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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

H 8672-1995 

溶融アルミニウムめっき試験方法 

Methods of test for hot dip aluminized 

coatings on ferrous products 

1. 適用範囲 この規格は,鉄鋼製品(1)に耐候性,耐食性及び耐熱性を向上させる目的で施した溶融アル

ミニウムめっき(2)(以下,めっきという。)の試験方法について規定する。 

注(1) 薄鋼板,ステンレス鋼及び耐熱鋼を除く。 

(2) JIS H 2102の3種又はこれと同等以上の純度を有するアルミニウム地金を用い,他の元素を加

えない浴によるめっきをいう。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS G 3544 溶融アルミニウムめっき鉄線及び鋼線 

JIS H 2102 アルミニウム地金 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8400 塩化アンチモン(III)(試薬) 

JIS K 8407 酸化アンチモン(III)(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8594 石油ベンジン(試薬) 

2. 鉄鋼製品の分類 鉄鋼製品をめっき試験の便宜のために,その形状・寸法によって,表1のとおり6

種類に分類する。 

表1 鉄鋼製品の分類 

鉄鋼製品 

分類 

適用 

管類 

ボイラ,熱交換器用鋼管,配管用鋼管,構造用鋼管など 

圧延鋼材類 

鋼板,形鋼,平鋼,棒鋼,鋼帯など 

線類 

鉄線,鋼線,ワイヤーロープ,鉄より線,鋼より線など 

ボルト・ナット類 各種ボルト・ナットなど 
鋳鍛造品類 

鋳鉄品,可鍛鋳鉄品,鋳鋼品,鍛鋼品など 

製かん品類 

溶接によって成形加工したものなど 

3. 試験方法の分類 試験方法は,表2のとおり4種類に分類する。 

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H 8672-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 試験方法の分類 

試験方法 

鉄鋼製品適用範囲 

めっき厚さ試験方法 

顕微鏡測定法 

管類,圧延鋼材類,線類,ボルト・ナッ

ト類,鋳鍛造品類,製かん品類 

膜厚計測定法 

付着量試験方法 

質量法 

管類,圧延鋼材類,線類,ボルト・ナッ

ト類,鋳鍛造品類,製かん品類 

水酸化ナトリウム法 

管類,圧延鋼材類,ボルト・ナット類,

鋳鍛造品類,製かん品類 

水酸化ナトリウム− 

塩化アンチモン法 

線類 

ピンホール試験方法 

水道水法 

管類,圧延鋼材類,線類,ボルト・ナッ

ト類,鋳鍛造品類,製かん品類 

密着性試験方法 

巻付試験方法 

線類 

ハンマ試験方法 

管類,圧延鋼材類,ボルト・ナット類,

鋳鍛造品類,製かん品類 

4. 試験片 試験片は,原則として製品から採取する。ただし,製品が大きすぎるか又は採取困難でそれ

自体を試験片として用いることができない場合は,代替試験片によることができる。代替試験片は,製品

と同じ材質及び厚さで,製品と同時に前処理及びめっきを施したものとする。 

5. めっき厚さ試験方法 

5.1 

顕微鏡測定法 

5.1.1 

試験片 試験片は,4.による。 

5.1.2 

操作 試験片を長さの方向に沿って1, 2か所表面に直角に切断し,その断面を鏡面研磨して顕微鏡

でめっき厚さを測定する。特に必要と認められる製品については受渡当事者間で協議のうえ,アルミニウ

ム層及び合金層の厚さをそれぞれ測定する。測定箇所は1切断面につき2か所以上とし,1か所の測定は

同一視野内で両端から等間隔に5点測定し,その平均値をもってその箇所の値とする。 

5.2 

膜厚計測定法 

5.2.1 

適用 膜厚計測定法は,溶接箇所には適用できない。 

また,製品の表面の凹凸が甚しく,又はわん曲が大きくて,膜厚計の使用が困難な場合には適用しない。 

5.2.2 

膜厚計 膜厚計は,製品の素材と同一素地のめっき厚さ既知の標準試験片を用いて補正したもの。 

5.2.3 

試験片 試験片は,4.による。 

5.2.4 

操作 測定箇所は3か所以上とし,1か所について繰り返し5回以上めっき厚さを測定し,その平

均値をもってその箇所の値とする。 

6. 付着量試験方法 

6.1 

質量法(直接法) 

6.1.1 

試験片 試験片は,製造工程中の素材又は次の方法で採取する。 

(1) 素材が大きすぎるか,重すぎるか,又は取扱いが不便なときには,素材の適切な箇所から採取する。 

(2) 素材の表面積が決定しにくいものは,できるだけ形状の類似したものをつくり試験片とする。 

H 8672-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.1.2 

操作 試験片は,実際の作業と同一条件で前処理を施して表面を清浄にし,十分乾燥させ質量をは

かる。これに所定のめっきを施して再び質量をはかり,両者の値の差を試験片の面積で除し,単位面積当

たりのめっき付着量を求める。 

6.2 

水酸化ナトリウム法(間接法) 

6.2.1 

試験片 試験片は,4.による。 

6.2.2 

試験液 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム120gを水に溶解して1λにしたものを試験液とす

る。液の温度は60〜90℃とする。 

6.2.3 

試験片の清浄 試験片は,JIS K 8594に規定する石油ベンジンなどの溶剤で清浄にし,水洗した後

JIS K 8102に規定するエタノールで洗い,十分乾燥させる。 

6.2.4 

操作 清浄にした試験片の質量を0.001gまで読み取り,1回に1個の試験片を試験液中に浸せきす

る。水素の発生が止まり,めっき層が除去されたなら取り出し,水洗いした後,綿布でよくぬぐい,十分

乾燥させ再び質量をはかる。両者の値の差を試験片の面積で除し,単位面積当たりのめっき付着量を求め

る。 

なお,乾燥後発熱する場合は,再び試験液に浸せきして,残存している合金層中のアルミニウムを溶解

し,発熱がやむまで繰り返し行う。 

備考1. 連続的ガス発生が少なくなった後,10分以上試験液中に置いてはならない。 

2. 試験液がめっき層を除去するのにあまり時間がかかるようになったら,これを更新する。 

6.3 

水酸化ナトリウム−塩化アンチモン法(間接法) 

