして検液を調製する。この検
液中の化学物質の濃度を測定し,試料中の含有量を求める。
注(1) 成型体の場合,コンクリートなど混合して成型した製品,又は日常の品質管理,強度試験など
に使用する供試体を用いる。
5. 試薬及び器具 試薬及び器具は次による。
a) 水 JIS K 0557に規定するA3の水,又はそれと同等の品質のもの。
b) 塩酸 JIS K 8180に規定する特級,又はそれと同等の品質のもの。
c) 炭酸ナトリウム JIS K 8625に規定する特級,又はそれと同等の品質のもの。
d) 炭酸水素ナトリウム JIS K 8622に規定する特級,又はそれと同等の品質のもの。
e) フェノールフタレイン溶液(5g/L) フェノールフタレイン(JIS K 8799)0.5gをエタノール(JIS K
8102の特級)50mLに溶かし,水を加えて100mLとしたもの。
f)
硫酸(1+35) JIS K 8951に規定する硫酸を用いて調製する。
g) 酢酸亜鉛溶液(100g/L) 酢酸亜鉛二水和物(JIS K 8356)100gを水に溶かして1Lとしたもの。
h) 水酸化ナトリウム溶液(20g/L) 水酸化ナトリウム(JIS K 8576)20gを水に溶かして1Lとしたも
の。
i)
酢酸(1+9) JIS K 8355に規定する酢酸を用いて調製する。
j)
酢酸亜鉛アンモニア溶液 酢酸亜鉛二水和物(JIS K 8356)12gにアンモニア水(JIS K 8085)35mL
を加え,更に水を加えて100mLとしたもの。
k) ふるい 目開きが2mmのもの。
l)
振とう容器 ポリエチレン製又は測定対象物質が吸着若しくは溶出しない材質のもの。
m) 振とう機 振とう幅4〜5cm,毎分約200回で水平振とうできるもの。
n) フィルタ あな径0.45μm,直径25〜90mmのメンブレンフィルタ,又はそれと同等の品質のもの。
o) ろ過器 図1に一例を示す。
p) 遠心器
q) 蒸留装置 図2に一例を示す。
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図 1 ろ過器の一例
A
B
C
D
E
F
G
A
B
C
D
減圧装置へ
A:上部ろ過管
B:フィルタ
C:フィルタ保持台
D:下部ろ過管
E:ゴム栓
F:金属製クランプ
G:吸引瓶
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図 2 蒸留装置の例
A:蒸留フラスコ(500mL)
B:連結導入管
C:すり合わせコック
D:注入漏斗
E:トラップ球(キルダール形)
F:リービッヒ冷却器
G:逆流止め
H:受器(メスシリンダ)
I:共通すり合わせ
J:共通球面すり合わせ
K:押さえばね
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6. 試料
6.1
試料の採取 スラグ及びその利用製品のロットからの採取は,JIS M 8100に準じて行う。
6.2
試料の調製 試験に供する粉塊状の試料は,その粒径分布に応じてJIS M 8100に規定する縮分方
法に準じて表1に示す最小試料量以上を採取し,2mm目のふるいにかけ,ふるい上に残るものは砕いてす
べてが2mm目のふるいを通過するように調製する。
成型体の試料については,5kg以下の小形の成型体の場合は,成型体そのものを試験に供することとし,
それ以外の場合は,品質管理などに用いる供試体を試験に供する。コンクリート成型体は,JIS A 1132に
したがって作製した100mmφ×200mmの供試体1個を,アスファルト成型体は,100mmφ×63.5mmの供
試体1個を砕いて,2mm目のふるいを通過するように調製する。
なお,試験に供する供試体は,実際に使用する成型体と同じ配合で作製したものとする。
備考 アスファルト成型体の供試体としては,マーシャル安定度試験用の供試体がある。
表 1 最大粒径(2)と最小試料量
最大粒径(mm)
最小試料量(g)
37.5以上
53.0未満
3 000
31.5以上
37.5未満
2 000
26.5以上
31.5未満
1 000
16 以上
26.5未満
