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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 0042-1996 

高精度二酸化炭素標準ガス 

High accuracy standards for carbon dioxide 

1. 適用範囲 この規格は,大気中などの二酸化炭素濃度を高精度に計測する計測器の目盛定め・目盛校

正に用いる高圧ガス容器詰めの空気で希釈した高精度二酸化炭素標準ガスについて規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,付表1に示す。 

2. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。 

2. 共通事項 この規格について共通する一般事項は,JIS K 0055,JIS K 0501,JIS K 0151,JIS Z 8401

による。 

3. 用語の定義 この規格で用いる用語の定義は,JIS K 0003によるもののほか,次のとおりとする。 

(1) 二酸化炭素一次標準ガス 表2の二酸化炭素と表3の空気を用い,標準ガスの調製,維持管理能力が

ある検査機関(以下“検査機関”という。)が附属書に従って調製し,濃度を確定した二酸化炭素と空

気の混合ガス。 

(2) 高精度二酸化炭素標準ガス JIS K 0501で定義された組成標準物質であり,かつ,ガス状の標準試料

で,表2の二酸化炭素と表3の空気とを用いて7.に従って調製し,検査機関が(1)の二酸化炭素一次標

準ガスを用いて二酸化炭素濃度を値付けした二酸化炭素と空気の混合ガス。 

(3) 成分ガス 高精度二酸化炭素標準ガスの構成成分となる表2の二酸化炭素。 

(4) 希釈ガス 高精度二酸化炭素標準ガスを調製するときに,成分ガスを目標濃度に薄めるために用いる

表3の空気で,成分ガスに経時変化を起こさせるような成分又は測定値に影響を与えるような成分を

含まないもの。 

(5) 質量比混合法 標準ガスを調製するための方法で,高圧ガス容器に成分ガスと希釈ガスをはかり込み

混合して調製され,その濃度は,各ガスのはかり込み質量を基に決定する。 

4. 高精度二酸化炭素標準ガスの種類 高精度二酸化炭素標準ガスの種類は,濃度範囲で分け,表1のと

おりとする。 

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K 0042-1996  

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表1 種類 

種類(記号) 

濃度範囲 

種類(記号) 

濃度範囲 

HCD240 

237〜243volppm 

HCD350 

347〜353volppm 

HCD260 

257〜263volppm 

HCD360 

357〜363volppm 

HCD280 

277〜283volppm 

HCD370 

367〜373volppm 

HCD300 

297〜303volppm 

HCD380 

377〜383volppm 

HCD320 

317〜323volppm 

HCD400 

397〜403volppm 

HCD330 

327〜333volppm 

HCD600 

550〜650volppm 

HCD340 

337〜343volppm 

HCD800 

750〜850volppm 

参考 HCDは,高精度二酸化炭素標準ガスの略号。 

5. 高精度二酸化炭素標準ガスの原料 高精度二酸化炭素標準ガスの原料は,表2の成分ガス及び表3の

希釈ガスとする。 

表2 成分ガス 

種類 

純度 

許容不純物含有量 

二酸化炭素 99.9vol%以上 

窒素,酸素,メタン,非メタ

ン炭化水素及び一酸化炭素

が 

各々:1volppm以下 
水分:露点−70℃以下 

表3 希釈ガス 

種類 

組成 

許容不純物含有量 

空気 

(組成の一例) 