6.3.1 

適用 この試験方法は,線類にだけ適用する。 

6.3.2 

試験片 製品から300〜600mmの長さの試験片を採取する。 

6.3.3 

試験液 試験液は,次のa液及びb液の2液とする。 

a液 

JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム120gを水に溶解して,1λにしたものを試験液と

する。液の温度は,60〜90℃とする。 

b液 

JIS K 8400に規定する塩化アンチモン(III)32g又はJIS K 8407に規定する酸化アンチモン

(III)20gに対し,JIS K 8180に規定する塩酸1λの割合に溶解したものを原液とする。試験

の直前に,この原液5mlを塩酸(上に同じ)100mlに加えたものを試験液とする。 

6.3.4 

試験片の清浄 試験片の清浄は,6.2.3による。 

6.3.5 

操作 清浄にした試験片の質量を0.001gまで読み取り,試験片をa液中に浸せきし,水素の発生

が止まった後,10分以内に取り出し水洗し,b液に浸せきする。水素の発生が少なくなり合金層が除去さ

れてから取り出し,水洗した後,綿布でよくぬぐい,十分乾燥させ再び質量をはかる。 

また,線径を同じ箇所において互いに直角な方向に0.01mmまではかり,その平均値を求める。 

6.3.6 

計算 

960

1

2

2

1

×

×

=

d

W

W

W

A

ここに, 

A : めっき付着量 (g/m2)  

W1 : 試験片のめっき層を除去する前の質量 (g)  

W2 : 試験片のめっき層を除去した後の質量 (g)  

d : 試験片のめっき層を除去した後の線径 (mm)  

1 960 : 定数 

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7. ピンホール試験方法(水道水法) 

7.1 

試験片 試験片は,4.による。 

7.2 

試験片の清浄 試験片の清浄は,6.2.3による。 

7.3 

試験液 適量の静止水道水。 

7.4 

操作 清浄にした試験片を試験液中に静かに浸せきし,24時間以上保持する。この間液をかき混ぜ

たり,水道水を新しく注入したり又はくみ出したりしてはならない。次に試験片を静かに取り出し,その

ままめっき面に発生した水酸化第二鉄の赤褐色沈殿の有無を調べる。 

なお,試験液はポリエチレン製容器又は鉄さびを生じない容器に入れて用いる。 

備考1. 試験片の切断部分は,パラフィン,ラッカーなどで被覆する。 

2. 次の各部については適用しない。 

(1) 試験片の切断部分から10mm以内。 

(2) めっき後生じた切りきず,かすりきずの部分又はこれらに隣接する部分。 

(3) 縁部から10mm以内。 

(4) めっき後ねじを切った製品については,そのねじの部分から10mm以内。 

8. 密着性試験方法 

8.1 

巻付試験方法 

8.1.1 

適用 この試験方法は,線類にだけ適用する。 

8.1.2 

試験片 製品又は製品の一部をそのまま試験片とする。 

8.1.3 

操作 試験片をJIS G 3544の10.5(2)に規定された径をもつ円筒に,1分間に約15回の速さで密着

させて6回巻き付けた後,めっき層の表面状態を観察する。 

8.2 

ハンマ試験方法 

8.2.1 

試験片 試験片は,4.による。 

8.2.2 

試験片の清浄 試験片は,水洗又はワイヤブラシで表面の有害な付着物を完全に除去する。 

8.2.3 

装置 この試験は,図1の装置によって行う。 

図1 ハンマ試験装置 

H 8672-1995  

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8.2.4 

操作 試験面を水平に固定し,ハンマの柄を垂直に立て,その位置からハンマを自然に落下させる。

打撃は4mm間隔で平行に11点行い,この打こん間のはく離,浮上がりを調べる。ただし,端から10mm

以内は試験の対象としない。 

また,同一箇所を2回以上たたいてはならない。 

関連規格 JIS H 8642 溶融アルミニウムめっき 

JIS H 9126 溶融アルミニウムめっき作業標準 

溶融アルミニウムめっき改正原案作成委員会 構成員表 

氏名 

所属 

(委員長) 

佐 藤 英一郎 

千葉工業大学 

秋 山 清 澄 

興国鋼線索株式会社(線材製品協会) 

生 田 惇 滋 

アルマー工業株式会社 

金 子 國 雄 

社団法人表面技術協会 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

神 戸 徳 蔵 

工業技術院物質工学工業技術研究所 

小 嶋   豊 

株式会社明豊エンジニアリング 

小 林   堯 

伸光金属工業株式会社 

高 木 譲 一 

工業技術院標準部 

谷 口 勝 樹 

黒崎炉工業株式会社(社団法人日本工業炉協会) 

千 葉 和 茂 

武蔵工業大学 

都 留 秀 之 

社団法人石油学会 

土 居   亨 

三菱重工業株式会社(社団法人日本環境衛生工業会) 

前 田 洋 男 

新興アルマー工業株式会社 

水 野 幸四郎 

社団法人日本鉄鋼協会 

山 盛 政 綱 

東海アルマ工業株式会社 

(関係者) 

角 田 悦 啓 

工業技術院標準部 

(事務局) 

及 川 耕 一 

社団法人表面技術協会