500
9.5以上
16 未満
200
9.5未満
100
注(2) 試料をふるい分けしたとき,最も大きな試料が残ったふるいの目開きの値。
7. 検液の調製 検液の調製は,次に示す三つの方法のいずれかによる。
7.1
検液調製法1 六価クロム化合物及びシアン化合物以外の物質についての検液の調製は,次による。
a) 溶媒として,塩酸を水で希釈して1mol/L塩酸を200mL以上調製する。
b) 試料6g以上(3)をはかり取り,振とう容器に入れ,a)の溶媒を次式から算出される溶媒に対する試料の
質量体積比が3%となる量加える。振とう容器は,加える溶媒量の1.5倍以上の容積をもつものを使用
する。
溶媒量(mL)=試料量(g)÷ 0.03・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
注(3) 試料量は,分析に必要となる検液量が得られるように決定する。
c) 試料及び溶媒を入れた振とう容器を振とう機にセットし,振とう幅4〜5cm,毎分約200回で2時間振
とうする。
d) 振とう終了後,必要に応じて毎分3 000回転で20分間遠心分離し,上澄み液をフィルタでろ過して検
液とする。けい素(Si)を多く含んだ試料の場合,振とう終了後時間が経過するとゲル化することが
あるので注意する。
7.2
検液調製法2 六価クロム化合物についての検液の調製は,次による。
a) 溶媒として,炭酸ナトリウム0.53g,及び炭酸水素ナトリウム0.84gを水に溶解して1Lとする。これ
と同じ濃度になるように必要な量だけ溶媒を調製すればよい。
b) 試料6g以上(3)をはかり取り,振とう容器に入れ,a)の溶媒を(1)式から算出される試料との質量体積比
が3%となる量加える。振とう容器は,加える溶媒量の1.5倍以上の容積をもつものを使用する。
c) 試料及び溶媒を入れた振とう容器を振とう機にセットし,振とう幅4〜5cm,毎分約200回で2時間振
とうする。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 振とう終了後,10〜30分静置後,必要に応じて毎分3 000回転で20分間遠心分離し,上澄み液をフィ
ルタでろ過して検液とする。
7.3
検液調製法3 シアン化合物についての検液の調製は,次による。
a) 試料5〜10gを蒸留フラスコにはかり取り,水250mLを加える。
b) 指示薬としてフェノールフタレイン溶液(5g/L)を数滴加える。溶液が赤い色を呈した場合は,赤い
色が消えるまで硫酸(1+35)で中和する。
c) 酢酸亜鉛溶液(100g/L)20mLを加える。
d) 蒸留フラスコを蒸留装置に接続する。受器には250mL有栓形メスシリンダを用い,これに水酸化ナト
リウム溶液(20g/L)30mLを入れ,冷却管の先端を受液中に浸す。
e) 蒸留フラスコに硫酸(1+35)10mLを加え,数分間放置した後蒸留フラスコを加熱し,留出速度を1
分間に2〜3mLで蒸留する(4)。
注(4) 留出速度が速いとシアン化水素が完全に留出しないので,1分間に3mL以上の留出速度にしな
い。また,蒸留中,冷却管の先端は,常に液面下15mmに保つようにする。
f)
受器の液量が約180mLになったら,冷却管の先端を留出液から離して蒸留を止める。冷却管の内外を
少量の水で洗い,洗液は留出液と合わせる。
g) フェノールフタレイン溶液(5g/L)2〜3滴を加え,開栓中にシアン化物イオンがシアン化水素となっ
て揮散しないように手早く酢酸(1+9)で中和し,水を加えて250mLとし,これを検液とする(5)。
注(5) 留出液中に硫化物イオンが共存すると,ピリジン−ピラゾロン法などの吸光光度法で負の誤差
を生じるので,硫化物の多い試料については,酢酸亜鉛アンモニア溶液10mLを加えて沈殿除
去する。
8. 検液の分析 検液の分析は,JIS K 0102又は公的に確立された方法に準拠して行う。
9. 結果の報告 結果は,別途測定した水分量から求めた乾燥質量1kgに含まれる量(mg/kg)として表
示し,用いた分析方法を明記する。水分の測定は,JIS K 0068 7.乾燥減量法に準じた方法で行う。