メタン,非メタン炭化水素及び一酸化炭素が 

酸素  :20.93vol% 

各々:1volppm以下 

アルゴン: 0.93vol% 

水分:露点−70℃以下 

窒素  :78.14vol% 

二酸化炭素:0.01volppm以下 

6. 高圧ガス容器及び弁 高圧ガス容器及び弁は,高圧ガス取締法に定められた圧縮ガスを充てんするた

めのもので次による。 

(1) 高圧ガス容器 高圧ガス容器は,JIS B 8241に規定する次の(a)のもの,JIS H 4140に規定する合金番

号6061と同一の化学成分のものを原料として製造した(b)のもので,充てんする高精度二酸化炭素標

準ガスが濃度変化を生じないように内面処理を施したもの。 

(a) マンガン鋼製高圧ガス容器 

(b) アルミニウム合金製高圧ガス容器 

(2) 高圧ガス容器用弁 高圧ガス容器用弁は,JIS B 8246に規定され,かつ,高精度二酸化炭素標準ガス

の濃度に対する影響が小さいもの。 

7. 調製及び充てん 高精度二酸化炭素標準ガスは,5.の原料ガスを,あらかじめ真空状態にした6.の高

圧ガス容器で圧力比混合法又は流量比混合法によって調製する。その後,高圧ガス容器内で成分ガスと希

釈ガスが均一に混合されるように操作を施す。 

8. 品質 

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8.1 

濃度 高精度二酸化炭素標準ガスは,7.によって調製し,9.1で試験を行ったとき表1の規定に適合

しなければならない。 

8.2 

ガス漏れ 9.2で試験を行ったとき,いずれの部分からもガス漏れがないこと。 

8.3 

充てん圧力 9.3で試験を行ったとき,表示圧力の±10%以内であること。 

8.4 

濃度の経時変化 有効期限内の濃度変化は,±0.1volppm以内であること。 

8.5 

有効期限(1) 高精度二酸化炭素標準ガスの有効期限は,濃度を値付けした月の翌日から12か月とす

る。 

注(1) 高圧ガス容器内の圧力が2.9MPa {30kgf/cm2} (35℃における)以下になったときは,有効期限

前であっても濃度変化を生じることがあるので使用しないこと。 

9. 試験方法 

9.1 

濃度の値付け方法 

(1) 分析計 JIS K 0304の比較流通形赤外線ガス分析計による。 

(2) 濃度の値付け 高精度二酸化炭素標準ガスの濃度の値付けは,(1)の分析計を用いて2回以上の平行測

定及び繰返し測定を行い,測定値の平均値を体積百万分率で表し,JIS Z 8401に従って有効数字5け

た(2)で表示する。 

この場合,分析計は,二酸化炭素一次標準ガスで校正する。校正方法は,JIS K 0055の4.(校正)

による。 

注(2) HCD600及びHCD800は,有効数字4けたとする。 

9.2 

ガス漏れ試験方法 高圧ガス容器用弁,弁と容器との接合部など,ガス漏れが生じるおそれのある

部分に発泡液を塗り(3),泡の発生の有無を調べる。 

注(3) 試験後は,発泡液を塗った部分を清浄にしなければならない。 

9.3 

充てん圧力試験方法 JIS B 7505に規定する2.5級の圧力計を用いて,室温で充てん圧力を測定する

(4)。この値を,次の式によって35℃における圧力に換算する。 

t

P

P

t

+

×

273

308

ここに, 

P: 35℃における圧力 (MPa) {kgf/cm2} 

Pt: 室温における圧力 (MPa) {kgf/cm2} 

t: 室温 (℃) 

注(4) 容器をあらかじめ室内で十分放置し,容器内のガスを室温と同じ温度にする。 

10. 取扱い上の注意 高精度二酸化炭素標準ガスは,高圧ガスであるため,その保管及び取扱いについて

は,この規格で定めるほか,法律,省令などに注意事項が指示されているので,それらの指示に従わなけ

ればならない。 

(1) 保管方法 高精度二酸化炭素標準ガスの濃度変化を避けるため,高圧ガス容器の保管については,次

の点に注意しなければならない。 

(a) 日光の直射をできるだけ避けること。 

(b) 急激な温度変化をできるだけ避けること。 

(c) 雨水などに当たらないようにすること。 

(d) 塩類,その他腐食性のある薬品の近くに置かないこと。 

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(e) ガス漏れがないように弁をしっかりと閉め,キャップをしておくこと。 

(2) ガスの取出し 容器からガスを取り出すときには,次の点に注意しなければならない。 

(a) 容器には,自動圧力調整機構をもつ調整器を取り付けて,急激な圧力低下が起こらないようにする

こと。 

(b) 圧力調整器は,できるだけ遊び空間の少ないものを使用すること。 

(c) 圧力調整器及び配管系において,ガスに直接接触する箇所にはガスの吸着又は化学反応を起こさな

い材料を用いること。 

(d) ガスを使用する前には,圧力調整器及び配管系の内部の水分を十分に除くほか,使用するガスで十

分に置換すること。 

(3) 容器の取扱い方法 高圧ガス容器は,次の点に注意して取り扱わなければならない。 

(a) 多数の人が雑踏するような場所で取り扱わないこと。 

(b) 容器を落としたり,倒したり,又は互いに激突させたりすることは,安全装置を損傷し,漏えい(洩),

破裂などの原因となるので行わないこと。 

(c) 容器を直立させて置く場合には,安全性を確認した壁,その他適当な物に鎖,ロープなどで転倒し

ないように固定すること。 

(d) 容器を横にして置く場合には,容器が転がらないように支持具を用いて固定すること。 

(e) 容器を移動させる場合には,移動の前に弁を完全に閉め,圧力調整器を取り外し,キャップを取り

付けること。 

11. 表示 高精度二酸化炭素標準ガスを充てんした容器には,見やすいところに容易に消えない方法で,

次の事項を表示しなければならない。 

(1) 名称(高精度CO2標準ガスと表示してもよい。) 

(2) 種類 

(3) 値付け濃度 

(4) 容器の記号番号 

(5) 充てん圧力[35℃における圧力 (MPa) {kgf/cm2}] 

(6) 製造業者名及び事業所名(又はその略号) 

(7) 値付けした検査機関 

(8) 値付けした年月日 

(9) 有効期限 

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付表1 引用規格 

JIS B 7505 ブルドン管圧力計 

JIS B 8241 継目なし鋼製高圧ガス容器 

JIS B 8246 高圧ガス容器用弁 

JIS H 4140 アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品 

JIS K 0003 二酸化炭素標準ガス 

JIS K 0055 ガス分析装置校正方法通則 

JIS K 0151 赤外線ガス分析計 

JIS K 0304 大気中の二酸化炭素測定方法 

JIS K 0501 化学標準物質通則 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

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附属書 二酸化炭素一次標準ガスの調製方法 

1. 適用範囲 この附属書は,二酸化炭素一次標準ガスの調製方法について規定する。 

2. 原料ガス 二酸化炭素一次標準ガスの原料は,本体表2の成分ガス及び本体表3の希釈ガスとする。 

3. 高圧ガス容器及び弁 高圧ガス容器及び弁は,高圧ガス取締法に定められた圧縮ガスを充てんするた

めのもので次による。 

(1) 高圧ガス容器 高圧ガス容器は,JIS B 8241に規定する次の(a)のもの,JIS H 4140に規定する合金番

号6061と同一の化学成分のものを原料として製造した(b)のもので,充てんする二酸化炭素一次標準

ガスが濃度変化を生じないように内面処理を施したもの。 

(a)  マンガン鋼製高圧ガス容器 

(b)  アルミニウム合金製高圧ガス容器 

(2) 高圧ガス容器用弁 高圧ガス容器用弁は,JIS B 8246に規定され,かつ,二酸化炭素一次標準ガスの

濃度に対する影響が小さいもの。 

4. 調製及び充てん方法 二酸化炭素一次標準ガスは,3.(1)の高圧ガス容器と2.の原料ガスを用いて質量

比混合法によって調製する。 

(1) 高圧ガス容器の前処理 二酸化炭素一次標準ガスの調製に用いる高圧ガス容器には,あらかじめ容器

内面の汚染物質の除去,清浄化及び不活性化のための加熱真空排気及びガス処理を行う。加熱真空排

気及びガス処理の条件例を下記に示す。 

マンガン鋼製高圧ガス容器の加熱真空排気及びガス処理の条件例 

加熱温度 

150℃ 

真空度 

6.5Pa {5×10-2Torr} 以下 

排気時間 

4時間 

冷却 

窒素ガスを大気圧より若干高めの圧力で充てんし,放置する。 

処理ガスの充てん 

4 000volppmの二酸化炭素混合ガスを0.2MPa程度充てんする。 

放置期間 

10日間程度放置する。 

(2) 二酸化炭素一次標準ガスの調製方法 二酸化炭素一次標準ガスは,質量比混合法で調製する。調製手

順例を下記に示す。 

(a) 5vol%二酸化炭素混合ガスの調製 2.の成分ガス及び希釈ガスを原料に,質量比混合法で二酸化炭

素濃度が5vol%になるように調製する。その後,高圧ガス容器内で成分ガスと希釈ガスが均一に混

合されるように操作を施す。 

(b) 4 000volppm二酸化炭素混合ガスの調製 (a)の5vol%中間原料及び2.の希釈ガスを原料に,質量比

混合法で二酸化炭素濃度が4 000volppmになるように調製する。その後,高圧ガス容器内で成分ガ

スと希釈ガスが均一に混合されるように操作を施す。 

(c) 二酸化炭素一次標準ガスの調製 (b)の4 000volppm中間原料及び2.の希釈ガスを原料に,質量比混

K 0042-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

合法で本体表1の高精度二酸化炭素標準ガスの値付けに必要な濃度の二酸化炭素一次標準ガスを調

製する。その後,高圧ガス容器内で成分ガスと希釈ガスが均一に混合されるように操作を施す。 

高精度二酸化炭素標準ガス日本工業規格新規原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会) 

荒 木   峻 

東京都立大学名誉教授 

○ 地 崎   修 

工業技術院標準部 

津 田   博 

通商産業省計量行政室 

◎ 指 宿 堯 嗣 

工業技術院資源環境技術総合研究所 

○ 内 川 恵三郎 

工業技術院計量研究所 

○ 加 藤 健 次 

工業技術院物質工学工業技術研究所 

○ 平 野 耕一郎 

横浜市環境科学研究所 

川 村 周 三 

社団法人日本電気計測器工業会(横河電気

株式会社) 

○ 

中 田   章 

社団法人日本分析機器工業会(株式会社島

津製作所) 

○ 三 笠   元 

株式会社堀場製作所 

○ 奈 島 伴 治 

特殊ガス工業会(住友精化株式会社) 

宮 崎 雅 嗣 

大陽酸素株式会社 

○ 宇都宮 良 明 

日本酸素株式会社 

早 瀬 敏 克 

高千穂化学工業株式会社 

○ 加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

○ 飯 島 弘 淳 

財団法人化学品検査協会 

(事務局) 

野 村 杉 哉 

財団法人化学品検査協会 

備考 ◎印は,分科会長も兼ねる。○印は,分科会委員も兼ね

る。